第4章 法運用の透明性の確保と独占禁止法違反行為の未然防止
第1 概 説
独占禁止法の運用を厳正かつ効果的なものにするためには,独占禁止法の
目的,規制内容及び運用の方針が国内外における事業者や消費者に十分理解
され,それが深められていくことによって独占禁止法違反行為が未然に防止
されることが必要である。このような観点から,当委員会は,各種の広報活
動を行うとともに,事業者及び事業者団体から寄せられた各種の相談に対し
て積極的に対応している。また,事業者等の独占禁止法違反行為を具体的に
明らかにした各種のガイドラインを公表するとともに,それに基づき,個々
の具体的なケースについて事業者等から個別の相談に応じている。
また,違反行為を未然に防止するため,事業者等において,独占禁止法遵
守のためのコンプライアンス・プログラムを作成する動きが広がっており,
当委員会は,このような事業者等の自主的な取組に対して,研修等への講師
の派遣,独占禁止法遵守マニュアル作成に対する支援等を行っている。
本年度においては,公共的な入札に係る談合防止の徹底を図るため,「公
共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指
針」を策定することとし,その原案を平成6年3月4日に公表した。
なお,原案に対する関係各方面からの意見を踏まえて,さらに検討を行
い,平成6年7月5日に同ガイドラインを公表した。
また,入札談合の未然防止のため,発注官庁への働きかけや支援を積極的
に行ってきており,各発注官庁において指名されている当委員会との連絡担
当官会議を開催し発注官庁との連絡体制の整備を図ったほか,発注官庁が実
施する独占禁止法の正しい理解の徹底のための研修プログラムへの支援等を
行っている。
第2 入札談合問題への取組
1 | 公共的な入札に係る事業者及び事業団体の活動に関する独占禁止法上の 指針 |
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2 | 公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官会議 | ||||||||||||||||||
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第3 独占禁止法コンプライアンス・プログラムに関する調査につ
いて
1 | 調査の趣旨 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
近年,①当委員会の審査体制の強化,「独占禁止法違反に対する刑事告 発に関する公正取引委員会の方針」の公表(平成2年6月),課徴金の引 上げ(平成3年7月施行)及び刑事罰強化(平成5年1月施行)の法改正 などの施策による独占禁止法違反行為に対する抑止力の強化,②各ガイド ライン,取り分け「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の公表 (平成3年7月)に伴い,企業において独占禁止法遵守マニュアルの作 成,法務部門の充実といった「独占禁止法コンプライアンス・プログラ ム」に対する関心が高まり,これを実施する動きが広まっている。 このような動きを踏まえ,独占禁止法コンプライアンス・プログラムの 作成,実施状況,独占禁止法遵守マニュアルの作成状況等を把握する目的 で,東京,大阪,名古屋の各証券取引所に上場(1部・2部)している企 業を対象として調査(回答企業1,078社)を行い,平成6年1月,その結 果を取りまとめ,公表した。その概要は以下のとおりである。 |
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2 | 調査結果の概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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