第3章 審判及び訴訟

第1 審判

 平成12年度における審判件数は、平成11年度から引き継いだもの43件、平成12年度中に審判開始決定を行ったもの8件の合計51件(うち、6件は手続 を併合。下表(注)参照。)であり、平成12年度中に、29件(うち、審判審決3件、同意審決2件、課徴金納付を命ずる審決24件)について審決を行っ た(本章第2、第3及び第4参照)。平成12年度末現在において審判手続係属中の事件は、下表の22件である。

係属中の審判事件一覧


(注)  一連番号8〜13事件は手続を併合している。
 一連番号7事件は、審判開始決定時の被審人は15名であった。しかし、破産宣告を受け、事業活動を停止した事業者1名に対し、平成12年10月11日、審判手続打切り決定がなされたことから、平成12年度宋現在 の被審人は14名となっている。

第2 審判審決

1 平成7年(判)第4号社団法人日本冷蔵倉庫協会に対する審決
(1) 被審人
(2) 事件の経過
 本件は、当委員会が、社団法人日本冷蔵倉庫協会(以下「冷蔵倉庫協会」という。)に対し、独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ、冷蔵倉庫協会はこれを応諾しなかったので、同法第49条 第1項の規定に基づき、冷蔵倉庫協会に対し審判開始決定を行い、審判官をして審判手続を行わせたものである。
 当委員会は、担当審判官の作成した審決案を調査の上、審決案と同じ内容の審決を行った。
(3) 認定した事実及び判断の概要
ア 事実の概要
 冷蔵倉庫協会は、倉庫業法の規定に基づき会員事業者が運輸大臣に対して届け出る冷蔵倉庫保管料(届出保管料)について、平成4年6月18日に5種類の料率とすることを決定し、さらに同年7月15日にそ の届出方法を決定して、会員事業者に対する決定内容の周知を図った。会員事業者は、冷蔵倉庫協会の決定に基づき、同年7月31日以降、おおむね、届出保管料を引き上げることとし、その旨を運輸大臣 に届け出ている。
イ 独占禁止法第8条第1項第1号違反の成否について
 東京地区のように、冷蔵倉庫協会の正会員(地区冷蔵倉庫協会)が実勢料金の引上げに関する活動を行っていた疑いがある地区があるものの、冷蔵倉庫.協会の行為としては、全国の会員事業者の実勢料金と の関係で、届出料金の引上げを契機に少しでも実勢料金を引き上げるよう努力するという程度の認識による届出料金に関する決定であったとの認定にとどまらざるを得ず、また、届出料金の引上げ決定の内容 及びその周知並びにその後の実施状況をもって、実勢料金についての競争の実質的制限が生じたものと認めるに足りない。したがって、本件行為が独占禁止法第8条第1項第1号の要件に該当すると認定する ことはできない。
ウ 独占禁止法第8条第1項第4号違反の成否について
 本件のような事業者団体の価格に関する制限行為は、同一の行為態様であっても、市場における競争を実質的に制限するものであれば、独占禁止法第8条第1項第1号の規定に違反し、市場における競争を 実質的に制限するに至らない場合であっても、構成事業者の機能又は活動を不当に制限するものであれば、同項第4号の規定に違反するものである。本件の場合、平成4年6月18日及び同年7月15日の届出保管料の決 定及び周知について、同項第4号違反が成立する。
(4) 法令の適用
 冷蔵倉庫協会は、会員事業者が運輸大臣に届け出る保管料を決定し、これに基づいて会員事業者に届出を行わせることにより構成事業者の機能又は活動を不当に制限していたものであって、独占禁止法第8条第1 項第4号の規定に違反するものである。
(5) 命じた措置
 冷蔵庫協会は、次の事項を賛助会員である冷蔵倉庫業者及びその取引先荷主並びに正会員である地区冷蔵倉庫協会に周知徹底させること。
(ア)  冷蔵倉庫協会が平成4年6月18日及び同年7月15日に前記冷蔵倉庫業者が運輸大臣に届け出る冷蔵倉庫保管料及び届出方法を決定し、これに基づいて前記冷蔵倉庫業者に運輸大臣に対し届け出させ た行為は、独占禁止法に違反するものであった旨
(イ)  冷蔵倉庫協会は、今後、前記冷蔵倉庫業者の前記保管料を決定せず、前記冷蔵倉庫業者がそれぞれ自主的に前記保管料を決定し、届け出る旨
 冷蔵倉庫協会は、今後、前記冷蔵倉庫業者の前記保管料を決定しこれを前記冷蔵倉庫業者に運輸大臣に対し届け出させる行為その他前記冷蔵倉庫業者が行う前記保管料の運輸大臣に対する届出を制限する行 為をしないこと。
2 平成10年(判)第3号社団法人日本種鶏孵卵協会ブロイラー孵卵部会中国・四国ブロイラー孵卵協議会に対する審決
(1) 被審人
(2) 事件の経過
 本件は、当委員会が社団法人日本種鶏孵卵協会ブロイラー孵卵部会中国・四国ブロイラー孵卵協議会(以下「中国・四国ブロイラー孵卵協議会」という。)に対し独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を 行ったところ、中国・四国ブロイラー孵卵協議会はこれを応諾しなかったので、中国・四国ブロイラー孵卵協議会に対し同法第49条第1項の規定に基づき審判開始決定を行い、蕃判官をして審判手続を行わせたもの である。
 当委員会は、担当審判官の作成した審決案を調査の上、審決案と同じ内容の審決を行った。
(3) 認定した事実と判断の概要
ア 認定した事実の概要
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会は、次のとおり、平成8年4月から平成9年4月までの間に、会員の素びなの需要者等(例えば養鶏業者)向け販売価格を引き上げる決定を4回行った。
(ア)  平成8年5月11日出荷分から1羽当たり1円50銭引き上げる旨の同年4月3日の決定(以下「第一の決定」という。)
(イ)  平成8年8月1日出荷分から第一の決定に係る引き上げ額を含め1羽当たり3円引き上げる旨の同年7月17日の決定(以下「第二の決定」という。)
(ウ) 平成8年11月1日出荷分から1羽当たり2円引き上げる旨の同年10月22日の決定(エ)平成9年5月1日出荷分から1羽当たり70銭引き上げる旨の同年 4月19日の決定
イ 争点に関する判断
 上記4回の決定のうち、前半の第一の決定及び第二の決定の存在が認められるかが本件の主要な争点であり、後半2回の決定の存在については争いがなかった。
(ア) 第一の決定の存在について
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会は平成8年2月17日の協議会と称する会合(以下「協議会」という。)において、同年3月ころに再度協議会を開催し、同年4月以降の配合飼料の仕入れコス トの増加等を考慮して素びなの販売価格の具体的な引上げ額を協議することとしたこと
 同年4月3日に臨時の協議会が開催され、出席者において素びなの販売価格を1羽当たり1円50銭引き上げることを決めたこと
 同日の協議会に欠席した会員は、松尾会長から会員が需要者等に販売する素びなの販売価格を同年5月1日出荷分から1羽当たり1円50銭引き上げる旨の連絡を受けたこと
 上記値上げの連絡を受けた後、会員はおおむね需要者等に対し素びなの販売価格の引上げ交渉を行ったこと
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会は同年4月30日の協議会において会員の素びなの販売価格の引上げの進捗状況を確認するとともに、販売価格引上げの実効確保手段を講じたこと
等の事実が認められ、これらを総合すると、4月31日の協議会において第一の決定がなされたと認定することができる。
(イ) 第二の決定の存在について
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会が平成8年7月17日に開催した総会において第二の決定をしたことは、出席会員の出張報告書等の証拠と会員の供述から認められる。
(4) 法令の適用
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会は、会員の素びなの販売価格の引上げを決定することにより、中国四国地区の素びなの供給分野における競争を実質的に制限していたものであって、これは、独占禁止法第8条第 1項第1号の規定に違反するものである。
(5) 命じた主な措置
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会は、次の事項を会員並びに兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県及び高知県の区域における会員のブロイラー用素びなの需要者等に周知徹 底させなければならない。
(ア)  前記(3)アの各決定が独占禁止法に違反するものであった旨
(イ)  中国・四国ブロイラー孵卵協議会は、今後、会員のブロイラー用素びなの販売価格を決定せず、会員がそれぞれ自主的に決める旨
 中国・四国ブロイラー孵卵協議会は、今後、会員のブロイラー用素びなの販売価格を決定してはならない。
3 平成11年(判)第5号技研システム株式会社に対する審決
(1) 被審人
(2) 事件の経過
 本件は、当委員会が技研システム株式会社(以下「技研システム」という。)を含む測量業者91社に対し独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ、技研システムはこれを応諾しなかったので、 同社に対し、1司法第49条第1項の規定に基づき審判開始決定を行い、審判官をして審判手続を行わせたものである。当委員会は、担当審判官の作成した審決案を調査の上、審決案と同じ 内容の審決を行った。
(3) 認定した事実の概要
 測量業者90社は、遅くとも平成7年4月1日以降、当委員会が審査を開始した平成10年9月10日までの間、千葉市及び同市水道局が指名競争入札又は見積り合わせの方法により発注する測量業務について、 受注予定者の決定及び受注予定者への協力を内容とする合意(以下「本件合意」という。)の下に、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
 技研システムの入札担当者が本件合意の内容について認識していた事実は認められたが、このことから直ちに技研システムが本件合意に加わっていたとは認めるに足りない。
 個別物件についての受注調整に技研システムがどのようにかかわっていたかを具体的に検討するため、技研システムが受注調整に加わっていた旨審査官が主張した「下田最終処分場境界確定測量業務委託」 の物件(以下「下田物件」という。)の落札に至る経緯を詳細に検討した結果、技研システムは、周物件の受注に強い意欲を示していた他の入札参加者から繰り返しなされた協力依頼に一切応じないなど、他 の入札参加者との受注調整のための話合いには応じずに同物件を落札しており、このような技研システムの行動は、本件合意に従ったものとは認められない。
 下田物件の後の「千葉市航空写真撮影及び写真図作成(カラー)業務委託」の物件についても、技研システムが受注調整を行ったことをうかがわせる事実はないことから、技研システムが本件合意に加わっ ていたものとは認めるに至らなかった。
(4) 法令の適用
 本件については、審査官主張の違反行為を認めることができず、技研システムの本件行為については独占禁止法第3条に違反する事実を認めることはできない。

第3 同意審決

平成11年(判)第2号及び第3号クリナップ株式会社に対する審決
(1) 被審人
(2) 事件の経過
 本件は、当委員会がクリナップ株式会社(以下「クリナップ」という。)を含む関係人に対し、独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ、クリナップは、これを応諾しなかったので、同社に 対し同法第49条第1項の規定に基づき審判開始決定を行い、審判官をして審判手続を行わせていたところ、クリナップから、同法第53条の3の規定に基づき同意審決を受ける旨の申し出があり、具体的措置に関する計 画書が提出されたので、これを精査した結果、適当と認められたことから、その後の審判手続を経ないで審決を行った。
(3) 認定した事実の概要
ア 住宅・都市整備公団関係(平成11年(判)第2号)
 クリナップ及びタカラスタンダード株式会社、ナスステンレス株式会社、サンウェーブ工業株式会社、株式会社ベルテクノ、トーヨー工業株式会社、株式会社ミカドの6社(以下「6社」という。)は、か ねてから、首都圏における公団住宅用キッチンの販売方策を検討してきたところ、遅くとも平成9年4月以降、首都圏における公団住宅用キッチンについて、販売価格の低落防止等を図るため、各社の部長級 及び課長級の者による会合を開催し、年度ごとに
(1)  首都圏における公団住宅用キッチンの総販売数量に占める各社の販売すべき数量割合(以下「販売比率」という。)を定め
(2)  販売比率により各社に配分する数量(以下「配分数量」という。)を算定し
(3)  配分数量に基づき、物件を各社に割り振り
当該物件の割り振りを受けた者を優先的に販売すべき者(以下「チャンピオン」という。)とする等の合意の下に、チャンピオンを決定し、チャンピオンが販売できるようにしていた。
イ 東京都関係(平成11年(判)第3号)
 クリナップ及びトーヨー工業株式会社、サンウェーブ工業株式会社、タカラスタンダード株式会社、ナスステンレス株式会社、株式会社ミカドの5社(以下「5社」という。)は、かねてから、都営住宅 用キッチンの販売方策を検討してきたところ、遅くとも平成9年4月以降、都営住宅用キッチンについて、販売価格の低落防止等を図るため、各社の部長級及び課長級の者による会合を開催し、年度ごとに
(1)  都営住宅用キッチンの総販売数量に占める各社の販売すべき数量の割合(以下「販売比率」という。)を定め
(2)  販売比率により各社に配分する数量(以下「配分数量」という。)を算定し
(3)  配分数量に基づき、物件を各社に割り振り
当該物件の割り振りを受けた者を優先的に販売すべき者(以下「チャンピオン」という。)とする等の合意の下に、チャンピオンを決定し、チャンピオンが販売できるようにしていた。
(4) 法令の適用
ア 住宅・都市整備公団関係(平成11年(判)第2号)
 クリナップは、6社と共同して、首都圏における公団住宅川キッチンについて、チャンピオンを決定し、チャンピオンが販売できるようにすることにより、首都圏における公団住宅用キッチンの販売分野に おける競争を実質的に制限していたものであって、これは、独占禁止法第3条の規定に達反する。
イ 東京都関係(平成11年(判)第3号)
 クリナップは、5社と共同して、都営住宅用キッチンについて、チャンピオンを決定し、チャンピオンが販売できるようにすることにより、都営住宅用キッチンの販売分野における競争を実質的に制限し ていたものであって、これは、独占禁止法第3条の規定に違反する。
(5) 命じた主な措置
ア 住宅・都市整備公団関係(平成11年(判)第2号)
(ア)  クリナップは、前記(3)アの行為を取りやめていることを確認しなければならない。
(イ)  クリナップは次の事項を前記製品の取引先に周知徹底させなければならない。
 前記ア(ア)に基づいて採った措置
 今後,前記6社と共同して、前記製品について、優先的に販売すべき者を決定せず、自主的に販売活動を行う旨
(ウ)  クリナップは、今後、前記6社と相互に又は他の事業者と共同して、前記製品について、優先的に販売すべき者を決定してはならない。
イ 東京都関係(平成11年(判)第3号)
(ア)  クリナップは、前記(3)イの行為を取りやめていることを確認しなければならない。
(イ)  クリナップは次の事項を前記製品の取引先に周知徹底させなければならない。
 前記イ(ア)に基づいて採った措置
 今後、前記5社と共同して、前記製品について、優先的に販売すべき者を決定せず自主的に販売活動を行う旨
(ウ)  クリナップは、今後、前記5社と相互に又は他の事業者と共同して、前記製品について、優先的に販売すべき者を決定してはならない。

第4 課徴金納付命令審決

1 平成10年(判)第26号及び第27号水田電工株式会社に対する審決
(1) 被審人
(2) 事件の経過
 本件は、当委員会が水田電工株式会社(以下「水田電工」という。)に対し独占禁止法第48条の2第1項の規定に基づき課徴金納付命令を行ったところ、水田電工は、これを不服として審判手続の開始を請求し たので、水田電工に対し、独占禁止法第49条第2項の規定に基づき審判開始決定を行い、審判官をして審判手続を行わせたものである。
 担当審判官の作成した審決案に対し、水田電工が異議の申立てを行ったが、当委員会は、審決案を調査の上、審決案と同じ内容の審決を行った。
(3) 認定した事実と判断の概要
ア 課徴金に係る違反行為
(ア) 滋賀県等発注の特定電気工事(平成10年(判)26号)
 水田電工は、株式会社ケイテックら94名と共同して、滋賀県等が指名競争入札の方法により発注する電気工事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、滋賀県 等発注の特定電気工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
(イ) 大津市発注の特定電気工事(平成10年(判)第27号)
 水田電工は、協成電気設備株式会社ら29名と共同して、大津市が指名競争入札の方法により発注する特定の電気工事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにすることにより、 大津市発注の特定電気工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
イ 争点についての判断
(ア)  課徴金の対象物件について
 受注予定者決定に係る基本合意が独占禁止法に違反することが審決で確定している場合に、課徴金を算定するに当たりその対象となる物件に該当するか否かについてどの程度立証すべきか、特に個別 物件ごとの合意の立証が必要か否か、かつ本件において、具体的にどの物件を対象とすべきかが争点であるが、違反事実の存否に関して確定した審決の認定を見ると、基本合意の対象物件が、発注者、 入札方法及び対象工事について一定の範囲で明確に限定され、基本合意にある受注予定者決定の基準も明白に規定されており、また、実施状況も実効性があるものである。
 このような場合には、違反行為当事者を拘束する程度が強く、基本合意が個別物件について実施に移される蓋然性が高いので、水田電工の受注した個別物件について、それが基本合意の対象の範疇に 属することの立証があれば、基本合意の対象から除外されたことを示す特段の事情のない限り、当該個別物件は、基本合意の拘束を受け,受注予定者の決定が行われたものと推定するのが相当である。 (第26号事件及び第27号事件共通)
 (第26号事件について)上記推定に加え、証拠及びそこから合理的に導かれる解釈から、水田電工が実行期間中に受注した4物件のうち、文化館物件を除く3物件については、基本合意に基づ き受注予定者の決定がなされたと認定できる。文化館物件については、当委員会の立入検査後の入札物件であること等から、水田電工の特段の主張は理由があり、算定対象か ら除外すべきである。
 (第27号事件について)上記推定に加え、証拠及びそこから合理的に導かれる解釈が、その推定を補強する。これに対し、水田電工からは、個別の物件について受注予定者を決定していないと いう主張があるのみであり、他に特段の事情が認められず、6物件について受注予定者の決定がなされたと認定することができる。
(イ)  消費税相当額の取扱い
 消費税相当額の取扱いについては、課徴金の算定に当たり、消費税相当額を定められた対価の額に算入した当委員会の処理を、違法とはいえないとしたシール事件東京高裁判決及びこれを支持した最 高裁判決があり、水田電工の主張については、既に判断済みのものである。
 滋賀県等(又は大津市)の入札方法は、競争金額の対象に消費税を含めていないという点についても、その契約金額には消費税が含まれており、上記判決の判断理由を左右するものではない。
(ウ)  したがって、水田電工については、前記違反行為の実行としての事業活動を行った日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間は、第26号事件は平成2年12月21日から平成5年12 月20日までであり、第27号事件は平成2年11月6日から平成5年11月5日までである。
(エ)  水田電工の前記実行期間における売上額は、独占禁止法施行令第6条に基づき算定すると、第26号事件は文化館物件を除く3件の契約により定められた対価の額を合計した6510万8360円であり、水田 電工が国庫に納付すべき課徴金の額は、合計155万円であり、第27号事件は6件の契約により定められた対価の額を合計した3852万2000円であり、水田電工が国庫に納付すべき課徴金の額は、合計94 万円である。
(4) 法令の適用
 水田竃工は、平成3年の独占禁止法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)施行前に事業者として不当な取引制限の行為を開始し、同法施行後にその行為を終わったところ、当該行為は独占禁止法第 7条の2第1項所定の課徴金の対象となる役務の対価に係るものであるから、改正法附則第3項により、同法施行日前に係るものについては同法による改正前の独占禁止法第7条の2第1項及び第3項並びに独占禁 止法施行令第6条を適用し、改正法施行日以後に係るものについては同法による改正後の独占禁止法第7条の2第1項、第2項及び第4項並びに独占禁止法施行令第6条を適用して、水田電工が国庫に納付しなけれ ばならない課徴金の額は、前記(3)イ(エ)のとおりである。
(5) 命じた措置
 水田電工は、課徴金として,第26号事件においては金155万円を,第27号事件においては金94万円を,それぞれ平成12年6月22日までに国庫 に納付しなければならない。
2 平成10年(判)第4号東京海上火災保険株式会社及び平成10年(判)第5ないし第25号住友海上火災保険株式会社ほか20社に対する審決

(2) 事件の経過
 本件は、当委員会が、日本機械保険連盟(以下「連盟」という。)の構成事業者28名に対して、独占禁止法第48条の2第1項の規定に基づき課徴金納付命令を行ったところ、東京海上火災保険株式会社(以下「東 京海上」という。)及び住友海上火災保険株式会社ほか20社(以下「21社」という。)はこれを不服として審判手続の開始を請求したため、東京海上及び21社に対し同法第49条第2項の規定に基づき審判開始決定を 行い、審判官をして審判手続を行わせたものである。
 担当審判官の作成した審決案に対し、東京海上及び21社が異議の申立てを行ったので、当委員会は、審決案を調査の上、審決を行った(なお、本件については、東京海上について平成12年7月3日、21社のうち ジェイアイ傷害火災保険株式会社を除く20社について同月41日にそれぞれ審決取消しを求める訴えが提起され、平成12年度末現在、東京高等裁判所に係属中である(本章第5参照)。)。
(3) 認定した事実の概要
ア 課徴金に係る違反行為
 東京海上火災保険株式会社ほか21社は、連盟の会員となっていたところ、連盟は,機械保険及び紺立保険の保険料率に関し、会員が申請すべき認可申請の内容を決定し、会員に一定料率で機械保険等の引受 けを行わせることにより、我が国における機械保険及び組立保険の元受けに係る各取引分野における競争を実質的に制限していた。
イ 争点に関する判断
 本件は,課徴金計算の基礎となる売上額の算定に当たり東京海上及び21社が収受する機械保険等の保険料のうち、純保険料部分(保険金として支払われる予定の部分)及び損害保険代理店手数料を、売上額 の算定対象に含めるべきかどうかが大きな争点であり、また、安田火災海上保険株式会社(以下「安田火災」という。)は、課徴金の算定率について、卸・小売業に対する算定率を適用ないし準用すべきとの 予備的主張を行っている。
(ア) 売上額の算定対象
 本件においては、連盟の違反行為の内容からみて、課徴金に係る連反行為が機械保険等の引受け役務を対象とするものであり、当該役務の対価とは機械保険等の保険契約者が損害保険会社に支払う保 険料(営業保険料)であるから、課徴金の計算の基礎としての売上額の算定に当たっては、実行期間において提供した当該役務の対価、すなわち営業保険料を合計する方法によることとなる。
(イ) 純保険料部分
 損害保険会社の経済的機能が(1)危険集団の形成、(2)保険金支払基金の形成、(3)基金の維持管理、(4)保険金の支払といつた、一連の業務を行うことであるとの東京海上及び21社の主張も経済的・マ クロ的には正当な一面を有しているが、だからといって損害保険会社の機能を保険事故が発生したときに保険金を支払うという危険の引受けとするとらえ方が排斥されるものではなく、個々の役 務提供ごとにその対価を合計するという会計的手法による売上額の算定に当たっては、むしろ後者のとらえ方が適切である。
 純保険料部分の性格に関して、保険料は、保険金支払の原資となり、将来、保険契約者に還元される予定の部分(純保険料)と、損害保険会社の役務に対する報酬部分(付加保険料)から構 成されており、付加保険料部分のみが損害保険業における役務の対価であるとの東京海上及び21社主張のようなとらえ方は、所詮、経済的には可能であるというにとどまり、課徴金制度の趣旨 にのっとり、本件における「当該役務」の内容を前提に、実行期間において提供した役務の会計的手法による売上額の算定に関する規定の解釈として導き出される前記(ア)の結論を左右するもので はない。
(ウ) 代理店手数料
 代理店手数料は、委託業務の遂行の成果に対する報酬として、損害保険会社から損害保険契約の締結の代理をなす損害保険代理店に支払われるものであり、また、代理店扱いで引き受けた損害保険契 約について、収受した営業保険料の一定割合で設定され、支払われるものであって、損害保険会計上も費用として処理されており、保険引受けの「対価」を構成する要素である。
(エ) 卸・小売業の適用ないし準用(安田火災のみの予備的主張)
 安田火災は、保険業には流通的側面があるなどから卸・小売業に対する算定率を適用ないし準川すべきであると主張するが、卸・小売業の算定率のみ別建てで設定されている趣旨、業種判断に際して は日本標準産業分類が参酌されること等から、損害保険業に卸・小売業の算定率を適用ないし準用することはできない。
(4) 法令の適用
 東京海上及び21社は、いずれも、連盟の会員となっていたところ、連盟の行為は、独占禁止法第8条の3において準用する同法第7条の2第1項に規定する課徴金の対象となる役務の対価に係るものであるから、 独占禁止法第8条の3において準用する同法第7条の2第1項(大同火災及びジェイアイ保険にあっては、更に中小企業基本法等の一部を改正する法律附則第3条第1項の規定によりなお従前の例によることとされ る改正前の独占禁止法第7条の2第2項)及び第4項、改正法附則第3項並びに独占禁止法施行令第5条を適用して、21社が国庫に納付しなければならない課徴金の額は別紙のとおりである。
(5) 命じた措置
 東京海上及び21社は、課徴金として、別紙記載の金額を、それぞれ平成12年8月3日までに国庫に納付しなければならない。

第5 訴訟

1 審決取消請求訴訟
 平成12年度当初において係属中の審決取消請求事件は2件であつたが、このうち、社団法人観音寺市三豊郡医師会による審決取消請求事件については、平成13年2月16日、菓京高等裁判所で棄却の判決が下された後、上 告がなされ、平成12年度末現在東京高等裁判所において、最高裁判所に対する記録送付手続中である。
 平成12年度中に新たに、東京海上火災保険株式会社及び住友海上火災保険株式会社ほか19社による審決取消請求事件が提起され、このため、平成12年度末現在係属中の審決取消請求事件は4件である。
(1) 協業組合カンセイによる審決取消請求事件
ア 事件の表示
最高裁判所平成年(行ツ)第115号、平成11年(行ヒ)第70号
審決取消請求事件
上告人(原告) 協業組合カンセイ
被上告人(被告) 公正取引委員会
審決年月日  平成10年3月11日
提訴年月日  平成10年4月8日
判決年月日  (東京高等裁判所)
平成11年1月29日(請求棄却)
上告及び上告受理申立 平成11年2月13日
イ 審決の概要
 本審決は、協業組合カンセイに対し、独占禁止法第7条の2第1項の規定を適用して、課徴金の納付を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は、協業組合である上告人に対する課徴金の算出に際して、売上額に乗ずるべぎ一定率として独占禁止法第7条の2第1項(売上額の6%)を用いたところ、上告人が独占禁止法第7条の2第1項と第 2項の適用区分は、課徴金対象事業者の企業規模に基づくものであり、対象事業者の存立形態(法形式)が「会社及び個人」かそれ以外かの区別によってされるべきでないから、企業規模において中小企業 者に該当する上告人には第2項(売上額の3%)を適用すべきであるとして、上告人が平成10年3月11日付けでした審決のうち、金967万円を超えて納付を命じた部分の取消しを求めた事案である、
エ 訴訟手続の経過
 本件は、原告の上告により、平成12年度末現在、最高裁判所に係属中である。
(2) 社団法人観音寺市三豊郡医師会による審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成13年(行サ)第29号及び平成13年(行ノ)第28号
審決取消請求事件
上告人及び申立人(原告) 社団法入観音寺市三豊郡医師会
被上告人及び相手方(被告) 公正取引委員会
審決年月日  平成11年10月26日
提訴年月日  平成11年1月24日
判決年月日  (東京高等裁判所)
平成13年2月16日(請求棄却)
上告及び上告受理申立年月日 平成13年3月5日
イ 審決の概要
 本審決は、社団法人観音寺市三豊郡医師会(以下「観音寺三豊医師会」という。)に対し、独占禁止法第54条第1項の規定に基づいて、医療機関の開設の制限に関する決定等の破棄等の措置を命じたもので あり、本審決が認定した事実の概要は次のとおりである。
 香川県観音寺市及び三豊郡の区域を地区とする医師会である上告人が、将来の患者の取り合いを防止する目的で、(1)昭和54年8月14日の医療機関の開設及び病床の増床の制限に関する一観音寺市三豊郡医師 会医療機関新設等相談委員会規程」及び「観音寺市三豊郡医師会医療機関新設等相談委員会施行細則」の決定、(2)昭和60年6月11日の診療科目の追加の制限に関する相談委員会規程及び相談委員会細則の改 定、(3)平成3年11月12日の医療機関の増改築の制限に関する決定、(4)平成5年1月12日の老人保健施設の開設の制限に関する決定を行って きた。
ウ 事案の概要
 本件は、上告人が、本件審決には主要事実を立証する実質的な証拠がないこと、事実認定を誤っていること等を理由として、審決の取消しを求めているものである。
エ 一審(東京高等裁判所)判決の概要
本件審決の認定は、実質的証拠を具備し、合理的であるというべきであり、本件審決に上告人主張の違法はなく、審決における事実認定及び法令の適用に違法は認められない。
(ア) 上告人の主要な主張に対する裁判所の判断
 上告人は、本件審決は、いかなる行為を独占禁止法違反と認定しているのかが不明瞭であると主張するが、上告人の各競争制限的行為が独占禁止法第8条第1項第3号及び第4号に当たるとの 認定判断は、本件審決が引用する審決案により明らかであり、上告入の主張は採用できない。
 上告人は、審決の認定については実質的証拠を伴わず、かつ、経験則違反があるとともに、競争制限的目的・効果の認定については、医学的事実、客観的事実を無視していると主張するが、本 件審決の認定は、経験則に反するものではなく、十分に合理性を有し、実質的証拠を備えているものということができ、その欠けつをいう上告人の主張は採用することができない。
 上告人は、国民皆保険制度の下で価格競争が働かず、地域医療計画等市場原理によらない是正策が講じられている医療の分野において、上告人の行為は地域医療改善のため合理性があり、外形 的に競争制限的な行為があっても、これを独占禁止法違反とすることは同法の趣旨・目的に反すると主張する。一般論として、医療の分野が上告人の主張するような特殊性を有することは否定で きないが、(1)医療の分野においても、提供する医療の内容質において競争原理の働く局面は多く、公正かつ自出な競争によって、需要者の利益を確保し、医療サービスの健全な発展を促進す る必要があるのであり、医療の提供が独占禁止法の適用対象となることは明らかであり、また、(2)医療法の改正により、都道府県は当該都道府県における医療計画を定めることとなり、この医療 計画制度は、無秩序な病院病床の増加の制御により医療資源の地域的偏在の是正を図り、医療関係施設問の機能連携の確保を図ることを目的とするもので、その限りで自由競争を制限している が、医療の提供に対する制限が許されるのは、あくまでも医療法の目的である「医療を提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与すること」との目的に添い、その手段も医療法 の認める範囲内のものに限られ、都道府県知事に協力する立場の地元医師会がこの範囲を超えることはもとより許されず、医療法の公的規制の枠内で、自由競争の原則を通じて医療役務の提供の 質的向上等を図ることが求められている。
 上告人の各制限行為については、会員の既得利益の保護ということを主な目的として審議システムを運用してきており、また、その行為は,単なる情報提供・助言・指導の域を超えて事実上の 強制になっていることからも、原告の審議システムは、目的態様において医療法に定める医療計画制度の趣旨を逸脱しており、その合理性や正当性についての上告人の主張は採用できない。
力 訴訟手続の経過
 本件は、上告人の上告により平成12年度末現在東京高等裁判所において、最高裁判所に対する記録送付手続中である。
(参考) 社団法人観音寺市三豊郡医師会による審決執行免除申立事件
ア 事件の表示
(ア) 東京高裁平成12年(行ハ)第2号
審決執行免除申立事件の許可抗告申立事件
申立人 社団法人観音寺市三豊郡医師会
相手方 公正取引委員会
 申立年月日 平成12年2月7日
 決定年月日 平成12年3月1日
(イ) 最高裁平成12年(行ト)第18号
審決執行免除申立事件の特別抗告事件
特別抗告人 社団法入観音寺市三豊郡医師会
相手方 公正取引委員会
 抗告年月日 平成12年2月7日
 決定年月日 平成12年6月5日
イ 事案の概要
 略
ウ 決定の主文
(ア)抗告を許可しない。
(イ)本件抗告を棄却する。
エ 決定の概要
(ア)  本件抗告許可の申立ての理由には、(右)決定について、民事訴訟法337条2項所定の事項を含むものとは認められない。
(イ)  民事事件について特別抗告をすることが許されるのは、民事訴訟法第336条第1項所定の場合に限られるところ、本件抗告理由は、違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するもの であって、同項に規定する事由に該当しない。
(3) 東京海上火災保険株式会社及び住友海上火災保険株式会社ほか19社による審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成12年(行ケ)第228号,平成12年(行ケ)第233号
審決取消請求事件
原 告 東京海上火災保険株式会社及び住友海上火災保険株式会社ほか19社
被 告 公正取引委員会
 審決年月日 平成12年6月2日
 提訴年月日 平成12年7月3日、同月4日
イ 審決の概要
 本審決は、東京海上火災保険株式会社(以下「東京海上」という。)及び住友海上火災保険株式会社ほか19社(以下「20社」という。)に対し、独占禁止法第54条の2第1項の規定に基づいて、課徴 金の納付を命じたものであり、本審決が認定した事実の概要は次のとおりである。
 東京海上及び20社は、日本機械保険連盟(以下「連盟」という。)の会員となっていたところ、連盟は、機械保険及び組立保険の保険料率に関し、会員が申請すべき認可申請の内容を決定し、会員に一定料 率で機械保険等の引受けを行わせることにより、我が国における機械保険及び組立保険の元受けに係る各取引分野における競争を実質的に制限していた。
ウ 事案の概要
 本件は、東京海、上及び20社が、本件審決には損害保険の経済的実魅の認識を誤り、課徴金制度の仕組みと売上額の算定、損害保険制度と損害保険会社の機能及び代理店手数料等について、独占禁止法第8条 の3、同法第7条の2第1項、独占禁止法施行令第5条、同第6条の解釈、運用を誤つたものであり、かつ、原告に対して賦課すべき課徴金の算定を誤ったものである等を理由として、審決の取消しを求めて いるものである。
エ 訴訟手続の経過
  本件については、現在東京高等裁判所に係属中である。
2 その他の訴訟
 平成12年度中に、日本鋼管株式会社、三菱重工業株式会社、日立造船株式会社ほか2名による審判事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件3件が提起された。また、それぞれ執行停止3件の申立てもされたが、日立造船 株式会社ほか2名に係る申立ては東京地方裁判所で認容の決定がされ、確定したため、平成12年度末現在、係属中の事件は5件である。
(1) 日本鋼管鰍ノよる審判事件記録謄写許可処分取消請求事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成12年(行ウ)第353号
事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件
原告 日本鋼管株式会社
被告 公正取引委員会
 訴提起日 平成12年12月22日
イ 事案の概要
 本件は、公正取引委員会平成11年(判)第4号事件の被審人である原告が、当委員会が独占禁止法第69条に基づき、原告を含む被審人らを被告として住民訴訟を追行中の原告住民に対して、審判記録の閲覧 謄写に応じる決定をし、各中請入に通知した各処分の取消しを求めるものである。
ウ 訴訟手続の経過
 平成12年度末現在、東京地方裁判所に係属中である。
(2) 三菱重工業株式会社による審判事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成12年(行ウ)第354号
公正取引委員会審判事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件
原告 三菱重工業株式会社
被告 公正取引委員会
 訴提起日 平成12年12月22日
イ 事案の概要
 本件は、公正取引委員会平成11年(判)第4号事件の被審人である原告が、当委員会が独占禁止法第69条に基づき、原告を含む被審人らを被告として住民訴訟を追行中の原告住民に対して、審判記録の閲覧 謄写に応じる決定をし、各申請人に通知した各処分の取消しを求めるものである。
ウ 訴訟手続の経過
 平成12年度末現在、東京地方裁判所に係属中である。
(3) 日立造船株式会社ほか2名による審判事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成13年(行ウ)第8号
公正取引委員会審判記録閲覧謄写許可執行取消請求事件
原告 日立造船株式会社ほか2名被告 公正取引委員会
 訴提起日 平成13年1月19日
イ 事案の概要
 本件は、公正取引委員会平成11年(判)第4号事件の被審人である原告らが、当委員会が独占禁止法第69条に基づき、原告らを含む被審人らを被告として住民訴訟を追行中の原告住民に対して、審判記録の 閲覧謄写を認める決定をし、各申請人に告知した各処分の取消しを求めるものである。
ウ 訴訟手続の経過
 平成12年度末現在、東京地方裁判所に係属中である。
(4) 日本鋼管株式会社による執行停止申立事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成13年(行ク)第9号
執行停止申立事件
申立人 日本鋼管株式会社
相手方 公正取引委員会
 申立日 平成13年1月22日
イ 事案の概要
 本件申立ては、前記(1)に係る執行停止申立事件である。
ウ 手続の経過
 平成12年度末現在、東京地方裁判所に係属中である。
(5) 三菱重工業株式会社による執行停止申立事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成13年(行ク)第34号
執行停止申立事件
申立人 三菱重工業株式会社
相手方 公正取引委員会
 申立日 平成13年3月14日
イ 事案の概要
 本件申立ては、前記(2)に係る執行停止申立事件である。
ウ 手続の経過
 平成12度末現在、東京地方裁判所に係属中である。
(6) 日立造船株式会社ほか2名による執行停止申立事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成13年(行ク)第8号
執行停止申立事件
申立人 日立造船株式会社ほか2名
相手方 公正取引委員会
 申立日 平成13年1月19日
 決定日 平成13年3月19日
イ 事案の概要
 本件申立ては、前記(3)に係る執行停止申立事件である。
ウ 決定の要旨
 本件申立ては、本案事件の第一審判決の言渡しがあるまでの間、(各申請人に事件記録の閲覧謄写を認める旨の)本件各決定の執行の停止を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余の部分 (本案判決の確定まで執行停止を求めた部分)については、理由がないからこれを却下する。
エ 手続の経過
 本件については、即時抗告をしなかったので、確定した。
2 独占禁止法第25条(無過失損害賠償責任)に基づく損害賠償請求事件
 平成12年度において独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求事件として新たに提起された事件はなく、同法第25条の規定に基づく係属中の損害賠 償請求事件は4件である。
(1) 東京都発注水道メーター入札談合事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成10年(ワ)第1号
損害賠償請求事件
原 告 東京都
被 告 愛知時計電機株式会社ほか24名
 提訴年月日 平成10年4月14日
イ 事案の概要
 当委員会は、平成9年4月18日、株式会社金門製作所ほか24名に対して、東京都発注の特定水道メーターについて、あらかじめ受注予定者を決定し、受注予定者以外の入札参加者は、同受注予定者が受注で きるように、協力して人札していた行為が独占禁止法第3条の規定に違反するとして、当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後、発注者である東京都は、被審人である愛知時計電機株式会社ほ か24名に対して、独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、東京高等裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を7回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成11年2月24日、独占禁止法第84条第1項に基づき、同法違反行為によつて生じた損害額についての求意見がなされ、当委員会は、同年4月27日、意見書を提出した。
(2) 米軍横田基地入札談合事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成11年(ワ)第1号
損害賠償請求事
原 告 アメリカ合衆国
被 告 株式会社協和エクシオ
 提訴年月日 平成11年9月29日
イ 事案の概要
 当委員会は、平成3年5月8日、株式会社協和エクシオ(以下「協和エクシオ」という。)ほか11名が、米国空軍契約センター発注の電気通信設備の運用・保守の入札について、あらかじめ受注予定者を決 定し、受注予定者以外の入札参加者は、同受注予定者が受注できるよう協力して入札する旨の合意をし、当該契約センターが発注した27物件につき、受注予定者を決定したとして、協和エクシオほか2名に対 し、課徴金納付命令を行った。このうち、協和エクシオ1社のみがこれを不服として審判手続の開始を請求した。
 当委員会は、平成3年7月9日、審判開始決定を行い、審判手続を経て、平成6年3月30日、課徴金の納付を命ずる審決を行ったところ、同社は同年4月14日、審決取消訴訟を提起したが、平成8年3月 29日、請求棄却され、本審決は確定した。その後、アメリカ合衆国は、独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、東京高等裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を5回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成11年10月6日、独占禁止法第84条第1項に基づき、同法違反行為によって生じた損害額についての求意見がなされ、当委員会は、平成12年1月26日、意見書を提出した。
(3) 大阪市発注低食塩次亜塩素酸ソーダ人札談合事件
ア 事件の表示
(ア) 東京高等裁判所平成11年(ワ)第2号
損害賠償請求事件
原 告大阪市
被 告 ダイソー株式会社ほか9名
 提訴年月日 平成11年10月23日
(イ) 東京高等裁判所平成11年(ワ)第3号
損害賠償請求事件
原 告 大阪市
被 告 ダイソー株式会社ほか6名
 提訴年月日 平成11年10月23日
イ 事案の概要
(ア) 平成11年(ワ)第2号事件
 当委員会は、平成11年1月25日、ダイソー株式会社(以下「ダイソー」という。)ほか9名に対し、大阪市が指名競争入札等の方法により発注する10下水処理場向け低食塩次亜塩素酸ソーダの入札に ついて、あらかじめ供給予定者を決定し、供給予定者以外の入札参加者は供給予定者が供給できるように協力して入札していた行為が独占禁止法第3条の規定に違反するとして、当該行為の排除等を命 ずる審決を行った。当該審決確定後、発注者である大阪市は、被審人であるダイソーほか9名に対して、独占禁止法第25条に基づき損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
(イ) 平成11年(ワ)第3号事件
 当委員会は、平成11年1月25日、ダイソーほか6名に対し、大阪市水道局が指名競争入札の方法により発注する豊野浄水場向け低食塩次亜塩素酸ソーダの入札について、あらかじめ供給予定者を決定 し、供給予定者以外の入札参加者は供給予定者が供給できるように協力して入札していた行為が独占禁止法第3条の規定に違反するとして、当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後、 発注者である大阪市は、被審人であるダイソー株式会社ほか6名に対して、独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、上記2事件が併合審理されており、東京高等裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を4回行い、両事件とも平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成11年11月4日、2事件について、それぞれ、独占禁止法第84条第1項に基づき、同法違反行為によって生じた損害額についての求意見がなされ、当委員会は、平成12第1月31日、 意見書を提出した。
3 その他の独占禁止法関係の損害賠償請求事件等
(1) 低食塩次亜塩素酸ソーダ入札談合事件に係る民法第709条訴訟
ア 大阪府発注低食塩次亜塩素酸ソーダ入札談合事件
(ア) 事件の表示
大阪地方裁判所平成11年(ワ)第4154号
損害賠償請求事件
原 告大阪府
被 告 ダイソー株式会社ほか9名
 提訴年月日 平成11年4月22日
(イ) 事案の概要
 当委員会は、平成11年1月25日、ダイソー株式会社ほか9名に対し、大阪府が指名競争人札の方法により発住する三島浄水場向け低食塩次亜塩素酸ソーダの入札について、あらかじめ供給予定者を決 定し、供給予定者以外の入札参加者は供給予定者が供給できるように協力して入札していた行為が独占禁止法第3条の規定に違反するとして、当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定 後、発注者である大阪府は、被審人であるダイソー株式会社ほか9名に対して、民法第709条に基づく損害賠償請求訴訟を大阪地方裁判所に提起した。
(ウ) 訴訟手続の経過
本件について、大阪地方裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を5回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成11年8月25日、文書送付嘱託があり、当委員会は、平成12年2月10日、資料を提供した。
イ 京都市発注低食塩次亜塩素酸ソーダ入札談合事件
(ア) 事件の表示
京都地方裁判所平成11年(ワ)第2882号
損害賠償請求事件
原 告京都市
被 告ダイソー株式会社ほか8名
 提訴年月日 平成11年11月9日
(イ) 事案の概要
 当委員会は、平成11年1月25日、ダイソー株式会社ほか8名に対し、京都市上下水道事業管理者が見積り合わせ等の方法により発注する4浄水場及び4下氷処理場向け低食塩次亜塩素酸ソーダの入札 について、あらかじめ供給予定者を決定し、供給予定者以外の入札参加者は供給予定者が供給できるように協力して入札していた行為が独占禁止法第3条の規定に違反するとして、当該行為の排除等を 命ずる審決を行った。当該審決確定後、発注者である京都市は、被審人であるダイソー株式会社ほか8名に対して、民法第719条に基づく損害賠償請求訴訟を京都地方裁判所に提起した。
(ウ) 訴訟手続の経過
 本件について、京都地方裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を4回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
(2) 旧埼玉土曜会談合事件に係る住民訴訟
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成12年(行コ)第245号
損害賠償請求控訴事件
被控訴入(原告) 岩木英二ほか60名
控訴人(被告) 鹿島建設株式会社ほか24名
 提訴年月日 平成4年8月14日
 判決年月日 平成12年3月13日(訴え却下、浦和地方裁判所)
 控訴年月日 平成12年3月25日
イ 事案の概要
 当委員会は、埼玉県発注に係る土木一式工事の入札談合について、平成4年6月3日、鹿島建設株式会社ほか65名に対し当該行為の排除を命じる審決を行った。当該審決確定後、埼玉県の住民は、当該建設 業者等に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、埼玉県に代位して損害賠償を求める住民訴訟を浦和地方裁判所に提起した。浦和地方裁判所が平成12年3月13日、訴え却下の判決を下した後、当該 建設業者等は、東京高等裁判所に控訴した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、東京高等裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を2回行い、平成12年度末現在、東京高等裁判所に係属中である。
 なお、浦和地方裁判所から、平成5年5月31日、文書送付嘱託があり、当委員会は、同年8月27日、資料を提供した。その後、同裁判所から、平成6年3月24日、再度文書送付嘱託及び調査嘱託があり、同 年8月12日、回答を行った。
(3) 日本下水道事業団発注の電気設備工事に係る住民訴訟
ア 事件の表示
(ア) 津地方裁判所平成7年(行ウ)第13号
損害賠償請求事件
原 告 松川栄太郎ほか2名
被 告 日本下水道事業団及び富士電機株式会社
 提訴年月日 平成7年12月21日
(イ) 東京高等裁判所平成12年(行コ)第19号
損害賠償請求控訴事件
控訴人(原告) 益子良一ほか51名
被控訴人(被告) 株式会社日立製作所ほか9名
 提訴年月日 平成8年2月19日
 判決年月日 平成11年11月17日(訴え却下、横浜地方裁判所)
 控訴年月日 平成11年11月30日(東京高等裁判所)
(ウ) 名古屋地方裁判所平成8年(行ウ)第9号
損害賠償請求事件
原 告 佐々木伸尚ほか1名
被 告 三菱電機株式会社ほか3名
 提訴年月日 平成8年2月21日
(エ) 東京高等裁判所平成11年(行コ)第49号
損害賠償請求控訴事件
控訴人(原告) 古宮杜司男ほか12名
被控訴人(被告) 株式会社日立製作所ほか9名
 提訴年月日 平成8年2月22日
 判決年月日 平成11年1月28日(訴え却下、東京地方裁判所)
 判決年月日 平成11年12月20日(原判決取消差戻、東京高等裁判所)
(オ) 鳥取地方裁判所平成8年(行ウ)第1号
損害賠償請求事件
原 告 高橋敬幸
被 告 日本下水道事業団及び株式会社東芝
 提訴年月日 平成8年2月24日
 判決年月日 平成12年3月28日(請求一部認容)
 控訴年月日 平成12年4月6日(広島高等裁判所松江支部)
(カ) 浦和地方裁判所平成8年(行ウ)第7号
損害賠償請求事件
原 告 竹下悟ほか4名
被 告 株式会社日立製作所ほか9名
 提訴年月日 平成8年4月9日
イ 事案の概要
 当委員会は、日本下水道事業団(以下「下水道事業団」という。)発注の電気設備工事の入札談合について、平成7年7月12日、株式会社日立製作所ほか8名に対し課徴金納付命令を行った。前記原 告住民らは、前記被告らに対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、各地方自治体に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前記各裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過ス
 前記各事件について、広島高等裁判所へ控訴された前記ア(オ)事件を含め、平成12年度末現在、各裁判所に係属中である。
 なお、前記各事件について、平成8年度又は9年度中に、それぞれの受訴裁判所から当委員会に文書送付嘱託があり、当委員会は当該各裁判所に資料を提供した。また、平成10年度に調査嘱託があった裁判 所には回答を行った。
(4) デジタル計装制御システム工事の入札に係る住民訴訟
ア 事件の表示
(ア) 大阪高等裁判所平成11年(行コ)第94号ないし第98号
損害賠償請求控訴事件
被控訴人(原告) 川田賢司ほか3名
控訴人(被告) 横河電機株式会社ほか4名
 提訴年月日 平成8年2月21日
 判決年月日 平成11年10月20日(請求一部認容、奈良地方裁判所)
 控訴年月日 平成11年11月28日〜同年11月2日(大阪高等裁判所)
(イ) 最高裁判所平成12年(行ツ)第91号、同(行ヒ)第91号
損害賠償請求上告事件
上告人(控訴人・原告) 北村三郎ほか2名
被上告人(被控訴人・被告) 富士電機株式会社ほか3名
 提訴年月日 平成8年2月21日
 判決年月日 平成11年4月7日(訴え一部却下、名古屋地方裁判所)
 判決年月日 平成11年12月16日(控訴棄却、名古屋高等裁判所)
 上告年月日 平成11年12月28日(最高裁判所)
(ウ) 東京地方裁判所平成8年(行ウ)第37号
損害賠償請求事件
原 告 木村トモほか6名
被 告 横河電機株式会社ほか5名
 提訴年月日 平成8年2月22日
(エ) 最高裁判所平成11年(行ヒ)第225号
損害賠償請求上告事件
上告人(控訴人・原告) 大橋剛ほか3名
被上告人(被控訴人・被告) 横河電機株式会社
 提訴年月日 平成8年3月13日
 判決年月日 平成10年8月20日(訴え却下、津地方裁判所)
 判決年月日 平成11年9月16日(控訴棄却、名古屋高等裁判所)
 上告年月日 平成11年9月28日(最高裁判所)
(オ) 名古屋高等裁判所平成10年(行コ)第28号
損害賠償請求控訴事件
控訴人(原告) 岡田賢一ほか6名
被控訴人(被告) 富士電機株式会社
 提訴年月日 平成8年5月20日
 判決年月日 平成10年8月20日(訴え却下、津地方裁判所)
 判決年月日 平成11年5月20日(控訴棄却、名古屋高等裁判所、確定)
イ 事案の概要
 当委員会は、デジタル計装制御システム工事の入札談合について、平成7年8月8日、横河電機株式会社ほか3名に対し課徴金納付命令を行った。前記原告住民らは、前記被告らに対して、地方自治法第 242条の2の規定に基づき、各地方自治体に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前記各裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 前記各事件について、控訴審判決(控訴棄却により原告敗訴)が確定した前記ア(オ)事件を除き、最高裁判所へ上告された同(エ)事件を含め、平成12年度末現在、各裁判所に係属中である。
 なお、前記各事件について、平成8年度又は9年度中に、それぞれの受訴裁判所から当委員会に文書送付嘱託があり、当委員会は当該各裁判所に資料を提供し、また、平成9年度に調査嘱託があった裁判所 には回答を行った。
(5) 東京都水道局発注の水道メーター入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成9年(行ウ)第142号
損害賠償請求事件
原 告 小竹紘子ほか23名
被 告 東京都水道局長ほか27名
 提訴年月日平成9年6月9日
イ 事案の概要
 当委員会は、東京都発注に係る水道メーターの入札談合について、平成9年3月19日、株式会社金門製作所ほか24名に対し当該行為の排除を命じる審決を行った。当該審決が確定した後、東京都の住民は、 株式会社金門製作所ほか24名に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、東京都に代位して損害賠償を求める住民訴訟を東京地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については、平成12年度末現在、東京地方裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成10年5月19日、損害額等についての調査嘱託があり、当委員会は、同年10月5日、回答を行った。
(6) 群馬県及び同県沼田市発注の土木一式工事等入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
前橋地方裁判所平成10年(行ウ)第4号損害賠償請求事件原 告 杉山弘一被告 群馬県知事ほか6名提訴年月日 平成10年4月20日
イ 事案の概要
 当委員会は、群馬県沼田市及び群馬県沼田土木事務所発注に係る土木・建築・舗装工事の入札談合について、平成10年1月23日に、同県沼田市所在の土木工事業者等に対し当該行為の排除を命じる審決を 行った。当該審決が確定した後、群馬県沼田市の住民は、当該土木工事業者等に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、群馬県及び同沼田市に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前橋地方裁判所 に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、前橋地方裁判所は、平成12年度中に口頭弁論は行わず、弁論準備を5回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成10年7月17日、文書送付嘱託があり、当委員会は、同年12月22日、資料を提供した。
(7) 愛知県発注の土木工事及び名古屋市発注の舗装工事等の入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
(ア) 名古屋地方裁判所平成10年(行ウ)第45号
損害賠償請求事件
原 告 株式会社マークシステムほか6名
被 告 愛知県知事ほか14名
 提訴年月日 平成10年8月26日
(イ) 名古屋地方裁判所平成10年(行ウ)第46号
損害賠償請求事件
原 告 株式会社マークシステムほか3名
被 告 名古屋市長ほか16名
 提訴年月日 平成10年8月26日
(ウ) 名古屋地方裁判所平成10年(行ウ)第53号
損害賠償請求事件
原 告 株式会社マークシステムほか4名
被 告 名古屋市長ほか10名
 提訴年月日 平成10年10月20日
イ 事案の概要
 当委員会は、愛知県発注の土木工事及び名古屋市発注の舗装工事・道路復旧工事に係る入札談合について、平成10年4月23日、愛知県所在の土木工事業者等に対し当該行為の排除を命じる審決を行った。当 該審決が確定した後、愛知県及び名古屋市の住民は、当該土木工事業者等に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、愛知県又は名古屋市に代位して損害賠償を求める住民訴訟を名古屋地方裁判所に 提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、名古屋地方裁判所は、平成12年度中に前記アの3事件の口頭弁論をそれぞれ8回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である(前記ア(イ)事件及び同(ウ)事件は併合審理されている。)。
 なお、前記アの3事件に関して、同裁判所から、平成11年6月16日、文書送付嘱託があり、当委員会は、同年7月13日及び9月17日、資料を提供した。
(8) 京都市発注の低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
京都地方裁判所平成11年(行ウ)第20号
違法公金支出金返還請求事件
原 告 高橋瞬作ほか1名
被 告 ダイソーほか14名
 提訴年月日 平成11年7月28日
イ 事案の概要
 当委員会は、京都市上下水道事業管理者発注に係る低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合について、平成10年1月23日、同供給業者9社に対し当該行為の排除を命じる審決を行った。当該審決が確定した後、 京都市の住民は、当該供給業者等に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、京都市に代位して違法に支出された公金の返還を求める住民訴訟を京都地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、京都地方裁判所は、平成12年度中に口頭弁論を4回行い、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
 なお、同裁判所から、平成11年10月13日、文書送付嘱託があり、当委員会は、平成12年2月10日、資料を提供した。
(9) 社会保険庁発注に係る支払通知書等貼付用シールの供給業者に対する不当利得請求訴訟等
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成12年(ネ)第2915号
不当利得返還請求控訴事件
原 告 国
被 告 大日本印刷株式会社
 提訴年月日 平成5年12月17日
 判決年月日 平成12年3月31日(本訴請求一部認容、反訴請求棄却、東京地方裁判所)
 控訴年月日 平成12年4月13日(東京高等裁判所)
 判決年月日 平成13年2月8日(控訴棄却)
イ 事案の概要
 本件は、本件シールの入札談合について、国が、民法第704条に基づき、本件人札談合による落札価格と客観的価格(時価)との差額は被告らの不当利得であるとして、その返還を求める訴訟を東京地方裁 判所に提起し、また、被告らが図に対し、未払残代金の支払いを請求したものである。一審判決は、本訴原告(国)の請求を一部認容し、反訴原告の請求を棄却する判決を言い渡したところ、本訴被告のう ち、大口本印刷株式会社が、平成12年4月13日、控訴した。
 なお、当委員会は、本件入札談合について、トッパン・フォームズ株式会社(旧商号トッパン・ムーア株式会社)、大口本印刷株式会社及び小林記録紙株式会社の3社に対し課徴金納付命令を行ったが、3 社はこれを不服としたので、審判手続を経て審決を行った。これに対し、3社は、審決の取消しの訴えを東京高等裁判所に提起したが請求棄却された。その後、上告されていたが、平成10年10月13日、最高裁 判所において上告棄却の判決が下された。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については、平成13年2月19日、最高裁判所に上告され、平成12年度末現在、同裁判所に係属中である。
エ 一審(東京地方裁判所)判決の概要
 東京地方裁判所は、平成12年3月31日、本訴原告(国)の請求を一部認容し(約15億2000万円の請求に対し、約14億6000万円認容)、反 訴原告の請求を棄却する判決を言い渡した。
オ ニ審(東京高等裁判所)判決の概要
 東京高等裁判所は、平成13年2月8日、本件控訴を棄却する(控訴人・大日本印刷株式会社は、被控訴入・国に対し、2億8890万5408円を支払え。また、控訴人の反訴請求を棄却する。)判決を言い渡した。
 本件判決は、不当利得返還制度と課徴金制度の関係について、課徴金制度は、社会的に見れば一種の制裁という機能を持つことは否定できないとしても、本来的には、カルテル行為による不当な経済的利得 の剥奪を目的とする制度であり、このような経済的効果からすれば、課徴金制度は、民法上の不当利得制度と類似する機能を有する面があることも否めないとする一方、課徴金制度の趣旨目的からみるなら ば、現に損失を受けている者がある場合に、その不当利得返還請求が課徴金の制度のために妨げられる結果になってはならないとした。すなわち、本件判決は、利得者はまず損失者にその利得を返還すべきで あり、現実に損失者が損失を回復していないにもかかわらず、利得者が課徴金を支払ったことだけで、損失者の不当利得返還請求権に影響を及ぼすべきではなく、また、同じ「国」であっても、課徴金の納付 先である「国庫」と、本件の不当利得返還請求権の主体であるいわば公法人として民間の企業と同様の立場に立つ「国」とは区別しなければならず、課徴金が納付されたことは、本件の損失を回復することに はなっていなかったと判示して、課徴金の納付により、返還されるべき不当利得は存在しなくなったとの被告の出張を退けた。
(10) 米軍厚木基地における入札談合事件損害賠償請求訴訟
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成6年(ワ)第18372号
損害賠償請求事件
原 告 アメリカ合衆国
被 告 荒澤建設株式会社ほか52名(訴えの一部取下げがあったので、28名に減少した。)
 提訴年月日 平成6年9月16日
イ 事案の概要
 本件は、米国海軍航空施設(厚木基地)における建設工事等を競争入札により発注しているアメリカ合衆国の厚木駐在建設事務官が、競争入札に参加する厚木建設部会会員73名の昭和59年から平成2年にか けての談合行為により損害を被つたとして損害賠償を求める「通告書」を送付したが、これに応じなかった荒澤建設株式会社ほか52名に対して、民法第709条及び第719条の規定に碁づき損害賠償請求訴訟を 東京地方裁判所に提起したものである。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、平成12年度末現在、一部の被告については和解が進行しているが、他の被告については東京地方裁判所に係属中である。
(11) 千葉県等発注の建設コンサルタント業務等の入札に係る住民訴訟
ア 事件の表示
千葉地方裁判所平成12年(行ウ)第51号
損害賠償請求事件
原 告 村越啓雄ほか4名
被 告 アジア航測株式会社ほか8名
提訴年月日 平成12年8月3日
イ 事案の概要
 当委員会は、千葉県等発注に係る建設コンサルタント業務等の入札談合について、平成11年9月8日、千葉県及び同県周辺に所在する建設コンサルタント業者等292名に対し当該行為の排除を命じる審決を 行った。当該審決が確定した後、千葉市の住民は、当該建設コンサルタント業者等に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、千葉市に代位して損害賠償を求める住民訴訟を千葉地方裁判所に提起し た。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、平成12年度末現在、千葉地方裁判所に係属中である。
(12) 北海道上川支庁発注の農業土木工事等の入札に係る住民訴訟
ア 事件の表示
札幌地方裁判所平成12年(行ウ)第29号
損害賠償請求事件
原 告 橘晃弘ほか1名
被 告 堀達也ほか6名
 提訴年月日 平成12年12月14日
イ 事案の概要
 当委員会は、北海道上川支庁発注の農業土木工事等に係る入札談合について、平成12年6月16日、旭川市等所在の農業土木工事業者等に対し当該行為の排除を命じる審決を行った。当該審決が確定した後、 札幌市内の住民は、当該農業土木工事業者等に対して、地方自治法第242条の2の規定に基づき、北海道に代位して損害賠償を求める住民訴訟を札幌地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について、平成12年度末現在、札幌地方裁判所に係属中である。
4 その他の当委員会関係の訴訟
 平成12年度当初において係属中の当委員会が関係する訴訟は、豊田商法の被害者による国家賠償請求事件(いわゆる大阪豊田商事事件)の1件であり、平成12年度末現在、最高裁判所に係属中である。