| (ア) | 協和エクシオは,電気通信設備(電話回線設備及びマイクロ無線 設備をいう。)の工事等を営む者である。
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                        | (イ) | 協和エクシオ,日電インテク,大明電話, 日本コムシス株式会社 (以下「日本コムシス」という。),東洋電機通信工業株式会社,三
 和大榮電氣興業株式会社,株式会社ジェイコス(以下「ジェイコ
 ス」という。),新興通信建設株式会社,池野通建株式会社(以下
 「池野通建」という。),大和通信建設株式会社,大興電子通信株式
 会社(以下「大興電子」という。)及び株式会社富士通ビジネスシ
 ステム(以下「富士通ビジネス」という。)の12社(以下「12社」
 といい,12社のうち,日電インテク,大興電子及び富士通ビジネス
 の3社を除く9社を以下「1級9社」という。)は,アメリカ合衆
 国空軍に所属するパキャフ・コントラクティング・センター・ジャ
 パン(以下「米国空軍契約センター」という。)に業者登録してい
 る有力事業者のほとんどである。そのうち,協和エクシオ,日電イ
 ンテク及び大明電話の3社は,同契約センターが我が国において発
 注する電気通信設備の運用保守に関する物件のほとんどすべてを受
 注していた。
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                        | (ウ) | 米国空軍契約センターの発注及び契約は,米国法に基づくとこ ろ,同法では,調達の方法として,最も低い価格で入札した事業者
 に発注することを原則とする方法と,入札者の中から受注する可能
 性のある入札価格の低い2~3の者について入札価格の積算根拠の
 監査を実施し,監査対象者と個別に価格交渉(以下「ネゴシエー
 ション」という。)を行った後,再度入札価格を呈示させて,最も
 低い価格で入札した事業者に発注することを原則とする方法(以下
 「ネゴシエーション方式」という。)の二種類が定められている。
 米国空軍契約センターは,海外における調達については,一般的方
 針として,ネゴシエーション方式を採ることとしている。
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                        | (エ) | 米国空軍契約センターは,我が国において電気通信設備の運用保 守のサービスを調達するに当たり,それまで在日米軍が自ら実施し
 又は同契約センターが随意契約の方法によって発注していたもの
 を,昭和43年ころから,ネゴシエーション方式に改め,同54年以降
 はそのほとんどすべてを同方式により発注している。
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                        | (オ) | 1級9社は 昭和55年ころまでには全社が同センターに業者登録 を行い,米国空軍契約センター発注物件を受注するための方策を検
 討してきたが,従来,同センター発注物件のほとんどを受注してい
 た日電インテクと競争をして直ちに受注を図ることは,入札に関す
 るノウハウに通じていないこと及び技術的能力の違い等から困難な
 面があり,また,受注価格の低落を招く等の問題があった。
 他方,日電インテクは,昭和55年前後ころ,1級9社の他にも中
 小の事業者が,米国空軍契約センターに業者登録を行い,同セン
 ター発注物件の入札に参加し,その結果,従前の受注価格より相当
 低い価格での受注を余儀なくされたこともあり,1級9社の同市場
 への参入により前記のような事態になることを危倶していた。
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                        | (カ) | 1級9社及び日電インテクの営業担当部課長級の者は,昭和55年 12月15日,「かぶと家」に集まり,会員相互間の親睦及びその意思
 の疎通を図り,米国空軍契約センター発注物件について情報を交換
 し,継続的に協調関係,信頼関係を維持するための共通の場とし
 て,「集まりの会」を設けることを合意した。
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                        | (キ) | その後,日電インテク及び1級9社の営業担当部課長級の者は, 昭和56年2月5日,前記かぶと家で再度会合を開催し,遅くとも2
 月19日ころまでには,前記「集まりの会」の名称を「かぶと会」と
 するとともに,会則及び役員等を定め,同年3月1日にかぶと会を
 発足させた。
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                        | (ク) | 日電インテクも参加して設立されたかぶと会は,単に会員の親睦 を図る会に止まるものではなく,米国空軍契約センター発注物件を
 受注するに当たり,1級9社及び日電インテクが円滑に受注できる
 ようにするため,継続的に話し合い,信頼関係を形成し,維持する
 ため設立されたものであるところ,前記かぶと会の設立等につき協
 議し,かぶと会を設立すること等により,もって,遅くとも,前記
 かぶと会の設立するころまでには,米国空軍契約センター発注物件
 について,あらかじめ入札に参加するかぶと会会員の話合いにより
 前記発注物件を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決
 めること,受注予定者以外の入札参加会員は 受注予定者が受注で
 きるように協力することとする共通の認識(以下「本件基本合意」
 という。)を相互に形成するに至った。
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                        | (ケ) | かぶと会会員は,かぶと会設立後の昭和56年3月から昭和63年6 月15日のかぶと会の解散に至るまでの間,継続して,本件基本合意
 に基づき,米国空軍契約センター発注の27物件について,同契約セ
 ンターが入札前に開催する入札説明会又は現場説明会の終了後にお
 いて,飲食店等で会合し,当該入札に参加する会員間で受注予定者
 を決める「話合い」を行い,受注予定者を決めていた。
 また,当該入札に参加するかぶと会会員は 受注予定者を決めた
 後,受注予定者以外の入札参加会員の入札価格が受注予定者の入札
 価格以上の価格となるように,受注予定者が他の入札参加会員にそ
 の者が入札すべき価格を通知する等の方法により,受注予定者が受
 注できるようにし,また,受注予定者は,あらかじめ監査の対象に
 なった場合の対応を特定の入札参加会員に依頼し,依頼を受けた会
 員は,監査やネゴシエーションの結果,入札価格の変更があって
 も,受注予定者が受注できるように協力していた。
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                        | (コ) | 大興電子は,昭和57年10月ころ,富士通ビジネスは,昭和58年11 月ころ,それぞれ本件基本合意を了承し受注予定者を決める本件
 「話合い」に参加することとして,かぶと会に入会し,入会後は,
 前記のように受注予定者を決定するための会員間の「話合い」に参
 加し,受注予定者が受注できるように協力してきた。
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                        | (サ) | 当委員会が在日米軍関係建設工事事業者ら及びこれらの団体に対 する審査を開始したことが,昭和63年5月新聞等で報じられたとこ
 ろから,前記審査が本件事案にも波及することをおそれた12社は,
 昭和63年6月15日,大明電話の会議室でかぶと会の臨時総会を開催
 し,同日付けでかぶと会を解散した。
 その後 12社は,会員による受注予定者を決める「話合い」や,
 入札金額の連絡等の調整を行っていない。
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