第3 警 告
警告の措置を採った主なものとしては,次のようなものがある。
1 | 消費税の導入前に,料金又は販売価格を共同して引き上げた事業者団体 等に対する警告 |
||||||
これらの事業者団体等については,消費税の導入前に,料金又は販売価 格を共同して引き上げることを決定して実施した疑いが認められたため, 独占禁止法第8条第1頃第1号若しくは第4号又は第3条の規定に違反す るおそれがあるとして,平成元年5月,これらの団体等に対してそれぞれ警 告を行った。警告対象となった主要な事業者団体は次のとおりである。
|
|||||||
2 | 食肉輸入商社協議会に対する警告 | ||||||
食肉輸入商社協議会は,畜産振興事業団の行う冷凍輸入牛肉の買入れ入 札(以下「買入れ入札」という。)の昭和60年度下期分の入札から,会員の 相互連絡組織を利用して会員の落札比率(入札における全落札量に対する それぞれの会員の割合をいう。)を同事業団が同年11月に会員ごとに示した 基本シェアと称される比率に合致させるようにしていた疑いが認められた ため,独占禁止法第8条第1項第1号に違反するおそれがあるとして,平 成元年7月,警告を行った。 |
|||||||
3 | 全国農業協同組合連合会に対する警告 | ||||||
全国農業協同組合連合会は,同連合会の契約先段ボール箱製造業者(以 下「指定メーカー」という。)に青果物用段ボール箱を製造させるに当た り,指定メーカーに原則として当該青果物用段ボール箱の製造に使用する 段ボール原紙の全量を同連合会から購入させるようにしているところ,同 連合会が指定メーカーに対し青果物用段ボール箱の納入を要請した場合 に,指定メーカーが同連合会から段ボール原紙を購入する時間的余裕がな い等により,自ら段ボール原紙を調達して青果物用段ボール箱を製造した ようなときについても,補正措置と称して事後的にこの分に相当する段 ボール原紙を同連合会から購入させている疑いが認められたため,独占禁 止法第19条(一般指定第14項)に違反するおそれがあるとして,平成2年 1月,警告を行った。 |
第4 課徴金納付命令
課徴金制度は,カルテル禁止の徹底を図るため,行政上の措置として設け
られているものである。
課徴金の対象となる行為は,事業者又は事業者団体の行うカルテルのう
ち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供
給量を制限することによりその対価に影響があるものであり,これらの行為
があった場合に,事業者又は事業者団体の構成員に対し,課徴金の納付を命
ずることとされている(第7条の2第1項,第8条の3)。
本年度は,6件の違反事件に関し,54名に対し,総額8億349万円の課徴
金の納付を命じた(第5表)。
第5 監 査
1 | 概 説 |
当委員会は,審決執行後,当該関係人の動向等を調査することにより,審 決の履行状況を監査するとともに,違反行為の再発防止に努めている。 本年度における監査事件数は4件であり,行為類型別にみると,価格カル テル事案が2件,不公正な取引方法事案が3件となっている(価格カルテル と不公正な取引方法の双方に係るもの1件を含む。)。 上記4件の監査事件のうち,3件は本年度中に監査を終了し,1件は次年 度に繰り越した。 なお,旭硝子株式会社ほかソーダ灰製造業者3名に対する件(共同して我 が国への米国産天然ソーダ灰の輸入数量,引取比率及び輸入経路を決定,独 占禁止法第3条違反,昭和58年3月31日審決)については,昭和62年11月, 国内ソーダ灰製造業者に対し,公正な競争を阻害するおそれのある行為を行 うことがないよう注意を喚起したところであるが,その後も引き続き状況を 監視している。 |
|
2 | 主な監査事件の概要 |
日本航空株式会社,全日本空輸株式会社及び東亜国内航空株式会社(現, 株式会社日本エアシステム)(以下「航空3社」という。)に対する警告事件 (団体包括旅行の最低販売価格を下回る額で団体包括旅行を募集した旅行業 者に対し当該旅行の販売価格を引き上げさせる等の措置を共同して講じてい た疑い,昭和61年8月22日警告)に関し,監査を行った。 監査の結果,航空3社は,団体包括旅行の最低販売価格が認可事項でなく なった昭和63年4月以降も,それぞれ,旅行業者に対し,従来認可を受けて いた最低販売価格以上の額で団体包括旅行を販売するよう指示している疑い が認められたので,航空3社に対し,前記疑いのある行為を排除するととも に,今後,再びこのような行為を行わないよう警告した。 |