第15章 国際関係業務

第1 二国間関係

1 日米構造問題協議 
(1) 日米構造問題協議(SII)の再活性化と新規コミットメント
 1992年1月の宮澤総理・ブッシュ大統領(いずれも当時)会談の際の
東京宣言に伴い,日米両国間のグローバル・パートナーシップを築いて
いくための行動計画(アクション・プラン)が作成された。その1項目
として,両国間の主要な経済・貿易問題に関して探るべき措置として,
新たなコミットメントを行うことを含めSIIの再活性化を図ることが
盛り込まれた。
(2) フォローアップ第2回年次報告
 グローバル・パートナーシップ行動計画に盛り込まれたS I Iの再活
性化という目的を受け,1992年2月以降,2回のフォローアップ会合が
開かれ,1992年7月30日,日米構造問題協議フォローアップ第2回年次
報告が作成・公表された。
 この年次報告においては,排他的取引慣行,系列及び流通の3分野に
おいて,競争政策に関する記載がある。これら3分野における競争政策
関連部分の概要は,以下のとおりである。
ア 排他的取引慣行
(ア) 独占禁止法及びその運用の強化
a  勧告等法的措置の一層の活用
b  法的措置の公表等一層の透明性の確保
c  外国事業者からの相談・苦情への迅速かつ適切な対応
d  公正取引委員会の予算・定員の着実な整備・充実
e  課徴金制度の厳正な運用
f  厳正かつ機動的な告発権限の行使及び罰金刑の引上げを内容と
する独占禁止法改正法案の国会への提出
g  独占禁止法違反事件に係る損害賠償請求制度が有効に活用され
るようにするための措置
h  入札談合の積極的な排除
i  国際契約届出制度の改善(フォローアップ第2回年次報告にお
ける新規コミットメント)
(イ) 政府慣行
a 独占禁止法適用除外制度の見直し
(a)  適用除外カルテルの見直し(フォローアップ第2回年次報告
における新規コミットメント)
(b)  指定再販制度の見直し
(ウ) 民間企業の慣行
a 事業者団体
(a) 事業者団体問題研究会における検討(フォローアップ第2回
年次報告における新規コミットメント)
(エ) 政府調達
a  政府調達における談合の効果的抑止のための措置(フォロー
アップ第2回年次報告における新規コミットメント)
イ 系列
(ア)  公正取引委員会における検討等
a  流通・取引慣行ガイドラインの作成・公表及び周知徹底
b  企業集団調査・個別業種調査の実施
ウ 流通
(ア) 規制緩和
a 景品規制の見直し
(イ) 商慣行の改善
a 流通・取引慣行ガイドラインの作成・公表及び周知徹底
2 貿易摩擦問題への対応
(1) 個別業種に関する二国間協議
 個別品目に関する貿易摩擦問題を解決すべく,これまでに,スーパー
コンピュータ,衛星,建設,コンピュータ,紙,自動車等についての会
合が開催されてきている。
 当委員会は,競争政策の観点から,外国企業の我が国市場への参入に
当たり反競争的行為があった場合にはこれに厳正に対処するとし,これ
らの協議に必要に応じ対応してきている。
(2) グローバル・パートナーシップ行動計画(アクション・プラン)
 1992年1月に発表された行動計画は,日米間の主要な経済・貿易問題
に関し緊要とされている行動について,実施計画を定めている。この行
動計画において当委員会は,紙,ガラス,乗用車及び自動車部品の4業
種について,競争政策の観点から,企業間取引の実態を調査することと
されており,同年3月から調査を開始している。
3 海外独占禁止当局とのニ国間意見交換
 近年,各国に共通の競争政策上の問題が生じてきており,この分野にお
ける意見交換等の国際的連携が重要になってきている。このため,当委員
会は,我が国との経済交流が特に活発であるアメリカ,EC,フランス,
韓国等との競争政策面における協力関孫を推進するため,これらの独占禁
止法当局との間で定期的に競争政策に関する意見交換を行っている。
 本年度における意見交換の開催状況は,次のとおりである。

第2 多国間関係

1 経済協力開発機構(OECD)
(1) 競争政策委員会
ア  競争政策委員会(Committee on Competition Law and Policy)
は,OECDに設けられている各種委員会のうちの一つで,1961年12
月に設立された。我が国は,1964年のOECD加盟以来,その活動に
参加してきている。競争政策委員会は,原則として年2回本委員会を
開催し,また,その下に各種の作業部会を設けて,随時会合を行って
いる。本委員会では,加盟各国の競争政策に関する年次報告が行われ
ているほか,各作業部会の報告書の検討,その時々の重要問題につい
て討議が行われている。
 本年度における会議の開催状況は,次のとおりである。

イ  1992年5月の第61回本委員会においては,日本,オーストリア,
フィンランド,フランス,ハンガリー,アイルランド,ポーランド,
スウェーデン及び米国の年次報告が行われたほか,英国の年次報告に
関する国別審査(審査担当国として選出された国が,審査対象国の年
次報告をあらかじめ受け取り,質問を事前に準備し,質問する。)が
我が国及びカナダを審査担当国として行われた。また,米国の水平合
併ガイドラインに関する検討等が行われた。
ウ  1992年12月の第62回本委員会においては,オーストラリア,ベル
ギー,カナダ,デンマーク,ドイツ,オランダ,ニュージーランド,
ノルウェー,ポルトガル,スペイン,スイス及びECの年次報告が行
われたほか,イタリアの年次報告に関する国別審査がオーストラリア
とECを審査担当国として行われた。また,我が国の共同研究開発に
関する独占禁止法上の指針(原案)に関する検討等が行われた。
エ  競争政策委員会に属する各作業部会の本年度における主要な活動
は次のとおりである。
(ア)  第1作業部会では,「競争政策と反ダンピング」に関する検討が
行われたほか,競争政策と貿易政策との相互連関について検討を行
うため,同作業部会と貿易委員会作業部会の合同会合が,1992年3
月から開催された。
(イ)  第2作業部会では,「競争政策と放送業」について報告書案の取
りまとめ作業が行われた。なお,本報告書の最終化をもって第2作
業部会は休止することとなった。
(ウ)  第3作業部会では,合併規制手続の収れんについて国際合併の事
例研究等が行われた。
(エ)  作業部会とは別に,競争政策の収れんに向けての作業の進ちょく
状況を1994年閣僚理事会に報告するため,競争政策委員会における
報告書の作成の管理及び今後の収れん作業計画の作成を目的として
収れんプロジェクトに関するステアリンググループが設置され,
1993年2月にその第1回会合が開催された。
(2) 消費者政策委員会
ア  消費者政策委員会(Committee on Consumer Policy)は,加盟
国の消費者行政についての情報交換及び調査・検討のための国際協力
の場として,1969年11月に期限付き(1972年末まで)で設置すること
とされた。この期限はその後5度の延長決議を経て1997年末までと
なっている。消費者政策委員会は,年1回本委員会を開催するほか,
各種の作業部会を設け随時会合を行っている。
 1993年3月現在,活動している作業部会は,「消費者の安全性」作
業部会及び「市場の透明性・消費者情報」作業部会の2部会である。
イ  1992年10月21日~23日に開催された第45回本委員会では,我が国を
含むOECD加盟7か国における流通システムの構造と変化に関する
OECD事務局の調査結果の報告が行われたほか,比較広告等につき
討議が行われた。
(3) そ の 他
 経済開発検討委員会(Economic and Development Review
Committee)は,OECD加盟24か国について,原則として年1回,
各国経済の現状と見通し,マクロ経済政策,構造問題等に関する検討,
審査を行っており,その結果を国別報告書の形で公表している。この報
告書のうち,構造問題に関する部分は,毎年異なったテーマについて分
析がなされており,1992年の対日審査では競争政策がそのテーマとして
取り上げられた。
2 国際連合貿易開発会議 (UNCTAD)
 UNCTADでは,極めて多岐にわたる南北問題の討議が行われている
が,特に当委員会に関係があるものとして,「制限的商慣行」及び「国際
的技術移転行動規範」の問題がある。
(1) 制限的商慣行
ア  1980年の第35回国連総会において,「制限的商慣行規制のための多
国間の合意による一連の衡平な原則と規則」(以下「原則と規則」と
いう。)が,国連加盟国に対する勧告として採択された。この「原則
と規則」は,国際貿易,特に発展途上国の国際貿易と経済発展に悪影
響を及ぼす制限的商慣行を識別し,規制することにより,国際貿易と
経済発展に資することを目的としており,その主な内容は次のとおり
である。
(ア)  国際貿易,特に発展途上国の国際貿易と経済発展に悪影響を及ぼ
すことになり,市場アクセスを制限し,又は競争を不当に制限する
こととなる場合に,
a  競争企業間の協定,取決めによる次のような行為を行わないこ
と。
 ①価格協定,②入札談合,③市場・顧客分割,④販売・生産数
量割当など
b  市場支配力の優越的地位を濫用することにより,次のような行
為・行動を行わないこと。
 ①競争者を排除するための原価以下の価格付け等競争者に対す
る略奪的行為,②価格差別,③合併・取得,④輸出商品の再販売
価格維持行為,⑤並行輸入の阻止など
(イ)  事業が行われている国の所管官庁が制限的商慣行の規制を行うに
際し,企業はその所管官庁と協議・協力し,情報を提供すること。
イ  「原則と規則」の規定に関する制限的商慣行についての調査研究,
情報収集等を行うために制限的商慣行政府間専門家会合が設置されて
いる。
 本年度においては,1992年11月23日~27日にジュネーブにおいて第
11回会合が開催され,「原則と規則」に関する見直し作業について検
討が行われた。
(2) 技 術 移 転
 国際的な技術移転取引における制限的商慣行の規制を主な内容とする
国際技術移転行動規範を作成するために国際技術移転行動規範国連会議
が設けられている。
 1976年から開始された同規範の具体的な草案作成作業が難航したこと
から,1981年には同規範の完成促進のために暫定委員会が設置された。
その後,1983年に第5回国連会議,1985年に第6回国連会議が開催され
たが,同規範の最終合意には至らなかった。
 なお,本年度においては,特に進展はなかった。
3 アジア・大洋州の独占禁止当局との協力
 アジア・大洋州独占禁止政策情報センターは,アジア・大洋州地域の12
か国(注)が,その競争政策に関する情報を交換することを通して参加各国
の競争政策を発展させることを目的として,1980年9月に当委員会事務局
内に設けられたものであり,本年度においても,競争政策に関する資料を
参加各国に配布した。
(注)  12か国は,オーストラリア,インド,インドネシア,韓国,マ
レーシア,ニュージーランド,パキスタン,フィリピン,シンガ
ポール,スリランカ,タイ及び日本である。
4 そ の 他
 当委員会は,OECDやUNCTAD以外にも,GATTや国連多国籍
企業委員会等で行われている討議に対しても,競争政策の観点から積極的
に対応することとしている。

第3 海外調査

 我が国の競争政策の運用に資するため,諸外国の独占禁止法制及びその運
用状況についての情報収集や調査研究を行っている。
 本年度においては,政権が移行したアメリカや経済統合を果たしたEC及
びその主要な加盟諸国を中心として,独占禁止当局の政策動向及び議会にお
ける独占禁止関係の立法活動について重点的に調査を行い,その内容の分析
と紹介に努めた(諸外国の競争政策の動向については,付属資料11参照。)。