第3章 審判及び訴訟
第1 審 判
平成10年度における審判件数は,平成9年度から引き継いだもの10件,平
成10年度中に審判開始決定を行ったもの26件の合計36件(うち,22件は同一
事案のため手続を併合)であり,平成10年度中に,2件(うち,審判審決
1件,課徴金納付を命ずる審決1件)について審決を行った(本章第2及び
第3参照)。平成10年度末現在において審判手続係属中の事件は,下表の34
件である。
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第2 審判審決
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(1) | 被審人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(2) | 事件の概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本件は,当委員会がミツワ自動車株式会社(以下「ミツワ自動車」と いう。)に対し,独占禁止法第48条第1項の規定に基づき勧告を行った ところ,ミツワ自動車はこれを応諾しなかったので,同法第49条第1項 の規定に基づき,ミツワ自動車に対し審判開始決定を行い,審判官をし て審判手続を行わせたものである。 当委員会は,担当審判官の作成した審決案を調査の上,これを適当と 認めて審決案の内容と同じ審決を行った。 |
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(3) | 認定した事実の概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(4) | 法令の適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ミツワ自動車は,自己と国内において競争関係にある輸入販売業者と その取引の相手方である海外販売業者との取引を不当に妨害していたも のであって,これは,不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示 第15号)の第15項に該当し,独占禁止法第19条の規定に違反するもので あるが,前記ウによれば,当該行為は既になくなっていると認められ, かつ,特に措置を命ずる必要があるとは認められない。 |
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(5) | 主文 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本件審判開始決定に係るミツワ自動車の行為は,独占禁止法第19条の 規定に違反するものであるが,既に当該行為はなくなっていると認めら れるので,ミツワ自動車に対し,格別の措置を命じない。 |
第3 課徴金納付命令審決
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(1) | 被審人 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(2) | 事件の経過 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本件は,当委員会がソニー株式会社(以下「ソニー」という。),松下 電器産業株式会社(以下「松下電器産業」という。)及び三菱電機株式 会社(以下「三菱電機」という。)の3社に対し,平成7年3月28日, 独占禁止法第48条の2第1項の規定に基づき課徴金納付命令を行ったと ころ,ソニーはこれを不服として審判手続の開始を請求したため,同社 に対し同法第49条第2項の規定に基づき審判開始決定を行い,審判官を して審判手続を行わせたものである。 当委員会は,ソニーが平成10年2月24日付けの担当審判官の作成した 審決案に対し異議の申立てを行うとともに独占禁止法第53条の2の2の 規定に基づき当委員会に対し直接陳述の申出を行ったので,平成10年4 月9日にソニーから陳述聴取を行い,審決案を調査の上,審決案の内容 と同じ審決を行った。 |
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(3) | 認定した事実の機要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(4) | 法令の適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ソニーは,平成3年独占禁止法改正法施行前に事業者として不当な取 引制限の行為を開始し,同法施行後にその行為を終了したところ,当該 行為は独占禁止法第7条の2第1項所定の課徴金の対象となる商品の対 価に係るものであるから,平成3年独占禁止法改正法附則第3項によ り,同法施行日前に係るものについては同法による改正前の独占禁止法 第7条の2第1項及び第3項並びに独占禁止法施行令第6条を適用し て,平成3年独占禁止法改正法施行日以降に係るものについては同法に よる改正後の独占禁止法第7条の2第1項及び第4項並びに独占禁止法 施行令第6条を適用して,ソニーが国庫へ納付しなければならない課徴 金の額は,前記(3)イ(ウ)のとおりである。 |
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(5) | 命じた措置 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ソニーは,課徴金として1359万円を平成10年7月14日までに国庫に納 付しなければならない。 |