第3章 審判及び訴訟

第1 審 判

 平成7年度における審判事件数は,平成6年度から引き継いだもの12件,
平成7年度中に審判開始決定を行ったもの3件の計15件である。これら事件
はすべて独占禁止法違反被疑事件であり,平成7年度中に,2件(うち1件
は,同意審決)について審決を行った(本章第2及び第3参照)。
 平成7年度末現在において審判手続係属中の事件は,下表の13件である。



第2 審判審決

平成3年(判)第1号社団法人大阪バス協会に対する審決

(1)被審人
(2) 事件の経過
 本件は,当委員会が社団法人大阪バス協会(以下「大阪バス協会」と
いう。)に対し,独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を行った
ところ,勧告を応諾しなかったので,同法第49条第1項の規定に基づ
き,審判開始決定を行い,審判官をして審判手続を行わせたものであ
る。
 当委員会は,大阪バス協会が平成8年6月14日担当審判官の作成した
審決案に異議の申立てを行ったので,審決案を調査の上,これを適当と
認め,審決案の内容と同じ本審決を行ったものである。
(3) 認定した事実の概要
 大阪バス協会は,大阪府を事業区域とし,その区域内において一般
貸切旅客自動車(以下「貸切バス」という。)等の運送事業を営む者
を会員とする社団法人であり,会員のうち貸切バス事業者(以下「会
員」という。)が保有する貸切バスの車両数は,地区内における貸切
バスのほぼ全部を占めている。
 大阪バス協会には,総会,理事会の外8つの専門委員会が設置され
ているが,その1つである貸切バス委員会は,貸切バスの運賃及び料
金(以下「運賃等」という。)に関する事項等を分掌しており,下部
組織として貸切バス小委員会を置いている。同小委員会は,同委員会
の分掌事項のうち事業経営の基本に係るものを除いた事項を審議する
こととされ,重要な事項について同委員会に対し報告,承認を要する
とされた外は,同小委員会での審議決定をもって同委員会の決定とみ
なすこととされている。また,大阪バス協会は,大阪府を5つのブ
ロックに分けてブロック会を組織している。
 貸切バス事業者が貸切バスの運賃等を変更しようとするときは,道
路運送法第9条第1項の規定により運輸大臣の認可を受ける必要があ
り,貸切バスの運賃は,従来,認可された基準の運賃率によって計算
した金額(以下「標準運賃」という。)の上下それぞれ10パーセント
の範囲内で事業者が自由に設定できることとされていたが,昭和63年
5月24日の認可以降はこれが上下それぞれ15パーセントに拡大されて
いる。
 大阪府の貸切バス市場では,かねてから,取引上の力関係,旅行
シーズンの需給関係,事業者間の競争等の理由により,旅行業者又は
貸切バス事業者が旅行を主催して旅行者を募集して行うバス旅行(以
下「主催旅行」という。)向けの輸送を中心とし,認可された運賃等
(以下「認可運賃等」という。)を大幅に下回る運賃等による取引が
大規模かつ経常的に行われていた。しかし,個々の会員が運賃等の引
上げを図ることは困難であった。
 このような状態の中で,昭和62年8月4日,当時大阪バス協会に置
かれていた貸切バス部会において,制裁を用意して会員に認可運賃等
を収受させ,旅行の類型ごとに最低運賃等を決定すべきことが提案さ
れ,大阪バス協会の他の委員会,会議の場でも同様の協議検討がされ
た。その後,貸切バス委員会,貸切バス小委員会の設置を経て,同小
委員会に貸切バスの運賃等の引上げ額の算定,その収受に関する方策
等に関する検討をさせることが決定された。他方,昭和63年7月21
日,貸切バス部会最後の部会が開かれ,主催旅行の運賃等の最低額に
関し,標準運賃からの割引率をシーズン別に決定するなどの方針がま
とめられ,次に開かれる会合で早急に検討するよう話合いがされた。
 貸切バス小委員会委員である甲は,大手旅行業者中特に運賃等の低
かった乙会社と取引のある会員らに運賃等の引上げを図る会議を呼び
かけ,昭和63年7月,8月に2回にわたる会議が開かれた。甲から,
シーズンを3分割し,乙会社に限らず各旅行業者共通に主催旅行向け
輸送の運賃等の最低額として,貸切バス輸送の需要の多いAシーズン
は標準運賃の30パーセント引き,需要の少ないCシーズンは50パーセ
ント引き,その他のBシーズンは40パーセント引きとし,これに認可
された料金を加算することが提案され,出席者の間で検討された。
 昭和63年8月30日,第1回貸切バス小委員会が開催され,甲から前
記カとほぼ同様の案が提案された。この提案に基づいて主催旅行向け
輸送の貸切バスの運賃等について検討された結果,A,B及びCシー
ズンの期間設定及び各期間における大型車1両当たりの最低運賃等を
決定し,これを昭和64年(平成元年)4月1日から実施することが決
定された。この決定と併せて,小冊子を作成し新たに認可された貸切
バスの運賃等を登載し,会員の担当者に周知徹底させた上,担当者が
各旅行業者を訪問し,確実な運賃等の収受を依頼することも決定され
た。
 昭和63年9月8日,貸切バス小委員会の委員らが出席して粁程地図
の校正作業会が開かれ,前記キの決定のうち期間の一部の修正を予定
する話がまとまった。同月下旬には,会員の営業担当者を集めて営業
担当者研修会が開かれたが,甲は,その研修会の場で,前記キの決定
(ただし,期間は修正を予定されたもの)を説明した。そして,同月
26日貸切バス小委員会の委員が集まり,各委員が手分けし前記の小冊
子等を持参して各旅行業者に説明することを合意した。
 その合意に従った説明の後説明の結果を踏まえて,昭和63年10月12
日,第2回貸切バス小委員会が開かれた。旅行業者の多くから寄せら
れた意見に従いCシーズンの最低運賃を変更し,また,各シーズンの
期間を前記クの修正予定どおり修正して,第1回貸切バス小委員会の
決定を修正することが決定された。
 昭和63年12月8日,第4回貸切バス小委員会が開催され,旅行業者
から主催旅行向け長距離輸送において最低運賃等と実勢運賃等とが大
きく乖離しているという意見が寄せられていることが紹介され,この
部分について決定を見直すことが提案された。この提案に基づき,同
月19日,急拠第5回貸切バス小委員会が開かれ,第2回貸切バス小委
員会の決定のうち運行距離900キロメートル以上の運賃等についての
み変更することが決定された。
 平成元年2月から4月にかけて,大阪バス協会のブロック長会議等
の会議が開かれたが,これらの会議の場で平成元年度春季の幼稚園,
小学校,中学校及び高等学校の遠足向け(以下「学校遠足向け」とい
う。)輸送の最低運賃等に関し検討が行われ,成案が作成された。こ
の検討を踏まえて,同年4月24日,第8回貸切バス小委員会が開か
れ,学校遠足向け輸送の運賃等に関し検討がされた結果,右の成案を
若干修正し,平成元年度春季の学校遠足向けの輸送の大型車1両当た
りの最低運賃等が決定された。
 その後,各ブロック会議が開かれ,平成2年度の主催旅行向け輸送
の最低運賃等,そのシーズン期間の設定等について検討され,意見が
取りまとめられて大阪バス協会事務局に連絡された。その結果,平成
元年5月19日,第9回貸切バス小委員会が開かれ,平成2年度の主催
旅行向け輸送の各シーズン期間及び各シーズン期間における大型車1
両当たりの最低運賃等を決定し,平成元年度冬季の社会見学及び冬山
耐寒登山向け輸送の大型車1両当たりの最低運賃等を4万5000円から
5万円までの範囲内とし,さらに,平成元年度秋季の学校遠足向け輸
送の大型車1両当たりの最低運賃等が決定された。
 平成元年9月26日,第12回貸切バス小委員会が開かれ,平成元年度
の冬山耐寒登山向け輸送の貸切バスの運賃等について再検討された結
果,同年度冬季の冬山耐寒登山向け輸送の大型車1両当たりの最低運
賃等を4万5000円と修正することが決定された。
 前記最低運賃等を取り決めた各決定の実効性を確保するため,
(ア)  第5回貸切バス小委員会において会員から最低運賃等を遵守する
との趣旨の誓約書を貸切バス委員会委員長に提出させることが決定
され,
(イ)  第9回貸切バス小委員会において,旅行業者から低価格の運賃等
による運送申込みを受けるなどした会員は所定の様式文書によりブ
ロック長に連絡し,調査の結果他の会員が低運賃等で運送契約を締
結したことが判明した場合,貸切バス小委員会委員長がその会員に
出席を求めて説明させることができ,措置が必要なときは貸切バス
委員会の議を経て改善勧告すること,会員は低価格の運賃等の情報
を入手した場合大阪バス協会に連絡し,大阪バス協会はその情報を
各ブロック長に通知するとともに会員にその運送を引き受けないよ
うに求めることなどを内容とする,文書による申合せが承認され
た。
 会員は,本件各決定に基づき,主催旅行向け輸送等各旅行向け輸送
の貸切バスの運賃等を旅行業者らと交渉し,収受するための努力をし
ていた。
 ところが,当委員会から立入検査を受けたため,大阪バス協会は,
平成2年10月18日,理事会において,直ちに本件各決定を含む独占禁
止法違反の疑いのある協定,申合せ等の一切を破棄する決議をした
が,会議,書面により会員に対し右の破棄決議があったことが報告,
通知されその趣旨が周知徹底されるように図られている。
(4) 法令の適用
 大阪バス協会は,独占禁止法第2条第2項の規定にいう事業者団体に
該当するが,本件における法律適用上の争点に関し本審決に示された詳
細な検討の結果の下で前記サ及びシの事実をみると,大阪バス協会は,
会員の平成元年度春季及び秋季の学校遠足向け輸送に係る貸切バスに関
する最低運賃等をそれぞれ決定して構成事業者の自由な運賃の設定を拘
束することにより,認可運賃の上限以下でかつ下限を上回る部分につい
て,構成事業者の機能又は活動を不当に制限したものであって,これは
同法第8条第1項第4号の規定に違反するが,前記タのとおりこの違反
行為は既になくなっているところ,特に主文の範囲の措置をする必要性
がある。また,審判開始決定に係る大阪バス協会のその余の本件行為に
ついては,同法第8条第1項第1号又は同条第1項第4号の規定に違反
する事実を認めることはできない。
(5) 命じた主な措置
 大阪バス協会は,認可運賃の上限以下でかつ下限を上回る部分につい
て,貸切バス運送事業に関する,平成元年4月24日に行った平成元年度
春季の,同年5月19日に行った平成元年度秋季の,いずれも学校遠足向
け輸送の運賃等に関する決定を既に破棄したことを,大阪府の旅行業者
及び一般利用者に周知徹底させなければならない。

第3 同意審決

平成7年(判)第3号株式会社資生堂に対する審決
(1) 被審人
(2) 事件の経過
 本件は,当委員会が株式会社資生堂(以下「資生堂」という。)に対
し,独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ,勧告
を応諾しなかったので,同法第49条第1項の規定に基づき,審判開始決
定を行い,審判官をして審判手続を行わせたものである。
 当委員会は,資生堂から,文書をもって,同法第53条の3の規定に基
づき同意審決を受けたい旨の申出があり,かつ,具体的措置に関する計
画書が提出されたので,これを精査した結果,適当と認められたので,
その後の審判手続を経ないで,審決を行った。
(3) 認定した事実の概要
資生堂化粧品の市場の状況
(ア)  資生堂は,化粧品等の製造販売業を営む者であり,化粧品の国内
向け総販売高において業界第1位を占めている。
(イ)  資生堂がコスメティック及びコスメニティーと称する化粧品(以
下「資生堂化粧品」という。)は,一般消費者に高い知名度を有
し,これを指名して購入する一般消費者が多いことから,化粧品の
小売業者にとって資生堂化粧品を取り扱うことが営業上有利とされ
ている。
(ウ)  資生堂は,国内に15の販売会社(以下「販社」という。)を設
け,資生堂の役員又は従業員を兼任又は出向させ,販社に,資生堂
の定めた営業方針に基づいて同社と一体となって営業活動を行わせ
ていたところ,販社のうち,資生堂化粧品販売株式会社(資生堂東
京販売株式会社が平成7年4月1日に商号を変更したもの。)は,
他の14の販社を合併し,平成7年6月30日付けでその登記がなされ
ている。
(エ)
 資生堂は,小売業者が資生堂化粧品について,資生堂が定めた
価格で販売して適正利潤を確保すべきであるとの販売理念を有し
ているところ,新規に取引を開始する際,取引契約を締結した小
売業者(以下「取引先小売業者」という。)を対象に開催する新
規チェインストアセミナーにおいて,同販売理念を説明してい
る。
 資生堂は,資生堂化粧品のうち,再販商品のほとんどすべてに
ついて,再販売価格を決定し,これを維持するための再販売価格
維持契約(以下「再販契約」という。)を販社と締結し,販社は
小売業者と再販契約を締結して,取引先小売業者に再販商品を再
販売価格で販売することを義務付けている。また,非再販商品に
ついては,資生堂は,メーカー希望小売価格を定めている。
 なお,資生堂化粧品のうち,非再販商品は,売上額において約
88パーセント(平成5年度)を占めている。
 資生堂は,小売業者と取引を開始するに当たり,販社を通じそ
の店舗ごとにコスメティックについてはチェインストア契約(化
粧品取引契約等に基づく契約を含む。以下同じ。)及びコスメニ
ティーについてはコスメニティー契約を締結しているところ,各
契約において,取引先小売業者に対し資生堂化粧品を当該店舗に
おいて一般消費者に販売することを義務付けている。
 資生堂の取引先小売業者のうち,資生堂化粧品の売上額におい
て上位5位までを占める者は全国に100店舗以上を有する量販店
(以下「大手量販店」という。)であり,大手量販店が設定する
販売価格は他の取引先小売業者の販売価格に大きな影響を及ぼし
得る状況にある。
 資生堂は,コスメティックの販売について,取引先小売業者に
対し,その上額等を勘案して,ビュティーコンサルタントと称す
る約8,440名(平成5年末現在)の美容部員を販社を通じて派遣
して同商品の説明販売をさせて販売促進を図っているところ,そ
のうち,約1,300名(平成6年3月末現在)を,大手量販店に派
遣している。
(オ)  前記(ア)ないし(エ)の状況の下,かねてから,資生堂化粧品について
は,再販商品は再販売価格で,非再販商品はおおむねメーカー希望
小売価格で販売されてきている。
大手量販店に対する再販売価格維持行為の状況
(ア)
 資生堂は,平成5年4月1日からの指定再販商品の縮小などを
契機に大手量販店の一部が非再販商品について,メーカー希望小
売価格を下回る価格での販売(以下「割引販売」という。)を企
図し,また,有力な取引先小売業者の一部が大幅な割引販売を企
図してこれらが他の取引先小売業者に拡大することが懸念された
ことから,割引販売を企図した大手量販店に対しその割引販売の
申入れを断った上,割引販売を行わないよう要請し,販売促進の
支援を行うことなどの方法により,割引販売を行わないようにさ
せている。
 前記aの行為について具体的に示すと,次のとおりである。
(a)  非再販商品をメーカー希望小売価格で販売していた全国に約
150店舗を有する大手量販店は,告示の改正により平成5年4
月1日から指定再販商品が縮小されることを契機に割引販売を
企図し,あらかじめ,平成4年秋ごろから,資生堂に対し,同
告示の改正により非再販商品となる資生堂化粧品についてメー
カー希望小売価格の約1割引で販売したい旨を申し入れたが,
資生堂はこれを断った。同量販店は,その後も割引販売を行い
たい旨申し入れたが,資生堂は,この申入れを断った上,平成
5年3月上旬ごろ,資生堂化粧品に添付するサンプルを提供す
る代わりに割引販売を行わないよう要請し,同量販店は,資生
堂から商品の円滑な供給が得られないことの懸念等からこれを
受け入れて割引販売を行わないこととした。
(b)  東京都及び千葉県に8店舗を有する有力な取引先小売業者
が,非再販商品について大幅な割引販売を開始することとなっ
たことから,資生堂は,平成5年6月上旬ごろ,一部の大手量
販店に対し,これに追随して割引販売を行わないよう要請して
いた。
 その後,同年6月9日から,前記取引先小売業者が当該8店
舗において,非再販商品をメーカー希望小売価格の2割5分な
いし3割引で販売を開始したことから,非再販商品をメーカー
希望小売価格で販売していた全国に約350店舗を有する大手量
販店は,非再販商品の割引販売を企図し,あらかじめ,同年6
月下旬ごろ,資生堂に対し,非再販商品をメーカー希望小売価
格の約1割引で販売したい旨を申し入れた。これに対し,資生
堂は,この申入れを断った上,右取引先小売業者による割引販
売に対する対応策を講ずる旨伝えるとともに,同量販店におけ
る資生堂化粧品の大幅な売上拡大を目的とした販売促進の支援
をする旨申し出るなどして割引販売を行わないよう要請し,同
量販店は,資生堂から商品の円滑な供給が得られないことの懸
念等からこれを受け入れて割引販売を行わないこととした。
(イ)  しかして,前記(a)の割引販売を企図した大手量販店は,資生堂の
前記(a)の行為により,非再販商品をおおむねメーカー希望小売価格
で販売している。
 また,割引販売を企図した大手量販店が非再販商品についておお
むねメーカー希望小売価格で販売している状況の下,他の取引先小
売業者も非再販商品をおおむねメーカー希望小売価格で販売してい
る。
 生協に対する再販売価格の拘束
 資生堂は,再販商品について,生協と再販契約を締結することがで
きないことから,販社を通じて,生協の役員等の個人又は関連法人を
名義人として,実質的に当該生協と再販契約を締結することにより,
当該生協に対し再販商品を再販売価格で販売するようにさせていた
が,その後,平成7年6月28日付け文書又は同月29日付け文書により
遅くとも同年11月中旬頃までに前記契約を破棄した。
 平成7年5月19日現在,前記契約を締結していた生協の数は19であ
る。
(4) 法令の適用
 資生堂は,資生堂化粧品のうち,非再販商品について,割引販売を企
図した大手量販店に対し,正当な理由がないのに,その販売価格を定め
てこれを維持させる条件を付けて供給しており,また,再販商品につい
て,再販契約を締結することのできない団体である生協に対し,正当な
理由がないのに,その販売価格を定めてこれを維持させる条件を付けて
供給しているものであり,それぞれ,不公正な取引方法(一般指定第12
項第1号)に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するものである。
(5) 命じた主な措置
 資生堂は,
 資生堂化粧品うち,非再販商品の化粧品の販売に関し,割引販売を
企図した大手量販店に対し,メーカー希望小売価格を下回る価格での
販売を行わないように要請し,メーカー希望小売価格で販売するよう
にさせている行為を取りやめなければならない。
 今後,前項の行為と同様の行為により,割引販売を企図した大手量
販店に対し,非再販商品の化粧品の販売価格を制限してはならない。
 今後,資生堂化粧品のうち,再販商品に該当する化粧品の販売に関
し,自ら又は販社を通じて,名義のいかんを問わず,生協と再販売価
格維持契約を締結してはならない。
 前各項に基づいて採った措置及び前項の化粧品の販売に関し実質的
に生協と締結していた再販売価格維持契約を破棄した旨を資生堂の役
員及び化粧品の営業を担当する従業員並びに同社が設けている販売会
社の役員及び従業員に,前記ア及びイに基づいて採った措置を割引販
売を企図した大手量販店及び一般消費者に,前記ウに基づいて採った
措置及び再販売価格維持契約を破棄した旨を当該生協及びその組合員
に,それぞれ周知徹底させなければならない。