第3 警  告

警告の措置を採ったものの概要は以下のとおりである。

第4 課 徴 金

 課徴金制度は,カルテル禁止の徹底を図るため,行政上の措置として設け
られているものである。
 課徴金の対象となる行為は,事業者又は事業者団体の行うカルテルのう
ち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供
給量を制限することによりその対価に影響のあるものであり,これらの行為
があった場合に,事業者又は事業者団体の構成事業者に対し課徴金の納付を
命じることとされている(第7条の2第1項,第8条の3)。
 平成8年度は,14件の独占禁止法違反事件について,合計370事業者に対
して総額75億1632万円の課徴金の納付を命じた(第5表)。これは,課徴金
額でみると過去2番目に多いものとなっている(第6表)。
 なお,本年度に課徴金の納付を命じた370事業者のうち,2事業者から審
判開始請求があり,当該2事業者に対して審判開始決定を行ったことから,
当該2事業者に係る合計3016万円の課徴金納付命令(平成9年(納)第19号及
び第85号)は失効した。

第5 監  査

 当委員会は,審決執行後,当該関係人の動向等を調査することにより,審
決の履行状況を監査するとともに違反行為の再発防止に努めている。

第6 告  発

 私的独占,カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については,勧告等
の法的措置のほか罰則が設けられているところ,これらについては公正取引
委員会による告発を待って論ずることとされている(第96条,第73条第1
項)。
 平成8年度においては,東京都発注の水道メーターについて,受注予定者
を決定するとともに,受注予定者が受注できるようにしていたとして,株式
会社金門製作所ほか24社及びこれら25社の受注業務に従事していた者34名が
独占禁止法に違反する犯罪を行ったものと思料して,平成9年2月4日,検
事総長に告発した(東京高等検察庁は同年3月31日起訴)。その概要は以下
のとおりである。

被告発人
(1) 株式会社金門製作所,愛知時計電機株式会社,タマガワ株式会社,東
京水力器機株式会社,東洋計器株式会社,日本計器工業株式会社,仲
子計量器株式会社,株式会社東京量水器工業所,リコー精器株式会社,
横尾計器株式会社,大阪機工株式会社,明治時計株式会社,横浜水道機
材株式会社,東光精機株式会社,日東メーター株式会社,富士水道工業
株式会社,株式会社水戸量水器工作所,株式会社阪神計器製作所,日東
精工株式会社,株式会社吾妻計器製作所,日国工業株式会社,谷商株式
会社,株式会社三龍社,長野県度量衡株式会社,株式会社高畑工業
(2) 上記被告発会社の東京都発注に係る水道メーターの受注業務に従事し
ていた者34名
告発の根拠
(1) 事  実
 被告発会社25社の東京都発注に係る水道メーターの受注業務に従事し
ていた被告発人34名は,それぞれの所属する会社の業務に関し,平成6
年度,平成7年度及び平成8年度の各年度における同水道メーターにつ
いて,受注予定者を決定するとともに,受注予定者が受注できるようあ
らかじめ定められた価格で入札することを合意し,もって,前記25社が
共同して,その事業活動を相互に拘束することにより,公共の利益に反
して,同水道メーターの受注に係る取引分野における競争を実質的に制
限した。
(2) 罰  条
 独占禁止法第89条第1項第1号,第95条第1項第1号,第3条,刑法
第60条