米国

司法省,電子書籍の価格設定を巡り,Apple及び出版会社5社を提訴

 2012年4月11日 司法省 公表

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【概要】

 司法省は,Apple,Hachette,HarperCollins,Macmillan,Penguin及びSimon&Schusterをニューヨーク南部連邦地裁に民事提訴すると同時に,Hachette,HarperCollins及びSimon&Schusterとの和解案を裁判所に提出した。当該和解案は,裁判所から承認を得られれば,司法省が考える反トラスト上の懸念を解消するものであり,また,Amazon及びBarnes&Nobleといった電子書籍小売業者が,それぞれの電子書籍の販売価格を引き下げることを認めるよう上記3社に求めるものである。
 司法省は,引き続き,Apple,Macmillan及びPenguin Groupに対して,電子書籍小売業者が価格競争を行う自由を失い,電子書籍小売業者から価格決定の権限を奪い,そして実質的に消費者が電子書籍の購入時に支払う価格を引き上げるための共謀を行ったとして,訴訟を行う。
訴状によれば,出版会社5社とAppleは,電子書籍販売業者間の競争が電子書籍の価格及び電子書籍販売業者の小売利益を低過ぎると思われる水準にまで引き下げたことに懸念を抱いていた。この懸念に対処すべく,出版会社らは協力して電子書籍販売店間の価格競争を排除する契約を締結し,実質的に消費者が支払う価格を高くした。当該事業者らが共謀を開始する以前,小売業者は定期的に,新刊やベストセラーの電子書籍版を,ある一社のCEOが述べたように,「実に不愉快な9.99ドル」で販売した。司法省によると,共謀の結果,消費者は現在,通常12.99ドル,14.99ドル又はそれ以上を購入価格として最も売れ筋の電子書籍に対して支払うことを余儀なくされた。
 司法省によると,共謀は2009年の夏に開始された。出版会社のCEOらが四半期ごとにマンハッタンにある高級レストランの個室に非公式に集まり,Amazonの電子書籍に係る小売の取引慣行を含めて,企業秘密や競争上の問題について議論した。
 訴状によると,出版会社らは,書籍販売店への卸売販売に関して,長期にわたり電子書籍で継続している,印刷書籍の販売に関する取引慣行と同様の慣行を止めることによって,また,価格決定を書籍販売店に任せることを止めることによって,共謀を遂行した。この共謀を通じ,出版会社らは,出版会社が電子書籍の価格決定権をあらゆる書籍販売店から奪取する新たな型式を課し,電子書籍の価格を引き上げた。
 また,出版会社はAppleとの間で,AppleのiBookstoreを通じて購入される電子書籍ごとにAppleに対し30%の手数料を支払うことに合意し,また,小売価格の調整に関する最恵国(MFN)条項(retail price-matching most favored nation provision)を通じて,他の電子書籍小売業者が決してAppleよりも安い価格で電子書籍を販売しないことを約束した。
 Hachette,HarperCollins及びSimon&Schusterは,和解案に基づき,Apple及びその他の電子書籍小売業者との合意を破棄することとし,2年間は,割引その他消費者向けになされる電子書籍の販売促進を電子書籍小売業者が提供することを制限する新たな合意の締結が禁じられることとなる。当該和解案はHachette,HarperCollins及びSimon&Schusterが新たなエージェンシーモデルの合意を電子書籍小売業者と締結することを禁止していない。しかし,この和解案は,出版会社により決定される価格を電子書籍小売業者が減額することを禁止することはできない。
 また,和解案は,5年間,Hachette,HarperCollins及びSimon&Schusterが競争上注意を要する機密情報について再び共謀し又は共有することを禁止する。そして,強力な反トラストコンプライアンスプログラムをこの3社に対して課す。これには,電子書籍に関するジョイントベンチャー事業を計画した場合,それぞれが司法省に事前通知すること及び他の出版会社と行ういかなる情報交換に関し,それぞれ定期的に司法省に報告することが含まれている。また,5年間,Hachette,HarperCollins及びSimon&Schusterは,当該和解案の有効性を損なう可能性のある,いかなる種類のMFN条項であっても合意することが禁止される。

司法省,自動車部品の価格カルテル等に関して,邦人企業及び邦人幹部がそれぞれ有罪答弁を行うことに同意したことを公表

 2012年4月23日,26日 司法省 公表

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【概要】

 4月23日,司法省は,米国車に取り付けられるワイヤーハーネス及びその関連部品の入札談合及び価格カルテルに関して,株式会社フジクラが有罪答弁を行い,2000万ドルの罰金支払に同意したことを公表した。同社は少なくとも2006年1月から2010年2月までの間共謀に関与したとされている。
 また,4月26日,司法省は,米国車に取り付けられるヒーターコントロールパネルの価格カルテル及び入札談合に関して,新たに株式会社デンソーの邦人幹部1名が有罪答弁を行い,1年2か月の禁錮及び2万ドルの罰金支払に同意したことについても公表した。同人は,少なくとも2005年7月から2008年7月までの間共謀に加わったとされる。
 今後,これらの同意は裁判所の承認を受けることとされている。
 なお,司法省による自動車部品の価格カルテル等に係る審査では,今回の2件を含めこれまでに5社,9人の幹部が有罪答弁を行っている。

司法省,地方税滞納による租税先取特権の競売における入札談合で,ニュージャージー州の金融投資家が有罪答弁を行ったことを公表

 2012年4月23日 司法省 公表

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【概要】

 司法省は,地方税滞納によって設定された租税先取特権の競売(municipal tax lien auction)における入札談合に関して,ニュージャージー州の金融投資家及び同人がパートナーを務める企業が有罪答弁を行ったことを公表した。
 司法省によると,共謀の主要目的は,競売にかけられた特定の租税先取特権を非競争的な高利率で落札するために,競争を制限することであった。不動産の所有者が資産税を支払えない場合,当該資産には税金未納分の先取特権が設定され,一定期間後も税金が未納であれば,当該先取特権は競売にかけられる。この競売に関し,州法は,税金滞納者が物件を買い戻すために落札者に支払う利率は入札により決められると規定している。その利率の上限は18%とされ,競争入札を通じて引き下げられることになる。その後更に一定期間経過後も先取特権に係る金銭が支払われない場合は,落札者は先取特権が設定された資産を差し押さえる手続(foreclosure proceedings)を開始する。
 今回有罪答弁を行ったニュージャージー州の金融投資家及び同人が務める会社は,少なくとも2005年から2009年2月までの間にニュージャージー州で行われた先取特権の競売に関して,あらかじめ入札に参加する他者と共謀し,より高い利率で落札したとされている。そのため,資産の保有者は,租税債務に関してより高額の支払を強いられていた。
 なお,本件に係る有罪答弁は2011年8月以降行われており,今回の有罪答弁は,8回目と9回目のものである。

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