第5章 政府規制制度及び独占禁止法適用除外制度の見直し      

第1 概 説

 我が国では,社会的,経済的な理由により,参入,設備,数量,価格等に
係る経済的事業活動が政府により規制されていたり,独占禁止法の適用が除
外されている産業分野が多くみられる。
 このような政府規制は,我が国経済の発展過程において一定の役割を果た
してきたことは認められるが,社会的・経済的情勢の変化に伴い,当初の必
要性が薄れる一方で,効率的経営や企業家精神の発揮の阻害,競争制限的体
質の助長等様々な競争制限的問題を生じさせてきており,社会的・経済的情
勢の変化に即して不断の見直しを行う必要がある。
 さらに,我が国の内外においてグローバル化の進展等大きな潮流の変化が
生じつつある中,事業者の生産性の向上,他業種への事業展開の促進など我
が国経済社会の柔軟性を高め,中長期的に持続的,安定的な成長を促すとと
もに,国民生活の質的向上を図り,我が国の市場をより開かれたものとして
いく観点からも,政府規制制度等の見直しが要請されている。
 また,独占禁止法適用除外制度は,自由経済体制の下ではあくまでも例外
的な制度であり,適用除外分野においては,市場メカニズムを通じた良質,
廉価な商品・サービスの供給に向けた経営努力が十分に行われず,消費者利
益が損なわれるなどのおそれがある。
 最近では,規制緩和推進計画が策定され,規制緩和を計画的に推進するこ
ととされるとともに,独占禁止法適用除外カルテル等制度についても,平成
10年度末までに原則廃止するとの観点から見直しを行うこととされた。
 これに基づき,個別法による適用除外制度(28法律47制度)について見直
しが行われた結果,改定された規制緩和推進計画において,平成10年度末ま
でに,33制度について廃止・法整備を行い,4制度について範囲の限定を図
り,残りの10制度について引き続き検討等を行うこととされた。

第2 政府規制制度の見直し

政府規制制度等と競争政策に関する研究会における検討
 当委員会は,従来から競争政策の観点から政府規制制度について中長期
的に見直しを行ってきている。昭和63年7月以降,政府規制制度の見直し
及び関連分野における競争確保・促進政策の検討を行うため,「政府規制
等と競争政策に関する研究会」(座長 鶴田俊正 専修大学教授)を開催
し,平成元年2月及び10月には,同研究会が,物流関連分野(貨物運送,
流通等),消費者向け財・サービス供給分野(旅客運送,金融関連,LP
ガス販売)及び 農業関連分野(生産資材,農業生産,農作物流通,食品
加工)を対象に検討を行って取りまとめた報告書を公表した。
 その後,各方面において,政府規制の見直しの気運が高まっていること
等を踏まえ,同研究会は,前回の報告書を基に再度,政府規制の現状,問
題点及びその見直しの在り方について検討を行い,同研究会が,その検討
結果を取りまとめた「競争政策の観点からの政府規制の問題点と見直しの
方向」を平成5年12月に公表した。
 同研究会では,この報告書の基本的考え方に基づき,個別の分野につい
て,規制の弊害に関する調査,分析を行い,改めて規制見直しのための具
体的な指摘を順次行っていくこととし,まず,物流分野における政府規制
について検討を行い,同研究会がその結果を取りまとめた報告書「物流分
野における政府規制の見直しについて」を平成6年8月に公表した。平成
7年度においては,同研究会は,流通分野における政府規制について検討
を行い,同研究会がその結果を取りまとめた報告書「流通分野における政
府規制の見直しについて」を平成7年6月に公表した。その概要は,以下
のとおりである。
(1) 流通分野における政府規制の見直しの必要性
 我が国における流通分野においては,情報化の一層の進展,消費者
ニーズの多様化,円高下での国際化の著しい進行等新たな状況への対応
を図り,国内外に向かって開かれた流通システムを構築することが求め
られている。とりわけ最近では,円高基調下で円高差益の還元や内外価
格差の是正を求める声が従来にも増して強まっており,経済発展の成果
を国民生活の質的向上に結び付けていくためにも,流通分野における政
府規制の見直しが急務となってきている。
(2) 個別の流通分野における政府規制の評価
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(以
下「大店法」という。)については,競争政策の観点からは,廃止も
含め,その在り方について抜本的に見直すべきである。少なくとも,
出店調整手続の透明性・公平性を確保する措置を速やかに講じるとと
もに,営業方法に関する規制は速やかに廃止すべきである。また,競
争政策の観点からは,大店法による規制の枠を超えた地方自治体によ
る独自規制は行われるべきではない。
 酒類小売業における免許制については,競争政策の観点からは,そ
の在り方について抜本的に見直すべきであり,特に,需給調整的要件
は廃止すべきである。
 たばこ販売業における許可制については,競争政策の観点からは,
その在り方について抜本的に見直すべきであり,特に,需給調整的要
件は廃止すべきである。また,競争政策の観点からは,小売定価販売
制度を廃止し,たばこ小売販売価格の自由化を図るべきである。
 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律については,出荷取扱
業者及び販売業者の登録要件の基準や運用等によっては,事実上需給
調整的参入規制と同様の機能を果たすおそれがあることから,このよ
うな登録要件はできる限り緩やかなものとすべきである。
 また,自主流通米価格形成センターにおいて自主流通米の価格形成
のための業務が行われることとなっているが,同センターが実施する
入札による米の価格についても可能な限り市場の実勢を反映したもの
として形成されるべきである。
情報通信分野競争政策研究会における検討
 当委員会は,電気通信分野における競争上の課題について,「情報通信
分野競争政策研究会」(座長 実方謙二 北海道大学教授)を開催し,昭
和61年以降,同研究会が検討し,取りまとめた報告書を逐次公表してい
る。同研究会では,平成元年にも,電気通信分野における競争政策上の課
題についての報告書を取りまとめているが,その後の政府措置の推進状
況,電気通信分野を取り巻く状況の変化も踏まえ,再度,検討を行い,同
研究会が検討結果を報告書として取りまとめた「電気通信分野における競
争政策上の課題について」を平成7年11月に公表した。その概要は,以下
のとおりである。
(1) 電気通信分野の現状
 電気通信分野においては,昭和60年の制度改革以降,多くの新規参入
がみられるものの,日本電信電話株式会社(以下「NTT」という。)
の占める地位は大きく,特に地域通信分野においては,いまだ競争が十
分に機能しているとはいえない状況にある。
(2) 競争促進のための基本的考え方
 電気通信分野においては,今後とも一層の効率化を図ることが重要で
あるが,特に地域通信分野における競争促進策を中心として各種の措置
を採ることにより,電気通信分野全体の競争をより一層活性化させる必
要がある。今後採り得る競争促進のための方策としては,政府規制の見
直し,競争条件の整備,NTTの経営形態の検討,独占禁止法の厳正な
運用等が挙げられ,これらの措置に関する総合的な検討が必要である。
(3) 政府規制の在り方
参入・退出規制
 第一種電気通信事業等において,参人に当たっての許可要件とされ
ている需給調整要件は撤廃すべきである。また,事業者の業務範囲が
長距離通信(県間通信)と地域通信(県内通信),国際通信と国内通
信などに区分されてきたが,その合理性は失われており,事業者の判
断で自由に電気通信役務を提供する範囲を決定できるようにすべきで
ある。なお,事業者間で相互の業務範囲・業務区域等について制限す
ることは,独占禁止法に違反する行為であるので,この点について監
視を行っていく必要がある。
料金・サービス規制
 NTTによる事実上の独占状態が続いている地域通信網に係る基本
サービス(電話)以外の料金・サービスに関する規制の必要性は失わ
れており,また,NTTに対する料金規制を行う場合においても,現
行の総括原価主義に基づく認可制度ではなく,より柔軟性を備えた規
制方法を採用すべきである。なお,今後,料金規制が緩和・撤廃され
ていくにつれて,独占禁止法に違反する行為が行われることのないよ
う監視を行っていく必要がある。仮にNTTが略奪的価格設定を行う
場合には,独占禁止法によって厳正に対処すべきである。
事業分野規制(第一種電気通信事業者と第二種電気通信事業者の区
分)
 第一種電気通信事業と第二種電気通信事業との間で料金・サービス
に関する規制に格差を設ける合理性は認められず,第一種電気通信事
業に対する規制レベルを第二種電気通信事業に対する規制と同等のも
のとすべきである。
 また,特別第二種電気通信事業と一般第二種電気通信事業の区別は
速やかに撤廃すべきである。
日本電信電話株式会社法,国際電信電話株式会社法による規制
 ユニバーサルサービスの維持については,別途補助措置を講ずるこ
とにより対処可能であり,NTTにのみこのような規制を課す合理性
はない。また,NTTに対する過剰な規制は原則として撤廃すべきで
ある。国際電信電話株式会社法については廃止を含め抜本的に見直す
べきである。
(4) NTTとその他の事業者の競争条件の整備
 NTT地域通信網をオープン化し,すべての事業者に対して,NTT
地域通信網に対する接続等について,社内外で平等な扱いにすべきであ
る。このため,NTT網との接続の方法等に関して,公的な中立機関が
具体的な接続ルールを設定し,その遵守を監視していく必要があるとと
もに,接続協議が整わない場合には裁定を行う必要がある。
 また,事業者の新規参入や新たなサービスの提供を阻止する等の目的
からNTTが接続を拒否しているなどの行為が行われた場合には,不公
正な取引方法あるいは私的独占に該当し,独占禁止法違反を構成するこ
ととなるため,このような行為が行われることのないよう監視していく
必要がある。
(5) NTTの経営形態の在り方に関する検討
 競争が十分に機能していないという現状では,上記(3)及び(4)で提言し
た措置は,電気通信分野における競争を促進するために必要不可欠な措
置である。
 他方,NTTを分離・分割する方策も競争促進のために有効な手段と
なり得ることから,競争政策の観点からもNTTの経営の在り方につい
て検討することは必要であると考えられる。
 なお,NTTの分離・分割を検討する場合には,それに伴って研究開
発等に影響しないか,あるいは分割の費用がその効果に比べて過大とな
らないか等,最終的にユーザーの利益につながるものかどうかを見極め
る必要がある。
 いずれにせよ,NTTの分離・分割を検討する際には,規制緩和及び
競争条件の整備(接続の円滑化等)を行うことが必要不可欠の前提であ
り,これらの措置を採らずに分離・分割のみを先行させるべきではな
い。
 なお,NTTの経営形態の在り方に関する検討とともに,市場におけ
る競争が十分に機能するようにするためには,今後,NTTが独占禁止
法に規定する「独占的状態」にあると判断される場合には,独占禁止法
の規定に基づき厳正に対応する必要がある。
 また,NTTが独占的地位にあることを背景として不公正な取引方法
や私的独占に該当する行為を行う場合には,独占禁止法により厳正に対
処すべきである。
政府規制分野等のウェイト試算
 当委員会は,政府規制制度の見直しに資する観点から,総務庁が5年ご
とに公表している産業連関表を基に,昭和55年以来,過去3回にわたり,
我が国の全産業に占める政府規制分野のウェイトの試算を行い,公表して
きているが,平成7年度においては,「平成2年産業連関表」を基に,法
律により規制の対象となっている産業分野の生産額及び付加価値額を業種
ごとに積み上げ,その割合を計算し,その結果を平成7年6月21日に公表
した。試算結果は下表のとおりである。
 今回の試算による政府規制分野のウェイトが前回の試算の数値より増加
している主な理由としては,産業連関表の対象期間である平成2年当時の
建設・不動産ブームを背景に建設業等の我が国経済に占めるウェイトが大
幅に上昇したことによるものであり,特に規制の内容に変化があったため
ではない。
 なお,今回,従来から行ってきた政府規制分野のウェイト試算のほか
に,規制緩和が行われた分野のウェイト及び独占禁止法適用除外分野の
ウェイトについても試算を行い,併せて公表した。
政府規制及び独占禁止法適用除外に関する合同検討会議の開催
 当委員会は,昭和55年4月以来,行政事務の簡素化・合理化の観点から
許認可等の見直しを行っている総務庁との間で,「政府規制及び独占禁止
法適用除外に関する合同検討会議」及び実務担当者会議を開催し,政府規
制制度の見直しの基本方針,方法等について連絡・調整を行ってきてい
る。
 平成7年度においても,平成8年3月に同会議を開催し,政府規制制度
の見直しの実施状況,規制が緩和された分野における競争政策上の課題等
について連絡及び意見交換を行った。
水道・下水道指定工事店制度に係る調査
 規制緩和推進計画においては,規制緩和後において,規制に代わって競
争制限的な行政指導が行われることのないよう,関係省庁は当委員会が平
成6年6月に策定・公表した「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」
の趣旨を踏まえ,委員会と事前に所要の調整を図ることが決定されてい
る。
 水道・下水道指定工事店制度の運用に当たっては,地方公共団体が工事
店の指定や工事価格に関連して行政指導を行っている場合もみられること
から,当委員会は,平成7年度において,同制度の趣旨及び実態を把握
し,同制度及びその運用の在り方等について調査を行うこととし,全国の
主要な地方公共団体に対し,アンケート調査及びヒアリング調査を実施し
た。
 これらの調査結果を踏まえ,主として「行政指導に関する独占禁止法上
の考え方」に照らして問題となるような行政指導等が行われていないかど
うかを中心に検討を行い,平成8年1月,その内容を「競争政策の観点か
らみた水道・下水道指定工事店制度の運用の在り方について」として公表
した。
 同報告書において問題点を指摘した主な事項は以下のとおりである。
 過去5年間,指定工事店の新規指定が全く行われていない地方公共団
体の割合は,水道・下水道ともに20%以上であった。
 指定工事店の指定に関しては,20%以上の地方公共団体が,指定工事
店の団体又は既存の指定工事店の同意又は保証を得ることを指定要件と
し,あるいは同趣旨の行政指導を行っていた。
 標準単価表の配布に関しては,60%強の地方公共団体が標準単価表を
作成し,それを指定工事店に配布しており,そのうちの90%以上が標準
単価表の作成・配布に併せて工事価格に関する行政指導を行っていた。
 このような行政指導等は,新規参入を阻害したり,指定工事店間の自
由な価格形成を阻害するおそれがあり,独占禁止法との関係において問
題を生じさせるおそれがあることから,当該地方公共団体においては見
直しを検討すべきである。
 なお,水道法の一部改正(平成8年6月13日に可決,成立,同年6月
26日公布)により,給水装置工事事業者の指定要件が明確化され,市町
村等の水道事業者は,指定要件を満たす申請者については指定しなけれ
ばならないこととされた。

第3 独占禁止法適用除外制度の見直し

独占禁止法適用除外制度の概要
 独占禁止法は,市場における公正かつ自由な競争を促進することによ
り,一般消費者の利益を確保するとともに国民経済の民主的で健全な発達
を促進することを目的とし,これを達成するために,私的独占,不当な取
引制限,不公正な取引方法等を禁止しているが,他方,一定の経済政策目
的を達成する観点から,特定の分野における一定の行為に独占禁止法の禁
止規定等の適用を除外するという独占禁止法適用除外制度を設けている。
 独占禁止法適用除外制度の根拠規定は,①独占禁止法自体に定められて
いるもの,②適用除外法に定められているもの,③独占禁止法及び適用除
外法以外の個別の法律に定められているものに分けることができる。
(1) 独占禁止法に基づく適用除外制度
 独占禁止法は,①自然独占に固有な行為(第21条),②事業法令に基
づく正当な行為(第22条),③無体財産権の行使行為(第23条),④一定
の組合の行為(第24条),⑤著作物等の特定商品についての再販売価格
維持行為(第24条の2),⑥不況に対処するためのカルテル(第24条の
3),⑦企業合理化のためのカルテル(第24条の4)をそれぞれ同法の
禁止規定の適用除外としている。
(2) 適用除外法に基づく適用除外制度
 適用除外法は,①陸上交通事業調整法等の法律又はその条項等を掲
げ,これらの法令の規定又は法令の規定に基づく命令によって行う正当
な行為を独占禁止法の適用除外とし(第1条),また,②水産業協同組
合法等の特定の法律に基づいて設立された協同組合その他の団体及び一
定の要件を満たす団体を独占禁止法第8条の規定の適用除外としている
(第2条)。
(3) 個別法に基づく適用除外制度
 独占禁止法及び適用除外法以外の個別の法律において,特定の事業者
又は事業者団体の行為について独占禁止法の適用除外を定めているもの
として,平成7年度末現在,中小企業団体の組織に関する法律,輸出入
取引法等28の法律がある。
適用除外制度見直しの必要性
 現行の適用除外制度の多くは,昭和20年代から30年代に,産業の育成・
強化,国際競争力強化のための企業経営の安定,合理化等を達成するた
め,各産業分野において創設されてきた経緯がある。
 しかし,今日の我が国経済は当時とは大きく変化し,世界経済における
地位の向上,企業の経営体質の強化,消費者生活の多様化等が進んできて
おり,政府規制と同様に適用除外制度の必要性も変化してきていると考え
られる。
 適用除外制度は,それが利用される場合には,当該産業における既存の
事業者の保護的性格を有しており,その結果,経営努力が十分行われず,
消費者の利益を損なうおそれがある。また,現に利用されていない制度に
ついても,時代の要請に合致しない適用除外制度が将来においてもそのま
ま利用されるおそれがあるほか,制度の存在それ自体を背景にして協調的
行動が取られやすく,競争を回避しようとする傾向が生じるおそれがあ
り,このことにより,個々の事業者の効率化への努力が十分に行われず,
事業活動における創意工夫の発揮が阻害されるおそれがある等の問題があ
る。
適用除外制度見直しの経緯及び結果
 適用除外制度については,第3次臨時行政改革推進審議会の「国際化対
応,国民生活重視の行政改革に関する第3次答申」(平成4年6月)にお
いて,「個別の法律に基づく独占禁止法適用除外制度について,必要最小
限にとどめるとの観点から見直しを行い,平成7年度末までに結論を得る
こととし,その際に所管省庁は公正取引委員会と十分協議すること」が提
言された。
 また,平成5年9月の「緊急経済対策」(経済対策閣僚会議)では,適
用除外制度の見直しを実行に移すため,規制緩和等の推進のための施策の
1項目として「独占禁止法の適用を除外している個別の法律に基づく適用
除外カルテル等制度の見直しについて,平成7年度末までに結論を出すこ
ととし,関係省庁による連絡会議を開催する等見直し推進体制の整備を図
ること」が決定された。
 これを受けて,内閣官房内政審議室の主催による「独占禁止法適用除外
制度見直しに係る関係省庁等連絡会議」が開催されている(第1回 平成
5年11月,第2回 平成6年3月,第3回 平成7年1月,第4回 平成
7年9月,第5回 平成8年1月)。
 最近では,政府は,「今後における規制緩和の推進等について」(平成6
年7月)において,「個別法による独占禁止法の適用除外カルテル等制度
については,5年以内に原則廃止する観点から見直しを行い,平成7年度
末までに具体的結論を得る」ことを決定し,さらに,規制緩和推進計画で
は,「個別法による独占禁止法の適用除外カルテル等制度については,平
成10年度末までに原則廃止する観点から見直しを行い,平成7年度末まで
に具体的結論を得る。また,その他の適用除外カルテル等制度について
も,引き続き,必要な検討を行う」ことを決定した。
 今回,規制緩和推進計画に基づき個別法による適用除外カルテル等制度
(28法律47制度)について見直しが行われた結果,改定された規制緩和推
進計画において,平成10年度末までに33制度について廃止・法整備を行
い,4制度について範囲の限定を図り,残りの10制度については引き続き
検討等を行うこととされ(第1表),これらの適用除外制度のうち,立法
措置を必要とするものについては,一括整理法案の提出等の措置を行うこ
ととされた。また,その他の適用除外制度についても,「引き続き,必要
な検討を行い,速やかに結論を得る。」こととされた。
 なお,この見直しの結果,平成8年3月末に行われていた41件(公正取
引委員会が関与規定により把握しているもの)のカルテルは,平成10年度
末までに1件を除き終了予定である。
 当委員会としては,閣議決定等の趣旨を踏まえ,今後とも,それぞれの
所管省庁に対し適用除外制度見直しを働きかけていくなど,積極的に適用
除外制度見直しの推進を図っていくこととしている。
 なお,再販適用除外制度の見直しについては第13章第2を参照のこと。