2−1 規制改革推進3か年計画 |
(抄) |
1 共通的事項(略)
(1) 競争政策分野の基本方針
日本経済を活性化し,豊かな社会を実現していくためには,これまでの経済社会構造を見直し,市場における公正かつ自由な競争を積極的に促進することが必要である。このため,独占禁止法等の運用の明確化,
執行力の強化等を推進するとともに,消費者の選択の自由や事業者の創意工夫を妨げる規制の撤廃を進めること等により,競争政策を推進する。
(2) 執行・事務処理に係る方策
公正かつ自由な競争を促進するため,規制改革とともに競争政策の積極的展開を図ることとし,引き続き,公正取引委員会の審査体制等の充実を含め,独占禁止法の執行力の強化を図り,価格カルテル・入札談合
等の同法違反行為に対して,告発を含め厳正かつ積極的に対処する。
また,規制改革後の市場の公正な競争秩序を確保するため,中小事業者等に対する不当な不利益を与える不当廉売,優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対し,厳正かつ積極的に対処する。取り分け不当廉売 事案については,関係省庁から人員の派遣を受けるなどして,(1)申告のあった事案に対しては,可能な限り迅速に処理することとし,(2)大規模な事業者による不当廉売事案又は繰り返し行われている不当廉売事案 で,周辺の販売事業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,周辺の販売事業者の事業活動への影響等について個別に調査を行い,問題のみられる事案については厳正に対処するとともに,(3)必要に応じ,その後の価格動向のフォローアップを行う。 さらに,規制緩和後において,規制に代わって競争制限的な行政指導が行われることのないよう,「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨を踏まえ,関係省庁は,公正取引委員会と事前に所要の調整 を図る。いわゆる民民規制の問題については,公正取引委員会は,独占禁止法違反行為に対し同法に基づき厳正に対処するほか,その実態を調査し,競争制限的な民間慣行についてその是正を図るとともに,その背 後に競争制限的な行政指導が存在する場合には,公正取引委員会及び関係省庁がその早急な見直しに取り組む。行政が何ら関与していない場合には,関係省庁は,関与していない旨を改めて周知するなど,責任の所在の明確化に努める。 (3) 競争政策分野の重点事項
(1) 独占禁止法の執行力の強化
悪質な違反行為の摘発を効果的に行い得る方策を検討するとともに,人札談合に関与した発注者側に対する措置に関し新しい制度の導入を含めた法整備について検討を行う。
(2) 規制産業における競争の促進
電気事業,ガス事業,電気通信事業,運輸事業などのうち,従来,新規事業者の参入が制限されていた規制産業における競争的仕組みの導入等に当たって,公正取引委員会は,所掌事務を遂行する上で必要
に応じ,競争促進の観点からこれらの産業における競争の状況を調査し,改善の余地がある場合には政策提言等を行う。また,これらの規制産業については,事業所管富庁と公正取引委員会が,ガイドライン
の策定を含めて,競争にかかわる制度の新設,見直しについて必要な連携を行う仕組みについて検討を行う。
(3) 一般集中規制の見直し
持株会社規制,大規模会社の株式保有総額制限,金融会社の株式保有規制について,事業支配力の過度集中を防止するために必要な範囲以上に事業活動を制約することがないように,現行の外形的な規制を見直す。
(4) 景品類に関する規制の見直し
ホームページ上で景品類を提供する際の運用基準を明確化するなど,商取引の態様,経済状況,消費者の購買行動等の変化に応じ,景品類に関する規制の見直しを図る。
(2) 個別事項(後記・競争政策等関係以外の公正取引委員会関係事項を含む)
III 分野別措置事項(略)
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2−2 |
規制改革の推進と競争政策の取組について―規制改革推進3か年計画の策定に際して― |
本日の閣議において,「規制改革推進3か年計画」が決定された。同計画の「1 共通的事項」の「1 本計画の目的及び規制改革推進の基本方針」においては,我が国経済社会の構造改革を進めることにより,透明性が高く
公正で信頼できる経済社会の実現,国際的に開かれた経済社会の実現等を図る観点から,一行政の各般の分野について計画的に規制改革の積極的かっ抜本的な推進を図る」とともに,「市場機能をより発揮するための競争政策の
積極的展開」を図ることとされ,また,競争政策分野の基本方針として「日本経済を活性化し,豊かな社会を実現していくためには,これまでの経済社会構造を見直し,市場における公正かっ自由な競争を積極的に促進すること
が必要である。このため,独占禁止法等の運用の明確化,執行力の強化等を推進するとともに,消費者の選択の自由や事業者の創意工夫を妨げる規制の撤廃を進めること等により,競争政策を推進する」(「II 横断的措置事項、
の「3 競争政策等関係」)とされている。 1 違反行為に対する厳正・迅速かつ積極的な対処
(1) 独占禁止法違反事件の処理
![]() ア 処理状況
平成12年度の法的措置件数は18件であり,また,724件,総額85億9176万円の課徴金納付を命じた。
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イ 最近の主要事例
(1) 価格カルテル,入札談合等の事件
(2) 市場参入阻害・競争者排除事件
(3) 流通分野における不公正な取引方法事件
(4) いわゆる民民規制に関する事件
ウ 措置の透明性の確保
![]() エ 体制・機能の強化
独占禁止法違反行為に対する取組を一層強化するため,審査活動・審査能力の充実・向上に努めつつ,審査部門を中心として体制を充実・強化
(2) 事業活動の国際化に対応した取組
経済のグローバル化の進展に対応した的確な独占禁止法の運用を図るとともに,海外の競争当局との関係の緊密化を図ってきている。
ア 独占禁止法の的確な運用
(1) 国際取引に関する事件
(2) 国際的合併・再編に対亦した企業結合規制
合併など企業結合の審査においては,国際的な市場における競争環境を考慮するなど市場の実態を踏まえて,引き続き,企業結合に関する独占禁止法の規定について,迅速,透明かつ適切な運用を図
る。
イ 海外当局との協力等
2 公正かつ自由な経済社会の実現のための基盤的な条件の整備
国際的に開かれた,自由で公正な活力ある経済社会を形成していくためには,規制緩和の推進とともに競争政策の積極的展開を図り,そのための基盤的な条件を整備するための取組が重要である。このため,公正取引委
員会は,次のとおり,独占禁止法の見直しに向けた取組,規制緩和のための調査・提言,競争制限的行政指導の改善,民民規制への対応、事業者の自主的な独占禁止法遵守への取組に対する支援等を行っている。
(1) 独占禁止法見直しに向けた取組
ア 民事的救済制度の整備
独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度については,規制緩和推進のための基盤的条件の整備の観点から,不公正な取引方法を用いた事業者等に対する差止請求を行うことができる制度の導入及び損害賠
償制度の整備を内容とする独占禁止法の改正が行われた(平成13年4月1日施行)。
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イ 一般集中規制の見直し等
![]() ![]() 独占禁止法の見直し・検討を行うため,平成13年2月から独占禁止法研究会(座長:宮澤健一一橋大学名誉教授)を開催。検討内容を一般集中規制部分と手続関係規定部分に分け,より専門的かつ集中的な 検討を行うため,研究会の下で二つの部会(一般集中部会,手続関係等部会)を開催。平成13年秋を目途に報告書を取りまとめる予定。 (2) 規制産業における競争の促進
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(3) 独占禁止法適用除外制度の見直し
規制緩和と一体の課題として,平成7年から独占禁止法適用除外制度の見直しが数次にわたって行われてきており,最近では,個別法に基づく適用除外規定の廃止又は縮減(平成9年),独占禁止法に基づく適用
除外規定の縮減及び適用除外法の廃止(平成11年),自然独占事業に固有な行為に対する適用除外規定の廃止(平成12年)が行われている。
(4) 競争制限的な行政指導への対応
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(5) 民民規制への対応
![]() ア 民民規制に対する取組
公正取引委員会は,事業者又は事業者団体による新規参入の阻止や差別的取扱い等の独占禁止法違反行為について,従来から厳正に対処するとともに,その背後に競争制限的な行政指導が存在する場合に
は,必要に応じて関係行政機関に改善を要請。また,実態調査を実施し,競争政策上問題のあるものについて所要の改善を指導
イ 独占禁止法違反行為に対する厳正な対処〔再掲〕
ウ 民民規制に関する実態調査等
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(6) 違反行為の未然防止と競争の唱導
ア 違反行為の未然防止と透明性の確保
(1) 入札談合防止の取組
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(2) 独占禁止法上の各種指針の策定・公表、事業者等からの相談への適切な対応
(3) リサイクルのための共同事業に向けた取組
![]() イ 独占禁止法遵守のための事業者等の自主的な取組に対する支援
独占禁止法遵守プログラムの作成やその整備に向けた自主的な取組を進める事業者等から要請があった場合には,これを支援。
ウ 公益事業分野における制度改革後の公正な競争の確保〔再掲〕
エ 独占禁止政策協力委員制度の活用
競争政策への理解の促進と経済実態に即した政策運営に資するため,平成11年度に発足した独占禁止政策協力委員制度を活用し,全国各地域の経済実態等に通じた有識者から,独占禁止法や公正取引委員
会に対する意見・要望の聴取等を行い,その意見・要望等を踏まえ,経済実態に即した競争政策の運営を図る。
3 規制改革後の公正な競争の確保
![]() (1) 中小事業者に不当に不利益を及ぼす不公正取引への厳正・迅速な対処
ア 不当廉売
小売業における不当廉売は,周辺の中小事業者に対する影響が大きいことから,不当廉売に当たる可能性のある事案については迅速に処理する方針の下で,その端緒に接した場合には,必要に応じて現地に
赴いて調査の上,注意等の措置を採ることとしている。
また,大規模な事業者による不当廉売事案又は繰り返し行われている不当廉売事案で,周辺の販売業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,周辺の販売業者の事業活動への影響等について個 別に調査を行い,問題のみられる事案については厳正に対処することとしており,平成13年3月には酒類小売業者8名に対して警告を行った。
イ 優越的地位の乱用
(1) 独占禁止法違反事件への対処(成12年度(2月末現在))
(2) 下請法の的確な運用
(2) 不当表示への対応
ア 不当表示への対応
イ 不当表示の未然防止及び考え方の明確化
(3) 中小事業者等の相談・指導体制の拡充
商工会議所及び商工会との連携による「独占禁止法相談ネットワークーの活用
4 情報通信技術革命(IT革命)に対応した取組
公正取引委員会では,IT革命や電子商取引の進展に対応して,その基盤となる情報通信分野における競争促進,情報通信技術を利用した電子商取引の公正化,電子政府の実現等に向けた取組を行っており,その概要について,「IT革命に対応した取組について」として公表している(平成13年1月)。
(1) 情報通信分野における競争の促進
(2) 電子商取引への対応
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![]() (3) 知的財産権等をめぐる問題
![]() (4) 電子政府の実現に向けた取組
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