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オーストラリア競争・消費者委員会との協力に関する取決め

(正文は英語であり,日本語は仮訳です。)

日本国公正取引委員会とオーストラリア競争・消費者委員会との間の協力に関する取決め

第一条 目的

 この取決めは、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定(以下「協定」という。)第15.5条パラグラフ4に従って、日本国公正取引委員会及びオーストラリア競争・消費者委員会(以下「両競争当局」と総称し、個別に「競争当局」という。)との間における建設的な協力のための枠組みを構築し、協定第15.5条で定める協力の実施に関する詳細及び手続を規定する。

第二条 定義

この取決めの適用上、
(a)この取決めで使用されている用語であって、協定第15章においても使用されているものは、協定第15章と同じ意味で使われる。

(b)「執行活動」とは、競争当局が当該競争当局の属する国の競争法の適用に関連して行う審査又は手続をいい、次のものを含まない。
(i) 事業活動の監視又は通常の届出、報告若しくは申請の審査
(ii) 経済概況又は特定の産業分野における概況の調査を目的とする調査研究活動

(c)「企業」とは、法的又は組織的形態にかかわらず、競争法の対象となる私的又は公的な団体をいう。

第三条 通報

3.1. 一方の競争当局は、他方の競争当局に対し、他方の競争当局の重要な利益に影響を及ぼす可能性があると認める自己の執行活動について通報するよう努める。

3.2. 他方の競争当局の重要な利益に影響を及ぼす可能性がある競争当局の執行活動とは、次の審査又は手続をいう。
(a) 当該他方の競争当局の執行活動に直接関連するもの
(b) 当該他方の競争当局の属する国の国民に対して行われる又は当該他方の競争当局の属する国の関係法令に基づいて設立され若しくは組織された企業に対して行われると通報する競争当局が承知しているもの
(c) 企業結合以外の反競争的行為であって、その実質的な部分が当該他方の競争当局の属する国の領域において行われるものに関するもの
(d) 当該他方の競争当局が要求し、奨励し又は承認する行為に関するもの
(e) 当該他方の競争当局の属する国の領域における行為を要求し又は禁止する排除措置に関するもの

3.3. サブパラグラフ3.1に基づく通報は、一方の競争当局の執行活動が他方の競争当局の重要な利益に影響を及ぼす可能性があることを当該一方の競争当局が了知した場合には、当該一方の競争当局の属する国の法令に反しないこと及び当該一方の競争当局が実施している審査又は手続に影響を及ぼさないことを条件として、できる限り速やかに行う。

3.4. このパラグラフに基づいて行われる通報は、形式ばったものである必要はない(通常は、最初の連絡として電子メール、続いて電話による会話が行われることで十分である)が、通報を受けた競争当局がその重要な利益への影響について当初の評価を行うことができるよう、十分詳細な内容を伴うものとする。

第四条 執行活動における協力及び情報交換

4.1. 一方の競争当局は、自国の法令及び自己の重要な利益に適合する限り、かつ、自己の合理的に利用可能な資源の範囲内で、他方の競争当局に対してその執行活動について支援を提供するよう努力する。そのような支援には、他方の競争当局が、支援を提供する競争当局の国内の企業又は個人から情報又は証拠を入手する際に、当該国の別の政府機関から同意を得ることが必要な場合において、当該政府機関から同意を得るための申請に係る支援が含まれ得る。

4.2. 一方の競争当局は、自国の法令及び自己の重要な利益に適合する限り、次のことを行うよう努力する。
(a) 他方の競争当局に対し、反競争的行為に関する重要な情報(自己が保有し、かつ、自己の注意の対象となっているものに限る。)であって、他方の競争当局の執行活動に関連し、又は当該執行活動を正当化する可能性があると認めるものを提供すること。
(b) 要請があった場合には、この取決めの内容に従い、他方の競争当局に対し、自己が保有する情報であって、他方の競争当局の執行活動に関連するものを提供すること。

4.3. 各競争当局は、実行可能な場合で、かつ、自国の法令によって許容される限りにおいて、審査過程において入手した情報を共有することについて相応の検討をする。各競争当局は、当該情報を共有するか否かを決定するに際し、完全な裁量を保持する。当該情報の使用及び開示の条件は、場合によっては書面で決定される。

4.4. 両競争当局が同時に同一の企業結合計画を審査する場合で、一方の競争当局が、当該企業結合が他方の競争当局の管轄内の市場に影響を与える可能性があると了知するに至った場合、当該競争当局は、双方の間でその影響に係る議論を円滑にする目的で、当事会社の秘密情報を他方の競争当局に適切な条件下で開示することの許可を得るため、当事会社の一又は複数に連絡をとることの利益を認識する。

4.5. 両競争当局は、この取決めが、リーニエンシー申請者から受領したものを含む情報の交換に関して、それぞれの競争当局が採用又は維持するいかなる規則、方針又は実務にも影響を与えるものではないことを認める。

第五条 執行活動の調整

5.1. 両競争当局が相互に関連する事案に関して執行活動を行う場合には、次のとおりとする。

(a) 両競争当局は、それぞれの執行活動の調整について検討する。
(b) 一方の競争当局は、他方の競争当局の要請があった場合において、自己の重要な利益に適合するときは、自己の執行活動に関連して秘密の情報を提供した者に対し、当該情報を他方の競争当局と共有することに同意するか否かを照会することを検討する。

5.2. 両競争当局は、特定の執行活動の調整を行うべきか否かを検討するに当たり、特に次の要素を考慮する。

(a) 当該執行活動の目的を達成する上で両競争当局が有する能力に対して当該調整が及ぼす効果
(b) 当該執行活動に必要な情報を入手する上で両競争当局が有する相対的な能力
(c) いずれかの競争当局が、関係の反競争的行為に対して効果的な排除に係る措置を確保することができる程度
(d) 両競争当局及び当該執行活動の対象者にとっての費用の削減可能性;及び
(e) 排除に係る措置の調整が両競争当局及び当該執行活動の対象者にもたらす潜在的な利益

5.3. 一方の競争当局は、他方の競争当局に適切な通報を行った後、執行活動の調整をいつでも限定し、又は終了し、及び自己の執行活動を独自に行うことができる。

第六条 一方の競争当局の属する国における反競争的行為であって他方の競争当局の利益に悪影響を及ぼすものに関する協力

6.1. 一方の競争当局は、他方の競争当局の属する国において行われた反競争的行為が自己の重要な利益に悪影響を及ぼすと信ずる場合には、他方の競争当局に対し、協議を要請することができる。

6.2. 前項の規定に基づく要請は、反競争的行為の性質及び当該要請を行う競争当局の重要な利益に当該反競争的行為が及ぼす影響について、できる限り具体的なものとする。

6.3. 要請を受けた競争当局は、当該要請を行う競争当局から提供される考え方及び事実についての資料、特に、問題となっている反競争的被疑行為の性質、関係する企業又は個人及び当該要請を行う競争当局の利益に及ぼすとの疑いがある悪影響について、十分かつ真摯に検討する。両競争当局は、その権利を損なうことなく、関係するそれぞれの利益に照らして相互に受入れ可能な解決策を見出すよう努力する。

6.4. この条のいかなる規定(又は要請を行う競争当局による要請の撤回)も、要請において特定された反競争的行為について執行活動を行うか否かに関し、当該要請を受けた競争当局が自国の競争法及び自己の執行政策の下で有する裁量を制限するものではない。このパラグラフに基づく競争当局のいかなる要請であっても、自国の競争法に基づき選択するいかなる措置をとる自由も損なうものではない。

第七条 執行活動に関する紛争の回避

 いずれか一方の競争当局は、他方の競争当局に対し、当該他方の競争当局の特定の執行活動が、自己の重要な利益に悪影響を及ぼす可能性があることを通報することができる。この場合、前者の競争当局は、後者の競争当局に対し、その問題に関する自らの考え方を伝え、又は協議を要請する。当該要請を受けた競争当局は、自国の競争法に基づく措置の継続及び最終的な判断についての完全な自由を損なわれることなく、当該要請を行う競争当局が表明した考え方、特に、その審査又は手続の必要性又は目的を満たす代替的な方法に関する、当該要請を行う競争当局によるいかなる提案に対しても、十分かつ真摯に検討する。

第八条 透明性

一方の競争当局は、
(a) 自国の競争法の重要な改正及び反競争的行為を規制する自国の新たな法令の制定について他方の競争当局に速やかに通報する。
(b) 適当な場合には、自国の競争法に関連して発出し、及び公表した指針又は政策声明の写しを他方の競争当局に提供する。

第九条 協議

9.1. 両競争当局は、いずれか一方の競争当局の要請に応じて、この取決めに関して生じ得るいかなる問題についても互いに協議する。

9.2. 両競争当局は、相互理解を促進し、協力関係を強化するために、原則として年1回意見交換を行う。

第十条 情報の秘密性

10.1. 一方の競争当局は、秘密情報を提供する競争当局が書面によって同意しない限り、当該競争当局の属する国の法令に従い、他方の競争当局から提供された一般に利用可能でないあらゆる情報の秘密性を保持し、第三者からの開示要請から当該情報を保護する。

10.2. この取決めの下で一方の競争当局から他方の競争当局に提供される情報(公に利用可能な情報を除く。)については、受領した競争当局は、その競争法の効果的な執行のためにのみ使用するものとし、かつ、協定第15.8条パラグラフ4に従って伝達される場合を除き、他の当局又は第三者に伝達しない。

10.3. サブパラグラフ10.2にかかわらず、サブパラグラフ4.3に従って共有された情報は,書面による特段の取決めがない限り、当該情報を受ける競争当局によって、当該情報を提供する競争当局の執行活動の対象である又は対象であった
(a) 行為若しくは取引、及び/又は
(b) 一若しくは複数の企業の商品若しくは役務
に関する又はそれに関係する他の行為若しくは取引及び/又は商品若しくは役務に関する、現在又は将来の執行活動のためにのみ使用される。

第十一条 雑則

11.1. この取決めは協定第15章の規定が適用される。

11.2. この取決めのいかなる規定も、両競争当局又はそれぞれの政府に対して、法的拘束力のある権利又は義務を新たに設けるものではない。

11.3. この取決めに基づく両競争当局間における全ての協力は、それぞれの属する国において効力を有する法令に従い、自己の合理的に利用可能な資源の範囲内で実施される。

11.4. この取決めのいかなる規定も、他の協定、条約、取決め又は法律に従って競争当局が他方の競争当局からの支援を求め又は他方の競争当局に支援を提供することを妨げるものではない。

11.5. この取決めを実施するための補足的な取決めは、両競争当局間で定めることができる。

第十二条 開始、見直し、変更及び終了

12.1. この取決めに基づく協力は、署名の日から開始される。

12.2. いずれか一方の競争当局は、他方の競争当局に対し、少なくとも30日前に文書で通告することにより、この取決めに基づく協力を終了させることができる。

12.3. この取決めは、両競争当局の書面による同意により変更することができる。

12.4. 両競争当局は、双方の同意により、この取決めに基づく協力の実施について、随時見直しを行う。

2015年4月29日にオーストラリア連邦シドニーにおいて、英語により、2通署名された。

日本国公正取引委員会のために
オーストラリア競争・消費者委員会のために

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