第2章 入札談合等関与行為防止法の制定・施行等

第1 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律(平成14年法律第101号)

1 制定の経緯等
 近年,入札参加業者による談合行為等に国・地方公共団体等の職員が関与している事例,いわゆる「官製談合」が発生しているが,これまでこれらを防止する上で有効な手段がない状況であった。そこで,与党3党においてプロジェクトチームが設置され,官公需分野における競争の促進や予算執行の適正化を目指し入札談合等関与行為の防止のための新法制定の検討が進められ,与党3党の議員立法として入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案が平成14年6月11日,第154回通常国会に提出された。衆議院においては,同年7月17日に経済産業委員会で,同月18日に本会議でそれぞれ可決され,参議院に送付された。参議院においては,同月23日に経済産業委員会で,同月24日に本会議でそれぞれ可決され,同法律案は成立し,同月31日に公布された(平成14年法律第101号)。
 なお,施行日は,公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日とされ,入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の施行期日を定める政令(平成14年政令第334号。平成14年11月13日公布。)により,平成15年1月6日から施行となった。
 なお,平成15年1月30日に排除勧告を行った岩見沢市発注の建設工事入札談合事件において,岩見沢市職員の入札談合等関与行為が認められたため,同法の規定に基づき,岩見沢市長に対し改善措置要求を行った。
2 法律の内容
(1) 入札談合等関与行為を排除するための行政上の措置
 入札談合等事件についての調査の結果,入札談合等関与行為(注1)があると認める場合の公正取引委員会から各省各庁の長等(注2)に対する必要な改善措置の要求,当該要求を受けた各省各庁の長等による調査の実施・必要な改善措置の検討,調査結果等の公表等について規定されている。
(注1)  入札談合等関与行為は以下の3類型(第2条第5項)である。
(1) 談合の明示的な指示(事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること)
(2) 受注者に関する意向の表明(契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し,又は示唆すること)
(3) 発注に係る秘密情報の漏洩(入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを,特定の者に対して教示し,又は示唆すること)
(注2)  各省各庁の長,地方公共団体の長又は国若しくは地方公共団体が資本金の1/2以上を出資している法人の代表者(第2条第3項)
(2) 職員に対する損害賠償請求・懲戒事由の調査
 各省各庁の長等による入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償請求・懲戒事由の調査について規定されている。
(3) その他
 入札談合等関与行為の防止に向けた関係行政機関相互の連携・協力,本法運用上の地方公共団体等の自主的な努力への配慮等について規定されている。