第2 勧告等の法的措置

 平成8年度は勧告19件及び勧告を行っていない課徴金納付命令2件を行っ
た。勧告19件のうち,2件については審判手続を開始し(関係人の1社につ
いて手続を開始した1件を除く。),その他については勧告審決を行った。ま
た,勧告を行っていない課徴金納付命令は審判手続を経ずに(関係人の1社
について手続を開始した1件を除く。)課徴金納付命令が確定した。平成8
年度に法的措置を採った21件のうち,審判手続継続中である2件を除く19件
について違反法条をみると,独占禁止法第3条前段(私的独占)違反1件,
第3条後段(不当な取引制限)違反8件,第8条第1項第1号(事業者団体
による競争の実質的制限)違反6件,第8条第1項第4号(事業者団体によ
る構成員の機能活動の制限)違反2件及び第19条(不公正な取引方法)違反
2件となっている。
 法的措置を採った上記21件の概要は,以下のとおりである。

独占禁止法第3条前段違反事件
財団法人日本医療食協会及び日清医療食品株式会社に対する件(平成8
年(勧)第14号)
関係人
違反事実等
(ア)  財団法人日本医療食協会(以下「協会」という。)は,昭和47年
12月ころから医療用食品の製造工場認定制度及び販売業者認定制度
を実施してきており,協会は認定を行った製造業者又は販売業者の
みに医療用食品の製造又は販売を行わせてきた。
(イ)  協会は,昭和52年5月27日に開催した理事会において,医療用食
品の価格維持を図り,検定料収入を安定的に確保するため,今後,
原則として医療機関向け医療用食品の一次販売業者を日清医療食品
株式会社(以下「日清医療」という。)とすることを決定した。
(ウ)  協会は,①既に登録している医療用食品と類似する食品を登録し
ないこと,②医療用食品の登録品目数の目安を280品目程度に設定
し,それ以上は登録しないこと,③登録申請を受け付けるに当た
り,医療用食品を製造しようとする事業者に対し,事前に一次販売
業者と協議させること,④登録の審査に一次販売業者を参加させる
こと等を登録方針(以下「登録方針」という。)とし,これに基づ
き医療用食品の登録制度を実施してきた。
(エ)
 昭和61年に入り,医療用食品業界における日清医療の独占的供
給体制への社会的批判が高まってきたことから,協会及び日清医
療は,日清医療の独占的供給体制を実質的に維持し,協会の検定
料収入を安定的に確保するため,昭和61年10月30日,次の事項を
主たる内容とする協会,日清医療及び株式会社メディカルナック
ス(以下「ナックス」という。)間の協定書(以下「61年協定」
という。)を作成し,ナックスに締結させた。
(a)  ナックスが新たに参入する地域は,医療用食品の普及率の低
い地域を中心とする21都道県のみとする旨
(b)  医療用食品の販売系列は,日清医療及びナックスの2系列と
し,日清医療及びナックスは共同して両社の系列に属さない販
売業者の参入の防止に努める旨
(c)  日清医療及びナックスは,新規の二次販売業者を日清医療又
はナックスのいずれかの系列に属させ,自己の系列以外の二次
販売業者には販売しない旨
(d)  日清医療及びナックスは,他の販売業者から既に医療用食品
を購入している医療機関に対しては,一切の営業活動を行わ
ず,二次販売業者に対しても,これを遵守させる旨
(e)  日清医療及びナックスは,今後においても,日清医療系製造
業者に対しては専ら日清医療に,ナックス系製造業者に対して
は専らナックスに販売させる旨
(f)  日清医療及びナックスは,医療機関に対しては,日清医療又
はナックスが定めた医療機関向け販売価格(以下「定価」とい
う。)で販売し,二次販売業者に対しても,定価で販売するこ
とを遵守させる旨
(g)  日清医療及びナックスの二次販売業者向け販売価格は同一と
する旨
(h)  前記(f)に違反した場合は,日清医療及びナックスは協会に調
停を求める旨
 協会及び日清医療は、61年協定の実効性を確保するため,平成
元年4月19日,ナックスに,同協定を遵守すること等を内容とす
る覚書(以下「平成元年覚書」という。)を締結させた。
(オ)
 協会及び日清医療は,61年協定に従い,医療用食品の販売業者
認定制度に基づき,日清医療及びナックス以外の一次販売業者及
び日清医療又はナックスの推薦を得られない二次販売業者の認定
を行わず,医療用食品を販売しようとする事業者の事業活動を制
限し,また,認定を受けた販売地域以外の地域におけるナックス
及び二次販売業者の事業活動を制限していた。
 協会及び日清医療は,61年協定及び登録方針に従い,医療用食
品の登録制度及び製造工場認定制度に基づき,医療用食品を製造
しようとする事業者の登録を制限する等その事業活動を制限して
いた。
 協会及び日清医療は,61年協定に従い,医療用食品の製造工場
認定制度及び販売業者認定制度に基づき,医療用食品の製造業者
の販売先並びにナックス及び医療用食品の販売業者の仕入先,販
売先,販売価格,販売地域及び販売活動を制限し,かつ,ナック
スをして,医療用食品の製造業者の販売先並びに医療用食品の販
売業者の仕入先,販売先,販売価格,販売地域及び販売活動を制
限させていた。
(カ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,協会及び日清医療は次のとおり自発的に排除措置を
採った。
 協会及び日清医療は,ナックスとともに,平成8年3月5日,
61年協定,平成元年覚書等を破棄することを決定した。
 協会は,平成8年3月19日に開催した理事会において,前記a
の破棄決定を確認し,さらに,医療用食品の製造工場認定制度及
び販売業者認定制度を廃止すること並びに登録方針を破棄するこ
とを決議した。
 日清医療は,平成8年3月13日に開催した取締役会において,
前記aの破棄決定を確認するとともに,61年協定に従い医療用食
品の製造業者に対して行っていた販売先の制限並びに販売業者に
対して行っていた仕入先,販売先,販売価格,販売地域及び販売
活動の制限を取りやめることを決議した。
排除措置
協会及び日清医療に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  協会は,次の事項を医療用食品の製造業者及び販売業者並びに医
療用食品の需要者に周知徹底させること。
 医療用食品の登録を行うに当たり,実施していた登録方針を取
りやめた旨
 医療用食品の製造工場認定制度及び販売業者認定制度を廃止し
た旨
(イ)  協会及び日清医療は,次の事項を医療用食品の製造業者及び販売
業者並びに医療用食品の需要者に周知徹底させること。
 61年協定及び平成元年覚書を破棄した旨
 61年協定に従い,医療用食品の製造業者の販売先を制限してい
たこと並びに同販売業者の仕入先,販売先,販売価格,販売地域
及び販売活動を制限していたことを取りやめた旨
 今後,医療用食品を製造又は販売しようとする事業者の事業活
動を排除せず,医療用食品の製造業者の販売先並びに同販売業者
の仕入先,販売先,販売価格,販売地域及び販売活動を制限しな
い旨
独占禁止法第3条後段違反事件
(1) 株式会社ウツギほか34名に対する件(平成8年(勧)第15号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人35社は,遅くとも平成5年10月3日以降(有限会社チヒロ
建興にあっては平成6年6月14日以降),茨城県猿島郡総和町(以
下「総和町」という。)が指名競争入札の方法により発注する土木
一式工事,建築一式工事及び舗装工事について,受注機会の均等化
及び受注価格の低落防止を図るため,総和町から指名競争入札の参
加の指名を受けた場合は,
 当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」とい
う。)が1名のときは,その者を当該工事を受注すべき者(以下
「受注予定者」という。)とする
 受注希望者が複数のときは,既受注工事物件との継続性又は関
連性,工事場所等を勘案し,受注希望者の間の話合いにより受注
予定者を決定する
 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるように
協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよ
うにしていた。
(イ)  関係人35社は,前記(ア)により,平成5年10月3日以降,総和町発
注の本件違反行為の対象工事の大部分を受注していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,35社のうち11社は,平成7年10月26日,総和町内で開
催した会合において,前記(ア)の合意に基づき受注予定者を決定し,
受注予定者が受注できるようにする行為を行わない旨の申合せを行
い,35社のうち同会合に出席した11社を除く8社は同申合せを了解
したこと等により,35社は,事実上,前記のの合意に基づき受注予
定者を決定する等の行為を継続することができなくなったため,同
日以降,同合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注で
きるようにする行為を取りやめている。
排除措置
関係人35社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  遅くとも平成5年10月3日以降(有限会社チヒロ建興にあっては
平成6年6月14日以降)行っていた,総和町発注の本件違反行為の
対象工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を総和町に通知すること。
 遅くとも平成5年10月3日以降行っていた,総和町が指名競争
入札の方法により発注する本件違反行為の対象工事について,受
注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行為
を取りやめている旨
 今後,共同して,総和町が指名競争入札の方法により発注する
本件違反行為の対象工事について,受注予定者を決定せず,各社
がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,総和町が競
争入札の方法により発注する土木一式工事,建築一式工事及び舗装
工事について,受注予定者を決定しないこと。
(2) 日鐵建材工業株式会社ほか5名に対する件(平成8年(勧)第16号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人6社は,かねてから,ガードレール及びガードケーブル
(以下「ガードレール等」という。)の原材料費,輸送費,労務費
等の上昇に対処するため,本部会(各社の営業担当課長級の者によ
る会合。以下同じ。)及び本部部長会(各社の営業担当部長級又は
東京支店の支店長級の者による会合。以下同じ。)で商社及び販売
店(以下「販売業者」という。)向けの販売価格を引き上げるため
の環境づくりとしてその市況対策を講じてきたところ,平成3年5
月13日ころ開催された本部部長会及び同年6月11日ころ開催された
本部部長会において,ガードレール等のうち日本道路公団向けのも
のを除いたもの(以下「一般向けガードレール等」という。)の販
売業者向けの販売価格の引上げについて協議した結果
 一般向けガードレール等の建設業者等の需要者に対する販売の
基準となる価格(以下「建値」という。)を平均8パーセントを
目途に引き上げる
 加工料等のエキストラ料金を見直し,実態に見合ったものに改
定する
 価格改定の実施時期は,平成3年10月1日出荷分からとする
 価格改定後の値引き率は,現行の値引き率を維持することとす
こと等を内容とする価格改定方針を決定した。
(イ)  その後,6社は,平成3年6月中句から同年7月中句までの間に
開催された本部会メンバー及び6社の営業係長級の者をメンバーと
する積算委員会と称する会合において,前記(ア)の本部部長会で決定
した価格改定方針に基づく一般向けガードレール等の建値の引上げ
及びエキストラ料金の見直しについて検討した結果,一般向けガー
ドレール等の各社共通の種別ごとの建値を定めた価格表を作成し
た。
 また,6社は,平成3年7月8日ころ及び同月16日ころ開催され
た本部部長会において,本部会メンバーから積算委員会で検討して
きた一般向けガードレール等の建値の引上げ幅等について報告を受
け,これを了承した。
(ウ)  6社は,前記(ア)の本部部長会の価格改定方針に基づき価格改定作
業を行ってきたところ,年度途中での価格改定に対する販売店の抵
抗が懸念されたことから,平成3年8月23日ころ開催された本部会
において,一般向けガードレール等の価格改定の時期及び実施方法
について検討した結果,価格改定を平成3年11月1日出荷分から実
施することに変更するとともに,新建値への移行に伴う販売業者向
けの販売価格の引上げについては,一般向けガードレール等の種別
ごとの目標値引き率を下表のとおりとすることにより,2段階で実
施することを決定した。
(エ)  6社は,平成3年9月中旬から下旬にかけて,各支部ごとに開
催された6社合同の価格改定についての説明会において,6社の支
店等の担当者に対して,価格改定の趣旨,値上げ幅、目標とする値
引き率,実施の時期,今後の各支部が採るべき対応策等を周知し
た。
(オ)  6社は,前記(ア)~(エ)の決定に基づき,6社で作成した前記(イ)の価
格表を基に,それぞれ,建値を記載した自らの価格表を作成し,こ
れを取引先販売業者に配布するなどして価格改定を通知するととも
に,必要に応じて本部会及び本部部長会において各地区の市況等に
ついて情報交換するなどして,一般向けガードレール等の販売業者
向けの販売価格を,おおむね引き上げている。
 排除措置
関係人6社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成3年5月13日ころ,同年6月11日ころ,同年7月8日ころ及
び同月16日ころ並びに同年8月23日ころ行った,一般向けガード
レール等の建値の引上げ及び販売店に対する建値からの値引き率に
関する決定を破棄すること。
(イ)  共同して作成した一般向けガードレール等に関する6社共通の建
値を記載した価格表及びこれに基づき作成した自らの価格表を廃棄
すること。
(ウ)  次の事項を一般向けガードレール等の取引先販売業者及び需要者
に周知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,一般向けガードレール等の販売業者向け販売
価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(エ)  今後,共同して,一般向けガードレール等の販売業者向け販売価
格を決定しないこと。
(3) 丸善株式会社ほか6名に対する件(平成8年(勧)第18号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人7社及び外国新刊図書の輸入販売業を営むユサコ株式会社
(以下「ユサコ」という。)は,自己が輸入総代理店契約によらな
いで外貨建で輸入する外国新刊図書(以下「外貨建図書」とい
う。)について,外国出版社が設定している外貨建小売価格に,一
定期間の直物対顧客電信売外国為替相場の平均に必要経費等の額
(以下「マークアップ額」という。)を加えて算出した外貨ごとの
標準換算率を乗じて円価に換算した額を標準小売価格とし,国立大
学等の大口需要者に対しては,当該標準換算率から値引きした換算
率(以下納入換算率」という。)を用いて円価に換算した額を納
入価格としているが,7社のうち株式会社極東書店を除く6社及び
ユサコと,筑波大学,千葉大学,東京大学,東京工業大学及び横浜
国立大学との平成2年3月までのこれら大学が特命随意契約の方法
により発注する外貨建図書(以下「特定外貨建図書」という。)の
価格交渉の結果,ドル,スターリング・ポンド,スイス・フラン,
ドイツ・マルク,フランス・フラン及びオランダ・ギルダーの6通
貨(以下「主要6通貨」という。)の納入換算率におけるマーク
アップ額が平成元年度には過去最低の水準となっていたところ,こ
れら大学から平成2年度の特定外貨建図書の価格交渉から一橋大学
が加わった外国出版物購入価格に関する国立六大学協議会(以下
「六大協」という。)との交渉となる旨の申出を受け,利益の確保
が困難となるおそれがあることから,平成2年3月29日ころ,各社
の営業担当の部長級の者による会合を開催し,平成2年度からの六
大協との特定外貨建図書の価格交渉について情報交換を行い,その
対応策を検討した結果,交渉で維持すべき主要6通貨の納入換算率
における最低のマークアップ額を
 ドル         1ドル当たり   30円
 スターリング・ポンド 1ポンド当たり  62円
 スイス・フラン    1フラン当たり  23円
 ドイツ・マルク    1マルク当たり  17円
 フランス・フラン   1フラン当たり   5円
 オランダ・ギルダー  1ギルダー当たり 17円
とすることを決定した。
(イ)  7社は,前記(ア)の決定に基づき,筑波大学,千葉大学,東京大
学,東京工業大学,一橋大学及び横浜国立大学の6大学(以下「6
大学」という。)向け特定外貨建図書の主要6通貨の納入換算率に
おけるマークアップ額を,おおむね,維持している。
(ウ)  ユサコは,前記(ア)の決定に基づき,6大学向け特定外貨建図書の
主要6通貨の納入換算率におけるマークアップ額を,おおむね,維
持してきたところ,平成5年度の六大協との特定外貨建図書の価格
交渉から離脱し,平成5年4月1日以降,本件の決定に基づく行為
を取りやめている。
 排除措置
関係人7社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成2年3月29日ころに行った6大学向け特定外貨建図書につい
ての主要6通貨ごとの納入換算率における最低のマークアップ額に
関する決定を破棄すること。
(イ)  次の事項を6大学に周知徹底させること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,6大学向け特定外貨建図書について,納入換
算率におけるマークアップ額を決定せず,各社がそれぞれ自主的
に決める旨
(4) 千代田メディカル株式会社ほか3名に対する件,株式会社信越ワキタ
ほか3名に対する件(平成8年(勧)第20号,平成8年(勧)第21号)
関係人
 福岡県地区
 長野県地区
違反事実等
(ア) 福岡県地区について
 福岡県地区関係人4社は,遅くとも平成5年3月以降,九州大
学,国立病院九州がんセンター,国立病院九州医療センター(平
成6年6月30日までは,国立福岡中央病院。以下同じ。)及び国
立療養所福岡東病院(以下「4医療施設」という。)が,国の物
品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(以下「特例政
令」という。)の規定が適用される一般競争入札(以下「国際入
札」という。)又は特例政令が適用されない一般競争入札(以下
これらを「国際入札等」と総称する。)の方法により発注する医
療用エックス線フィルム(以下「フィルム」という。また,4医
療施設が国際入札等の方法により発注するフィルムを以下「4医
療施設発注の特定フィルム」という。)について,受注価格の低
落防止を図るため
(a)  次の方法により,入札物件ごとに,受注予定者を決定する
 当該国際入札等における単一銘柄物件については,当該銘
柄を取り扱う入札参加業者を受注予定者とする
 当該国際入札等における複数銘柄物件については,当該銘
柄を取り扱う複数の入札参加業者間の話合いにより受注予定
者を決定する
(b)  受注予定者の受注予定最低価格は,フィルムの種類,規格及
び包装ごとに,当該国際入札等の開札前に開札をされた他の医
療施設の国際入札における落札価格の最低価格に相当する価格
とする
(c)  受注予定者以外の者は,受注予定者が受注予定最低価格以上
の価格で受注できるように,入札に参加しないこと又は受注予
定最低価格より高い価格で入札に参加することにより協力する
旨の合意の下に,受注予定者及び受注予定最低価格を決定し,受
注予定者が同価格以上の価格で受注できるようにしていた。
 福岡県地区関係人4社は,前記aにより,平成5年4月以降,
4医療施設発注の特定フィルムのほとんどすべてを受注してい
た。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,福岡県地区関係人4社は,平成7年度第4四半期
以降の4医療施設発注の特定フィルムについて,前記aの行為を
取りやめている。
(イ) 長野県地区について
 長野県地区関係人4社は,遅くとも平成5年3月以降信州大
学が国際入札の方法により発注するフィルム、(以下「信州大学発
注の特定フィルム」という。)について,受注価格の低落防止を
図るため
(a)  次の方法により,入札物件ごとに,受注予定者を決定する
 当該国際入札における単一銘柄物件(デュポン銘柄が記載
されたものを除く。)については,当該銘柄を取り扱う入札
参加業者を受注予定者とする
 当該国際入札における複数銘柄物件については,原則とし
て,調達物品名の欄の最初に記載された銘柄を取り扱う入
札参加業者を受注予定者とし,当該入札参加業者の営業活
動の状況によっては,調達物品名の欄に記載された銘柄を
取り扱う入札参加業者間の話合いにより受注予定者を決定す
(b)  受注予定者の受注予定最低価格は,フィルムの種類,規格及
び包装ごとに,当該国際入札の開札前に開札をされた他の医療
施設の国際入札における落札価格の最低価格に相当する価格と
する
(c)  受注予定者以外の者は,受注予定者が受注予定最低価格以
上の価格で受注できるように,入札に参加しないこと又は受注
予定最低価格より高い価格で入札に参加することにより協力す
旨の合意の下に,受注予定者及び受注予定最低価格を決定し,受
注予定者が同価格以上の価格で受注できるようにしていた。
 長野県地区関係人4社は,前記aにより,平成5年4月以降,
信州大学発注の特定フィルムのほとんどを受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,長野県地区関係人4社は,平成8年度以降の信州大
学発注の特定フィルムについて,前記aの行為を取りやめている。
排除措置
関係人8社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア) 福岡県地区について
 福岡県地区関係人4社は,4医療施設発注の特定フィルムにつ
いて,遅くとも平成5年3月以降行っていた,受注予定者及び受
注予定最低価格を決定し,受注予定者が同価格以上の価格で受注
できるようにしていた行為を取りやめていることを確認するこ
と。
 福岡県地区関係人4社は,次の事項を4医療施設に通知するこ
と。
(a)  前記aの行為を取りやめている旨
(b)  今後,共同して,4医療施設発注の特定フィルムについて,
受注予定者又は受注予定価格を決定せず,各社がそれぞれ自主
的に受注活動を行う旨
 福岡県地区関係人4社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事
業者と共同して,4医療施設発注の特定フィルムについて,受注
予定者又は受注予定価格を決定しないこと。
(イ) 長野県地区について
 長野県地区関係人4社は,信州大学発注の特定フィルムについ
て,遅くとも平成5年3月以降行っていた,受注予定者及び受注
予定最低価格を決定し,受注予定者が同価格以上の価格で受注で
きるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 長野県地区関係人4社は,次の事項を信州大学に通知するこ
と。
(a)  前記aの行為を取りやめている旨
(b)  今後,共同して,信州大学発注の特定フィルムについて,受
注予定者又は受注予定価格を決定せず,各社がそれぞれ自主的
に受注活動を行う旨
 長野県地区関係人4社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事
業者と共同して,信州大学発注の特定フィルムについて,受注予
定者又は受注予定価格を決定しないこと。
(5) 昭和電工株式会社ほか5名に対する件(平成9年(勧)弟1号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人6社は,かねてから,各社の担当部長級の者で構成する亜
酸化窒素懇話会と称する会合(以下「メーカー会」という。)にお
いて,医療用亜酸化窒素の薬価基準の維持・引上げ等が図られるよ
うにするため,医療機関向け納入価格の引上げの方策について検討
してきたところ,6社のうち,昭和電工株式会社,住友精化株式会
社,日産化学工業株式会社及び株式会社小池メディカルの4社(以
下「4社」という。)は,「使用薬剤の購入価格(薬価基準)」によ
り,平成6年4月1日から適用される同製品の薬価基準が1g当た
り9円から10円10銭に引き上げられることを踏まえて,同年3月10
日ころ開催したメーカー会において,新しい薬価基準に対応する医
療機関向け納入価格の引上げについて検討した結果,国立大学及び
防衛医科大学校(以下「国立大学等」という。)が平成6年度に競
争入札,見積り合わせ等(以下「入札等」という。)の方法により
発注する同製品について,国立大学等に直接納入する者(以下「窓
口店」という。)となることを希望する者の入札価格又は見積書に
より提示する価格(以下「入札等価格」という。)を30キログラム
入り耐圧容器(以下「30kgボンベ」という。)1本当たり262,000
円とすることを決定した。
 上記メーカー会に欠席した者は,上記メーカー会に出席した者か
らその決定内容の報告を受け,これに同意した。
(イ)
 6社は,平成7年度が薬価基準算定のための価格の実態調査が
行われる年に当たり,その結果によっては次回の薬価基準の算定
において薬価基準が引き下げられるおそれのあることを懸念し,
医療用亜酸化窒素の国立大学等向け納入価格の水準を引き上げる
ための方策について検討してきたところ,6社のうち,昭和電工
株式会社,住友精化株式会社,日産化学工業株式会社,テイサン
株式会社及び大同ほくさん株式会社の5社は 平成7年2月 6日
ころ開催したメーカー会において,国立大学等が平成7年度に入
札等の方法により発注する同製品について,窓口店となることを
希望する者の入札等価格を前年度に引き続き30kgボンベ1本当
たり262,000円とすることを決定した。
 上記メーカー会に欠席した者は,上記メーカー会に出席した者
からその決定内容の報告を受け,これに同意した。
 その後,国立大学等が医療用亜酸化窒素の入札に際して設定し
た予定価格が30kgボンベ1本当たり262,000円を下回り,入札が
不調に終わる事態が発生したことから,4社は,平成7年4月 5
日ころ開催したメーカー会において,その後の対応策について検
討した結果,窓口店となることを希望する者の入札等価格を同月
6日以降30kgボンベ1本当たり249,000円とすることを決定し
た。
 上記メーカー会に欠席した者は,上記メーカー会に出席した者
からその決定内容の報告を受け,これに同意した。
(ウ)  6社は,前記(ア)及び(イ)の決定に基づき,国立大学等が入札等の方
法により発注する医療用亜酸化窒素について,入札等価格を決定す
ることにより,同製品の国立大学等向け納入価格を引き上げてい
た。
(エ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,6社は,平成8年度に国立大学等が入札等の方法によ
り発注する医療用亜酸化窒素について,入札等価格を決定する行為
を取りやめている。
排除措置
関係人6社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を販売総代理店及び取引先販売店並びに国立大学等に周
知徹底すること。
 共同して,平成6年度及び平成7年度に国立大学等が入札等の
方法により発注する医療用亜酸化窒素について,30kgボンベ1
本当たりの入札等価格を決定する行為を行っていたところ,平成
8年度の同製品について入札等価格を決定する行為を取りやめて
いる旨
 今後,共同して,国立大学等が入札等の方法により発注する医
療用亜酸化窒素について,30kgボンベ1本当たりの入札等価格
を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(イ)  今後,共同して,国立大学等が入札等の方法により発注する医療
用亜酸化窒素について,入札等価格を決定しないこと。
(6) 伊丹産業株式会社ほか13名に対する件(平成9年(勧)第2号)
関係人
違反事実等
(ア)  関係人14社は,かねてから,京都府LPガス卸協議会(京都府L
PG保安経済協議会が平成7年8月に名称変更したもの。)会員の
家庭用・業務用プロパンガス(以下「プロパンガス」という。)の
営業責任者による会合(以下「例会」という。)及び京都府北部の
区域に事業所を有する会員のプロパンガスの営業責任者による会合
(以下「北部支部会」という。)の場において,プロパンガスの仕
入価格の上昇が見込まれる時期にあっては,各社のプロパンガスの
小売業者向け販売価格(以下「卸売価格」という。)の引上げを含
めた対応策等について意思の疎通を図ってきたところ,14社のう
ち,丹後瓦斯株式会社及び舞鶴小谷産業株式会社の2社を除く12社
は,平成7年9月ころから各社のプロパンガスの仕入価格が上昇
し,同年12月以降においても更に上昇することが見込まれたため,
同年11月16日ころ開催された例会の場において,各社のプロパンガ
スの卸売価格の引上げの意向の有無,引上げ幅及び引上げ時期を相
互に告知することにより意思の疎通を図り,同年12月締め(同年11
月21日又は同年12月1日から1か月)に係る取引又はそれ以降の取
引から,2回又は3回に分け,同年10月以降に既に引き上げている
場合にはその額を含め,プロパンガスの卸売価格を1キログラム当
たり5円ないし6円引き上げることについて共通の意思を形成し,
もって,プロパンガスの卸売価格を共同して引き上げることとし
た。
 14社のうち,丹後瓦斯株式会社は,平成7年11月17日ころ,電話
により,また,舞鶴小谷産業株式会社は,同月24日ころ開催された
北部支部会の場において,それぞれ,江守石油株式会社から上記意
思疎通の状況について報告を受け,プロパンガスの卸売価格をこれ
と同様に引き上げることとした。
(イ)  14社は,前記(ア)に基づき,その後に開催された例会等の場におい
てその実行状況について情報交換を行うなどして,平成8年3月こ
ろまでの間に,おおむね,プロパンガスの卸売価格を引き上げてい
た。
(ウ)  14社は,平成8年3月ころには,翌月以降の各社のプロパンガス
の仕入価格が下降に転じることが見込まれたことから,同年4月締
め(同年3月21日又は4月1日から1か月)に係る取引以降のプロ
パンガスの卸売価格について,その引上げの意向の有無等を相互に
告知することにより共通の意思を形成する行為を取りやめている。
排除措置
関係人14社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を京都府の区域におけるプロパンガスの取引先小売業者
に周知徹底させること。
 プロパンガスの卸売価格の引上げについて,同価格の引上げの
意向の有無,引上げ幅,引上げ時期に関する情報を相互に告知す
ることにより共通の意思を形成する行為を取りやめている旨
 今後,プロパンガスの卸売価格について,同価格の引上げの意.
向の有無,引上げ幅及び引上げ時期に関する情報を相互に告知す
ることにより共通の意思を形成する行為を行わず,各社がそれぞ
れ自主的に決める旨
 今後,プロパンガスの卸売価格の引上げ,引上げ幅又は引上げ
時期について共通の意思を形成する行為を行わないこと。
(注)  岩谷産業株式会社については,勧告を応諾しなかったので,
審判開始決定が行われた。
(7) 株式会社金門製作所ほか24名に対する件(平成9年(勧)第3号)
関係人
違反事実等
(ア)
平成6年度
 関係人25社は,東京都が平成6年度に発注する水道メーターに
ついて,その発注方法をすべて指名競争入札又は指名見積り合わ
せ(以下「指名競争入札等」という。)にするとの情報に接した
ことから,平成5年10月ころから,営業実務責任者による会合を
開くなどして,東京都の発注方法の変更に対処し,各社の受注実
績の確保及び受注価格の低落防止を図るための方策について検討
を重ねてきた結果を踏まえ,平成6年4月12日ころ開催した各社
の営業実務責任者による会合及び同月15日ころ開催した各社の営
業実務責任者による会合において,東京都が平成6年度以降指名
競争入札等の方法により発注する水道メーターのうち指名を受け
る者が株式会社金門製作所及び愛知時計電機株式会社の2社のみ
の物件並びに25社以外の者が指名を受ける物件を除く水道メー
ター(以下「特定水道メーター」という。)について
(a)  各社の平成元年度から平成4年度の間の新品,検定の有効期
間が経過した水道メーターについて外ケースを研磨,塗装して
内部の計測部分を交換する修理委託として発注される水道メー
ター(以下「修理品」という。)別の受注金額により算出した
新品,修理品別(乾式直読型水道メーターの器種(以下「DA
器種」という。)の口径が30ミリメートル以上の水道メーター及
びDA器種以外の器種の水道メーター(以下「中・大口径メー
ター等」という。)にあっては,新品,修理品ごとの器種・口
径別,納入地区別)の各社の受注比率を維持すること
(b)  DA器種の口径13ミリメートル,同20ミリメートル及び同25
ミリメートルの水道メーター(以下「3口径メーター」とい
う。)にあっては,新品,修理品別に設けられたAないしCの
グループごとに1又は2名の幹事を選出し,中・大口径メー
ター等にあっては,2名の幹事を選出し,選出された幹事は,
前記(a)の各社の受注比率に基づき算出した受注予定金額と受注
金額の差額及び平成5年度の報奨割増し分(最低単価を提出し
た者に対する当該発注予定数量の20パーセント相当量の優先発
注分)を勘案して,発注された各物件の受注予定者及び受注予
定価格を決定し,各社に連絡すること並びに受注予定者等の調
整を円滑に行うため,半年に1度程度,グループを越えて調整
を行うこと
(c)  受注予定者は,幹事から連絡された受注予定価格で入札し,
他の指名業者は,幹事から連絡された受注予定価格よりも高い
価格で入札し,受注予定者が受注予定価格で受注できるように
協力すること
(d)  新規参入があった場合には,新規参入者に対し,あらかじめ
定められた算式により算出された受注比率を与えること,この
新規参入者の受注比率の算定等は幹事に一任すること
を決定した。
平成7年度
 25社は,平成7年4月12日ころ開催した各社の営業実務責任者
による会合において,特定水道メーターについて,平成7年度に
おいては,東京都が発注方法を変更せずに平成6年度と同様の方
法により発注することが明らかになったことから,3口径メー
ター及び中・大口径メーター等の各社の受注比率,平成6年度の
各社の受注実績,平成7年度において調整すべき平成5年度の報
奨割増し分の未調整額を含む平成6年度末の受注調整の過不足額
を確認し,平成7年度の受注調整を円滑に行い,各社の受注実績
の確保及び受注価格の低落防止を図るため,平成7年度も平成6
年度と同様の方法により受注調整を行うことを決定した。
平成8年度
 25社は,平成8年4月11日ころ開催した各社の営業実務責任者
による会合において,特定水道メーターについて,平成8年度に
おいては,東京都が3口径メーターの修理品について新品の指名
業者の中から新規に業者を指名するとしていること,3口径メー
ターの指名業者のグループ構成を一部変更するとしていることな
どの情報を得ていたが,その内容が必ずしも明確でなかったこと
から,3口径メーター及び中・大口径メーター等の各社の受注比
率,平成7年度の各社の受注実績,平成8年度において調整すべ
き平成5年度の報奨割増し分の未調整額を含む平成7年度末の受
注調整の過不足額を確認し,平成8年度の受注調整を円滑に行
い,各社の受注実績の確保及び受注価格の低落防止を図るため
(a)  平成8年度も平成6年度及び平成7年度と同様の方法により
受注調整を行うこと
(b)
 東京都の平成8年度の指名業者やそのグループ構成の変更
内容等が明確になった時点で,各社の受注比率を見直すとと
もに,新たな指名業者の受注比率を確定し,これらの受注比
率に基づいて受注予定者を決定すること
 新たな指名業者には 原則として,あらかじめ定めた算式
により算出した受注比率を与えることとするが,当面は,東
京都の発注割合を参酌して受注予定者を決定すること
 各社の受注比率の見直し,新たな指名業者の受注比率の設
定は,幹事に一任すること
 新たな指名業者のグループが新設された場合には,新設さ
れたグループの幹事の選出を既存グループの幹事に一任する
こと
を決定した。
(イ)  25社は,前記のの決定に基づき,平成6年度以降,特定水道メー
ターについて,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にしていたことにより,特定水道メーターのすべてを受注してい
た。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,25社は、同日以降,前記のの決定に基づき受注予定者
を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめてい
る。
排除措置
関係人25社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成6年4月15日ころ,平成7年4月12日ころ及び平成8年4月
11日ころに決定した特定水道メーターの受注予定者の決定に関する
方針等に基づき,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよ
うにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を東京都並びに自社の役員及び従業員に周知徹底させる
こと。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,特定水道メーターについて,受注予定者を決
定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ相互に又は他の事業者と共同して,特定水道
メーターについて,受注予定者を決定しないこと。
独占禁止法第8条第1項第1号違反事件
(1) 大阪電気倶楽部の構成事業者に対する件(平成8年(納)第37号~第
171号)
違反事実等
 大阪電気倶楽部は,遅くとも平成4年5月1日以降,大阪市が指名
競争入札の方法により発注する財政局所管の電気工事(以下「大阪
市発注の特定電気工事」という。)について,会員の受注機会の均
等化及び受注価格の低落防止を図るため
(ア)  指名競争入札参加の指名を受けた会員には、直ちにその旨を大阪
電気倶楽部に通知させる
(イ)  その指名を含め,それまでの受注及び指名の実績に基づいて一定
の方法により会員ごとの累積点数及び累積指名回数を算定し,累積
点数又は累積指名回教の多寡によりあらかじめ定めた優先順位に基
づいて,指名を受けた会員のうち最も優先順位の高い者を当該工事
を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)とする
(ウ)  特別な事情により特に受注を希望する会員がある場合には,前記
(イ)にかかわらず,幹事役の立会いの下,指名を受けた会員間の協議
により受注予定者を決定する
(エ)  受注すべき価格は受注予定者が定め,受注予定者以外の指名を受
けた会員は,受注予定者が受注できるよう協力することとし,これ
に反した会員に対しては当該会員の累積点数及び累積指名回数を減
じることとする
との方法により,会員に受注予定者を決定させ,当該受注予定者が受
注できるようにさせていた。
 大阪電気倶楽部の会員は,平成4年5月1日以降,前記アにより,
大阪市発注の特定電気工事の大部分を受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始し
たところ,大阪電気倶楽部は,平成5年11月4日に開催した臨時総会
の決議により解散した。
(2) 社団法人熊本県指定自動車教習所協会に対する件(平成8年(勧)第19
号)
関係人
違反事実等
(ア)  社団法人熊本県指定自動車教習所協会(以下「協会」という。)
は,かねて,会員が代表者となっている指定自動車教習所(以下
「会員教習所」という。)の普通自動車の学科教習料金,技能教習
料金及び入所料金(以下これらを「教習基本料金」という。)の低
落防止策について検討を重ねてきたところ,平成7年5月26日ころ
開催した設置者会議において,現行教習基本料金を維持し,引き上
げるため
 普通自動車の教習基本料金を次表のとおりとすること
 前記aの実効を確保するため
(a)  教習基本料金の割戻しを行わない
(b)  職域団体等に対する団体割引を行わない
(c)  広告・宣伝に際し,教習基本料金の値引きを連想させるよう
な「特別」,「特典」,「激安」,「学割」等の表示を行わない
等の措置を講ずること
 前記a及びbは,平成7年6月1日から実施すること
を内容とする「普通車教習料金に関する申し合わせ事項」を決定し
た。
(イ)  会員教習所は,前記(ア)の決定に基づき,普通自動車の教習基本料
金を維持し,引き上げていた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,協会は,平成8年4月16日に開催した設置者会議にお
いて,平成7年5月26日ころに行った普通自動車の教習基本料金の
維持,引上げ及びその実効を確保するための措置に関する決定を破
棄した。
排除措置
 協会に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を会員教習所の一般利用者に周知徹底させること。
 平成7年5月26日ころに行った教習基本料金の維持,引上げ及
びその実効を確保するための措置に関する決定を破棄した旨
 今後,会員教習所の教習基本料金を決定せず,各教習所がそれ
ぞれ自主的に決める旨
(イ)  今後会員教習所の教習料金を決定しないこと。
(3) 愛知県石油商業組合緑支部及び同組合南支部に対する件(平成8年
(勧)第22号及び平成8年(勧)第23号)
関係人
愛知県石油商業組合緑支部に対する件(平成8年(勧)第22号)
愛知県石油商業組合南支部に対する件(平成8年(勧)第23号)
違反事実等
愛知県石油商業組合緑支部に対する件(平成8年(勧)第22号)
(ア)
 愛知県石油商業組合緑支部(以下「緑支部」という。)は,平
成7年春ころから,名古屋市緑区の区域における普通揮発油の市
況について情報交換を行ってきたところ,普通揮発油の市況が低
落してきていることに対処するため,同年8月22日ころ開催した
役員会において,支部員の普通揮発油の現金売りの販売価格を引
き上げることとし,同月30日ころ開催した役員会において,具体
的な引上げ額等について支部長(平成8年4月23日までは,恒川
光造)に一任することを決定した。
 支部長は,前記決定に従い,平成7年9月20日ころ,同年10月
2日から,支部員の普通揮発油の現金フリー客向け販売価格を1
リットル当たり105円,現金会員向け販売価格を1リットル当た
り103円を目途にそれぞれ引き上げることを決定し,これを役員
に通知した。
 緑支部は,同年9月29日ころまでの間に,ブロック会を開催す
るなどして,上記決定内容を支部員に周知した。
(イ)  縁支部の支部員は,前記の(ア)bの決定に基づき,おおむね,普通揮
発油の現金売りの販売価格を引き上げていた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,緑支部は,平成8年4月10日に開催した役員会におい
て,前記(ア)bの決定を破棄することを決定し,この旨を支部員に周
知した。
愛知県石油商業組合南支部に対する件(平成8年(勧)第23号)
(ア)
 愛知県石油商業組合南支部(以下「南支部」という。)は,平
成7年春ころから,名古屋市南区の区域における普通揮発油の
市況について情報交換を行ってきたところ,普通揮発油の市況が
低落してきていることに対処するため,同年9月18日ころ開催し
た役員会において,同年10月 2日から,支部員の普通揮発油の現
金フリー客向け販売価格を1リットル当たり105円,現金会員向
け販売価格を1リットル当たり103円を目途にそれぞれ引き上げ
ることを決定した。
 南支部は,同年9月27日ころまでの間に,ブロック会を開催す
るなどして,前記決定内容を支部員に周知した。
(イ)  南支部の支部員は,前記(ア)aの決定に基づき,おおむね,普通揮
発油の現金売りの販売価格を引き上げていた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,南支部は,平成8年4月11日に開催した役員会におい
て,前記(ア)aの決定を破棄することを決定し,この旨を支部員に周
知した。
 排除措置
愛知県石油商業組合緑支部に対する件(平成8年(勧)第22号)
緑支部に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を名古屋市緑区の区域における普通揮発油の需要者に周
知徹底させること。
 平成7年9月20日ころ行った普通揮発油の現金売りの顧客に販
売する価格の引上げに関する決定を破棄した旨
 今後,支部員の普通揮発油の現金売りの顧客に販売する価格を
決定せず,支部員がそれぞれ自主的に決める旨
愛知県石油商業組合南支部に対する件(平成8年(勧)第23号)
南支部に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を名古屋市南区の区域における普通揮発油の需要者に周
知徹底させること。
 平成7年9月18日ころ行った普通揮発油の現金売りの顧客に販
売する価格の引上げに関する決定を破棄した旨
 今後,支部員の普通揮発油の現金売りの顧客に販売する価格を
決定せず,支部員がそれぞれ自主的に決める旨
(4) 日本機械保険連盟に対する件(平成8年(勧)第24号)
関係人
違反事実等
(ア)
 日本機械保険連盟(以下「連盟」という。)は,かねてから,
機械保険及び組立保険(以下「機械保険等」という。)につい
て,会員が引受けに当たり適用する保険料率の維持を図るため,
標準基本料率,割引率,特約料率等を決定し,会員にその内容ど
おりに認可申請させるとともに,内規と称する認可内容に基づい
て詳細な標準基本料率,割引率,特約料率等を定めた諸規定を決
定し,これらを引受けに当たって適用すべき統一基準(以下「タ
リフ」という。)として設定し,会員にこれに従って保険料率を
算定させ,また,タリフで算定できない案件及び高額案件等特定
の案件については,会員に,連盟に保険料率の算定を依頼させ,
連盟が算定した保険料率によって保険の引受けを行わせること
(以下「求率制度」という。)を実施することによって,会員に
タリフの数値等を修正できない一定料率(以下「一定料率」とい
う。)として適用させ,機械保険等の引受けを行わせていた。
(a)  連盟は,昭和56年ころ,大蔵省から保険料率の見直しに関す
る指導があったことを契機として,機械保険等の保険料率の改
定を行うこととし,大蔵省の事前審査の結果を踏まえ,昭和58
年8月ころ開催した機械保険業務委員会及び組立保険業務委員
会において,認可申請内容及びこれを同年10月1日から実施す
ることを決定し,同年9月6日,会員に認可申請させた。
 上記認可申請に対し,同月 7 日,大蔵大臣の認可が得られ
た。
(b)  連盟は,前記(a)の認可に伴い,昭和58年8月から9月にかけ
て開催した機械保険委員会,機械保険業務委員会及び組立保険
業務委員会において,タリフを改定すること及び同年10月1日
から会員に改定した夕リフに従って保険料率を算定させること
を決定した。
 連盟は,会員が引受けに当たり適用する保険料率の維持を図る
ため,昭和58年10月1日以降会員にタリフに従って保険料率を
算定させるとともに求率制度を実施することによって,会員が引
き受ける機械保険等の保険料率を一定料率として適用させ,さら
に次の行為を行ってきた。
(a)  連盟は,必要に応じ,内規を追加する等してタリフを改定
し,その内容を規定集として印刷し,会員からの注文に応じ
て,配布してきた。
(b)  連盟は,夕リフのうち,顧客別の損害率に応じて割引,割増
しを行う特定料率規定について,会員に対し,毎年連盟が集計
した顧客別の損害率の実績資料を送付し,これに基づいて統一
的に割引,割増しを行わせてきた。
(c)  連盟は,複数の会員に引合いがあった競合案件についても求
率制度の対象とするとともに,必要に応じ,求率制度の対象の
見直しを行ってきた。
(d)  連盟は,会員間で顧客争奪に関する紛争が生じた場合には,
調停を行ってきた。
(イ)  会員は,前記(ア)の決定等に基づき,おおむね,夕リフに従って保
険料率を算定すること及び求率制度等によって,一定料率により機
械保険等の引受けを行ってきた。
(ウ)  連盟は,保険業法の改正等の動向に対応するため,その運営の見
直しについて検討してきたところ,平成8年3月4日開催した機械
保険業務委員会及び組立保険業務委員会に両委員会の構成員以外の
会員を加えた「拡大機械・組立保険合同業務委員会」と称する会合
において,夕リフを廃止すること等を決定し,同月 6日開催した機
械保険委員会において,同決定を承認するとともに,求率制度を取
りやめることを決定した。
排除措置
連盟に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を会員の委託先代理店及び取引先保険契約者に周知徹底
させること。
 機械保険等の保険料に関し,会員が申請すべき認可申請の内容
を決定し,引受けの統一基準を設定し,求率制度を実施すること
等によって,会員に一定料率で機械保険等の引受けを行わせてい
た行為を取りやめている旨
 今後,会員が引き受ける機械保険等の保険料の決定に関与せ
ず,会員がそれぞれ自主的に決める旨
(イ)  今後,会員が引き受ける機械保険等の保険料の決定に関与しない
こと。
(5) 東京都エルピーガススタンド「協会の構成事業者らに対する件(平成9
年(勧)第29号~85号)
違反事実等
(ア)  東京都エルピーガススタンド協会(以下「都スタンド協会」とい
う。)は,かねてから,おおむね毎月1回需給調査委員会を開催
し,自動車用液化石油ガス(以下「オートガス」という。)の仕入
価格等の状況,会員の翌月のオートガスの販売価格等について情報
交換を行ってきた。
(イ)  都スタンド協会は,平成6年11月以降のオートガスの元売業者か
らの仕入価格の引上げに対処するため,同年11月17日ころ開催した
需給調査委員会において,会員のオートガスの販売価格の引上げに
ついて検討した結果,同年12月1日から1リットル当たり消費税別
で1円50銭引き上げることを決定した。
(ウ)  都スタンド協会は,平成7年1月以降のオートガスの元売業者か
らの仕入価格の引上げに対処するため,同年1月20日ころ開催した
需給調査委員会において,会員のオートガスの販売価格の引上げに
ついて検討した結果,同年2月1日から1リットル当たり消費税別
で3円50銭引き上げることを決定した。
(エ)  都スタンド協会は,平成7年2月16日ころ開催した需給調査委員
会において,会員のオートガスの販売価格について検討した結果,
同年3月の販売価格の改定は行わないことを決定した。
(オ)  都スタンド協会は,平成7年3月8日ころ開催した需給調査委員
会において,会員のオートガスの販売価格について検討した結果,
同年4月の販売価格の改定は行わないことを決定した。
(カ)  都スタンド協会は,平成7年4月以降オートガスの元売業者から
の仕入価格が引き下げられ,また,同年5月に再度の引下げが予想
されたことから,同年4月12日ころ開催した需給調査委員会におい
て,会員のオートガスの販売価格の引下げについて検討した結果,
同年5月1日から1リットル当たり消費税別で2円引き下げること
を決定した。
(キ)  都スタンド協会は,平成7年6月以降のオートガスの元売業者か
らの仕入価格の引下げが予想されたことから,同年5月12日ころ開
催した需給調査委員会において,会員のオートガスの販売価格の引
下げについて検討した結果,同年6月1日から1リットル当たり消
費税別で1円50銭引き下げることを決定した。
(ク)  都スタンド協会は,平成7年6月14日ころ開催した需給調査委員
会において,会員のオートガスの販売価格について検討した結果,
同年7月の販売価格の改定は行わないことを決定した。
(ケ)  都スタンド協会は,平成7年7月21日ころ開催した需給調査委員
会において,会員のオートガスの販売価格について検討した結果,
同年8月の販売価格の改定は行わないことを決定した。
 都スタンド協会は,前記アの各決定を支部会を通じて会員に周知し
た。
 都スタンド協会会員は、前記アの各決定に基づき,おおむね,オー
トガスの販売価格を引き上げ,維持し,又は引き下げていた。
 平成7年8月1日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定に
基づき審査を開始したところ,都スタンド協会は,会員のオートガス
の平成7年9月以降の販売価格について決定する行為を取りやめてい
る。
(注)  課徴金納付命令対象事業者のうち東京無線タクシー協同組合
から審判開始請求があり,審判開始決定が行われた。
独占禁止法第8条第1項第4号違反事件
(1) 落石防護製品協会に対する件(平成8年(勧)第17号)
 関係人
違反事実等
(ア)  落石防護製品協会(以下「協会」という。)は,かねてから,本
部会において,一般型の落石防止柵のうち従来型と称する製品(以
下「従来型落石防止柵」という。)の原材料価格の値上がり等に対
処するための方策について検討してきたところ,平成2年8月23日
ころ及び平成3年2月8日ころ開催した本部会において,会員の販
売価格を引き上げるために建設業者等の需要者に対する販売の基準
となる価格(以下「建値」という。)の改定を行うこととし,その
ための環境づくりとして,支部会が置かれている地区ごとに,当該
地区における取引の実態を踏まえ,支部会をして,支部会員の建値
からの値引き率の縮小を図ることを主たる内容とする市況対策を実
施させることとした。
 その後,協会は,各地区の市況に改善が見られ,建値改定に関す
る商社及び販売店(以下「販売業者」という。)並びに建設業者等
の需要者の理解が得られやすい環境が整ったとして,平成3年6月
19日ころ開催した本部会において,従来型落石防止柵の建値を部材
平均で約8パーセント引き上げることを内容とする建値改定案を配
布した上,改定の内容については次回の本部会において検討するこ
ととして,新建値の実施時期を平成4年4月1日とすることを決定
した。
(イ)  協会は,平成3年7月23日ころ開催した本部会において,前記の
建値改定案について検討した結果,同案の一部を修正の上従来型
落石防止柵の建値を部材平均で約8パーセント引き上げることを決
定した。
(ウ)  協会は,平成4年2月20日ころ開催した本部会において,新建値
の具体的な適用方法について協議し,支部会が置かれている地区ご
との販売店に対する建値からの値引き率を新建値の実施後も引き続
き維持することを決定した。
(エ)  協会は,平成4年10月8日ころ及び同年11月13日ころ開催した本
部会において,会員が新たに販売する一般型の落石防止柵のうち改
良型と称する製品(以下「改良型落石防止柵」という。)の建値に
ついて検討した結果
 改良型落石防止柵の建値
 改良型落石防止柵の販売開始日を平成5年4月1日からとする
こと
を決定した。
(オ)  協会は,平成5年10月6日ころ開催した本部会において,改良型
落石防止柵の建値からの値引き率について協議し,支部会が置かれ
ている地区ごとの販売店に対する建値からの値引き率を更に5パー
セント縮小することを決定した。
(カ)  協会は、前記(ア)~(オ)の決定事項について,本部会出席者等を通じ
て支部会員に周知した。
排除措置
協会に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成3年7月23日ころ行った従来型落石防止棚の建値の引上げに
関する決定及び平成4年2月20日ころ行った販売店に対する建値か
らの値引き率の維持に関する決定並びに平成4年11月13日ころ行っ
た改良型落石防止柵の建値の決定及び平成5年10月6日ころ行った
販売店に対する建値からの値引き率の縮小に関する決定を破棄する
こと。
(イ)  前記(ア)の決定に係る落石防止柵の建値を記載した価格表を廃棄す
ること。
(ウ)  次の事項を会員の取引先販売業者及び需要者に周知徹底させるこ
と。
 前記(ア)に基づいて採った措置
今後,会員の前記製品の建値及び販売店に対する建値からの値
引き率を決定せず,会員がそれぞれ自主的に決める旨
(エ)  今後,会員の前記製品の建値及び建値からの値引き率を決定しな
いこと。
(2) 社団法人立川市医師会に対する件(平成8年(勧)第26号)
関係人
違反事実等
(ア)  社団法人立川市医師会(以下「立川市医師会」という。)は,か
ねてから,病院又は診療所(以下「医療機関」という。)相互に患
者の争奪を行うこととなることを防止する等のため,東京都立川市
の区域において医療機関の開設を予定して医師会への入会を希望す
る者がある場合には,当該医療機関の開設を予定している地区の班
の意向を尊重して理事会においてその可否を決定するとともに,会
員が医療機関の開設,移転又は増設,診療科目の変更又は追加,病
床の増床等を行う場合には,当該事項について届出を行わせ,その
承認の可否について審議してきた。
(イ)  立川市医師会は,平成7年9月29日ころ開催した理事会におい
て,会員から届出のあった医療機関の移転について審議した結果,
これに先立つ同年7月28日ころ,当該医療機関の移転予定地を区域
とする富士見班が開催した班会において,当該移転により医療機関
相互に患者の争奪を行うこととなるおそれのあることを理由に反対
したこと等から,当該移転について承認しないことを決定し,この
旨を同年10月4日付け文書で当該会員に通知した。
 しかしながら,当該会員は,移転の予定を取りやめていない。
(ウ)  そこで,立川市医師会は、自らが不承認とした医療機関の移転等
を阻止するための手段,方法等について検討してきたところ,平成
8年1月23日ころ開催した臨時総会において,会員が医療機関の移
転を強行する場合には,いったん会員資格を喪失させて新規の入会
の手続を採らせることにより自らの決定の実効性を確保すること等
を目的として,社団法人立川市医師会定款施行細則の一部を改定す
ることとし,その具体的内容として,会員が医療機関の開設,移転
又は増設,診療科目の変更又は追加,病床の増床等をした場合は,
文書により届出を行い,理事会の承認を得なければならないこと,
再入会を希望する者があるときはその開設予定地域を区域とする班
の意向を尊重してその可否を決定すること及び会員が医療機関の移
転等をした場合は,その旨を知事に届け出た日をもって退会したも
のとみなすこととすることを決定し,同年1月23日ころから実施す
ることとした。
(エ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,立川市医師会は,平成8年12月13日に開催した理事会
において,前記(イ)の決定及び前記(ウ)の社団法人立川市医師会定款施
行細則の改定部分を破棄する旨の決定を行った。
排除措置
立川市医師会に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を立川市医師会の会員に周知徹底させること。
 平成8年1月23日ころに改定した社団法人立川市医師会定款施
行細則のうち,次の事項を破棄した旨
(a) 第2条第2項ロの「届出の義務」 に関する事項
(b) 第3条の「入会及び再入会」に関する事項
(c) 第5条第3項の「退会」に関する事項
 平成7年9月29日ころ行った会員の医療機関の移転に関する理
事会の決定を破棄した旨及び同年7月28日ころ行った会員の医療
機関の移転に関する富士見班の決定を破棄させた旨
 今後,会員の医療機関の開設,移転又は増設,診療科目の変更
又は追加及び病床の増床を制限する行為を行わない旨
(イ)  今後,会員の医療機関の開設,移転若しくは増設,診療科目の変
更若しくは追加又は病床の増床を制限する行為を行わないこと。
独占禁止法第19条違反事件
(1) 株式会社松尾楽器商会に対する件(平成8年(勧)第12号)
関係人
違反事実等
(ア)  株式会社松尾楽器商会(以下「松尾楽器」という。)は,かねて
から定価と称する価格(以下「定価」という。)でスタインウェイ・
アンド・サンズ・ハンブルク支店(以下「スタインウェイ・ハンブ
ルク支店」という。)製のフルコンサート型スタインウェイ・ピア
ノ(以下「スタインウェイ・ピアノ」という。)を販売し,定価を
相当程度下回る価格で販売されるスタインウェイ.ピアノの並行輸
入品(以下「並行輸入ピアノ」という。)の販売を阻止することに
努めてきており,そのためにスタインウェイ・ハンブルク支店に対
し並行輸入ピアノの入手経路の調査を依頼してきたところ,平成元
年3月ころ,並行輸入ピアノの増加を懸念し,並行輸入ピアノ対策
について検討した結果,並行輸入ピアノの存在が判明した場合に
は,当該ピアノに付された製造番号を調べ,その製造番号を同支店
に通知し,同支店をして,その入手経路を調査させる旨の方針を決
定した。
(イ)
 松尾楽器は,この方針に基づき,平成元年10月,広島県呉市所
在の公共ホールに自己の定価を下回る価格で納入された並行輸入
ピアノに付された製造番号を調べ,スタインウェイ・ハンブルク
支店に対し,その製造番号を通知し,その入手経路を調査するよ
う要請した。
 この要請を受けて同支店が調査したところ,当該ピアノは同支
店のオランダ王国所在の代理店が静岡県浜松市所在の有力な並行
輸入業者に販売したものであったことが判明したので,松尾楽器
は,同年11月,当該代理店に対しこの並行輸入業者に今後販売し
ないようにさせることを同支店に要請した。
 さらに,松尾楽器は,平成2年1月,この並行輸入業者が輸入
し名古屋市所在の楽器店に展示してあった並行輸入ピアノ3台に
付された製造番号を調べ,その製造番号をスタインウェイ・ハン
ブルク支店に通知した。
 これら松尾楽器の要請及び通知を受けて,同支店は,オランダ
王国所在の前記代理店に対し並行輸入業者の求めに応じて販売し
た場合は出荷を停止すると申し渡した。
 このため,当該並行輸入業者は,当該代理店からスタインウェ
イ・ピアノの従来の輸入方法を変更し,一般消費者が当該代理店
において直接購入した形をとって輸入しなければならなくなっ
た。
 京都府宇治市所在の並行輸入業者は,平成5年12月,前記aの
静岡県浜松市所在の並行輸入業者から仕入れた並行輸入ピアノを
長野県内の地方公共団体に松尾楽器の定価を相当程度下回る価格
で販売した。
 松尾楽器は,前記(ア)の方針に基づき,当該並行輸入ピアノに付
された製造番号を調べ,平成6年5月,その製造番号をスタイン
ウェイ・ハンブルク支店に通知し,その入手経路を調査するよう
同支店に要請した。
 これら松尾楽器の通知及び要請を受けて,スタインウェイ・ハ
ンブルク支店は,調査したところ,当該並行輸入ピアノは前記a
のオランダ王国所在の代理店が静岡県浜松市所在の並行輸入業者
に販売したものであったことを突き止め,当該代理店に対し今後
同様の販売を行った場合には代理店契約を解除する旨強く警告し,
た。
 このため,当該並行輸入業者は,オランダ王国所在の代理店か
らスタインウェイ・ピアノを輸入することができなくなった。
(ウ)  前記の(イ)bの京都府宇治市所在の並行輸入業者は,平成5年6月,
滋賀県大津市所在の公立学校が行ったスタインウェイ・ピアノの指
名競争入札において,松尾楽器の定価を相当程度下回る価格で入札
し,落札した。
 松尾楽器は,同年7月,スタインウェイ・ハンブルク支店からの
連絡により,当該並行輸入業者がこの公立学校に納入するため同支
店のドイツ連邦共和国所在の代理店に購入申込みをしていることを
知り,当該代理店に対し当該並行輸入業者への販売を中止又は延期
するようにさせることを同支店に要請した。
 この要請を受けて,同支店は,同月,当該代理店に対し当該並行
輸入業者への販売を中止するようにさせた。
(エ)  松尾楽器の前記行為により,前記の並行輸入業者は,スタイン
ウェイ・ピアノについて,外国に所在するスタインウェイ・ハンブ
ルク支店の代理店からの並行輸入を行い,国内において販売するこ
とが困難になっている。
排除措置
松尾楽器に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  前記イ(ア)の基本方針を破棄するとともに,同方針に基づき供給を
止めさせる行為を取りやめること。
(イ)  並行輸入業者がスタインウェイ・ハンブルク支店の外国に所在す
る代理店に購入申込みをした場合に,同支店に当該代理店に対し当
該並行輸入業者への販売を中止するようにさせている行為を取りや
めること。
(ウ)  次の事項を並行輸入業者及び需要者に周知徹底させること。
 前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置
 今後,前記(ア)及び(イ)の行為と同様の行為を行わない旨
(2) ハーゲンダッツジャパン株式会社に対する件(平成9年(勧)第4号)
関係人の概要
違反事実等
(ア) 再販売価格維持関係
(a)  ハーゲンダッツジャパン株式会社(以下「ハーゲンダッツ
ジャパン」という。)は,ハーゲンダッツブランドのアイスク
リーム製品(以下「ハーゲンダッツ製品」という。)を販売し
始めた昭和59年ころ,製品供給能力が十分でなく,薄利多売で
利益を確保することが困難であったことから,少量の売上げで
利益を確保するため,小売価格については,希望小売価格の水
準を維持する旨の方針を採っており,その後,現在に至るまで
同方針を維持している。
(b)  ハーゲンダッツジャパンは,前記の方針に基づき,かねてか
ら,取引開始時又は通常の商談時に,取引先卸売業者に対し,
帳合先の小売業者に希望小売価格でハーゲンダッツ製品を販売
させるよう要請し,また,自らも取引先小売業者に対し,希望
小売価格で販売するよう要請している。
 ハーゲンダッツジャパンは,取引先小売業者に前記の要請を受
け入れるようにさせるため次の措置を報じている。
(a)  ハーゲンダッツ製品の品質管理の状態の監視や販売促進活動
の支援等を目的として小売店を巡回させているセールスレ
ディーと称する者に対し,ハーゲンダッツ製品の販売価格を調
査し,希望小売価格を下回る価格で販売している場合にその旨
を報告するよう指示し,また,営業部員自らも,ハーゲンダッ
ツ製品の販売価格を調査している。
(b)  前記(a)の活動による情報及び周辺小売業者等からの苦情に基
づき,希望小売価格を下回る価格でハーゲンダッツ製品を販売
している取引先小売業者に対し,自ら又は取引先卸売業者を通
じて,希望小売価格で販売するよう要請し,希望小売価格を下
回る価格での販売をやめさせている。
(c)  前記(b)の要請に応じない一部の取引先小売業者に対し,取引
先卸売業者をしてハーゲンダッツ製品の出荷を停止させてい
る。また,派遣店員による試食販売(以下「試食販売」とい
う。)時に希望小売価格を下回る価格でハーゲンダッツ製品を
販売し,前記(b)の要請に応じない一部の取引先小売業者の店舗
から派遣店員を引き上げている。
(d)  ハーゲンダッツ製品を希望小売価格を下回る価格で販売しよ
うとする取引先小売業者に対し,試食販売等の販売促進手段の
提供の増加を申し出るなどして,希望小売価格を下回る価格で
の販売を行わないようにさせている。
 ハーゲンダッツジャパンの前記の行為により,取引先小売業者
は,おおむね,希望小売価格でハーゲンダッツ製品を販売してい
る。
(イ) 並行輸入阻害関係
(a)
 ハーゲンダッツジャパンは,平成2年4月のアイスクリー
ム製品の輸入自由化を控え,アメリカ合衆国所在のザ・ピル
スベリー・カンパニー(平成7年9月以前は,ザ・ハーゲン
ダッツ・カンパニー。以下「ピルスベリー社」という。)に
対し,かねてから並行輸入品が販売されないよう申し入れて
いたところ,平成元年10月ころまでに,並行輸入を阻止する
ための対応が可能であり,並行輸入品が販売された場合に
は,その経路を調査するために賞味期限記号及び製造ロット
番号(以下「ロット番号等」という。)を通知するようにと
の回答を得ていた。
 その後,平成6年11月下旬,並行輸入業者が自社小売店舗
において並行輸入品を希望小売価格の30パーセント引きの価
格に相当する490円で販売したところ,ハーゲンダッツジャ
パンは,その並行輸入品を購入し,これがアメリカ合衆国か
ら輸入されたものである旨を確認した。
 ハーゲンダッツジャパンは,並行輸入品の販売が自社製品
の小売価格の維持等に影響を及ぼすおそれがあることから,
平成6年11月下旬ころ,ピルスベリー社に対し,アメリカ合
衆国内の卸売業者に日本国内への並行輸入につながる販売を
行わないようにさせる旨要請するとともに,上記並行輸入品
のロット番号等を通知した。
 ピルスベリー社は,ハーゲンダッツジャパンの要請及び通
知を受けて,並行輸入の経路を調査し,平成6年12月上旬こ
ろ,ワシントン州所在の卸売業者等に対し,地域外販売を行
わないよう指示し,また,同月中旬ころ,アメリカ合衆国内
の全取引先卸売業者に対し,日本への並行輸入につながる販
売を行った場合,取引停止の対象となる旨を書面で通知し
た。
 ハーゲンダッツジャパンは,日本国内への並行輸入を阻止
するため,平成6年12月,並行輸入品について継続して店頭
調査を行い,そのロット番号等をピルスベリー社に通知する
旨の方針を会議において確認した。
 ハーゲンダッツジャパンは,平成7年3月上旬,ピルスベ
リー社との会議において,ピルスペリー社に対し,アメリカ
合衆国内の取引先卸売業者に日本国内への並行輸入につなが
る販売を行わないようにさせる旨要請し,ピルスベリー社か
ら,地域外販売禁止契約を取引先卸売業者に遵守させること
により,並行輸入を阻止する旨の回答を得た。
(b)  ハーゲンダッツジャパンは,並行輸入品を購入し,ピルスベ
リー社に対してロット番号等を通知していたところ,平成7年
3月中旬,ピルスベリー社の前記の措置以降に輸入されたと考
えられる並行輸入品が発見されたことから,ピルスベリー社に
対し,アメリカ合衆国内の取引先卸売業者に並行輸入につなが
る販売を行わないようにさせる旨要請するとともに,並行輸入
品のロット番号等を通知した。さらに,ハーゲンダッツジャパ
ンは,同年4月上旬,ピルスベリー社に対し,並行輸入阻止の
措置を採るよう督促した。
 ピルスベリー社は,ハーゲンダッツジャパンの要請及び通知
を受けて,並行輸入の経路を調査し,平成7年4月ころ,カリ
フォルニア州所在の卸売業者2業者に対し,地域外販売を中止
するよう警告し,そのうち1業者に対して出荷を停止した。さ
らに,ピルスベリー社は,アメリカ合衆国西海岸地域所在の全
取引先卸売業者に対し,地域外販売は取引停止の対象となる旨
を書面で通知した。
(c)  ハーゲンダッツジャパンは,平成7年10月下旬ころ,ピルス
ベリー社との会議において,引き続き並行輸入を阻止していく
ことを平成8年度の行動計画として決定し,引き続きアメリカ
合衆国内の取引先卸売業者に日本への並行輸入につながる販売
を行わないようにさせる旨ピルスベリー社と合意している。
 ハーゲンダッツジャパンの前記aの行為により,並行輸入業者
は,ハーゲンダッツ製品について,外国に所在する販売業者から
の並行輸入を行い,日本国内において販売することが困難になっ
ていた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,ハーゲンダッツジャパンは,ピルスベリー社をし
て,並行輸入業者に供給しないようにさせる行為を取りやめてい
る。
排除措置
ハーゲンダッツジャパンに対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  アイスクリーム製品の販売に関し,自ら又は取引先卸売業者を通
じて,取引先小売業者に対し,ハーゲンダッツジャパンの定めた希
望小売価格で販売するよう要請し,取引先小売業者の店舗の巡回に
よる価格調査,同調査結果等に基づく希望小売価格を下回る価格で
同製品を販売している取引先小売業者に対する希望小売価格での販
売要請,同要請に応じない取引先小売業者に対する出荷停止及び派
遣店員の引上げ,希望小売価格を下回る価格で同製品を販売しよう
とする取引先小売業者に対する販売促進手段の提供等により,希望
小売価格で販売するようにさせている行為を取りやめること。
(イ)  並行輸入品が販売されている場合に,ピルスペリー社に対し,ア
メリカ合衆国内の取引先卸売業者に日本国内へのピルスベリー社製
品の並行輸入につながる販売を行わないようにさせる旨要請するこ
とにより,また,同要請の実効を確保するために,並行輸入品につ
いて,そのロット番号等を調べ,これらをピルスペリー社に通知す
ることにより,ピルスベリー社をして,ピルスベリー社製品を並行
輸入業者に供給しないようにさせる行為を取りやめていることを確
認すること。
(ウ)  前記(ア)に基づいて採った措置及びハーゲンダッツジャパンの定め
た希望小売価格は,単なる参考価格であって取引先小売業者の自由
な販売価格の決定を拘束するものではない旨を取引先卸売業者,取
引先小売業者及び一般消費者に,前記(イ)に基づいて採った措置をピ
ルスベリー社及び並行輸入業者に,それぞれ周知徹底させること。
(エ)  今後,前記(ア)の行為と同様の行為により,取引先小売業者の販売
価格を制限しないこと。
審判開始決定事件
(1) アイジー会に対する件(平成8年(判)第1号)
関係人
審判開始決定の内容
(ア)  岩手県防護柵協会(以下「県防護柵協会」という。)は,平成2
年10月24日,設立総会終了後,会員の施工量が100メートル以上の
工事(以下「建設業者発注特定工事」という。)に係る6規格の
ガードレール(以下「特定ガードレール」という。)及び施工費込
みの同製品の見積価格及び販売価格の引上げを決定し,その実効を
確保するため,会員が建設業者発注特定工事について引き合いを受
けた場合は,会員をして話合いにより当該工事について優先的に営
業活動を行う者を決定させることとすること等を内容とするガード
レール引き合いルールを決定し,以後,これを実施してきた。
(イ)  その後,県防護柵協会は,上記平成2年10月24日に決定した価格
を,平成3年11月28日の臨時総会及び平成4年3月24日の役員会に
おいて改定し,同会員はこれを実施している。
(ウ)  アイジー会(平成6年6月22日までは県防柵欄協会)は,平成7
年9月30日,役員会において,前記(イ)の決定を破棄することを決定
し,この旨を会員に周知した。
(2) 社団法人観音寺市三豊郡医師会に対する件(平成9年(判)第1号)
関係人
審判開始決定の内容
(ア)  社団法人観音寺市三豊郡医師会(以下「観音寺三豊医師会」とい
う。)は,地区内において病院又は診療所(以下「医療機関」とい
う。)を開設する者及び医療機関の病床数が増加することが予想さ
れ,これらの抑制を求める意見が出てきたため,昭和54年8月14日
ころに開催した理事会において,
 医療機関の開設(移転を含む。以下同じ。)及び病床の増床を
しようとする者は,あらかじめ観音寺三豊医師会に対し申し出な
ければならないこととし,その可否について審議するため,観音
寺三豊医師会内に,医療機関新設等相談委員会を設置することと
した上,同相談委員会の構成及び運営方法等を定めた「観音寺市
三豊郡医師会医療機関新設等相談委員会規程」(以下「相談委員
会規程」という。)を決定し,
 医療機関の開設及び病床の増床に係る同意の可否について審議
するに当たり,当該申出者が観音寺三豊医師会定款施行規則第2
条に掲げる「観音寺三豊医師会の運営に支障を来す恐れのあるも
の」又は「その他会員として不適当と認められるもの」に該当す
る場合には同意せず,その他の場合は「地域医療の実情」を考慮
することを内容とする観音寺市三豊郡医師会医療機関新設等相談
委員会施行細則(以下「相談委員会細則」という。)を決定し,
同年8月15日ころから実施することとした。
(イ)  次いで,観音寺三豊医師会は,昭和60年6月11日ころに開催した
理事会において,相談委員会規程及び相談委員会細則を改定することとし,
会員が診療科目を追加しようとするときは,あらかじめ観音寺三豊
医師会に対し,申し出なければならないこととし,その可否につい
て相談委員会において審議することを決定し,同年6月11日ころか
ら実施することとした。
(ウ)  さらに,観音寺三豊医師会は,平成3年11月12日ころに開催した
理事会において,医療機関の増改築が病床数の増加につながるおそ
れがあるため,その増改築について,あらかじめ観音寺三豊医師会
に対し,申し出なければならないこととし,その可否について相談
委員会において審議することを決定し,同年11月12日ころから実施
することとした。
(エ)  また,観音寺三豊医師会は,老人保健施設の増加が予想されたこ
とから,平成5年1月12日ころに開催した理事会において,老人保
健施設を開設しようとする者は,あらかじめ観音寺三豊医師会に対
し申し出なければならないこととした上,老人保健施設は,市町が
直接関与する機関が設置するものであるべきことを開設の条件とす
ることとして,その可否について相談委員会において審議すること
を決定し,同年1月12日ころから実施することとした。
(オ)  観音寺三豊医師会は,前記各決定に基づき,医療機関の開設,診
療科目の追加,病床の増床及び増改築並びに老人保健施設の開設の
申出があった場合は,相談委員会及び理事会において,同意,不同
意,条件付き同意又は保留の決定を行っており,観音寺三豊医師会
から不同意の決定を受けた者は当初予定を断念し,条件付き同意又
は保留の決定を受けた者は当該決定にしたがって医療機関の開設等
を行っている。