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パナマ(Panama)

1 根拠法

(1) 根拠法

 パナマの競争法は,競争の保護に関する規範を定め,その他の措置を採用する法律(Ley No.29 por la Cual se Dictan Normas sobre la Defensa de la Competecia y se Adoptan Otras Medidas,1996年2月1日法律第29号)である(以下,競争保護法という)。
 本法は,消費者の多数の利益を保護するために,独占的行為及び財物又は役務の市場の有効な作用を制限するその他の行為を根絶することにより,自由な経済競争の過程及び自由な競争を保護及び確保することを目的としている(第1条)。

(2) 法適用範囲

 競争保護法は,次のような例外を除き,すべての経済事業者に対して適用される(第2条)。国家が法により定めた公的独占に対しては本法は適用されず(第3条),また,労使協定および知的所有権の行使は独占的行為とは判断されない(第4条)。

2 執行機関

(1) 自由競争及び消費者問題委員会(Comision de la Libre Competencia y Asuntos del Consumidor)

ア 概要

 自由競争および消費者問題委員会(以下,委員会という)は,商工業省に属し,権限行使の独立性を有する機関である(第101条)。
 委員会は,3人の正委員及びそれぞれの補欠委員と1人の局長から構成され,さらに,その権限行使のために必要とされる専門部門を有する(第102条)。
 委員は,国会の承認を得て行政府より任命され,任期は5年である。委員長は,委員の互選により任期を1年として選任される。局長は,5年をを任期として,委員により任命される(第106条)。

イ 権限

 委員会は,次のような権限及び職務を有する(第103条)。
(i) 一般的方針を決定し,その実行を監督すること
(ii) 国内のいずれかの地域において,地方事務所を含む,その機能を果たす行政部門を創設し,その職務を指示すること
(iii) 内部規則を作ること
(iv) 禁止行為を審査し,制裁的措置を命じること
(v) 競争保護法の対象となる事項に関係する諸法について意見を出すこと
(vi) 公的若しくは私的な機関及び自然人から証拠をとること
(vii) 経済事業者及び消費者の相談に応じること
(viii) 市場の経済システムの歪曲を探査するために市場調査を行い,改善に向けた措置の勧告を通じて,そのような行動を排除すること等

(2) 専属的な第一審巡回裁判所(Juzgado de Circuito)

ア 第一審裁判所として,特定の地域において7つの専属的な民事巡回裁判所が創設され,その他の地域においては通常の民事巡回裁判所が審理を行う(第141条)。
イ 第一審の巡回裁判所は,委員会の専属事項を除き,次のような事項の専属審理を行う(第141条)。
(i) 独占行為等に関する本法の適用または解釈に際して生じる論争
(ii) 違反行為に対する制裁的措置を課すこと,及び違反行為の差止めを命じること等

(3) 第三高等裁判所(Tercer Tribunal Superior de Justicia)

 控訴審裁判所として,3人の判事によって構成される,第一裁判区の第三高等裁判所が創設されている(第143条)。

3 規制の概要

(1) 禁止事項

 競争保護法では,財物又は役務の自由な経済競争及び自由な競争の制限行為等の禁止が定められ(第5条),その具体的内容として,当然違法の絶対的独占行為の禁止(第10条,第11条)及び相対的独占行為の禁止(第13条,第14条)が定められている。

ア 絶対的独占行為

 次に掲げるいずれかの目的又は効果を持つ,競争事業者間又は潜在的競争事業者間における何らかの結合,取決め,協定若しくは契約が絶対的独占行為とされ(第11条),当然違法となる(第10条)。
(i) 価格の決定,操作若しくは強制。又は同様の目的・効果を持つ情報交換
(ii) 財物・役務の供給制限
(iii) 市場分割
(iv) 入札談合

イ 相対的独占行為

 次に掲げる場合における,関連市場における他の事業者を不当に排除する,他の事業者の市場参入の妨害,又は一若しくは複数の者のために排他的利益を設定する目的又は効果を持つ一方的行為,結合,取決め,協定若しくは契約が相対的独占行為とされ,禁止される(第14条)。
(i) 市場の垂直的分割
(ii) 再販売価格の制限又はその他の拘束条件の強制
(iii) 抱き合わせ取引
(iv) 排他条件付き取引
(v) 排他的行為
(vi) 強圧行為の取決め又はその誘引
(vii) 市場略奪的行為
(viii) 自由な経済競争及び自由な競争の過程を不当に妨げるすべての行為一般

(2) 企業集中規制

ア 経済事業者間において行われる支配権の獲得等が,経済集中とされ,自由な経済競争及び自由な競争を減殺する効果又はそのおそれのある経済集中が禁止される(第19条)。
イ 経済集中に参加する経済事業者は,委員会に対して事前に届出を行い,その審査に服すことができる(第20条)。
ウ 審査が行われた場合,委員会が当該集中を承認すれば,それは合法的に実行され,原則として事後的に否認されることはない(第21条)。また,自発的な審査に服されなかった集中については,実行後3年を経た後は否認することはできない(第22条)。

4 法執行手続

(1) 事前相談制度

 経済事業者は,その実行しようとする一定の行為等が絶対的独占行為又は相対的独占行為に該当するか否かについて,委員会に事前に文書で相談を行うことができる(第18条)。

(2) 経済集中に対する審査手続

 委員会は,次のような手続で集中を審査する(第118条)。経済集中に参加する経済事業者は,必要な資料を付した書面による届出を行う。委員会は,届出を受理してから20日以内に,追加的な資料又は書類を要求することができ,これを行った場合には,その受理の日から数えて,又は届出の受理の日から数えて60日以内に審決を行うものとされている。当該審決が出されずに当該期間が経過した場合には,当該集中は承認されたものとされる。

(3) 違反行為に対する措置

ア 委員会は,違反行為の一時的な差止めを命じられる(第113条)。
イ 委員会は,違反行為の重大性,事業者の規模,再犯か否か,その他類似の要素を考慮に入れて,以下のような制裁金の支払いを命じることができる(第112条)。
(i) 絶対的独占行為の場合,2万5千バルボアから10万バルボアの制裁金
(ii) 相対的独占行為の場合,5千バルボアから5万バルボアの制裁金
 ただし,独占行為に対する制裁金は,確定判決によって違反が確定した場合にのみ課される。
ウ 禁止される経済集中に対して委員会は,当該集中を,本法に適合させるために必要な条件を課すこと,又は不当な集中の部分的又は全体的な分割,支配の終結,又は禁止を命じることができる(第26条)。

(4) 民事上の措置

ア 絶対的独占行為は無効とされる(第12条)。
イ 違反行為の被害者は,その損害の3倍額賠償請求訴訟を競争保護法上の専属的な裁判所において提起することができる(第27条)。

(5) 不服申立て

ア 独占行為に関する競争保護法の適用又は解釈に疑義が生じる場合には,被害者や委員会等は(第142条),専属的な巡回裁判所に提訴することができる(第141条)。
イ 当該裁判所の判決等については,さらに第三高等裁判所に対して控訴を提起することができる(第143条)。

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