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2017年2月

英国

英国競争・市場庁,製薬会社のファイザー及びフリン・ファーマに対して,抗てんかん薬に関して,NHS(国民医療制度)に極端な価格を支払わせたとして,約9000万ポンドの制裁金を賦課

2016年12月7日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】

 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,医薬品メーカーのファイザーと医薬品卸売のフリン・ファーマが,それぞれ英国において,抗てんかん薬であるフェニトインナトリウムカプセル(以下「本件医薬品」という。)を著しく不公正な価格で販売し,競争法に違反したと認定し,前者に8420万ポンドの,後者に520万ポンドの制裁金をそれぞれ賦課した。また,CMAは両社に同カプセルの価格を引き下げるように命じた。
 制裁金の額は,2012年9月に意図的にブランドが外された後,本件医薬品の価格が一晩で最大2,600パーセント引き上げられたことを踏まえたものである。例えば,本件医薬品に関して国民医療制度(National Health Service,以下「NHS」という。)に請求された金額は100mgパックのものが,2.83ポンドだったのが,一時は67.50ポンドまで上昇した。価格がこのように引き上げられた結果,NHSの本件医薬品に対する支出は2012年には約200万ポンドだったものが,2013年には約5000万ポンドに増加した。本件医薬品の英国における価格は,ヨーロッパの他の諸国においてファイザーが販売する同じ薬の価格の数倍も高くなっている。

 本件医薬品は,てんかんの治療薬として,発作の予防及び抑制のために使用されており,英国において推定48,000人の患者にとって重要な医薬品である。既に本件医薬品を服用している患者にとっては,他のメーカーの製品を含む他の製品に切り替えれば,発作の抑制が困難となり,健康に深刻な悪影響をもたらす危険がある。このため,NHSは,価格引上げを受け入れる以外に取り得る手段はなかった。2012年9月までファイザーは,本件医薬品を自ら製造し,英国の卸売業者及び薬局にEpanutinのブランドで販売し,価格も規制されていた。しかし,2012年9月にファイザーは,英国におけるEpanutinの販売権をフリン・ファーマに売却し,フリン・ファーマはEpanutinのブランドを外し(ジェネリックのようにし)たことから,価格規制の対象とはならなくなった。
 ファイザーは2012年9月以降も本件医薬品の製造を継続しているが,それまで,Epanutinブランドで英国において販売していた価格よりも大幅に高い価格,つまり以前のファイザーの卸売価格より780パーセントから1,600パーセントも高い価格でフリン・ファーマに供給している。そして,フリン・ファーマは,本件医薬品を英国の卸売業者や薬局に対して,これらの事業者がそれまで払っていた価格より2,300パーセントから2,600パーセントも高い価格で販売している。

 最終決定と制裁金は,2012年9月以降に,ファイザーがフリン・ファーマに課した価格と,フリン・ファーマが取引先に課した価格の両方を対象としている。CMAは,ファイザーとフリン・ファーマが本件医薬品の製造と供給のそれぞれの市場で支配的な地位を占め,それぞれに著しく不公正な価格を課すことで,その支配的な地位を濫用していると認定した。
 CMAのthe Case Decision Groupの議長(Chairman)であるPhilip Marsdenは次のように述べている。
 「両事業者は,計画的にブランドを外すことで,何千人もの患者が依存する医薬品の価格を引き上げる機会を利用したものであり,それらの異常な価格の引上げにより,NHSと納税者は数千万ポンドの負担を被っている。」
 「一般的には,事業者は自由に価格を設定することができる。しかし,支配的な地位にある者は,その状況を濫用し,著しく不公正な価格を課すべきではない。(そして)本件医薬品が非常に古い薬であり,新たな技術革新や重要な投資が行われていない場合,そのような価格の引上げは正当性はない。」
 「本件はCMAが課した最高額の制裁金である。これは,関連セクターに対して,NHS,納税者などの顧客に対する搾取を防ぐために,本件のような行為を断ち切ることを決めたという明確なメッセージである。」

 ファイザーは,Epanutin ブランドを外すまでは損失を被っていたと主張する。しかし,CMA は,ファイザーが提出した数字を基に算出すれば,そのような損失は価格を引き上げて2か月以内に全て解消したはずであると判断した。
 本件医薬品が,リスクなく患者に供給され続けるため,CMAはファイザーとフリン・ファーマに対し,30営業日から4か月の間に,それぞれが価格を引き下げることを指示した。両社は引き続き採算の取れる価格を課すことができるが,その価格は著しく不公正なものであってはならない。

英国競争・市場庁,製薬メーカーのアクタビスUKに対して,ハイドロコルチゾン錠についてNHS(国民医療制度)に著しく高い価格を請求している行為は競争法に違反している旨の異議告知書を発出

2016年12月16日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】

 製薬メーカーのアクタビスUK(旧Auden Mckenzie)は,10mgのハイドロコルチゾン錠の価格を,2008年4月以前に,別の会社が販売していたブランド医薬品と比較して12,000パーセント以上も引き上げた。その結果,国民医療制度(National Health Service,以下「NHS」という。)に対する10mgパック当たりの価格が,2008年4月の0.70ポンドから2016年3月までに88.00ポンドに値上がりした。
 同社はまた,20mgのハイドロコルチゾン錠剤の価格を,それまでのブランド医薬品の価格と比較して約9,500パーセント引き上げた。そして,NHSに対する請求額も,以前のブランド医薬品では1パック1.07ポンドだったものが,2016年3月までに102.74ポンドとなった。ブランド外(ジェネリック)医薬品は価格規制の対象とはなっていない。
 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,同社に異議告知書を発出し,その中で,英国における錠剤の販売において著しく高い,不公正な価格を課す行為は競争法に違反すると主張している。
 ハイドロコルチゾン錠剤は,例えばアジソン病など,副腎が十分なステロイドホルモンを産生しない(副腎不全の)人々のための主要な補充療法として使用されている。そして,これらの疾患は患者の命を危機にさらすものである。2015年に英国で約943,000パックがハイドロコルチゾン錠剤用に調剤された。
 2008年4月以前,NHSはハイドロコルチゾンの錠剤に年間約522,000ポンド払っていたものが,2015年までに,NHSの同錠剤に対する支出は1年に7,000万ポンドに上昇した。
 CMA上級担当官(Senior Responsible Officer)は次のように述べている。
 「これ(ハイドロコルチゾン錠剤)は,何千人もの患者が頼りにする救命救急薬であり,NHSとしてはこれを購入し続ける以外にない。CMAは,同社が同錠剤に係るこのような事情と,医薬品に対する価格規制の回避を利用することで,NHS,更に最終的には納税者に対して,実質的な価格上昇の責任を引き受けさせていると主張するものである。」
 「CMAの調査結果は暫定的なものであり,現段階では,実際に競争法違反があったという結論が下されたわけではない。CMAは,調査中の当事者の反論について注意深く検討した上で,法律が侵害されているかどうかを判断することになる。」
 CMAでは,医薬品セクターにおいて,他に3件の調査が進行中である。先週CMAは,抗てんかん剤フェニトインナトリウムの著しく高い価格を請求する行為について,製薬メーカーのファイザーとフリン・ファーマに総計約9,000万ポンドの制裁金を課した。また,今年2月には,CMAは抗うつ薬「パロキセチン」の供給に関連して反競争的な契約や行動を行なったとして,多くの製薬メーカーに総計4500万ポンドの制裁金を賦課している。

英国競争・市場庁,亜鉛めっき鋼タンク供給業者3社に対して,共謀により顧客を分割し,建設工事発注に係る入札で談合していたとして,総額260万ポンドの制裁金を賦課。さらに,1社について,事業上重要な情報を競争業者と交換し,不確実性を引き下げたとして,総額13万ポンドの制裁金を賦課

2016年12月19日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】

 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は亜鉛めっき鋼のタンク供給業者に対して制裁金を賦課する2件の決定を行った。
 なお,亜鉛メッキ鋼のタンク(以下「本件タンク」という。)は,学校,病院,商業施設,公共施設など大規模な建造物の貯水のために用いられ,火災用スプリンクラーに水を供給するものである。

カルテル行為に対する決定
 CMAは2016年3月の和解,同年5月の異議告知書の手続を経て,以下の各社に,総額260万ポンドを超える額の制裁金を賦課する決定を下した。
・ Franklin Hodge Industries及びその親会社Carter ThermalIndustriesに対して201万5135ポンド
・ Galglass及びその親会社Irish Industrial Tanks並びにKernoffに対して58万7926ポンド
・ KW Suppliesに対して2万2248ポンド
 Franklin Hodge Industries,Galglass及びKW Suppliesは,4社目のタンク供給業者であるCST Industries(UK)とともに,2005年から2012年の間,共謀して顧客をそれぞれに割り振り,市場を分け合い,契約の入札における価格を取り決めることで談合を行ってきたことを認めた(以下,これら一連の行為を「本件協定」,また,本件協定に参加した上記の4社を「本件サプライヤー」という。)。
 本件協定の目的は,顧客が各社を競わせて最も有利な取引条件を引き出す交渉をできないようにすることで,本件タンクからの利幅を改善することであるが,CST Industries(UK)及びその親会社CST Industries Inc.については,当庁に本件協定を通知し,調査に協力したことから,CMAのリニエンシーポリシーに従い制裁金を免除された。

情報交換に対する決定
 上記の決定とは別に,CMAはFranklin Hodge Industries,Galglass,KW Supplies及びBalmoral Tanksが競争法に違反して,現在及び将来の入札価格に関する各社の意向に関して情報を交換し,これら4社間の価格設定に係る意向に関する不確実性を減少させていた事実を認定した。この情報交換の内容には,2種類の大きさのタンクについての,各社の希望する価格帯に関する情報が含まれる。
 Balmoral Tanks(及びその親会社であるBalmoral Group Holding)は,このような違法な情報交換に参加していたことから13万ポンドの制裁金が賦課されている。この情報交換は2012年7月の会合で一度だけ行われ,その場でBalmoralはカルテルへの参加を誘われた。Balmoralはカルテルへの参加は拒絶したが,競争業者と営業上の機密情報について交換していたところ,CMAにより密かに録音されていたものである。

ドイツ

ドイツ連邦カルテル庁,大手スーパーマーケットチェーンEDEKAによる同業のKaiser’s Tengelmannの買収計画に関連して,EDEKAが買収したKaiser’s Tengelmannのアウトレットの一部を第三者に売却することを承認

2016年12月8日 ドイツ連邦カルテル庁 公表
原文

【概要】

 ドイツ連邦カルテル庁は,スーパーマーケットチェーン大手のEDEKAによる同業のKaiser's Tengelmannの買収計画に関連して,EDEKAが買収したKaiser's Tengelmannのアウトレットのうち,ベルリンに持つ63箇所のアウトレット並びにノルトライン=ヴェストファーレン州及びミュンヘンに持つ2箇所のアウトレットを,同じくスーパーマーケットチェーン大手のREWEに売却することを許可した。
 ドイツ連邦カルテル庁のムント長官は,「大臣許可(注1)のおかげで,業界最大手のEDEKAはKaiser's Tengelmannが持つ全てのアウトレット店を取得することが可能となった。この結果は競争法の観点からは喜ばしいものではないが,同許可で述べられている公共の利益の観点から認められたものである。本件大臣許可のシナリオを踏まえれば,上記のアウトレットをEDEKAがREWEに売却することでも,競争の状況を比較的改善することにつながる。」と述べた。
 ドイツ連邦カルテル庁による上記の売却に対する評価は,REWEが上記の大臣許可に対して起こした取消抗告訴訟(注2)を取り下げ,連邦経済エネルギー省が大臣許可の条件を満たされると告示した後に示されたものであり,これで当該大臣許可は確定し有効となり,EDEKAはKaiser's Tengelmannを買収することが可能となった。
 Kaise'rs Tengelmannを取得することでEDEKAはすべての関連市場において最大手となる。そのため,アウトレットのREWEへの売却は競争状態を悪化させず,構造改善につながる。当該売却が認められるのは,このような理由に基づくものである。
 当事者との事前の交渉において,当事会社及びその仲裁者は,ドイツ連邦カルテル庁にアウトレットをREWEに売却することについて競争法上の見解を求めてきたところ,大臣許可により買収が確定的に有効になるとの条件の下,ドイツ連邦カルテル庁は,競争法の観点からどの商業圏であればEDEKAのアウトレットの売却が問題とならないか,現時点での暫定的評価(first indicative assessment)を伝えたもので,これは,仲裁者との交渉に係る競争法の枠組みにのっとり行われた。ドイツ連邦カルテル庁は,複雑な企業結合案件に関して,正式な届出に先立ち当事会社が関連情報を同庁に提供した場合には,当該結合計画についての暫定的な評価を提供してきている。

注1:個別の事例に関し,経済全体にもたらされる結合による利益が競争制限よりも大きい場合,又は結合が顕著な公共の利益により正当化される場合には,連邦経済エネルギー大臣は,申請に基づいて,ドイツ連邦カルテル庁が禁止した結合を許可することができる。

注2:EDEKAによるKaiser's Tengelmannの買収計画に対して連邦経済エネルギー大臣が付与した許可の取消しを求めて提起されたもの。

オーストラリア

オーストラリア連邦高等裁判所,上告審において,フライト・センターが価格拘束を企図したとする豪州競争・消費者委員会の主張を認める

2016年12月14日 豪州競争・消費者委員会 公表
原文

【概要】

 豪州競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)は,大手旅行代理店で海外格安航空券の予約・販売を営むフライト・センターが,同社が販売する航空券よりも安い航空券をオンラインで販売する航空会社3社に対して,価格制限協定を促した事件(以下「本件」という。)に係るオーストラリア連邦高等裁判所(High Court,以下「連邦高等裁判所」という。)への上告審に勝訴した。
 連邦高等裁判所は,本件の関連市場は国際線航空券の販売サービスであり,重要な点としてフライト・センターと各航空会社とが当該市場で競合関係にあると認定した。これは,フライト・センターが各航空会社の代理店であったにもかかわらず認定されたものである。
 ACCC委員長のRod Simsは「ACCCは今日の連邦高等裁判所の判決を歓迎する」とし,以下のように述べた。
 「 ACCCは,この事件におけるフライト・センターの行動が競争プロセスに影響を与えることを懸念してこの問題を追及した。この問題の核心は,フライト・センターと航空会社が法的に競合関係にあるとみなすことができるかという問題である。ACCCとしては,フライト・センターと航空会社らとは消費者への航空券の販売を巡って競合関係にあると主張してきた。」
 「 当該判決は,将来の競争法の適用について,本件以外にも,今後,オーストラリアにおいて,本人とその代理人の関係に立つものが,それぞれ競合するオファーを顧客に直接行っている状況に対して競争法を適用する上で重要な指針を提供するものである。特に,本人たる事業者がオンライン販売において代理人と競合関係にある場合に有用である。」
 本日の連邦高等裁判所の判決は,2013年12月に,本件に係るACCCの主張を認めた第一審の連邦裁判所(Federal Court)の判決に沿ったものである。当該連邦裁判所の判決について, フライト・センターは連邦控訴裁判所に控訴,2015年7月の判決で覆されたことから,ACCCは最終審である連邦高等裁判所に上告したものである。
 (今日の判決により)訴訟事実は,訴訟両当事者が提起する制裁金に係る控訴及び交差控訴に対する連邦控訴裁判所の判断に戻ることになる。

背景事実
連邦裁判所における審理
 ACCCは,2012年,フライト・センターに対する訴えを提起,2005年から2009年まで6回にわたり,フライト・センターは,シンガポール航空,マレーシア航空,エミレーツ航空との間で,これらの航空会社が販売する国際線航空券について,フライト・センターが提供する価格より安い価格をオンラインで販売していたことに対応して,価格制限協定を結ぼうとしたと主張した。
 フライト・センターは「最低価格保証」をしていたところ,競合他社の運賃と比較して1ドル低く設定し,20ドルのバウチャーを顧客に提供することを余儀なくされていた。
第一審でLogan判事は,フライト・センターが競争法に違反していると判断し,合計1100万ドルの制裁金の支払いを命じた。
 同判事は,フライト・センターと航空会社は,国際線航空券の予約及び配送サービスの市場において,航空券の売上に係る小売等流通マージンを巡って競争していること,そして,フライト・センターは各航空会社に対して,競争制限的協定又は合意を結ぶように働きかけ,各航空会社が自社のウェブサイトにおいて,フライト・センターが提供する価格を下回る価格で国際線航空券を提供するのをやめさせようとしたと認定した。

連邦控訴裁判所における審理
 フライト・センターは,競争法上の責任と制裁金に関するLogan判事の決定について連邦控訴裁判所に控訴し,ACCCもフライト・センターに対する制裁金の額について交差控訴した。
 連邦控訴裁判所は,フライト・センターの訴えを認め,ACCCの訴えを却下した。
 Logan判事の決定を覆す上で,連邦控訴裁判所は,消費者への配送及び予約サービスに関する別個の市場はなく,したがって,フライト・センターと航空会社は当該市場で競合関係にないと判断した。加えて,予約及び配送サービスの提供は,国際航空旅客サービスに付随的なサービスであり,フライト・センターは各航空会社の競争者ではなく,代理人として活動していると認定した。

連邦高等裁判所における審理
 ACCCは,連邦高等裁判所に上訴するための特別許可を求める申請書を提出,2016年3月11日に特別許可が付与され,2016年7月27日に審理された。

韓国

韓国公正取引委員会,米国クアルコムの携帯電話の標準必須特許の濫用に関して,1社に対して課す最高額となる1.03兆ウォン(約1000億円)の課徴金及び排除措置を課すこととした旨公表

2016年12月28日 韓国公正取引委員会 公表
原文

【概要】

 韓国公正取引委員会(以下「KFTC」という。)は,2016年12月21日に開催した委員会において,多国籍半導体チップメーカー及びその特許管理事業者である,米国クアルコム・インコーポレイテッド及びその子会社2社(以下「クアルコム」という。)が市場支配的地位の濫用行為を行っていたとして1.03兆ウォン(約1000億円)の課徴金及び排除措置を課すことを決定した。

 クアルコムは,ITUやETSIのような標準化機関に対してFRAND宣言を行った,CDMA,WCDMA,LTEのような携帯電話に係る標準必須特許(以下「SEP」という。)の保有者である。また,同社は,モデムチップセットの製造及び販売を垂直的に統合した独占的企業であり,FRANDの確約に違反する次の各行為を行っていた。
① クアルコムは,競合するモデムチップ製造業者からの求めにもかかわらず,チップセットを製造販売するのに必須となる携帯電話のSEPのライセンスを拒絶し又は制限した。
② クアルコムは,携帯電話メーカーとの交渉過程においてその市場支配的地位を用い,FRAND宣言を回避するため,チップセットの供給と特許ライセンス契約を一体化することで不当なライセンス契約を締結するよう強要した。
③ クアルコムは,携帯電話メーカーに対して,ポートフォリオライセンスのみを供給し,正当な補償計算手続を含まない一方的に決定されたライセンス条項を押し付けたほか,その特許を無料で供給させる等の不公正な契約を受け入れるよう強要した。

 KFTCは,クアルコムの上記の行為は,市場支配的地位の濫用行為に該当するものとして以下の排除措置を課すこととした。
① モデムチップ製造事業者の求めに応じて,クアルコムは携帯電話のSEPのライセンス契約を締結する際に,誠実に交渉しなければならない。
② チップセットの販売及びパテントライセンス契約を一体化することでチップセットの供給を人質にして,不当なライセンス契約を押し付けてはならない。
③ 携帯電話会社の求めに応じて,既に締結されている不当なライセンス契約に係る再交渉を保証しなければならない。また,将来において,包括的な無償ライセンス(general license)及び無償のグラントバック(free cross-grants)を押し付ける行為についても違反行為として禁止を命じる。

 KFTCは,上記の違反行為についての審査を終えた後,昨年(2015年)11月13日に審査報告書をクアルコムに送付し,その後,本年7月以降,同社提出の同意審決案に係る2回を含め計7回の審判を開催し,徹底的に精査してきた。
 さらに,KFTCは,多面的に本件を検証すべく,サムスン,LG等の韓国企業のみならず,アップル,インテル,エヌビディア,メディアテック,ファーウェイ,エリクソン等の外国のIT企業も招いて意見を聴取した。
 クアルコムが,自らのパテントライセンス及びチップセット市場における支配的地位を強化するために,一方的なライセンス条項を携帯電話製造事業者に対して強要し,他方,競争事業者に対してライセンスを拒否するという不公正なビジネスモデルに対して,当委員会が措置を課したことは意義深い。
 特に,本措置は,クアルコムが排他的な受益者であった閉鎖的な収益構造(ecosystem)を,どの社も自らが開発したイノベーションに係る収益を享受することができる開放的な収益構造へと変換するものであり,本措置を課すことで携帯電話業界における公正な競争を取り戻す機会となることが期待される。

本文ここまで


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