第11章 適用除外カルテル等

第1 概   説

適用除外カルテルの概要
 価格,数量,販路等のカルテルは,公正かつ自由な競争を妨げるものと
して,独占禁止法上禁止されているが,その一方で他の政策目的を達成す
る等の観点から,個々の適用除外制度ごとに設けられた一定の要件・手続
の下で,特定のカルテルが例外的に許容される場合がある。
 このような適用除外カルテル制度が認められるのは,当該事業の特殊性
のため(保険業法に基づく保険カルテル),地域住民の生活に必要な旅客
輸送(いわゆる生活路線)を確保するため(道路運送法等に基づく運輸カ
ルテル),国際的な協定にかかわるものであって諸外国においても適用除
外が認められているため(航空法等に基づく国際運輸カルテル),深刻な
不況に対処するため(独占禁止法に基づく不況カルテル,中小企業団体の
組織に関する法律に基づく経営安定カルテル)等,様々な理由による。
 これらの適用除外カルテルのうち,独占禁止法に基づく不況カルテル及
び合理化カルテルについては当委員会が認可を行っており,個別法に基づ
くものについては,一般に,当委員会の同意を得,又は当委員会に協議若
しくは通知を行って主務大臣が認可を行うこととなっている。
 また,適用除外カルテルの認可については,一般に,当該適用除外カル
テル制度の目的を達成するために必要であること等の積極的要件のほか,
当該カルテルが弊害をもたらしたりすることのないよう,カルテルの目的
を達成するために必要な限度を超えないこと,不当に差別的でないこと等
の消極的要件を充足することがそれぞれの法律により必要とされている。
 さらに,このような適用除外カルテルについては,不公正な取引方法に
該当する行為が用いられた場合等には独占禁止法の適用除外とはならない
とする,いわゆるただし書規定が設けられている。
適用除外カルテルの動向
 当委員会が認可し,又は当委員会の同意を得,若しくは当委員会に協議
若しくは通知を行って主務大臣が認可等を行ったカルテルの件数は,昭和
40年度末の1,079件(中小企業団体の組織に関する法律に基づくカルテル
のように,同一業種について都道府県等の地区別に結成されている組合ご
とにカルテルが締結されている場合等において,同一業種についてのカル
テルを1件として算定すると,件数は415件)をピークに減少傾向にあ
り,また,適用除外カルテル制度そのものが大幅に縮減されたこともあり
(第5章参照),平成9年度末現在15件となっている。

第2 独占禁止法に基づく適用除外カルテル

不況カルテル
 独占禁止法は,第24条の3の規定により,不況に対処するため,一定の
要件の下に当委員会の認可を得て,生産業者等が行う生産数量,販売数
量,設備の制限又は対価の決定に係るカルテルについて,不況カルテルと
してその適用を除外することとしている。
 平成元年10月以降,不況カルテルは実施されていない。
合理化カルテル
 独占禁止法は,第24条の4の規定により,企業の合理化を遂行するため
特に必要がある場合に,一定の要件の下に当委員会の認可を得て,生産業
者等が行う技術若しくは生産品種の制限等に係るカルテルについて,合理
化カルテルとしてその適用を除外することとしている。
 昭和57年1月以降,合理化カルテルは実施されていない。

第3 個別法に基づく適用除外カルテル

概   要
 平成9年度において,個別法に基づき主務大臣から当委員会に対し同意
を求め,又は協議若しくは通知のあったカルテルの処理状況は第1表のと
おりであり,このうち主な個別法に基づくカルテルの動向は,次のとおり
である。
 なお,酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律,環境衛生関係営業の
運営の適正化に関する法律,中小企業団体の組織に関する法律,道路運送
法,航空法及び内航海運組合法に基づくカルテルに関する同意,協議等は
なかった。


保険業法に基づくカルテル
 保険業法に基づき損害保険会社が,
@  航空保険事業,原子力保険事業,自動車損害賠償補償法に基づく自賠
責保険事業若しくは地震保険契約に関する法律に基づく地震保険事業につ
いての共同行為又は
A  @以外の保険で共同再保険を必要とするものについての一定の共同行
 を行う場合には 大蔵大臣の認可を受ける必要があり,大蔵大臣は,そ
の認可に際し当委員会の同意を得ることとされている。
 平成9年度において,当委員会は,@の4種目及びAのうち船舶保険,
外航貨物保険及び自動車保険についての共同行為について同意を求めら
れ,それぞれ所要の調査を行った結果,特に問題はないと認め,適用除外
の認可に対し同意を行った。
 なお,平成9年度末における同法に基づく共同行為の件数は4件であっ
た(平成9年度に当委員会が同意した8件のうち,残りの4件は,平成10
年4月1日から実施されている。)。
環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に基づくカルテル
 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に基づき環境衛生同業組
合が適正化事業を行う場合には,環境衛生同業組合連合会の設定する適正
化基準に準拠して適正化規程を設定し,厚生大臣又は都道府県知事の認可
を受ける必要があり,厚生大臣又は都道府県知事はその認可に際して当委
員会に協議しなければならないこととされている。また,環境衛生同業組
合が同規程を廃止したときは,厚生大臣又は都道府県知事に届け出る必要
があり,厚生大臣又は都道府県知事はその届出があったときは当委員会に
通知しなければならないこととされている。
 平成9年度においては,厚生大臣又は都道府県知事から協議・通知を受
けたものはなかった。
 同法に基づき設定されている適正化規程は理容業の1業種のみであり,
件数はこれ1件のみであったが,同規程は平成9年度末をもって廃止され
た。
輸出入取引法に基づくカルテル
 輸出入取引法に基づき輸出業者が輸出取引における価格・数量等の協定
を締結する場合又は輸出組合が輸出取引における価格・数量等の組合員の
遵守事項を定める場合には,通商産業大臣に事前に届け出る必要があり,
通商産業大臣は,その届出があったときは当委員会に通知しなければなら
ないこととされている。
 平成9年度において輸出入取引法に基づき新規に設定されたカルテルは
なかった。また,平成9年度中に終了したカルテルは2件であり,平成9
年度末現在における同法に基づくカルテルの件数は1件となっている。
 また,平成9年度において新規に定められたアウトサイダー規制命令は
なく,平成9年度末現在におけるアウトサイダー規制命令の件数は1件と
なっている。
内航海運組合法に基づくカルテル
 内航海運組合法に基づき内航海運組合又は内航海運組合連合会が調整事
業を行う場合には,調整規程を設定し,運輸大臣の認可を受ける必要があ
り,運輸大臣は,その認可をしたときは当委員会に通知しなければならな
いこととされている。
 平成9年度においては,運輸大臣から通知を受けたものはなく,平成9
年度末現在における同法に基づく調整規程の件数は1件である。
海上運送法に基づくカルテル
 船舶運航事業者が他の船舶運航事業者と結ぶ運賃及び料金その他の運送
条件,航路,配船並びに積取に関する事項を内容とする協定,契約又は共
同行為(以下「協定」という。)については,その締結,変更についてあ
らかじめ運輸大臣に届け出なければならないこととされており,同法施行
規則により,運輸大臣は,協定等に関する届出書のうち1通を当委員会に
送付することとされている。
 当委員会が本年度において運輸大臣から受理した届出の件数は18 8件
であり,その内訳(1届出について,2以上にわたる場合の重複分を含
む。)は,締結7件,変更153件,参加7件,脱退18件,その他3件であっ
た。