第3 警 告

警告の措置を採ったものの概要は以下のとおりである。




第4 課徴金

 課徴金制度は,カルテル禁止の徹底を図るため,行政上の措置として設け
られているものである。
 課徴金の対象となる行為は,事業者又は事業者団体の行うカルテルのう
ち,商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供
給量を制限することによりその対価に影響のあるものであり,これらの行為
があった場合に,事業者又は事業者団体の構成事業者に対し課徴金の納付を
命じることとされている(第7条の2第1項,第8条の3)。
 平成10年度は,16件の独占禁止法違反事件について,延べ578事業者に対
して総額31億5181万円の課徴金の納付を命じた(第5表)。
 なお,本年度に課徴金の納付を命じた578事業者のうち,延べ2事業者か
ら審判開始請求があり,これらについてはいずれも審判開始決定を行ったこ
とから合計266万円の課徴金納付命令(平成10年(納)第306号及び第307
号)は失効した(第6表)。





第5 監 査

 当委員会は,審決執行後,当該関係人の動向等を調査することにより,審
決の履行状況を監査するとともに違反行為の再発防止に努めている。
 本年度における監査事件数は2件であり,行為類型別に見ると,再販売価
格の拘束事案(審決事案)が1件,昨年度からの繰越しとなった新規参入妨
害事案(警告事案)が1件となっている。
 上記2件の監査事件のうち,1件(新規参入妨害事案)は本年度中に監査
を終了した。

第6 告 発

 私的独占,カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については,勧告等
の法的措置のほか罰則が設けられているところ,これらについては公正取引
委員会による告発を待って論ずることとされている(第96条,第73条第1
項)。
 当委員会は,平成2年6月20日,「独占禁止法違反行為に対する刑事告発
に関する公正取引委員会の方針」を公表して,今後積極的に刑事処罰を求め
て告発を行う方針を明らかにしたところである。
 平成10年度においては,ダクタイル鋳鉄管直管の取引分野における競争を
実質的に制限していた行為について,株式会社クボタほか2社が独占禁止法
に違反する犯罪を行ったものと思料して,平成11年2月4日,検事総長に告
発した(東京高等検察庁は同年3月1日起訴)。さらに,平成11年3月1
日,3社のダクタイル鋳鉄管直管の受注業務に従事していた者10名を検事総
長に告発した(東京高等検察庁は同日起訴)。その概要は以下のとおりであ
る。

被告発人
(1)  株式会社クボタ,株式会社栗本鐵工所,日本鋳鉄管株式会社
(2)  上記被告発会社のダクタイル鋳鉄管直管の受注業務に従事していた者
10名
告発の根拠
(1) 事実
 被告発会社3社は,平成8年度及び平成9年度の各年度に日本国内に
おいて需要のあるダクタイル鋳鉄管直管の3社のシェア配分協定に合意
し,もって,3社が共同して,各年度の国内におけるダクタイル鋳鉄管
直管の販売に関し,その事業活動を相互に拘束することにより,公共の
利益に反して,ダクタイル鋳鉄管直管の取引分野における競争を実質的
に制限した。また,被告発会社3社のダクタイル鋳鉄管直管の受注業務
に従事していた被告発人10名は,それぞれの所属する被告発会社の業務
に関し,平成8年度及び平成9年度の各年度に日本国内において需要の
あるダクタイル鋳鉄管直管の3社のシェア配分協定に合意し,もって,
3社が共同して,各年度に日本国内で需要があるダクタイル鋳鉄管直管
の販売に関し,その事業活動を相互に拘束することにより,公共の利益
に反して,ダクタイル鋳鉄管直管の取引分野における競争を実質的に制
限した。
(2) 罰条
 独占禁止法第89条第1項第1号,第95条第1項第1号,第3条,刑法
第60条