第2 勧告審決

 公正取引委員会は,違反行為をしているもの又は行ったものに対し,独占
禁止法第48条第1項又は第2項の規定に基づいて適当な措置を採るべきこと
を勧告し,そのものが勧告を応諾したときには,同条第4項の規定に基づ
き,審判手続を経ないで当該勧告と同趣旨の審決をすることができるが,こ
の手続による審決を勧告審決と呼んでいる。
 本年度は,独占禁止法第3条後段(不当な取引制限)違反12件,第8条第
1項第1号(事業者団体による競争の実質的制限)違反3件,第8条第1項
第4号(事業者団体による構成事業者の機能又は活動の不当な制限)違反3
件,第17条(金融会社の株式会社保有の制限規定による制限を免れる行為)
違反1件及び第19条(不公正な取引方法)違反8件の勧告審決を行った。そ
の概要は,以下のとおりである。

独占禁止法第3条後段違反事件
(1) 東京トヨタフォークリフト(株)ほか8名に対する件(平成3年(勧)第4号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人9社は,かねてから,東京都におけるフォークリフトの販
売に関し,十日会(東京都における各社の代表者級又は営業責任者
級の者で構成)及びブロック会(十日会における決定事項を実施す
るため,五つの区域に区分して,各社の営業所等の営業責任者級の
者で構成)において,情報交換を行うことにより業界の強調を図っ
てきたところ,昭和62年4月9日,十日会において,フォークリフ
トの需要者向け販売価格について,次のとおり決定した。
 付属品及び特注品を含むフォークリフトの見積価格は,各社の
定価の70パーセント以上とすること。
 大口需要者及び各社の定価から大幅な値引きを要求してくるよ
うな需要者について,幹事会社を定めてブロック会で登録し,登
録した需要者から引き合いを受けた者は,必ず幹事会社に連絡す
ること。
 登録した需要者から2社以上が引き合いを受けた場合は,ブ
ロック会又は当事者間で最低販売価格を設定し,それぞれが提出
する見積価格を調整して,販売価格がこの最低販売価格を下回ら
ないようにすること。
 前記b及びcに違反した場合は,各ブロック会で制裁金を課す
こととし,その額はフォークリフト1台につき3万円を基準とす
ること。
(イ)  9社は,前記決定を実施するとともに,必要に応じて,見積価格
を調整する際は販売予定者を定め,また,登録した需要者以外の需
要者から引き合いを受けた場合にも上記(ア)cと同様の調整行為を行
うなどしてフォークリフトの需要者向け販売価格を設定した販売価
格以上に維持していた。
(ウ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,9
社は,平成2年5月21日,前記決定を破棄するとともに前記十日会
及びブロック会を解散した。
排除措置
 9社に対し,次の措置を探るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  次の事項をフォークリフトの取引先及び需要者に周知徹底するこ
と。
 昭和62年4月9日に行ったフォークリフトの需要者向け販売価
格の維持に関する決定を破棄した旨
 十日会及びブロック会を解散した旨
 今後は,共同してフォークリフトの需要者向け見積価格,同販
売価格又は販売予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に価格
を決めて販売する旨
(イ)  今後,それぞれ相互に又は他の同業者と共同して,フォークリフ
トの需要者向け見積価格及び同販売価格を決定しないこと。
(2) 旭ファイバーグラス(株)ほか3名に対する件及び福岡保温材(株)ほか7名に対する件(平成3年(勧)第8号,第9号)
旭ファイバーグラス(株)ほか3名に対する件
関係人
違反事実
(ア)  関係人4社は,平成元年7月17日,九州地区において販売する設
備用グラスウールのうち,パイプ,ロール及びボードの販売価格の
引上げについて検討した結果,九州地区のうち,北九州市を除く福
岡県の区域を一地区,それ以外の区域を二地区と定め,それぞれの
地区の材料商(卸売業者)に対する販売価格を次表に基づいて算出
する価格に引き上げることとし,同年10月1日出荷分から実施する
ことを決定した。
(イ)  4社は,平成元年8月ごろ,九州地区において販売する設備用グ
ラスウールのうち,アルミクラフト紙貼りロール(密度24キログラ
ム,厚さ25ミリメートル)の販売価格の引上げについて検討した結
果,一地区及び二地区の材料商に対する販売価格を次表の価格に引
き上げることとし,同年10月1日出荷分から実施することを決定し
た。
(ウ)  4社は,平成元年9月ごろ,九州地区において販売する設備用グ
ラスウールのうち,アルミガラスクロス貼りボード(密度40キログ
ラム),アルミガラスクロス貼り保温帯,裸保温帯及びブランケット
の販売価格について検討した結果,一地区及び二地区の材料商に対
する販売価格を次表に基づいて算出する価格とすることとし,同年
10月1日出荷分から実施することを決定した。
(エ)  4社は,平成元年10月31日,前記各決定の実施日を平成2年3月
1日出荷分からに変更することとした。
(オ)  4社は,前記各決定を平成2年3月1日以降,おおむね,実施し
ている。
排除措置
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成元年7月17日,同年8月ごろ,同年9月ごろ及び同年10月31
日に行った設備用グラスウールの販売価格に関する各決定を破棄す
ること。
(イ)  次の事項を九州地区における設備用グラスウールの取引先及び需
要者に周知徹底させること。
福岡保温材(株)ほか7名に対する件
関係人
違反事実
(ア)  関係人8社は,平成元年10月23日,メーカー4社(旭ファイバー
グラス(株)ほか3名)による設備用グラスウールの販売価格の引上
げが必至の情勢となってきたことに対処するため,福岡地区の保温
保冷工事業者向け設備用グラスウールの販売価格について検討した
結果,工事業者に対する販売価格を次表の価格に引き上げることと
し,平成2年3月1日出荷分から実施することを決定した。
(イ)  8社は,前記決定に基づき,設備用グラスウールの販売価格を,
おおむね,引き上げている。
排除措置
 8社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成元年10月23日に行った設備用グラスウールの販売価格の引上
げに関する決定を破棄すること。
(イ)  次の事項を福岡地区における設備用グラスウールの工事業者に周
知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して設備用グラスウールの販売価格を決定せず,各
社がそれぞれ自主的に決める旨
(3) 日東電工(株)ほか12名に対する件及び(株)寺岡製作所ほか11名に対する件(平成3年(勧)第11号,第12号)
関係人
違反事実等
日東電工(株)ほか12名に対する件
(ア) 違反事実
 関係人13社は,かねてから,物流費 原材料費等の上昇に対処す
るためクラフト紙粘着テープの販売価格の引上げについて意見交換
を行ってきたところ,13社のうちカモ井加工紙株式会社を除く12社
は 平成2年9月10日,クラフト粘着テープ業務委員会(各社の営
業担当部課長級の者で構成)の場において,クラフト紙粘着テープ
の販売価格の引上げについて検討した結果,同年10月21日出荷分か
らクラフト紙粘着テープの販売価格を現行販売価格より10パーセン
ト以上を目途として引き上げること,取引先販売業者に対する価格
改訂通知文書に記載する実施期日については,対外面を考慮して,
13社を同年10月16日出荷分からの者と同月21日出荷分からの者との
2グループに分けること等を決定した。
 また、カモ井加工紙株式会社には積水化学工業株式会社が前記決
定内容を通知した。
 13社は,前記決定に基づき,クラフト紙粘着テープの販売価格の
引上げを取引先販売業者に文書で通知し,クラフト紙粘着テープの
販売価格を,おおむね,引き上げている。
(イ) 排除措置
 13社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 平成2年9月10日に行ったクラフト紙粘着テープの販売価格の引
上げに関する決定を破棄すること。
 次の事項をクラフト紙粘着テープの取引先販売業者及び需要者に
周知徹底させること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,クラフト紙粘着テープの販売価格を決定せ
ず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(株)寺岡制作所ほか11名に対する件
(ア) 違反事実
 関係人12社は,かねてから,物流費,原材料費等の上昇に対処する
ため布粘着テープの販売価格の引上げについて意見交換を行ってきた
ところ,12社のうちカモ井加工紙株式会社を除く11社は,平成2年10
月3日,布粘着テープ業務委員会(各社の営業担当部課長級の者で構
成)の場において,布粘着テープの大部分を占める包装用布粘着テー
プの販売価格の引上げについて検討した結果,同年11月1日出荷分か
ら包装用布粘着テープの販売価格を現行販売価格より10パーセント以
上を目途として引き上げること,取引先販売業者に対する価格改訂通
知文書に記載する実施期日については,対外面を考慮して,12社を同
年10月22日出荷分からの者と同年11月1日出荷分からの者との2グ
ループに分けること等を決定した。
 また,カモ井加工紙株式会社には株式会社寺岡製作所が前記決定内
容を通知した。
(イ) 排除措置
 12社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 平成2年10月3日に行った包装用布粘着テープの販売価格の引上
げに関する決定を破棄すること。
 次の事項を包装用布粘着テープの取引先販売業者及び需要者に周
知徹底させること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,包装用布粘着テープの販売価格を決定せず,
各社がそれぞれ自主的に決める旨
(4) (株)ダスキンほか5名に対する件(平成3年(勧)第14号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人6社は,いわゆるフランチャイズ・システムの最高本部機
能を有するものであって,それぞれのフランチャイズ・システムを
通じ(直営店等により直接需要者に供給する場合を含む。),レンタ
ルの方法によるダストコントロール製品の供給業を営む者である。
 6社はそれぞれの傘下加盟店のダストコントロール製品の需要者
向け標準レンタル価格(以下 「末端標準レンタル価格」という。)
及びそれぞれのシステム内における標準的な取引価格を定めてお
り,また,傘下加盟店及び直営店等は,これに準拠した需要者向け
レンタル価格を設定している。
(イ)  レンタルの方法によるダストコントロール製品の供給業者の間で
は,近年の人手不足に伴う人件費の高騰等が問題となっており,6
社は,それぞれのシステム全体の維持・発展を図るため,かねてか
ら,社団法人日本ダストコントロール協会の理事会等の会合におい
て,これらの問題への対応策の検討を行ってきたところ,平成2年
1月30日,6社の取締役クラスの者による会合において,(株)ダス
キン(以下「ダスキン」という。)は,同社の末端標準レンタル価
格を,家庭用は平均25パーセント,業務用は平均12パーセント,同
年4月1日から引き上げる旨表明し,この意向表明を受けて,同会
合の席上,ダスキンを除く5社は,ダスキンの末端標準レンタル価
格の引上げ予定額又は率に近似する額又は率でそれぞれの末端標準
レンタル価格を引き上げること,及びそれぞれの末端標準レンタル
価格の引上げは同年6月までの間に実施することに合意し,もっ
て,6社は,ダストコントロール製品の末端標準レンタル価格を引
き上げることを決定した。
(ウ)  また,6社は,需要者向けレンタル価格の引上げの実効性を確保
するため,平成2年4月から同年6月までの間は,それぞれの傘下
加盟店及び直営店等が得意先の争奪を行わないようにさせることに
ついても合意した。
(エ)  ダスキンは,平成2年1月末以降,同年4月1日から同社の末端
標準レンタル価格の引上げを実施する旨を,また,ダスキンを除く
5社は,同年2月央以降,同年5月1日から各社の末端標準レンタ
ル価格の引上げを実施する旨を,それぞれの傘下加盟店を招集する
などして,傘下加盟店に通知した。
(オ)  平成2年3月以降,6社の傘下加盟店及び直営店等は,6社がそ
れぞれ定めた末端標準レンタル価格に準拠してその需要者向けレン
タル価格を引き上げるようその取引先需要者と交渉し,おおむねダ
ストコントロール製品の需要者向けレンタル価格を引き上げてい
る。
(カ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,6
社は,平成2年9月20日,営業担当部長クラスの者による会合にお
いて,前記(イ)の決定を破棄した。
排除措置
 6社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を各社の傘下加盟店及びダストコントロール製品の需要者
に周知徹底させること。
(ア)  平成2年1月30日に行ったダストコントロール製品の需要者向け
標準レンタル価格の引上げに関する決定を破棄した旨
(イ)  今後,共同して,ダストコントロール製品の需要者向け標準レン
タル価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(ウ)  今後,共同して,各社の傘下加盟店及び直営店等に得意先の争奪
を行わないようにさせる行為をしない旨
(5) 静岡日野自動車(株)ほか3名に対する件(平成3年(勧)第15号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人4社は 平成元年6月30日,普通トラックの需要者向け
(販売業者を通じて販売するものを除く。以下同じ。)販売価格の
低落を防止するための方策について検討した結果,次の事項を決定
した。
 普通トラックの需要者向け最低目標販売価格は,完成車及び
シャシーについては各社の建値の82パーセントをめどにして算定
した価格とし,ボディ架装を行う場合又はオプション品を装着す
る場合にはボディ又はオプション品の製造業者等が定めている当
該製品の定価の85パーセントないし90パーセントをめどにして算
定した額を加算した価格とすること。
 上記最低目標販売価格以上に販売価格を維持し,引き上げるた
め,
(a)  販売価格が最低目標販売価格を相当下回る大口需要者等で,
4社の話合いによって販売価格の引上げを図る必要があるもの
について登録し,当該登録したものから引き合いを受けた場合
は,ブロック会(決定事項を実施するため,五つの区域に区分
して,各社の営業所等の代表者級の者及び営業担当課長級の者
で構成)又は競合する会社間で見積価格を調整すること。
(b)  前記(a)以外の需要者で,普通トラックを10台以上保有し,そ
の70パーセント以上が特定の銘柄となっているものについて
は,当該特定銘柄を取り扱う会社が優先受注権を持つ優先需要
者として登録し,当該登録したものから引き合いを受けた場合
は,当該会社に連絡して見積価格を調整すること。
(c)  前記(a)及び(b)以外の需要者から引き合いを受けた場合は,最
低目標販売価格以上の価格で見積りを行うこと。ただし,当該
需要者から2以上の会社が引き合いを受けた場合又は引き合い
を受けることが予想される場合には,競合する会社間で見積価
格を調整すること。
 実施期日は,即日とすること。
(イ)  その後,4社は,平成元年排出ガス規制に適合する新型車両が発
売され,その建値を改定したことから,平成2年2月21日,標準積
載量10トン級の普通トラックについて,また,同年8月29日,上記
以外の普通トラックについて,それぞれ,前記(ア)aの考え方に基づ
き,完成車及びシャシーの最低目標販売価格を改定することを決定
した。
(ウ)  4社は,前記(ア)及び(イ)の決定に基づき,共同して最低目標販売価
格を記載した価格表を作成し,競合する会社間で見積価格を調整
し,また,見積価格を調整する際に受注予定者を定めるなどして,
おおむね,普通トラックの需要者向け販売価格を維持し,引き上げ
ていた。
(エ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,4
社は,平成2年11月24日,前記各決定を破棄し,さらに,同決定を
実施するために作成した価格表を廃棄した。
排除措置
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を静岡県における普通トラックの需要者に周知徹底させる
こと。
(ア)  平成元年6月30日,平成2年2月21日及び同年8月29日に行った
普通トラックの需要者向け販売価格に関する決定を破棄した旨
(イ)  今後,共同して,普通トラックの需要者向け販売価格を決定せ
ず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(6) 北光印刷(株)ほか25名に対する件(平成3年(勧)第17号)

関係人
違反事実等
(ア)  関係人26名並びに合資会社共立印刷所及びひまわり印刷株式会社
の28名(以下「28名」という。)は,共同して,苫小牧市発注の特
定印刷物(一般印刷物及び特殊印刷物のうちのフォーム印刷物)の
受注価格の低落防止を図るため,昭和62年から,苫小牧市発注の特
定印刷物について,
 見積り合わせについては,指名を受けた者が,その旨をあらか
じめ受注予定者及びその見積価格の決定を一任している幹事に電
話等で連絡し,同幹事が,過去の受注実績等を参考にして受注予
定者及びその見積価格を決定し,これを見積り合わせに参加する
指名業者に,会合の場,電話等で通知し,受注予定者の見積価格
が最低価格となるよう見積価格を調整する旨
 指名競争入札については,指名を受けた者が,入札説明会の
後,会合を開催し,又は相互に電話等で連絡して,あらかじめ,
受注予定者及びその入札価格を決定し,受注予定者の入札価格が
最低価格となるよう入札価格を調整する旨
の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にしている。
(イ)  28名のうち,合資会社共立印刷所は,平成3年7月31日に会社を
解散し,ひまわり印刷株式会社は,平成元年4月1日以降,本件の
共同行為への参加を取りやめている。
排除措置
 26名に対し,次の措置を探るよう命じた。
(ア)  苫小牧市発注の特定印刷物について,昭和62年から行っている受
注予定者及び受注予定価格を決定する行為をやめること。
(イ) 次の事項を苫小牧市に通知すること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,苫小牧市発注の印刷物について受注予定者又
は受注予定価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を
行う旨
(7) 三井東圧化学(株)ほか7名に対する件(平成3年(勧)第24号)
関係人
違反事実等について
(ア)  関係人8社は,平成2年5月25日から同年6月25日までの間の一
連の会合において,塩化ビ二ル製業務用ストレッチフィルム(以下
「ストレッチフィルム」という。)の販売価格を引き上げることを
協議し,次の事項を決定した。
 販売価格の引上げ時期を平成2年9月1日出荷分からとし,そ
の引上げ幅を標準品(野菜用の幅300ミリメートル・長さ500メー
トルのもの)1本当たり直販店渡し価格で150円とすること。
 従来著しく低い価格で販売していた取引先については,上記a
を超える引上げを行い,直販店渡し価格が標準品1本当たり1,050
円を,需要者渡し価格が同1,150円をそれぞれ下回ることがない
ようにすること。
 前記の販売価格の引上げの実効性を確保するため,
(a)  実際に実現しようとする価格より高い水準に,標準品の直販
店渡しは1,400円,同需要者渡しは1,600円という 「標準価格」
を新たに設定することとし,新規の引き合いがあった場合に
は,他社の価格引上げ交渉の妨げとならないようこれらの価格
で見積もる
(b)  他社が販売価格の引上げ交渉を行っている機会を利用して,
顧客の争奪を行わない
(C)  販売価格の引上げを見越した引上げ前価格によるまとめ買い
に応じる限度を,各社の1か月分の通常の販売数量の30パーセ
ントまでとする
(d)  出荷数量の抑制を図るため,8社が協議して割り当てるJH
Pマーク(塩ビ食品衛生協議会が設けた食品容器包装用塩化ビ
ニル製品の衛生基準の適合証)のシールを貼付して出荷する
こと。
(イ)  8社は,前記(ア)の決定に基づいて取引先との販売価格の引上げ交
渉を行っていたところ,平成2年8月に発生したいわゆる湾岸危機
により原料価格の値上がりが見込まれたことから,同年9月5日か
ら10月2日までの間の一連の会合において,ストレッチフィルムの
販売価格を,再度引き上げることを協議し,次のとおり決定した。
 販売価格の引上げ時期を,平成2年11月1日出荷分からとし,
その引上げ幅を標準品1本当たり直販店渡し価格で250円とする
こと。
 従来著しく低い価格で販売していた取引先については,上記a
を超える引上げを行い,直販店渡し価格が標準品1本当たり
1,300円を,需要者渡し価格が同1,450円をそれぞれ下回ることが
ないようにすること。
 前記の販売価格の引上げの実効性を確保するために,
(a)  前記の標準価格を 直販店渡しは1,550円,需要者渡しは
1,800円に改め,新規の引き合いがあった場合には,他社の価
格引上げ交渉を妨げないようこれらの価格で見積もる
(b)  販売価格の引上げを見越した引上げ前価格によるまとめ買い
には応じないこと。
(ウ)  8社は,それぞれ,前記(ア)及び(イ)の各決定に基づいて,ストレッ
チフィルムの販売価格をおおむね引き上げた。
(エ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,8
社は,平成3年5月10日の会合において,上記の各決定を破棄する
旨の決定を行った。
排除措置
 8社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2頃(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  次の事項をストレッチフィルムの取引先販売業者及び需要者に周
知徹底させること。
 平成2年5月25日から6月25日までの一連の会合及び同年9月
5日から10月2日までの一連の会合においてそれぞれ行ったスト
レッチフィルムの販売価格の引上げに関する各決定を破棄した旨
 今後,共同してストレッチフィルムの販売価格を決定せず,各
社がそれぞれ自主的に決める旨
(イ)  今後,共同してストレッチフィルムの販売価格を決定しないこと。
(8) 三丸製薬(資)ほか15名に対する件及び(株)エーシンほか11名に対する
(平成4年(勧)第3号,第4号)
関係人
違反事実等
(ア)  防疫殺虫剤の販売業者16名及びワクチン類等の販売業者12名は,
それぞれ,共同して,宮城県内の市町村が指名競争入札等の方法に
より発注する防疫殺虫剤又はワクチン類等の受注価格の低落を防止
するため,遅くとも昭和63年3月から,当該市町村が指名競争入札
等の方法により発注する防疫殺虫剤又はワクチン類等について,
a あらかじめ,防疫殺虫剤の販売業者16名又はワクチン類等の販
売業者12名のうち指名を受けた者(以下「指名卸売業者」とい
う。)の間での話合いにより,当該商品の受注予定者及び受注予
定価格を決定すること
  あらかじめ,防疫殺虫剤の販売業者16名又はワクチン類等の販
売業者12名のうち指名を受けた者(以下「指名卸売業者」とい
う。)の間での話合いにより,当該商品の受注予定者及び受注予
定価格を決定すること
 前記aの実効を確保するため,指名卸売業者は,宮城県の6ブ
ロックにそれぞれ設けてある事務局に原則としてその旨を連絡
し,事務局から指名卸売業者に対し,前記aの話合いの日時及び
場所等を連絡すること
 前記aの話合いに参加しなかった指名卸売業者に対しては,事
務局又は受注予定者からその決定内容を連絡すること
 指名競争入札等に際しては,受注予定者が受注予定価格で受注
できるよう指名卸売業者全員が協力すること
 自己の取引先である薬局等が指名を受けた場合は,自ら前記a
の話合いに参加し,前記aないしdの方法に準じ,受注予定者,
受注予定価格等を決定し,その内容を当該薬局等に連絡すること
 以上のほか,防疫殺虫剤については,原則として,当該指名競
争入札等に参加した者の利益をほぼ均等化させるため,受注予定
者が受注後に受注予定者以外の者に対して行う利益の配分方法及
び配分額を決定すること
の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にしている。
(イ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,防
疫殺虫剤の販売業者16名及びワクチン類等の販売業者12名は,平成
3年6月15日に開催した会合において,今後,前記(ア)の行為を行わ
ないことを決定した。
排除措置
 防疫殺虫剤の販売業者16名及びワクチン類等の販売業者12名に対
し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告は,勧告時点
においていずれも違反行為が既に終了していたため,独占禁止法第48
条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき行った
ものである。
(ア)  次の事項を指名競争入札等の方法により防疫殺虫剤又はワクチン
類等を発注している宮城県内の市町村及び同商品の取引先である薬
局等に通知すること。
 宮城県内の市町村が指名競争入札等の方法により発注する防疫
殺虫剤又はワクチン類等について,昭和63年3月から行っている
受注予定者及び受注予定価格を決定する行為を取りやめたこと。
 今後,共同して,宮城県内の市町村が指名競争入札等の方法に
より発注する防疫殺虫剤又はワクチン類等について,受注予定者
又は受注予定価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動
を行うこと。
(イ)  今後 それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,宮城県内の
市町村が指名競争入札等の方法により発注する防疫殺虫剤又はワク
チン類等について受注予定者又は受注予定価格を決定しないこと。
(9) 三菱樹脂(株)ほか4名に対する件(平成4年(勧)第6号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人5社は,共同して,新潟県が発注する農水物件(農業農村
整備事業に係る工事)に使用する塩ビ管の販売競争を抑制し,販売
価格の低落を防止するため,遅くとも昭和63年1月から,
 新潟県が発注する農水物件を受注した土木工事業者に塩ビ管を
供給すべき製造業者(以下「チャンピオン」という。)を次の方法
により決定すること
(a)  前記塩ビ管の納入を希望する専売管材商(自社品のみを取り
扱う特定の卸売業者)に対し,その旨をそれぞれの取引先製造
業者に連絡させ,連絡を受けた製造業者は,あらかじめ5社で
定めている幹事に供給を希望する旨の申込みを行うこと
(b)  前記申込みが1社の場合は,当該社をチャンピオンとするこ
(c)  前記申込みが2社以上の場合は,これらの社の間で話合いに
よりチャンピオンを決定することとし,この場合,原則とし
て,当該農水物件を受注した土木工事業者と取引実績のある専
売管材商の取引先製造業者を優先的にチャンピオンとすること
 チャンピオンを決定した場合,その旨を幹事から前記申込みを
行った製造業者に,同製造業者からその専売管材商にそれぞれ通
知し,専売管材商が土木工事業者に見積りするに当たっては,5
社が共同して別途決定し,配布している専売管材商用の相見積単
価,チャンピオン見積単価及びチャンピオン最終単価を記載した
価格表を参考に見積らせること等により,チャンピオンの取引先
専売管材商の見積価格が最低価格となるようにすること
との合意の下に,新潟県が発注する農水物件に使用する塩ビ管につ
いて,チャンピオンを決定し,チャンピオンが供給できるようにし
ている。
(イ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,5
社は,平成3年9月30日に開催した会合において,前記のチャンピ
オンを決定する行為を取りやめることを決定した。
排除措置
 5社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
(ア)  次の事項を新潟県発注の農水物件に使用する塩ビ管の卸売業者及
び需要者に周知徹底させること。
 新潟県発注の農水物件に使用する塩ビ管について,昭和63年1
月から行ってきたチャンピオンを決定する行為を取りやめた旨
 今後,共同して,新潟県発注の農水物件に使用する塩ビ管につ
いて,チャンピオン及び土木工事業者に対する見積価格を決定せ
ず,各社が それぞれ,自主的に販売活動を行う旨
(イ)  共同して決定し,専売管材商に配布している新潟県発注の農水物
件に使用する塩ビ管の価格表を回収し,廃棄すること。
独占禁止法第8条第1項第1号違反事件
(1) 全日本学校アルバム印刷組合に対する件(平成3年(勧)第10号)
関係人
違反事実等
(ア)  全日本学校アルバム印刷組合(以下「学校アルバム印刷組合」と
いう。)は かねてから,アルバム原稿の入稿遅延による費用の増
加や学校生徒数の減少による受注数量の減少等の問題への対応策を
検討してきたが,平成元年に入って人件費及び諸原材料費の上昇等
がみられたところから,組合員の学校アルバム価格の引上げについ
ての検討を開始し,平成2年1月15日,平成元年度常任理事会にお
いて,
 組合員の平成2年度の学校アルバム価格を前年度価格から15
パーセント引き上げること
 組合名による値上げ要請文書を作成し,組合員の取引先写真館
に配布するとともに,業界専門誌に値上げ広告を掲載すること
を決定した。
 学校アルバム印刷組合は,前記決定内容を文書により組合員に通
知し,さらに支部会を開催する等の方法により,組合員に周知徹底
させた。
(イ)  学校アルバム印刷組合は,前記常任理事会の決定を受けて,「平
成2年度学校アルバム価格改定について」 と題する値上げ要請文書
を作成し,これを組合員に送付するとともに,業界専門誌の平成2
年2月号及び7月号に,「学校アルバム価格の改定のお願い」と題
する値上げ広告を行った。
(ウ)  学校アルバム印刷組合の組合員は,前記(ア)の決定に基づき,平成
2年1月以降,前記(イ)の値上げ要請文書を取引先写真館に配布する
などして,平成2年度の学校アルバムの製造を請け負うに当たり,
その受注価格を引き上げるよう取引先写真館と交渉し,受注してい
た。
(エ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,学
校アルバム印刷組合は,平成2年12月17日開催の平成2年度常任理
事会において,前記(ア)記載の平成元年度常任理事会の決定を破棄す
ることを決定し,この旨を支部会等を通じて組合員に周知させた。
排除措置
 学校アルバム印刷組合に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,
本件に係る勧告は,勧告時点において違反行為が既に終了していたた
め,独占禁止法第48条第2頃(既往の違反行為に対する措置勧告)の
規定に基づき行ったものである。
 次の事項を組合員の学校アルバムの取引先写真館及びその発注元に
周知徹底させること。
(ア)  平成2年1月15日に行った平成2年度の学校アルバム価格の引上
げに関する決定を破棄した旨
(イ)  今後,同組合は,組合員の学校アルバム価格を決定せず,組合員
が自主的に決める旨
(2) 関西寝具リース組合関西営業部会に対する件及び同組合中国支部に対する件(平成4年(勧)第1号,第2号)
関西寝具リース組合関西営業部会に対する件
関係人
違反事実等
(ア)  関西寝具リース組合関西営業部会(以下「関営会」という。)
は,かねてから,人件費,輸送費の上昇など諸経費の増大に対処す
るため,部会員の建設業者向け-股用寝具の単品料金(品目ごとに
定めた1日当たりの賃貸料金)の引上げを検討してきたところ,平
成3年2月8日に開催した月例会において,
 部会員は,総合建設請負業者向けの単品料金の目標単価を,布
団類は15円,カバー類は9円,シーツは7円,枕は5円とし,こ
れを目途に引き上げること
 部会員は,その他の建設業者向けの単品料金の目標単価を,布
団類は14円,その他は前記aの単価と同額とし,これを目途に引
き上げること
 前記a及びbの単品料金の引上げは,平成3年4月請求分から
実施すること
を決定した。
(イ)  建設業者と取引のある部会員は,前記決定に基づき,建設業者向
け一般用寝具の単品料金をおおむね引き上げた。
(ウ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,関
営会は,平成3年8月26日に開催した臨時会において,前記決定を
破棄する旨の決定を行った。
排除措置
 関営会に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止法
第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を部会員の取引先建設業者に周知徹底させること。
(ア)  平成3年2月8日に行った,部会員の建設業者向け一般用寝貝の
単品料金の引上げに関する決定を破棄した旨
(イ)  今後,同部会は,部会員の建設業者向け一般用寝具の単品料金を
決定せず,部会員がそれぞれ自主的に決める旨
関西寝具リース組合中国支部に対する件
関係人
違反事実等
(ア)  関西寝具リース組合中国支部(以下「中国支部」という。)は,
かねてから,人件費,輸送費の上昇など諸経費の増大に対処するた
め,支部員の建設業者向け一般用寝具の単品料金(品目ごとに定め
た1日当たり賃貸料金)の引上げを検討してきたところ,平成3年
1月31日に開催した支部会において,
 支部員は,建設業者向けの単品料金を,布団類は2円以上,付
属品は1円以上を目途として引き上げること
 前記aの単品料金の引上げは,平成3年4月請求分から実施す
ること
を決定した。
(イ)  建設業者と取引のある支部員は,前記決定に基づき,建設業者向
け一般用寝具の単品料金をおおむね引き上げた。
(ウ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,中
国支部は,平成3年8月20日に開催した臨時支部会において,前記
決定を破棄する旨の決定を行った。
排除措置
 中国支部に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧
告は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独占禁止
法第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に基づき
行ったものである。
 次の事項を支部員の取引先建設業者に周知徹底させること。
(ア)  平成3年1月31日に行った,支部員の建設業者向け一般用寝具の
単品料金の引上げに関する決定を破棄した旨
(イ)  今後,同支部は,支部員の建設業者向け一般用寝具の単品料金を
決定せず,支部員がそれぞれ自主的に決める旨
独占禁止法第8条第1項第4号違反事件
(1) (社)日本旅行業協会関東支部に対する件(平成3年(勧)第13号)
関係人
違反事実
(ア)  (社)日本旅行業協会関東支部(以下 「関東支部」という。)は,か
ねてから,支部員の取扱料金の収受状況の調査を行う等して収受率
を高める対策を検討してきたところ,平成元年9月28日に開催した
幹事会において,支部員が旅行者から旅行業務の委託を受けた場合
は当該旅行者から掲示料金どおりに取扱料金を収受すること(以下
「完全収受」という。)を目標とするとの方針を決定した。
(イ)  関東支部は,その後,前記(ア)の決定を円滑に推進するための具体
的方策について種々検討した結果平成2年5月1日付け文書によ
り,次の事項を支部員に周知するとともに,併せてモデル伝票とし
て海外旅行業務取扱料金明細書及び国内旅行業務取扱料金明細書並
びに完全収受に関するポスターを支部員に配布した。
 同支部は,取扱料金の完全収受を目標に掲げ,支部全体で取扱
料金の完全収受に取り組むこととしたこと。
 支部員は,旅行者から取扱料金を収受する際,掲示料金と同一
料金の入った明細書を使用すること。
さらに,同支部は,前記文書の内容を平成2年5月20日付けのJ
ATA関東支部ニュースに掲載して,支部員に周知した。
排除措置
 関東支部に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成元年9月28日に決定した取扱料金の完全収受を目標とすると
の方針を破棄すること。
(イ)  前記決定を実施するために支部員に配布したモデル伝票としての
取扱料金明細書及び取扱料金完全収受に関するポスターを支部員か
ら回収して廃棄すること。
(ウ)  下記事項を支部員及び一般消費者に周知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,取扱料金の収受に係る支部員の自由な事業活動を抑制す
る行為をしない旨
(2) 札幌環境維持管理協会に対する件(平成3年(勧)第19号)
関係人
違反事実
(ア)  札幌環境維持管理協会(以下「管理協会」という。)は, かねて
から,廃棄物部会において,事業廃棄物(事業者の事業活動から排
出される一般廃棄物)の処理に関し,会員間の顧客の争奪を抑制す
るための方策について検討してきたところ,昭和63年8月11日,廃
棄物部会において,廃棄物部会に所属する会員は,顧客例の意向に
よる取引先変更の場合を除き,相互に,他の会員が既に取引してい
る顧客を尊重し,当該顧客に対する積極的な営業活動を行わないこ
とを決定した。
(イ)  管理協会は,前記(ア)の決定を,廃棄物部会の会員に,おおむね実
施させている。
排除措置
 管理協会に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  昭和63年8月11日,廃棄物部会で行った会員の事業廃棄物の処理
に係る他の会員の顧客に対する営業活動の制限に関する決定を破棄
すること。
(イ)  次の事項を札幌地区における事業廃棄物の処理に係る会員の顧客
に周知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後 事業廃棄物の処理に係る会員の顧客に対する営業活動を
制限する行為をしない旨
(3) 多摩新聞販売同業組合に対する件(平成4年(勧)第5号)
関係人
違反事実
(ア)  多摩新聞販売同業組合(以下「多摩新聞組合」という。)は,多
摩折込広告組合の組合員である多摩地区における地元折込広告業者
及び東京都折込広告組合を特別会員とし,多摩折込広告組合から賛
助金を徴収しているところ,平成元年秋以降,度々,多摩折込広告
組合から同組合の所属員(東京都折込広告組合の組合員を含む。)
以外の折込広告業者(以下 「非会員折込広告業者」 という。)が多
摩地区へ参入することを抑制する対策について要請を受けていたこ
と等から,平成2年7月28日に開催した拡大幹事会において,非会
員折込広告業者に対する対策について協議した結果,次のことを決
定した。
 多摩新聞組合に準会員組織を設け,非会員折込広告業者のう
ち,東京都第二折込広告組合,東京都新聞販売協同組合,千葉県
折込広告組合,埼玉県折込広告組合,神奈川県折込広告組合及び
横浜川崎折込広告組合の組合員の中から希望者を準会員として加
入させ,準会員から入会金及び会費を徴収すること。
 取次手数料率を準会員に対しては,多摩地区における実勢より
低い23パーセント,その他の非会員折込広告業者に対しては,20
パーセントとし,同年8月1日からこれを実施すること。
(イ)  多摩新聞組合は,前記(ア)の決定内容を,組合員に周知し,実施し
ている。
排除措置
 多摩新聞組合に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成2年7月28日に行った非会員折込広告業者に対する取次手数
料率の設定に関する決定を破棄すること。
(イ)  次の事項を組合員,多摩折込広告組合並びに東京都,千葉県,埼
玉県及び神奈川県に所在する折込広告業者に周知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,折込広告業者に対する取次手数料率の設定に係る組合員
の事業活動を制限する行為をしない旨
独占禁止法第17条違反事件
村證券(株)に対する件(平成3年(勧)第16号)
関係人
違反事実
(ア)  野村證券(株)(以下「野村證券」という。)は,野村土地建物(株)
(以下「野村土地建物」という。)が,自社にとって重要な会社であ
ることから,野村土地建物の株式について,昭和41年以降,自己と
友好関係にある会社等に保有させるに当たって,当該株式が自己の
意に反して離散しないようにするとともに,自己又は自己の指定す
るものに譲渡させることができるよう,当該会社等との間で,当該
株式に関して,次の内容を要旨とする覚書等を締結している。
 野村證券の承諾なくして他に譲渡してはならないこと。
 野村證券が,その取得価額で買い戻すことができること。
(イ)  野村證券は,昭和40年代において,野村土地建物の個人名義等の
株式が,株式会社大林組,株式会社三和銀行,朝日火災海上保険株
式会社等の会社に譲渡される際に,各社との間でそれぞれ前記(ア)の
内容の覚書等を締結している。
(ウ)  野村證券は,昭和62年1月から平成元年9月にかけて,野村土地
建物の株式を,前記(イ)の覚書等に基づき,株式会社野村総合研究所
及び野村福祉共済会に譲渡させるとともに,株式会社野村総合研究
所及び野村福祉共済会との間で,当該株式に関して,前記(ア)の内容
の覚書を締結している。
(エ)  野村證券は,昭和52年における独占禁止法改正法施行の際,野村
土地建物の株式を100分の5を超えて保有していたため,改正法附
則により,昭和62年12月 1日までに100分の5を超過する株式を処
分する必要があったが,100分の5を超過して保有していた野村土
地建物の株式を,昭和62年9月,株式会社野村総合研究所に譲渡し
ており,その際,同社との間で,前記(ア)の内容の覚書を締結してい
る。
(オ)  以上のとおり,平成3年9月末現在において,野村證券は,野村
土地建物の株式について,発行済株式総数の100分の5の株式を自
ら所有しているところ,自己以外の名義の株式について,覚書等に
より,自己の承諾なくして他の譲渡されることがないようにすると
ともに,当該株式を自己又は自己の指定するものに譲渡させること
ができるようにすることによって,自己が所有していると同様の状
態に置いているものである。
排除措置
 野村證券に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  野村土地建物の株式に関して,自己以外の株主との間で取り交わ
している覚書等を破棄すること。
(イ)  次の事項を野村土地建物及びその株主に周知徹底させること。
 覚書等を破棄した旨
 今後,野村土地建物の自己以外の名義の株式に関して,いかな
る制限も課さない旨
独占禁止法第19条違反事件
(1) アルパイン(株)に対する件(平成3年(勧)第5号)
関係人
違反事実
(ア)  アルパイン(株)(以下「アルパイン」という。)は,昭和54年6月
にカーオーディオの市販品市場へ参入するに当たり,同社の製造販
売するカーオーディオ(以下 「アルパイン製品」という。)の販売方
針について,国内営業部において営業所長会談を開催して検討した
結果,同年4月ごろ,次の事項を内容に含む販売方針(以下「販売
基本方針」という。)を策定し,これを国内の各営業所に通達した。
 アルパインが定めた小売価格である標準価格(以下「標準小売
価格」という。)維持の経営姿勢を有する卸売業者及び小売業者を
取引先として選定すること。
 小売業者に対して,標準小売価格の維持を求めること。
 小売業者が標準小売価格を維持できるようにするため,自らも
標準小売価格の維持に最大の努力をすること。
(イ)  アルパインは,小売業者との取引開始に際し,小売業者に対し,
直接又は実質的に同社の販売部門である卸売業者(以下「販売会
社」という。)を通じてあらかじめ標準小売価格維持の方針を伝え,
これに同意した者を取引先としている。また,同社又は販売会社が
当該小売業者との間で締結する「取引基本契約書」の中に,小売業
者の販売先を一般消費者に限定する旨の条項を設け,取引先小売業
者が取引先でない小売業者(以下「非取引先小売業者」という。)に
販売することを制限している。
(ウ)  アルパインは,昭和55年5月ごろ,標準小売価格維持の方針を有
すること及び,同方針に反した小売業者に対して出荷停止などの措
置を講ずることを内容に含む「セールスマンマニュアル」を作成
し,同社及び販売会社のセールスマンに配布して,周知徹底させて
いる。
(エ)  その後,アルパインは,販売基本方針を適宜確認しつつ営業活動
を行ってきたところ,平成元年2月,近く実施が予定されていた物
品税廃止に伴い価格競争が激化し,アルパイン製品の小売価格が廃
止された物品税相当額以上低下することが懸念されたことから,こ
れに対処するため,引き続き標準小売価格の維持に努めることを内
容に含む「高付加価値販売マニュアル」を作成し,これを同社及び
販売会社のセールスマンに配布して,周知徹底させている。
(オ)  アルパインは 前記(ア)から(エ)に基づき,直接又は販売会社を通じ
て,取引先小売業者に対し,アルパイン製品を標準小売価格で販売
するとともに,その実効を確保するため,非取引先小売業者にアル
パイン製品を販売しないことを指示している。
(カ)  アルパインは,上記指示の遵守状況を確認するため,取引先小売
業者に対し,直接又は販売会社を通じてアルパイン製品の試買,店
頭での小売価格の調査等を行うとともに,アルパイン製品に付され
ている通し番号を利用して,非取引先小売業者の販売したアルパイ
ン製品について,これを供給した取引先小売業者を追求している。
 また,上記指示に反して,取引先小売業者がアルパイン製品を標
準小売価格を下回った価格で販売し又は非取引先小売業者に販売し
ている場合には,直接又は販売会社を通じて,警告,出荷停止等の
措置を講じており,取引先小売業者に対し,アルパイン製品の標準
小売価格を,おおむね,維持させている。
排除措置
 アルパインに対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  昭和54年4月ごろに策定した「販売基本方針」のうち,標準小売
価格の維持に関する事項を削除すること。
(イ)  同社又は販売会社が取引先小売業者との間で締結している「取引
基本契約書」のうち,当該小売業者の販売先の制限に関する条項を
削除すること。
(ウ)  「セールスマンマニュアル」及び「高付加価値販売マニュアル」
のうち,標準小売価格の維持に関する事項を削除すること。
(エ)  直接又は販売会社を通じて,取引先小売業者に対して行っている
次の指示を撤回すること。
 標準小売価格で販売すること。
 非取引先小売業者に販売しないこと。
(オ)  今後,標準小売価格維持の実効を確保するため,アルパイン製品
に付されている通し番号を利用して販売経路を追求する行為を行わ
ないこと。
(カ)  次の事項を同社及び販売会社の役員及び従業員,取引先小売業者
並びに一般消費者に周知徹底させること。
 前記(ア)から(オ)に基づいて採った措置
 今後,アルパイン製品の標準小売価格は,単なる参考価格で
あって,取引先小売業者の販売価格の自由な決定を拘束するもの
でない旨
(2) ヤマハ東京(株)に対する件(平成3年(勧)第6号)
関係人
違反事実
(ア)  ヤマハ東京㈱(以下「ヤマハ東京」という。)は,ヤマハ発動機㈱
(以下「ヤマハ発動機」という。)が昭和61年5月から平成元年3月
にかけて発売したスポーツタイプのモーターサイクルについて,流
通段階で生じた滞留在庫車を多量に抱えることになったため,実勢
小売価格の低下に対応して小売店仕切価格を引き下げることにより
販売促進を図ることとしたが,滞留在庫車については,広告による
価格表示がその実勢小売価格の形成に大きな影響力を有していると
ころ,一部の小売業者が広告で実勢小売価格を下回る価格表示を行
い,これが要因となって実勢小売価格を更に低落させ,他の小売業
者の販売意欲を損なうこととなる等により滞留在庫車の円滑な販売
を一層困難にすることが懸念されたので,その対応策を講ずること
とした。
 そこで,ヤマハ東京は,平成元年3月から平成2年4月にかけて,
21車種の滞留在庫車について,メーカー希望小売価格とは別に,実
勢小売価格を参考にして小売業者の販売価格の目安となる価格(以
下「小売目安価格」という。)を順次定めるとともに,当該製品の販
売状況に応じて同小売目安価格を逐次改訂し,平成元年4月から平
成2年4月にかけて,取引先小売業者及び同卸売業者に対し,
 小売業者は,一部の車種については,店頭ビラ,チラシ及び
モーターサイクルの専門雑誌による広告では同社の定めた小売目
安価格を下回る価格表示を行わないこと並びに他の車種について
は,チラシ又は専門雑誌による広告では価格表示を行わないこと
 卸売業者は,その取引先小売業者に前記aの事項を遵守させる
こと
を指示している。
(イ)  ヤマハ東京は,前記(ア)の実効を確保するため,前記指示に従わな
い小売業者に対して,直接又は取引先卸売業者を通じて,これらの
指示を遵守するよう注意し,必要な是正措置を講じさせていたが,
平成2年6月14日に開催した営業所長会議において,今後,かかる
行為は行わないこととした。
排除措置
 ヤマハ東京に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  小売業者が行う店頭ビラ,チラシ及び専門雑誌による広告での価
格表示に関する取引先小売業者及び同卸売業者への前記(ア)の指示を
撤回すること。
(イ)  前記(ア)に基づいて採った措置を関東甲信越地区に所在するモー
ターサイクルの取引先小売業者及び同卸売業者並びに一般消費者に
周知徹底させること。
(3) エーザイ(株)に対する件(平成3年(勧)第7号)
関係人
違反事実
(ア)  エーザイ(株)(以下「エーザイ」という。)は,かねてから,天然
型ビタミンE剤であるユベラックスについて,同社の定めたメー
カー希望小売価格(以下「希望小売価格」という。)の維持に努め,
また流通ロット番号を付す方法等により,他の販売業者への販売
(以下「転売」という。)の防止に努めてきたところ,一部地域で価
格の軟調化と転売が顕在化してきたところから,昭和62年4月ごろ
から,ユベラックスの小売価格の維持及び転売の防止をより徹底さ
せるための販売方針について検討してきた結果,昭和63年5月12
日,
 取扱小売業者にユベラックスの希望小売価格の維持を徹底させ
ること
 昭和63年7月全国一斉にユベラックスの試買を行い,取扱小売
業者が希望小売価格を下回る価格で販売している場合,同社の小
売業者担当者(以下「プロパー」という。)をして小売価格の是正
指導を行わせること
等を決定した。
(イ)  エーザイは,新たに発売することとした天然ビタミンE剤である
ユベラックス300(通称E L X300)の販売方針についても小売価格
の維持及び転売の防止が必要であるとして,昭和62年ごろから検討
してきたが,昭和63年8月23日,次の事項を内容に含む「ELX
300新発売計画」を決定した。
 ユベラックスの取扱小売業者にユベラックス300を取り扱わせ
る場合は,ユベラックスを希望小売価格で販売し,転売を行って
いないことを条件とすること。
 価格維持については,社内会議において対策を検討していくこ
と。
 転売の防止については,包装箱に流通ロット番号を付すこと等
により行うこと。
 ユベラックス300の包装箱に,取扱小売業者名及び電話番号を
印刷すること。
 小売業者と取引を開始するに当たり,当該小売業者との間に,
小売業者は希望小売価格を遵守し,包装箱にエーザイが取扱小売
業者名及び電話番号を付すことを内容に含む「ユベラックス300
販売申し合せ書」を締結すること。
(ウ)  エーザイは,昭和63年8月及び同年11月,ユベラックス及びユベ
ラックス300(以下 「ユベラックス製品」という。)の転売防止を図
るための方策として,同製品の転売の実績のある取扱小売業者を登
録し,当該小売業者に対し,納入数量の管理を行うことを決定した。
(エ)  エーザイは 平成元年以降,ユベラックス製品の希望小売価格の
維持及び転売の防止を引き続き図るため,次の事項を内容に含む販
売方針を社内の関係者に周知させている。
 ユベラックス製品について,希望小売価格に消費税を上乗せし
た価格で販売するよう取扱小売業者を指導すること。
 ユベラックス製品の希望小売価格維持を引き続き重点的に行う
こと。
 ユベラックス製品の小売価格及び転売の状況を把握するため,
全国及び地域単位で同製品の試買を行うこと。
 転売の実績のある取扱小売業者に対する納入管理を継続するこ
と。
(オ)
 エーザイは,ユベラックス製品について,
(a)  前記(ア)ないし(エ)の販売方針に基づき,同製品の取引開始に当
たり,又は必要の都度同社のプロパー等を巡回,訪問させるな
どして,取扱小売業者に対し,同製品を希望小売価格で販売す
ること及び転売を行わないことを指示している。
(b)  前記(エ)の指示の実効を確保するため,随時試買等を行うとと
もに,同製品の小売価格及び転売の状況並びに転売の実績のあ
る取扱小売業者への納入状況を把握し,また,同製品の包装箱
に付した流通ロット番号等を利用して,取扱小売業者以外の販
売業者が販売した同製品について,これを供給した取扱小売業
者を追求している。
(c)  前記(エ)の試買等の結果,上記(a)の指示に反して,取扱小売業
者が希望小売価格を下回る価格で販売し,又は転売を行ってい
る場合には,当該小売業者に対し,希望小売価格で販売するよ
う又は転売を行わないよう要請し,この要請に従わずにこれら
の行為が繰り返された場合には出荷停止の措置を採る旨の警告
等を行っている。
 エーザイは,ユベラックス300について,前記(イ)の販売方針に
基づき,小売業者と同製品の取引を開始するに際し,取扱小売業
者との間に「ユベラックス300販売申し合せ書」を締結し,同製
品の包装箱に取扱小売業者名及び電話番号を付して販売してい
る。
(カ)  エーザイは,前記の行為により,取扱小売業者に対し,おおむ
ね,ユベラックス製品の希望小売価格を維持させるとともに,転売
を行わせないようにしている。
排除措置
 エーザイに対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  ユベラックス製品の販売に関し,同製品の取引開始に当たり,又
は必要の都度取扱小売業者に対し行っている次の指示を撤回するこ
と。
 希望小売価格で販売すること。
 他の販売業者に対し,ユベラックス製品を販売しないこと。
(イ)  取扱い小売業者と取引開始時に締結している「ユベラックス300
販売申し合せ書」のうち,小売業者は希望小売価格で販売すること
並びに包装箱にエーザイが取扱小売業者名及び電話番号を付すこと
を内容とする条項を削除すること。
(ウ)  今後,ユベラックス製品について,試買することにより,希望小
売価格の維持又は転売の状況の確認を行わないこと。
(エ)  今後,ユベラックス製品に流通ロット番号等を付すことにより,
同製品が転売された場合における販売経路の追求を行わないこと。
(オ)  ユベラックス300の包装箱に取扱小売業者名及び電話番号を付さ
ないこと。
(4) 三蒲地区生コンクリート協同組合に対する件(平成3年(勧)第18号)
関係人
違反事実等
(ア)  三蒲地区生コンクリート協同組合(以下「三蒲生コン協組」とい
う。)は,生コンクリートの市況の立て直しを図るため,阿賀野川骨
材協同組合(新潟県北蒲原郡安田町所在,以下「阿賀野川骨材協
組」という。)に対して,同組合の組合員から岩留工業株式会社(三
蒲生コン協組のアウトサイダー,以下「岩留工業」という。)へ納入
している砂利の納入を停止させるよう要請し,平成2年10月,岩留
工業への砂利の納入を停止させ,同年11月以降,停止させた数量に
見合う分(以下「岩留工業分」という。)の砂利を阿賀野川骨材協組か
ら共同購買事業によって買い上げていた。
(イ)  当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,三
蒲生コン協組は,平成3年7月10日,阿賀野川骨材協組に対し,前
記要請を撤回することを申し入れ,臨時理事会を開催して前記要請
の破棄を決定し,岩留工業分の砂利の員上げを取りやめている。
排除措置
 三蒲生コン協組に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に
係る勧告は,勧告時点において違反行為が既に終了していたため,独
占禁止法第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に
基づき行ったものである。
(ア)  阿賀野川骨材協組に対する岩留工業への砂利の納入停止に関する
要請を撤回した旨を確認し,次の事項を阿賀野川骨材協組及び岩留
工業並びに地区内の砂利の販売業者に周知徹底させること。
 阿賀野川骨材協組に対し,同組合員による岩留工業への砂利の
納入を停止させるよう要請し,これを実施させていたが,この行
為を取りやめたこと。
 今後,同様な行為を行わないこと。
(イ)  今後,アウトサイダーの砂利の購入を不当に妨害する行為を行わ
ないこと。
(ウ)  前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置を組合員に周知徹底させるこ
と。
(5)  野村證券(株)に対する件,大和證券(株)に対する件,日興證券(株)に対
する件及び山一證券(株)に対する件
(平成3年(勧)第20号,第21号,第22
号,第23号)
関係人
違反事実等
(ア)  証券会社が,顧客に対し,「損失補てん等」(有価証券の売買その
他の取引等につき,当該有価証券等について生じた顧客の損失の全
部若しくは一部を補てんし,又はこれらについて生じた顧客の利益
に追加するため,当該顧客に財産上の利益を提供する行為をい
う。)を行うことは,投資家が自己の判断と責任で投資をするとい
う証券投資における自己責任原則に反し,証券取引の公正性を阻害
するものであって,証券業における正常な商慣習に反するものであ
る。
(イ)  4社は,昭和60年ごろから特定金銭信託(以下「特金」とい
う。)のうち投資顧問契約が付いていないもの(以下「営業特金」
という。)を中心とした有価証券の売買等による資金運用に係る取
引(以下「営業特金等」という。)の取扱高の拡大に努めてきたと
ころ,昭和62年10月の株価の暴落を契機とする市況の急変により,
顧客の営業持金等に損失を生ずるなどの影響が現れたことから,有
価証券の発行に際して幹事会社となり,また,有価証券の売買等を
受託するなどの顧客との取引関係を維持し,又は拡大するため,取
引上重要な一部の顧客に対して,損失補てん等を行うこととし,こ
れを実施した。
(ウ)  4社は,平成元年12月,大蔵省が証券局長通達により,損失補て
ん等を厳に慎むこと,特金に係る取引については,原則として投資
顧問契約付きの特金に移行すること等を内容とする適正化のための
指導を行ったことを受け,平成2年1月ごろから,営業特金等にお
ける運用の実情について総点検を実施し,営業特金等の適正化を
図ってきたところ,同年1月以降,株価が下落したため,顧客の一
部から営業特金等における運用成果について苦情が聞かれるように
なった。このため,4社は,顧客からの苦情等を基に,顧客との取
引関係を維持し,又は拡大するため,取引上重要な一部の顧客に対
して,損失補てん等を行うこととし,これを実施した。
(エ)  4社は,平成2年4月以降においても,株価が好転せず,一部顧
客からの苦情等もあったため,顧客との個別の折衝の過程におい
て,顧客との取引関係を維持し,又は拡大するため,取引上重要な
一部の顧客に対して,損失補てん等を行うこととし,これを実施し
た。
(オ)  4社は,昭和62年10月から平成3年3月末日までの間に次のとお
り損矢補てん等を行っており,その大部分は前記(イ)から(エ)の行為に
よるものと認められる。
(カ)  4社は,平成3年6月ごろから損失補てん等が社会問題化したこ
ともあり,これを取りやめることを社内に周知するとともに,同年
7月16日,証券取引関係法令等の遵守を内容とする新聞広告を行っ
ている。
排除措置
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。なお,本件に係る勧告
は,勧告時点においていずれも違反行為が既に終了していたため,独
占禁止法第48条第2項(既往の違反行為に対する措置勧告)の規定に
基づき行ったものである。
(ア)  次の事項を各社の役員及び従業員並びに顧客に周知徹底させるこ
と。
 顧客との取引関係を維持し,又は拡大するため,一部の顧客に
対し昭和62年から平成3年にかけて行っていた損失補てん等は独
占禁止法の規定に違反するものであること。
 今後,前記行為と同様な行為を行わないこと。
(イ)  今後 顧客との取引関係を維持し,又は拡大するため,顧客に対
し,損失補てん等を行わないこと。