第2 勧告等の法的措置

      
 平成13年度は38件の法的措置(うち1件は勧告を行わない課徴金命令)を行った。38件のうち,3件については関係人の一部又は全社について審判手続を開始し,その他については勧告審決を行った。平成13年度に法的措置を採った38件について違反法条をみると,第3条後段(不当な取引制限)違反36件,第19条(不公正な取引方法)違反2件となっている。
 法的措置を採った上記38件の概要は,以下のとおりである。

1 独占禁止法第3条後段違反事件
(1) (株)パスコほか6社に対する件(平成13年(勧)第5号)及び㈱パスコほか7社に対する件(平成13年(勧)第6号)

ア 関係人

(注)○印は,当該事件の関係人であることを示す。

イ 違反事実等
(ア)宮城県内の官公庁等発注の航空測量業務関係(平成13年(勧)第5号)
a 航空写真測量業務(航空機によって測定又は調査の対象物を空中から写真撮影する業務,当該写真像から原図を作成する業務及びこれらに関連する業務。以下同じ。)を発注している宮城県内に所在する国の機関及び地方公共団体並びにこれらが出資等している公団,公社等の官公庁等(以下「宮城県内の官公庁等」という。)は,当該業務の大部分を指名競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており,指名競争入札等に当たっては,宮城県内の官公庁等が指名競争入札等参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から,指名競争入札等の参加者を指名している。
b(a)関係人7社(以下「7社」という。)及び國際航業(株)(以下「國際航業」という。)の8社(以下「宮城県関係8社」という。)は,遅くとも平成9年4月 1日以降,宮城県内の官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する航空写真測量業務(以下「宮城県内の官公庁等発注の航測業務」という。)について,受注価格の低落防止を図るため
i 宮城県内の官公庁等から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には,当該業務の発注者に対する営業活動の実績,過去の受注業務との継続性等の事情を勘案して,指名を受けた者の中から当該業務を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
ii 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に基づき,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(b)宮城県関係8社のうち,國際航業は,平成11年8月13日,千葉市及び同市水道局発注の建設コンサルタント業務,測量業務及び地質調査業務に係る独占禁止法違反行為について当委員会から勧告を受けたこと等から,同月16日ころ以降,前記b(a)の合意から離脱している。
(c)7社は,國際航業の前記b(a)の合意からの離脱後も,宮城県内の官公庁等発注の航測業務について,引き続き7社の間において同合意に基づき,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 宮城県関係8社は,前記bにより,宮城県内の官公庁等発注の航測業務のほとんどを受注していた。
d 平成12年5月23日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,7社は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(イ)福島県内の官公庁等発注の航空写真測量業務関係(平成13年(勧)第6号)
a 航空写真測量業務を発注している福島県内に所在する国の機関及び地方公共団体並びにこれらが出資等している公団,公社等の官公庁等(以下「福島県内の官公庁等」という。)は,当該業務の大部分を指名競争入札等の方法により発注しており,指名競争入札等に当たっては,福島県内の官公庁等が指名競争入札等参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から,指名競争入札等の参加者を指名している。
b(a)関係人8社(以下「福島県関係8社」という。)及び國際航業の9社(以下「9社」という。)は,遅くとも平成9年4月1日以降,福島県内の官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する航空写真測量業務(以下「福島県内の官公庁等発注の航測業務」という。)について,受注価格の低落防止を図るため
i 福島県内の官公庁等から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には,当該業務の発注者に対する営業活動の実績,過去の受注業務との継続性等の事情を勘案して,指名を受けた者の中から受注予定者を決定する
ii 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に基づき,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(b)9社のうち,國際航業は,平成11年8月3日,千葉市及び同市水道局発注の建設コンサルタント業務,測量業務及び地質調査業務に係る独占禁止法違反行為について当委員会から勧告を受けたこと等から,同月16日ころ以降,前記b(a)の合意から離脱している。
(c)福島県関係8社は,國際航業の前記b(a)の合意からの離脱後も,福島県内の官公庁等発注の航測業務について,引き続き福島県関係8社の間において同合意に基づき,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 9社は,前記b(a)により,福島県内の官公庁等発注の航測業務のほとんどを受注していた。
d 平成12年5月23日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,福島県関係8社は,同日以降,前記b(a)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 宮城県又は福島県内の官公庁等発注各航測業務の関係人に対し,それぞれ,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成9年4月1日以降行っていた,当該航測業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を該当県内の官公庁等に通知するとともに,自社の従業員に周知徹底させること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,当該航測業務について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
C 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,当該航測業務について,受注予定者を決定しないこと。
(2)(株)柴田組ほか60名に対する件(平成13年(勧)第9号)


ア 関係人




イ 違反事実等
(ア)山形県は,新庄土地改良事務所及び最上地方事務所(現「最上総合支庁」。以下同じ。)の管轄区域を施工場所とする農業農村整備事業及びふるさと農道緊急整備事業に係る農業土木工事(以下単に「農業土木工事」という。)のほとんどすべてを指名競争入札又は見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており,指名競争入札等に当たっては,山形県が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
(イ)関係人61名(以下「61名」という。)のうち(有)阿部企業を除く60名及び阿部企業こと阿部種雄(平成12年5月18日以降建設業に係る事業活動を取りやめている。以下「阿部種雄」という。)は,遅くとも平成9年4月1日以降(別表記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降,阿部種雄にあっては平成11年12月22日ころ以降),山形県が指名競争入札等の方法により発注する新庄土地改良事務所及び最上地方事務所の管轄区域を施工場所とする農業土木工事のうち,土木一式工事,建築一式工事,とび・土工・コンクリート工事,石工事及び舗装工事(橋梁上部工事,法面保護工事,集水井工事,地下水排除工事,高欄工事及びボーリング洗浄工事を主たる工事内容とするものを除く。以下「山形県発注の特定農業土木工事」という。)について,受注価格の低落防止等を図るため
a 山形県から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合は,次の方法により,当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
(a)当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときは,その者を受注予定者とする
(b)受注希望者が複数のときは,工事場所,過去の受注工事との関連性又は継続性等の事情を勘案して,受注希望者間の話合いにより,受注予定者を決定する
b 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
 また,上記a(b)の話合いに際しては,必要に応じ,助言役と称する者の助言を得て受注予定者を決定していた。
 (有)阿部企業は,平成12年5月18日ころ以降,上記合意に参加し,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(ウ)61名(平成12年5月18日前にあっては,(有)阿部企業を除き,阿部種雄を含む。)は,前記(イ)により,山形県発注の特定農業土木工事のほとんどすべてを受注していた。
(エ)本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,平成13年2月7日,山形県新庄市所在の最上建設クラブ会館会議室で61名のうちの46名が出席して開催された会合において,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を行わない旨の申合せが行われたこと等により,61名は,事実上,前記(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を継続することができなくなったため,同日以降,当該行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 61名に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)遅くとも平成9年4月1日以降(別表記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降,(有)阿部企業にあっては平成12年5月18日ころ以降)行っていた,山形県発注の特定農業土本工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)次の事項を山形県に通知すること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,共同して,山形県発注の特定農業土木工事について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,山形県発注の特定農業土木工事について,受注予定者を決定しないこと。
別表



(3) ワタキューセイモア(株)ほか21社に対する件ほか7件(平成13年(勧)第12号~同第19号)


ア 関係人



(注)○印は,当該事件の関係人であることを示す。

イ 違反事実等
(ア)a 東京都,神奈川県,千葉県,埼玉県,富山県,石川県,大阪府及び兵庫県に所在する別表1記載の各地区の国公立等の病院並びに介護老人保健施設及び特別養護老人ホーム(以下「各事件の国公立の病院等」という。)は,それぞれ,寝具類の賃貸業務又は洗濯業務(寝具類に併せて一括発注される病衣,白衣等 (埼玉県所在の国公立の病院等にあっては病衣等,石川県所在の国公立の病院等にあっては病衣)の賃貸業務又は洗濯業務を含む。以下同じ。)を一般競争入札,指名競争入札又は指名見積り合わせの方法(厚生労働省が設置している病院が,一般競争入札の方法により発注を行い,その受注者との間で,次年度及び次々年度も引き続き随意契約の方法により契約を締結することとしている場合には,当該方法を含む。また,石川県所在の国公立の病院等にあっては指名見積り合わせを除く。以下「競争入札等の方法」という。)等により発注しているところ,ほとんどすべて(埼玉県所在の国公立の病院等にあってはほとんど,富山県,石川県及び大阪府所在の国公立の病院等にあってはすべて)の指名競争入札又は指名見積り合わせに当たっては,各事件の国公立の病院等において各事件の関係人のうちのいずれかの者を指名しており,また,すべて(東京都所在の国公立の病院等にあっては大部分)の一般競争入札には各事件の関係人のうちのいずれかの者が参加している。
b 各事件の関係人は,それぞれ,各事件の国公立の病院等が競争入札等の方法により発注する寝具類の賃貸業務又は洗濯業務の大部分を供給している。
(イ)各事件の関係人は,それぞれ,遅くとも平成7年12月中旬ころ以降(富山県,石川県,大阪府及び兵庫県の関係人にあっては平成8年4月1日以降,また,別表2記載の事業者にあっては,それぞれ,期日欄に記載された年月日ころ以降。以下同じ。)各事件の国公立の病院等が競争入札等の方法により発注する寝具類の賃貸業務又は洗濯業務について,受注価格の低落防止を図るため
a 当該病院等と既に取引を行っている者を当該業務を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)とする
b 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(ウ)各事件の関係人は,それぞれ,前記(イ)により,各事件の国公立の病院等が競争入札等の方法により発注する寝具類の賃貸業務又は洗濯業務の大部分を受注していた。
(エ)平成12年10月18日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,各事件の関係人は,それぞれ,同日以降,前記(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 各事件の関係人に対し,それぞれ,次の措置を採るよう命じた。
(ア)遅くとも平成7年12月中旬ころ以降行っていた,各事件の国公立の病院等が競争入札等の方法により発注する寝具類の賃貸又は洗濯業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)次の事項を,各事件の国公立の病院等に通知し,自社の従業員に周知徹底させること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,共同して,各事件の国公立の病院等が競争入札等の方法により発注する寝具類の賃貸業務又は洗濯業務について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,各事件の国公立の病院等が競争入札又は見積り合わせ(石川県所在の国公立の病院等にあっては競争入札)の方法により発注する寝具類の賃貸業務又は洗濯業務について,受注予定者を決定しないこと。
別表1 発注者一覧表



別表2 合意へ途中参加した事業者



(4)(株)イヤサカほか3社に対する件ほか10件(平成13年(勧)第20号~同第30号)


ア 関係人

(注)「〇印は,当該事件の関係入であることを示す。

イ 違反事実等
(ア)北海道運輸局など各運輸局関係(平成13年(勧)第20号~第28号)
a(a)国土交通省(平成13年1月5日までは運輸省。以下同じ。)の北海道,東北,新潟,関東,中部,近畿,中国,四国及び九州の各運輸局(以下「各運輸局」という。)は,道路運送車両法に基づく自動車検査を効率的に実施するため,検査対象自動車別に,サイドスリップ・テスタ,ブレーキ・テスタ,速度計試験機,前照灯試験機等各種の自動車検査用機械器具を連続的に配置した別表1記載の自動車検査用機械器具一式(遠隔操作用機器及び記録・表示用機器を含み,また,据付け等の工事を伴う場合の当該工事及び重量計等を併せて発注する場合の当該重量計等を含む。以下「検査コース機器」という。)を発注するほか,別表1記載の一部の自動車検査用機械器具(据付け等の工事を伴う場合の当該工事を含む。以下同じ。)を単体で別途発注することとしている(別途発注する当該自動車検査用機械器具を,以下「別途発注の自動車検査用機器」という。)。
(b)各運輸局は,検査コース機器及び別途発注の自動車検査用機器のほとんどすべてを,一般競争入札若しくは指名競争入札(予定価格の制限に達した価格での入札がないときは入札を不調とし,それまでの入札において最低の価格で入札を行った者と価格交渉を行い,予定価格の制限に達した場合にはその者と締結する随意契約を含む。以下同じ。)又は指名見積り合わせ(以下「競争入札等」という。)の方法により発注しており,一般競争入札に当たっては,官報公告により一般競争入札に参加を希望する者を募り,当該希望者に対して資格審査を実施し,資格要件を満たす者として認められた者を入札参加者としており,また,指名競争入札及び指名見積り合わせに当たっては,あらかじめ競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から参加者を指名しているところ,関係人4社(以下「4社」という。)は,すべての一般競争入札に参加し,また,ほとんどすべての指名競争入札又は指名見積り合わせにおいて参加者として指名されている。
(c)4社は,各運輸局が競争入札等の方法により発注する検査コース機器及び別途発注の自動車検査用機器(以下「各運輸局発注の自動車検査用機器」という。)のほとんどすべてを供給している。
b 4社は,それぞれ,遅くとも平成9年4月1日以降,各運輸局発注の自動車検査用機器について,各運輸局ごとに,受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため
(a)各運輸局が一般競争入札を行う旨を官報により公告した場合又は各運輸局から指名競争入札若しくは指名見積り合わせの参加の指名を受けた場合には,別表2記載の方法により当該機器を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 4社は,前記bにより,それぞれ,各運輸局発注の自動車検査用機器のほとんどすべてを受注していた。
d 平成13年2月22日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,4社は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
別表1





別表2







(イ)沖縄総合事務局関係(平成13年(勧)第29号)
a(a)内閣府(平成13年1月5日までは沖縄開発庁)沖縄総合事務局(以下「沖縄総合事務局」という。)は,道路運送車両法に基づく自動車検査を効率的に実施するため,検査対象自動車別に,検査コース機器を発注するほか,前記(ア)の別表1記載の一部の自動車検査用機械器具を単体で別途発注することとしている。
(b)i 沖縄総合事務局は,検査コース機器及び別途発注の自動車検査用機器のほとんどすべてを,競争入札等の方法により発注しており,一般競争入札に当たっては,官報公告により一般競争入札に参加を希望する者を募り,当該希望者に対して資格審査を実施し,資格要件を満たす者として認められた者を入札参加者としており,また,指名競争入札及び指名見積り合わせに当たっては,あらかじめ競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から参加者を指名している。
ii 沖縄総合事務局が競争入札等の方法により発注する検査コース機器及び別途発注の自動車検査用機器(以下「沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器」という。)について,日産アルティア(株),安全自動車(株)及び(株)イヤサカの3社は,すべての一般競争入札に参加し,ほとんどすべての指名競争入札又は指名見積り合わせにおいて参加者として指名されている。
 バンザイ沖縄販売(株)(以下「バンザイ沖縄販売」という。)は沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器に関し,前記iの資格要件を満たしている(株)バンザイ(以下「バンザイ」という。)の委任を受けて,一般競争入札並びにバンザイが指名される指名競争入札及び指名見積り合わせに参加するほか,自らが指名された指名競争入札及び指名見積り合わせに参加している。これらの場合において,バンザイ沖縄販売は,バンザイから入札すべき価格について指示を受け,それに従って競争入札等に参加している。
(c)関係人4社(以下「4社」という。)は,沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器のほとんどすべてを供給している。
b 4社は,遅くとも平成9年4月1日以降,沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器について,受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため
(a)沖縄総合事務局が一般競争入札を行う旨を官報により公告した場合又は沖縄総合事務局から指名競争入札若しくは指名見積り合わせの参加の指名を受けた場合(バンザイ沖縄販売にあっては,バンザイが指名を受けたときを含む。)には
i 検査コース機器については,あらかじめ定めた順番に基づき決定した者
ii 別途発注の自動車検査用機器については,納入先において当該自動車検査用機器が組み込まれる検査コース機器を納入している者を優先することを基本とする話合いにより決定した者
を受注予定者とする
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 4社は,前記bにより,沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器のほとんどすべてを受注していた。
d 平成13年2月22日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,4社は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(ウ)軽自動車検査協会関係(平成13年(勧)第30号)
a(a)軽自動車検査協会は,道路運送車両法に基づき設立され,国土交通大臣(平成13年1月5日までは運輸大臣)による業務に関する監督を受ける法人であり,同法により軽自動車の自動車検査業務は同協会に行わせるものとされている。
(b)軽自動車検査協会は,道路運送車両法に基づく軽自動車の自動車検査を効率的に実施するため,サイドスリップ・テスタ,ブレーキ・テスタ,速度計試験機,前照灯試験機等各種の自動車検査用機械器具を連続的に配置した自動方式総合検査用機器及び自動方式検査用機器と称する自動車検査用機械器具一式(遠隔操作用機器及び記録・表示用機器を含み,また,据付け等の工事を伴う場合の当該工事及び重量計等を併せて発注する場合の当該重量計等を含む。以下「軽自動車検査コース機器」という。)を,指名競争入札の方法(平成13年度においては一般競争入札の方法を併用している。)により発注しており,指名競争入札に当たっては,あらかじめ競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から参加者を指名しているところ,関係人4社(以下「4社」という。)はすべての指名競争入札において参加者として指名されている。
(c)4社は,軽自動車検査協会が指名競争入札の方法により発注する軽自動車検査コース機器(以下「軽自動車検査協会発注の検査コース機器」という。)のすべてを供給している。
b 4社は,遅くとも平成9年4月1円以降,軽自動車検査協会発注の検査コース機器について,受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため
(a)軽自動車検査協会から指名競争入札の参加の指名を受けるに際し
i 各社の受注実績を基にあらかじめ定めた算定方法により算出した持ち点が最も少ない者
ii 上記iの持ち点が最も少ない者が複数の場合及び複数の物件を調整の対象とする場合には,受注希望の有無等に基づく話合いにより決定した者
を受注予定者とする
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 4社は,前記bにより,軽自動車検査協会発注の検査コース機器のすべてを受注していた。
d 平成13年2月22日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,4社は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
(ア)北海道運輸局など各運輸局関係(平成13年(勧)第20号~第28号)
 各運輸局発注に係るそれぞれの事件について,4社に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成9年4月1日以降行っていた,各運輸局発注の自動車検査用機器について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を各運輸局に通知し,自社の従業員に周知徹底させること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,各運輸局発注の自動車検査用機械器具一式及び自動車検査用機器について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,各運輸局発注の自動車検査用機器について,受注予定者を決定しないこと。
(イ)沖縄総合事務局関係(平成13(勧)第29号)
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成9年4月1日以降行っていた,沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を沖縄総合事務局に通知し,自社の従業員に周知徹底させること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,沖縄総合事務局発注の自動車検査用機器について,受注予定者を決定しないこと。
(ウ)軽自動車検査協会関係(平成13年(勧)第30号)
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成9年4月1日以降行っていた,軽自動車検査協会発注の検査コース機器について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を軽自動車検査協会に通知し,自社の従業員に周知徹底させること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,軽自動車検査協会発注の検査コース機器について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,軽自動車検査協会発注の検査コース機器について,受注予定者を決定しないこと。
(5)(有)アーサーほか26社に対する件(平成13年(勧)第31号)


ア 関係人




イ 違反事実等
(ア)高槻市水道部は,上水道の配水管,給水管又は導水管に係る布設工事,移設工事,改良工事及び撤去工事並びに消火栓設置工事並びに水道設備工事(以下「上水道本管工事」という。)のほとんどすべてを指名競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており,指名競争入札等に当たっては,高槻市水道部が指名競争入札参加の資格要件を満たす有資格者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
(イ)a 関係人27社(以下「27社」という。)並びに(株)リプラス,アイテック(株)及び(株)摂津工業の30社(以下「30社」という。)は,遅くとも平成9年4月1日以降
(別表記載の事業者にあっては,それぞれの「期日」欄に記載された年月日ころ以降),高槻市水道部が指名競争入札等の方法により発注する上水道本管工事について,受注機会の均等化を図るため
(a)高槻市水道部から30社のうちのいずれかの者のみが指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には,指名を受けた者の間の話合いにより当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に基づき,指名実績及び受注実績を基に,一定の算定方法により算出した点数を勘案するなどして受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
b 30社のうち,(株)リプラスは平成12年4月1日ころ以降,アイテック(株)は同年6月20日ころ以降,(株)摂津工業は同年12月27日ころ以降,それぞれ,高槻市水道部により,指名競争入札参加の資格要件を満たす有資格者から除外されたため,上水道本管工事についての指名競争入札等の参加の指名を受けておらず,前記aの合意に基づく行為を行っていない。また,(株)摂津工業は,平成13年8月6日に会社を解散している。
(ウ)30社は,前記(イ)aにより,高槻市水道部が指名競争入札等の方法により発注する上水道本管工事の大部分を受注していた。
(エ)平成13年4月26日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,27社は,同日以降,前記(イ)aの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 27杜に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)遅くとも平成9年4月1日以降(別表記載の事業者にあっては,それぞれの「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた,高槻市水道部が指名競争入札等の方法により発注する上水道本管工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)次の事項を高槻市水道部に通知すること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,共同して,高槻市水道部が指名競争入札等の方法により発注する上水道本管工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,高槻市水道部が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する上水道本管工事について,受注予定者を決定しないこと。

別表 合意へ途中参加した事業者



(6)(株)日比谷アメニスほか105名に対する件(平成13年(勧)第32号)


ア 関係人








イ 違反事実等
(ア)a 東京都は,予定価格が8000万円以上の造園工事(以下「大型造園工事」という。)のすべてを指名競争入札の方法により発注しており,指名競争入札に当たっては,その都度,東京都が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者(以下「有資格者」という。)の中から選定した者により結成される共同企業体及び有資格者である事業協同組合のみを入札の参加者として指名している。
 東京都は,前記共同企業体の構成員となるべき者として,原則として,20名又は30名を選定し,このうち,東京都が定める有資格者の格付順位が高い順に,10名を第1グループの業者とし,10名を第2グループの業者とし,30名を選定する場合には,さらに,残る10名を第3グループの業者として,これら各グループから1名ずつ組み合わせることにより,共同企業体を結成させている。
b 東京都から第1グループの業者として選定された者は,入札に当たって,自己が構成員となる共同企業体の入札価格を決定するなど当該共同企業体の他の構成員から入札に関する権限を委ねられている。
(イ)関係人106名(以下「106名」という。)及び富士緑化(株)(富士緑化(株)は,平成13年2月28日以降,造園工事業に係る事業活動を取りやめている。)の107名は,遅くとも平成9年4月1日(別表記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ)以降,東京都が指名競争入札の方法により発注する大型造園工事について,受注価格の低落防止等を図るため
a 東京都から第1グループの業者として選定された場合(事業協同組合にあっては指名競争入札の参加の指名を受けた場合)には,次の方法により,当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
(a)当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときは,その者を受注予定者とする
(b)受注希望者が複数のときは,受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定する
b 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に基づき,工事場所,過去の受注工事との関連性等の事情を勘案するなどして受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(ウ)前記(イ)により受注予定者となった者は,東京都が指名競争入札の方法により発注する大型造園工事の大部分を受注していた。
(エ)平成12年12月12日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,106名及び富士緑化(株)の107名は,同日以降,前記(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 106名に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)遅くとも平成9年4月1日(別表記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ)以降行っていた,東京都が指名競争入札の方法により発注する大型造園工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)次の事項を東京都に通知すること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,共同して,東京都が指名競争入札の方法により発注する大型造園工事について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,東京都が競争入札の方法により発注する大型造園工事について,受注予定者を決定しないこと。

別表 合意へ途中参加した事業者



(7)(株)バイタルネットほか8社に対する件(平成13年(勧)第33号)


ア 関係人




イ 違反事実等
(ア)a 関係人9社(以下「9社」という。)のうち,別表1記載の事業者は,それぞれ,「変更年月日」欄に記載された年月日に,「変更内容」欄に記載された内容の商号変更を行ったものである。
b 平成12年において,9社((株)バイタルネットにあってはサンエス(株),(株)アスカムにあっては前記aの合併前は(株)エ-シン,(株)クラヤ三星堂にあっては前記aの合併前はクラヤ薬品(株),オオモリ薬品グループ本社(株)にあってはオオモリ薬品(株)をいう。以下同じ。)並びに(株)菅野商会,(株)ニチエー及び千秋薬品(株)(平成13年2月1日に,奥羽薬品販売(株)に自社の医療用医薬品の卸売業に関する営業の全部を譲渡した。)の12社(以下「12社」という。)の宮城県の区域(以下「宮城地区」という。)における医療用医薬品の販売金額の合計は,宮城地区における医療用医薬品の総販売金額のほとんどすべてを占めていた。
(イ)a 12社は,他の医療用医薬品の卸売業者5社とともに,平成12年度の健康保険法(大正11年法律第70号)に基づく「使用薬剤の薬価(薬価基準)」(厚生省告示。以下「薬価基準」という。)の改正に伴って,東北地区に所在する保険医療機関及び保険薬局(以下「医療機関等」という。)において平成12年4月1日以降使用される医療用医薬品の納入価格の改定交渉において,従前の例によれば改定前の薬価基準に定める使用薬剤の薬価(以下,「薬価」という。)と納入価格(消費税に相当する額を含まない。以下同じ。)との差額の同薬価に対する比率(以下「薬価からの値引き率」という。)と同一の値引き率での医療用医薬品の納入を要望する医療機関等が多く見込まれ,かつ,この要望を受けいれると各社の経営が困難な状況に陥ることが懸念されたため,その対応について検討を重ねてきたところ,平成12年3月6日ころ,仙台市青葉区所在のホテルメトロポリタン仙台において,各社の役員級の者による「東北卸医療用医薬品流通委員会」と称する会合を開催し
(a)他社が医療機関等に既に納入している個々の医療用医薬品の取引(以下「他社札」という。)を相互に奪わないという「休戦」と称する得意先等争奪の禁止の方針
(b)自社が医療機関等に既に納入している個々の医療用医薬品の取引(以下「自社札」という。)に関して,医療機関等に提示する薬価からの値引き率の目途を6.6パーセントとする方針
を定め,東北地区の各県ごとに開催する各社の営業責任者級の者による会合において,これらの方針を具体的に実施していくこととした。
b 12社は,平成12年3月16日ころ,仙台市青葉区所在の仙台東急ホテルにおいて,各社の営業責任者級の者による「宮城県流通委員会」と称する会合を開催し,宮城県の区域に所在する医療機関等において平成12年4月1日以降使用される医療用医薬品の納入価格の改定交渉において,前記(イ)aの方針に基づいて
(a)「休戦」と称する得意先等争奪の禁止の方針に基づき,他社札を相互に奪わないこととし,このため,個々の医療用医薬品の品目について,各社が他社札に関して医療機関等に提示する薬価からの値引き率の上限を,自社札に関する薬価からの値引き率を下回る率とすること
(b)自社札に関して,医療機関等に提示する薬価からの値引き率を,原則として,納入する医療用医薬品全体の加重平均により,医療機関等の経営主体ごとに別表2記載のとおりとし,これを目途とすること
を決定した。
(ウ)12社は,前記(イ)bの決定に基づき,宮城地区に所在する医療機関等において平成12年4月1日以降使用される医療用医薬品について,おおむね,他社札を相互に奪うことをせず,別表2記載の薬価からの値引き率を目途に納入価格の改定交渉を行い,販売していた。
(エ)平成12年12月5日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,9社並びにニチエー(株)及び千秋薬品(株)は,同日以降,前記(イ)bの決定に基づく行為を行っていない。
ウ 排除措置
 9社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)平成12年度の薬価基準の改正に伴って,宮城地区に所在する医療機関等において平成12年4月1日以降使用される医療用医薬品の販売について
a 同医療機関等に既に納入している個々の医療用医薬品の取引を相互に奪わないこと
b 同医療機関等に提示する薬価基準に定める薬価からの値引き率
を決定し,同決定に基づき同医療機関等に医療用医薬品を販売していた行為を,平成12年12月5日以降行っていないことを確認すること。
(イ)次の事項を同医療機関等に通知し,自社の従業員に周知徹底させること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,共同して,宮城地区に所在する医療機関等に販売する医療用医薬品について,前記(ア)の行為と同様の行為を行わず,各社がそれぞれ自主的に販売活動を行う旨
(ウ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,宮城地区に所在する医療機関等に販売する医療用医薬品について,販売すべき者及び薬価からの値引き率を決定しないこと。

別表1 商号等の変更を行った事業者



別表2 医療機関等に提示する薬価からの値引き率



(8)(財)林野弘済会ほか9名に対する件(平成13年度(勧)第34号),(財)林業土木コンサルタンツほか7名に対する件(平成13年(勧)第35号)及び(財)林野土木コンサルタンツほか3名に対する件(平成13年(勧)第36号)


ア 関係人

(注)○印は,当該事件の関係人であることを示す。

イ 事実関係等
(ア)国有林野の利活用に伴う調査・測量業務関係(平成13年(勧)第34号)
a(a)林野庁東北森林管理局青森分局(平成11年2月28日までは同庁青森営林局。以下 「青森分局」という。)管内に所在する国の機関及び地方公共団体並びにこれらが出資等している公社,公団等の官公庁等(以下「青森分局管内の官公庁等」という。)は,国有林野の利活用に伴う調査,測量等業務の大部分を指名競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており,指名競争入札等に当たっては,指名競争入札等参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
(b)関係人10名(以下「10名」という。)は,青森分局管内における国有林野測量事業の技術の向上等を図ることにより,同事業の健全な進歩発展と会員の親睦を図ることを目的とする国有林野測量事業協力会と称する団体(以下「協力会」という。)の会員((株)コサカ技研は,平成12年3月31日まで会員)であった。
 なお,協力会は,平成13年2月20日に解散した。
b 10名は,遅くとも平成9年7月4日以降,青森分局管内の官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する国有林野の利活用に伴う調査,測量等業務(森林影響調査業務を除く。以下「青森分局管内の官公庁等発注の国有林野の利活用に伴う特定調査,測量等業務」という。)について,受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため
(a)青森分局管内の官公庁等から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には,次の方法により,当該業務を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
i 過去の受注物件との関連性又は継続性,当該業務に係る発注者への見積書の提出等の営業活動の実績等を勘案して,受注予定者を決定する
ii 上記iの事情がないときは,あらかじめ定めていた順番により,受注予定者を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,協力会の事務局に受注予定者を決定するための連絡業務を行わせるなどして,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 10名は,前記bにより,青森分局管内の官公庁等発注の国有林野の利活用に伴う特定調査,測量等業務のほとんどを受注していた。
d 平成13年2月15日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,10名は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(イ) 治山事業に係る調査・設計業務関係(平成13年(勘)第35号)
a(a)青森分局及び同分局所轄の森林管理署等(以下「青森分局等」という。)は,治山事業に係る調査・設計業務の大部分を指名競争入札等の方法により発注しており,指名競争入札等に当たっては,青森分局が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
(b)関係人8名(以下「8名」という。)のうち,(財)林業土木コンサルタンツ(以下「林業土木コンサルタンルツ」という。)は,林業土木事業の振興発達に寄与することを目的として設立されたものであり,青森分局等の元職員が多数在籍しているところ,青森分局等が指名競争入札等の方法により発注する治山事業に係る調査・設計業務(以下「青森分局等発注の治山調査・設計業務」という。)のほとんどについて指名を受けていた。
b 8名は,遅くとも平成11年4月1日以降,青森分局等発注の治山調査・設計業務について,受注価格の低落防止及び安定的な受注の確保を図るため
(a)青森分局等から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には,指名業者の中から受注予定者を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に基づき,林業土木コンサルタンツの職員が得意分野,過去の受注実績等を勘案して選定した者又は受注を希望する者が相指名業者に受注希望を表明し,相指名業者との話合いにより選定された者を受注予定者として決定し,受注すべき価格は,受注予定者が必要に応じ林業土木コンサルタンツの職員と相談して決定するなどして,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 8名は,前記bにより,青森分局等発注の治山調査・設計業務のほとんどすべてを受注していた。
d 平成13年2月15日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,8名は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(ウ) 林道事業に係る調査・設計業務関係(平成13年(勧)第36号)
a(a)青森分局等は,林道事業に係る調査・設計業務のほとんどすべてを指名競争入札の方法により発注しており,指名競争入札に当たっては,青森分局が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札の参加者を指名している。
(b)関係人4名(以下「4名」という。)のうち,林業土木コンサルタンツは,青森分局等が指名競争入札の方法により発注する林道事業に係る調査・設計業務(以下「青森分局等発注の林道調査・設計業務」という。)のほとんどすべてについて指名を受けていた。
b 4名は,遅くとも平成11年4月1日以降,青森分局等発注の林道調査・設計業務について,受注価格の低落防止及び安定的な受注の確保を図るため
(a)青森分局等から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,林業土木コンサルタンツの職員が過去の受注実績等を勘案して受注予定者を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 4名は,前記bにより,青森分局等発注の林道調査・設計業務のすべてを受注していた。
d 平成13年2月15日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,4名は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
(ア)国有林野の利活用に伴う調査・測量業務関係
 10名に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成9年7月4日以降行っていた,青森分局管内の官公庁等発注の国有林野の利活用に伴う特定調査,測量等業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を青森分局管内の官公庁等に通知すること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,青森分局管内の官公庁等発注の国有林野の利活用に伴う特定調査,測量等業務について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,青森分局管内の官公庁等が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する国有林野の利活用に伴う特定調査,測量等業務について,受注予定者を決定しないこと。
(イ)治山事業に係る調査・設計業務関係
 8名に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成11年4月1日以降行っていた,青森分局等発注の治山調査・設計業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を青森分局に通知すること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,青森分局等発注の治山調査・設計業務について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,青森分局等が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する治山調査・設計業務について,受注予定者を決定しないこと。
(ウ)林道事業に係る調査・設計業務関係
 4名に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成11年4月1日以降行っていた,青森分局等発注の林道調査・設計業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を青森分局に通知すること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,青森分局等発注の林道調査・設計業務について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,青森分局等が競争入札の方法により発注する林道調査・設計業務について,受注予定者を決定しないこと。
エ 当委員会からの要請
 農林水産省所管の公益法人が複数行為者に加わっており,また,青森分局等発注の治山事業及び林道事業に係る調査・設計業務違反事件については,公益法人の一部の職員が受注予定者の決定等において主導的な役割を果たしていたことから,直接監督を行っている林野庁に対し,これらの公益法人が,今後,同様の違反行為を再び行うことのないよう,指導,監督を徹底することを要請した。
 また,本件関係人が本件違反行為に関し,青森分局内の入札に関する情報を利用していたことから,青森分局に対し,これらの管理を徹底するよう要請した。
(9)(有)青森ヒュームほか141名に対する件(平成13年(勧)第37号,(有)赤穂工務店ほか76名に対する件(平成13年(勧)第38号)及び(株)石上苅田建設ほか38社に対する件(平成13年(勧)第39号)


ア 関係人









(注)○印は,当該事件の関係人であることを示す。

イ 違反事実等
(ア)八戸市発注の土木一式工事関係(平成13年(勧)第37号)
a 八戸市は,土木一式工事として発注する工事のほとんどを指名競争入札の方法により発注しており,指名競争入札に当たっては,八戸市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札の参加者を指名している。また,八戸市は,共同施工方式により工事を施行するため,当該工事の発注の都度結成される共同企業体を指名するときは,上記有資格者の中から共同企業体の構成員を選定し,当該構成員の任意の組合せによる共同企業体を指名している。
b 関係人142名(以下「142名」という。)及び別表1記載の事業者(別表1の「期日」欄に記載された年月日ころ以降,八戸市から指名競争入札の参加の資格要件を満たす者から除外されたことにより,八戸市が土木一式工事として発注する工事に係る事業を取りやめている。)の144名 (以下「144名」という。)は,遅くとも平成10年4月1日以降(別表2記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降),八戸市が指名競争入札の方法により土木一式工事として発注する工事のうち青森県八戸市内に本店又は主たる事務所を置く事業者のみが指名される工事(同市内に本店を置く事業者を構成員とする共同企業体が指名される工事を含む。以下「八戸市発注の特定土木工事」という。)について,受注価格の低落防止等を図るため
(a)八戸市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,研究会等と称する会合を開催するなどして,次の方法により,当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
i 当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときは,その者を受注予定者とする
ii 受注希望者が複数のときは,工事場所,過去の受注工事との関連性又は継続性,受注実績等の事情を勘案して,受注希望者間の話合いにより,受注予定者を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,必要に応じ,「行司役」と称する者等の助言を得るなどして,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 144名は,前記bにより,八戸市発注の特定土木工事のほとんどすべてを受注していた。
d 平成13年6月21日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,142名は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(イ)八戸市発注の建築工事関係(平成13年(勧)第38号)
a 八戸市は,建築一式工事として発注する工事のほとんどすべてを指名競争入札の方法により発注しており,指名競争入札に当たっては,八戸市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者又は官公需適格組合の中から指名競争入札の参加者を指名している。
b 関係人77名(以下「77名」という。)及び別表3記載の事業者(別表3の「期日」欄に記載された年月日ころ以降,八戸市から指名競争入札の参加の資格要件を満たす者から除外されていることにより,八戸市が建築一式工事として発注する工事に係る事業活動を取りやめている。)の78名(以下「78名」という。)は,遅くとも平成10年4月1日以降(別表4記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降),八戸市が指名競争入札の方法により建築一式工事として発注する工事(以下「八戸市発注の特定建築工事」という。)について,受注価格の低落防止等を図るため
(a)八戸市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,研究会等と称する会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定者を決定する
i 当該工事について受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
ii 受注希望者が複数のときは,工事場所,過去の受注工事との関連性又は継続性,受注実績等の事情を勘案して,受注希望者間の話合いにより,受注予定者を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,必要に応じ,「行司役」と称する者等の助言を得るなどして,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 78名は,前記bにより,八戸市発注の特定建築工事のほとんどすべてを受注していた。
d 平成13年6月21日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,77名は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(ウ)八戸市発注の舗装工事関係(平成13年(勧)第39号)
a 八戸市は,舗装工事として発注する工事のほとんどすべてを指名競争入札の方法により発注しており,指名競争入札に当たっては,八戸市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札の参加者を指名している。
b 関係人39社(以下「39社」という。)は,遅くとも平成10年4月1日以降(別表5記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降),八戸市が指名競争入札の方法により舗装工事として発注する工事のうち青森県八戸市内に本店を置く事業者のみが指名される工事(以下「八戸市発注の特定舗装工事」という。)について,受注価格の低落防止等を図るため
(a)八戸市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,研究会等と称する会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定者を決定する
i 設計金額がおおむね1000万円を超えると想定される工事については
(i)受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ii)受注希望者が複数のときは,工事場所,過去の受注工事との関連性又は継続性,受注実績等の事情を勘案して,受注希望者間の話合いにより,受注予定者を決定する
ii 設計金額がおおむね1000万円以下と想定される工事については
(i)指名を受けることとなる者の間であらかじめ定めた順番により決定した者を受注予定者とする
(ii)順番となっている者以外の相指名業者が特に受注を希望したときは,工事場所,受注実績等の事情を勘案して,相指名業者間の話合いにより,受注予定者を決定する
(b)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,必要に応じ,「行司役」と称する者等の助言を得るなどして,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 39社は,前記bにより,八戸市発注の特定舗装工事のほとんどすべてを受注していた。
d 平成13年6月21日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,39社は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 各工事の関係人に対し,それぞれ,次の措置を採るよう命じた。
(ア)遅くとも平成10年4月1日以降(別表2記載の土木一式工事関係の事業者,別紙4記載の建築工事関係の事業者及び別紙5記載の舗装工事関係の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年目日ころ以降)行っていた,八戸市発注の特定土本工事,特定建築工事及び特定舗装工事(以下「各特定工事」という。)について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)次の事項を八戸市に通知すること。
a 前記aに基づいて採った措置
b 今後,共同して,八戸市発注の各特定工事について,受注予定者を決定せず,それぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,八戸市が競争入札の方法により発注する各特定工事について,受注予定者を決定しないこと。

別表1 八戸市が土木一式工事として発注する工事に係る事業活動を取りやめている事業者



別表2 合意へ中途参加した事業者 (平成13年(勧)第37号)



別表3 八戸市が建築一式工事として発注する工事に係る事業活動をとりやめている事業者




別表4 合意へ中途参加した事業者 (平成13年(勧)第38号)



別表5 合意へ中途参加した事業者(平成13年(勧)第39号)



(10)(株)村上組ほか121名に対する件(平成13年(勧)第40号)及び(株)大王工務店ほか124名に対する件(平成13年(勧)第41号)


ア 関係人











(注)○印は,当該事件の関係人であることを示す。

イ 違反事実等
(ア)香川県発注の特定土木工事関係(平成13年(勧)第40号)
a 香川県は,土木部所管工事のうち,同県高松土木事務所の管轄区域(以下「高松土木管内」という。)を施工場所とし,土木一式工事として発注する工事のほとんどを高松土木事務所において指名競争入札を行い発注しており,指名競争入札に当たっては,香川県が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札の参加者を指名している。
b 関係人122名(以下「122名」という。)及び別表1記載の事業者(遅くとも平成13年11月末日ころまでに,事業活動を取りやめ,又は香川県により指名競争入札参加の資格要件を満たす有資格者から除外されたことにより香川県が土木一式工事として発注する工事に係る事業活動を取りやめている。)の125名(以下「125名」という。)は,遅くとも平成10年1月1日以降(別表2記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降),香川県が高松土木管内を施工場所とし香川県内に本店又は主たる事務所を置く事業者のみを指名して同県高松土木事務所において指名競争入札を行い土木一式工事として発注する工事(以下「香川県発注の特定土木工事」という。) について,受注価格の低落防止等を図るため
(a)香川県から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,次の方法により,当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
i 当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときは,その者を受注予定者とする
ⅱ 受注希望者数が複数の時は、工事場所、過去の受注工事との継続性又は関連性等の事情を勘案し,受注希望者の間の話合いにより受注予定者を決定する
(b)受値すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,必要に応じ,「積算委員」又は「月例委員」と称する者の助言を得て,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
c 125名は,前記bにより,香川県発注の特定土木工事の大部分を受注していた。
d 平成13年1月16日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,125名は,同日以降,前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(イ)高松市発注の特定土木工事関係 (平成13年(勧)第41号)
a 高松市土木部は,土木一式工事として発注する工事のほとんどを指名競争入札の方法により発注しており,指名競争入札に当たっては,高松市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札の参加者を指名している。
b(a)125名並びに(株)四国電工(以下「四電工」という)及び別表3記載の事業者(遅くとも平成13年11月末日ころまでに,事業活動を取りやめ,又は高松市により指名競争入札参加の資格要件を満たす有資格者から除外されたことにより高松市が土木一式工事として発注する工事に係る事業活動を取りやめている。)の129名(以下「129名」という。)は,遅くとも平成10年1月1日以降(別表4記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降),高松市土木部が香川県内に本店又は主たる事務所を置く事業者のみを指名して指名競争入札の方法により土木一式工事として発注する工事(以下 「高松市発注の特定土木工事」という。)について,受注価格の低落防止等を図るため
i 高粉市土木部から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,次の方法により,受注予定者を決定する
(i)当該工事について受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ii)受注希望者が複数のときは,工事場所,過去の受注工事との継続性又は関連性等の事情を勘案し,受注希望者の間の話合いにより受注予定者を決定する
ii 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨
の合意の下に,必要に応じ,「積算委員」又は「月例委員」と称する者の助言を得て,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(b)四電工は,当委員会が同社ほかロックマン工法による下水道管きょ敷設工事施工業者らに対し独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,平成12年5月31日ころ,前記b(a)の合意から離脱した。
c 129名は,前記b(a)により,高松市発注の特定土木工事の大部分を受注していた。
d 平成13年1月16日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,129名のうち,四電工を除く128名は,同日以降,前記b(a)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
(ア)香川県発注の特定土木工事関係
 122名に対し,次の措置を採るよう命じた。
a 遅くとも平成10年1月1日以降(別表2記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた,香川県発注の特定土本工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を香川県に通知すること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,香川県発注の特定土木工事について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,香川県発注特定土本工事について,受注予定者を決定しないこと。
(イ)高松市発注の特定土木工事関係
 125名に対し,次の措音を採るよう命じた。
a 遅くとも平成10年1月1日以降 (別表の表4記載の事業者にあっては,それぞれ,「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた,高松市発注の特定土木工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
b 次の事項を高松市に通知すること。
(a)前記aに基づいて採った措置
(b)今後,共同して,高松市発注の特定土木工事について,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
c 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,高松市発注の特定土木工事について,受注予定者を決定しないこと。
別表1 香川県発注の特定土木工事に係る事業活動を取りやめている事業者



別表2 合意へ中途参加した事業者(平成13年(勧)第40号)



別表3 高松市発注の特定土木工事に係る事業活動をとりやめている事業者



別表4 合意へ中途参加した事業者(平成13年(勧)第41号)



2 独占禁止法第19条違反事件
(1) 松下電器産業(株)に対する件(平成13年(勧)第8号)


ア 関係人


イ 違反事実等
(ア)a 松下電器産業(株)(以下「松下電器」という。)は,「National」又は「Panasonic」の商標を付した家庭用電気製品(民生用電気機械に分類されるもののほか,電子・通信機器,事務用機器,ガス・石油機器,温湿調整装置等に分類されるものを含む。以下「松下製電気製品」という。)を,同社が出資する販売会社(専ら松下電器製品を松下電器の営業方針に基づいて販売するなど松下電器の実質的な販売部門。以下「販社」という。)並びに松下電器又は販社と代理店契約を締結している卸売業者(以下「代理店」という。)を通じて小売業者に供給し,これらの小売業者を通じて一般消費者に販売している。
b 松下電器は,自己の経営理念及び販売方針を受け入れる家庭用電気製品の小売業者に対して松下製電気製品を供給することとしており,販社は,これらの小売業者と継続的な取引契約を締結している状況にある(以下,かかる契約を締結している小売業者を「取引先小売店」という。)
(イ)a 松下電器は,平成5年ころ,販社と継続的な取引契約を締結していない小売業者(以下「末取引先小売店」という。)が松下製電気製品の廉売を行う事例が多くみられ,取引先小売店から当該廉売に関して苦情を受けるようになったことを踏まえ,同年ころ以降,自社及び販社の販売担当者が売上げの拡大を求める結果として未取引先小売店に対して松下製電気製品が供給されることのないよう,まず,このような販売姿勢を改めることとし,松下製電気製品のうち自社があらかじめ定めた主要な製品(平成12年7月ころ以降は,別表記載の松下製電気製品)を未取引先小売店が廉売しているとの情報に接した場合には,販社と一体となって,当該製品の流通経路を調査していた。
 しかし,上記取組によっても未取引先小売店への松下製電気製品の供給を抑止する上で十分な効果が挙がらなかったことから,松下電器は,平成10年1月ころ,全国の10地区において,地区ごとに,同社家電・情報営業本部の担当部長,当該地区に所在する各販社における販売責任者等で構成する「市場情報交換会」と称する会議を設けるとともに,過去に未取引先小売店に直接又は間接に松下製電気製品を販売したことのある代理店及び取引先小売店(以下「代理店等」という。)に対する販売管理の強化を図ることとした。
b 松下電器は,前記(イ)aの取組を推進する中で,取引先小売店の経営の安定を図る等の観点から,平成10年1月ころ以降,全国各地において,取引先小売店から未取引先小売店による松下製電気製品の廉売に関して苦情があった際には,販社と一体となって,前記(イ)aの調査を行い,その結果,当該未取引先小売店に直接又は間接に当該製品を販売していた代理店等が判明した場合には
(a)当該代理店等に対し,当該未取引先小売店に松下製電気製品を直接又は間接に販売しないよう要請する
(b)前記(a)の要請に従わない代理店等に対しては,松下製電気製品の販売数量を制限する,リベートを減額する若しくは松下製電気製品の販売価格を引き上げる又はこれらの行為を行う旨を示唆する
等により,代理店等に対し,松下製電気製品の廉売を行っている未取引先小売店に直接又は間接に松下製電気製品を販売しないようにさせていた。
(ウ)平成12年10月12日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,松下電器は,同日以降,前記(イ)aの調査を行っておらず,前記(イ)bの行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 松下電器に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)松下製電気製品の取引に関し,販社と一体となって
a 取引先小売店から,未取引小売業者による松下製電気製品の廉売に関する苦情を受けて,その流通経路を調査し
b 代理店等に対し,上記aの廉売を行う未取引小売業者に松下製電気製品を直接又は間接に販売しないようにさせる
行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)次の事項を販社,代理店等及び自社の従業員(専ら製造に従事する者を除く。)に,それぞれ周知徹底させること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,前記(ア)の行為と同様の行為を行わない旨
(ウ)今後,前記(ア)の行為と同様の行為により,代理店等に対し,松下製電気製品の廉売を行う未取引小売業者に松下製電気製品を直接又は間接に販売しないようにさせる行為をしないこと。
別表



(2) サンデン(株)に対する件(平成13年(勧)第10号)


ア 関係人


イ 違反事実等
(ア)a(a)サンデン(株)(以下「サンデン」という。)は,北海道の区域(以下「北海道地区」という。)における強制給排気方式の石油ストーブ(以下「FF式石油ストーブ」という。)の販売において有力な地位を占めているところ,近年,同社の石油ストーブ部門の採算が悪化していたことから,その改善を図り,利益を確保するため,平成11年10月ころ,今後,北海道地区においては,平成12年1月発売予定の「ゼータス」と称するFF式石油ストーブ(以下「ゼータス」という。)を高付加価値を有する主力商品として販売活動を行うこととし,ゼータスの販売について
i 小売業者に対し,サンデンが定める販売価格以上の価格で販売させるとともに,店頭,新聞折り込み広告等で価格表示を行う場合はサンデンが定める当該価格で表示させることとし,これを受け入れた小売業者とのみ取引を行う
ii 取引先卸売業者を大幅に絞り込み,当該卸売業者(以下「代理店」という。)に対し,前記iの方針を遵守させるとともに,サンデンが定める当該価格を下回って販売するおそれのある小売業者には供給させない
との方針を決定,その後,平成11年12月ころ,ゼータスの販売価格を108,000円(以下「最低販売価格」という。)とすることを決定していた。
(b)サンデンは,前記(a)の方針に基づき,次のとおり代理店等に対し要請又は周知を行っている。
i 主要な代理店に対しては,平成11年11月16日ころに開催した会合において,取引先小売業者にサンデンが定める販売価格以上の価格で販売させるとともに取引先小売業者が店頭,新聞折り込み広告等で価格表示を行う場合には当該価格で表示させること及びサンデンが定める販売価格を下回って販売するおそれのある小売業者にはゼータスを供給しないこととの方針を説明し,了解を得て,さらに,同年12月ころ,個別に,前記(a)のとおり決定した最低販売価格を周知して,当該価格以上の価格で販売することを小売業者に遵守させるよう要請した。その他の代理店に対しては,平成12年5月ころ,個別に,取引先小売業者に最低販売価格以上の価格で販売させるとともに取引先小売業者が店頭,新開折り込み広告等で価格表示を行う場合には当該価格で表示させること及び最低販売価格を下回って販売するおそれのある小売業者にはゼータスを供給しないことを要請した。
ii 取引先小売業者である主要な家電量販店に対しては,平成11年12月以降平成12年6月ころまでの間に,個別に,最低販売価格以上の価格で販売すること及び店頭,新聞折り込み広告等で価格表示を行う場合には当該価格で表示することを要請した。
(c)代理店及び主要な家電量販店は,これらの要請を受け入れており,また,代理店は,それぞれの取引先小売業者に対し,同要請内容を周知し,取引先小売業者は,これを受け入れている。
b サンデンは,前記aの要請の実効を確保するため,小売業者の店舗に営業部員を巡回させるなどしてゼータスの販売価格の状況等を調査し,前記aの要請を遵守していない小売業者が判明した場合には,自ら又は代理店を通じて,最低版売価格を下回った価格で販売しないよう,また,最低販売価格を下回った価格で価格表示しないよう要請して,販売価格及び価格表示を最低販売価格に改めさせているほか,一部の小売業者に対し,代理店をしてゼータスの供給を停止させている。
(イ)サンデンの前記(ア)の行為により,取引先小売業者は,おおむね,最低販売価格以上の価格でゼータスを販売している。
ウ 排除措置
 サンデンに対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)ゼータスの北海道地区における販売に関し,自ら又は代理店を通じて,取引先小売業者に対し,最低販売価格以上の価格で販売するようにさせている行為を取りやめること。
(イ)次の事項を北海道地区のゼータスを販売する代理店及び小売業者並びに一般消費者に対し,それぞれ周知徹底させること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,前記(ア)の行為と同様の行為を行わない旨
(ウ)今後,石油ストーブの販売に関し,前記(ア)の行為と同様の行為により,小売業者の販売価格を制限しないこと。
3 審判開始決定事件
 当委員会は,独占禁止法違反の疑いで審査を行い,同法に違反する事実があると認めて排除措置を採るよう勧告し(第48条第1項及び第2項),勧告を受けたものが当該勧告を応諾しなかった場合において,事件を審判手続に付することが公共の利益に適合すると認めたとき,当該事件について事件の要旨を記載した文書をもって審判開始決定を行っている(第49条第1項及び第50条第1項)。 
 また,当委員会は,違反行為がなくなってから1年を経過しているため勧告を行うことができないが,課徴金納付命令の対象となる場合に行った課徴金納付命令(第48条の2第1項)に対し,相手方が不服を申し立て,審判手続の開始請求をした場合には,課徴金に係る違反行為,課徴金の計算基礎及び法令の適用を記載した文書をもって審判開始決定を行っている(第48条の2第5項,第49条第2項)。
(1) 出光石油化学(株)ほか3社に対する件(平成13年(判)第15号)


ア 被審人


 なお,次に掲げる関係人3社については,勧告に応諾したため,平成13年6月27日にこれらの者に対し,勧告審決を行っている。(後記ウ参照)


イ 審判開始決定の内容
(ア)a 出光石油化学(株),住友化学工業(株),サンアロマー(株)(モンテル・エスデイーケイ・サンライズ(株)が平成13年1月1日に商号変更したもの)及び(株)トクヤマの4社 (以下「被審人4社」という。)並びに日本ポリケム(株)(以下「日本ポリケム」という。),(株)グランドポリマー(以下「グランドポリマー」という。)及び,チッソ(株)(以下 「チッソ」という。)の3社(以下「3社」という。)の国内におけるポリプロピレンの販売量の合計は,我が国における同製品の総販売量のほとんどを占めている。
 国内におけるポリプロピレンの販売分野において第1位及び第2位の地位にある日本ポリケム及びグランドポリマーの2社のポリプロピレンの販売量の合計は,我が国における同製品の総販売量の半分近くを占めている。
b 被審人4社及び3社は,ポリプロピレンを,それぞれ直接又は販売業者を通じて需要者に販売している。賑売業者を通じて販売している場合も,販売価格については被審人4社及び3社が直接又は販売業者を通じて需要者と交渉して定めており,その価格から販売業者の口銭を差し引いたものを自らの販売価格としてい
る。
 なお,被審人4社及び3社は,自動車製造業者,自動車部品製造業者等一部の需要者との間で,あらかじめ,ポリプロピレンの賑売価格を原料であるナフサの価格(以下「ナフサ価格」という。)に連動して設定する旨の契約を締結している(以下,このような価格設定方式を「ナフサリンク方式」という。)。
c 被審人4社及び3社は,石油化学製品の製造業者を会員とし,石油化学工業の健全な発達と国民経済の発展に寄与することを目的として設立された石油化学工業協会の会員であり,同協会のポリプロピレン委員会の下部機関であるポリプロピレン委員会企画調査小委員会に被審人4社及び3杜の営業部長級の者が出席している。
d 被審人4社及び3社は,かねてから,各社の営業部長級の者による会合(以下「部長会」という。)を開催してポリプロピレンの販売に関する種々の情報交換を行い,ナフサ価格の上昇が予測される場合には,ポリプロピレンの販売価格の引上げについて検討するとともに,ナフサ価格の上昇を理由としてポリプロピレンの販売価格の引上げを行ってきた。被審人4社及び3社は,平成11年11月ころ以降,主として石油化学工業協会ポリプロピレン委員会企画調査小委員会が開催される際を利用して部長会を開催していた。
(イ)a 被審人4社及び3社は,平成12年1月に入ってもナフサ価格が上昇していたことから,同月21日ころ,同年2月7日ころ及び同月21日ころに開催した部長会において,その都度,同年4月以降のナフサ価格の見通しについて情報交換するとともに,同年4月以降のポリプロピレン(ナフサリンク方式により販売価格を設定しているものを除く。以下同じ。)の販売価格の引上げについて,各社の意思の合致を得るぺく検討を行っていたところ,同年3月6日ころ,東京都千代田区所在の石油化学工業協会会議室で開催した部長会において,同年4月以降のナフサ価格が,ポリプロピレンの販売価格を1キログラム当たり10円引き上げることを打ち出すことが可能な水準となる見通しであるとして,ポリプロピレンの販売価格を引き上げることで各社の意見が一致し,もって,同年4月以降,ポリプロピレンの需要者向け販売価格を1キログラム当たり10円を目途に引き上げることを合意した。
 次いで,被審人4社及び3社は,平成12年3月17日ころ日本ポリケム本社会議室において開催した部長会等において,各社におけるポリプロピレンの販売価格引上げについて,社内手続の進ちょく状況,引上げ額,実施日及び対外発表の時期をそれぞれ表明すること等により前記の合意を確認した。さらに,披審人4社及び3杜は,同部長会等において,ポリプロピレンの販売価格の引上げをより確実に行うため,各社が価格引上げ交渉を分担し,責任を持って価格を引き上げる大手の需要者(以下「責任分担ユーザー」という。)を取り決めることとし,各社において選択した案を次回の部長会に持ち寄ることとした。
b 被番人4社及び3社は,平成12年3月27日ころ,東京都中央区所在の飲食店「天山」において開催した部長会において,各社が持ち寄った案に基づき各社の責任分担ユーザーを取り決めるとともに,これらに対する価格引上げ交渉をそれぞれが責任を持って行うこととした。
c 被審人4社及び3社は,前記a及びbに基づき,それぞれ平成12年3月中旬ないし4月上旬以降,取引先販売業者及び需要者に対しポリプロピレンの販売価格を引き上げる旨通知し,責任分担ユーザー等の霜要者との間,直接又は販売業者を通じて価格引上げ交渉を行うとともに,同年4月以降開催した部長会において,責任分担ユーザー等の需要者に対する価格引上げ交渉の進ちょく状況について情報交換し,引き続き価格引上げ交渉を継続することを確認していた。その際,被審人4社及び3社は,1キログラム当たり10円を目途に価格引上げ交渉を継続するものの,交渉が難航している需要者に対しては交渉の早期決着を図るため,実質1キログラム当たり5円の価格引上げで需要者との間の交渉を決着させてもやむを得ないこととした。
(ウ)被審人4社及び3社は,前記(イ)により,平成12年4月以降,ポリプロピレンの販売価格を引き上げていた。
(エ)本件について,平成12年5月30日,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を間姑したところ,チッソは同年9月5日ころ,日本ポリケムは同月7日ころ,グランドポリマーは同月22日ころ,それぞれ,前記(イ)aの合意から離脱する旨等を前記(イ)の行為に参加した他の各社に文書により通知し,それぞれ,前記(イ)の行為から離脱した。日本ポリケムは,これに加え,平成12年10月25日ころまでに,自社の取引先販売業者及び需要者に対し,前記(イ)の行為から離脱した旨通知している。これらにより,前記(イ)の合意は事実上消滅したものと認められる。
ウ 3社に対する排除措置
 3杜に対する勧告審決において,次の措置を採るよう命じた。
(ア)グランドポリマー及びチッソの2社は,次の事項をそれぞれポリプロピレンの取引先販売業者及び需要者に周知徹底させること。
a 平成12年3月6日ころにポリプロピレンの製造販売業者の間で行ったポリプロピレンの販売価格の引上げに関する合意に基づく行為を取りやめ,自主的に販売価格を決定している旨
b 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同してポリプロピレンの販売価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(イ)3社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同してポリプロピレンの販売価格を決定せず,各社が自主的に決めること。
(2) 関東港業(株)に対する件(平成13年(判)第16号)

          
ア 被審人


 なお,次に掲げる関係人については,勧告を応諾したため,平成13年9月17日に,勧告審決を行っている。(後記ウ参照)


イ 審判開始決定の内容
(ア)a 新東京国際空港(以下「成田空港」という。)で輸入される植物は,成田空港において保税上屋事業を営む日本航空(株)(以下「日本航空」という。),国際空港上屋(株)(以下「国際空港上屋」といい,これら2社を以下「保税上屋2社」という。)等の保税上屋に搬入されるが,そのうち,植物防疫法(昭和25年法律第151号)の規定に基づく検査の結果,輸入するためにはくん蒸処理を行うことが必要とされたもの(以下「くん蒸貨物」という。)については,くん蒸用倉庫に収納して消毒用の薬剤によるくん蒸処理が行われている。
b 被審人関東港業(株)(以下「関東港業」という。)及び関東燻蒸(株)(以下「関東燻蒸」という。)は,成田空港におけるくん蒸貨物のくん蒸処理のすべてを行っている。
c 前記aのくん蒸処理には,保税上屋2社,横浜植物防疫所成田支所及び日本通運(株)がそれぞれ設置するくん蒸用倉庫が使用されているところ,関東港業及び関東燻蒸は,くん蒸貨物のほとんどを保税上屋2社のくん蒸用倉庫を使用してくん蒸処理している。
d 成田空港内で業務を行っている通関業者のうち12社,植物輸入業者のうち1社及び保税上屋2社は,保税上屋2社がそれぞれ成田空港内に新たにくん蒸用倉庫を設置するのに先立ち,昭和61年6月ころ, 当該くん蒸用倉庫の規模,設備内容及び合理的かつ適正な運用方針を策定することを目的としてくん蒸庫運営委員会と称する会合を発足させ,以後,必要に応じて会合を開催している。
 なお,平成7年ころ以降においては,関東港業及び関東燻蒸もくん蒸庫運営委員会の構成員として,その会合に参加している。
(イ)a 関東港業及び関東燻蒸は,昭和62年9月ころから,成田空港において,保税上屋2社のくん蒸用倉庫を使用して行うくん蒸貨物のくん蒸処理業務に関し,通関業者等から収受する各種の料金(以下「くん蒸料金等」という。)について,くん蒸庫運営委員会が策定した成田空港内のくん蒸料金等を統一する旨の方針に沿って,くん蒸庫運営委員会の了承を得てくん蒸料金等を設定してきたところ,遅くとも平成9年10月以降,くん蒸庫運営委員会の了承を得た上で,共同して,別表記載のくん蒸料金等を設定している。
b 関東港業及び関東燻蒸は,昭和62年7月ころ,保税上屋2社が成田空港内に新たに設置するくん蒸用倉庫を使用して行うくん蒸貨物のくん蒸処理業務について協議し,関東港業が奇数月に日本航空の,偶数月に国際空港上屋のくん蒸用倉庫を,関東燻蒸が奇数月に国際空港上屋の,偶数月に日本航空のくん蒸用倉庫をそれぞれ使用することとした上で,原則として,日本航空の保税上屋に搬入されたくん蒸貨物は日本航空のくん蒸用倉庫で,国際空港上屋の保税上屋に搬入されたくん蒸貨物は国際空港上屋のくん蒸用倉庫でそれぞれくん蒸処理することを申し合わせた。
 なお,平成9年2月ころ,ユナイテッド・エアー・ラインズ・インク(以下「ユナイテッド社」という。)が成田空港内に自社用保税上屋を設置したことに伴い,関東港業及び関東燻蒸は,ユナイテッド社の保税上屋に搬入されたくん蒸貨物を国際空港上屋のくん蒸用倉庫でくん蒸処理することとした。
(ウ)a 関東港業及び関東燻蒸は,前記(イ)aに基づき,成田空港において,保税上屋2社のくん蒸用倉庫を使用して行うくん蒸貨物のくん蒸処理業務に関し,平成9年10月以降,おおむね,別表記載のくん蒸料金等を収受している。
b 関東港業及び関東燻蒸は,前記(イ)bに基づき,昭和62年9月ころ以降,関東港業が奇数月に日本航空の,偶数月に国際空港上屋の保税上屋にそれぞれ搬入されたくん蒸貨物のほとんどを,関東燻蒸が奇数月に国際空港上屋の,偶数月に日本航空の保税上屋にそれぞれ搬入されたくん蒸貨物のほとんどを,それぞれ,くん蒸処理している。
 なお,関東港業及び関東燻蒸は,平成9年2月ころ以降,ユナイテッド杜の保税上屋に搬入されたくん蒸貨物を国際空港上屋のくん蒸用倉庫でくん蒸処理している。
ウ 関東燻蒸に対する排除措置
 関東燻蒸に対する勧告審決において,次の措置を採るよう命じた。
(ア)成田空港において,保税上屋2社のくん蒸用倉庫を使用して行う輸入植物のくん蒸処理業務に関し
a 遅くとも平成9年10月以降輸入植物のくん蒸処理業者の間で共同して設定してきた別表記載の各種の料金
b 昭和62年7月ころに行った,日本航空及び国際空港上屋のくん蒸用倉庫をそれぞれ隔月に使用することとした上で,原則として日本航空の保税上屋に搬入された輸入植物は日本航空のくん蒸用倉庫で,国際空港上屋の保税上屋(平成9年2月以降はユナイテッド社の保税上屋を含む。)に搬入された輸入植物は国際空港上屋のくん蒸用倉庫でそれぞれくん蒸処理する旨の申合せ
を破棄すること。
(イ)決の事項を成田空港における輸入植物のくん蒸処理業務に関する取引先に周知徹底させること。
a 前記(ア)に基づいて採った措置
b 今後,他の事業者と共同して,成田空港における輸入植物のくん蒸処理業務に関し,各種の料金を設定せず,また,いずれの保税上屋に搬入された輸入植物であるかによってくん蒸処理を行う者を定めることをせず自主的に決める旨
(ウ)今後,他の事業者と共同して,成田空港における輸入植物のくん蒸処理業務に関し,各種の料金を設定せず,また,取引の相手方を制限しないこと。
別表
1 くん蒸料金(平日午前8時30分~午後5時及び土曜日午前8時30分~午後0時30分)
(1) 倉庫くん蒸料金


(2) BOXくん蒸料金 1回20,000円
2 時間外くん蒸料金
                                
(上段)時間外割増率
(下段)最低料金

(注)時間外割増率は,上記1のくん蒸料金に対する割増率

3 待機料金(1件当たり)


4 早朝・深夜料金(午前6時~午前8時30分及び午後9時~午前1時30分)


(3) 大成建設(株)ほか33社に対する件(平成14年(判)第1号~第34号)


ア 被審人


イ 審判開始決定の内容
(ア)a 財団法人東京都新都市建設公社(以下「新都市建設公社」という。)は,原則として,土木工事を指名競争入札の方法により発注しており,工事予定価格が500万円以上である工事の発注に当たっては,新都市建設公社が入札参加資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から入札参加希望者を募り,入札参加希望者の中から指名競争入札の参加者を指名している。
 また,共同施工方式により施工する土木工事の発注に当たっては,入札参加希望者の中から建設共同企業体の構成員となるべき者を選定し,これらの者により結成された建設共同企業体を,指名競争入札の参加者として指名している。
b 新都市建設公社は,前記有資格者を,その事業規模等により工種区分ごとにAからEまでのいずれかのランク(以下「事業者ランク」という。)に格付し,また,発注する土木工事を,その工事予定価格の額を基準とし,これに工事の技術的な難易度等を勘案して,AからEまでのランクの工事及び共同施工方式により施工する工事に分けて格付しているところ,指名競争入札の参加者として事業者を指名するに当たっては,発注する土木工事のランクに対応する事業者ランクに格付された者の中から指名することを基本とし,また,指名競争入札の参加者として建設共同企業体を指名するに当たっては,事業者ランクがAランクである者を構成員のうちの代表者(以ド「代表者」という。)とし,これと事業者ランクがAからCまでのいずれかの者との組合せによる建設共同企業体を結成させ,当該建設共同企業体を指名競争入札の参加者としている。
c 被審人34社(以下「34社」という。)は,いずれも,新都市建設公社により前記登録を受け,土木工事のうち下水道工事及び一般土木工事の工種区分における事業者ランクがAランクとして格付されている者である。
 多摩地区においては,34社以外にも,34社と同様に事業活動を行っている広域総合建設業者(以下「その他の広域総合建設業者」という。)が存在する。
d 建設共同企業体を結成して新都市建設公社の指名競争入札に参加する場合には,通常,代表者である者が入札価格を決定している。
(イ)34社は,遅くとも平成9年10月1日以降,新都市建設公社が34社及びその他の広域総合建設業者のうちの複数の者を指名し又はこれらのいずれかの者を代表者とする複数の建設共同企業体を指名して指名競争入札の方法により発注するAランクの格付の土木工事及び共同施工方式により施工する土木工事(以下「新都市建設公社発注の特定土木工事」という。)について,受注価格の低落防止を図るため
a 新都市建設公社から指名競争入札の参加者として指名を受けた場合(自社が構成員である建設共同企業体が指名を受けた場合を含む。)には,当該工事若しくは当該工事の施工場所との関連性が強い者若しくは建設共同企業体又は当該工事について受注の希望を表明する者若しくは建設共同企業体(以下「受注希望者」という。)が1名のときは,その者を当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)とし,受注希望者が複数のときは,それぞれの者の当該工事又は当該工事の施工場所との関連性等の事情を勘案して,受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定する
b 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は.受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,指名競争入札の参加者として指名を受けたその他の広域総合建設業者の協力を得て,また,必要に応じて,広域総合建設業者の多摩地区における営業担当者のうちの有力者の助言を得るなどして,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(ウ)34社は,前記(イ)により,新都市建設公社発注の特定土木工事の過半を受注していた。
(エ)平成12年9月27日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,34社は,同日以降,前記(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を事実上取りやめている。