2014年12月

米国

司法省,合成木材パネル事業者フレークボードらに対し,ハート・スコット・ロディノ法(HSR法)に違反したとして総額380万ドルの民事制裁金を賦課し,同社に対し,シャーマン法第1条に違反したとして115万ドルの不当利得の返還要請

2014年11月7日 司法省 公表
原文

【概要】

 司法省は,2014年11月7日,ハート・スコット・ロディノ法(クレイトン法第7A条)及びシャーマン法第1条に違反した疑いで,Flakeboard America Limited(以下「フレークボード」という。),フレークボードの親会社Celulosa Arauco y Constitucion S.A.(以下「アラウコ」という。),Inversiones Angelini y Compania Limitada及びSierraPine(以下「シエーラパイン」という。)をカリフォルニア北地区連邦地方裁判所に民事提訴し,和解した旨公表した。本件和解は,ハート・スコット・ロディノ法に違反したとして,これら事業者に対し総額380万ドルの民事制裁金の支払を求め,また,シャーマン法第1条に違反したとして,フレークボードに対し当該違反行為によって得た115万ドルの不当利得の返還を求めている。
 フレークボード及びシエーラパインは,司法省が本件買収案について中質繊維板(MDF)(注:中質繊維板とは,家具,食器棚及び装飾用モールディングで幅広く利用されている加工木質材料である。)の製造に反競争的な効果を及ぼすおそれがある旨の懸念を表明した後,2014年9月30日,本件買収を断念している。
 起訴状によると,フレークボード,アラウコ及びシエーラパインは,本件買収案を2014年1月14日に公表した後,ハート・スコット・ロディノ法に基づく法定待機期間満了前に,シエーラパインのオレゴン州スプリングフィールドの工場を閉鎖し,同工場の顧客をフレークボードに移らせるという違法な調整を行った。この違法な調整の結果,2014年3月13日,スプリングフィールドの工場が完全に閉鎖され,フレークボードのオールバニの工場は,スプリングフィールドの工場の顧客の多くを確実に獲得することができた。当事会社らのこれらの行為は,シャーマン法第1条違反の取引制限となる違法な合意に当たり,また,シエーラパインの事業の業務管理及びそれによる受益所有権をフレークボードに時期尚早に譲渡したものであり,ハート・スコット・ロディノ法に違反していた。
 本件2社のハート・スコット・ロディノ法違反行為は,フレークボード及びシエーラパインがスプリングフィールドの工場の閉鎖について調整を開始した2014年1月17日から待機期間満了日である2014年8月27日まで行われた。2社は,企業結合前の違法な行為に関する証拠を司法省に提出することによって,自主的に審査に協力した。このような協力は,司法省がハート・スコット・ロディノ法違反に対する民事制裁金の上限額から減額することを決定する上で重大な要素となる。シャーマン法に基づく不当利得の返還としての115万ドルという金額は,スプリングフィールドの工場を閉鎖し,この工場の顧客をフレークボードに移すという当事会社らの調整によりフレークボードが得た不当利得の概算額に相当する。

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