第2部 各 論
第1章 独占禁止法制の動き
第1 独占禁止法の改正
当委員会の組織強化等を内容とする私的独占の禁止及び公正取引の確保に
関する法律の一部を改正する法律(平成8年法律第83号)は,平成8年6月
7日に成立した(6月14日公布・施行)。改正の背景,国会での審議状況,
改正の内容は次のとおりである。
1 改正の背景
近年,我が国経済社会をめぐる内外の環境は急速に変化しつつあり,そ
の中で,市場原理をより徹底し,市場メカニズムの下で新規事業の展開・
技術革新を通じて我が国の経済構造を変革することが求められている。政
府は,規制緩和推進計画をはじめとする累次の閣議決定において,我が国
市場をより競争的かつ開かれたものとするとの観点から,規制緩和と一体
のものとして競争政策の積極的展開を図ることを重要な政策課題と位置づ
けたところであり,競争政策に対する内外の期待が高まっている。
こうした競争政策の積極的展開の一環として,当委員会の体制・機能強
化を求める声が高まってきたことを踏まえ,平成8年度政府予算案におい
て,当委員会の事務局組織を抜本的に強化するため,事務局に代えて事務総
局を設置することを主な内容とする当委員会の機能整備が盛り込まれた。
2 改正法案の国会審議
これを受けて,平成8年2月20日に,当委員会の組織強化等に係る独占
禁止法改正法案が閣議決定の上,同日,国会に提出された。
内閣提出の改正法案は,5月22日に衆議院商工委員会に付託され,同月
28日に提案理由説明及び審議が行われ,その後附則につき,改正法を,
「4月1日」より施行することとしていたのを,「公布の日」より施行する
旨の修正案が全会一致で可決され,修正部分を除く原案も全会一致で可決
されたことから同法案は修正議決されることになった。修正議決された法
案は,同月30日に本会議で全会一致で可決され,参議院に送付された。同
法案は,6月3日に参議院商工委員会に付託された後,同月4日に同委員
会で提案理由説明が行われ,同月6日,同委員会での審議後,賛成多数で
可決され,同月7日には本会議で賛成多数で可決され,成立した。
3 改正内容
主な改正内容は,次のとおりである。
(1) | 当委員会の事務を処理する組織として従来の事務局に代えて,事務総 局を置くこととし,事務総局に事務総長を置くとともに,事務総局の下 部組織として官房及び局を置くこととした。 なお,当委員会事務総局の官房及び局の総数の上限を当分の間,3と した。 |
(2) | 事務総局の地方機関として,地方事務所のほか所要の地に支所を置く こととした。 |
(3) | 当委員会の委員長及び委員をより幅広い範囲から人選するとの観点か ら,今後任命される当委員会の委員長及び委員の定年年齢を65歳から70 歳に引き上げることとした。 |
第2 独占禁止法改正に伴う政令の改正
当委員会の組織強化等に係る独占禁止法の改正に合わせて,内部組織の抜
本的な再編成のため,公正取引委員会事務局組織令の一部を改正する政令が
制定され,題名が公正取引委員会事務局組織令から公正取引委員会事務総局
組織令に改められるとともに,事務総局の内部組織について次のように定め
られた。
(1) | 事務総局の下に官房,経済取引局及び審査局を置くとともに,経済取 引局の下に取引部を,審査局の下に特別審査部を置く。 |
(2) | 官房に審議官2人及び参事官を置く。 |
(3) | 官房に総務課,庶務課及び国際課を置く。 |
(4) | 経済取引局に,総務課,調整課,経済調査課及び企業結合課を置く。 |
(5) | 取引部に,取引企画課,企業取引課及び消費者取引課を置く。 |
(6) | 審査局に,管理企画課及び審査長3人を置く。 |
(7) | 特別審査部に,特別審査長2人を置く。 |
(8) | 地方事務所として,北海道,東北,中部,近畿中国四国及び九州事務 所を置く。 |
第3 その他の所管法令の改正
当委員会が所管する法令には,独占禁止法のほか,私的独占の禁止及び公
正取引の確保に関する法律の適用除外に関する法律(以下「適用除外法」と
いう。),下請法及び景品表示法並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に
関する法律施行令等の政令がある。その他,当委員会は,独占禁止法第76条
の規定に基づき,内部規律,事件の処理手続及び届出,認可又は承認の申請
その他の事項に関する必要な手続について規則を定めることができるとされ
ており,この規定に基づいて公正取引委員会の審査及び審判に関する規則等
が定められている。
平成7年度における上記第1及び第2以外の所管法令の改正状況は,以下
のとおりである。
1 | 厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成8年法律第82号)附則第 84条により,適用除外法の第2条第2号ト「国家公務員等共済組合法(昭 和33年法律第128号)」が削除された。 なお,この改正は平成9年4月1日施行である。 |
2 | 公正取引委員会の審判費用等に関する政令が改正され,当委員会に出頭 を命ぜられた参考人及び鑑定人に支払われる日当額の上限が引き上げられ た(平成7年政令第254号)。 |
第4 独占禁止法と他の経済法令との調整等
1 | 法令調整 | ||||||||||||
当委員会は,関係行政機関が特定の政策的必要性から経済法令の制定又 は改正の企画・立案をする際に,これら法令に独占禁止法の適用除外や競 争制限的効果をもたらす行政庁の処分についての規定を設けるなどの場合 には,その企画・立案の段階で当該行政機関から協議を受け,独占禁止法 及び競争政策との調整を図っている。 平成7年度において調整を行った主なものは,次のとおりである。 |
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2 | 行政調整 | ||||||||||||
当委員会は,関係行政機関が特定の政策的必要性から行う行政措置等に ついて,当該措置等が独占禁止法及び競争政策上問題がある場合には,当 該行政機関と調整を行うこととしている。 平成7年度において調整を行った主なものは,次のとおりである。 |
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