カナダ

カナダ競争局,改正された知財執行ガイドラインを公表

2016年3月31日 カナダ競争局 公表
原文

【概要】

 カナダ競争局は,改正された知財執行ガイドラインを公表した。カナダ競争局は,技術革新を促進し時代に合ったガイドラインとするために,毎年知財執行ガイドラインの見直しを行い,環境の変化,競争審判所及び裁判所の決定に照らし必要な改正をすることとしている。
 今回のガイドラインの主な改正点として,カナダ国内外の製薬業界に関連する問題でもある特許訴訟上の和解やプロダクト・スイッチング(product switching)*1に関するカナダ競争局の立場を明らかにしている。また,改正ガイドラインには,特許主張団体(patent assertion entities)や標準規格必須特許保有者の行為にカナダ競争局がどう対処するのかについても述べられている。

*1 特許対象医薬品の特許独占期間が残り少なくなってきた段階で,剤形変更(カプセルから錠剤に変える等)をすることで新たな特許を取得し,より長く利益をもたらす新型の薬に患者を移行させるため,旧型の薬の販売を中止すること。

イギリス

英国競争・市場庁,プレキャストコンクリート排水管のカルテルを行った疑いで,個人1名を刑事訴追

2016年3月7日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】

 英国競争・市場庁は,同庁による調査を受けて出頭を命じられていたバリー・ケネス・クーパーが,英国ウェストミンスター治安判事裁判所に出頭し,2002年企業法第188条のカルテル罪で起訴された旨公表した。同氏は,プレキャストコンクリート排水管の英国における供給について,2006年から2013年にかけて,他社と不正に供給分割(divide supply),価格調整及び顧客分割の合意をしており,本件合意は,スタントン・ボナ社,FPマッカン社,CPMグループ社及びミルトン・パイプス社の事業に関わるものである。

ドイツ

ドイツ連邦カルテル庁,市場支配的地位の濫用を行った疑いでフェイスブック社に対する審査開始

2016年3月2日 ドイツ連邦カルテル庁 公表
原文

【概要】

 ドイツ連邦カルテル庁は,顧客データの利用に関する特定のサービス条項をもってフェイスブック社がソーシャルネットワーク市場において市場支配的地位を有する可能性があり,これを濫用した疑いで,米国フェイスブック社,同社のアイルランド子会社及びハンブルグに所在するフェイスブック社のドイツ法人に対する審査を開始した。
 フェイスブック社の顧客情報の利用条件については,当初,個人情報保護法令の規定に抵触する疑いがあった。市場支配的地位にある事業者側における違反行為の全てが競争法に関係するわけではないが,問題となっているフェイスブック社による違法なサービス条項や条件の設定は,顧客に対する不公正な条件の濫用的押し付けに該当し得る。ドイツ連邦カルテル庁は,特にフェイスブック社が市場支配的地位を有する可能性があることと当該条項の利用にどの程度の関連性が認められるのかについて検証することとしている。
 同庁の追加的な市場調査によると,フェイスブック社はソーシャルネットワーク市場において市場支配的地位を有していることの証拠を持っており,膨大な顧客情報を様々なところから収集し,個々の顧客分析を行う(creating user profiles)ことにより,広告主が宣伝活動の対象を絞り込めるようにしている。ソーシャルネットワークにアクセスするためには,利用者はフェイスブック社による情報収集及びその情報を利用するサービス条項に同意しなければならないが,この手続は,特にドイツの個人情報保護法令との関係でその合法性がかなり疑われるものである。仮に当該行為と市場支配的地位との間に関連性が認められる場合には,競争法に基づき市場支配的地位の濫用が成立し得ることとなる。
 ドイツ連邦カルテル庁は,本件審査について,ドイツの情報保護担当部局及び消費者保護協会並びにEU及び他のEU加盟国の競争当局と密接に連絡を取りながら進めている。

オーストラリア

豪州競争・消費者委員会,ミック・キーオ新委員を歓迎

2016年2月24日 豪州競争・消費者委員会 公表
原文

【概要】

 豪州競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)は,豪州政府がミック・キーオ氏を委員に任命したことを歓迎した。
 ACCCのシムズ委員長は,
 「農業分野における競争及び消費者問題は,ACCCの優先分野である。キーオ氏は,長年にわたり農業分野に関わっており,ACCCが農業問題で決定を行う際には,同氏の経験がACCCにとって非常に有益となるだろう。
 また,同氏は,農業市場における競争及び公正取引に係る問題を明確化する業務を行い,様々な主要産業団体との関係構築を担当するACCC農業関連執行対策課の業務に関して重要な役割を果たすだろう。」
 と述べている。
 ACCCは,農業競争力白書に基づき付与された財源によって,農村部及び地方における調査及び関連業務を担当する職員を増員して農業関連執行対策課を設立した。

韓国

韓国公正取引委員会,企業結合審査基準を公表

2016年2月22日 韓国公正取引委員会 公表
原文

【概要】

 韓国公正取引員会(以下「KFTC」という。)は,2015年6月30日付で改正した公正取引委員会告示第2015‐3号「企業結合審査基準」の英語版を2016年2月22日に公表した。主な変更点は,KFTCが届出前相談を受け公正取引法第7条第1項に違反しない旨通知した企業結合を,同基準「第3」に規定する簡易審査の項目として,新たに下記のとおり「5」を追加した点である。該当する箇所は次のとおりである。
第3 簡易審査の対象となる企業結合
 簡易審査の対象となる企業結合は,次のいずれかに該当する企業結合であり,届出に関する法的書類受領後15日以内に届出業者(the relevant reporter)に対して審査結果を通知する。当該簡易審査は,原則として,届出の内容が事実であるか否かという点のみを審査する。
1~4(略)
5 公正取引法第12条第9項に基づき,買収業者側がKFTCに対し自主的に届出前相談を行い,KFTCが,当該企業結合について,公正取引法第7条第1項に違反しない旨通知した場合において,買収業者側が公正取引法第12条第1項に基づき届出を行う場合。

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