ア |
カルテル規制
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(ア) |
1976年制限的取引慣行法によって,競争制限的協定は登録制に
なっている。1992年には589件の協定が登録され,これまでに登録
された協定の総数は約10,600件となった。 |
(イ) |
登録すべき協定が登録されていないと認められる場合には,公正
取引庁長官は,関係者に対し詳細な情報を求める通知を発出するこ
とができることとなっており,1992年には36件の通知を発出した。 |
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イ |
再販売価格維持行為に対する規制 |
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1992年には 1976年再販売価格法違反の容疑で34件の申告があり,
うち3件(子供用衣料,織物及びスポーツカー)につき違法かつ無効
と認定した。 |
ウ |
反競争的行為に対する規制 |
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1980年競争法に基づき,公正取引庁長官は反競争的行為を調査して
その結果を公表している。1992年7月,バス会社による略奪的な料金
設定に関し反競争的であるとする報告書を公表し,事案を独占・合併
委員会(MMC)に付託した。1992年10月,バス会社が司法審査を求
めて提訴し,1993年1月,バス会社の主張を認める判決が下されたた
め,MMCへの付託の内容が修正された。 |
エ |
独占状態に関する調査 |
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1973年公正取引法に基づき,公正取引庁長官は,独占状態(1社で英
国市場の25%以上の市場占拠率を有する場合等)が認められる場合,そ
れについてMMCに調査を付託することができる。1992年には,コンタ
クトレンズ保存溶液の供給,香水の小売段階における供給など8件につ
いて付託を行った。
MMCは,1992年に,①新車,②自動車部品の販売,③ソレント海峡
フェリーなど合計5件について報告書を公表した。
①については,新車販売に関し複合独占が存在し,販売業者に課され
たテリトリー外での広告の制限など6項目の制限は公共の利益に反する
としてその廃止を勧告した。貿易産業大臣は 公正取引庁長官に,MM
C勧告を実施する手段について販売業者と協議し,更に措置を採る必要
があるかどうかを検討するよう要請した。
②については,自動車供給業者に複合独占が存在していたが,現在の
ところ,公共の利益には反していないとしながらも,自動車供給業者が
自己の専売店以外の小売店に対し部品の供給を拒絶することなどは将来
懸念が生じるおそれがある旨示唆した。
③については,海峡フェリーを運行する4社のうち1社について独占
状態が存在しているが,公共の刺益に反する又は反するおそれのある要
素は存在しない旨報告された。 |
オ |
合併規制 |
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(ア) |
公正取引庁は,1992年に200件の合併案件を審査した。うち125件に
ついて,公正取引庁長官は,調査のため案件をMMCに付託すべきか
どうかについて貿易産業大臣に助言した。 |
(イ) |
この件数(125件)は,1986年以降減少の傾向にある。総資産額は
830億ポンドであり,業種別に見ると,食料・飲料・たばこ(20件),
化学・合成繊維(15件),輸送・電信(11件),銀行・金融(11件),
機械(11件)となっている。また,合併形態では水平合併の割合が
1991年の87%から93%へと増加している。 |
(ウ) |
資易産業大臣は,1992年中にMMCに対し10件の付託を行ったが,
それらは,すべて公正取引庁長官の助言に従って行われたものであ
る。 |
(エ) |
MMCは,1992年中に8件の合併等に関する報告書を公表し,この
うち5件が公共の利益に反するとした。主要な条件は,次のとおりで
ある。
① |
サラ・リー社によるレキット・アンド・コールマン社くつ磨き製品
事業部門の取得 |
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MMCは,この取得によりサラ・リー社がくつずみの2大ブランド
を保有することになるため,結果的に両ブランド間の競争が損なわれ
て実質的に価格の引上げが行われるおそれがあるため本件取得は公共
の利益に反するとして,一方のブランドを第三者に譲渡させるよう勧
告した。これを受けた産業貿易大臣の指示により,公正取引庁長官は
MMC勧告に沿った確約書を当事者に提出させた。 |
② |
ボンド・ヘリコプターズ社によるブリティッシュ・インターナショナ
ル・ヘリコプターズ社事業の取得 |
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MMCは,本件取得により,沖合石油・ガス事業に対するヘリコプ
ター輸送サービスの市場においては大手2社の複占になり,競争が減
殺される結果,価格の引上げにつながるおそれがあるため本件取得は
公共の利益に反するとして,これを阻止するよう勧告した。この勧告
を受けた産業貿易大臣の指示により,公正取引庁長官は本件取得を行
わない旨の確約書を当事者に提出させた。 |
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