第3 下請代金の支払状況等
当委員会は,定期親事業者調査により報告された結果を基に,昭和33年度
以降,毎年,下請代金の支払状況等を取りまとめ,これを公表している。本
年度の親事業者調査の対象とした資本金3000万円以上の製造業者のうち,
8,962社(23,415事業所)について,その下請取引の実態及び下請代金の支
払状況を見ると,次のとおりである。
1 | 下請取引の実態 | ||||||||||||||||||||||||||
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2 | 下請代金の支払状況等 | ||||||||||||||||||||||||||
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3 | 下請代金の支払状況の推移 | ||||||||||||||||||||||||||
下請代金の支払状況の推移をみると次のとおりであり,長期的には昭和 40年代以降,徐々に改善されてきている。
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第4 下請法の普及・啓発等
1 | 違反行為の未然防止及び再発防止の指導 | ||||||||||||
下請法の運用に当たっては,違反行為が生じた場合,これを迅速かつ効 果的に排除することはもとより必要であるが,違反行為を未然に防止する ことも肝要である。 この観点から,本年度においては,以下のとおり各種の施策を実施し, 違反行為の未然防止を図っている。
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2 | 都道府県との相互協力体制 | ||||||||||||
下請法をきめ細かく,かつ,的確に運用して全国各地の下請事業者の利 益保護を図るためには,地域経済に密着した行政を行っている都道府県と の協力が必要であることから,昭和60年4月から下請取引適正化に関する 都道府県との相互協力体制を発足させ,下請法の普及・啓発等の業務につ いて協力を得ている。 本年度においては,平成6年6月に都道府県下請企業行政担当課長会議 を開催するとともに,平成7年2~3月にブロック別に都道府県下請取引 担当官会議を開催した。 |
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3 | 下請取引改善協力委員 | ||||||||||||
下請法の的確な運用に資するため,昭和40年度以降当委員会の業務に協 力する民間有識者に下請取引改善協力委員を委嘱している。本年度におけ る下請取引改善協力委員は,101名である。 本年度においては,平成6年6月に全国会議を,平成7年2~3月にブ ロック別会議を,また,平成6年12月には首都圏において4都県連絡会議 をそれぞれ開催し,最近の下請取引の状況について意見を交換した。ま た,近時の円高,景気低迷下の下請取引の状況等の調査に関し協力を得 た。 |
第5 下請取引に関する実態調査及びこれに基づく指導等
1 | 大規模小売業者の下請取引に関する調査 |
近年の国民経済における非製造業分野の重要性の増大を踏まえ,非製造 業分野における下請取引についても適正化を進めていく必要があり,こう した観点から,百貨店・スーパー等多種類の商品を扱う大規模小売業者と 納入業者との取引のうち,下請法に規定する製造委託に該当する下請取引 (プライベート・ブランド商品の納入取引等)について,その取引の実態 及び下請法違反被疑行為の有無を把握することを目的として調査を行っ た。 調査の結果,実体規定については,返品の禁止(第4条第1項第4号) に違反する疑いのある者が116社(29.9%),支払遅延の禁止(第4条第1 項第2号)に違反する疑いのある者が89社(22.9%),購入強制の禁止 (第4条第1項第6号)に違反する疑いのある者が58社(14.9%)などが 多く,手続規定については,発注書面の交付義務に違反する疑いのある者 が345社(88.9%)あるなど,下請取引を行っていた大規模小売業者388社 のうち,364社(93.8%)に何らかの下請法違反の疑いのある行為がみら れた。 この調査結果を踏まえ,下請法に違反する疑いのある行為を行っていた 大規模小売業者に対して,今後下請取引の適正化を図るよう要請するとと もに,日本百貨店協会,日本チェーンストア協会等の関係4団体に対し, 傘下会員の下請取引の適正化につき指導の徹底方を期するよう要請した。 |
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2 | 製造物責任法の施行に伴う下請取引への影響等についての調査 |
平成7年7月に,製造物責任法が施行された。同法は,一定の製造物に 係る分野について,我が国の不法行為の基本原則である過失責任原則を修 正し,欠陥責任の概念を導入するものである。同法の施行に伴い,親事業 者,下請事業者のいかんを問わず製造に伴うリスクが増大することとなる とともに,その対応策について関心が高まっているところである。 このような中で,下請事業者に不当に負担が及ぼされる懸念もあること などから,製造物責任法の施行に伴う下請取引への影響等に関し,アン ケート調査を実施した。 この調査結果などを踏まえ,同法の施行に伴って生じると考えられる親 事業者の行為等のうち,下請事業者の懸念が多くみられた,①製造物責任 (損害賠償責任)の有無・負担割合に関する事項,②品質管理等の強化に 関する事項,③生産物賠償責任保険(PL保険)の加入に関する事項に関 して,下請取引の適正化の観点から,親事業者及び下請事業者が留意すべ き主要な点について取りまとめを行い,これを平成7年6月に公表すると ともに,公正取引委員会事務局長・中小企業庁長官連名で関係親事業者団 体に対し通知した。 |
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3 | 円高等による下請取引の変化についての調査 |
円高を始めとした経済環境の変化により,我が国の産業構造も変化して いるといわれているところであるが,このような状況において,下請取引 にどのような変化が起こっているのか,また,その影響はどのようなもの であるか等の事情を把握するため,平成7年1月以降,親事業者2,049社 及び下請事業者3,773社に対してアンケート調査を実施し,平成7年7月 に調査結果を公表した。 |
第6 建設業の下請取引における不公正な取引方法の規制
建設業の下請取引において,元請負人等が下請負人に対し,請負代金の支
払遅延,不当な減額等の不公正な取引方法を用いていると認められるとき
は,建設業法第42条又は第42条の2の規定に基づき,建設大臣,都道府県知
事又は中小企業庁長官が当委員会に対し,独占禁止法の規定に従い適当な措
置を採ることを求めることができることとなっている。
なお,本年度においては,措置請求はなかった。