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出光興産株式会社ほか3社に対する審判審決について
(ポリプロピレン販売価格カルテル)

平成19年8月10日
公正取引委員会

公正取引委員会は,被審人出光興産株式会社(以下「被審人出光興産」という。),同住友化学株式会社(以下「被審人住友化学」という。),同サンアロマー株式会社(以下「被審人サンアロマー」という。)及び同株式会社トクヤマ(以下「被審人トクヤマ」という。)(4社を併せて以下「被審人ら」という。)に対し,平成13年6月27日,審判開始決定を行い,以後,審判官をして審判手続を行わせてきたところ,平成19年8月8日,被審人らに対し,平成17年法律第35号による改正前の独占禁止法第54条第3項の規定に基づき,審判審決を行った(本件平成13年(判)第15号審決書については,当委員会ホームページの「報道発表資料」及び「審決等データベース」参照)。

1被審人の概要

事 業 者 名

所 在 地

代 表 者

出光興産株式会社

東京都千代田区丸の内三丁目1番1号

原 田 征 夫

住友化学株式会社

東京都中央区新川二丁目27番1号

米 倉 弘 昌

サンアロマー株式会社

東京都品川区東品川二丁目2番24号

ゴダード・フォン・イルゼマン

株式会社トクヤマ

山口県周南市御影町1番1号

中 原 茂 明

2本件の経緯

平成13年 5月30日 勧告(平成13年(勧)第7号)
  6月27日 審判開始決定
  9月12日 第1回審判
   
平成18年 8月4日 第28回審判(審判手続終結)
平成19年 5月17日までに審決案送達
  5月31日までに審決案に対する異議申立て及び直接陳述の申出
  7月12日 直接陳述の聴取
  8月8日 審判審決

3審決の概要

(1)違反行為の概要等

被審人らは,他の事業者と共同して,ポリプロピレン(原料であるナフサの価格に連動して販売価格を設定する旨の契約を締結しているもの(ナフサリンク方式)を除く。)の販売価格の引上げを決定することにより,公共の利益に反して,我が国におけるポリプロピレンの販売分野における競争を実質的に制限していた。

(2)主文の概要

被審人住友化学及び被審人サンアロマーの2社は,平成12年3月6日にこれら2社及び他の事業者の間で行ったポリプロピレンの販売価格の引上げに関する合意(以下「本件合意」という。)が消滅していることを確認しなければならない。

被審人住友化学及び被審人サンアロマーは,それぞれ,次の事項をポリプロピレンの取引先販売業者及び需要者に周知徹底させなければならない。

(ア)前項に基づいて採った措置

(イ)今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同してポリプロピレンの販売価格を決定せず,各社が自主的に決める旨

被審人住友化学及び被審人サンアロマーは,今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同してポリプロピレンの販売価格を決定せず,各社が自主的に決めなければならない。

出光石油化学株式会社及び被審人トクヤマが,他の事業者と共同して,平成12年3月6日に,同年4月以降,ポリプロピレンの需要者向け販売価格を1キログラム当たり10円をめどに引き上げることを決定した行為は,独占禁止法第3条の規定に違反するものであり,かつ,当該行為は,既になくなっていると認める。

出光石油化学株式会社及び被審人トクヤマの前記エの違反行為については,被審人出光興産及び被審人トクヤマに対し,格別の措置を命じない。

(3)本件の争点

本件合意の成否(争点1)

一定の取引分野(争点2)

措置の必要性(争点3)

(4)争点等に対する判断の概要

争点1(本件合意の成否)について

平成12年3月6日の部長会での本件合意の成立については,その直接証拠の信用性を特段否定すべき事情はなく,同部長会に至る経緯及び同部長会後の7社の行動も,本件合意の成立とよく整合している。これらのことからすれば,同部長会において,本件合意が成立したことが認められる。

そして,審決案に掲げた各証拠に照らせば,本件違反行為は,平成12年5月30日以降遅くとも同年10月25日までの間に違反行為者全員についてなくなり,本件合意もそのころ消滅したものと認められる。

争点2(一定の取引分野)について

審査官の主張は相当であり,本件においては,ポリプロピレン(ナフサリンク方式により販売価格を設定しているものを除く。)全体で1個の「一定の取引分野」を形成していることは明らかである。

争点3(措置の必要性)について

(ア)被審人住友化学及び被審人サンアロマーについて

本件審判開始決定の時までに本件違反行為が存在し,かつ,当該行為は既になくなっていると認められる。そして,本件違反行為が平成12年中に終了した後,現在まで6年以上が経過し,ポリプロピレン製造販売業者の数は7社から4社に減少した。

被審人らは,本件違反行為に至る過程において,本来他企業には秘匿すべき各社のナフサ価格とポリプロピレンの価格との具体的関係について平然と情報交換をしてきたのであって,本件違反行為終了後,ポリプロピレン小委員会及び部長会は開催されなくなったものの,これは公正取引委員会の立入検査を契機とするものであること,ポリプロピレン製造販売業者の数は7社から4社に減少したことにより,ポリプロピレン製造販売業者がポリプロピレンの値上げ合意へ向けて上記の情報交換をすることは本件当時に比べさらに容易になったこと,ナフサ価格とポリプロピレン価格との連動性が比較的単純であることに照らすと,ポリプロピレンの値上げについて共通の認識を形成しやすいといえること及びポリプロピレンをはじめとするポリオレフィン業界においては価格の引上げを行う不当な取引制限が繰り返し行われてきて,とりわけ被審人住友化学は過去にポリプロピレンの価格カルテルにつき1回,ポリエチレンの価格カルテルにつき3回行政処分を受けたことからすれば,今後,本件違反行為と同様の違反行為が再び行われるおそれがあると認めることができる。

したがって,被審人住友化学及び被審人サンアロマーについては,独占禁止法第54条第2項に規定する「特に必要があると認めるとき」に該当するということができる。

(イ)被審人出光興産及び被審人トクヤマについて

被審人出光興産について,審査官は,同社が株式会社プライムポリマー(以下「プライムポリマー」という。)のポリプロピレン製造販売業を実質的に営んでいると主張するが,同社とプライムポリマーは別法人であって,同社のプライムポリマーに対する出資割合が35パーセントにとどまることにもかんがみると,被審人出光興産がポリプロピレン製造販売業を実質的に営んでいるということはできない。また,被審人トクヤマは,現在,ポリプロピレンの製造販売業を営んでいない。したがって,被審人出光興産及び被審人トクヤマについては,独占禁止法第54条第2項に規定する「特に必要があると認めるとき」に該当するとはいえないものというべきである。



問い合わせ先 公正取引委員会事務総局官房審決訟務室
電話 03−3581−5478(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp

【附属資料】

審決書214KB

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