第3 警   告

 警告の措置を採ったものの概要は以下のとおりである。



第4 課徴金納付命令

 課徴金制度は,カルテル禁止の徹底を図るため,行政上の措置と
して設けられているものである。
 課徴金の対象となる行為は,事業者又は事業者団体の行うカルテ
ルのうち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若
しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響があるも
のであり,これらの行為があった場合に,事業者又は事業者団体の
構成事業者に対し,課徴金の納付を命ずることとされている(第7
条の2第1項,第8条の3)。
 本年度は,10件の違反事件に関し,102名に対し,総額19億9,381
万円の課徴金の納付を命じた(第5表)。
 なお,在日米軍関係電気通信設備運用保守業者に対する件に関
し,(株)協和エクシオに対する課徴金納付命令(課徴金額2,212万
円)は,平成3年7月9日審判手続が開始されたことにより,失効
した。


第5 監   査

 当委員会は,審決執行後,当該関係人の動向等を調査することにより,審
決の履行状況を監査するとともに,違反行為の再発防止に努めている。
本年度における監査事件数は2件であり,行為類型別に見ると,受注予定
者の決定事案が1件,不公正な取引方法事案が1件となっている。
 上記2件の監査事件は本年度中に監査を終了した。
 (なお,旭硝子株式会社ほかソーダ灰製造業者3名に対する件(共同して
我が国への米国産天然ソーダ灰の輸入数量,引取比率及び輸入経路を決定,
独占禁止法第3条違反,昭和58年3月31日審決)については,昭和62年11
月,国内ソーダ灰製造業者に対し,公正な競争を阻害するおそれのある行為
を行うことがないよう注意を喚起したところであるが,その後も引き続き状
況を監視している。)

第6 告   発

 私的独占,カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については,審決等
の行政上の措置のほか犯罪として罰則が設けられているところ,これらの罪
については公正取引委員会による告発を待って論ずることとされている(第
96条,第73条第1項)。
 公正取引委員会は,平成2年6月20日,「独占禁止法違反に対する刑事告
発に関する公正取引委員会の方針」を公表して,今後積極的に刑事処罰を求
めて告発を行う方針を明らかにしている。
 本年度においては 三井東圧化学(株)ほか7社による塩化ビニル製業務用
ストレッチフィルムの価格カルテル事件について,短期間に2回にわたり大
幅な価格引上げが協定され,また,この協定に参加した企業の多くが過去に
独占禁止法違反により審決を受けたものであることなどから,公正取引委員
会は上記の方針に照らし告発すべき事案と判断して,平成3年11月6日,こ
れら8社及び各社の同製品の営業担当者8名を同法第73条第1項の規定に基
づき検事総長に告発した。さらに,平成3年12月19日,被告発会社8社のう
ち7社の同製品の営業担当責任者7名について追加告発を行った。
 なお,被告発会社8社及び被告発人15名については,平成3年12月20日,
東京高等裁判所に公訴の提起が行われている。