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2017年4月

カナダ

カナダ競争局長官,「フィンテックに係るワークショップ:金融業における競争と技術革新の促進」において基調講演

2017年2月21日 カナダ競争局 公表
原文

【概要】

 標記講演の概要は以下のとおり。
 金融業はカナダ経済にとって不可欠であり,2014年には,GDPの10%程度を金融業が占め,2015年に,金融業のGDP成長率は,GDP全体の成長率の5倍に達している。
 多くの産業と同様,金融業も増大するデジタル市場で急速に進化している。アトキンソン博士が創設した「情報・技術革新基金」の昨年10月の報告書によれば,フィンテックによる技術革新は,消費者と企業が彼らの資金の移転・決済・貯蓄・投資・借入における資金管理方法を急速に改善する方向にあるとされるが,より重要なことは,本報告が,これらの便益を得るために,政策決定者が積極的にフィンテックによる変革を支持する必要があることを強調している点である。
 昨年5月に,カナダ競争局は,技術革新が金融業の競争状況に与える影響,新規参入業者が直面する参入障壁,より大きな競争を促進するための規制改革の必要性の有無について調査を始めた。我々の最終的な目標は,カナダのフィンテック関係事業者が技術を革新し,成長し,世界的に競争していくことが可能となるような環境を作るのに最適な方法について,政策決定者に対して指針を与えることである。

 昨年5月以来,我々は,金融業に利害を有する関係各層,銀行,フィンテック事業者,消費者団体,事業者団体,規制当局者,国際機関等100近い利害関係者から意見を聴取し,その結果浮かび上がってきた論点が,以下の本日予定される議論の基礎となっている。
・ 規制は必要か。:規制は,プライバシー保護や金融犯罪防止等の重要な公共政策の目標を促進する。投資家や新規参入業者は,規制がもたらす確実性による利益を受けるほか,顧客は,規制された産業に対してより信頼感を抱くことになる。
・ しかしながら,既存の規制は数多くあり,複雑で非整合的である。:新規参入業者にとって,適用される可能性のある連邦・地方政府による錯綜した規制を遵守していくことは戸惑いや困難に直面することがあり得る。
・ 規制は,柔軟で技術中立的である必要もある。:硬直的で,技術を特定した規制は革新的なビジネスモデルやそれに係る利益・成長の可能性を排除することとなり得る。
・ 規制以外の参入障壁もある。:顧客の信頼を勝ち取ることは,新しいフィンテック事業にとって,既に評判を確立している金融機関と競争していく上での難題である。
・ 最後に,規制当局者は,フィンテックの動向変化を注視している。:数多くの規制当局は,技術革新を支援すると同時に,それに伴うリスクを管理するため規制の改正に踏み出している。

 本日は,以上の議題に基づいて今後の見通しを議論してもらうこととしているところ,議論の結果は,カナダ競争局の市場調査の中でも勘案され,金融業界における競争と技術革新を推進するための我々の政策提言に反映させる予定である。

英国

英国競争・市場庁のデヴィド・カリー議長,キングス・カレッジ・ロンドンで開催されたイノベーション・エコノミクスカンファレンスにおいて,イノベーションを促進する上での競争の役割について講演

2017年2月3日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】

 標記講演の概要は以下のとおり。
 イノベーション・エコノミクスに関するこの会議のオープニングスピーチを行うことは非常 に喜ばしいことである。革新は長期的な生活水準の維持と繁栄に不可欠であり,また,環境と地球の長期的な保全にとっても重要である。生活水準を維持しながら壊滅的な気候変動を避けるには,まだ考えられていない方法での大きなイノベーションが必要である。

 本日の会議の主要なテーマであるビッグデータに関する議論のうち,私が言及したいのは消費者が自分のデータにアクセスすることに関するものである。私たちは自分のデータに関して,果たしてどのような権利を持っている,又は持つべきか。明らかに,プライバシー法はデータの使用方法を規制しているが,それで十分なのかどうかについては議論がある。しかし,消費者が自分のデータにアクセスし,それをコントロールできれば,市場はより良く機能することになるだろうか。この質問に対する答えは,競争法の違反が発見された際の是正措置の設計という非常に難しい問題に関連することは明らかである。それは,合併の進展を可能とするような事業計画に関連する可能性もある。

 オンライン世界でのアルゴリズム的意思決定の台頭に話題を転じる。アルゴリズムはどこにでもある。アルゴリズム経済の台頭により,競争政策にとって潜在的に難しい問題が生じている。この分野は,「競争法の原則は有効かつ有益であり,様々な状況や証拠に適切に適用される必要があるだけである」という,先の楽観的な声明に疑問が呈される分野かもしれない。アルゴリズムは,ほぼ即座に行動を調整する非常に効果的な方法を,反競争的となり得る形態で提供することができる。アルゴリズムが人間によってそうするように設計されているのであれば,旧来の価格カルテルの新たな形態にすぎない。しかし,機械学習によって,共同行為が長期的な企業の目標を最大化するための最良の方法であると,アルゴリズム自体が学習することになるかもしれない。その場合,人間の担当職員自体はこの共同行為を何ら企図していない。それは競争法の違反だろうか。アルゴリズムが反競争的な解を採用することを学習しないことを保証するために,アルゴリズムの振る舞いに十分な制約を課さなければ,不作為の罪として,作為の罪と同様,法律を適用できるのだろうか。そして,仮に制約が組み込まれてはいても,それが不適切に設計され,非常に巧妙なアルゴリズムが制約を迂回する方法を学ぶ場合にはどうであろうか。このような問題を扱うために,人間の担当職員の概念を拡張することは可能だろうか。先ほど私は,既存の競争法制は新たなデジタル世界で直面する競争の問題に取り組むことができると示唆したが,この最後の問題については,おそらくこの命題は当てはまらないかもしれない。

 しかし,私たち人間には一つの可能性がある。最新の機械であっても,人間の専門家と連携して作業する古い世代の機械が打ち破ることができるという証拠が幾つかある。多分,人間の専門家は機械学習の進歩を受け入れるならば,引き続き有用であり続けるだろう。競争当局にとって確実なことは,テーブルの反対側に座っている者が,競争法の分野について学ぶ最高の機械を利用するだろうということである。私たちは,この急速に変化する技術に遅れをとらないようにする必要がある。

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