1 |
違反行為に対する厳正・迅速かつ積極的な対処 |
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(1) |
公正取引委員会の審査体制等の充実を含め,独占禁止法の執行力の強
化を図り,価格カルテル,入札談合等の同法違反行為に対して告発を含
め厳正かつ積極的に対処する。
(総論「5 規制緩和の推進に伴う諸方策」中「(1)公正かつ自由な
競争の促進 )
○ |
公正取引委員会の審査体制の整備状況 |
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○ |
違反行為に対する積極的な対処 |
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・ |
平成10年度における審査事件の処理状況(平成11年3月29日現在) |
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法的措置(注)…25件,警告…16件
(注) |
法的措置の件数=勧告の件数+勧告を伴わない課徴金納付
命令の件数 |
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・ |
刑事告発 ダクタイル鋳鉄管の製造業者によるシェア協定事件
(平成11年2月,3月) |
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○ |
企業活動の一層のグローバル化に伴う,国際カルテル,外国事業者
による日本市場の独占行為等の国際的な事件や内外の新規参入阻害事
件についても厳正・積極的に対処 |
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・ |
放射性医療用原料について,需要家との間で長期の排他的供給契約
を締結することにより競争事業者を排除した私的独占事件(平成10
年9月審決) |
・ |
コンピュータソフト会社による,表計算ソフト,ワープロソフト及
びスケジュール管理ソフトの抱き合わせ事件(平成10年12月審決) |
・ |
人造黒鉛電極について,内外の製造業者による,国際的な市場分割
協定等の疑い(平成11年3月警告) |
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(2) |
規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため,中小事業者等に
不当な不利益を与えるなどの不公正な取引に対して厳正・迅速に対処す
るとともに,商品・サービスの品質や内容について誤認を与える等によ
り消費者の適正な選択を妨げる不当表示等に対して厳正・迅速に対処す
る。
(総論「5 規制緩和の推進に伴う諸方策」中「(1)公正かつ自由な
競争の促進」)
〇 |
不公正な取引への対処
(平成10年度における事件の処理状況:平成11年2月末日現在) |
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・ |
不当廉売に対する取組 |
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警告…1件,注意…506件 |
・ |
優越的地位の濫用に対する取組 |
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独占禁止法に係るもの
審決…1件,警告…2件,注意…5件
フランチャイズチェーン本部による納入業者に対する優越的
地位の濫用事件(平成10年7月審決)
下請法に係るもの
勧告…1件,警告…1,127件 |
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○ |
不当表示への対処(平成10年度における事件の処理状況) |
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排除命令…6件,警告…241件
(排除命令は平成11年3月29日現在,警告は平成11年2月末日現
在)
・ |
英会話教室の広告・表示の実態を調査し,問題点を指摘(平成10年
6月公表) |
・ |
家庭用空気清浄機の性能表示,食肉の価格表示等に係る不当表示に
ついて厳正に対処 |
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○ |
中小事業者等からの相談体制の強化 |
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公正取引委員会は,中小事業者等からの相談体制を強化するため,
商工会議所及び商工会が有する窓口を活用し,中小事業者等が独占禁
止法に関する相談をより容易にできるようにするとともに,公正取引
委員会において迅速かつ的確に処理することを可能とするため,「独
占禁止法相談ネットワーク」の構築を推進している。 |
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2 |
規制緩和と競争政策の積極的推進 |
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国際的に開かれた,自由で公正な活力ある経済社会を形成していくため
には,規制緩和を含めた競争政策を積極的に推進していくことが必要であ
る。このため,公正取引委員会は,以下のように,規制緩和のための調
査・提言,競争制限的行政指導の改善,民民規制への対応,事業者の自主
的な独占禁止法遵守への取組に対する支援等を通じ,関係省庁,事業者等
に対して働きかけを行っていく。
(1) |
規制緩和のための調査・提言 |
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規制緩和の推進について,内外の事業者の公正かつ自由な競争を促進
し,消費者の利益を確保するため,公正取引委員会は,競争政策の観点
から,需給調整規制等により参入が制限されている分野等について積極
的に調査・提言を行い,参入規制等が緩和された分野について,規制緩
和後の状況を調査し,必要な提言を行うとともに,事業者の自主的な独
占禁止法遵守の取組への支援を行うことにより競争政策の積極的推進を
図る。
(総論「5 規制緩和の推進に伴う諸方策」中「(1)公正かつ自由な
競争の促進」)
○ |
規制緩和推進に関する取組 |
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・ |
政府規制制度について競争政策の観点から行う実態調査の実施等を
通じ,政府規制の問題点や改善の方向,競争政策の在り方等につい
て検討・提言 |
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〇 |
最近における取組状況 |
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・ |
政府規制等と競争政策に関する研究会報告書の公表 |
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航空運送分野(国内定期航空旅客運送事業) 平成9年3月
電気事業分野 平成9年4月
ガス事業分野 平成9年4月 |
・ |
保険業に関する実態調査の公表 平成10年11月 |
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(2) |
地方規制への対応 |
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地方公共団体が講じている参入規制等についても,公正取引委員会
は,競争政策の観点から実態調査を行い,必要に応じて提言を行うとと
もに関係行政庁と所要の調整を行う。
(総論「5 規制緩和の推進に伴う諸方策」中「(1)公正かつ自由な
競争の促進」)
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(3) |
競争制限的な行政指導への対応 |
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規制緩和後において,規制に代わって競争制限的な行政指導が行われ
ることのないよう,「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨
を踏まえ,関係省庁は,公正取引委員会と事前に所要の調整を図る。
(総論「5 規制緩和の推進に伴う諸方策」中「(1)公正かつ自由な
競争の促進」)
○ |
競争制限的な行政権導に対する取組 |
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・ |
独占禁止法違反事件についての審査,実態調査等により,競争制限
的な行政指導の存在が認められた場合には,改善を要請 |
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(4) |
民民規制への対応 |
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いわゆる民民規制の問題については,公正取引委員会は,独占禁止法
違反行為に対し同法に基づき厳正に対処するほか,その実態を調査し,
競争制限的な民間慣行についてその是正を図る。また,その背後に競争
制限的な行政指導が存在する場合には,公正取引委員会及び関係省庁が
その早急な見直しに取り組む。行政が何ら関与していない場合には,関
係省庁は,関与していない旨を改めて周知するなど,責任の所在の明確
化に努める。
(総論「5 規制緩和の推進に伴う諸方策」中「(2)民民規制への対
処」)
〇 |
民民規制に対する取組 |
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・ |
公正取引委員会は,事業者又は事業者団体による新規参入の阻止や
差別的取扱い等の独占禁止法違反行為について,従来から厳正に対
処するとともに,その背後に競争制限的な行政指導が存在する場合
には,必要に応じて関係行政機関に改善を要請。また,実態調査を
実施し,競争政策上問題のあるものについて所要の改善を指導。 |
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○ |
独占禁止法違反行為に対する厳正な対処 |
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・ |
医師会による構成員医療機関の広告制限(平成11年1月審決) |
・ |
浄化槽保守点検等に係る事業者団体による標準料金表の決定・実施
の疑い(平成10年6月警告) |
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○ |
民民規制に関する実態調査と関係省庁との調整 |
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・ |
薬局・薬店の広告・出店規制等に関する調査(平成10年6月公表) |
・ |
公益法人等の自主基準・認証に関する実態調査(平成10年7月公表) |
・ |
専門職業(司法書士・行政書士)の広告規制等に関する実態調査
(平成10年9月公表) |
・ |
建設業団体が作成する価格表に関する実態調査(平成11年3月公表) |
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(5) |
違反行為の未然防止と透明性の確保 |
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○ |
独占禁止法遵守のための事業者等の自主的な取細に対する支援 |
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事業者の自主的な独占禁止法遵守の取組への支援を行う。(再掲)
(総論「5 規制緩和の推進に伴う措置」中「(1)公正かつ自由な競
争の促進」)
・ |
(財)公正取引協会において,現行の「独占禁止法コンプライアンス・
プログラムの手引き」を更に充実させたモデル的な独占禁止法遵守
プログラムを策定することとしており,公正取引委員会として,こ
れを支援するとともに,独占禁止法遵守プログラムの作成やその整
備に向けた自主的な取組を進める事業者から要請があった場合に
は,これを支援 |
・ |
平成10年6月,独占禁止法遵守プログラムの実施状況を調査・公表 |
-東京・大阪・名古屋の各証券取引所上場企業の約7割が取組を実
施又は予定 |
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○ |
入札談合防止の取組 |
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・ |
入札談合未然防止のための発注機関との協力 |
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-発注官庁において指名された,公共入札に関する公正取引委員会
との連絡担当官との協力
-都道府県・市町村等の調達担当官が入札談合行為の確認及び関連
情報の収集をより的確に行うことができるようにするため,調達
機関の調達担当官を対象とした研修会について,講師の派遣及び
資料の提供を行い,これに協力 |
・ |
入札談合事件についての審査の課程で発注方法等に問題が認められ
た場合には,発注機関に改善を要請 |
|
○ |
事業者等の法的安定性及び法運用の透明性を確保するため,合併,
株式所有等の企業結合を含め,事業者等が行おうとする活動の独占禁
止法への適合性に関して事前に相談を受けた場合には,引き続き,積
極的に対応するとともに,主要な相談事例の公表を行う等により,そ
の透明性の確保を図る。 |
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3 |
独占禁止法適用除外制度の見直し |
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(1) |
独占禁止法適用除外カルテル等制度 |
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独占禁止法適用除外カルテル等制度について,適用除外となる行為及
び団体の全範囲について見直しを行った結果は以下のとおりであり,独
占禁止法に基づく適用除外制度については不況カルテル制度・合理化カ
ルテル制度等を廃止し,適用除外法(私的独占の禁止及び公正取引の確
保に関する法律の適用除外等に関する法律)に基づく適用除外制度につ
いては協同組織の団体に係るものを独占禁止法第24条の規定によること
とし,その他のものは原則廃止するとともに,適用除外法そのものを廃
止することとする。このうち,立法措置を必要とするものについては,
平成11年の通常国会に改正法案を提出する等所要の措置を行うものとす
る。<措置済み>
自然独占に固有な行為(独占禁止法第21条)については,規定の削減
に関し引き続き必要な検討を行い,平成11年末までに結論を得る。
一定の組合の行為(独占禁止法第24条)については,適用除外の範囲
の限定・明確化を図るため,ただし書規定の整備について,引き続き検
討を行い,平成11年末までに結論を得る。
(分野別措置事項の別紙中「1 競争政策関係」の「①独占禁止法適
用除外カルテル等制度」)
○ |
独占禁止法に基づく不況カルテル制度・合理化カルテル制度等の廃
止,適用除外法の廃止等を内容とする独占禁止法の適用除外制度整理
法案を国会に提出。(平成11年2月16日) |
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<法案の概要>
・ |
独占禁止法の改正 |
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-不況カルテル制度・合理化カルテル制度の廃止等 |
・ |
適用除外法の廃止及びこれに伴う措置 |
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-協同組合等の適用除外は,独占禁止法第24条の規定に一本化
-その他の団体・制度については,適用除外を廃止
-事業者団体の届出義務については,引き続き免除とし,別途措置 |
・ |
個別法の改正 |
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-適用除外制度が規定されている個別法(海上運送法,内航海運組
合法,航空法,環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律)
について,適用除外の範囲の限定,公正取引委員会との手続規定
の整備等 |
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(2) |
著作物の再販制度 |
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著作物(書籍・雑誌,新聞,レコード盤・音楽用テープ・音楽用C
D)の再販売価格維持制度については,独占禁止法上原則禁止されてい
る再販行為に対する適用除外制度であることから,制度を維持すべき相
当の特別な理由が必要であり,今後,行政改革委員会最終意見の指摘す
る論点に係る議論を深めつつ,適切な措置を講ずるものとする。
当面,現行の再販制度の下で見られる各種の流通・取引慣行上の弊害
について,消費者利益確保の観点から,迅速かつ的確にその是正を図る
こととする。
(分野別措置事項の別紙中「1 競争政策関係」の「②著作物の再販
売価格維持制度」)
○ |
平成10年3月,規制緩和推進3か年計画と併せて,「著作物再販制
度の取扱いについて」を公表し,これに沿った取組を行っている。 |
○ |
消費者利益確保の観点から,関係業界に対して流通・取引慣行の改
善等を求めてきており,平成10年12月,関係業界の取組状況等につい
て整理・公表 |
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・ |
書籍・雑誌 :発行から一定期間経過後のものの非再販化の拡大,非
再販書籍の発行,通信販売の拡大 等 |
・ |
新聞 :景品規制の緩和 等 |
・ |
レコード盤・音楽用テープ・音楽用CD:再販期間の短縮,非再販
CDの発売 等 |
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4 |
企業結合関係 |
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合併・営業譲受け等の届出制度,株式所有の報告制度及び役員兼任の届
出制度について,制度の趣旨・目的,企業の負担軽減,国際的整合性の確
保等の観点から,裾切り要件の導入,引上げ等を行う。 <措置済み>
禁止される持株会社の範囲,大規模会社の株式保有総額の制限の対象と
なる株式の範囲等について,独占禁止法改正法(平成9年法律第87号)附
則の見直し規定を踏まえ,必要な検討を行い,その結果に基づいて所要の
措置を講ずる。
なお,大規模会社の株式保有総額制限については,見直しに当たって,
適用除外株式の範囲及び裾切り要件について大幅な拡大及び引上げを行う
方向で検討し,その検討結果を踏まえて必要な拡大及び引上げを図る。
(分野別措置事項の別紙中「1 競争政策関係」の「③合併届出手続
等」及び「④持株会社の範囲等」)
○ |
企業活動のグローバル化等に対応して,内外で合併,事業提携等が増
加する中,企業結合に対して以下の取組を行っている。
・ |
手続規制の緩和 |
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合併,株式保有等に係る届出・報告制度の対象範囲の縮減(改正独
占禁止法(平成11年1月施行)) |
・ |
企業活動のグローバル化への対応 |
|
国外における企業結合にも規制の対象を拡大,届出・報告等の手続
の整備(改正独占禁止法(平成11年1月施行)) |
・ |
法運用の透明性の確保 |
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-企業結合ガイドラインの公表(平成10年12月)
:市場シェアだけではなく,参入・輸入の容易性など市場の実態や
変化を踏まえて判断していくことを明確化
-事前相談の個別事例の公表の充実 |
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5 |
民事的救済制度 |
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民事的救済制度については,規制緩和推進のための基盤的条件の整備の
観点から,有効かつ整合的な制度となるよう,平成11年度中に結論を得る
ことを目指して検討を進める。
(分野別措置事項の別紙中「1 競争政策関係」の「⑤民事的救済制
度」)
○ |
国際的に開かれ,自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社
会を実現していくための基盤的条件整備,独占禁止法違反行為によって
被害を受けた者に対する救済手段の一層の充実等の観点から,独占禁止
法違反行為に対する私人の差止訴訟制度の導入及び同法違反行為に係る
損害賠償訴訟制度の充実について検討。
・ |
平成10年12月,「独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度に関する
研究会」(座長 古城 誠 上智大学教授)の独占禁止法違反行為に
対する差止訴訟制度に関する中間報告書を公表 |
・ |
研究会において,引き続き,差止訴訟制度に係る論点も含め,損害賠
償制度の充実について検討を進め,遅くとも平成11年中に最終報告書
を取りまとめ |
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