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ドイツ(Germany)

(2011年9月現在)

 1 根拠法

 ドイツの独占禁止法は,競争制限禁止法(1957年7月27日公布,1958年1月1日施行。以下,特段の記載が無い限り,条番号は競争制限禁止法のものを意味する。)である。同法は,その後,1965年,1973年,1976年,1980年,1989年,1998年,2005年及び2007年に改正が行われている。

2 執行機関

 競争制限禁止法の施行機関は,連邦カルテル庁,州カルテル官庁及び連邦経済技術省(第一局)の3つである(第48条第1項。連邦カルテル庁の組織については別紙組織図参照。)。また,経済力集中の状況を調査する機関として独占委員会がある。

(1)連邦カルテル庁

 連邦カルテル庁は,連邦経済技術大臣の所轄に属するものの,独立の連邦上級官庁としてボンに置かれている。
 連邦カルテル庁は,競争制限禁止法の違反事案のうち,競争制限の影響・効果が1州を超える事案を所管し,これ以外の事案は州カルテル官庁の所管となるが(第48条第2項),企業結合規制については,州カルテル官庁ではなく,連邦カルテル庁の専管事項である。同庁は,違反行為が存在するときは,自ら審査を行い,必要な措置及び制裁金処分を命じることができる。当該措置及び制裁金処分に不服がある者は,デュッセルドルフ高等裁判所に提訴することができる。
 連邦カルテル庁の決定は,決定部において審理長と審理官2名により行われる。決定部は,現在,12部あり,各決定部は審理長1名と審理官5名ないし7名から成り,さらに事務を補助する職員が6名ないし7名いる。審理長及び審理官は,裁判官又は高等行政官の資格を有する者とされている。

(2)連邦経済技術省

 連邦経済技術大臣は,企業結合の大臣許可(第42条第1項。後述3(3)オ。)の権限を有する。ただし,連邦カルテル庁が禁止した企業結合案件を連邦経済技術大臣が許可する場合には,同案件に関して独占委員会の意見を求めなければならない(第42条第4項)。
 連邦経済技術大臣は,競争制限禁止法の運用について,一般的な指示を連邦カルテル庁に対して行うことができ,この指示は官報に公告され,連邦カルテル庁の公表する年次報告にも記載される(第53条第1項)。
 連邦経済技術省での競争政策担当組織は,主に第一局B1課(一般政策)及びB2課(競争政策・消費者政策)であり,競争制限禁止法の企画立案は同課にて担当している。

(3)各州カルテル官庁(在各州)

 州カルテル官庁は,連邦カルテル庁及び連邦経済技術大臣が所管しない事案について州法に基づき権限を有する。州カルテル官庁は,連邦カルテル庁との間で,手続の開始及び調査の実施について相互に通知する義務を負い,管轄に従って相互に事案を移管することになっている(第49条第1項及び第2項)。

(4)独占委員会

 独占委員会は,1973年の競争制限禁止法第2次改正で企業結合規制を導入したのと同時に設立されたが,経済力集中の状況等の調査を行っており,行政処分権限は有しない。
 独占委員会は,経済,経営,社会政策,科学技術又は経済法の知識・経験を有する5名の委員から成り,委員長は委員の中から互選される。委員(任期4年)は,連邦政府の提示に基づき連邦大統領が任命する。
 独占委員会の役割は,政治的な判断ないしは議論になりがちな企業集中の問題について,可能な限り客観的な基礎資料を用意することにある。具体的には,独占委員会は,企業集中の状況,市場支配的事業者の濫用行為規制及び企業結合規制の運用について,定期的に調査を行い,報告書を作成する。
 独占委員会が作成する報告書には,2年ごとに作成される定期報告書と適当と認める場合に作成される特別報告書がある。これらの報告書は,連邦政府に提出される。定期報告書については,連邦政府は遅滞なく議会に送付するとともに,相当の期間内に当該報告書に対する見解を議会に対して表明しなければならない(第44条)。

(5)裁判所

ア 連邦通常裁判所(連邦最高裁判所)

 競争制限禁止法上の訴訟に関する唯一の上告審である。

イ 州高等裁判所(在各州)

 州カルテル官庁の処分に対する訴訟の第一審は,各州カルテル官庁の所在地を管轄する州高等裁判所である。
 連邦カルテル庁の処分に対する訴訟は,全てデュッセルドルフ高等裁判所が管轄する。

ウ 州地方裁判所

 競争制限禁止法に係る民事訴訟事件の第一審である。

3 規制の概要

(1)カルテル

 事業者間の協定,事業者団体の決議及び相互協調的行為は,競争の阻害,制限,若しくは歪曲を目的とする場合,又はそれをもたらす場合に禁止される(第1条)。

(2)市場支配的地位の濫用及び競争制限的行為

ア 市場支配的地位の濫用

(ア) 濫用の禁止
 単独又は複数の事業者による市場支配的地位の濫用は禁止される(第19条第1項)。

(イ) 「市場支配的とは」
 単独の事業者が一定の種類の商品又は役務の供給者又は需要者として,次のいずれかに該当する場合には,「市場支配的」であるとされる(第19条第2項)。
[1] 競争者が存在しない場合又は実質的に競争に直面していない場合
[2] 競争者との関係で,市場において優越的な地位を有している場合。この場合,特に,当該事業者の市場占拠率,当該事業者の資金力,当該事業者の購入市場又は販売市場へのアクセス,他の事業者との結びつき,他の事業者による市場への参入に対する法的又は事実上の障壁,本法の適用領域の内外に所在する事業者による現実の競争又は潜在的な競争,供給又は需要を他の商品又は役務に変更する能力,及び取引の相手方を他の事業者に変更する可能性が考慮されるものとする。
 一定の種類の商品又は役務について,複数の事業者の間で実質的な競争が存在せず,かつ,それらが全体として前記の要件を満たす場合は,当該複数の事業者は市場支配的であるとされる。

(ウ) 「市場支配的」の推定規定
 単独の事業者が3分の1以上の市場占拠率を有している場合は,その事業者は市場支配的であると推定される。
 また,複数事業者が次のいずれかに属する場合には,全体として市場支配的であると推定される(第19条第3項)。
[1] 3以下の事業者の合計の市場占拠率が2分の1に達する場合
[2] 5以下の事業者の合計の市場占拠率が3分の2に達する場合
 ただし,当該事業者間の競争状況が実質的に競争的であることが見込まれること,また,当該事業者の全てが,他の競争相手との関係において,優越的な地位を有していないことを当該事業者が証明するときはこの限りでない。

(エ) 濫用行為とは
 市場支配的である事業者が一定の種類の商品又は役務の供給者又は需要者として,次のいずれかに該当する行為を行った場合は,濫用行為とみなされる(第19条第4項)。
[1] 客観的な正当事由なく,当該市場における競争に重大な影響を与える方法で,他の事業者の競争可能性を阻害する行為
[2] 有効な競争が存在すれば高度の蓋然性をもって形成されるであろう水準を逸脱した対価又はその他の取引条件を要求する行為
[3] 市場支配的事業者が比較市場(対象市場に近似する仮定の市場)において自らが同種の取引先に要求しているものより不利で,その差別が客観的に正当化されないような対価又はその他の取引条件を相手方取引先に要求する行為
[4] 法的又は事実上の理由から共同利用が認められなければ,他の事業者が市場支配的事業者の競争者としてその前後の取引段階において活動できない場合におい
 て,適切な対価により自己のネットワーク又は他の不可欠施設を当該他の事業者が利用することを拒否する行為。ただし,当該事業者が,経営上の理由又は他の理由により,共同利用が不可能であるか又は期待できないことを証明する場合は,この限りでない。

(オ) エネルギー業界に係る濫用規制の督促(第29条)
 エネルギー分野において市場支配的地位を有する供給事業者が,取引先に対して次のいずれかの行為を行った場合,市場支配的地位の濫用行為として禁止される。
[1] 他の供給事業者又は比較可能な市場における他の供給事業者が要求するよりも不利な対価等を要求する行為。ただし,市場支配的地位を有する供給事業者が,対価の相違につき客観的に正当な理由で証明できる場合は,この限りでない。
[2] 実際の原価を不当に上回る対価を要求する行為

イ 差別禁止,不当な妨害の禁止

[1] 市場支配的事業者並びに適用免除カルテル事業者の団体及び適用除外により価格拘束を行う事業者が,同種の事業者が通常参加することができる取引において,
 ある事業者を直接若しくは間接的に不当に妨害し,又は客観的に正当な理由がないのに,同種の事業者を直接的若しくは間接的に差別的に取り扱ってはならない
 (第20条第1項)。
 この規定は,一定の種類の商品又は役務の供給者又は需要者としての中小規模の事業者が,十分かつ合理的な取引先変更可能性がない程度までに事業者又は事業者の団体に依存している場合にも適用される(第20条第2項)。

[2] 第20条第1項に規定する市場支配的事業者及び事業者の団体は,その市場における地位を利用して,客観的に正当な理由がないのに,他の事業者に対して,自己に有利な条件を設定することを要求又は誘因してはならない。この規定は,事業者及び事業者の団体とそれに依存する事業者との関係においても適用される。
 (第20条第3項)。

[3] 中小企業の競争者に優越する市場力を有する事業者が,それらの競争者を直接又は間接に不当に妨害するためにその市場力を行使してはならない。この不当な妨
 害は,特に,事業者が単に一時的でなく商品又は役務を,原価を下回る価格で販売するときに認められる。ただし,原価を下回る価格での販売が客観的に正当化される場合は,この限りでない(第20条第4項)。

[4] 食品については,原則として「一時的な」ものも含む全ての原価割れ販売をしてはならない。ただし,季節商品や食品の賞味期限切れによる廃棄を防ぐための原価割れ販売など,正当な理由がある場合はこの限りでない(第20条第4項及びただし書)
 (2012年12月31日までの時限措置)。

[5] 卸売兼小売事業者が競争関係にある中小小売事業者に対して自らが小売市場に販売する価格よりも,不当に高い価格で商品を卸してはならない(第20条4項)
 (2012年12月31日までの時限措置)。

[6] 事業者団体への加入を不当に拒否してはならない(第20条第6項)。

ウ ボイコットの禁止,他の競争制限的行為の禁止

[1] 事業者及び事業者団体は,特定の事業者を不当に害する意図で,他の事業者又は事業者団体に供給拒絶又は購入拒絶をさせるようにしてはならない(第21条第1項)。

[2] 事業者及び事業者団体は,本法により禁止されている行為をさせるために,他の事業者に対して不利益を与えると脅かし又は不利益を与えてはならず,また,利益を供与することを約束し又は利益を供してはならない(第21条第2項)。

[3] 事業者及び事業者団体は,他の事業者に対して次に掲げる行為を強制してはならない(第21条第3項)。

  •  第2条ないし第3条又は第28条第1項に定める適用除外カルテルに参加すること。
  •  他の事業者と第37条に定める合併を行うこと。
  •  競争を制限する意図で,市場において斉一的に行動すること。

[4] 連邦カルテル庁による措置を申請したことを理由にして,その者に経済的不利益を課してはならない(第21条第4項)。

(3)適用除外

ア 包括的適用除外

 事業者間の協定,事業者団体の決議及び相互同調的行為であっても,消費者に対しその結果として生ずる利益の適切な分配を行うものであり,また,商品の生産・販売の改良又は技術的若しくは経済的進歩に寄与し,[1]関係事業者に対し上記目的の実現に必要ではない制限を課せられていない場合,又は[2]関連する商品の実質的部分の一部が競争から除外される可能性が生じることがない場合は,第1条の規制(カルテルの禁止)の適用から除外される(第2条第1項)。
 また,中小企業カルテル共同事業を行うことにより経済活動を合理化することを目的とした,競争関係にある事業者間の協定及び事業者団体の決議であって,[1]その市場における競争が実質的に阻害されることがなく,かつ,[2]中小企業の競争能力を改善することに寄与する場合は第2条第1項の要件を満たす(第3条)。

イ 特定の経済分野に関する特則

(ア) 出版業に関する適用除外
 事業者がその新聞又は雑誌の購入者に対し,一定の再販売価格を遵守し,又は最終消費者への再販売に至るまでこれらの購入者に対し同様の義務を課すよう,法
 律的又は経済的に拘束する場合,第1条の規制の適用から除外される(第30条)。
 なお,書籍については,2002年に成立した書籍再販法により,再販売価格の拘束が義務付けられている。

(イ) 農業分野に関する適用除外
 農業分野における生産者若しくは事業者の特定の協定,又は生産者団体,事業者団体若しくは特定団体の特定の協定,決議,契約,販売等については,一定の要件の下に,第1条の規制の適用から除外される(第28条)。

(4)企業結合

ア 結合規制の適用範囲

 結合規制は,以下の場合に適用される(第35条第1項)。
[1] 結合以前の最終事業年度において,全当事会社の全世界における年間売上高の合計が5億ユーロ超である場合であって,
[2] 少なくとも一の当事会社がドイツ国内において2500万ユーロ超の売上高を有し,
 また,他の一以上の当事会社の国内売上高が500万ユーロを超える場合
 ただし,(1)最終事業年度の全世界における売上高が1000万ユーロ未満である事業者が他の事業者と結合する場合又は(2)少なくとも過去5年間にわたって商品又は役務が提供された関連市場における,最終暦年の市場規模が1500万ユーロ未満である場合は,適用されない(同条第2項)。

イ 禁止される場合

 合併,株式・資産の取得等の結合により,市場支配的地位が生じ,又は強化される場合には,当該結合は禁止される。ただし,当該結合により競争条件が改善され,この改善が市場支配の弊害よりも大きいことを当事会社が証明した場合を除く(第36条)。

ウ 結合の定義

 結合とは,次のものをいう(第37条第1項)。
[1] 他の事業者の資産の全部又は重要部分の取得
[2] 単一又は複数の事業者による単一又は複数の他の事業者の全部又は一部に対する直接又は間接の支配の獲得
[3] 他の事業者の持分の取得であって,当該持分取得によって又は既にその事業者に属する持分と合わせて,他の事業者の資本又は議決権の50%又は25%に達する場合
[4] 単一又は複数の事業者が直接又は間接に他の事業者に対して競争上重要な影響を及ぼし得る,その他のあらゆる事業者の結びつき

エ 結合の事前届出義務

 規制の対象の結合は,事前に,届け出なければならない(第39条第1項)。連邦カルテル庁は,重点審査を開始する場合には,届出者に対し,届出受理後1か月以内に
 その旨を通知しなければならず(第40条第1項),また,連邦カルテル庁は,届出後4か月以内に限り当該企業結合計画を禁止することができる(同条第2項)。

オ 連邦経済技術大臣による許可

 個別の事例に関し,経済全体にもたらされる結合による利益が競争制限よりも大きい場合,又は結合が顕著な公共の利益により正当化される場合には,連邦経済技術大臣は,申請に基づいて,連邦カルテル庁によって禁止された結合を許可することができる。この場合,この法律の適用領域外にある市場における参加事業者の競争力をも考慮しなければならない。大臣は,競争制限の程度が市場経済秩序を脅かすものでない場合に限り,許可を与えることができる(第42条第1項)。
 許可には,制限及び条件を付すことができる。ただし,これにより,参加事業者に対し長期的な行動規制を行ってはならない。また,本条に基づく許可は,参加事業者が付された条件に違反した場合又は虚偽の届出が行われた場合は,撤回できる(同条第2項)。

4 法執行手続

 連邦カルテル庁は,行政手続に基づき,違反行為に対して各種の決定ができるほか,故意又は過失によるカルテル,市場支配的地位の濫用行為等の違反行為を行った者に対し,秩序違反を行ったとして,制裁金手続に基づき,制裁金を課すことができる。

(1)行政手続

ア 調査権限

 行政手続として,連邦カルテル庁は,必要な全ての調査を行い,証拠を収集することができる(第57条)。そのために,具体的には以下の調査権限が与えられている。
[1] 報告徴収権(第59条第1項第1号)
[2] 事業者等の営業所での帳簿書類の閲覧・検査権(第59条第1項第2号)
 ※事業者等は要求された資料及び営業関係記録を提出し,これらの記録の検査,営業所への検査を容認しなければならず(第59条2項),これらを拒んだ場合は秩序違反に当たる。
[3] 地方裁判所の裁判官が発行する令状に基づく捜索権(第59条第4項)
 ※緊急を要する場合は,営業時間内であれば,裁判官の決定無しに捜索を行うことができる。
[4] 押収権(第58条)

イ 聴聞手続

 連邦カルテル庁が行政処分を行うに当たっては,関係人に対する聴聞の機会が保障されるとともに,連邦カルテル庁は,申立て又は職権により,公開かつ口頭での聴聞会を開催することができる(第56条)。
 聴聞手続について具体的に規定している規則はないが,実務上,連邦カルテル庁の事件担当決定部は,禁止決定の前に,決定に係る理由,根拠及びその他の情報が含まれる「警告書」を関係人に送付している。関係人は,警告書を受け,全ての関係事実及び法律上の問題について自らの意見を述べる。意見を陳述する相手方は,警告書を発出した決定部の職員であり,電話や会談の場で意見を述べることとなる。
 なお,事件記録の閲覧(行政手続法第29条)の機会については,関係者の間ではよく知られている。

ウ 連邦カルテル庁による主な決定

 連邦カルテル庁の決定は,決定部において審理長及び審理官2名により行われる。
[1] 競争制限禁止法又は欧州機能条約第101条若しくは第102条違反行為の排除措置命令(第32条第1項)。
[2] [1]に関連して,違反行為の効果的な排除のため必要であり,かつ,立証された違反行為に相応した全ての排除措置命令(第32条第2項)。
[3] 重大かつ,再び回復することができない競争に対する損害が存在する急を要する案件における暫定措置命令(第32a条)。
[4] 事業者が競争上の懸念を排除するために適切な義務を受け入れることを確約した場合,当該確約が,事業者を拘束するものとする決定(第32b条)。
[5] 行為の不問の決定(第32c条)。

(2)制裁金手続

 カルテル事件では,通常,制裁金(秩序違反)(注)手続を規定した秩序違反法に基づき,令状による捜索を行う。

 (注)競争制限禁止法上,秩序違反とされる行為類型
 故意又は過失により次の行為を行った者は,秩序違反を行ったものとされる(第81条)。
A 欧州機能条約第101条第1項,第102条違反(第81条第1項)
B 法律上の禁止規定の違反(第81条第2項第1号)
[1] カルテル(第1条)
[2] 市場支配的地位の濫用(第19条第1項)
[3] 不当な差別・不当妨害(第20条第1項)
[4] 優越的地位の濫用(第20条第2項,第20条第3項)
[5] 中小の競争者に優越する市場力を有する事業者による不当な妨害(原価割れ販売)(第20条第4項)
[6] 経済団体等の団体による不当な加入拒絶(第20条第6項)
[7] 他の事業者への違反行為の強制(第21条第3項)
[8] 申告者に対して不利益を与える行為(第21条第4項)
[9] 待機期間満了前の企業結合の実行(第41条第1項)
C 執行可能な命令に対する違反(第81条第2項第2号a)
D 企業結合容認及び大臣許可に付加された条件に対する違反(第81条第2項第5号)
E ボイコット,他の事業者に違反行為を行わせるための利益・不利益の供与(第81条第3項)
F 企業結合規制に際しての市場データの提供拒否(第81条第2項第2号b)
G 企業結合届出の懈怠(第81条第2項第3号)
H 企業結合実行届出の懈怠(第81条第2項第4号)
I 行政手続において要求された説明の拒否等(第81条第2項第6号)

ア 調査権限

 制裁金手続において,連邦カルテル庁は,訴追行政庁として,犯罪行為の訴追の際の検察官に代わり,それと同じ権限と義務を有する(秩序違反法第46条第2項)。したがって,例えば,連邦カルテル庁は全ての官庁に報告を求め,かつ,自ら調査を行い,又は,警察署・警察官にこれを行わせることができる(刑事訴訟法第161条第1文)。警察署・警察官は,カルテル庁の嘱託又は請求に応じる義務を負う(刑事訴訟法第161条第2文)。
 連邦カルテル庁は,証人及び鑑定人を召喚できる。証人及び鑑定人は,出頭し,事実について供述し,又は鑑定を行う義務がある。真実の供述を得るためのより強い手段として裁判官による捜査行為がある(刑事訴訟法第161a条)。連邦カルテル庁も,例えば,裁判官による証人の尋問を地方裁判所に申請できる(刑事訴訟法第162条)。
 裁判官の面前で連邦カルテル庁,被疑者,弁護人が出席して行われる証人尋問での偽証行為には宣誓を欠いても罰則(5年以下の自由刑)がかかる(刑法第153条)。また,連邦カルテル庁は,被疑者を召喚できる(刑事訴訟法第163a条第3項)。
 連邦カルテル庁は,事業所や役員私宅等に立ち入り,関係書類の捜索と押収を行うことができる。緊急を要する場合を除き,あらかじめ地方裁判所裁判官の令状を得ることを要する(刑事訴訟法第98条及び第105条)。
 また,連邦カルテル庁の手続は,糾問手続である。
 連邦カルテル庁は,制裁金手続において,上記の行政手続の調査権限も行使できる。
 なお,連邦カルテル庁は,違反行為が刑法第298条に基づく入札談合の犯罪に関わるものである場合,秩序違反法第41条に基づき,自然人に対する手続を検察庁に送致しなければならない。

イ 聴聞手続

 制裁金手続における聴聞の機会については,刑事訴訟法の規定(第163a条第1項)が準用され,関係人には自己の意見を述べる機会が与えられる。

ウ 秩序違反に対する制裁金決定

(ア) 制裁金の金額
 制裁金額の算定の際には,違反行為の重大性とともに,その期間も考慮される(第81条第4項)。連邦カルテル庁は,制裁金算定のガイドライン(告示38/2006号)に基づき制裁金を算定しているところ,算定の手順は「基本額の算定」→「基本額の調整」となっており,大要以下のとおり行われる。

a 第81条第1項,第2項第1号,第2項第2号a,第2項第5号,第3項違反の場合(上記4(2)A~E)
(a)基本額の算定
 基本額は,違反行為に係るドイツ国内における売上高の30%を上限とする金額(ハードコアカルテルの場合には通常30%を適用)を用いる。
(b)基本額の調整
 基本額の調整は,[1]抑止効果を目的とした増額(最大100%の増額),[2]再度の違反,審査妨害,違反行為の先導者等の増額要件,[3]第三者への損害賠償の支払,受動的な参加,公的機関による助長等の減額要件を考慮して行われ,その結果,最終的な制裁金額が算定される。
 違反に参加した個々の事業者及び事業者団体に対して制裁金が課される場合には,各々が前事業年度に獲得した総売上高の10%が上限額となる。

b その他の場合(上記4(2)F~I)
 基本額の算定及び基本額の調整は,上記aの場合と同様である。ただし,違反行為に係る売上高とは,合併により影響を受ける市場における当該事業者の国内売上高を指す。
 これらの行為に対する制裁金の上限は,10万ユーロである。

(イ) リニエンシー制度による制裁金の減免
 連邦カルテル庁は,カルテル事件における制裁金の免除及び減額に係る連邦カルテル庁告示(2006年9月号。以下「カルテル庁告示」という。)に基づき,制裁金の免除及び減額を行っている。本告示は,カルテル(特に,価格又は販売数量の決定及び市場分割についての取決め並びに入札談合)への参加者(自然 人,事業者及び事業者団体。以下「カルテル参加者」という。)に適用される。

a 制裁金の免除が認められる要件
 審査開始前の情報提供の場合,連邦カルテル庁が,捜索令状を取得できる十分な証拠を有していない時点で,連邦カルテル庁が捜索令状を取得し得る情報と証拠を最初に提供したカルテル参加者について,制裁金の免除が認められる。
 審査開始後の情報提供の場合,連邦カルテル庁が,捜索令状を取得した後であっても違反行為を立証するのに十分な証拠を有しておらず,かつ,どのカルテル参加者にも制裁金の免除が認められていない時点で,連邦カルテル庁が違反行為を立証できるような情報及び証拠を最初に提供したカルテル参加者に対し,制裁金の免除が認められる(カルテル庁告示第4項)。
 なお,全額免除の資格を得るためには,[1]カルテル参加者が,唯一のカルテル先導者ではなく,又は,他の者にカルテル参加を強要していないこと,かつ,[2]カルテル参加者が,連邦カルテル庁に継続的かつ全面的な協力をする,という要件を満たされなければならない(カルテル庁告示第3項及び第4項)。

b 制裁金の減額が認められる要件(カルテル庁告示第5項)
 連邦カルテル庁は,制裁金免除の要件(カルテル庁告示第3項及び第4項)を満たしていないカルテル参加者が,違反行為の立証に実質的に貢献する情報及び証拠を提出する場合,かつ,カルテル参加者が,連邦カルテル庁に継続的かつ全面的な協力をする場合,制裁金を50%まで減額することができる。減額の程度は,とりわけ,事実解明への貢献度及び申請の順位による。

c 協力義務
 リニエンシーの申請者は,手続の全期間中,連邦カルテル庁に継続的かつ全面的な協力をする義務に加え,以下の義務を負う(カルテル庁告示第6項)。
[1] 申請者は,連邦カルテル庁による要請に基づき,カルテルへの参加を遅滞なく取りやめること(カルテル庁告示第7項)。
[2] 申請者は,申請後も,あらゆる入手可能な情報及び証拠を連邦カルテル庁に提出すること。とりわけ,申請者が所有する又は入手することができる制裁金決定にとって重要なあらゆるデータを含む(カルテル庁告示第8項)。
[3] 申請者は,連邦カルテル庁が守秘義務を解除するまで,連邦カルテル庁への協力を,秘密にしておくこと(カルテル庁告示第9項)。
[4] 申請者は,カルテルの話合いに参加したあらゆる従業員(元従業員も含む)の名前を明らかにしなければならず,手続期間中,情報及び証拠を得ることができるあらゆる従業員を,連邦カルテル庁に対して不断で無制限に協力するようにさせること(カルテル庁告示第10項)。
申請者が,義務(とりわけ協力義務)を履行しない場合,その順位は抹消され,次順位の申請者が順位を繰り上げる(第16項)。

(ウ) 同意による審査手続の終結(和解手続)
 関係人の同意によって審査手続を終結すること,いわゆる和解手続(settlement)
により,制裁金額が追加的に最大で10%減額されることが認められている。この和解手続を行うためには,関係人が連邦カルテル庁によって立証された事実を認めることを宣言することが必要となる。この手続によって,連邦カルテル庁は短期間で制裁金を賦課する決定を下すことができ,事件を終結させることができる。

(3)上訴

 連邦カルテル庁により処分を受けた当事者はデュッセルドルフ高等裁判所に上訴できる(行政手続に基づく措置については第63条及び第66条,制裁金処分については第85条及び秩序違反法の規定)。
 さらに,高裁判決に不服のある者は,法律問題に限って,最高裁に上告できる(行政手続に基づく措置については第74条第1項,制裁金処分については第84条)。

5 損害賠償,差止請求

 違反行為により損害を受けた者は,損害賠償を請求し,又は違反行為の差止めを請求することができるほか(第33条第1項),団体も差止請求を行うことができる(第33条第2項)。また,違反行為により獲得された利得の剥奪権限が競争当局に与えられており(第34条),
 団体もまた,競争当局に代わって,利得剥奪請求を行うことができる(第34a条)。

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