第2 勧告等の法的措置

 平成9年度は勧告30件及び勧告を行っていない課徴金納付命令1件を行っ
た。勧告30件のうち,4件については審判手続を開始し,その他については
勧告審決を行った。また,勧告を行っていない課徴金納付命令は審判手続を
経ずに課徴金納付命令が確定した。平成9年度に法的措置を採った31件のう
ち,審判手続継続中である3件を除く28件について違反法条をみると,独占
禁止法第3条前段(私的独占)違反2件,第3条後段(不当な取引制限)違
反15件,第8条第1項第1号(事業者団体による競争の実質的制限)違反3
件及び第19条(不公正な取引方法)違反8件となっている。
 法的措置を採った上記31件の概要は,以下のとおりである。

独占禁止法第3条前段違反事件
(1) 株式会社三共ほか10名に対する件(平成9年(勧)第5号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
(a)  株式会社日本遊技機特許運営連盟(以下「遊技機特許連盟」
という。)は,既存のぱちんこ機(風俗営業等の規制及び業務
の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)第10
条に規定するぱちんこ遊技機。以下同じ。)製造業者である日
本遊技機工業組合(昭和38年2月4日に日本遊技機工業協同組
合を改組して設立されたもの。以下「遊技機工組」という。)
の組合員(以下「組合員」という。)の利益の確保を図るた
め,かねてから,ぱちんこ機の製造分野への参入を抑止する方
針の下に,自己が所有又は管理運営するぱちんこ機の製造に関
する特許権及び実用新案権(以下「特許権等」という。)の通
常実施権の許諾(以下「実施許諾」という。)に当たり,ぱち
んこ機を製造している組合員以外の者に実施許諾を行わず,ま
た,実施許諾契約においても,当該契約の相手方の商号,標
章,代表者及び役員の構成の変更等営業状態を著しく変更した
場合は当該契約を解除することができる旨の営業状態の変更に
関する条項を設け,その実施を図ることにより,同分野への参
入を抑止してきた。
  昭和58年春ころ,いわゆるフィーバー機と称するぱちんこ機
が登場し,ぱちんこ機の市場規模が大きく拡大して魅力あるも
のとなってきた中で,非組合員である回胴式遊技機の大手製造
業者が既存のぱちんこ機製造業者である組合員の株式の取得を
通じてぱちんこ機の製造分野に新規参入を図ろうとする動きが
生じたこと等を契機として,10社のうちマルホン工業株式会社
を除く当時ぱちんこ機の製造に関する重要な特許権等を所有し
ていた9社(以下「9社」という。)及び遊技機特許連盟は,
同年6月ころ行った遊技機特許連盟が管理運営する特許権等の
実施許諾に当たり,遊錘技機特許連盟のほか,前記特許権等の所
有者も実施許諾契約の当事者に加えて三者契約の形を採ること
とし,当該契約において,契約の相手方の企業の構成及び営業
状態を変更した場合は特許権等の所有者に届け出てその承認を
得なければならない旨及びその承認が得られない場合には当該
契約は効力を失う旨の営業状態の変更に関する条項を定めて,
買収等による参入の抑止策を強化した。
 そのころ,前記のとおり,ぱちんこ機の市場が魅力あるもの
となる中で,前記回胴式遊技機の大手製造業者のほか,アレン
ジボール遊技機の製造業者であり,従来遊技機特許連盟が管理
運営する特許権等の実施許諾を認められていなかった組合員が
ぱちんこ機の製造を強く希望してその実施許諾を申し出るなど
ぱちんこ機の製造分野への進出の動きが活発化し,その一方
で,当時,遊技機特許連盟が所有又は管理運営する特許権等
は,その数が減少するなど参入に対する障壁が弱まりつつある
状況にあり,新規参入希望者に対して遊技機特許連盟が所有又
は管理運営する特許権等の実施許諾を行わないとするのみで
は,新規参入希望者が遊技機特許連盟が所有又は管理運営する
特許権等を回避したぱちんこ機の製造を開始して遊技機特許連
盟と対抗する勢力を形成し,既存のぱちんこ機製造業者の市場
占有率に重大な影響を及ぼすなど既存のぱちんこ機製造業者に
大きな影響を与えることとなることから,新規参入希望者に対
しては例外的に実施許諾することも考慮せざるを得なくなるな
ど,ぱちんこ機の製造分野への参入を抑止しつつ,既存のぱち
んこ機製造業者間において価格競争等を回避してきた従来の体
制が崩壊し,既存のぱちんこ機製造業者の利益が大きく損なわ
れることが危倶される状況となった。
(b)   このため,9社及び遊技機特許連盟は,既存のぱちんこ機製
造業者の市場占有率を確保し,当該製造業者間での価格競争等
を回避してきた体制を維持する目的で,9社の経営責任者級の
者で構成し,新規参入問題等に関する対策を審議する権利者会
議と称する会合(以下「権利者会議」という。),遊技機特許連
盟の取締役会,遊技機特許連盟及び遊技機工組の合同役員会等
を開催するなどして,遅くとも昭和60年秋ころまでに,遊技機
特許連盟が所有又は管理運営する特許権等の実施許諾契約の前
記営業状態の変更に関する条項を実施することによって買収等
による第三者の参入を抑止し,さらに,特許権等の集積により
参入の障壁を高くしておくことが参入を抑止する手段として有
効であるため,9社及び遊技機特許連盟において,新たに特許
権等を取得し,遊技機特許連盟が所有又は管理運営する特許権
等の集積に努めて参入に対する障壁を強化することとした上,
参入希望者に対しては当該特許権等の実施許諾を行わないこと
とし,もってぱちんこ機の製造分野への参入を排除する旨の方
針を確認し,その後,この方針に基づき,参入を排除してきて
いる。
  なお,10社のうちマルホン工業株式会社は,遅くとも平成5
年秋ころまでに前記方針を了承した上,平成5年度から審査委
員会(遊技機特許連盟の担当責任者及び10社の特許担当責任者
等で構成)の構成員となり,平成5年9月20日ころ開催された
権利者会議に出席し,新規参入問題の検討に加わるなど9社及
び遊技機特許連盟と行動を共にしている。
(a) 10社及び遊技機特許連盟は,前記a(b)の方針に基づき,遊技
機特許連盟が所有又は管理運営する特許権等の実施許諾契約の
前記営業状態の変更に関する条項を実施するとともに,遊技機
特許連盟が所有又は管理運営する特許権等の集積を図り,既存
のぱちんこ機製造業者である組合員以外の者に対しては当該特
許権等の実施許諾を行わないことにより,参入を排除してきて
いる。
(b) また,ぱちんこ機の製造販売を希望し,その開発に努めてき
た事業者は,遊技機特許連盟が所有又は管理運営する特許権等
の実施許諾を受けなければぱちんこ機を製造することが困難で
あることからその実施許諾を希望しているものの,10社及び遊
技機特許連盟の前記a(b)の方針により,既存のぱちんこ機製造
業者以外の者が当該特許権等の実施許諾を受けることは困難で
あるとの認識から,正式に実施許諾を申し出るには至っておら
ず,ぱちんこ機の製造を断念している状況にある。
排除措置
 関係人10社及び遊技機特許連盟に対し,次の措置を採るよう命じ
た。
(ア)  10社及び遊技機特許連盟は,共同して確認しているぱちんこ機の
製造分野への参入を排除する旨の方針を破棄すること。
(イ)  10社及び遊技機特許連盟は,同連盟が所有又は管理運営するぱち
んこ機の製造に関する特許権等の実施許諾に関して,前記のの方針
に基づいて行った措置を撤回すること。
(ウ)
 遊技機特許連盟は,同連盟が所有するぱちんこ機の製造に関す
る特許権等の実施許諾を内容とする契約書中,当該契約の相手方
の商号,標章,代表者及び役員の構成等を変更した場合は同連盟
に届け出てその承認を得なければならない旨の条項及びこれに違
反し又はその承認が得られない場合には当該契約を解除すること
ができる旨の条項を削除すること。
 10社及び遊技機特許連盟は,同連盟が管理運営するぱちんこ機
の製造に関する特許権等の実施許諾を内容とする契約書中,当該
契約の相手方の企業の構成及び営業状態を変更した場合は特許権
又は実用新案権の所有者に届け出てその承認を得なければならな
い旨の条項及びその承認が得られない場合には当該契約は効力を
失う旨の条項を削除すること。
(エ)  10社及び遊技機特許連盟は,次の事項をぱちんこ機の製造をする
者及びぱちんこ機の製造をしようとする者に周知徹底させること。
 前記(ア),(イ)及び(ウ)に基づいて採った措置
 今後,相互に,結合及び通謀をして同連盟が所有又は管理運営
するぱちんこ機の製造に関する特許権等の実施許諾をしないこと
により,ぱちんこ機を製造しようとする者の事業活動を排除しな
い旨
(オ)  10社及び遊技機特許連盟は,今後,相互に,結合又は通謀をし
て,ぱちんこ機の製造に関する特許権等の実施許諾をしないことに
より,ぱちんこ機の製造分野への参入を排除する行為を行わないこ
と。
(2) パラマウントベッド株式会社に対する件(平成10年(勧)第3号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  パラマウントベッド株式会社(以下「パラマウントベッド社」と
いう。)は,同社の高い市場占拠率を維持し,納入価格の維持を図
るため,国及び地方公共団体が競争入札の方法により発注する医療
用ベッド(病院の入院患者等が使用するベッド。以下同じ。)につ
いて,発注者に対し,同社の製品を確実に納入するために同社の製
品の製品指定入札(特定の製造業者の製品を指定して当該製品を対
象とする入札。以下同じ。)となるように働きかけ,複数の製造業
者が製造する医療用ベッドが納入可能な仕様書を定めて当該仕様書
に適合する製品を対象とする入札(以下「仕様書入札」という。)
の場合には,特別に製造する必要が生じ費用が高くなるため他の製
造業者の製品による入札への参加が困難となるように,他の製造業
者の標準品にはないパラマウントベッド社の標準品等の特徴を盛り
込んだ仕様書による入札となるよう働きかけ,また,発注者への納
入価格については,入札参加者が販売業者の場合であっても,パラ
マウントベッド社自らが決定するように営業を行っているところ,
同社は,平成7年度以降,東京都財務局が発注事務を所管する発注
予定金額が500万円以上の都立病院向け医療用ベッド(以下「財務
局発注の特定医療用ベッド」という。)の指名競争入札又は「地方
公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令」
(平成7年政令第372号)の規定が適用される一般競争入札(以下
「国際入札」という。)の方法(以下これらを「指名競争入札等」
という。)に関し,次の行為を行っている。
 パラマウントベッド社は,仕様書入札において,①パラマウン
トベッド社,フランスベッド株式会社及びマーキスベッド株式会
社の3社(以下「メーカー3社」という。)が製造する医療用
ベッドが納入可能な仕様書入札を実施すること,②指名競争入札
等に当たっては,医療用ベッドを扱っている販売業者を入札参加
者とするが,メーカー3社の医療用ベッドの発注の機会を確保す
るため,入札参加者の取引先製造業者にメーカー3社が含まれる
ようにすることとの東京都の方針を承知の上,医療用ベッドの仕
様に精通していない都立病院の入札事務担当者に対し,同社の製
品のみが適合する仕様を含んでいても対外的には東京都の方針に
反していることが露見しないように仕様書を作成することができ
ると申し出るなどして,
(a)  パラマウントベッド社が実用新案権等の工業所有権を有して
いる構造であることを伏せて,仕様書に同構造の仕様を盛り込
むことを働きかけること
(b)  仕様書にフランスベッド株式会社及びマーキスベッド株式会
社(以下「競合2社」という。)の標準品の仕様にはなく,競
合2社がそれに適合する製品を製造するためには相当の費用及
び時間を要することが予想されるパラマウントベッド社の標準
品等の仕様を盛り込むことを働きかけること
により,同社の製品のみが適合する仕様書とすることを実現し,
さらに,入札事務担当者をして,
(c)   入札のための現場説明会において,仕様書の内容を説明する
際に,パラマウントベッド社の製品の仕様のみに合致する内容
を説明し,又はメーカー3社の標準品の機能等を比較しパラマ
ウントベッド社の製品の機能が競合2社の製品の機能に比して
著しく優れていることを示すパラマウントベッド社の作成によ
る一覧表を掲示して説明し,入札参加者に対し,同社の医療用
ベッドを発注する旨表明すること
(d)  仕様書がパラマウントベッド社の製品しか対応できない内容
ではないか等の競合2社等からの質問及び仕様書の修正要求に
対して,同社の作成した回答に従って当該仕様書の内容の必要
性等を回答すること及び同社と相談の上修正要求に応じないな
どとすること
をさせている。
 パラマウントベッド社は,平成7年度以降,財務局発注の特定
医療用ベッドの仕様書入札及び同社の製品の製品指定入札におい
て,入札参加者の中から,あらかじめ,落札予定者を決めるとと
もに,落札予定価格を決め,落札予定者及び他の入札参加者に対
し,それぞれ,入札すべき価格を指示し,当該価格で入札させて
いる。
 パラマウントベッド社は,前記bの行為の実効を確保するた
め,落札予定者以外の入札参加者に対し,同社が指示する価格で
入札することを要請する際に,入札における協力への礼金(以下
「入札協力金」という。)の提供又は落札された製品について帳
票類上のみの取引に参加させること(以下「伝票回し」とい
う。)による利益提供を申し出て,落札予定者が落札した場合,
他の取引に係る販売手数料に偽装する等により入札協力金の提供
を行い,又は落札された製品について落札者に仕入先及び仕入価
格を指示するとともに,伝票回しに参加させる入札参加者に販売
先,販売価格,仕入先及び仕入価格を,それぞれ指示し,帳票類
を作成させ,これに従って仕入れ,販売させることにより利益を
提供している。
排除措置
パラマウントベッド社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成7年度以降,指名競争入札等による財務局発注の特定医療用
ベッドについて行っている次の行為を取りやめること。
 仕様書入札において,都立病院の入札事務担当者に対し,パラ
マウントベッド社が実用新案権等の工業所有権を有している構造
であることを伏せて仕様書に同構造の仕様を盛り込むこと若しく
は仕様書に他の医療用ベッド製造業者がそれに適合する製品を製
造するためには相当の費用及び時間を要することが予想される同
社の標準品等の仕様を盛り込むことを働きかけることにより,同
社の製品のみが適合する仕様書とすることを実現し,又は都立病
院の入札事務担当者をして,入札のための現場説明会において同
社の製品を発注する旨を表明するようにさせている行為
 入札参加者の中から落札予定者を決めるとともに,落札予定価
格を決め,当該落札予定者が当該落札予定価格で落札できるよう
にするため,入札参加者に入札すべき価格を指示し,当該価格で
入札させている行為及び当該行為の実効を確保するため,入札参
加者に対し,入札協力金の提供又は伝票回しによる利益の提供を
行っている行為
(イ)  次の事項を東京都に通知するとともに医療用ベッドの製造業者及
び販売業者に周知徹底させること。
前記(ア)に基づいて採った措置
今後,前記(ア)の行為と同様の行為を行わない旨
(ウ)  今後,東京都が競争入札の方法により発注する都立病院向け医療
用ベッド(財務局が発注事務を所管するもの)について,前記(ア)の
行為と同様の行為を行うことによって,他の事業者が製造する医療
用ベッドを入札から排除する行為又はパラマウントベッド社が定め
た落札予定者が同社が定めた落札予定価格で落札できるようにする
行為をしないこと。
独占禁止法第3条後段違反事件
(1) 株式会社カメラのウエダほか13名に対する件及び有限会社ハマ商事ほ
か11名に対する件(平成9年(勧)第7号及び平成9年(勧)第8号)
関 係 人
違反事実等
(ア) 神奈川県関係(平成9年(勧)第7号)
 関係人14名は,遅くとも平成元年8月31日以降(株式会社アジ
アロイドジャパンにあっては平成7年3月 6日以降。以下同
じ。),神奈川県が指名競争入札の方法により発注する一般用写真
フィルム(以下「神奈川県発注の写真フィルム」という。)につ
いて,受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため,
(a)  あらかじめ,くじの方法により,各年度について半期ごと
に,かつ,各物件ごとに定めた者を受注予定者とする
(b)  受注予定者の受注すべき価格は,当該受注予定者が定め,受
注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注する
ことができるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしている。
 14名は,前記aにより,平成元年8月31日以降,神奈川県発注
の写真フィルムのすべてを受注している。
(イ) 横浜市関係(平成9年(勧)第8号)
 関係人12社は,遅くとも平成6年3月28日以降,横浜市が指名
競争入札の方法により発注する一般用写真フィルム(以下「横浜
市発注の写真フィルム」という。)について,受注機会の均等化
及び受注価格の低落防止を図るため,
(a)  横浜市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合は,話合
い又はくじの方法により,受注予定者を決定する
(b)  受注予定者の受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予
定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注すること
ができるように協力する
(c)  受注予定者となって受注した者は,当該一般用写真フィルム
の納入に当たり,当該入札参加業者の間の話合いにより,受注
予定者以外の者にその一部を発注する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしている。
 12社は,前記aにより,平成6年4月1日以降,横浜市発注の
写真フィルムのすべてを受注している。
排除措置
(ア) 神奈川県関係
14名に対し,次の措置を採るよう命じた。
 神奈川県発注の写真フィルムについて,遅くとも平成元年8月
31日以降行っている,受注予定者を決定し,受注予定者が受注で
きるようにしている行為を取りやめること。
 次の事項を神奈川県に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,神奈川県が競争入札の方法により発注する
一般用写真フィルムについて,受注予定者を決定せず,各自が
それぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,神奈川県
が競争入札の方法により発注する一般用写真フィルムについて,
受注予定者を決定しないこと。
(イ) 横浜市関係
12社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 横浜市発注の写真フィルムについて,遅くとも平成6年3月28
日以降行っている,受注予定者を決定し,受注予定者が受注でき
るようにしている行為を取りやめること。
 次の事項を横浜市に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,横浜市が競争入札の方法により発注する一
般用写真フィルムについて,受注予定者を決定せず,各社がそ
れぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,横浜市が
競争入札の方法により発注する一般用写真フィルムについて,受
注予定者を決定しないこと。
(2) 共立建設株式会社ほか11名に対する件(平成9年(勧)第9号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  首都高速道路公団(以下「公団」という。)の建築工事に係る発
注業務担当者は,かねてから,入札の執行前に発注工事ごとに当該
工事の受注業者に関する意向を示してきたところ,関係人12社は,
遅くとも平成4年4月以降(三菱建設株式会社にあっては平成5年
11月19日以降,羽沢建設株式会社にあっては平成6年11月2日以
降。以下同じ。),公団が指名競争入札又は公募型指名競争入札(以
下は指名競争入札」という。)の方法により発注する建築工事(除草,
清掃及び保守に係る工事を除く。以下「公団発注の建築工事」とい
う。)について,継続的な安定受注及び高値受注を確保するため,
 公団から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合は,前記意
向を勘案して話合いにより受注予定者を決定する
 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,公団の建築工事に係る発注業務担当者から直接又
は公団の役員及び管理職の地位にあった者で現に建設業界に在職す
るものを会員とし会員の親睦等を図ることを目的とする首建協会と
称する団体の会長等を介して示される前記意向を勘案して話合いに
より,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしてい
た。
(イ)  12社は,前記(ア)により,公団発注の建築工事の大部分を受注して
いた。
(ウ)  平成8年7月17日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定
に基づき審査を開始したところ,12社は,同日以降,前記(ア)の合意
に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする
行為を取りやめている。
排除措置
12社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  遅くとも平成4年4月以降行っていた,公団発注の建築工事につ
いて受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた
行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を,公団に通知し,自社の役員及び従業員に周知徹底さ
せること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,公団発注の建築工事について,受注予定者を
決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,公団が競争
入札の方法により発注する建築工事について,受注予定者を決定し
ないこと。
(注) 羽沢建設株式会社については,平成9年7月24日,東京地方
裁判所から破産決定を受けたため,審決が行われていない。
(3) 神鋼パンテツク株式会社ほか2名に対する件(平成9年(勧)第10号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  関係人3社は,昭和59年ころから,国内におけるグラスライニン
グ機器(以下「GL機器」という。)の販売に当たり,化学品製造
業者,医薬品製造業者,プラント工事業者(以下これらを「需要
者」という。)から見積り依頼(以下「引き合い」という。)のあっ
た物件について,各社の課長級の者による「サンジー」と称する会
合を開催するなどして,話合いにより,あらかじめ,当該物件を優
先的に受注すべき者(以下「チャンピオン」という。)を決定して
きたところ,平成元年4月4日ころ,更に需要者向け販売価格の低
落防止の徹底を図るため,次の事項等を内容とする「サンジーの運
営について」を決定した。
 需要者から,3社のうち複数社に引き合いのある物件又はその
可能性のある物件について引き合いがあった場合には,遅滞なく
他の2社にその旨を連絡する。
 前記aにより連絡された物件については,次の方法により,
チャンピオンを決定する。
(a)  当該需要者に対する納入実績が多い者をチャンピオンとす
る。ただし,同じ仕様の機器の入替え又は増設物件及び大容量
機器への変更物件については,既存物件の納入業者をチャンピ
オンとする。
(b)  前記(a)以外の物件については,受注実績を勘案して話合いに
よりチャンピオンを決定する。
(c)  話合いによりチャンピオンが決まらないときは,幹事会社が
決定する。
 チャンピオン以外の者は,チャンピオンとならなかった物件に
ついて,受注活動を自粛する。
 チャンピオン及びチャンピオン以外の者の見積価格は,チャン
ピオンが設定し,チャンピオン以外の者は,チャンピオンが設定
した見積価格を提示すること等によってチャンピオンが受注でき
るように協力する。
 チャンピオンの見積価格より低い見積価格を提示して受注し,
又はチャンピオンにその当初の見積価格より低い価格での受注を
余儀なくさせた者は,ペナルティーとして,チャンピオンに対
し,その事由により,次の額の物件のチャンピオンとなる権利を
譲り渡す。
(a)  故意に低い見積価格を提示して受注したときは,チャンピオ
ンの見積価格の2倍に相当する額
(b)  誤って低い見積価格を提示して受注したときは,チャンピオ
ンの見積価格に相当する額
(c)  故意に低い見積価格を提示することにより,チャンピオンに
その当初の見積価格より低い価格での受注を余儀なくさせたと
きは,チャンピオンの当初の見積価格と最終見積価格の差額の
4倍に相当する額
 需要者の意向によりチャンピオンが受注することが困難となっ
たときは,チャンピオンの了解を得た上,需要者の意向に沿う者
を新チャンピオンとし,新チャンピオンは旧チャンピオンに対
し,旧チャンピオンの見積価格に相当する額の物件のチャンピオ
ンとなる権利を譲り渡す。
(イ)  3社は,平成元年4月4日ころ以降,前記「サンジーの運営につ
いて」に基づき,需要者から引き合いのあったGL機器のほとんど
を受注していた。
(ウ)  平成8年11月21日,本件について当委員会が独占禁止法の規定に
基づき審査を開始したところ,3社は,同日以降,GL機器の受注
に関し,チャンピオンを決定し,チャンピオンが受注できるように
していた行為を取りやめている。
排除措置
3社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成元年4月4日ころ以降行っていた,需要者から引き合いの
あったGL機器について,チャンピオンを決定し,その者が受注で
きるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  平成元年4月 4日ころにGL機器について決定した,「サンジー
の運営について」を破棄すること。
(ウ)  次の事項をGL機器の需要者に周知徹底させること。
 平成元年4月4日ころ以降行っていた,GL機器について,あ
らかじめ,チャンピオンを決定し,その者が受注できるようにし
ていた行為を取りやめている旨
 今後,共同して,GL機器について,チャンピオンを決定せ
ず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(エ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,GL機器に
ついて,チャンピオンを決定しないこと。
(4) 帯広三菱ふそう自動車販売株式会社ほか3名に対する件(平成9年
(勧)第19号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  関係人4社は,遅くとも平成6年4月以降,農林水産省家畜改良
センター十勝牧場,北海道立新得畜産試験場,北海道立農業大学
校,北海道帯広土木現業所,帯広市,北海道十勝支庁管内の町村,
北海道市町村備荒資金組合,南十勝3町村複合事務組合及び十勝川
簡易保険保養センター(以下「官公庁等」という。)が指名競争入
札,条件付一般競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入
札等」という。)の方法により発注する普通トラック及び大型バス
(北海道市町村備荒資金組合については,帯広市及び北海道十勝支
庁管内の町村に譲渡するものに限る。以下同じ。)について,受注
価格の低落防止を図るため,
 普通トラックについては,毎年度,各社の営業責任者級の者に
よる会合を開催するなどして,当該年度に発注が見込まれる物件
について,次の方法により,受注予定者を決定する
(a)  受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(b)  受注希望者が複数のときは,受注希望者の間の話合いにより
受注予定者を決定する
 大型バスについては,指名競争入札又は指名見積り合わせの参
加の指名を受けた場合は,前記a(a)及び(b)の方法により,当該大
型バスの受注予定者を決定する
 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるように
協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよ
うにしていた。
(イ)  4社は,前記(ア)により,官公庁等が指名競争入札等の方法により
発注する普通トラック及び大型バスのすべてを受注していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,平成9年6月3日,4社は,帯広市内で開催した会合
において,前記(ア)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者
が受注できるようにする行為を行わない旨を決定し,受注予定者が
受注できるようにする行為を取りやめている。
排除措置
 4社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を,官公庁等に通知すること。
 遅くとも平成6年4月以降行っていた,官公庁等が指名競争入
札等の方法により発注する普通トラック及び大型バスについて,
受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた行
為を取りやめている旨
 今後,共同して,官公庁等が指名競争入札等の方法により発注
する普通トラック及び大型バスについて,受注予定者を決定せ
ず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(イ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,官公庁等が
競争入札又は指名見積り合わせの方法により発注する普通トラック
及び大型バスについて,受注予定者を決定しないこと。
(5) 株式会社日本標準ほか5名に対する件(平成9年(勧)第20号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 関係人6社は,かねてから,小学校の児童数の減少傾向等によ
る特定図書教材(小学校において使用される図書教材のうち評価
教材,習熟教材及び修得教材をいう。以下同じ。)の売上部数の
減少に対処するため,各社の代表者級の者で構成する会合(以下
「トップ会」という。)において,特定図書教材について教科別
に,ページ数,刷り色数,判型等の規格(以下「規格」とい
う。)及び自己の設定した「学校納入定価」と称する小売価格
(以下「学校納入定価」という。)について検討を行ってきた。
 6社は,平成8年度の教科書の改定に対応した特定図書教材の
内容の変更に要する経費の増加等に対処するため,平成8年度に
使用される特定図書教材について,平成6年8月30日ころから平
成7年7月28日ころまでの間に開催した一連のトップ会におい
て,その大部分の規格を定めた上で,平成7年4月27日ころ,同
年6月14日ころ及び同年9月6日ころに開催した一連のトップ会
において,学校納入定価を引き上げ,据え置き又は新たに設定す
ること(以下これらを「学校納入定価の引上げ等」という。)を
決定した。
 6社は,平成9年4月の消費税率の引上げ等に対処するため,
平成9年度に使用される特定図書教材について,平成8年7月 9
日ころに開催したトップ会において,前記bの決定に係る特定図
書教材の規格を変更しないこととした上で,平成8年7月 9 日こ
ろ,同月30日ころ及び同年9月18日ころに開催した一連のトップ
会において,評価教材の学校納入定価を10円引き上げること等を
決定した。
(イ)   6社は,前記(ア)の各決定に基づき,おおむね,特定図書教材の規
格を定め,学校納入定価を設定していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,6社は,平成9年5月26日,前記(ア)の各決定を破棄す
ることを決定した。
排除措置
 6社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  次の事項を特定図書教材の取引先販売業者,小学校及び一般消費
者に周知徹底させること。
 平成6年8月30日ころから平成7年9月6日ころまでの間に
行った,平成8年度に使用される特定図書教材の規格及び小売価
格に関する各決定を破棄した旨
 平成8年7月9日ころから同年9月18日ころまでの間に行っ
た,平成9年度に使用される特定図書教材の規格及び小売価格に
関する各決定を破棄した旨
 今後,共同して,特定図書教材の規格及び小売価格を決定せ
ず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
(イ)  今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,特定図書教
材の規格又は小売価格を決定しないこと。
(6) 藍和建設株式会社ほか58名に対する件,有限会社鞍城建設ほか26名に
対する件及び阿部土建株式会社ほか31名に対する件(平成9年(勧)第
21号,平成9年(勧)第22号及び平成9年(勧)第23号)
関 係 人


違反事実等
(ア) 沼田市発注の土木-式工事関係(平成9年(勧)第21号)
 関係人59名は,遅くとも平成7年4月1日以降(小宮建設有限
会社にあっては平成7年8月1日以降,佐藤組こと佐藤一雄,有
限会社五十嵐工務店及び佐野建設株式会社にあっては平成7年9
月1日以降,林重機土木有限会社にあっては平成7年9月29日以
降,株式会社春原ハウジング及び富澤造材有限会社にあっては平
成8年5月24日以降,有限会社ウメジマ工業にあっては平成8年
6月21日以降,有限会社シメギ工業にあっては平成8年12月6日
以降。以下同じ。),沼田市が指名競争入札の方法により発注する
土木一式工事(以下「沼田市発注の特定土木工事」という。)に
ついて,受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため,
(a)  沼田市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,沼
田市所在の沼田建設会館の会議室において「研究会」と称する
会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定者を決定
する
(ⅰ)  受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ⅱ)  受注希望者が複数のときは,既受注工事との関連性又は継
続性,工事場所等を勘案し,受注希望者の間の話合いによ
り,当該工事の受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしていた。
 59名は,前記aにより,遅くとも平成7年4月1日以降,沼田
市発注の特定土木工事のほとんどすべてを受注していた。
 本件について,平成9年3月25日,当委員会が独占禁止法の規
定に基づき審査を開始したところ,59名は,同日以降,前記aの
合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にする行為を取りやめている。
(イ) 沼田市発注の建築-式工事関係(平成9年(勧)第22号)
 関係人27社は,遅くとも平成7年4月1日以降,沼田市が指名
競争入札の方法により発注する建築一式工事(以下「沼田市発注
の特定建築工事」という。)について,受注価格の低落防止及び
受注機会の均等化を図るため,
(a) 沼田市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,沼
田市所在の沼田建設会館の会議室において「研究会」と称する
会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定者を決定
する
(ⅰ) 受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ⅱ) 受注希望者が複数のときは,既受注工事との関連性,工事
場所等を勘案し,受注希望者の間の話合いにより,当該工事
の受注予定者を決定する
(b) 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしていた。
 27社は,前記aにより,遅くとも平成7年4月1日以降,沼田
市発注の特定建築工事のほとんどすべてを受注していた。
 本件について,平成9年3月25日,当委員会が独占禁止法の規
定に基づき審査を開始したところ,27社は,同日以降,前記aの
合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にする行為を取りやめている。
(ウ) 沼田市発注の舗装工事関係(平成9年(勧)第23号)
 関係人32社は,遅くとも平成7年4月1日以降(佐野建設株式
会社及び深津工業株式会社にあっては平成7年7月6日以降。以
下同じ。),沼田市が指名競争入札の方法により発注する舗装工事
(以下「沼田市発注の特定舗装工事」という。)について,受注
価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため,
(a)  沼田市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には,沼
田市所在の沼田建設会館の会議室において「研究会」と称する
会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定者を決定
する
(ⅰ)  受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ⅱ)  受注希望者が複数のときは,既受注工事との関連性又は継
続性,工事場所等を勘案し,受注希望者の間の話合いによ
り,当該工事の受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し受注予定者が受注できる
ようにしていた。
 32社は,前記aにより,遅くとも平成7年4月1日以降,沼田
市発注の特定舗装工事のほとんどすべてを受注していた。
 本件について,平成9年3月25日,当委員会が独占禁止法の規
定に基づき審査を開始したところ,32社は,同日以降,前記aの
合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にする行為を取りやめている。
排除措置
(ア) 沼田市発注の土木-式工事関係
 59名に対し,次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成7年4月1日以降行っていた,沼田市発注の特定
土木工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注でき
るようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を沼田市に通知すること。
(a) 前記aに基づいて採った措置
(b) 今後,共同して,沼田市発注の特定土木工事について,受注
予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,沼田市が
競争入札の方法により発注する土木-式工事について,受注予定
者を決定しないこと。
(イ) 沼田市発注の建築-式工事関係
 27社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成7年4月1日以降行っていた,沼田市発注の特定
建築工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注でき
るようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を沼田市に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,沼田市発注の特定建築工事について,受注
予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,沼田市が
競争入札の方法により発注する建築-式工事について,受注予定
者を決定しないこと。
(ウ) 沼田市発注の舗装工事関係
 32社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成7年4月1日以降行っていた,沼田市発注の特定
舗装工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注でき
るようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を沼田市に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,沼田市発注の特定舗装工事について,受注
予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,沼田市が
競争入札の方法により発注する舗装工事について,受注予定者を
決定しないこと。
(7) 藍和建設株式会社ほか70名に対する件及び阿部土建株式会社ほか15名
に対する件(平成9年(勧)第24号及び平成9年(勧)第25号)
関 係 人



違反事実等
(ア) 群馬県沼田土木事務所発注の土木工事関係(平成9年(勧)第24
号)
 関係人71社は,遅くとも平成7年4月1日以降(鎌田建設有限
会社にあっては平成7年5月19日以降。以下同じ。),群馬県沼田
土木事務所(以下「沼田土木事務所」という。)が指名競争入札
の方法により発注する土木-式工事(プレストレストコンクリー
ト工事及び鉄道と交差する道路工事を除く。以下「沼田土木事務
所発注の特定土木工事」という。)について,受注価格の低落防
止及び受注機会の均等化を図るため,
(a)  沼田土木事務所から指名競争入札の参加の指名を受けた場合
には,沼田市所在の沼田建設会館の会議室において「研究会」
と称する会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定
者を決定する
(ⅰ)  受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ⅱ)  受注希望者が複数のときは,既受注工事との関連性又は継
続性,工事場所等を勘案し,受注希望者の間の話合いによ
り,当該工事の受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしていた。
 71社は,前記aにより,遅くとも平成7年4月1日以降,沼田
土木事務所発注の特定土木工事のほとんどすべてを受注してい
た。
 本件について,平成9年3月25日,当委員会が独占禁止法の規
定に基づき審査を開始したところ,71社は,同日以降,前記aの
合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にする行為を取りやめている。
(イ) 沼田土木事務所発注の舗装工事関係(平成9年(勧)第25号)
 関係人16社は,遅くとも平成7年4月1日以降(星野物産株式
会社にあっては平成7年7月31日以降。以下同じ。),沼田土木事
務所が指名競争入札の方法により発注する舗装工事(以下「沼田
土木事務所発注の特定舗装工事」という。)について,受注価格
の低落防止及び受注機会の均等化を図るため,
(a)  沼田土木事務所から指名競争入札の参加の指名を受けた場合
には,沼田市所在の沼田建設会館の会議室において「研究会」
と称する会合を開催するなどして,次の方法により,受注予定
者を決定する
(ⅰ)  受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
(ⅱ)  受注希望者が複数のときは,既受注工事との関連性又は継
継続性,工事場所等を勘案し,受注希望者の間の話合いにより,当該工事
の受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしていた。
 16社は,前記aにより,遅くとも平成7年4月1日以降,沼田
土木事務所発注の特定舗装工事のほとんどすべてを受注してい
た。
 本件について,平成9年3月25日,当委員会が独占禁止法の規
定に基づき審査を開始したところ,16社は,同日以降,前記aの
合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にする行為を取りやめている。
排除措置
(ア) 沼田土木事務所発注の土木工事関係
 71社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成7年4月1日以降行っていた,沼田土木事務所発
注の特定土木工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認する
こと。
 次の事項を沼田土木事務所に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,沼田土木事務所発注の特定土木工事につい
て,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動
を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,沼田土木
事務所が競争入札の方法により発注する土木-式工事について,
受注予定者を決定しないこと。
(イ) 沼田土木事務所発注の舗装工事関係
 16社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成7年4月1日以降行っていた,沼田土木事務所発
注の特定舗装工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が
受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認する
こと。
 次の事項を沼田土木事務所に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,沼田土木事務所発注の特定舗装工事につい
て,受注予定者を決定せず,各自がそれぞれ自主的に受注活動
を行う旨
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,沼田土木
事務所が競争入札の方法により発注する舗装工事について,受注
予定者を決定しないこと。
(8) 伊丹産業株式会社ほか8名に対する件(平成10年(納)251~259)
関 係 人
違反事実等
(ア)  伊丹産業株式会社,岩谷産業株式会社,上原成商事株式会社,京
和燃料協業組合,株式会社京プロ,株式会社ヤマカワ,ヤサカ商事
株式会社,伊藤忠燃料関西ガス株式会社,小谷産業株式会社,株式
会社リキッドガス京都,丹後瓦斯株式会社,高橋商事株式会社,大
陽東洋酸素株式会社,中山商事株式会社,京燃プロパンガス株式会
社,富士ヒーティング株式会社,東山液化ガス株式会社,江守石油
株式会社,舞鶴小谷産業株式会社,京都液化ガス株式会社及び大丸
工業株式会社の21名(以下「21名」という。)は,かねてから,京
都府の区域において家庭用・業務用プロパンガス(以下「プロパン
ガス」という。)の卸売業を営む者のほとんどを会員とする京都府
LPガス卸協議会の例会(会員のプロパンガスの営業責任者による
会合)と称する会合等の場において,プロパンガスの仕入価格の上
昇が見込まれる時期にあっては,これに対する対応策等について意
思の疎通を図ってきたところ,平成6年10月ころから各自のプロパ
ンガスの仕入価格が上昇し,平成7年1月以降においても更に上昇
することが見込まれたため,次のとおり,プロパンガスの小売業者
向け販売価格(以下「卸売価格」という。)の引上げについて共通
の意思を形成し,もって,プロパンガスの卸売価格を共同して引き
上げることとした。
 21名は,平成6年12月から平成7年2月までの例会等の場にお
いて,プロパンガスの卸売価格の引上げの意向の有無,引上げ幅
及び引上げ時期を相互に告知することにより,意思の疎通を図
り,各自の平成7年1月締めから同年3月締めまでに係る取引か
らプロパンガスの卸売価格を引き上げることについて共通の意思
を形成した。
 21名は,前記aに基づき,おおむね,プロパンガスの卸売価格
を引き上げていた。
(イ)  21名は,平成7年3月ころには,翌月以降の各自のプロパンガス
の仕入価格が下降に転じることが見込まれたことから,同年4月締
め以降のプロパンガスの卸売価格について,その引上げの意向の有
無等を相互に告知することにより共通の意思を形成する行為を取り
やめている。
(注)  違反行為者21名のうち,小谷産業株式会社,丹後瓦斯株式会
社,高橋商事株式会社,大陽東洋酸素株式会社,中山商事株式
会社,京燃プロパンガス株式会社,富士ヒーティング株式会
社,東山液化ガス株式会社,江守石油株式会社,舞鶴小谷産業
株式会社,京都液化ガス株式会社及び大丸工業株式会社は,課
徴金算定額が50万円未満であるため,課徴金の納付を命じてい
ない。
(9) 大有建設株式会社ほか61名に対する件及び共栄建設工業株式会社ほか
31名に対する件(平成10年(勧)第6号及び平成10年(勧)第7号)
関 係 人



違反事実等
(ア) 名古屋市発注の土木局所管の舗装工事関係(平成10年(勧)第6
号)
 関係人62社は,遅くとも平成6年4月1日以降(天徳工業株
式会社にあっては平成6年4月14日ころ以降,栄和産業株式会社
にあっては平成7年1月6日ころ以降,梅村建設株式会社にあっ
ては平成8年1月30日ころ以降。以下同じ。),名古屋市が指名
競争入札の方法により発注する土木局所管の舗装工事(以下「名
古屋市発注の特定舗装工事」という。)について,受注価格の低
落防止等を図るため,
 名古屋市から指名競争入札の参加の指名を受けた場合は,指
名業者の中から受注予定者を決定する
 受注すべき価格は受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注することができるよう
に協力する
旨の合意に基づき,
(a)  前記関係人一覧表記載の整理番号1番から47番までの47社の
地元業者(以下「地元業者」という。)にあっては,名古屋市
発注の特定舗装工事のうち,名古屋市発注の舗装工事の受注実
績が多い大有建設株式会社,大和土木株式会社,株式会社服部
組,安藤技建株式会社及び昭和土木株式会社の5社の営業部長
級の者(以下「幹事」という。)の間における協議により,前
記関係人一覧表記載の整理番号48番から62番までの15社の支店
業者(以下「支店業者」という。)を受注予定者とすべきもの
として支店業者に配分する工事(以下「支店物件」という。)
以外の工事について,
(ⅰ)  当該工事の受注希望者が1名のときは,その者を受注予定
者とする
(ⅱ)  受注希望者が複数のときは,前記特定舗装工事の最近の受
注実績,既受注工事との関連性,工事場所等を勘案し,受注
希望者の間の話合いにより,受注予定者を決定する
(ⅲ)  前記(ⅱ)により受注予定者を決定できないときは,交替で月
ごとの当番を務める幹事の助言又は裁定を受けて受注予定者
を決定する
(b)  支店業者にあっては,名古屋市発注の特定舗装工事のうち,
幹事から支店物件として配分する旨の連絡を受けた工事につい
て,
(ⅰ)  指名を受けた支店業者が1名のときは,その者を受注予定
者とする
(ⅱ)  指名を受けた支店業者が複数のときは,支店物件の当該年
度における受注実績,前記特定舗装工事について指名を受け
るようになった時期等を勘案して受注予定者を決定する
ことにより,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう
にしていた。
 62社は,前記aにより,平成6年4月1日以降,名古屋市発注
の特定舗装工事のほとんどすべてを受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,平成9年4月16日,62社のうち名古屋市発注の特
定舗装工事のほとんどを受注している者39社が出席して開催され
た会合において,前記aの合意に基づき受注予定者を決定し,受
注予定者が受注できるようにする行為を行わない旨の申合せが行
われたこと等により,62社は,事実上,受注予定者を決定する等
の行為を継続することができなくなったため,同日以降,同合意
に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにす
る行為を取りやめている。
(イ) 名古屋市水道局等発注の道路掘削跡復旧工事関係(平成10年
(勧)第7号)
(a)  関係人32社及び後表記載の旧指名業者7社(以下「旧指名7
社」という。)は,遅くとも平成6年3月1日以降(前記関係
人一覧表記載の整理番号30,32,37,53,58,59及び60の7社
にあっては,平成8年3月6日ころ以降。以下同じ。),名古屋
市水道局及び同市下水道局(以下「水道局等」という。)が指
名見積り合わせの方法により発注する道路掘削跡復旧工事(以
下「水道局等発注の復旧工事」という。)について,
(ⅰ) 指名業者の間で当該復旧工事の受注の継続性を尊重して各
工区ごとに受注予定者を決定する
(ⅱ)  見積書に記載すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定
者以外の者は,受注予定者が受注できるように協力する
旨の合意の下に,平成2年度上半期以降名古屋市水道局等発注
の道路掘削跡復旧工事を継続的に受注してきていた前記関係人
一覧表記載の整理番号2,3,4,5,13,18,21及び22の8
社(以下「8社」という。)を受注予定者とし,受注予定者が
受注できるようにしていた。
 なお,旧指名7社は,平成8年3月 6日ころ以降,水道局等
発注の復旧工事について指名されなくなったため,前記合意か
ら離脱している。
(b)  また,8社は,前記(a)の合意の下で,遅くとも平成6年3月
1日以降,水道局等発注の復旧工事について,8社が各工区に
おいて受注予定者となることを前提として,受注価格の低落防
止を図るため,指名の都度,会合を開催し,指名見積り合わせ
において提出する見積書に記載すべき工事単価について,
(ⅰ)  8社が提出する1回目から3回目までの各見積書に記載す
べき工種ごとの最低見積単価を決定する
(ⅱ)  前記(ⅰ)により決定した1回目から3回目までの各見積書の
工種ごとの最低見積単価を約10の工種ずつ8社に割り当てる
ことにより,当該最低見積単価を記載すべき者を決定する
(ⅲ)  前記(ⅱ)により最低見積単価を記載すべきこととされた者以
外の7社が2回目及び3回目の見積書に記載すべき工事単価
の上限及び下限を決定する
ことにより,8社がそれぞれ提出する1回目から3回目までの
各見積書に記載すべき工種ごとの最低見積単価等を決定してい
た。
 32社及び旧指名7社は,前記a(a)により,水道局等発注の復旧
工事について8社を受注予定者とし,さらに,8社は,前記a(b)
の決定による最低見積単価が契約単価となるようにし,当該最低
見積単価により,同復旧工事のすべてを受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,平成9年度下半期以降の水道局等発注の復旧工事
から,32社は,前記a(a)の合意に基づき受注予定者を決定し,受
注予定者が受注できるようにする行為を,また,8社は,前記a
(b)の最低見積単価等を決定する行為を取りやめている。
排除措置
(ア) 名古屋市発注の土木局所管の舗装工事関係
 62社に対し,次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成6年4月1日以降行っていた,名古屋市発注の特
定舗装工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注で
きるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を名古屋市に通知すること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後,共同して,名古屋市発注の特定舗装工事について,受
注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う
 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,名古屋市
が競争入札の方法により発注する舗装工事について,受注予定者
を決定しないこと。
(イ) 名古屋市水道局等発注の道路掘削跡復旧工事関係
 32社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(a)  遅くとも平成6年3月1日以降行っていた,水道局等発注の
復旧工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注で
きるようにしていた行為を取りやめていることを確認するこ
と。
(b)  次の事項を水道局等に通知すること。
(ⅰ)  前記(a)に基づいて採った措置
(ⅱ)  今後,共同して,名古屋市水道局又は同市下水道局が競争
入札の方法により発注する道路掘削跡復旧工事について,受
注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行
う旨
 8社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(a)  遅くとも,平成6年3月1日以降行っていた,水道局等発注
の復旧工事について,最低見積単価を決定していた行為を取り
やめていることを確認すること。
(b)  次の事項を水道局等に通知すること。
(ⅰ)  前記(a)に基づいて採った措置
(ⅱ)  今後,共同して,名古屋市水道局又は同市下水道局が競争
入札の方法により発注する道路掘削跡復旧工事について,最
低入札単価を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨

(10) 株式会社志多組ほか18名に対する件(平成10年(勧)第8号)
関 係 人

違反事実等
(ア)  関係人19社及び中央開発株式会社の20社は,遅くとも平成6年8
月5日以降(一心工業株式会社にあっては平成7年9月6日ころ以
降,旭建設株式会社にあっては平成8年8月28日ころ以降。以下同
じ。),宮崎県が指名競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競
争入札等」という。)の方法により発注する土木部及び農政水産部
所管のアンカー工事等(以下「宮崎県発注の特定アンカー工事等」
という。)について,受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を
図るため,
 宮崎県から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合は,既受
注工事との継続性,工事場所,受注実績等を勘案し,話合いによ
り,当該工事の受注予定者を決定する
 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者
は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意の下に,受注を希望する者が必要に応じ宮崎県アンカー協
会の会長の指導,助言を得るなどして話合いにより,受注予定者を
決定し,受注予定者が受注できるようにしていた。
(イ)  20社は,前記(ア)により,平成6年8月 5日以降,宮崎県発注の特
定アンカー工事等の大部分を受注していた。
(ウ)  平成9年8月27日,本件について,当委員会が独占禁止法の規定
に基づき審査を開始したところ,19社は,同日以降,前記(ア)の合意
に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする
行為を取りやめている。
排除措置
 19社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  19社は,遅くとも平成6年8月5日以降行っていた,宮崎県発注
の特定アンカー工事等について,受注予定者を決定し,受注予定者
が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認する
こと。
(イ)  次の事項を宮崎県に通知すること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後,共同して,宮崎県発注の特定アンカー工事等について,
受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う
(ウ)  19社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,宮
崎県が競争入札又は見積り合わせの方法により発注するアンカー工
事等について,受注予定者を決定しないこと。
独占禁止法第8条第1項第1号違反事件
(1) 新宮地方建設業協同組合に対する件及び那智勝浦町建設業組合に対す
る件(平成9年(勧)第12号及び平成9年(勧)第13号)
関 係 人
(ア) 新宮地方建設業協同組合

(イ) 那智勝浦町建設業組合
違反事実等
(ア) 新宮地方建設業協同組合関係(平成9年(勧)第12号)
 新宮地方建設業協同組合(以下「新宮建設組合」という。)
は,和歌山県新宮土木事務所,和歌山県東牟婁県事務所及び和歌
山県勝浦漁港事務所(以下「新宮土木事務所等」という。)が指
名競争入札の方法により発注する一般土木工事(土木工事のうち
特殊な設備又は技術を要する吹付工事及び船舶工事以外の工事。
以下同じ。)のうち,一のブロックの一定のランクに格付けされ
ている者の全員が指名を受けることとならない工事を除く工事
(以下「新宮土木事務所等発注の特定土木工事」という。)につ
いて,組合員の受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図る
ため,かねてから,入札参加の指名を受けた組合員の間で当該工
事の受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせ
てきたところ,組合員の利害が対立し,組合員の協調が危倶され
る状況が生じてきたことから,昭和52年7月22日ころに開催した
臨時総会において,改めて組合員の協調について協議・確認した
結果,従来どおり,一の工事の指名競争入札において共に指名さ
れることとなる同一ブロックの一定のランクに格付けされた組合
員の間で受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるように
させる行為を継続すること等を決定し,その旨を組合員に周知し
た。
 新宮建設組合は,前記同日ころ以降,前記決定に基づき,組合
員に,役員等の出席の下で,研修会等と称する会合を開催させ,
新宮土木事務所等発注の特定土木工事について,
(a)  入札参加の指名があったときは,受注希望の有無を勘案して
話合いにより,又はこれに代えて,年度始めにあらかじめ順番
を決めるなどして,受注予定者を定める
(b)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の組
合員は,受注予定者が受注できるように協力する
との方法により,組合員に,受注予定者を定めさせ,受注予定者
が受注できるようにさせていた。
 なお,新宮建設組合は,前記決定以降に加入した組合員につい
ては,その加入の後、最初に実施された指名競争入札から,前記
決定に基づき,受注予定者が受注できるようにさせていた。
 新宮建設組合の組合員は,前記aにより,新宮土木事務所等発
注の特定土木工事のほとんどを受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,新宮建設組合は,平成8年12月18日に開催した理
事会において,今後,組合員に,受注予定者を定めさせ,受注予
定者が受注できるようにさせる行為を取りやめることを決定し
た。
(イ) 那智勝浦町建設業組合関係(平成9年(勧)第13号)
 那智勝浦町建設業組合(以下「那智勝浦建設組合」という。)
は,那智勝浦町が指名競争入札の方法により発注する土木一式工
事(一の工事の入札において,組合員と非組合員とが共に参加の
指名を受けることとなる契約金額が200万円未満の工事を除く。
以下「那智勝浦町発注の特定土木工事」という。)について,組
合員の受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図るため,か
ねてから,入札参加の指名を受けた組合員の間で受注予定者を定
めさせ,受注予定者が受注できるようにさせてきたところ,那智
勝浦町の区域外に本店を置く有力な非組合員が新たに那智勝浦町
から前記指名を受ける状況が生じてきたことから,平成3年8月
17日ころに開催した臨時総会において,これに対処する方策につ
いて協議した結果,従来どおり,前記指名を受けた組合員の間で
受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせる行
為を継続すること等を決定した。
 那智勝浦建設組合は,前記同日ころ以降,前記決定に基づき,
那智勝浦町発注の特定土木工事について,同町から入札参加の指
名があったときは,
(a)  組合長等の役員及び前記指名を受けた組合員が出席して研修
会と称する会合を開催する
(b)  研修会において当該工事について受注を希望する組合員が1
名であるときは,当該組合員を受注予定者とし,受注を希望す
る組合員が複数あるときは,これらの組合員の間の話合いによ
り受注予定者を定めるとともに,この話合いが難航するとき
は,当該研修会の議長役又は役員が調停に当たる
(c)  受注すべき価格は受注予定者が定め,受注予定者以外の組合
員は受注予定者が受注できるように協力する
との方法により,組合員に受注予定者を定めさせ,受注予定者が
受注できるようにさせていた。
 なお,那智勝浦建設組合は,前記臨時総会の欠席者及び前記決
定以降に加入した組合員については,同総会又はその加入の後,
最初に実施された指名競争入札から,前記決定に基づき,受注予
定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせていた。
 那智勝浦建設組合の組合員は,前記aにより,那智勝浦町発注
の特定土木工事のほとんどを受注していた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,那智勝浦建設組合は,平成8年12月11日,役員の
協議に基づき,役員から組合員に対し,電話により,組合員に,
受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせてい
た行為を取りやめることを連絡し,さらに,同月29日に開催した
臨時総会において,その旨を改めて確認した。
排除措置
(ア) 新宮建設組合関係
 新宮建設組合に対し,次の措置を採るよう命じた。
 新宮建設組合は,次の事項を組合員及び新宮土木事務所等に通
知すること。
(a)  新宮土木事務所等発注の特定土木工事について,組合員に,
受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせて
いた行為を取りやめている旨
(b)  今後,新宮土木事務所等発注の特定土木工事について,組合
員に,受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるように
させる行為をせず,組合員がそれぞれ自主的に受注活動を行う
 新宮建設組合は,今後,新宮土木事務所等が競争入札の方法に
より発注する一般土木工事について,組合員に,受注予定者を定
めさせ,受注予定者が受注できるようにさせる行為をしないこ
と。
(イ) 那智勝浦建設組合関係
 那智勝浦建設組合に対し,次の措置を採るよう命じた。
 那智勝浦建設組合は,次の事項を組合員及び那智勝浦町に通知
すること。
(a)  那智勝浦町発注の特定土木工事について,組合員に,受注予
定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせていた行
為を取りやめている旨
(b)  今後,那智勝浦町発注の特定土木工事について,組合員に,
受注予定者が受注できるようにさせる行為をせず,組合員がそ
れぞれに自主的に受注活動を行う旨
 那智勝浦建設組合は,今後,那智勝浦町が競争入札の方法によ
り発注する土木一式工事について,組合員に,受注予定者を定め
させ,受注予定者が受注できるようにさせる行為をしないこと。
(2) 尾北建設協会に対する件(平成10年(勧)第5号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 尾北建設協会(以下「尾北協会」という。)は,かねてから,
愛知県名古屋土木事務所(以下「名古屋土木事務所」という。)
が指名競争入札の方法により発注する一般土木工事(以下「名古
屋土木事務所発注の一般土木工事」という。)について,会員の
受注価格の低落防止を図るため,受注希望会員を尾北協会の会議
室に集合させるなどして,受注予定者を定めさせ,受注予定者が
受注できるようにさせていたところ,平成4年7月21日,前記行
為に関する報道がなされたこと等により,同月22日ころに緊急に
開催した役員会において,受注予定者の決定方法を見直し,受注
希望会員を尾北協会の会議室に集合させることを取りやめ,以
後,指名を受けた会員の間で受注を希望する工事を確認させるこ
とを決定し,その他の方法は従来どおり次の方法によることと
し,その旨を会員に周知した。
(a)  受注希望会員が1名の場合はその者を受注予定者とし,受注
希望会員が複数の場合は受注希望会員の間の話合いにより受注
予定者を定める。
(b)  前記(a)の話合いが難航した場合は,月当番(役員会の下に置
かれた物価調査委員会において交替で月ごとの当番を務める構
成員をいう。)の助言又は指導を受けて受注予定者を定める。
(c)  受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の会
員は,受注予定者が受注できるように協力する。
 尾北脇会は,前記aに基づき,平成4年7月22日ころ以降,名
古屋土木事務所発注の一般土木工事について,指名を受けた会員
の間で受注を希望する工事を確認させるなどして,会員に,受注
予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせていた。
(イ)  尾北協会の会員は,前記(ア)により,名古屋土木事務所発注の一般
土木工事のほとんどすべてを受注していた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,尾北協会は,平成9年4月2日に開催した役員会にお
いて,物価調査委員会を廃止するとともに,今後,会員に受注予定
者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせている行為を取
りやめることを決定し,その旨を会員に周知した。
排除措置
 尾北協会に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  尾北協会は,次の事項を名古屋土木事務所に通知するとともに,
会員に周知徹底させること。
 平成4年7月22日ころ以降行っていた,名古屋土木事務所発注
の一般土木工事について,会員に,受注予定者を定めさせ,受注
予定者が受注できるようにさせていた行為を取りやめている旨
 今後,名古屋土木事務所発注の一般土木工事について,会員
に,受注予定者を定めさせ,受注予定者が受注できるようにさせ
る行為をせず,会員がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(イ)  尾北協会は,今後,名古屋土木事務所が競争入札の方法により発
注する一般土木工事について,会員に,受注予定者を定めさせ,受
注予定者が受注できるようにさせる行為をしないこと。
独占禁止法第19条違反事件
(1) 山口県経済農業協同組合連合会に対する件(平成9年(勧)第6号)
関係人の概要
違反事実等
(ア)
 山口県経済農業協同組合連合会(以下「山口県経済連」とい
う。)は,かねてから,農薬及び肥料の供給事業について,会員
農協の需要をできるだけ多く自己に集約するため,会員農協に対
し,農家に対する営農指導のための情報提供,奨励金の支給等各
種の施策を講じているところ,その施策の一つとして,農薬及び
肥料の取引において,会員農協の仕入高全体に占める自己からの
仕入高の比率(以下「経済連利用率」という。)等を基準に会員
農協に対し奨励金を支給する奨励措置を講じてきたところ,広域
合併農協の増加に対し,農業及び肥料の取扱量の増大が見込まれ
る広域合併農協の経済連利用率を高めること等を目的に,平成6
年3月25日,奨励措置の内容を改めた「系統肥料農薬事業機能強
化対策要領」(以下「系統事業対策要領」という。)を定め,同
日,会員農協に対し文書で通知した。
 系統事業対策要領に基づく奨励措置の内容は,農薬及び肥料の
取引に関し,年度当初に経済連利用率を90パーセント以上とする
利用計画を策定すること,各種予約制度に積極的に取り組むこ
と,計画的な発注を実施すること等の奨励金支給要件を満たす会
員農協に対し,年度当初に策定した前記利用計画の達成率並びに
山口県経済連からの農薬及び肥料の仕入高の合計額を基準とし
て,これらに対応する後表記載の奨励率を適用し,農薬及び肥料
のそれぞれの仕入高に前記奨励率を乗じて算出した額を奨励金と
して支給するものであり,従前の奨励措置の内容に比べて,山口
県経済連からの農薬及び肥料の仕入高の多い会員農協に対する奨
励率が引き上げられている。
(イ)  その後,山口県経済連は,全国農業協同組合連合会から,経済連
利用率を90パーセント以上とする利用計画を策定することを要件と
する奨励措置の実施は独占禁止法に違反するおそれがある旨の指摘
を受けたことから,平成7年2月17日,系統事業対策要領の一部を
改正し,奨励金の支給要件のうち,年度当初に経済連利用率を90
パーセント以上とする利用計画を策定することとしていた要件を,
年度当初に山口県経済連と協議の上,利用計画を策定することとす
ることに改めた。
 しかしながら,山口県経済連は,引き続き経済連利用率を高め又
は維持するため,改正後の系統事業対策要領に基づく奨励措置の運
用においては,利用計画の策定に係る自己との協議において,改正
前の経済連利用率を90パーセント以上とする利用計画を策定するこ
とを要件としている。
(ウ)  山口県経済連の系統事業対策要領に基づく奨励措置の運用状況
は,次のとおりである。
 山口県経済連は,年度当初に会員農協に対し,各地区内の推定
需要量を基に算定した農薬及び肥料の経済連利用率90パーセント
に相当する仕入高を提示し,会員農協の大部分から当該仕入高を
年間の利用計画とする系統肥料農薬事業機能強化対策取扱計画書
を提出させている。また,山口県経済連は,利用計画の達成を促
進するため,利用計画の達成状況を示した進度表を作成し,年度
末等所要の時期に会員農協に提示している。
 山口県経済連は,毎年度終了後に,会員農協ごとに利用計画の
達成状況等を調査し,前記利用計画の達成率及び山口県経済連か
らの仕入高の合計額を基準として,これらに対応する後表記載の
奨励率を適用し,奨励金を支給しているところ,前記奨励率の適
用に当たっては,次のとおり,経済連利用率を重視するととも
に,農薬及び肥料を相互に関連付けて一体的に取り扱う運用を
行っている。
(a)  利用計画を達成している場合には,達成率100パーセントに
対応する奨励率を適用しているが,達成していない場合には,
実際の達成率を基準に奨励率を確定することに代えて,経済連
利用率を調査し,経済連利用率が90パーセント以上であること
が確認されたときは,達成率が100パーセントに達したものと
みなして達成率100パーセントに対応する奨励率を適用するな
ど,経済連利用率を基にみなしの達成率を算定し,その達成率
に対応する後表記載の奨励率を適用している。
(b)  前記(a)の利用計画の達成状況や経済連利用率に基づく奨励率
の適用に当たっては,農薬又は肥料のいずれか一方の利用計画
が達成されない場合には,双方について利用計画が達成されな
かったものとして扱い,また,経済連利用率についても,いず
れか低い方の利用率をもって双方についての経済連利用率とす
ることとして運用している。
(エ)  会員農協の大部分は,系統事業対策要領に基づく奨励措置として
支給される奨励金を重要な収益源として位置付けており,自らの事
業計画に織り込んだ奨励金を計画どおり受給できるようにするた
め,山口県経済連に提出した農薬及び肥料の利用計画を達成するよ
う努めており,農薬及び肥料について高水準の経済達利用率を維持
している。
排除措置
 山口県経済連に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  山口県経済連は,平成6年3月に定めた系統事業対策要領に基づ
く,経済連利用率等を基準に奨励金を支給することを内容とする農
薬及び肥料の取引に関する奨励措置を廃止すること。
(イ)  山口県経済連は,前記(ア)に基づいて採った措置を会員農協及び会
員農協に農薬又は肥料を供給する者に周知徹底させること。
後表
(2) 東北セルラー電話株式会社に対する件(平成9年(勤)第11号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 東北セルラー電話株式会社(以下「東北セルラー」という。)
は,かねてから,一般代理店から,東北セルラーが「cellular」
の商標を付した携帯電話機(以下「セルラーブランド電話機」と
いう。)の安売りへの対応策の要請を受け,対策を検討していた
ところ,取引先代理店及び取扱店(以下「代理店等」という。)
が他の代理店等よりも低い価格を表示してセルラーブランド電話
機を販売すると,これに対抗して価格の引下げが行われ,市場価
格が低下することとなることから,市場価格の安定を図るため,
平成8年7月15日,代理店等が新聞折り込み広告,新聞広告,店
頭等において表示するセルラーブランド電話機の販売価格につい
て,次の措置を講ずることとした。
(a)  HP-10K等5機種の電話機について,機種ごとに販売価格
を表示する場合の最低価格(以下「下限価格」という。)を定
め,代理店等に対し,今後,同価格を下回る価格での価格表示
を行わせないこと。
(b)  代理店等が,下限価格を下回る価格での価格表示を行った場
合は,新製品及び売れ筋商品の出荷を差し控えること。
 東北セルラーは,平成8年7月16日以降,同社の各支店を通
じ,取引先代理店に対し,前記aの措置の内容を文書又は口頭で
伝えるとともに,広域代理店に対しては,さらに,同月19日に開
催した広域代理店会において同措置の内容を伝え,取扱店への周
知を要請した。
 東北セルラーは,平成8年7月24日以降,新機種の発売の都度
及び新規加入料を廃止した時期に,機種ごとの下限価格を定め,
同社の各支店を通じ,代理店等が同価格を下回る価格での価格表
示を行わないよう取引先代理店に要請した。
(イ)
 東北セルラーは,前記(ア)の実効を確保するため,代理店等が,
セルラーブランド電話機について,新聞折り込み広告,新聞広
告,店頭等において下限価格を下回る価格での価格表示を行った
ときは,表示価格を下限価格に改めさせる等の措置を講じてき
た。
(ウ)  東北セルラーは,前記(ア)及び(イ)の行為により,代理店等に,セル
ラーブランド電話機について,新聞折り込み広告,新聞広告,店頭
等において販売価格を表示するに当たっては,おおむね,下限価格
以上で価格表示を行うようにさせていた。
(エ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,東北セルラーは,平成9年4月以降,代理店等に対
し,セルラーブランド電話機について,下限価格を下回る価格での
価格表示を行わないようにさせる行為を取りやめている。
排除措置
 東北セルラーに対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア) 東北セルラーは,次の事項を代理店等及び一般消費者に周知徹底
させること。
 代理店等に対し,セルラーブランド電話機の販売に関し,新聞
折り込み広告,新聞広告,店頭等において販売価格を表示する場
合,東北セルラーの定めた最低価格を下回る価格での価格表示を
行わないようにさせる行為を取りやめていること
 今後,前記aの行為と同様の行為を行わないこと
(イ) 東北セルラーは,今後,セルラーブランド電話機の販売に関し,
前記(ア)aの行為と同様の行為により,代理店等が新聞折り込み広
告,新聞広告,店頭等において表示する価格について制限しないこ
と。
(3) 株式会社ホビージャパンに対する件(平成9年(勧)第14号)
関 係 人
違反事実等
(ア)
 株式会社ホビージャパン(以下「ホビージャパン」という。)
は,平成7年10月ころから,アメリカ合衆国所在のウィザーズ・
オブ・ザ・ゴースト社(以下「ウィザード社」という。)が製造
している「マジック:ザ・ギャザリング」と称するトレーディン
グカードゲーム(以下「マジック」という。)の英語版の並行輸
入品を国内において取り扱う輸入販売業者(以下「並行輸入業
者」という。)がマジックの英語版の並行輸入品をホビージャパ
ンがウィザード社と協議の下に定めた希望小売価格(以下「希望
小売価格」という。)を下回る価格で販売(以下「値引き販売」
という。)している旨の情報がホビージャパンに入るようになっ
てきたこと,また,平成8年以降にマジックの日本語版を発売す
る予定になっていたことから,マジックの小売価格の水準を維持
するため,平成7年11月ころから,マジックの取引開始時に取引
先卸売業者に対し,並行輸入業者,並行輸入業者からマジックを
購入している小売業者等マジックを値引き販売するおそれのある
小売業者(以下「並行輸入品取扱業者等」というら)にはマジッ
クを販売しないよう要請し,また,小売業者に対し,自ら又は取
引先卸売業者を通じて,マジックを希望小売価格で販売するよう
要請している。
 ホビージャパンは,取引先卸売業者に,前記aの要請のうち並
行輸入品取扱業者等にはマジックを販売しない旨の要請を受け入
れるようにさせるため,次の措置を講じている。
(a)  取引先卸売業者に対し,マジックを販売するすべての取引先
小売業者の名簿を提出させ,同名簿に並行輸入品取扱業者等が
含まれている場合には,取引先卸売業者に対し,並行輸入品取
扱業者等にはマジックを販売しないようにさせている。
(b)  平成8年4月ころから平成9年1月ころまでの間に,マジッ
クの日本語版に取引先卸売業者別に定めた色で印を付すととも
に,並行輸入品取扱業者等の店舗を調査し,取引先卸売業者の
マジックの販売先を監視していた。
 ホビージャパンは,前記bの措置を講ずることによって並行輸
入品取扱業者等が同社から取引先卸売業者を通じてマジックを購
入することが困難になっている状況において,小売業者に,前記
aの要請のうち,マジックを希望小売価格で販売する旨の要請を
受け入れるようにさせるため,次の措置を講じている。
(a)  周辺小売業者からの苦情等に基づき,マジックを値引き販売
している小売業者に対し,取引先卸売業者を通じて,希望小売
価格で販売するよう要請し,値引き販売をやめさせている。
(b)  マジックを値引き販売したいと申し出た小売業者に対し,自
ら又は取引先卸売業者を通じて,希望小売価格で販売するよう
要請し,値引き販売を行わないようにさせている。
(c)  首都圏にマジックを販売する6の店舗を有し,マジックの英
語版の並行輸入品を値引き販売していた埼玉県に本店を置く小
売業者に対し,平成8年6月ころにマジックを希望小売価格で
販売すること等を内容とする同意契約を自己との間において締
結させ,マジックを供給している。
(イ)  ホビージャパンの前記(ア)の行為により,取引先卸売業者は,並行
輸入品取扱業者等に対するマジックの販売を制限しており,また,
小売業者は,おおむね,希望小売価格でマジックを販売している。
(ウ)  ホビージャパンは,前記のに基づいて採った措置を取引先卸売業
者及び並行輸人品を販売している小売業者に,前記(イ)に基づいて
探った措置をホビージャパンが販売するマジックを取り扱っている
販売業者及び一般消費者に,それぞれ周知徹底させること。
(エ)  ホビージャパンは,今後,前記(ア)の行為と同様の行為により,取
引先卸売業者の販売先を制限しないこと,また,前記(イ)の行為と同
様の行為により,小売業者の販売価格を制限しないこと。
排除措置
 ホビージャパンに対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  ホビージャパンは,マジックの販売に関し,取引先卸売業者に対
し,並行輸入品取扱業者等にマジックを販売しないよう要請し,マ
ジックを販売する小売店舗の登録・承認制度の利用により,並行輸
入品取扱業者等にマジックを販売しないようにさせている行為を取
りやめること。また,ホビージャパンは,取引先卸売業者に対し,
並行輸入品取扱業者等にマジックを販売しないようにさせるため
に,マジックの日本語版に取引先卸売業者別に定めた色で印を付
し,取引先卸売業者の販売先を監視する行為を取りやめていること
を確認すること。
(イ)  ホビージャパンは,マジックの販売に関し,自ら又は取引先卸売
業者を通じて,小売業者に対し,希望小売価格でマジックを販売す
るよう要請し,値引き販売している小売業者又は値引き販売したい
と申し出た小売業者に対する希望小売価格での販売要請,並行輸入
品取扱業者等との同意契約の締結により,希望小売価格で販売する
ようにさせている行為を取りやめること。
(ウ)  ホビージャパンは,前記(ア)に基づいて探った措置を取引先卸売業
者及び並行輸人品を販売している小売業者に,前記(イ)に基づいて
探った措置をホビージャパンが販売するマジックを取り扱っている
販売業者及び一般消費者に,それぞれ周知徹底させること。
(エ)  ホビージャパンは,今後,前記(ア)の行為と同様の行為により,取
引先卸売業者の販売先を制限しないこと,また,前記(イ)の行為と同
様の行為により,小売業者の販売価格を制限しないこと。
(4) エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社に対する件,株式会社東京デジ
タルホンに対する件及び株式会社ツーカーセルラー東京に対する件(平
成9年(勧)第16号,平成9年(勧)第17号及び平成9年(勧)第18号)
関 係 人
違反事実等
(ア) エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社関係(平成9年(勧)第16
号)
(a)  エヌ ・ティ・ティ移動通信網株式会社(以下「NTTドコ
モ」という。)は,平成6年4月から従来の方法による携帯電
話機の提供に加え,携帯電話機の販売を開始するに当たり,平
成5年末ころから,携帯電話機の販売施策等の検討等を行う中
で,平成6年1月ころまでに,「NTT DoCoMo」の商
標を付した携帯電話機(以下「ドコモブランド電話機」とい
う。)の市場価格の安定を図るため,ドコモブランド電話機の
一般消費者に対する販売価格は,取引先代理店(以下「一次代
理店」という。)及び一次代理店から直接若しくは間接に仕入
れて小売販売を行う販売店(以下「二次代理店等」という。)
においても,NTTドコモの各支店に設置する店舗(以下「ド
コモ直営店」という。)の販売価格と同一の販売価格とすべき
である等の方針が形成されたことから,平成6年1月ころから
3月ころまでの間に支店長会議,営業・販売担当部長会議等の
場において,代理店に対しドコモブランド電話機をドコモ直営
店における販売価格(以下「ドコモ直営店価格」という。)で
一般消費者に販売させることを営業担当者等に周知した。
(b)  NTTドコモは,平成6年4月以降,ドコモブランド電話機
のドコモ直営店価格を設定又は改定した場合には,一次代理店
に対し,ドコモ直営店価格を通知するとともに,一次代理店と
の商談の際などにおいて,一次代理店に対し,ドコモブランド
電話機をドコモ直営店価格で一般消費者に販売すること及び二
次代理店等がドコモ直営店価格で一般消費者に販売するよう指
導することを要請していた。
 前記通知及び要請を受けた一次代理店は,取引先二次代理店
に対し,ドコモ直営店価格を通知するとともに,同様の要請を
行っていた。
(c)  NTTドコモは,前記(a)及び(b)の実効を確保するため,一次
代理店及び二次代理店等(以下「代理店」という。)からの苦
情等を通じて,二次代理店等がドコモ直営店価格を下回る価格
で一般消費者に販売していることが判明した場合は,当該二次
代理店等の仕入先である一次代理店に対し,当該二次代理店等
がドコモ直営店価格を下回る価格で販売しないようにさせるよ
う要請し,当該一次代理店をして当該二次代理店等がドコモ直
営店価格を下回る価格で販売することをやめさせるほか,当該
一次代理店に今後当該二次代理店等にドコモ直営店価格で販売
させることを約す旨等の文書を提出させる,当該一次代理店に
対し出荷を一時停止する,当該一次代理店をして当該二次代理
店等との取引を停止させる等の措置を講じていた。
 NTTドコモは,前記aの行為により,代理店に対し,ドコモ
ブランド電話機について,おおむね,ドコモ直営店価格で一般消
費者に販売させていた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,NTTドコモは,平成8年12月以降,ドコモブラ
ンド電話機について,代理店に対し,ドコモ直営店価格で一般消
費者に販売させる行為を取りやめている。
(イ) 株式会社東京デジタルホン関係(平成9年(勧)第17号)
(a)  株式会社東京デジタルホン(以下「東京デジタルホン」とい
う。)は,「Digital Phone」又は「J‐PHONE」の商標を
付した携帯電話機(以下「デジタルホンブランド電話機」とい
う。)の販売に際し,平成6年2月ころからデジタルホンブラ
ンド電話機に希望小売価格を定めるとともに,同年10月ころか
ら希望小売価格とは別に市場価格を考慮した想定価格(以下
「想定価格」という。)と称する価格を定めて取引先代理店及
び取次店(以下「代理店等」という。)と取引してきたが,平
成7年に入り,代理店等の中に想定価格を下回る価格で販売す
る者が現れたこと等から,デジタルホンプランド電話機の市場
価格低下の拡大等を懸念するに至った。
 このため,東京デジタルホンは,前記市場価格の安定を図る
ため,平成7年4月ころ,デジタルホンブランド電話機につい
て,代理店等が一般消費者に販売する価格として目標価格と称
する価格(デジタルホンブランド電話機の本体価格及び同付属
品価格並びに新規加入料及び契約事務手数料を合わせた価格。
以下「目標価格」という。)を各機種ごとに定めることとし,
代理店等に対し,目標価格で一般消費者に販売させ,その実効
を確保するため,店頭,新聞折り込み広告等に販売価格を表示
する場合は目標価格で表示させることとした。
(b)  東京デジタルホンは,平成7年5月ころ以降,デジタルホン
プランド電話機について,目標価格を定め又は改定した場合に
は,取引先代理店に対し,目標価格を通知するとともに,目標
価格で一般消費者に販売するよう,また,店頭,新聞折り込み
広告等に販売価格を表示する場合は目標価格で表示するよう要
請し,併せて,同通知及び要請の内容を取次店に周知するよう
要請していた。
 前記通知及び要請を受けた取引先代理店は,これを取次店に
周知していた。
(c)  東京デジタルホンは,前記(a)及び(b)の実効を確保するため,
デジタルホンブランド電話機の販売に関し,代理店等の新聞折
り込み広告等の事前提出,小売店舗の巡回,新聞折り込み広告
等の収集等による販売価格調査,代理店等からの他の代理店等
の販売価格を表示した新聞折り込み広告等の報告等を通じて,
代理店等が目標価格を下回る価格で一般消費者に販売したこと
又は店頭,新聞折り込み広告等に目標価格を下回る販売価格を
表示したことが判明した場合は,自ら当該取引先代理店に対し
又は取引先代理店をして当該取次店に対し,同販売価格又は同
表示価格を目標価格に改めさせるほか,販売促進のために支給
する特別販売奨励金の削減,デジタルホンブランド電話機の出
荷制限,出荷停止,取引契約の解除等の措置を講じていた。
 東京デジタルホンは,前記aの行為により,代理店等に対し,
デジタルホンブランド電話機について,おおむね,目標価格で一
般消費者に販売させていた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,東京デジタルホンは,平成8年12月以降,デジタ
ルホンブランド電話機について,代理店等に対し,目標価格で一
般消費者に販売させる行為を取りやめている。
(ウ) 株式会社ツーカーセルラー東京関係(平成9年(勧)第18号)
(a)  株式会社ツーカーセルラー東京(以下「ツーカーセルラー東
京」という。)は,「Tu‐Ka」の商標を付した携帯電話機
く以下「ツーカーブランド電話機」という。)の販売に際し,
平成6年2月ころからツーカープランド電話機に希望小売価格
を定めて取引先代理店及び取引先代理店から仕入れて小売販売
を行う取次店(以下「取次店」という。)と取引してきたが,
同年8月ころから取引先代理店及び取次店(以下「代理店等」
という。)の中に希望小売価格を下回る価格で販売する者が現
れたこと等から,ツーカーブランド電話機の市場価格低下の拡
大等を懸念するに至った。
 このため,ツーカーセルラー東京は,前記市場価格の安定を
図るため,平成6年10月ころに開催した営業本部運営会議にお
いて,ツーカーブランド電話機について,代理店等が一般消費
者に販売する価格として値入基準価格と称する価格(ツーカー
ブランド電話機の本体価格及び同付属品価格並びに新規加入料
及び契約事務手数料を合わせた価格。以下「値入基準価格」と
いう。)を各機種ごとに定め,
(ⅰ)  代理店等に対し,値入基準価格で一般消費者に販売させ,
代理店等が値入基準価格を下回る価格で販売した場合は,自
ら当該取引先代理店に対し又は取引先代理店をして当該取次
店に対し,同販売価格を値入基準価格に改めさせる
(ⅱ)  代理店等に対し,前記(ⅰ)の実効を確保するため,店頭,新
聞折り込み広告等に販売価格を表示する場合は値入基準価格
で表示させ,代理店等が値入基準価格を下回る価格で表示し
た場合は,自ら当該取引先代理店に対し又は取引先代理店を
して当該取次店に対し,同表示価格を値人基準価格に改めさ
せる
こととした。
(b)  ツーカーセルラー東京は,平成6年10月ころ以降,ツーカー
ブランド電話機について,値入基準価格を定め又は改定した場
合には,取引先代理店に対し,値入基準価格を通知するととも
に,値入基準価格で一般消費者に販売するよう,また,店頭,
新聞折り込み広告等に販売価格を表示する場合は値入基準価格
で表示するよう要請し,併せて,同通知及び要請の内容を取次
店に周知するよう要請していた。
 前記通知及び要請を受けた取引先代理店は,これを取次店に
周知していた。
 ツーカーセルラー東京は,平成8年10月ころに開催した営業
本部運営会議において,前記(a)の措置内容を引き続き実行する
旨を確認した。
 ツーカーセルラー東京は,前記aの実効を確保するため,ツー
カーブランド電話機の販売に関し,代理店等の新聞折り込み広告
等の事前提出,小売店舗の巡回等による販売価格調査,代理店等
からの他の代理店等の販売価格を表示した新聞折り込み広告等の
報告等を通じて,代理店等が値入基準価格を下回る価格で一般消
費者に販売したこと又は店頭,新聞折り込み広告等に値入基準価
格を下回る販売価格を表示したことが判明した場合は,自ら当該
取引先代理店に対し又は取引先代理店をして当該取次店に対し,
同販売価格又は同表示価格を値人基準価格に改めさせるほか,
ツーカーブランド電話機の出荷制限,出荷停止等の措置を講じて
いた。
 ツーカーセルラー東京は,前記a及びbの行為により,代理店
等に対し,ツーカープランド電話機について,おおむね,値入基
準価格で一般消費者に販売させていた。
 本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開
始したところ,ツーカーセルラー東京は,平成8年12月以降,
ツーカーブランド電話機について,代理店等に対し,値入基準価
格で一般消費者に販売させる行為を取りやめている。
排除措置
 3社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア) NTTドコモ関係
 NTTドコモは,次の事項を代理店及び一般消費者に周知徹底
させること。
(a)  ドコモブランド電話機の販売に関し,代理店に対し,NTT
ドコモの定めたドコモ直営店価格で一般消費者に販売するよう
にさせる行為を取りやめていること
(b)   今後,前記(a)と同様の行為を行わないこと
 NTTドコモは,今後,ドコモブランド電話機の販売に関し,
前記(a)の行為と同様の行為により,代理店の一般消費者に対する
販売価格を制限しないこと。
(イ) 東京デジタルホン及びツーカーセルラー東京関係
 2社は,それぞれ,次の事項を代理店等及び一般消費者に周知
徹底させること。
(a)  自社の商標を付した電話機(以下「自社ブランド電話機」と
いう。)の販売に関し,代理店等に対し,自社の定めた価格で
一般消費者に販売するようにさせ,また,店頭,新聞折り込み
広告等に販売価格を表示する場合は当該価格で表示するように
させる行為を取りやめていること
(b)  今後,前記(a)と同様の行為を行わないこと
 今後,自社ブランド電話機の販売に関し,前記(a)の行為と同様
の行為により,代理店等の一般消費者に対する販売価格を制限し
ないこと。
(5) 株式会社北國新聞社に対する件(平成9年(勧)第26号)
関 係 人
違反事実等
(ア)  株式会社北國新聞社(以下「北國新聞社」という。)は,かねて
から,「北國新聞」と題する一般日刊新聞(以下「北國新聞」とい
う。)の発行部数を拡大する観点から,毎月,北國新聞を取り扱う
新聞販売業者(以下「新聞販売店」という。)に対し,翌月におけ
る北國新聞社との取引の目標部数(以下単に「目標部数」とい
う。)を設定し,これを新聞販売店に提示することにより,ほぼ目
標部数どおりの部数で新聞販売店と取引していた。
(イ)
 北國新聞社は,北國新聞の朝刊について,平成4年5月ころ,
発行部数を大幅に拡大するため,その発行部数を約3万部増紙し
て30万部にすることを内容とするイーグル作戦と称する増紙計画
を策定し,同計画を販売方針として新聞販売店に周知し,その
後,同計画に基づき,毎月,大部分の新聞販売店に対して,注文
部数(新聞販売店が実際に販売している部数に正常な商慣習に照
らして適当と認められる予備紙等を加えた部数。以下同じ。)を
著しく上回る部数を翌月の目標部数として設定している。
 また,北國新聞社は,北國新聞の夕刊について,平成7年1月
ころ以降,実配部数(新聞販売店が実際に販売している北國新聞
の部数として新聞販売店から毎月報告を徴している実配数と称す
る部数)の合計を大幅に上回る約11万部の発行水準を維持するた
め,毎月,大部分の新聞販売店に対して,注文部数を著しく上回
る部数を翌月の目標部数として設定している。
 北國新聞社は,毎月,前記aの目標部数を新聞販売店に対して
提示することにより,ほぼ目標部数どおりの部数で新聞販売店と・
取引している。
(ウ)  北國新聞社は,前記(イ)により,大部分の新聞販売店に対し,その
注文部数を著しく超えて供給しており,その結果,新聞販売店にお
いては,相当部数の販売残紙が生じ,経済上の不利益を受けてい
る。
排除措置
 北國新聞社に対し,次の措置を採るよう命じた。
(ア)  新聞販売店に対し,同社が定める取引の目標部数を提示してほぼ
目標部数どおりの部数で取引することにより,注文部数を超えて供
給することを取りやめること。
(イ)  新聞販売店が注文部数を自主的に決定し得るようにするための措
置を講ずること。
(ウ)  前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置を新聞販売店に周知徹底させ
ること。
審判開始決定事件
(1) ミツワ自動車株式会社に対する件(平成9年(判)第6号)
関 係 人
審判開始決定の内容
(ア)  ミツワ自動車株式会社(以下「ミツワ自動車」という。)は,平
成7年6月ころ,ドイツ連邦共和国(以下「ドイツ」という。)所
在のドクトル・インジニール・ハー・ツエー・エフ・ポルシエ・ア
クチエンゲゼルシヤフト(以下「ポルシェ社」という。)が製造す
る自動車(以下「ポルシェ車」という。)の新年式車である並行輸
入車(ポルシェ車の並行輸入品をいう。以下同じ。)が希望小売価
格の約35パーセント引きの価格で販売される旨の広告に接したこと
から,このような並行輸入車の販売を放置しておくと,同様の輸入
販売業者(並行輸入車を取り扱う輸入販売業者をいう。以下同
じ。)が増えることに伴い,並行輸入車の販売台数も増加すること
になるため,自己の取引先である代理店の小売価格に影響を及ぼ
し,ひいては自己の営業活動等に悪影響が出るおそれがあることか
ら,今後,並行輸入車が希望小売価格を相当程度下回る価格で大量
に販売される場合には,並行輸入車に付された車台番号を調査して
これをポルシェ社に通知し,ポルシェ社をして供給経路を調査さ
せ,並行輸入車を減らすための対策を採るよう求めることとし,そ
の旨を同月26日ころ,ポルシェ社に対し要請した。
(イ)  ミツワ自動車が前記のに基づいて採った具体的な行為を示すと,
次のとおりである。
 東京都に所在する輸入販売業者は,平成8年6月ころ,ドイツ
所在の海外販売業者から新年式車である並行輸入車15台を輸入す
ることとし,これを自己の店舗において希望小売価格の約20パー
セント引きの価格で販売する旨を同年7月31日付けの新聞により
広告した。
 ミツワ自動車は,前記広告の並行輸入車について店頭調査を行
い,当該並行輸入車1台に付された重合番号を確認し,これを,
平成8年8月8日ころ,ポルシェ社に通知した。
 ポルシェ社は,通知を受けた車台番号から,当該ポルシェ車が
中華人民共和国の輸入総代理店向けに販売されたものであること
が判明したので,同輸入総代理店に対し,平成8年8月8日こ
ろ,書面により前記輸入販売業者に供給したことについて遺憾の
意を表明するとともに,今後,日本向けに供給しないよう警告し
た。
 また,ポルシェ社は,平成8年8月中旬ころ,ミツワ自動車に
対し,当該ポルシェ車は前記輸入総代理店向けに販売したもので
ある旨を回答した。
 ミツワ自動車は,前記aの回答を受けて,引き続き前記輸入販
売業者を調査するとともに,前記輸入総代理店から他の輸入販売
業者にもポルシェ車が供給されているとの懸念も生じたため,平
成8年9月ころ,東京都,愛知県及び大阪府に所在する輸入販売
業者9社の店頭調査を行い,大阪府に所在する大手輸入販売業者
(以下「大手輸入販売業者」という。)ほか2社の店舗において
並行輸入車8台の車台番号を確認し,これを同年10月8 日ころ,
ポルシェ社に通知した。
 ポルシェ社は,通知を受けた車台番号から,そのうち,新年式
車である4台のポルシェ車についても前記輸入総代理店向けに販
売したものであることが判明したので,同輸入総代理店に対し,
同日ころ,書面により,ポルシェ車を日本向けに供給しないよう
重ねて警告した。
 また,ポルシェ社は,同日ころ,ミツワ自動車に対し,前記4
台についても前記輸入総代理店向けに販売したものである旨を回
答した。
 ミツワ自動車は,前記4台のうち3台が大手輸入販売業者によ
り販売されていたものであったことから,平成8年12月から平成
9年1月ころ,大手輸入販売業者の店頭調査を行うとともに,あ
わせて,主として自動車雑誌に広告を掲載している東京都,愛知
県及び京都府に所在する輸入販売業者6社の店頭調査を行い,う
ち,大手輸入販売業者の店舗において,並行輸入車15台の車台番
号を確認し,これを,平成9年1月14日ころ,ポルシェ社に通知
した。
 ポルシェ社は,通知を受けた車台番号から,そのうち,新年式
車である6台のポルシェ車についても前記輸入総代理店向けに販
売したものであることが判明したので,ミツワ自動車に対し,平
成9年1月14日ころ,その旨を回答した。
 また,ポルシェ社は,平成9年2月26日ころ,ミツワ自動車に
対し,前記輸入総代理店からの受注を断ることとし,同輸入総代
理店から既に受注しているポルシェ車については,日本に供給さ
れることが明らかな場合は出荷しないこととした旨を通知した。
(ウ)  ミツワ自動車は,平成9年3月3日ころ,ドイツで開催されたポ
ルシェ社及び前記輸入総代理店との3者による会合に参加し,同会
合において同輸入総代理店が日本の輸入販売業者にポルシェ車を供
給していることについて抗議するとともに,ポルシェ社に対し,今
後,かかる行為が行われることのないよう必要な是正措置を講じる
よう要請した。
(エ)  ポルシェ社は,平成9年6月ころ,前記輸入総代理店との取引を
停止した。
(オ)  ミツワ自動車の前記行為により,前記(イ)aの輸入販売業者並びに
前記(イ)b及びcの大手輸入販売業者は,前記輸入総代理店の供給に
係るポルシェ車について,海外販売業者からの並行輸入を行い,国
内において販売することができなくなっている。
(2) 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントに対する件(平成
10年(判)第1号)
関 係 人
審判開始決定の内容
(ア)
 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下「S
CE」という。)は,平成5年11月ころから家庭用テレビゲーム
機等の製造及び販売の事業への参入について検討する中で,従
来,需給の不均衡が生じてソフトウェアの値引き販売及び中古ソ
フトウェアの売買が行われ,家庭用テレビゲーム機製造業者及び
ソフトウェア製造業者の利益が損なわれているとの認識を持ち,
平成6年6月ころまでの間に,短期間で製造できるというPSソ
フト(プレイステーションと称する家庭用テレビゲーム機(以下
「PSハード」という。)用ソフトウェア。以下同じ。)の特性を
生かした販売方法によってこれらの弊害を除去するとの方針を採
るとともに,取引先小売業者及び取引先卸売業者に対し,次の販
売方針を遵守させることとした。
(a)  小売業者は,PSソフトの販売に当たっては希望小売価格で
販売すること
(b)  小売業者は,PSソフトの中古品の取扱いをしないこと
(c)  PSハード,PSソフト等(以下「PS製品」という。)
を,小売業者は一般消費者のみに販売すること,また,卸売業
者は小売業者のみに販売するとともに取引先の小売業者に一般
消費者のみに販売させること
 SCEは,平成6年6月ころから,販売業者とPS製品の取引
契約を締結するための交渉を開始したところ,同交渉に際し,自
ら直接取引する小売業者に対しては前記aの販売方針を遵守する
ことを要請し,また,卸売業者に対しては,前記a(c)の販売方針
を遵守すること及びその取引先である小売業者に対して前記aの
販売方針を遵守させることを要請した。
 SCEは,平成6年9月ころ以降,順次,前記bの要請を受け
入れた小売業者及びフランチャイズ本部との間で,PS製品を家
庭内等での個人使用を目的とした一般消費者に対してのみ販売す
ること等を内容とする特約店契約を,同要請を受け入れたフラン
チャイズ本部以外の卸売業者との間ではPS製品を傘下の小売業
者のみに販売すること,傘下の小売業者は家庭内等での個人使用
を目的とした一般消費者のみに販売すること等を内容とする特約
店契約を,それぞれ締結して,PS製品の販売を開始した同年12
月3日以降,当該特約店契約を締結した特約店と取引を開始し
た。
 なお,SCEは,フランチャイズ本部の取引先小売業者の販売
をフランチャイズ本部自体の販売とみなしている。
(イ)  SCEは,PSソフトの発売タイトル数が増加するのに伴い,発
売後長期間経過したPSソフトに売れ残りが生じ,これが小売業者
の利益を圧迫するようになってきたことから,平成8年4月ころ以
降,発売後一定期間を経過したPSソフトについては,小売業者の
判断により販売価格を自由に設定できるよう販売方針を一部修正
し,これを自ら又は取引先卸売業者を通じて小売業者に通知した。
その際,発売後一定期間を経過していないPSソフトについては,
従来どおり希望小売価格で販売するよう要請した。
(ウ)  SCEは,前記(ア)及び(イ)の実効を確保するため,営業担当者が小
売業者を訪問してPSソフトの販売価格及び中古品の取扱い状況に
ついて調査し,また,PS製品に付したシリアル番号と称する製造
ロット番号により,取引先小売業者又は取引先卸売業者の取引先で
ある小売業者以外の者が販売するPS製品について,その出荷先を
調査し,これらの調査及び特約店からの苦情によって小売業者が前
記(ア)及び(イ)の要請等に従っていないことが判明した場合には,自ら
又は取引先卸売業者を通じて当該小売業者の行為を改めさせるほ
か,自ら又は取引先卸売業者を通じて当該小売業者へのPS製品の
出荷を停止し又は当該小売業者との取引契約を解除する,当該小売
業者の取引先である卸売業者へのPS製品の出荷を停止する等の措
置を講じている。
(エ)  SCEは,前記(ア),(イ)及び(ウ)の行為により,小売業者に対し,お
おむね,PSソフトについて,希望小売価格で一般消費者に販売さ
せるとともに,中古品の取扱いを行わないようにさせ,また,PS
ハード及びPSソフトについて,卸売業者に対し,小売業者のみに
販売させるとともに,小売業者に対し,一般消費者のみに販売させ
ている。
(3) 株式会社北海道新聞社に対する件(平成10年(判)第2号)
関 係 人
審判開始決定の内容
(ア)
(a)  株式会社北海道新聞社(以下「道新社」という。)は,帯広
市及びその周辺地域(以下「帯広地区」という。)において同
社が発行する一般日刊新聞「北海道新聞」(以下「北海道新
聞」という。)の夕刊の発行部数と株式会社十勝毎日新聞社
(以下「勝毎社」という。)が発行する夕刊紙である一般日刊
新聞「十勝毎日新聞」(以下「十勝毎日新聞」という。)の発行
部数との間に大きな格差が生じている事態を解消できず;この
ままでは道新社の販売方針である朝夕刊セット販売が崩壊する
おそれがあったことから,かねてから帯広対策と称する対策を
講じてきたところ,平成6年8月ころから,北海道函館市,亀
田郡大野町,同七飯町及び上磯郡上機町(平成9年8月以降
は,亀田郡戸井町を加える。以下「函館地区」という。)にお
いて夕刊紙の発行を目的とした新聞社設立の動きがみられたの
で,同年9月5日ころ開催した役員会において,帯広地区のよ
うな事態を招来させることのないよう.函館地区における新聞社
設立の動向を注視し,事態の進展に応じた対策を講じるため,
取締役級で構成する函館対策会議の設置を決定し,同月19日こ
ろ開催した函館対策会議において,各担当部局において具体的
な対策の検討を行い,決定した対策から順次実施するとの基本
方針を決定した。
(b)  その後,道新社は,平成8年4月15日,株式会社函館新聞社
(株式会社夕刊函館新聞社が平成8年8月27日に商号を変更し
たもの。以下「函新杜」という。)が平成9年1月から函館地
区において夕刊紙である一般日刊新聞「函館新聞」(以下「函
館新聞」という。)を発刊することが明らかにされたことか
ら,平成8年4月19日ころ及び同月25日ころ開催した函館対策
会議において,函新社の新聞発行事業の継続を困難にさせるた
めの抜本的な対策を講じるとの認識の下に具体的な対策案を決
定し,同月22日及び同年5月7日ころ開催した役員会におい
て,これを了承し,順次実施することとした。
(c)  道新社は,その後,函新社に対する具体的な対策の実施状況
について,役員会において適宜報告を受け,これを了承してい
る。
 道新社が函館対策と称して講じている函新社に対する具体的な
対策は次のとおりである。
(a) 新聞題字対策について
 道新社は,平成6年9月19日ころ開催した函館対策会議の決
定を受け,函館地区に新設される新聞社に使用させない意図の
下に,自ら使用する具体的な計画がないにもかかわらず,函館
地区で新聞を発行する場合に使用されると目される新聞題字の
選定を行い,その結果,「函館新聞」など九つの新聞題字につ
いて,同年10月20日ころ,特許庁に対し商標登録を求める出願
手続を行い,同年12月5日ころ開催した役員会において,これ
を了承した。
 その後,道新社は,商標登録出願中の新聞題字のうち「函館
新聞」を函新社が使用することが明らかとなったことから,平
成8年5月7日ころ開催した役員会において,新聞題字につい
ては厳しく対応することを決定し,同年6月から平成9年1月
までの間,計5回にわたり,函新社に対し,前記商標登録出願
中の新聞題字「函館新聞」の使用中止を求めることなどを内容
とする文書を送達した。
 なお,道新社は,函新社が行った道新社の商標登録出願に対
する異議申立てが平成9年11月に特許庁により認められ,当該
商標登録出願について拒絶査定を受けたことから,これを不服
として,同年12月,特許庁に対し審判請求をしている。
(b) 通信社対策について
 道新社は,平成8年4月22日ころ開催した役員会において,
函新社が配信契約の締結を希望している株式会社時事通信社
(以下「時事通信社」という。)に対する対策を講じることを
決定し,同月25日ころ開催した函館対策会議において編集担当
幹部にこれを一任した。
 「函館新聞」の題字使用を巡る道新社と函新社との確執につ
いては,当時,新聞報道等により周知の状況において,道新社
は,同社東京支社長を通じて時事通信社幹部に接触し,同社が
函新社に配信するか否かについて強い関心を有していることを
示していたところ,前記編集担当幹部は,平成8年5月1日こ
ろ,時事通信社本社において,同社幹部と面談し,同社が先行
契約者を優先する方針を採っていることを承知の上で,あえて
同社の対応を確認することにより,同社に対し,北海道におけ
る先行契約者の地位にある道新社としては函新社への配信につ
いて了解する意向はないことを知らしめ,函新社からの配信要
請に応じないよう暗に求めた。
 道新社は,平成8年5月7日ころの勝毎社による函新社に対
する配信要請に対し,時事通信社が先行契約者を優先する方針
を理由にこれを断った事実を道新社東京支社長らによる情報収
集により承知するに至ったものの,その後も,時事通信社に対
する情報収集を行い,同年7月中旬ころ,時事通信社が函新社
から文書による国内外のスポーツニュースを含む一般ニュース
の配信契約の申込みを受けたとの情報に接したことから,前記
道新社編集担当幹部は,同月25日ころ,時事通信社の配信契約
担当幹部が道新社本社を訪れた際に,同人に対し函新社からの
配信要請の有無及びその対応について,あえてこれを質すこと
により,再度,時事通信社に対し,函新社からの配信要請に応
じないよう暗に求めた。
 道新社は,前記記載のとおり,時事通信社に対して函新社へ
の配信について道新社の意向を示すことにより,いずれの場合
においても,時事通信社から,先行契約者を優先する方針によ
り既契約者である道新社の了解が得られない以上,函新社との
配信契約には応じない旨の回答を得ている。
 これにより,函新社は,口頭及び文書による再三の配信契約
の申込みにもかかわらず,平成9年1月1日の函館新聞発刊以
来現在に至るまで,時事通信社と国内外のスポーツニュースを
含む一般ニュースの配信契約を締結することができない状況に
ある。
(c) 広告集稿対策について
 道新社は,平成8年5月7日ころ開催した役員会において,
函館地区の新夕刊紙の発刊の動きに対抗して同地区向けの紙面
拡充を図るため,北海道新聞の夕刊本紙の別刷りとして地域情
報版の発刊を決定するとともに,当該地域情報版掲載広告につ
いては,函新社の広告集稿活動を困難にさせる意図の下に,同
社の広告集稿対象と目される中小事業者を対象とした大幅な割
引広告料金等を設定することとし,これを検討してきたとこ
ろ,当該地域情報版に関する収支試算上,損失が生じることが
予測されたにもかかわらず,同年9月30日ころ開催した役員会
において,地域情報版掲載の営業広告の基本料金を本紙掲載広
告の約半額の水準とすること,これを扱う広告代理店の広告取
扱手数料に一定率の割増手数料を加算すること等を内容とする
地域情報版の広告料金等の設定を決定し,これを同年11月 5 日
から実施している。
  このため,函新社は,平成9年1月1日の函館新聞発刊以来
現在に至るまで,広告集稿活動が困難な状況にあり,低廉な広
告料金による受注を余儀なくさせられている。
(d) テレビコマーシャル対策について
 道新社は,平成8年10月ころ,函新社が,函館新聞の発刊に
ついて一般消費者等に広告するため,株式会社テレビ北海道
(以下「テレビ北海道」という。)に対し,同年11月及び12月
の2か月間のテレビコマーシャル(以下「コマーシャル」とい
う。)放映の申込みを行い,テレビ北海道がこれを受諾したと
の情報を得たことから,函新社のコマーシャルを放映させない
ようにするため,同年10月中旬ころ,テレビ北海道に対し,函
新社のコマーシャル放映の申込みに応じないよう要請した。
 テレビ北海道は,道新社の前記要請を受けたことから,広告
代理店を通じて行われた函館新聞の発刊に関するコマーシャル
放映の申込みをいったんは受け付けたにもかかわらず,平成8
年10月下旬ころ,当該広告代理店を通じ「函館新聞」の文言を
使用しないコマーシャルに変更するよう要求することにより,
函新社のコマーシャル放映の申込みを事実上拒否した。
 このため,函新社は,テレビ北海道を通じて函館新聞発刊に
関するコマーシャル放映を行うことを断念するに至った。
(4) 社団法人日本種鶏孵卵協会ブロイラー孵卵部会中国・四国ブロイラー
孵卵協議会(平成10年伴U)第3号)
関 係 人
審判開始決定の内容
(ア)
 社団法人日本種鶏孵卵協会ブロイラー孵卵部会中国・四国ブロ
イラー孵卵協議会(以下「中四国協議会」という。)は,かねて
から,ブロイラー用素びな(以下「素びな」という。)の販売価
格等に関する情報交換を行ってきたところ,平成8年4月からの
ブロイラー種鶏用配合飼料(以下「配合飼料」という。)の仕入
れに係る会員の負担額の増加等に対処するため,同月 3日ころ,
香川県仲多度郡琴平町所在の民宿で開催した会員全員を構成員と
する中四国ブロイラー孵卵協議会(以下「協議会」という。)に
おいて,会員が兵庫県,鳥取県,島根県,岡山県,広島県,徳島
県,香川県,愛媛県及び高知県の区域に所在する養鶏業者等の需
要者又は同需要者に販売する取引先販売業者(以下「需要者等」
という。)に販売する素びなの販売価格を同年5月1日出荷分か
ら1羽当たり1円50銭引き上げること並びに会員の主要な需要者
等に中四国協議会及び全会員の連名で値上げ通知文書を送付する
ことを決定した。
 中四国協議会は,前記決定内容を,電話等により前記協議会に
欠席した会員に通知した。
 中四国協議会は,平成8年7月からの配合飼料の仕入れに係る
会員の負担額の増加等に対処するため及び前記aの決定による販
売価格の引上げが十分浸透しなかったため,同月17日ころ,香川
県綾歌郡宇多津町所在のホテルサンルート瀬戸大橋で開催した総
会において,会員が需要者等に販売する素びなの販売価格を同年
8月1日出荷分から前記aの決定に係る引上げ額を含め羽当た
り3円引き上げること並びに会員の主要な需要者等に中四国協議
会及び全会員の連名で値上げ通知文書を送付することを決定し
た。
 中四国協議会は,前記決定内容を,電話等により前記総会に欠
席した会員に通知した。
 中四国協議会は,平成8年10月からの配合飼料の仕入れに係る
会員の負担額の増加等に対処するため,同月22日ころ,前記ホテ
ルサンルート瀬戸大橋で開催した協議会において,会員が需要者
等に販売する素びなの販売価格を同年11月1日出荷分から1羽当
たり2円引き上げること並びに会員の主要な需要者等に中四国協
議会及び全会員の連名で値上げ通知文書を送付することを決定し
た。
 中四国協議会は,前記決定内容を,電話等により前記協議会に
欠席した会員に通知した。
 中四国協議会は,平成9年4月からの配合飼料の仕入れに係る
会員の負担額の増加等に対処するため,同月19日ころ,岡山市所
在の飲食店で開催した協議会において,会員が需要者等に販売す
る素びなの販売価格を同年5月1日出荷分から1羽当たり70銭引
き上げること及び会員の主要な需要者等に中四国協議会との連名
で値上げ通知文書を送付することを決定した。
 中四国協議会は,前記決定内容を,電話等により前記協議会に
欠席した会員に通知した。
(イ)  中四国協議会の会員は,前記(ア)の各決定に基づき,おおむね,素
びなの販売価格を引き上げていた。
(ウ)  本件について,当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始
したところ,中四国協議会は,平成9年8月6日,前記(ア)の各決定
を破棄することを決定し,この旨を同協議会に欠席した会員に通知
した。