第2部 各論

第13章 景品表示法に関する業務

第1 概説

景品表示法は、平成21年9月、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質の表示に関する事務を一体的に行うことを目的として消費者庁が設置されたことに伴い、公正取引委員会から消費者庁に移管された。消費者庁への移管に伴い、景品表示法の目的は、「商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること」とされた。

1 景品表示法違反事件の調査

景品表示法は、不当な顧客の誘引を防止するため、景品類の提供について、必要と認められる場合に、内閣府告示(注)により、景品類の最高額、総額、種類、提供の方法等について制限又は禁止し(第3条)、また、商品又は役務の品質、規格その他の内容又は価格その他の取引条件について一般消費者に誤認される不当な表示を禁止している(第4条第1項)。これらの規定に違反する行為に対し、消費者庁長官は措置命令を、都道府県知事は指示を行い、これを是正させることができる(第6条及び第7条)。公正取引委員会は、消費者庁長官から景品表示法違反事件に係る調査権限の委任を受け、景品表示法の規定に違反する行為について必要な調査等を行っている。

(注) 消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律による改正前の景品表示法に基づく従来の公正取引委員会告示は、経過措置により引き続き効力を有する。

2 公正競争規約制度

景品表示法第11条の規定に基づき、事業者又は事業者団体は、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択と、事業者間の公正な競争を確保するため、協定の締結又は規約の設定をすることができる。当委員会は、協定又は規約(以下これらを総称して「公正競争規約」という。)の認定に当たり、事業者間の公正な競争の確保等の観点から審査を行っている。

第2 景品表示法違反事件の調査

消費者庁は、景品表示法違反事件について、違反行為者に対して措置命令を行うほか、違反のおそれのある行為等がみられた場合には関係事業者に対して指導を行っている。

平成24年度において、消費者庁が措置命令を行った37件のうち、公正取引委員会及び消費者庁による調査の結果を踏まえたものは12件であり、消費者庁が指導を行った265件のうち、当委員会及び消費者庁による調査の結果を踏まえたものは119件である(第1表及び第2表参照)。

第1表 平成24年度において公正取引委員会が調査に関わった景品表示法違反被疑事件の処理状況

第2表 平成24年度に消費者庁により措置命令が行われた事例のうち公正取引委員会が調査に関わったもの

第3 公正競争規約の認定

1 概要

平成25年3月末現在、105件(景品関係37件、表示関係68件)の公正競争規約が認定されている(附属資料6参照)。これらの公正競争規約に参加する事業者又は事業者団体により、公正競争規約の運用団体として公正取引協議会等(以下「協議会等」という。)が組織されているところ、協議会等は、公正競争規約の運用上必要な事項について、公正競争規約の定めるところにより、施行規則、運用基準等を設定している。公正取引委員会は、協議会等がこれらの施行規則等の設定・変更を行うに際しても、事業者間の公正な競争の確保等の観点から審査を行い、問題があれば指導を行っている。

2 新たに認定した公正競争規約

仏壇の表示に関する公正競争規約の新設の認定を行った(平成24年4月12日認定 平成24年公正取引委員会・消費者庁告示第2号)。

3 公正競争規約の変更

包装食パンの表示に関する公正競争規約及び不動産の表示に関する公正競争規約の一部変更の認定(平成24年5月17日認定 平成24年公正取引委員会・消費者庁告示第3号及び第4号)等を行った。