第3 警  告

 警告の措置を採った主なものの概要は以下のとおりである。



第4 課徴金納付命令

 課徴金制度は,カルテル禁止の徹底を図るため,行政上の措置として設け
られているものである。
 課徴金の対象となる行為は,事業者又は事業者団体の行うカルテルのう
ち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供
給量を制限することによりその対価に影響があるものであり,これらの行為
があった場合に,事業者又は事業者団体の構成事業者に対し,課徴金の納付
を命ずることとされている(第7条の2第1項,第8条の3)。
 本年度は,11件の違反事件に関し,175名に対し,総額125億6,214万円の
課徴金の納付を命じた(第5表)。

第5 監  査

  概  説
 当委員会は,審決執行後,当該関係人の動向等を調査することにより,審
決の履行状況を監査するとともに,違反行為の再発防止に努めている。
 本年度における監査事件数は3件であり,行為類型別に見ると,受注予定
者の決定事案が1件,不公正な取引方法事案が2件となっている。
 上記3件の監査事件のうち,1件は本年度中に監査を終了し,2件は次年
度に繰り越した。
 なお,旭硝子株式会社ほかソーダ灰製造業者3名に対する件(共同して我
が国への米国産天然ソーダ灰の輸入数量,引取比率及び輸入経路を決定,独
占禁止法第3条違反,昭和58年3月31日審決)については,昭和62年11月,
国内ソーダ灰製造業者に対し,公正な競争を阻害するおそれのある行為を行
うことがないよう注意を喚起したところであるが,その後も引き続き状況を
監視している。

第6 刑事罰の活用の方針の表明と刑事罰強化の検討

刑事罰の活用の方針の表明
 公正取引委員会は,独占禁止法違反事件の告発及び刑事訴追が適切に行わ
れるよう平成2年4月,法務省刑事局との間に,告発に関する手続等を検討
するための連絡協議会を設置するとともに,同年6月,今後,
(1)  一定の取引分野における競争を実質的に制限する価格カルテル,供給
制限カルテル,市場分割協定,入札談合,共同ボイコットその他の違反
行為であって国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大
な事案
(2)  違反を反復して行っている事業者・業界,排除措置に従わない事業者
等に係る違反行為のうち,公正取引委員会の行う行政処分によっては独
占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案
について積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針を明らかにした。
 以来,法務省刑事局との間で,上記連絡協議会を開催してきたところ,平
成2年12月にその検討を終了した。この連絡協議会の検討を受けて,平成3
年1月,検察当局との間に「告発問題協議会」を設置した。同協議会は,独
占禁止法違反事件を告発するに当たり,その円滑・適正を期すため,当該個
別事件に係る具体的問題点について意見,情報の交換を行うものである。
刑事罰強化の検討
(1) 独占禁止法に関する刑事罰研究会の開催
 独占禁止法違反行為に対する抑止力の強化の観点から,刑事罰について
その積極活用を行う旨の方針が明らかにされたところであるが,他方,
「課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会」において多くの会員から,
抑止力の総合的な向上を図るため刑事罰の強化を検討する必要があるとの
意見が出された。
 また,課徴金の引上げに関する独占禁止法の改正に当たり,衆議院商工
委員会において,独占禁止法違反行為の防止の徹底を図るための措置のー
つとして刑事罰の強化を検討すべき旨の附帯決議が行われた。
 公正取引委員会は,こうした状況を踏まえ,平成3年1月,独占禁止
法,刑事法の学識経験者からなる「独占禁止法に関する刑事罰研究会」を
開催し,刑事罰の強化について検討することとした。
(2) 刑事罰研究会の中間報告
 刑事罰研究会は,平成3年5月17日,それまでの研究結果を中間的に公
正取引委員会に報告した。
 この中間報告では,その骨子として,我が国においては,一般に,事業
者に対する罰金刑と従業者等に対する罰金刑の各上限を同一とする規定形
式が採られており,独占禁止法においても同様の規定が置かれているが,
典型的な企業犯罪である独占禁止法違反行為に対する抑止効果を十分なも
のとするためには,事業者に対する罰金刑を十分な抑止力を有する水準ま
で引き上げることが必要であるとしている。