1 |
経済協力開発機構(OECD) |
|
(1) |
競争政策委員会 |
|
ア |
競争政策委員会(Committee on
Competition Law and Policy)
は,OECDに設けられている各種委員会のうちの一つで,1961年12
月に設立された。我が国は,1964年のOECD加盟以来,その活動に
参加してきている。競争政策委員会は,原則として年2回本委員会を
開催し,また,その下に各種の作業部会を設けて,随時会合を行って
いる(第1図)。本委員会では,加盟各国の競争政策に関する年次報
告が行われるほか,各作業部会の報告書の検討,その時々の重要問題
についての討議が行われている。
本年度における会議の開催状況は,次のとおりである。
|
イ |
1991年11月の第60回本委員会においては,デンマークの年次報告国
別審査(審査担当国として選出された国が,審査対象国の年次報告を
あらかじめ受け取り,質問を事前に準備し,質問する。),EC,オー
ストラリア,オーストリア,ベルギー,カナダ,ドイツ,ギリシャ,
イタリア,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,ポルトガル,
スペイン,スイスの年次報告が行われた。また,競争政策の収斂に向
けた今後の作業計画に関する検討が行われたほか,全米法曹協会反ト
ラスト法部会,国際反トラスト特別委員会報告書に関する検討等が行
われた。 |
ウ |
競争政策委員会に属する各作業部会の本年度における主要な活動
は,次のとおりである。
(ア) |
第1作業部会では,「貿易に対する非関税障壁と競争」について
報告書案の検討が行われ,また,「競争政策と反ダンピング」に関
する検討を開始したほか,競争政策と貿易政策との相互連関につい
て検討を行うため,貿易委員会との共同作業を開始した。 |
(イ) |
第2作業部会では,「競争政策と放送業」を検討中であるが,本
年度は会合は行われなかった。 |
(ウ) |
第3作業部会では,各国競争当局間の国際協力上の問題につい
て,通報・意見交換等の状況報告,国際合併の事例研究等が行われ
た。 |
(エ) |
第4作業部会では,「競争政策とフランチャイジング」について
報告書案の取りまとめ作業が行われた。なお,本報告書の最終化を
もって第4作業部会は解散することとなった。 |
|
|
(2) |
消費者政策委員会 |
|
ア |
消費者政策委員会(Committee on
Consumer Policy)は,加盟
国の消費者行政についての情報交換及び調査・検討のための国際協力
の場として,1969年11月に期限付き(1972年末まで)で設置すること
とされた。この期限はその後4度の延長決議を経て1992年末までと
なっている。消費者政策委員会は,年2回本委員会を開催するほか,
各種の作業部会を設けて随時会合を行っている。
1992年3月現在,活動している作業部会は,「消費者の安全性」
作
業部会及び「市場の透明性・消費者情報」作業部会の2部会である。 |
イ |
1991年4月25日~26日に開催された第42回本委員会では,「金融・
サービスに関する消費者情報」につき理事会に公表を求め上程するこ
とが承認された。
また,同年4月に開催された東欧・ソ連への技術支援に係る「市場
経済における消費者保護に関するウィーン・セミナー」の結果報告等
が行われた。 |
ウ |
1991年10月10日~11日に開催された第43回本委員会では,90年代の
消費者政策の在り方,消費者政策委員会が今後取り組むべき作業のプ
ライオリティを決定するために10月8日~9日に開催された「90年代
の消費者政策に関するセミナー」の結果等につき討議が行われた。 |
エ |
1992年3月18日~20日に開催された第44回本委員会では,危険製品
の回収手続に関する1981年理事会勧告の見直しについての報告書が了
承されたほか,食品表示と広告,比較広告,環境クレームと広告等に
つき討議が行われた。 |
|
|
2 |
国際連合貿易開発会議 (UNCTAD) |
|
UNCTADでは,極めて多岐にわたる南北問題の討議が行われている
が,特に当委員会に関係があるものとして,「制限的商慣行」及び「国際
技術移転行動規範」の問題がある。
(1) |
制限的商慣行 |
|
ア |
1980年の第35回国運総会において,「制限的商慣行規制のための多
国間の合意による一連の衡平な原則と規則」(以下「原則と規則」と
いう。)が,国連加盟国に対する勧告として採択された。この「原則
と規則」は,国際貿易,特に発展途上国の国際貿易と経済発展に悪影
響を及ぼす制限的商慣行を識別し,規制することにより,国際貿易と
経済発展に資することを目的としており,その主な内容は次のとおり
である。
(ア) |
国際貿易,特に発展途上国の国際貿易と経済発展に悪影響を及ぼ
すことになり,市場アクセスを制限し,又は競争を不当に制限する

こととなる場合に,
a |
競争企業間の協定,取決めによる次のような行為を行わないこ
と。
①価格協定,②入札談合,③市場・顧客分割,④販売・生産数
量割当など |
b |
市場支配力の優越的地位を濫用することにより,次のような行
為・行動を行わないこと。
①競争者を排除するための原価以下の価格付け等競争者に対す
る略奪的行為,②価格差別,③合併・取得,④輸出商品の再販売
価格維持行為,⑤並行輸入の阻止など |
|
(イ) |
事業が行われている国の所管官庁が制限的商慣行の規制を行うに
際し,企業はその所管官庁と協議・協力し,情報を提供すること。 |
|
イ |
「原則と規則」の規定に関する制限的商慣行についての調査研究,
情報収集等を行うために制限的商慣行政府間専門家会合が設置されて
いる。
本年度においては,1991年10月21~25日にジュネーブにおいて第10
回会合が開催され,「原則と規則」に関する見直し作業について検討
が行われた。 |
|
(2) |
技術移転 |
|
国際的な技術移転取引における制限的商慣行の規制を主な内容とする
国際技術移転行動規範を作成するために国際技術移転行動規範国連会議
が設けられている。
1976年から開始された同規範の具体的な草案作成作業が難航したこと
から,1981年には同規範の完成促進のために暫定委員会が設置された。
その後,1983年に第5回国連会議,1985年に第6回国連会議が開催さ
れたが,同視範の最終合意には至らなかった。
なお,本年度においては,特に進展はなかった。 |
|
3 |
アジア・大洋州の独占禁止当局との協力 |
|
(1) |
アジア・大洋州独占禁止政策会議 |
|
1989年5月の第3回ソウル会合に続き,1991年4月30日~5月2日,
第4回会合がウエリントンで開催され,我が国を含め10か国(注)が参加
した。「各国の競争政策」というテーマの下,活発な意見交換が行われ
た。
(注) |
参加10か国は オーストラリア,インド,韓国,マレーシア,
ニュージーランド,フィリンピン,シンガポール,スリランカ,
タイ及び日本である。 |
|
(2) |
アジア・大洋州独占禁止政策情報センター |
|
アジア・大洋州独占禁止政策情報センターは,アジア・大洋州地域の
12か国(注)が,その競争政策に関する情報を交換することを通して参
加各国の競争政策を発展させることを目的として,1980年9月に当委員
会事務局内に設けらたものであり,本年度においても,競争政策に関す
る資料を参加各国に配布した。
(注) |
12か国は,オーストラリア,インド,インドネシア,韓国,マ
レーシア,ニュージーランド,パキスタン,フィリピン,シンガ
ポール,スリランカ,タイ及び日本である。 |
|
|
4 |
その他 |
|
当委員会は OECDやUNCTAD以外にも,国連多国籍企業委員
会,世界知的所有権機関(WIPO),FAO/WHO合同食品規格委員
会等で行われている討議に対しても,競争政策及び表示規制の観点から積
極的に対応することとしている。 |