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日本・インドネシア経済連携協定 実施取極

(正本とは形式面で異なります。)

第五章 競争

第十一条 目的及び定義

1 この章は、基本協定第百二十七条に規定する協力の実施に関する詳細及び手続を定めることを目的とする。

2 この章の規定の適用上、
(a) 「競争当局」とは、
(i) 日本国については、公正取引委員会をいう。
(ii) インドネシアについては、事業競争監視委員会をいう。
(b) 「競争法」とは、
(i) 日本国については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)(以下この章において「独占禁止法」という。)並びにその実施について定める命令及び規則並びにそれらの改正をいう。
(ii) インドネシアについては、独占的行為及び不公正な事業競争の禁止に関する千九百九十九年法律第五号(以下この章において「法律第5号」という。)並びにその実施について定める命令及び規則並びにそれらの改正をいう。
(c) 「執行活動」とは、締約国政府が自国の競争法の適用に関連して行うあらゆる審査若しくは捜査又は手続をいうが、次のものを含めない。
(i) 事業活動の監視又は通常の届出、報告若しくは申請の審査
(ii) 経済概況又は特定の産業における概況の調査を目的とする調査研究活動

第十ニ条 通報

1 一方の締約国政府の競争当局は、自国の法令に適合する限りにおいて、他方の締約国政府の重要な利益に影響を及ぼすことがあると認める自国政府の執行活動について、当該他方の締約国政府の競争当局に対し通報する。

2 1の規定による通報は、一方の締約国政府の執行活動が他方の締約国政府の重要な利益に影響を及ぼすことがあることを当該一方の締約国政府の競争当局が了知した場合にできる限り速やかに行う。

第十三条 情報交換

 一方の締約国政府の競争当局は、適当な場合には、自国の法令に適合する限りにおいて、かつ、自己の利用可能な資源の範囲内で、他方の締約国政府の競争当局の執行活動に関連する情報を当該他方の締約国政府の競争当局に提供する。

第十四条 執行活動の調整

1 両締約国政府の競争当局(以下この章において「両競争当局」という。)は、適当な場合には、相互に関連する事案に関し、それぞれの執行活動を調整することについて検討する。

2 1のいかなる規定も、各締約国政府が自国の関係法令を執行し、及び自己の競争政策を実施する権利並びに各締約国政府の競争当局が執行活動の調整をいつでも限定し、又は終了し、及び執行活動を独自に行う権利に影響を及ぼすものと解してはならない。

第十五条 技術協力

1 両締約国政府は、両競争当局が競争政策の強化及び競争法の実施に関連する能力開発のための技術協力活動において協力することが共通の利益であることに合意する。

2 1に規定する能力開発のための技術協力活動の形態は、次のとおりとする。
(a) 研修のため両競争当局の職員を交流させること。
(b) 一方又は双方の競争当局が組織し、又は後援する競争政策の強化及び競争法の実施に関する研修課程において、両競争当局の職員が講師又はコンサルタントとして参加すること。
(c) 一方の締約国政府の競争当局が、他方の締約国政府の競争当局による自国の消費者、産業界及び関連機関に対する啓発及び教育活動に対して支援を行うこと。
(d) 両競争当局が相互に合意するその他の形態に関すること。

3 この条の規定に基づく技術協力活動は、各締約国政府の競争当局の利用可能な資源の範囲内で実施される。

4 この条の規定に基づく技術協力活動のその他の詳細については、両競争当局間で合意することができる。

第十六条 透明性

 一方の締約国政府の競争当局は、次の事項を行う。
(a) 自国の競争法の改正及び反競争的行為に対して取り組む自国の新たな法令の制定について他方の締約国政府の競争当局に対し速やかに通報すること。
(b) 適当な場合には、自国の競争法に関連して発出し、及び公表したガイドライン又は政策声明の写しを他方の締約国政府の競争当局に提供すること。
(c) 適当な場合には、当該一方の締約国政府の競争当局の年次報告又はその他の公表資料であって一般に利用可能なものの写しを他方の締約国政府の競争当局に提供すること。

第十七条 協議

 両競争当局は、いずれか一方の競争当局の要請があった場合には、この章の規定に関連して生ずることのあるいかなる事項についても、相互に協議する。

第十八条 見直し

1 両締約国政府は、相互の合意により、この章の規定に基づく協力について見直しを行う。

2 1に規定する見直しを行うに当たっては、両締約国政府は、通報、情報交換、執行活動の調整及び技術協力その他この章の規定に基づく協力を促進することについて検討することができる。

3 2に規定するいかなる協力の促進も、各締約国の関係法令及び各締約国政府の利用可能な資源の範囲内で行われる。

第十九条 情報の秘密性

1 一方の締約国政府は、自国の法令に従い、他方の締約国政府がこの章の規定に従って秘密のものとして提供するあらゆる秘密の情報の秘密性を保持する。

2 一方の締約国政府は、秘密性の保持又は情報の使用目的の制限に関し、自己の要請する保証を他方の締約国政府から得ることができない場合には、当該他方の締約国政府に提供する情報を限定することができる。

3 一方の締約国政府又は当該一方の締約国政府の競争当局がこの章の規定に従って受領する情報(公開情報を除く。)は、
(a) 他方の締約国政府又は当該他方の締約国政府の競争当局が別段の承認を行った場合を除くほか、当該一方の締約国政府又は当該一方の締約国政府の競争当局により、自国の競争法の効果的な執行のためにのみ使用される。
(b) 他方の締約国政府の競争当局が別段の承認を行った場合を除くほか、当該一方の締約国政府の競争当局により、他の当局又は第三者に伝達されてはならない。
(c) 他方の締約国政府が別段の承認を行った場合を除くほか、当該一方の締約国政府により、第三者に伝達されてはならない。
(d) 当該一方の締約国の裁判所又は裁判官の行う刑事手続において使用されてはならない。

4 この章の規定に従って一方の締約国政府から他方の締約国政府に提供される情報(公開情報を除く。)を、当該他方の締約国の裁判所又は裁判官が行う刑事手続において提示することが必要とされる場合には、当該他方の締約国政府は、当該情報に対する要請を外交上の経路又は当該一方の締約国の法令に従って設けられたその他の経路を通じて当該一方の締約国政府に提出する。

5 3(b)の規定にかかわらず、この章の規定に従って情報(公開情報を除く。)を受領する一方の締約国政府の競争当局は、他方の締約国政府の競争当局が別段の通報を行う場合を除くほか、当該情報を競争法の執行のために当該一方の締約国政府の関連する法執行当局に伝達することができる。当該法執行当局は、3(d)及び4に定める条件に従って当該情報を使用することができる。

6 この章の他のいかなる規定にもかかわらず、いずれの一方の締約国政府も、自国の法令によって禁止されている場合又は自国の重要な利益と両立しない場合には、他方の締約国政府に情報を提供することを要しない。特に、このことに関連し、
(a) 日本国政府は、独占禁止法第三十九条の規定の適用を受ける「事業者の秘密」をインドネシア政府に提供することを要しないものとする。
(b) インドネシア政府は、法律第五号第三十九(3)条の規定の適用を受ける「企業秘密」を日本国政府に提供することを要しないものとする。

第二十条 連絡

 この章に別段の定めがある場合を除くほか、この章の規定に基づく連絡は、両競争当局間で直接行うことができる。ただし、第十二条の規定による通報は、外交上の経路を通じ、書面により確認されなければならない。その確認は、該当する連絡が両競争当局間において行われた後、できる限り速やかに行う。

第二十一条雑則

1 この章の規定を実施するための詳細な取決めは、両競争当局間で行うことができる。

2 この章のいかなる規定も、他の二国間又は多数国間の協定又は取決めに従って両締約国政府が相互に支援を求め、又は与えることを妨げるものではない。

3 この章のいかなる規定も、管轄権に関連するあらゆる問題に関するいずれの締約国政府の政策又は法的立場を害するものと解してはならない。

4 この章のいかなる規定も、他の国際的な協定若しくは取決め又は自国の法律に基づくいずれの締約国政府の権利及び義務に影響を及ぼすものと解してはならない。

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