第7 独立系企業グループの実態調査

1 調査の趣旨

 これまで継続的に実施してきた六大企業集団の実態調査とは別に,ピラ
ミッド型の企業グループの実態を把握することを目的として,本調査を実
施し,その結果を取りまとめ,平成7年12月に公表した。調査対象の企業
グループは,平成7年6月に公表した一般集中度調査における総資産上位
100社(子会社[親会社の直接の株式所有比率50%超]を含む。)のうち,
政府規制が存在する旧3公社の民営化企業及び電力・ガス会社並びにリー
ス会社を除く74社である。
 また,これらの親会社を中核とした企業グループの範囲は,ピラミッド
型の底辺までを把握するという本調査の目的から,間接での株式所有も対
象とするため,「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則」第
8条の定義に基づく子会社及び関連会社(以下「関係会社」という。)と
した。
 なお,回答が得られた親会社の関係会社,子会社及び関連会社の数の最
大,最小,平均は第1表のとおりである。

 以下の分析は,前記の74社に対し,調査票を送付し,回答があった62社
(回収率83.8%)の回答に基づくものである。
 なお,調査項目によっては回答が得られなかった会社があるため,集計
の対象が62社ではないことがある。

2 調査結果の概要

(1) 企業グループの規模
 各企業グループ全体の資本金,純資産及び総資産の合計額の平均値を
みると,資本金で2111億円,純資産で7595億円,総資産で3兆3913億円
となっている(第1図参照)。また,親会社単独の資本金,純資産及び
総資産に対する企業グループ全体の資本金,純資産及び総資産の各合計
額の倍率をみると,倍率が3.0倍以上になるグループ数は,資本金で6
グループ(11.3%),純資産では2グループ(3.9%),総資産で3グ
ループ(5.8%)となっており(第2図参照),その平均値をみると,資
本金で4.6倍,純資産で1.7倍,総資産で1.9倍となっている。
(2) 企業グループの売上高等
 各企業グループ全体の売上高,経常利益及び当期利益の合計額の平均
値をみると,売上高で3兆9588億円,経常利益で646億円,当期利益で
153億円となっている(第3図参照)。また,親会社単独の売上高に対す
る企業グループ全体の売上高の合計額の倍率をみると,倍率が4.0倍以




上になるグループ数は4グループ(7.7%)となっており(第4図参
照),その平均値をみると2.4倍となっている。
 また,グループの売上高については,卸・小売業のうち,商社が特に
高い結果となっているが,これは親会社そのものの売上高が大きいこと
によるものと考えられる。
(3) 企業グループ内における取引状況
 親会社のそれぞれの関係会社に対する売上高の依存率を,関係会社,
子会社,関連会社及び親会社が関係会社の株式を直接所有している会社
(以下「直接株式所有会社」という。)の4区分でみると,平均値は,
関係会社で15.9%,子会社で12.5%,関連会社で4.3%及び直接株式所
有会社で15.8%となっている(第5図参照)。
 また,関係会社のそれぞれの親会社に対する売上高の依存率を,関係
会社,子会社,関連会社及び直接株式所有会社の4区分でみると,平均
値は関係会社で22.0%,子会社で21.6%,関連会社で16.0%及び直接株
式所有会社で24.7%となっており,親会社のそれぞれの関係会社に対す
る売上高の依存率と比較すると,高い水準を示している(第6図参照)。
(4) 親会社における関係会社に対する株式所有比率及び役員派遣
 親会社のそれぞれの関係会社に対する株式所有比率を,関係会社,子
会社,関連会社及び直接株式所有会社の4区分でみると,平均値は,関
係会社で74.2%,子会社で91.1%,関連会社で34.8%及び直接株式所有
会社で73.3%となっており,子会社の区分が最も高くなっている(第7
図参照)。
 また,親会社がそれぞれの関係会社に対して役員派遣を行っている状
況を,関係会社,子会社,関連会社及び直接株式所有会社の4区分でみ
ると,平均値は,関係会社で79.5%,子会社で81.4%,関連会社で
75.9%及び直接株式所有会社で88.1%となっており,直接株式所有会社
の区分が最も高くなっている。このことから株式所有比率が高い会社ほ
ど役員派遣の比率が高い状況がうかがえる(第8図参照)。






(5) 親会社の営業種目の状況
 日本標準産業分類の大分類(製造業については中分類)の業種を基準
に,親会社の営業種目数をみると,1業種が全体の58%,2業種が
25%,3業種が17%を占めており,これらに属する企業グループ全体の
総資本経常利益率及び売上高経常利益率の平均を比較すると,親会社の
業種が複数である場合の方が,総資本経常利益率及び売上高経常利益率
ともに高くなっている。また,3業種の企業グループは2業種の企業グ
ループよりも低い値を示している(第9図参照)。
(6) 親会社の取引先選択の際の考慮事項等
 親会社の取引先選択の際の考慮事項等をみると,取引する場合に最も
考慮されているのは,「商品の価格,品質等」で91.9%,次に「相手会
社の財務状態」が85.5%,「これまでの取引実績の有無」が69.4%の順
となっている(第10図参照)。
 株式所有や役員兼任関係のある取引先を優先するかについては,「ど
ちらともいえない」の回答が62.9%,次に「優先する」が22.6%,「優
先しない」が8.1%の順となっている(第11図参照)。
 株式の持合いについては,「意味のある持合いと惰性的な持合いとの
選別が進んでいるが,持合いがなくなるわけではない」の回答が


































67.7%,次に「持合いは当分なくならない」が11.3%,「合理的なビジ
ネスを行うためには持合い解消は当然である」が6.5%の順になってお
り,前二者を合算した約80%の企業が持合いは当分続くとみているとい
える(第12図参照)。