第2部 各論

第6章 競争政策に関する理論的・実証的基盤の整備

1 はじめに

いわゆる経済の高度化,ボーダーレス化等が進展する中で,公正取引委員会における競争政策上の制度設計や法執行に関し,経済学的,あるいは法学的な分析の成果を取り入れる必要性がますます高まっている。

このような中,公正取引委員会は,平成15年6月,事務総局内に「競争政策研究センター(CPRC)」を発足させた。同センターでは,外部の研究者や実務家と当委員会事務総局の職員との協働による研究等,独占禁止法及び関連する法律の執行や競争政策の企画・立案・評価を行う上での理論的・実証的な基礎を強化するための活動を展開している。

2 共同研究報告書及びディスカッション・ペーパー

競争政策研究センターでは,経済学者,法学者及び公正取引委員会事務総局の職員(競争政策研究センター研究員)の三者協働を原則に,複数の競争政策に関する研究テーマに取り組んでいる。

平成26年度においては,4テーマについて研究を実施した。また,前年度の共同研究について4本の共同研究報告書を公表した。このほか,共同研究報告書で取り上げたテーマを更に掘り下げた研究,競争政策研究センターが開催する公開セミナーや国際シンポジウムの際に報告・紹介された研究等をディスカッション・ペーパーとして公表している(第1表,第2表及び第3表参照)。共同研究報告書及びディスカッション・ペーパーは競争政策研究センターのウェブサイト(http://www.jftc.go.jp/cprc/index.html)上に全文を掲載している。

第1表 共同研究テーマ(平成26年度)

第2表 共同研究報告書(平成26年度公表分)

(注) 執筆者の役職等は公表時点のものである。

第3表 ディスカッション・ペーパー(平成26年度公表分)

(注) 執筆者の役職等は公表時点のものである。

3 競争政策研究センター主催シンポジウム,セミナー等

(1) 国際シンポジウム

競争政策に関する国際的な交流拠点としての機能を果たすため,競争政策研究センターでは,海外の競争当局担当者や学識経験者を迎えた国際シンポジウムを開催している。

競争政策研究センターは,平成27年3月6日,㈱日本経済新聞社との共催により,基調講演者としてStuart Grahamジョージア工科大学経営大学院助教授及びBruno van Pottelsbergheブリュッセル自由大学ソルベイブリュッセル経済経営学院長を,コメンテーターとして田村善之北海道大学大学院法学研究科教授及び長岡貞男一橋大学イノベーション研究センター教授を招へいし,「急増する特許権とイノベーション~競争政策の役割~」をテーマに国際シンポジウムを開催した。同シンポジウムでは,前記2名の講演者から,アメリカ及びEUにおける特許政策の動向等について報告が行われ,その後行われたパネル・ディスカッションでは,特許制度と競争政策の関係,イノベーションを促進するための競争当局の役割等について議論が行われた。

(注) 基調講演者等の役職等は開催時点のものである。

(2) 公開セミナー

競争政策研究センターでは,共同研究報告書等の研究成果を対外的に紹介するために,公開セミナーを開催している(第4表参照)。

第4表 公開セミナーの開催状況(平成26年度)

(注) 講師等の役職等は開催時点のものである。

(3) ワークショップ

共同研究の研究計画,進捗状況,最終報告書案等について,主任研究官,客員研究員等と公正取引委員会事務総局の職員が議論することにより,共同研究の質的向上を図ることを主たる目的として,定期的にワークショップを開催している。平成26年度においてはワークショップを6回開催した(第5表参照)。

第5表 ワークショップの開催状況(平成26年度)

(4) CPRCセミナー

競争政策研究センターは,将来の研究課題の発掘等に資するために,競争政策上の課題について有識者による講演をCPRCセミナーと題して開催している。

(5) BBL(Brown Bag Lunch)ミーティング

競争政策研究センターは,将来の研究課題の発掘等に資するために,競争政策の観点から注目すべき業界の動向等について,有識者による講演を昼食時間等を利用してBBLミーティングと題して開催している。