第3 警  告

 警告の措置を採ったものの概要は以下のとおりである。




第4 課徴金納付命令

 課徴金制度は,カルテル禁止の徹底を図るため,行政上の措置として設け
られているものである。
 課徴金の対象となる行為は,事業者又は事業者団体の行うカルテルのう
ち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供
給量を制限することによりその対価に影響のあるものであり,これらの行為
があった場合に,事業者又は事業者団体の構成事業者に対し課徴金の納付を
命じることとされている(第7条の2第2項,第8条の3)。
 平成7年度は,24件の独占禁止法違反事件について,合計741事業者に対
して総額64億4640万円の課徴金の納付を命じた(第5表)。これは,事業者
数でみると過去最高であり,事件数及び課徴金額でみると過去2番目に多い
ものとなっている(第6表)。





第5 監 査

 当委員会は,審決執行後,当該関係人の動向等を調査することにより,審
決の履行状況を監査するとともに違反行為の再発防止に努めている。
 平成7年度に開始した監査事件はなかった。

第6 告 発

 私的独占,カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については,勧告等
の法的措置のほか罰則が設けられているところ,これらについては公正取引
委員会による告発を待って論ずることとされている(第96条,第73条第1項)。
 平成7年度においては,日本下水道事業団(以下「事業団」という。)発
注の電気設備工事について,受注予定者を決定するとともに,受注予定者が
受注できるようにしていたとして,(株)日立製作所ほか8社を平成7年3月
に検事総長に告発した件について,これら9社の受注業務に従事していた者
17名が独占禁止法に違反する犯罪を行い,また,事業団の発注業務に従事し
ていた者1名が前記犯行を幇助したものと思料して,平成7年6月7日,検
事総長に追加告発を行った(東京高等検察庁は同年6月15日起訴)。その概
要は,以下のとおりである。

1 被告発人

(1)  以下の被告発会社9社の事業団発注に係る電気設備工事の受注業務に
従事していた者(計17名)
株式会社日立製作所,株式会社東芝,三菱電機株式会社,富士電機株式
会社,株式会社明電舎,株式会社安川電機,日新電機株式会社,神鋼電
機株式会社,株式会社高岳製作所
(2)  事業団の電気設備工事の発注業務に従事していた者(1名)

2 告発の根拠

(1) 事  実
 被告発会社9社の事業団発注に係る電気設備工事の受注業務に従事
していた被告発人17名は,それぞれの所属する会社の業務に関し,平
成5年6月ごろ,東京都内において,平成5年度における同工事につ
いて,受注予定者を決定するとともに,受注予定者が受注できるよう
あらかじめ定められた価格で入札することを合意し,もって,前記9
社が共同して,その事業活動を相互に拘束することにより,公共の利
益に反して,同工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制
限した。
 事業団の電気設備工事の発注業務に従事していた被告発人は,前記
犯行を容易にしてこれを幇助した。
(2) 罰 条
 独占禁止法第89条第1項第1号,第95条第1項,第3条
事業団の電気設備工事の発注業務に従事していた被告発人について
は,更に刑法第62条第1項
 なお,平成8年5月31日,東京高等裁判所において,被告会社に4000
万円から6000万円の罰金,被告会社の受注業務に従事していた者に10月
の懲役(執行猶予2年),事業団の発注業務に従事していた者に8月の
懲役(執行猶予2年)がそれぞれ言い渡され,有罪が確定している。