第11章 再販適用除外制度
第1 概 説
再販契約とは,商品の供給者がその商品の取引先である事業者に対して転
売する価格を指示し,これを遵守させること(以下「再販行為」という。)
を内容とする契約である。再販行為は,原則として,不公正な取引方法(再
販売価格の拘束)に該当し,独占禁止法第19条違反に問われるものである
が,おとり廉売防止等の観点から,同法第24条の2の規定に基づき,当委員
会が指定する再販指定商品及び著作物を対象とするものについては,例外的
に独占禁止法の適用を除外されている(再販適用除外制度)。
独占禁止法の適用を除外される行為は,「再販売価格を決定し,これを維
持するためにする正当な行為」であるが,「一般消費者の利益を不当に害す
ることとなる場合」及び「その商品を販売する事業者がする行為にあっては
その商品を生産する事業者の意に反してする場合」には適用除外とならな
い。また,消費者・勤労者の互助を目的とする消費生活協同組合等の団体に
対して販売する場合にも,適用除外とならない。
第2 再販適用除外制度の見直し
再販適用除外制度を含む独占禁止法適用除外制度については,累次の閣議
決定においてその見直しが決定されており,当委員会は,これらを踏まえ再
販適用除外制度の見直しに取り組んできた。このうち指定再販制度について
は,化粧品14品目及び一般用医薬品14品目の指定を平成9年4月1日に取り
消した。これにより,昭和28年以降行われてきた再販指定商品の指定はすべ
て取り消された。
また,著作物再販制度については,規制緩和推進3か年計画及び改定3か
年計画において,「著作物(書籍・雑誌,新聞及びレコード盤・音楽用テー
プ・音楽用CD)の再販価格維持制度については,独占禁止法上原則禁止き
れている再販行為に関する適用除外制度であることから,制度を維持すべき
相当の特別な理由が必要であり,今後,行政改革委員会最終意見の指摘する
論点に係る議論を深めつつ,適切な措置を講ずるものとする」旨決定されて
いるところである。
第3 著作物再販制度の取扱い
1 | 公正取引委員会の見解の公表 | ||||||||||||
著作物再販制度については,平成10年3月31日,①競争政策の観点から は廃止の方向で検討されるべきものであるが,文化の振興・普及と関係す る面もあるとの指摘もあることから,これを廃止した場合の影響について 配慮しつつ引き続き検討し,一定期間経過後に制度自体の存廃について結 論を得ることが適当,②著作物再販制度の対象品目を書籍・雑誌,新聞及 びレコード盤・音楽用テープ・音楽用CDに限定して解釈・運用,③流通 取引上の弊害について迅速かつ的確に是正を図っていくため所要の取組を 実施,との当委員会としての結論を公表した。これを受けて,当委員会 は,平成10年4月以降,関係業界に対し,流通・取引慣行改善等の取組を 進めるよう要請を行うほか,価格設定の多様化が阻害されることのないよ うにするなどの観点から,「新聞業における特定の不公正な取引方法」の 見直しの検討を行い,平成11年6月30日,改正案について,広く意見を聴 取するために,公聴会を開催した(平成11年7月21日全部改正の告示)。 また,競争手段の多様化を図る観点から,新聞業及び出版物小売業の景品 規制の見直しを進めた。 |
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2 | 著作物再販制度下における関係業界の流通・取引慣行改善等の取組 | ||||||||||||
平成10年4月以降,当委員会が関係業界に対し,現行の再販制度下での 流通・取引慣行上の弊害の是正を求めたことを受けて,関係業界におい て,弊害是正に向けた取組がみられるところ,当委員会は,平成10年12 月,これらの取組のうち当委員会が把握している主要なものを取りまとめ て公表した。 |
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