第2章 違反被疑事件の審査及び処理

第1 違反被疑事件の審査及び処理の状況

 独占禁止法は、事業者が私的独占又は不当な取引制限をすること、不公正な取引方法を用いること等を禁止しており(第3条、第19条ほか)、当委員会は、一般から提供された情報、自ら探知した事実等を検討し、これらの禁止規定に違反する事実があると思料するときは、独占禁止法違反被疑事件として必要な審査を行っている。
 審査事件のうち必要なものについては独占禁止法第46条の規定に基づく権限を行使して審査を行い、違反する事実があると認められたときは、排除措置を採るよう勧告する(第48条第1項及び第2項)か、若しくは審判手続を開始し(第49条第1項)、又は違反行為がなくなってから1年を経過していることから勧告を行うことができないが、課徴金納付命令の対象となる場合には、同命令を行っている(第48条の2)。なお、相手方が勧告を応諾した場合には勧告審決(第48条第4項)、その他の場合は審判手続を経て同意審決(第53条の3)又は審判審決(第54条)を行っている。相手方が課徴金納付命令に対して不服中立てをした場合には審判手続が開始され、同納付命令は失効する(第49条第2項及び第3項)。
 また、勧告等の法的措置(注)を採るに足る証拠が得られなかった場合であっても、違反の疑いがあるときは、関係事業者に対して警告を行い、是正措置を採るよう指導している。
 さらに、違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られないが、違反につながるおそれのある行為がみられた場合には、未然防止を図る観点から注意を行っている。
 平成12年度における審査件数は、前年度からの繰越しとなっていたもの39件、年度内に新規に着手したもの69件、合計108件であり、このうち本年度内に処理した件数は74件である。
 74件の内訳は、勧告18件、警告17件、注意36件及び違反事実が認められなかったため審査を打ち切ったもの3件となっている(第1−1表)。

第1−1表
 最近の審査事件処理状況(不当廉売事案で迅速処理したものを除く)


(注) 1.  ( )内の数字は、勧告又は課徴金納付命令に係る審判開始決定を行った事件数である。
   2.  勧告を行っていない課徴金納付命令事件数である。
   3.  「打切り」とは、違反事実が認められなかったため、審査を打ち切るものをいう。
   4.  課徴金の納付を命じる審決を含み、審判手続を開始したものを含まない。
   5.  10年度及び11年度の告発の( )内の数字は、それぞれの年度に告発を行った事件について追加告発を行ったものである。

第1−2表 不当廉売事案における迅速処理の状況


法的措置件数と対象事業者等の数の推移

(注)  勧告等の法的措置とは、「勧告」及び「勧告を行っていない課徴金納付命令」である。

勧告、警告、注意又は打切りのいずれかの処理を行ったものを行為類型別

行為類型別の法的措置件数

にみると、私的独占2件、価格カルテル10件、入札談合14件、その他のカルテル1件、不公正な取引方法39件、その他8件となっている(第2表)。法的措置として勧告等を行った事件は18件であり、この内訳は、価格カルテル1件、入札談合10件、その他のカルテル1件、不公正な取引方法6件となっている(第3表、第4表)。

第2表 平成12年度審査事件(行為類型別)一覧表

(注) 1.  価格カルテルとその他のカルテルが関係している事件は、価格カルテルに分類している。その他、複数の行為類型に係る事件は主たる行為に即して分類している。
   2.  その他のカルテルとは数量、販路、顧客移動禁止、設備制限等のカルテルである。
   3.  第8条第1項第5号に係る事件は,不公正な取引方法に分類している。
   4.  「その他」とは、事業者団体による構成員の機能活動の制限等である。
   5.  「課徴金納付命令」とは、勧告を行っていない課徴金納付命令である。

第3表 最近5年間の勧告等の法的措置(行為類型別)一覧表

(注) 1.  価格カルテルとその他のカルテルが関係している事件は、価格カルテルに分類している。その他、複数の行為類型に係る事件については、主たる行為に即して分類している。
   2.  「その他のカルテル」とは、数量、販路、顧客移動禁止、設備制限等のカルテルである。
   3.  第8条第1項第5号に係る事件は、不公正な取引方法に分類している。
   4.  「その他」とは、事業者団体による構成員の機能活動の制限等である。

 なお、平成12年度において、独占禁止法の規定に違反する事実があると思料され、当委員会に報告された事実(申告)の件数は2,878件となっている。この報告が書面で具体的な事実を摘示して行われた場合には、措置結果を通知することとされており(第45条第3項)、平成12年度においては、1,647件の通知を行った。

第4表 平成12年度法的措置一覧表


第2 勧告等の法的措置

 平成12年度は18件の勧告を行った。18件のうち、1件については関係人の一部について審判手続を開始し、その他については勧告審決を行った。平成12年度に法的措置を採った18件について違反法条をみると、第3条後段(不当な取引制限)違反12件、第19条違反(不公正な取引方法)違反6件となっている。
 法的措置を採った上記18件の概要は、以下のとおりである。
1 独占禁止法第3条後段違反事件
(1)  タカハタ建設株式会社ほか202名に対する件、やまざきコンサルタント株式会社ほか93名に対する件(平成12年(勧)第7号及び平成12年(勧)第8号)
ア 関係人
(ア)  北海道上川支庁発注の農業土木工事関係(平成12年(勧)第7号)







(イ)  北海道上川支庁発注の農業土木工事に伴う測量設計業務関係(平成12年(勧)第8号)



イ 違反事実等
(ア) 北海道上川支庁発注の農業土木工事関係
(a)  北海道上川支庁(以下「上川支庁」という。)は、農業農村整備事業に係る農業土木工事(舗装工事、建築工事、管工事、電気工事、ダム工事、頭首工工事、グラウト工事、鋼橋上部工事及び機械器具設置工事を主たる工事とするものを除く。以下単に「農業土木工事」という。)のほとんどすべてを指名競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注している。
上川支庁は、指名競争入札等に当たっては、北海道が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者又は複数の有資格者が結成した経常建設共同企業体の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
  (b)  関係人203名(以下「203名」という。)のうち100名は、北海道に本店、支店、営業所等を設け、旭川市、士別市、名寄市、富良野市及び上川支庁管内の町村の区域において農業土木工事の請負業を営む法人等を正会員とし、農業農村整備事業の充実に寄与すること等を目的とする旭川農業土木協会の正会員である。
(a)  上川支庁農業振興部の農業農村整備事業に係る業務担当者(以下「上川支庁の業務担当者」という。)等は、かねてから、地元企業の安定的及び継続的な受注の確保等を目的として、毎年、北海道農政部の農業農村整備事業に係る業務担当省等から示される基本的な考え方に基づき、農業土木工事の業者ごとの年間受注目標額を算出し、これを同業務担当者等に報告し、同業務担当者等による調整に基づき、設定していた。また、上川支庁の業務担当者等は、北海道農政部の農業農村整備事業に係る業務担当者等と定期的に開催する会合に出席し、同業務担当者等の求めに応じて右年間受注目標額の業者ごとの達成状況について報告を行っていた。
  (b)  上川支庁の業務担当者等は、前記(a)の年間受注目標額をおおむね達成できるようにするために、指名競争入札等の執行前に、発注を予定している農業土木工事の物件ごとに、受注業者に関する意向を旭川農業土木協会の事務局長の職にある者に示していた。また、旭川農業土木協会の事務局長の職にある者は、右意向に基づき、受注を予定する者として選ばれた旨を当該業者に伝えていた。
  (c)  203名(203名のうちの1名が、代表者となって経常建設共同企業体を結成する場合も含む。以下同じ。)は、遅くとも平成8年4月1日以降(別表1記載の事業者にあっては、それぞれ「期日」欄に記載された年月日ころ以降)、上川支庁が指名競争入札等の方法により発注する農業土木工事(以下「上川支庁発注の特定農業土木工事」という。)について、受注価格の低落防止並びに安定的及び継続的な受注の確保を図るため
(i)  上川支庁から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合は、旭川農業土木協会の事務局長の職にある者から、受注を予定する者として選ばれた旨の連絡を受けた者を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)とする
(ii)  受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者が定めた価格で受注することができるように協力する
旨の合意の下に、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
  203名は、前記b(c)により、上川支庁発注の特定農業土木工事のほとんどすべてを受注していた。
   平成11年10月20日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、上川支庁の業務担当者等は、同日以降、受注業者に関する意向を旭川農業土木協会の事務局長の職にある者に示すことを取りやめ、また、203名は、同日以降、前記b(c)の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者か受注できるようにする行為を取りやめている。
(イ) 上川支庁発注の農業土木工事に伴う測量設計業務関係
(a)  上川支庁は、農業農村整備事業に係る農業土木工事に伴う測量業務、土木設計業務並びに測量業務及び土木設計業務が一括して発注される業務(これらの業務のいずれかとその他の業務が合わせて発注される場合には、これらの業務を主体とするものに限る。以下「測量設計業務」という。)の大部分を指名競争入札等の方法により発注している。
 上川支庁は、指名競争入札等に当たっては、北海道が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
  (b)  関係人94名(以下「94名」という。)のうち35名は、旭川市、士別市、名寄市、富良野市及び北海道上川支庁管内の町村の区域に本店又は支店を設け、測量設計業を営む法人等を正会員とし、技術の研究開発及び経営の改善を推進すること等を目的とする旭川測量設計業協会の正会員である。
(a)  上川支庁の業務担当者等は、かねてから、地元企業の安定的及び継続的な受注の確保等を目的として、毎年、北海道農政部の農業農村整備事業に係る業務担当者等から示される基本的な考え方に基づき、測量設計業務の業者ごとの年間受注目標額を算出し、これを同業務担当者等に報告し、同業務担当者等による調整に基づき、設定していた。また、上川支庁の業務担当者等は、北海道農政部の農業農村整備事業に係る業務担当者等と定期的に開催される会合に出席し、同業務担当者等の求めに応じて右年間受注目標額の業者ごとの達成状況について報告を行っていた。
  (b)  上川支庁の業務担当者等は前記(a)の年間受注目標額をおおむね達成できるようにするために、指名競争入札等の執行前に、発注を予定している測量設計業務の物件ごとに、受注業者に関する意向を旭川測量設計業協会の事務局次長の職にある者に示していた。また、旭川測量設計業協会の事務局次長の職にある者は、右意向に基づき、受注を予定する者として選ばれた旨を当該業者に伝えていた。
  (c)  94名は、遅くとも平成8年4月1日以降(別表2記載の事業者にあっては、それぞれ「期日」に記載された年月日ころ以降)、上川支庁が指名競争人札等の方法により発注する測量設計業務(以下「上川支庁発注の特定測量設計業務」という。)について、受注価格の低落防止並びに安定的及び継続的な受注の確保を図るため
(i) 上川支庁から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合は、旭川測量設計業協会の事務局次長の職にある者から、受注を予定する者として選ばれた旨の連絡を受けた者を受注予定者とする
(ii) 受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者が定めた価格で受注することができるように協力する
旨の合意の下に、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
   94名は、前記b(c)により、上川支庁発注の特定測量設計業務のほとんどすべてを受注していた。
   平成11年10月20日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、上川支庁の業務担当者等は、同日以降、受注業者に関する意向を旭川測量設計業協会の事務局次長の職にある者に示すことを取りやめ、また、94名は、同日以降、前記b(c)の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
(ア) 上川支庁発注の農業土木工事関係
 203名に対し、次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成8年4月1日以降(別表1記載の事業者にあっては、それぞれ、「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた、上川支庁が指名競争入札等の方法により発注する農業農村整備事業に係る農業土木工事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、上川支庁が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する前記農業土木工事について、受注予定者を決定しないこと。
 前記a及びbに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(イ)上川支庁発沼三の農業土木工事に伴う測量設計業務関係
 94名に対し、次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成8年4月1日以降(別表2記載の事業者にあっては、それぞれ、「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた、上川支庁が指名競争入札等の方法により発注する農業農村整備事業に係る農業土木工事に伴う測量設計業務について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、上川支庁が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する前記業務について、受注予定者を決定しないこと。
 前記a及びbに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
エ 当委員会からの要請
 北海道農政部及び各支庁において、農業土木工事及びそれに伴う測量設計業務について、各事業者ごとの年間受注目標額が設定されていたこと、上川支庁において、同目標額をおおむね達成できるようにするために指名競争入札等の執行前に、受注業者に関する意向を旭川農業土木協会の事務局長の職にある者及び旭川測量設計業協会の事務局次長の職にある者に示していたこと等の事実が認められたことから、北海道に対し、今後、同様の行為が行われることのないよう次のとおり再発防止を要請した。
(ア)  公正な入札を確保するための基本方針を改めて確認し、幹部及び関係職員の意識改革の徹底を図ること。
(イ) 監督体制の見直し、入札における情報管理の徹底を始めとして、入札における公正かつ自由な競争の確保と適切な入札が行われるために有効な制度及び組織の構築等の改善措置を講じること。
 これを受け、北海道から、入札制度の改善を図るため、今後3年間にわたり行うべき改善事項を示す「人札制度改善行動計画」を策定し、次の方策を採る旨、当委員会へ報告があった。
(1) 幹部及び関係職員の意識改革の徹底
(2) 独占禁止法違反行為等に対する監督体制の強化
(3) 入札における情報管理の徹底
(4) 入札における公正・自由な競争の確保
(5) 適切な入札が行われるために有効な制度及び組織の構築

(2)  山口三菱ふそう自動車販売株式会社ほか3社に対する件(平成12年(勧)第9号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア)  山口三菱ふそう自動車販売株式会社(以下「山口三菱」という。)、山口日野自動車株式会社(以下「山口日野」という。)、山口いすゞ自動車株式会社(以下「山口いすゞ」という。)及び中国日産ディーゼル株式会社(以下「中国日産」という。)の4社(以下「4社」という。)は、それぞれ、肩書地に本店を置き、普通トラック(標準積載量4トン以上のトラックをいう。以下同じ。)の製造業者等から同製品の供給を受け、山口県の区域において需要者に直接又は販売業者若しくは架装業者を通じて販売している者である。
4社のうち、中国日産は、日産ディーゼル山口販売株式会社が平成11年4月1日に日産ディーゼル岡山販売株式会社、山陽日産ディーゼル株式会社及び日産ディーゼル山陰販売株式会社を吸収合併し、現商号に変更したものである。
   4社(中国日産については、前記合併前は日産ディーゼル山口販売株式会社をいう。以下同じ。)は、山口県の区域において販売され中国運輸局山口陸運支局に登録される普通トラックのほとんどすべてを販売しており、4社の同販売台数の合計は、同区域における同製品の総販売台数の大部分を占めている。
   4社は、普通トラックの販売に関し、各社の代表取締役による会合及び営業責任者級の者による会合(以下「常務会等」という。)を設けているほか、常務会等の下部組織として、山口県の区域を6の区域に区分して、それぞれに各社の支店又は営業所の代表者級の者による会合(以下「支店長会」という。)を設けている。
(イ)
 4社は、かねてから、普通トラックの販売に関し、情報交換を行うことにより業界の協調を図ってきたところ、遅くとも平成8年4月以降、普通トラックの販売価格の低落防止を図るため、
 4社が山口県の区域において販売し中国運輸局山口陸運支局に登録される普通トラック(以下「山口県登録普通トラック」という。)の販売台数の合計に対する各社の販売台数の割合(以下「販売割合」という。)を大型トラック及び中型トラックの別に次のとおりとする

(単位 パーセント)
   前記aの販売割合を基に、6か月ごとに、大型トラック及び中型トラックの別に各社別の山口県登録普通トラックの販売台数の上限(以下「販売台数枠」という。)を取り決める
  旨の合意の下に
   毎年度4月から9月までを上期、10月から翌年3月までを下期とし、常務会等において、各期ごとに予測した大型トラック及び中型トラック別の山口県登録普通トラックの販売台数の合計に前記aの販売割合を乗じて販売台数枠を取り決め、各期中において、予測した販売台数の合計と実際の販売台数の合計との間に乖離が生じた場合には、必要に応じて販売台数枠を修正する
 販売台数枠を上限として販売するために、支店長会において、近く受注が見込まれる需要者を必要に応じて開示するなどして、当該需要者が保有する普通トラックのメーカー、台数等を勘案して優先的に販売すべき者を定め、見積価格を調整するなどして優先的に販売すべき者が販売できるようにする
  ことにより、山口県登録普通トラックを販売するようにしていた。
(ウ)  4社は、前記(イ)により、平成8年4月以降、販売台数枠を上限として山口県登録普通トラックを販売していた。
(エ)  平成11年12月14日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、4社は、同目以降、前記(イ)の合意に基づき販売する行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 4社に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  遅くとも平成8年4月以降行っていた、山口県登録普通トラックの販売割合を決定し、同割合を基に販売台数枠を取り決めて販売する行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を山口県の区域における普通トラックの需要者、販売業者及び架装業者に周知徹底させること。この周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、共同して、4社が山口県登録普通トラックの販売割合を決定し、同割合を基に販売台数枠を取り決めて販売する行為を行わず、各社がそれぞれ自主的に販売活動を行う旨
(ウ)  今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、山口県の区域において、普通トラックの総販売台数に対する各社の販売台数の割合を決定してはならず、同割合を基に各社の販売台数の上限を取り決めないこと、
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(3)  大東通商(株)ほか44社に対する件(平成12年(勧)第11号)
ア 関係人

イ 違反事実等
(ア)  水産庁は、国内において漁業調査船及び漁業取締船に給油するA重油及び軽油(以下「国内向け船舶用燃料油」という。)のほとんどすべてを、国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令の規定が適用される一般競争入札(以下「一般競争入札という。)の方法により発注しており、一般競争入札に当たっては、農林水産省本省等競争参加資格者名簿に登録されている有資格者であって、石油元売業者等の仕入先が発行する供給保証証明書を受けていることを入札の要件としている。
 水産庁は、国内向け船舶用燃料油を年間6回発注しており、それぞれの発注に当たって、給油地を道北地区、道南地区、東北地区、北陸山陰地区、京浜地区、阪神地区、四国地区、九州中国地区及び沖縄地区の9つの地区に分け、各地区ごと、A重油及び軽油の油種ごとに物件を区分している。
 関係人45社(コスモ石油サービス株式会社にあっては、平成12年7月31日まで九州コスモ石油販売株式会社。以下同じ。)並びに全国漁業協同組合連合会(以下「全漁連」という。)及び丸紅エネルギー株式会社(以下「丸紅エネルギー」という。)の47名(以下「47名」という。)は、水産庁が一般競争入札の方法により発注する国内向け船舶用燃料油(以下「水産庁発注の特定船舶用燃料油」という。)の大部分を供給していた。
(イ)  47名は、遅くとも平成9年4月以降(別表記載の事業者にあっては、それぞれ「期日」欄に記載された年月日ころ以降)、水産庁発注の特定船舶用燃料油について、各者の受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため、物件ごとの受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるよう協力する旨の合意に基づき
 47名を、それぞれの仕入先である石油元売業者等ごとに1名ないし数名で構成するグループ(以下「系列グループ」という。)
並びに九州中国地区及び沖縄地区に営業所を有する者を中心に構成するグループ(構成員の一部は系列グループと重複する。以下「九州グループ」という。)に区分し
 一般競争入札が実施される都度、入札日の数日前に、各グループを代表する者(以下「幹事」という。)で開催する二十日会と称する会合(以下「二十日会」という。)において
(a)  水産庁発注の特定船舶用燃料油のうち、九州中国地区及び沖縄地区の物件については、九州グループに属する者を受注予定者とし、九州中国地区及び沖縄地区以外の物件については、系列グループごとに水産庁発注の特定船舶用燃料油の累積受注数量を計算して、当該数量が最も少ない系列グループから順次、受注する物件を選択することによって、物件ごとの受注予定者が属する系列グループ(以下「受注予定系列グループ」という。)を決定し
(b)  予定価格の水準について情報交換を行った上、物件ごとの受注予定者の入札3回分の応札予定価格を決定し
 系列グループ及び九州グループの幹事が、それぞれのグループの構成員に対し、前記bの二十日会の決定事項を周知した上で、受注予定系列グループ及び九州グループにおいては、構成員が1名の場合はその者を受注予定者とし、構成員が複数の場合は順番制等の方法により受注予定者を決定し
  受注予定者は、前記b(b)で決定した受注予定者の応札予定価格で人札し、受注予定者以外の者は、同価格より高い価格で人札し、又は、入札を辞退することにより、受注予定者が受注できるようにし
ていた。
(ウ)  平成11年4月以降、防衛庁調達実施本部発注に係る石油製品納入業者らに対する当委員会の審査についての報道がなされたこと等から、47名のうち、全漁連は平成11年11月ころ以降、丸紅エネルギーは平成12年1月ころ以降、それぞれ、前記(イ)の合意から離脱した。
(エ)  47名は、前記(イ)により、水産庁発注の特定船舶用燃料油の大部分を受注していた。
(オ)  平成12年4月12日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、前記(ウ)に記載の2名を除く45社は、同日以降、前記(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 関係人45社に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  遅くとも平成9年4月以降(別表記載の事業者にあっては、それぞれ「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた、水産庁発注の特定船舶用燃料油について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を水産庁に通知し、自社の従業員に周知徹底させること。この通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、共同して、水産庁発注の特定船舶用燃料油について、受注予定者を決定せず、各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、水産庁が競争入札の方法により発注する国内向け船舶用燃料油について、受注予定者を決定しないこと。
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(4)
 熊本日野自動車株式会社ほか3社に対する件(平成12年(勧)第13号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア)  熊本日野自動車株式会社、熊本三菱ふそう自動車販売株式会社、熊木いすゞ自動車株式会社及び九州日産ディーゼル株式会社(以下「九州日産」という。)の4社(以下「4社」という。)(九州日産については、平成11年10月1日以前は、九州日産に合併された日産ディーゼル熊本販売株式会社をいう。以下同じ。)の熊本県の区域における普通トラックの販売台数の合計は、同区域における同製品の総販売台数のほとんどすべてを占めている。
 なお、4社が熊本県の区域において販売する普通トラックには、九州運輸局熊本陸運支局に登録され同区域において使用されるもの(以下「県内向け普通トラック」という。)のほか、同区域外で使用される等のため同陸運支局に登録されないものがあるところ、4社の販売台数のほとんどすべてが県内向け普通トラックである。
   4社は、普通トラックを需要者に販売するに当たり、それぞれ、同製品の製造業者等が完成車又はシャシーの型式別に定めている希望小売価格を基準として、熊本地区希望小売価格、建値等と称する標準販売価格を定めている。
 4社は、普通トラックの販売に関し、各社の営業部長級以上の者で構成する会合(以下「部長会」という。)を設けている。
(イ)  4社は、かねてから、熊本県の区域における普通トラックの販売に関し、販売の目安とする価格を定め、また、特定の需要者に対して優先的に販売する者を定めるなどして4社問の協調の下に営業活動を行っていたが、普通トラックの販売台数の拡大を競う結果、販売価格が低落しがちであったことから、前記に加え、各社の販売台数の上限を定めることにより4社間の販売台数をめぐる競争が激化しないよう努めてきたところ、遅くとも平成8年5月以降、普通トラックの販売価格の低落を防止するため、普通トラックの販売に際し
 共通の算定方法により、それぞれ、BPと称する価格(以下「BP]という。)を設定し、BPを目安として販売する旨の合意の下に、それぞれ、自社の販売する普通トラックについて、その標準販売価格に0.86を乗じ、需要者の求めにより架装を行う場合にはそのための増額分を加えるなどしてBPを設定し、顧客に対して原則としてBP以上の見積価格を提示し、BPを目安として販売する
 普通トラックの需要者のうち、その保有する普通トラックのすべてが4社のいずれか1社から購入したものであり、かつ、その台数が5台以上である需要者を、当該普通トラックを販売してきた者(以下「主幹販社」という。)が優先して販売すべき需要者(以下「オンリーユーザー」という。)とし、オンリーユーザーに対しては、主幹販社が販売できるよう相互に協力する旨の合意の下に、従来からオンリーユーザーとして認め合った需要者に加え、新たにオンリーユーザーの要件に合致することになった需要者については、それぞれ部長会の了承を得て自社のオンリーユーザーとすることにより、相互に各社のオンリーユーザーを認め合い、他社のオンリーユーザーに対しては、売り込み活動を行わず、また、他社のオンリーユーザーから引き合いがあった場合には、主幹販社と見積価格を調整することにより、主幹販社が販売できるよう協力する
 4社が販売する県内向け普通トラックの総数に対する各社の販売台数の割合(以下「販売割合」という。)を、熊本日野自動車株式会社28.9パーセント、熊本三菱ふそう自動車販売株式会社26.0パーセント、熊本いすゞ自動車株式会社24.4パーセント及び九州日産20.7パーセントとし、この販売割合及び予測される需要台数を基に、各社の県内向け普通トラックの販売台数の上限(以下「販売台数枠」という。)を定める旨の合意の下に、毎年5月から10月までを上期、11月から翌年4月までを下期として、部長会において、各期ごとに当該期間の県内向け普通トラックの需要台数を予測し、これに上記の販売割合を乗じて各社の販売台数枠を定め、部長会において各社の販売台数枠の消化状況を定期的に確認し、それぞれの販売台数枠の範囲内で県内向け普通トラックを販売する
こととしていた。
(ウ)  4社は、前記(イ)に基づき、平成8年5月以降、普通トラックについて、おおむね、BPを目安として販売し、主幹販社がオンリーユーザーに販売できるよう相互に協力し、また、県内向け普通トラックについて、おおむね、販売台数枠の範囲内で販売していた。
(エ)  平成11年12月14日、本件について当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、4社は、同目以降、前記(イ)の行為を事実上取りやめている。
ウ 排除措置
 4社に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  熊本県の区域において販売する普通トラックに関し、遅くとも平成8年5月以降行っていた次の行為を取りやめていることを確認すること。
 共通の算定方法により、それぞれ、BPを設定し、当該価格を目安として販売することとしていた行為
 主幹販社がオンリーユーザーに販売できるよう相互に協力することとしていた行為
 県内向け普通トラックの総数に対する各社の販売割合を定め、同割合を基に、当該普通トラックの販売台数枠を定めて販売することとしていた行為
(イ)  次の事項を熊本県の区域における普通トラックの需要者、販売業者及び架装業者に周知徹底させること。この周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、共同して、4社が熊本県の区域において販売する普通トラックについて、前記(ア)の行為と同様の行為を行わず、各社がそれぞれ自主的に販売活動を行う旨
(ウ)  今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、熊本県の区域において、前記(ア)の行為と同様の行為により、普通トラックの販売価格、特定の需要者に対して優先的に販売すべき者又は各社の販売台数の上限を決定しないこと。
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(5)  富士電気化学株式会社ほか3社に対する件(平成12年(勧)第14号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア)  陸上自衛隊は、通信機に使用する専用の乾電池(以下「通信機用乾電池」という。)の性能、構造等について一定の仕様を定め、そのほとんどすべてを、平成9年度までは指名競争入札の方法により、平成10年度及び同11年度は一般競争入札の方法により発注している。
 陸上自衛隊は、通信機用乾電池の発注に当たって、平成9年度まで行っていた指名競争入札においては、競争入札参加資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札の参加者を指名しており、また、平成10年度及び同11年度において行っていた一般競争入札においては、前記登録している者のうち、入札に係る一定の等級以上の資格を有する者であることを入札参加の要件としている。
 陸上自衛隊は、平成11年度までは通信機用乾電池を4半期に1回程度発注しており、発注に当たって実施する指名競争入札又は一般競争入札(以下「一般競争入札等」という。)においては、品目別に物件を区分して実施している。
 陸上自衛隊は、通信機用乾電池の一般競争入札等において、予定価格の制限の範囲内で最低の価格で入札を行った者を落札者として契約を締結することによって、また、予定価格の制限に達する者がいない場合は入札を不調とし、それまでの入札において最低の価格で入札を行った者と随意契約を前提とした商議と称する価格交渉を行い、予定価格の制限に達した場合にはその者と契約を締結することによって、通信機用乾電池を調達している。
 富士電気化学株式会社、東芝電池株式会社及び東洋高砂乾電池株式会社(以下「富士電気化学ほか2社」という。)は、いずれも前記登録を受けて、また、松下電器産業株式会社(以下「松下電器」という。)は、前記登録を受けている松下電池工業株式会社から委任を受けて、陸上自衛隊の発注する通信機用乾電池の一般競争入札等に参加し、これを供給している。
 富士電気化学ほか2社及び松下電器の4社(以下「4社」という。)は、陸上自衛隊が一般競争入札等の方法により発注する通信機用乾電池のうち、そのほとんどすべてを占めるJBAー3001、JBA−5001、JBA−5G03、JBA−7D01及びJBA−7002の5品目(以下「陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池」という。)について、そのすべてを供給しており、4社の陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池に関する取扱状況は別表のとおりである。
(イ)  4社は、遅くとも平成9年4月以降、陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池について、受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため、納入期限の到来日を基準とし、一会計年度を4期に区分した上で、各期ごと各品目ごとに受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する旨の合意に基づき
 毎年4月ころに各社の入札担当者で構成する会合を開催し、当該年度におけるすべての陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池について、次の方法により受注予定者を決定する
(a)  4社すべてが取り扱っている3品目については、前記会合の幹事会社が作成したこれら3品目の過去2年間における各社ごとの受注金額の合計額(以下「受注実績」という。)に基づき、各社1品目について4期のうち1つの期のみを選択できることとし、1巡目は受注実績の最も少ない者から、2巡目は受注実績が2番目に少ない者から、3巡目は受注実績が3番目に少ない者から順番に受注を希望する品目及びξ期のうち1つの期を選択することにより、各社が、3品目それぞれを受注できるようにする
(b)  4社のうち3社又は2社が取り扱っている2品目については当該3社又は2社の間の話合いなどにより、いずれかの者が受注できるようにする
 物件ごとの入札における受注すべき価格(以下「受注予定価格」という。)を、受注予定者が次の方法により決定する。
(a)  各年度の最初の入札においては、当該品目に係る前年度の最後の入札における落札価格の単価に、前年度における経費の上昇に見合う分を上乗せするなどして単価を設定し、これに発注数量を乗じた額を受注予定価格とする
(b)  各年度の2回目以降の入札においては、当該品目に係る年度最初の入札における落札価格(入札不調の場合は商議を経て契約に至った価格。以下同じ。)と同一の単価(平成11年度においては、当該品目に係る前回の入札における落札価格の単価を若干下回る単価)とし、これに発注数量を乗じた額を受注予定価格とする
 受注予定価格等について、受注予定者が他の入札参加者にそれぞれ連絡するなどして、受注予定者以外の者は受注予定価格を上回る価格で入札し、又は入札を辞退することにより、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
(ウ)  4社は、前記(イ)により、陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池のすべてを受注していた。
(エ)  4社は、平成12年3月8日、陸上自衛隊から、陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池の入札に関して事情を聴取されたこと等により、同日以降、前記(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 4社に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  遅くとも平成9年4月以降行っていた、陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を陸上自衛隊に通知し、自社の従業員に周知徹底させること。この通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、共同して、陸上自衛隊発注の特定通信機用乾電池について、受注予定者を決定せず、各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、陸上自衛隊が競争入札の方法により発注する前記乾電池について、受注予定者を決定しないこと。
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。

別表
特定通信機用乾電池の取扱状況
(6)  株式会社朝見工務店ほか68名に対する件、高尾建設株式会社ほか53名に対する件、亜東コンスト株式会社ほか45名に対する件(平成12年(勧)第16号、平成12年(勧)第17号、平成12年(勧)第18号)
ア 関係人
(ア) 町田市発注の土木一式工事関係(平成12年(勧)第16号)



(イ)町田市発注の建築一式工事関係(平成12年(勧)第17号)


(ウ)町出市発注の舗装工事関係(平成12年(勧)第18号)

イ 違反事実等
(ア) 町田市発注の土木一式工事関係
 町田市は、土木一式工事の大部分を指名競争入札又は見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており、指名競争入札等に当たっては、町田市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名 競争入札等の参加者を指名している。
 関係人69名(以下「69名」という。)は、遅くとも平成8年11月15日以降(別表1記載の事業者にあっては、それぞれ、「期日」欄に記載された年月日ころ以降)、町田市が指名競争入札等の方法により発注する土木一式工事(町田市内に本店又は主たる 事務所を有する者のみが指名業者として選定される工事に限る。以下「町田市発注の特定土木一式工事」という。)について、受注価格の低落防止を図るため
(a)  町田市から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には、次の方法により、当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
(i)  当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときは、その者を受注予定者とする
(ii)  受注希望者が複数のときは、工事場所、過去の受注工事との関連性又は継続性等の事情を勘案して、受注希望者間の話合いにより、受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨の合意の下に、話合いにより受注予定者を決定し、受注予定者 が受注できるようにしていた。
 また、前記(a)(ii)の話合いに際しては、必要に応じ、調整役と称する者等の助言を得るなどして受注予定者を決定していた。
 69名は、前記bにより、町田市発注の特定土木一式工事の大部分を受注していた。
 平成12年3月29日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、69名は、同日以降、前記bの合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるよう にする行為を取りやあている。
(イ) 町田市発注の建築一式工事関係
 町田市は、建築一式工事のほとんどを指名競争入札等の方法により発注しており、指名競争入札等に当たっては、町田市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者 の中から指名競争入札等の参加者を指名している。また、町田市は、共同施工方式により工事を施行するため、当該工事の発注の都度結成される建設共同企業体を指名するときは、右有資格者の 中から建設共同企業体の構成員を選定し、当該構成員の任意の組合せによる建設共同企業体を指名している。
 関係人54名(以下「54名」という。)(54名のうち複数の者が構成員となる建設共同企業体が町田市から指名される場合も含む。以下同じ。)は、遅くとも平成8年11月15日以降(別表2記載の 事業者にあっては、それぞれ、「期日」欄に記載された年月日ころ以降)、町田市が指名競争入札等の方法により発注する建築一式工事(町田市内に本店又は主たる事務所を有する者のみが指名 業者として選定される工事に限る。以下「町田市発注の特定建築一式工事」という。)について、受注価格の低落防止を図るため
(a)  町田市から指名競争人札等の参加の指名を受けた場合には、次の方法により受注予定者を決定する
    (i)  受注希望者が1名のときは、その者を受注予定者とする
    (ii)  受注希望者が複数のときは、工事場所、過去の受注工事との関連性又は継続性等の事情を勘案して、受注希望者間の話合いにより、受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨の合意の下に、話合いにより受注予定者を決定し、受注予定者 が受注できるようにしていた。また、前記(a)(ii)の話合いに際しては、必要に応じ、調整役と称する者等の助言を得るなどして受注予定者を決定していた。
 54名は、前記bより、町田市発注の特定建築一式工事のほとんどすべてを受注していた。
 平成12年3月29日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、54名は、同日以降、前記bの合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるよう にする行為を取りやめている。
(ウ) 町田市発注の舗装工事関係
 町田市は、舗装工事のほとんどすべてを指名競争入札等の方法により発注しており、指名競争人札等に当たっては、町田市が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格 者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
関係人46名(以下「46名」という。)は、遅くとも平成8年11月15日以降(有限会社春日組にあっては平成9年1月31日ころ以降、株式会社児玉土建にあっては平成9年6月25日ころ以降、有 限会社池田屋にあっては平成9年6月25日ころ以降及び株式会社丸工務店にあっては平成11年10月13日ころ以降)、町田市が指名競争入札等の方法により発注する舗装工事(町田市内に本店又は 主たる事務所を有する者のみが指名業者として選定される工事に限る。以下「町田市発注の特定舗装工事」という。)について、受注価格の低落防止を図るため
(a) 町田市から指名競争入札等の参加の指名を受けた場合には、次の方法により受注予定者を決定する
    (i)  受注希望者が1名のときは、その者を受注予定者とする
    (ii)  受注希望者が複数のときは、工事場所、過去の受注工事との関連性又は継続性等の事情を勘案して、受注希望者間の話合いにより、受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨の合意の下に、話合いにより受注予定者を決定し、受注予定者 が受注できるようにしていた。
 また、前記(a)(ii)の話合いに際しては、必要に応じ、調整役と称する者等の助言を得るなどして受注予定者を決定していた。
 46名は、前記bにより、町田市発注の特定舗装工事の大部分を受注していた。
 平成12年3月29日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、46名は、同日以降、前記2の合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるよう にする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 69名に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア) 町田市発注の土木一式工事関係
 遅くとも平成8年11月15日以降(別表1記載の事業者にあっては、それぞれ、「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた、町田市発注の特定土木一式工事について、受注予定者を決 定し、受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を町田市に通知すること。この通知の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。(a)前記aに基づいて採った措置(b) 今後、共同して、町田市発注の特定土木一式工事について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、町田市が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する土木一式工事について、受注予定者を決定しないこと。
前記aからcに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(イ) 町田市発注の建築一式工事関係
 54名に対し、次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成8年11月15日以降(別表2記載の事業者にあっては、それぞれ、「期日」欄に記載された年月日ころ以降)行っていた、町田市発注の特定建築一式工事について、受注予定者を決 定し、受注予定者が受注できるようにしていた行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を町田市に通知すること。この通知の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後、共同して、町田市発注の特定建築一式工事について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、町田市が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する建築一式工事について、受注予定者を決定しないこと。
 前記aからcに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(ウ) 町田市発注の舗装工事関係
 46名に対し、次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成8年11月15日以降(有限会社春日組にあっては平成9年1月31日ころ以降、株式会社児玉土建にあっては平成9年6月25日ころ以降、有限会社池田屋にあっては平成9年6月25日 ころ以降及び株式会社丸工務店にあっては平成11年10月13日ころ以降)行っていた、町田市発注の特定舗装工事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた行為を取 りやめていることを確認すること。
 次の事項を町田市に通知すること。この通知の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後、共同して、町田市発注の特定舗装工事について、受注予定者を決定せず、各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、町田市が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する舗装工事について、受注予定者を決定しないこと。
 前記aからcに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
別表1

別表2

(7)  一公工業株式会社ほか16名に対する件、北川瀝青工業株式会社ほか15名に対する件(平成13年(勧)第2号、平成13年(勧)第3号)
ア 関係人
(ア) 富山県等発注関係(平成13年(勧)第2号)

(イ) 富山市等発注関係(平成13年(勧)第3号)

イ 違反事実等
(ア) 富山県等発注関係
(a)  関係人17名(以下「17名」という。)及び株式会社赤矢商事(富山市東町3丁目5番2号に本店を置き、建設業法の規定に碁づき富山県知事の許可を受け,富山県の区域において防水工 事業を営んでいたが、平成12年4月ころ、同法の規定に基づき富山県知事に対し廃業の届出を行い、それ以降、すべての事業活動を取りやめている。以下「赤矢商事」という。)の18名 (以下「18名」という。)は、遅くとも平成9年4月1日以降、富山県、富山県企業局、富山県住宅供給公社、財団法人富山県民福祉公園、財団法人富山県森林水産会館及び社会福祉法 人富山県社会福祉総合センター(以下「富山県等」という。)が指名競争入札の方法により発注する防水工事及び防食工事(以下「富山県等発注の特定防水工事」という。)について、 受注機会の均等化及び受注価格の低落防止を図るため
(i)  富山県等から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には、指名を受けた者のうち一定の方式により算定した富山県等発注の特定防水工事の累積受注金額が最も少ない者又は指 名を受けた者の間の話合いにより決定した者を当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)とする
(ii)  受注すべき価格は、注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨
の合意に基づき、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
(b)  赤矢商事は、平成10年12月ころ以降、前記(a)の合意から離脱している。
(c)  17名は、赤矢商事の前記(a)の合意からの離脱後も、富山県等発注の特定防水工事について、引き続き17名の間において同合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしてきたところ、赤矢商事が同合意から離脱して独自の判断で入札に参加するようになったことにより、富山県等発注の特定防水工事の受注価格が低落してきたことから、今後も同合意に基づく行為を継続していくためには、赤矢商事に受注させないようにする必要があるとして、赤矢商事が指名を受けている場合は、同合意に基づき受注予定者を決定した上、当該受注予定者が想定される赤矢商事の入札価格を下回る価格で入札することとするとともに、当該受注予定者の入札価格が赤矢商事の入札価格を上回ること又は発注者の設定した最低制限価格を下回ることにより当該受注予定者が受注できないこととなる場合を想定して、当該受注予定者の入札価格を僅かに下回る価格で入札する者又は当該受注予定者の入札価格を僅かに上回る価格で入札する者もそれぞれ受注予定者として決めるなどして、これら受注予定者のうちいずれかの者が受注できるようにしていた。
 18名(平成10年12月ころ以降は赤矢商事を除く。)は、前記aにより、富山県等発注の特定防水工事のほとんどを受注していた。
 平成12年8月23日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、17名は、同日以降、前記aの合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
(イ) 富山市等発注関係
(a) 関係人16名及び赤矢商事(以下「17名」という。)は、遅くとも平成9年4月1日以降(株式会社プラテックスにあっては平成9年6月23日ころ以降)、富山市、富山市水道局、財団注 人富山市生活環境サービス及び富山地区広域圏事務組合(以下「富山市等」という。)等が指名競争入札の方法により発注する防水工事及び防食工事(以下「富山市等発注の特定防水工 事」という。)について、受注機会の均等化及び受注価格の優落防止を図るため、富山市等から指名競争入札の参加の指名を受けた場合には、指名を受けた者の中から当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定し、受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する旨の合意に基づき
(i)  富山県建設防水事業協同組合(以下「富山防水協組」という。)の組合員(以下「組合員」という。)である北川青工業株式会社富山支店の営業責任者(以下「取りまとめ役」と いう。)が富山市等発注の特定防水工事のうち富山防水協組の非組合員(以下「非組合員」という。)を受注予定者とすることが適当な工事として選定したもの以外の工事について は、指名を受けた組合員のうち一定の方式により算定した富山市等発注の特定防水工事の累積受注金額が最も少ない者を受注予定者として決定する
(ii)  取りまとめ役が富山市等発注の特定防水工事のうち非組合員を受注予定者とすることが適当な工事として選定したものについては、指名を受けた非組合員のうち、取りまとめ役か 富山市等発注の特定防水工事に係る累積指名回数等を勘案して選定した者を受注予定者として決定する
こと等により、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
(b)  赤矢商事は、平成10年12月ころ以降、前記(a)の合意から離脱している。
(c)  16名は、赤矢商事の前記(a)の合意からの離脱後も、富山市等発注の特定防水工事について、引き続き16名の間において同合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるよう にしてきたところ、赤矢商事が同合意から離脱して独自の判断で入札に参加するようになったことにより、富山市等発注の特定防水工事の受注価格が低落してきたことから、組合員らは、 今後も同合意に基づく行為を継続していくためには、赤矢商事に受注させないようにする必要があるとして、赤矢商事が指名を受けている場合は、同合意に基づき受注予定者を決定した 上、当該受注予定者が想定される赤矢商事の入札価格を下回る価格で入札することとするとともに、当該受注予定者の入札価格が赤矢商事の入札価格を上回ること又は発注者の設定した最 低制限価格を下回ることにより当該受注予定者が受注できないこととなる場合を想定して、当該受注予定者の入札価格を僅かに下回る価格で入札する者又は当該受注予定者の入札価格を僅 かに上回る価格で入札する者もそれぞれ受注予定者として決めるなどして、これら受注予定者のうちいずれかの者が受注できるようにしていた。
 17名(平成10年12月ころ以降は赤矢商事を除く。)は、前記aにより、富山市等発注の特定防水工事の大部分を受注していた。
 平成12年8月23日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、16名は、同日以降、前記bの合意に基づき受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるよう にする行為を取りやめている。
ウ 排除措置
(ア) 富山県等発注関係
 17名に対し、次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成9年4月1日以降行っていた、富山県等発注の特定防水工事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を富山県等に通知すること。この通知の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後、共同して、富山県等発注の特定防水工事について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、富山県等が競争入札の方法により発注する防水工事又は防食工事について、受注予定者を決定しないこと。
前記aからcに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(イ) 富山市等発注関係
 16名に対し、次の措置を採るよう命じた。
 遅くとも平成9年4月1日以降(株式会社プラテックスにあっては平成9年6月23日ころ以降)行っていた、富山市等発注の特定防水工事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注で きるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
 次の事項を富山市等に通知すること。この通知の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
(a)  前記aに基づいて採った措置
(b)  今後、共同して、富山市等発注の特定防水工事について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
 今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、富山市等が競争入札の方法により発注する防水工事又は防食工事について、受注予定者を決定しないこと。
 前記aからcに基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
2 独占禁止法第19条違反事件
(1)  姫路市管工事業協同組合に対する件(平成12年(勧)第5号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア) 姫路市管工事業協同組合(以下「姫路協組」という。)は、かねてから、給水装置工事用資材等の共同購入事業を行ってきたところ、平成9年11月ころ、姫路市水道局が給水装置工事用資材 (配水管への取付口から水道メーターまでの給水装置工事用資材をいう。以下同じ。)として指定する資材(以下「指定資材」という。)のうち特定の製造業者が製造したものを選定して共同購 入の対象としている分譲資材と称する資材(以下「分譲資材」という。)のすべてを給水装置工事用資材の販売業者(以下「資材販売業者」という。)である東神工業株式会社及び安田株式会社 の2社(以下「2社」という。)から共同購入して組合員に供給することとした。
 姫路協組は、平成11年1月11日ころに開催した理事会において、組合員が2社以外の資材販売業者から分譲資材を購入している可能性がある旨の指摘があったことから、技術・資材委員会等 において姫路協組の共同購入事業を利用せずに分譲資材を購入する、いわゆる抜け駆けを防止するための対策を検討してきたところ、同年6月14日ころに開催した役員会において、分譲資材の共 同購入事業を維持し、同事業に係る手数料収入を確保するため、購入先資材販売業者を2社から東神工業株式会社、安田株式会社、姫路鋼管株式会社、株式会社ナカシマ、渡辺パイプ株式会 社、株式会社マニックス、山富商事株式会社及び有限会社管材の8社(以下「8社」という。)に拡大して抜け駆けを防止することとし、8社に対し、分譲資材を組合員及び非組合員に直接販売 しないようにさせまた、分譲資材と同一規格であって製造業者が異なる類似品と称する指定資材(以下「類似品」という。)を組合員及び非組合員に販売しないようにさせることとした。
 姫路協組は、前記bの方針に基づき、平成11年6月22日ころ、姫路協組の会議室において、8社に対し、分譲資材を組合員及び非組合員に直接販売しないこと並びに類似品を組合員及び非組合 員に販売しないことを要請し、8社はこれを了承した。さらに、姫路協組は、8社に対し、8社が分譲資材を組合員及び非組合員に直接販売していないことを確認するため、8社の分譲資材の在 庫及び出荷状況を調査することを表明し、平成11年8月12日ころ及び同月17日ころ、同調査を実施した。
 姫路協組は、組合員に対し、平成11年6月23日付けの文書により、同年7月1日から購入先資材販売業者を2社から8社に拡大することを周知徹底させた。
(イ)  姫路協組は、前記(ア)cの要請により、平成11年7月1日ころ以降、8社に対し、分譲資材を組合員及び非組合員に直接販売しないようにさせ、また、類似品を組合員及び非組合員に販売しないよう にさせている。
ウ 排除措置
 姫路協組に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  8社に対し、分譲資材を組合員及び非組合員に直接販売しないようにさせている行為並びに類似品を組合員及び非組合員に販売しないようにさせている行為を取りやめること。
(イ)  前記(ア)に基づいて採った措置を組合員、非組合員及び8社に周知徹底させること。
(ウ)  今後、前記(ア)の行為と同様の行為により、給水装置工事用資材の販売業者の販売先及び取扱商品を制限しないこと。
(2)  株式会社サギサカに対する件(平成12年(勧)第6号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア)  株式会社サギサカ(以下「サギサカ」という。)は、一般消費者向けに販売される自転車用の部品、付属品等の自転車用品8以下「自転車用品」という。)の製造業者から自転車用品を購入 し、これを自己の仕様でパックするなどして、自転車用品を各種品揃えした上で、直接又は卸売業者を通じて量販店に販売しており、我が国における量販店向け自転車用品の販売高において業界 第1位を占めている。
 自転車用品を取り扱う量販店は、通常、一の卸売業者から、多種多様の自転車用品を一定の品揃えされた商品群として購入し、一般消費者への訴求効果を高めるため、統一されたデザインで パックされた自転車用品を主体に陳列し販売している。このため、自転車用品を量販店に販売する卸売業者においては、自転車用品を自己の仕様でパックするなどして、自転車用品の豊富な品揃えを有するとともに、一旦納入を開始した商品群中の自転車用 品については量販店の個別の発注に迅速かっ的確に応えることが必要不可欠となっている。
(a)  サギサカは、株式会社オークス(以下「オークス」という。)から、同社が製造する人気キャラクターを使用した自転車用品(以下「オークス製品」という。)を購入して、直接又 は卸売業者を通じて量販店に販売しているところ、平成9年9月ころから平成11年6月ころまでは、サギサカほか1名の2名がオークスからオークス製品の供給を受けていたが、サギサカ 以外の1名は、直接、量販店のみに販売することとしていたこと及び平成11年7月ころ以降は、サギサカがオークス製品の総代理店としてオークスからオークス製品の供給を一手に受ける ようになったことから、オークス製品の取扱いを希望する自転車用品の卸売業者は、サギサカから又はサギサカの販売先卸売業者を通じてオークス製品を購入せざるを得ない状況にある。
(b)  オークス製品は、幅広い年齢層を対象として長期的に人気がある数多くのキャラクターが使用されており、かつ、その種類が豊富であることから、自転車用品を取り扱う量販店にとっ て、オークス製品を取り扱うことは営業上有利であるとされている。
(イ)
(a) サギサカは、量販店向け自転車用品の販売に関し、顧客争奪競争による取引の減少及び価格の低落を防止する等の観点から、遅くとも平成7年以降、購入先自転車用品製造業者(以下 「購入先製造業者」という。)に対し、商談等の場において、サギサカが直接又は卸売業者を通じて自己の仕様でパックした自転車用品を販売している量販店(以下「サギサカ納入先量販 店」という。)に自転車用品を自己を通さず直接又は間接に販売しないよう要請している。
(b) (i)  サギサカは、平成9年上期ころ、購入先製造業者である株式会社ヨシオ(以下「ヨシオ」という。)が自己を通さず、自己の販売先卸売業者を通じてサギサカ納入先量販店に自転 車用品を販売していることを確認したことから、ヨシオに対し、同行為は前記(a)の要請に反するものであるとして、同行為をやめるよう要請した。
(ii)  ヨシオは、前記(i)の要請を受けたことから、その後、前記(i)の卸売業者に対する自転車用品の販売品目数及び販売量を大幅に縮小させた。
(c) (i)  サギサカは、平成10年2月ころ、ヨシオが再び前記(a)の要請に反し、自己を通さず、自転車用品の量販店向け販売において自己と競争関係にある販売業者(以下「競合他社」とい う。)である株式会社ハチスカ(以下「ハチスカ」という。)を通じてサギサカ納入先量販店に自転車用品を販売していることを確認したことから、ヨシオとの取引を停止することと し、同年9月ころ、同取引を停止した。
(ii)  サギサカは、購入先製造業者である株式会社キャットアイ(以下「キャットアイ」という。)及び有限会社シンセイ製作所(以下「シンセイ製作所」という。)が、それぞれ、ヨ シオに自転車用品を販売していたことから、平成10年2月ころ以降、キャットアイ及びシンセイ製作所に対し、再三にわたって、ヨシオの前記(a)の要請に反する前記田の行為に対す る不快感を示し、自社はヨシオとの取引を停止することとした旨を伝え、キャットアイ及びシンセイ製作所とヨシオとの取引の継続の有無を確認する等により、ヨシオとの取引を停 止するよう働きかけた。
(iii)  サギサカから従来より前記(a)の要請を受けていたキャットアイは、前記(ii)の働きかけを受けたことから、前記(a)の要請に反したヨシオとの取引を継続すれば、サギサカとの自転車 用品の取引に悪影響が出る等の懸念を抱き、平成10年6月30日ころ、ヨシオに対し、キャットアイの製造に係る自転車用品の販売を停止する旨を文書により通知し、その後、取引を 停止した。
 また、サギサカから従来より前記(a)の要請を受けていたシンセイ製作所は、前記(ii)の働きかけを受けたことから、前記(a)の要請に反したヨシオとの取引を継続すれば、サギサカと の自転車用品の取引に悪影響が出る等の懸念を抱き、ヨシオに対し、再三にわたって、シンセイ製作所の製造に係る自転車用品の販売が困難である旨を伝える等により、自己との取 引を断念させ、その後、取引を停止した。
(d)  サギサカは、年1回の割合で主要な購入先製造業者等を招集してサギサカ仕入研究会と称する会合を開催しているところ、平成10年10月22日ころ及び平成11年10月21日ころ開催した同会 合において、それぞれ、出席者に対し、前記(a)の要請に反する行為を行った者がいる旨を周知するとともに、前記(a)の要請を繰り返し行った。
(e)  サギサカの前記(a)から(d)の行為により、購入先製造業者は、おおむね、サギサカ納入先量販店に自転車用品をサギサカを通さず直接又は間接に販売しないようにしている。
(ウ)  サギサカは、ハチスカが自己の販売先卸売業者からオークス製品を購入し、サギサカ納入先量販店にオークス製品を含む自転車用品を安価で売り込んでいるとの情報に接したこと等から、ハチ スカの目転車用品の販売活動を抑制するため、平成10年10月ころ以降、同卸売業者に対し、ハチスカにオークス製品を販売しないようにさせている。
(a)  サギサカは、競合他社のうち、自転車用品を安価で販売するなどにより自己とサギサカ納入先量販店との取引を減少させ、又はその可能性のある株式会社アルタス、株式会社トップ、テ ラオ株式会社、ハチスカ、株式会社福栄商会(以下「特定競合5社」、という。)の自転車用品の販売活動を抑制するため、平成11年2月3日ころ、一部の自己の販売先卸売業者に対し、特 定競合5社にオークス製品を直接又は間接を問わず販売しないよう要請し、この要請に従わない場合は、当該卸売業者との取引を停止する旨を文書により通知した。
(b)  (a)前記(a)の通知を受けた卸売業者のうち特定競合5社にオークス製品を供給していた者は、サギサカから取引を停止されることを恐れ、その後、当該供給を取りやめている。
ウ 排除措置
 サギサカに対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  自転車用品の取引に関し
 購入先製造業者に対し、サギサカ納入先量販店に自己を通さず直接又は間接に自転車用品を販売しないよう要請している行為
 司要請に反したヨシオに対し、同社に自転車用品を販売していたキャットアイ及びシンセイ製作所をして、自転車用品を販売しないようにさせている行為
を取りやめること。
(イ)  オークス製品の取引に関し、販売先卸売業者に対し、特定競合5社に販売しないようにさせている行為を取りやめること。
(ウ)  前記(ア)に基づいて採った措置を購入先製造業者、ヨシオ及びサギサカ納入先量販店に、前記(イ)に基づいて採った措置を販売先卸売業者及び特定競合5社に、それぞれ周知徹底させること。この周知徹 底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
(エ)  今後、前記(ア)の行為と同様の行為により、購入先製造業者の販売先を制限しないこと、また、前記(イ)の行為と同様の行為により、販売先卸売業者に、自己と競争関係にある販売業者に対するオークス が製造する自転車用品の販売を拒絶させないこと。
(オ)  前記(ア)から国に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(3)  株式会社ピエトロに対する件(平成12年(勧)第10号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア)  株式会社ピエトロ(以下「ピエトロ」という。)は、肩書地に本店を置き、液状ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料(以下「液状ドレッシング類」という。)の製造販売業を営む者である。
 ピエトロが製造販売する液状ドレッシング類(以下「ピエトロ製ドレッシング類」という。)は、生タイプであることに加え、主力の品目には和風の味付けがされていることなどの特色があり、これ を使用した消費者が引き続き購入することが多いとされ、食品類を販売する小売業者の中にはピエトロ製ドレッシング類の取扱いを望む者が多く、ピエトロは、我が国の液状ドレッシング類の販売分野 において有力な地位を占めている。
 ピエトロは、ピエトロ製ドレッシング類のほとんどを百貨店や量販店等の小売業者を通じて一般消費者に販売しており、小売業者に対しては、その希望等を勘案して、直接又は卸売業者を通じて販売 している。
 なお、ピエトロ製ドレッシング類の小売業者向け販売高のうち、百貨店向けが約15パーセントを、それ以外の小売業者向けが約85パーセントを占めている。
 ピエトロは、ピエトロ製ドレッシング類について、通常、その取扱いを希望する小売業者又は卸売業者から紹介された小売業者の中から、取り扱うことを認める店舗を特定した上で小売業者を選定し ている。
 ピエトロは、ピエトロ製ドレッシング類について、希望小売価格を定めている。
(イ)  ピエトロは、ピエトロ製ドレッシング類について、その発売当初においては、主として、メーカー希望小売価格から値引きして販売することの少ない百貨店向けに販売してきたところ、その 後、その販売高が伸び悩んできたこと等に対処するため、平成6年ころには販路を量販店等に順次拡大していくことを計画したが、この計画を実行することによりピエトロ製ドレッシング類を 取り扱う小売業者間の価格競争が活発化し、さらに、他の事業者が製造販売する液状ドレッシング類との間の価格競争に巻き込まれる結果、その小売価格が低下することによって、流通業者及び 消費者の間に定着している高級品としての評価が崩れることを懸念し、小売業者にピエトロの定めた希望小売価格で販売させるための方策を講じることとした。
 前記aの方策を具体的に記すと次のとおりである。
(a)  平成7年ころから,ピエトロは取扱いを認める小売業者を選定するに当たり、小売業者に対しピエトロの定めた希望小売価格で販売すること等を要請し、原則としてこれを了承した小売 業者に取り扱わせている。また、その実効を確保するため、取引先卸売業者に対し、独自に販路を拡大せず、あらかじめピエトロが取扱いを認めた小売業者のみに販売することを要請し、 必要に応じてその旨を書面で約定させるなどして了承させている。
(b)  小売業者がピエトロの定めた希望小売価格を下回る価格で販売したときには、当該小売業者が前記(a)により希望小売価格で販売することを了承させた小売業者であるかどうかを問わず、 その都度、必要に応じて当該小売業者に販売している取引先卸売業者の協力を得て、当該小売業者に対して希望小売価格で販売するよう要請し、これに応じないときには供給を取りやめる ことも辞さないことを示唆するなどして、希望小売価格を下回る価格での販売をやめさせる。
(c)  (b)の要請にもかかわらず、小売業者がピエトロの定めた希望小売価格を下回る価格で販売したときには、当該小売業者に対する供給の全部又は一部を取りやめる等の措置を採ることによ り、小売業者に対し、ピエトロの定めた希望小売価格で販売するようにさせている。
(ウ)  ピエトロの前記(イ)の行為により、小売業者は、おおむね、ピエトロ製ドレッシング類をピエトロの定めた希望小売価格で販売している。
ウ 排除措置
 ピエトロに対し、次の措置を採るように命じた。
(ア)  ピエトロ製ドレッシング類の販売に関し、小売業者に対し同社の定めた希望小売価格で販売するよう要請してこれを了承させ、取引先卸売業者に対し独自に販路を拡大せずあらかじめ同社の了承を得 た小売業者のみに販売することを要請してこれを了承させ、また、小売業者が希望小売価格を下回る価格で販売したときにはこれにその中止を求める等の措置を採ることにより、小売業者に対して同社 の定めた希望小売価格で販売するようにさせている行為を取りやめること。
(イ)  次の事項をピエトロ製ドレッシング類を販売する卸売業者及び小売業者並びに一般消費者に対し、それぞれ周知徹底させること。この周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、ピエトロ製ドレッシング類の販売に関し、小売業者の販売価格を制限しない旨
(ウ)  今後、液状ドレッシング類の販売に関し、前記(ア)の行為と同様の行為により、小売業者の販売価格を制限しないこと。
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(4)  株式会社上村開発ほか16社及び株式会社ワキタに対する件(平成12年(勧)第12号)
ア 関係人

イ 違反事実等
(ア)  ロックマン工法は、施工現場の状況から推進工法によることが適している工事であって、礫、玉石、転石の混り土、岩盤等の硬度が高い土質における工事に特に適した工法であるといわれてお り、ロックマン工事を施工する際には専用の機械(以下「ロックマン機械」という。)を使用する必要がある。また、ロックマン工事の施工実績は、近年、増加している。
 株式会社ワキタ(以下「ワキタ」という。)は、我が国においてロックマン工事の施工業者(以下「施工業者」という。)向けに販売されるロックマン機械の大部分を販売している。
 株式会社上村開発、株式会社浅原組、株式会社伊予ブルドーザー建設、愛媛シールド工業株式会社、オリコテクノ株式会社、株式会社カノボーリング、有限会社北組、株式会社コプロス、株 式会社サンシュー、太閤テックス株式会社、株式会社武田組、株式会社デック細間、東和工業株式会社、株式会社中村土木建設、株式会社ハマダ、平山建設工業株式会社及び牧野機工有限会社の 17社(以下「17社」という。)及び株式会社扶桑技研(以下「扶桑技研」という。)は、ロックマン工法協会と称する団体に加盟する施工業者を会員とし、ロックマン工法の施工に関する事項に ついての会員相互の意思疎通を図ること等を目的とするロックマン工法協会施工部会と称する団体(以下「施工部会」という。)の会員(扶桑技研にあっては平成11年6月19日ころまで会員)で あった。
(イ)
(a)  ワキタは、かねてから、ロックマン機械の販売に当たり、取引の相手方に対し、排他的に施工地域を保証する旨を説明することによりロックマン機械の販売促進を図ってきた。
(b)  前記(a)の説明を受けてロックマン機械を購入した施工業者の中に、施工地域について他の施工業者に対し既得権を主張する者が増えてきたところ、施工業者及びワキタは、既にロックマ ン機械を保有している者以外の者からロックマン機械の購入希望があった場合には、その都度対応を協議し、ロックマン機械の販売に反対する施工業者がいるときには、ワキタは、ロック マン機械を販売しないようにしていた。
 17社のうち株式会社サンシューを除く16社(以下「16社」という。)及び扶桑技研は、平成10年11月28日、広島市中区所在の「シルク袋町」で開催した施工部会の設立総会において、施工部 会の会員以外の者(以下「非会員」という。)が新たにロックマン工事を施工できるようになることにより、個々の会員との間で受注競争が生じることを阻止すること等を目的に、ワキタが非会 員に対し、ロックマン機械の販売及び貸与を行わないことを前提として
(a)  施工部会細則と称する規則を設け、同規則において施工部会の会員が遵守すべき事項として非会員に対するロックマン機械の貸与及び転売の禁止等を定め
(b)  前記規則を厳守する旨の同意書を施工部会に提出する
(c)  新たに施工部会に入会するためには、施工部会に前記同意書を提出し、施工部会長の承認を得ることを要件とする
ことにより、同日以降、非会員に対するロックマン機械の貸与及び転売を禁止することを決定した。
 ワキタは、16社及び扶桑技研が前記規則を設けるに当たって、ワキタのロックマン機械の販売担当者がその原案を作成し、前記設立総会において同原案の内容を会員に対し説明するなど、中心 的な役割を果たすとともに、会員との信頼関係を維持しロックマン機械の販売の継続を図るため、同設立総会が開催された平成10年11月28日以降、16社及び扶桑技研とともに、自らも、非会員に 対しては、施工部会への入会が認められない限り、ロックマン機械の販売及び貸与を行わないこととした。
 株式会社サンシューは、平成11年1月ころ、前記同意書を施工部会に提出し、施工部会に入会することにより、同月ころ以降、前記決定に参加した。
(ウ)  17社及び扶桑技研は、前記(イ)により、平成10年11月28口以降(株式会社サンシューにあっては平成11年1月ころ以降)、例外的な場合を除き、非会員に対しロックマン機械の貸与及び転売を 行っておらず、非会員がロックマン工事を施工することができないようにしていた。
 ワキタは、前記(イ)により、平成10年11月28日以降、非会員に対しロックマン機械の販売及び貸与を行っておらず、非会員がロックマン工事を施工することができないようにしていた。
(エ)  扶桑技研は、平成11年6月19日ころ、施工部会から離脱し、同日ころ以降、前記(イ)による非会員に対しロックマン機械の貸与及び転売を行わないこととする行為を取りやめている。
(オ) 17社は、平成11年10月16日、広島市中区所在の「三井ガーデンホテル広島」で開催した会合において施工部会自体の解散を決議し、同日以降、前記(イ)による非会員に対しロックマン機械の貸与及び転 売を行わないこととする行為を取りやめており、また、ワキタは、施工部会の解散に伴い、同日以降、前記(イ)による非会員に対しロックマン機械の販売及び貸与を行わないこととする行為を取りやめて いる。
ウ 排除措置
 17社及びワキタに対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  17社は、平成10年11月28日の決定に基づき、同日以降(株式会社サンシューにあっては平成11年1月ころ以降)、施工部会の会員以外の者に対し共同して行っていたロックマン機械の貸与及び転売を 拒絶する行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  ワキタは、平成10年11月28日以降、前記団体の会員以外の者に対し17社とともに行っていた前記機械の販売及び貸与を拒絶する行為を取りやめていることを確認すること。
(ウ)  17社は次のa及びbの事項を、ワキタは次のa及びcの事項を、それぞれ前記機械の需要者に周知徹底させること。この周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)又は前記(イ)に基づいて採った措置
 17社は、今後、前記(ア)と同様の行為を行わない旨
 ワキタは、今後、前記(イ)と同様の行為を行わない旨
(エ)  17社にあっては前記(ア)及び(ウ)、ワキタにあっては前記(イ)及び(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(5)  アルパイン株式会社に対する件(平成12年(勧)第15号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア) (a)  アルパイン株式会社(以下「アルパイン」という。)は、同社が製造販売する市販向けのカーオーディオ及びカーナビゲーションシステム並びにこれらに付随する製品(以下「アルパイ ン製品」という。)を、直接又は同社が出資して設立した全国各地に所在する14の地区販売会社(以下「地区販売会社」という。)を通じて自動車用品を取り扱う量販店、専門店等の小売 業者に供給し、これらの取引先小売業者を通じて一般消費者に販売している。地区販売会社は、アルパインから出資及び役員派遣を受けるとともに、アルパインとの間で締結している「取 引基本契約書」において^アルパインの営業方針に基づきアルパイン製品を販売することが義務付けられ。専らアルパイン製品をアルパインの営業方針に基づいて販売する等アルパインの 実質的な営業部門として鴬業活動を行っている。
(b)  アルパインは,アルパイン製品について、毎年、春季と秋季に新製品を発売する都度、同社が希望小売価格として定めた標準小売価格と称する価格を掲載した新製品ニュース、製品カタ ログ等を作成し、直接又は地区販売会社を通じて、取引先小売業者に配布し、標準小売価格の周知に努めている。また、アルパイン製品については、小売業者が店頭等で表示した価格を基 に一般消費者との間で、価格交渉が行われる場合が多いことから、小売業者により標準小売価格を下回る価格表示(以下「値引表示」という。)が広く行われると、実際の小売価格が低下 する傾向がみられる。
(a) 平成8年ころから、自動車用品小売業界における新規参入業者の増加等に伴い、一部の取引先小売業者が、顧客獲得のため、新聞折り込み広告、店頭表示等において、アルパイン製品 について値引表示を行って安値販売を行う事例がみられるようになったことから、アルパインは、大手量販店チェーンの本部、それらの加盟小売業者等から当該値引表示をやめさせてほ しい旨の苦情を受けたり、小売価格の低下に伴う利幅の減少を補てんしてほしい旨の要請を受けたりすることが多くなった。アルパインは、これらの値引表示が広く行われると実際の小売 価格が低下するおそれがあることから、右苦情や要請に対応して、アルパイン製品について、取引先小売業者が新聞折り込み広告、店頭表示等において価格表示を行う場合には標準小売価 格により表示させることとし、直接又は地区販売会社を通じて、取引先小売業者に対し次の方策を講じるとともに、値引表示を行っている取引先小売業者に対しては、自ら発見し又は他 の取引先小売業者からの苦情等を受けて、当該値引表示を標準小売価格による価格格表示に改めさせるなどの措置を講じることにより、取引先小売業者が値引表示を行わないようにさせてい た。
(i)  新たに小売業者との取引を開始するに当たり、当該小売業者に対し、アルパイン製品について、新聞折り込み広告、店頭表示等において標準小売価格による価格表示を行うよう要 請し、これに同意した小売業者を取引先とすること。
(ii)  大手量販店チェーンの本部、それらの加盟小売業者等に対し、販売促進目的でアルパイン製品を通常よりも卸売価格を引き下げて提供するときなどの場合には、新聞折り込み広 告、店頭表示等において当該製品の値引表示を行わない旨を約束させること。
(iii)  自社又は地区販売会社の営業担当者に取引先小売業者の店舗を定期的に巡回させ、その際、アルパイン製品について値引表示を行っている店舗に対しては、標準小売価格による価 格表示を行うよう要請し、標準小売価格による価格表示に改めさせること。
(イ) アルパインが、取引先小売業者の行ったアルパイン製品に係る値引表示に対して前記(ア)に基づき講じた措置を例示すると、次のとおりである。
 平成10年1月ころ以降、広島県福山市所在の量販店が、新聞折り込み広告及び店頭表示において、カーナビゲーションシステム等について値引表示を繰り返し行っていたところ、アルパイン は、地区販売会社であるアルパイン中四国株式会社を通じて、値引表示をやめるよう要請し、それにもかかわらず、同量販店が値引表示をやめなかったことから、製品の納品を遅らせることによ り、値引表示をやめさせた。
 平成10年11月ころ、神奈川県藤沢市所在の量販店が、新聞折り込み広告において、カーナビゲーションシステムについて値引表示を行っていたところ、アルパインは、同量販店に対し、広告掲 載価格は間違いであった旨の訂正文を店頭に掲示させた。また、平成11年7月ころ、同量販店がポスティング広告において、カーナビゲーションシステムについて値引表示を行おうとしたとこ ろ、アルパインは、広告内容を値引表示のないものに差し替えさせた。
 平成11年3月ころ、新潟県所在の同一の量販店チェーンに属する複数の量販店が、共通の新聞折り込み広告において、カーナビゲーションシステム等について値引表示を行っていたところ、ア ルパインは、地区販売会社であるアルパイン新潟販売株式会社を通じて、当該広告の企画を担当したこれら量販店を統括する事業者に対し、広告掲載価格は間違いであった旨の訂正文を各量販店 の店頭に掲示させた。
 平成11年6月ころ、北海道旭川市所在の量販店が、販促セールに際し、店頭表示において、カーオーディオについて値引表示を行っていたところ、アルパインは、地区販売会社であるアルパイ ン北海道株式会社を通じて、同量販店に対し、販促セール終了後、標準小売価格による価格表示に戻すことを約束させた。
 平成12年2月ころ、埼玉県北本市所在の量販店が、店頭表示において、カーナビゲーションシステムについて値引表示を行っていたところ、アルパインは、地区販売会社であるアルパイン埼玉 販売株式会社を通じて、同量販店に対し、標準小売価格による価格表示に改めさせた。
(ウ)  アルパインの前記(イ)の行為により、取引先小売業者は、おおむね、値引表示が広く行われると実際の小売価格が低下することを懸念して、アルパイン製品の販売に当たり、新聞折り込み広告、店頭 表示等において、標準小売・価格による価格表示を行っていた。
(エ)  平成12年4月26日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、アルパインは、同年6月7日、取引先小売業者に対して、今後、取引先小売業者が表示する価格を制 限しない旨を通知し、同日以降、前記(イ)の行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 アルパインに対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  アルパイン製品の販売に関し、直接又は地区販売会社を通じて、取引先小売業者に対し、新聞折り込み広告、店頭表示等において同社が定めた標準小売価格を下回る価格による価格表示を行わないよ うにさせていた行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を取引先小売業者及び一般消費者に周知徹底させること。この周知徹底の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、前記(ア)の行為と同様の行為を行わない旨
(ウ)  今後、アルパイン製品の販売に関し、前記(ア)の行為と同様の行為により、直接又は地区販売会社を通じて、取引先小売業者が新聞折り込み広告、店頭表示等において表示する価格について制隈しない こと。
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。
(6)  奈良県生コンクリート協同組合に対する件(平成13年(勧)第1号)
ア 関係人
イ 違反事実等
(ア)  奈良県生コンクリート協同組合(以下「奈良生コン協組」という。)は、かねてから、奈良県(吉野郡十津川村、上北山村及び下北山村を除く。)の区域(以下「奈良地区」という。)における 生コンクリート(以下「生コン」という。)の需要量の減少傾向への対応策について検討してきたところ、徳本砕石工業株式会社(以下「徳本砕石」という。)がニッコー産業株式会社の休止し ていた製造設備等(以下「ニッコー産業の製造設備等」という。)により生コンの製造販売を行う計画であるとの情報に接し、その対応策に影響が生じるとして、平成10年5月28日ころ開 催した理事会において、ニッコー産業の製造設備等により操業を再開し生コンの製造販売を行うこと(以下「ニッコー産業の製造設備等による操業再開」という。)を阻止することを決定し、そ れに取り組んで行くこととした。
 奈良生コン協組は、前記aの決定に基づいて、セメント製造業者等に対し、次のとおり要請を行った。
(a)  奈良生コン協組は、平成10年5月29日ころ、奈良地区においてセメントを供給しているすべてのセメント業者に対し、また、平成10年6月5日ころ、奈良地区におけるセメント販売業 者のうち17社(以下「セメント販売業者17社」という。)に対し、それぞれ、ニッコー産業の製造設備等による操業再開に向けてセメントの供給等をしないよう、文書で要請した。
(b)  奈良生コン協組は、平成10年7月10日ころ、セメント販売業者17社に対し、株式会社サンコーレミテック(以下「サンコーレミテック」という。)にセメントを供給しないよう、文書で 要請した。
(c)  奈良生コン協組は、平成10年7月16日ころ、前記のニッコー産業の製造設備等による操業再開が具体化してきたことから、住友大阪セメント株式会社(以下「住友大阪セメント」とい う。)、宇部興産株式会社及び秩父小野田株式会社の担当者を奈良生コン協組の事務所に招致し、また、三菱マテリアル株式会社の担当者に架電し、それぞれ、サンコーレミテックに対しセ メントを供給しないよう要請したところ、これらの4社は、同要請を承諾した。
(d) その後、奈良生コン協組は、ニッコー産業の製造設備等の稼動等の状況を監視してきたところ、サンコーレミテックがニッコー産業の製造設備等による操業再開をしている事実を確認し たことから、平成11年1月28日ころ、住友大阪セメント、宇部三菱セメント株式会社及び太平洋セメント株式会社の担当者を奈良生コン協組の事務所に招致した上、サンコーレミテッタへ のセメントの供給の有無について問いただし、引き続き、サンコーレミテックに対しセメントを供給しないよう強く要請した。
 住友大阪セメントの担当者は、奈良生コン協組に対し、山形建材株式会社(以下「山形建材」という。)がサンコーレミテックにセメントを供給していたことを申し出て、今後は、山 形建材に供給させないようにすることを確約するとともに、山形建材に対し、サンコーレミテックにセメントを供給しないよう指示した。
(e)  さらに、奈良生コン協組は、平成11年1月29日ころ、山形建材の代表者を奈良生コン協組の事務所に招致し、登録販売店の登録を抹消すること等を示唆して、サンコーレミテックにセメ ントを供給しないよう要請した。
この結果、山形建材は、同要請を拒否した場合、奈良生コン協組との生コンの取引が行えなくなることが懸念されたこと等から同要請を承諾し、平成11年1月29日以降、サンコーレミ テックに対するセメントの供給を停止した。
(イ)  本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、奈良生コン協組は、平成12年10月3日ころ開催した理事会において、平成10年5月28日ころ開催した理事会におけるニッ コー産業の製造設備等による操業再開を阻止する旨の決定を破棄し、サンコーレミテックにセメントを供給しないようにさせていた行為を取りやめている。
ウ 排除措置
 奈良県生コン、協組に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成10年5月28日ころ開催した理事会におけるニッコー産業の製造設備等による生コンの製造販売を阻止する旨の決定を破棄したことを確認すること。
(イ)  前記決定に基づき、平成10年5月29日ころ、同年7月16口ころ及び平成11年1月28日にろセメント製造業者らに対して行ったセメントの供給停止に関する要請並びに平成10年6月5日ころ、「同年7月 10日ころ及び平成11年1月29日ころセメント販売業者に対して行った同様の要請をそれぞれ撤回すること。
(ウ)  次の事項を前記のセメント製造業者ら及びセメント販売業者に通知すること。
 前記(ア)及び(イ)に基づいて採った措置
 今後、サンコーレミテックによる生コンの製造販売を阻止するため、同社に対しセメントを供給しないようにさせていた行為と同様の行為を行わない旨
(エ)  今後、奈良生コン、協組の組合員でない生コン製造販売業者のセメント購入を不当に妨害する行為を行わないこと。
4 審判開始決定事件
 当委員会は、独占禁止法違反の疑いで審査を行い、同法に違反する事実があると認めて排除措置を採るよう勧告し(第48条第1項及び第2項)、勧告を受けたものが当該勧告を応諾しなかった場合において、事件を審判 手続に付することが公共の利益に適合すると認めたときは、当該事件について事件の要旨を記載した文書をもって審判開始決定を行っている(第49条第1項及び第50条第1項)。
(1)  岡崎管工株式会社に対する件(平成13年(勧)第9号)
ア 被審人

 なお、次に掲げる関係人28社については、勧告を応諾したため、平成13年3月30日にこれらの者に対し、勧告審決を行っている(ウ参照)。
イ 審判開始決定の内容
(ア)  広島市水道局は、上水道の配水管を設置し、取り替え又は移設する工事及び配水管の付属設備を取り替え又は補修する工事(以下「上水道本管工事」という。)のほとんどすべてを指名競争人札又 は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注しており、指名競争入札等に当たっては、広島市水道局が指名競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格 者の中から指名競争入札等の参加者を指名している。
(イ)  被審人及び他の関係人28社(以下「29社」という。)並びに杉本ポンプ工業(以下「30社」という。)は、平成8年7月1日以降(有限会社幸田建設工業にあっては平成11年7月29日ころ以降、株式会社安佐北建設にあっては平成12年4月28日ころ以降)、広島市水道局が指名競争入札等の方法により発注する上水道本管工事(推進工法を用いる工事及び海底に配水管を設置する工事を除く。以下「広島市水道局発注の特定上水道本管工事」という。)について、受注価格の低落防止等を図るため
(a)  広島市水道局から指名競争人札等の参加の指名を受けた場台には、次の方法により当該工事を受注すべき者(以下「受注予定者」という。)を決定する
(i) 当該工事について受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1名のときは、その者を受注予定者とする
(ii) 簡受注希望者が、複数のときは、工事場所、手持工事の有無等の事情を勘案し、受注希望者の間の話合いにより受注予定者を決定する
(iii)  受注希望者がいないときは、指名を受けた者の間の話合いにより受注予定者を決定する
(b)  受注すべき価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者がその定めた価格で受注できるように、協力する旨の合意の下に、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できる ようにしていた。
(a)  30社のうち、株式会社ヤマテ工業及び株式会社佃ポンプ店は、それぞれ、平成10年6月2日にろ及び同年10月8日ころ、前記aの合意から離脱し、それぞれ、平成11年11月9日ころ及び平成12年3月21日ころ、同合意に復帰している。
(b)  30社のうち、杉本ポンプ工業は、平成11年8月20日ころ以降、広島市水道局から指名競争入札参加の資格要件を満たす者としての登録を抹消されたことにより、前記aの合意に基づく 行為を行っていない。また、岡崎管工株式会社は、平成12年4月6日ころ以降、同合意から離脱している。
(ウ)  30社は、(イ)により、広島市水道局発注の特定上水道本管工事の大部分を受注していた。
(エ)  平成12年9月7日、本件について、当委員会が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ、30社のうち、前記(イ)b(b)の2社を除く28社は、同日以降、同合意に基づき受注予定者を決定し、受注 予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
ウ 岡崎管工株式会社を除く関係人28社に対する排除措置
 29社のうち岡崎管工株式会社を除く28社に対し、次の措置を採るよう命じた。
(ア)  平成8年7月1日以降(有限会社幸田建設工業にあっては平成11年7月29日ころ以降、株式会社安佐北建設にあっては平成12年4月28日ころ以降)行っていた、広島市水道局発注の特定上水道本管工 事について、受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ)  次の事項を広島市水道局に通知すること。この通知の方法については、あらかじめ、当委員会の承認を受けること。
 前記(ア)に基づいて採った措置
 今後、共同して、広島市水道局が発注の特定上水道本管工事について、受注予定者を決定せず、各自がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨
(ウ)  今後、それぞれ、相互に又は他の事業者と共同して、広島市水道局が競争入札又は見積り合わせの方法により発注する前記工事について、受注予定者を決定しないこと。
(エ)  前記(ア)から(ウ)に基づいて採った措置を速やかに当委員会に報告すること。

第3 警告

 警告措置を採ったものの概要は以下のとおりである。


第4 課徴金

 課徴金制度は、カルテルによる経済的利得を国が徴収し、違反行為者がそれをそのまま保持し得ないようにすることによって、社会的公正を確保すると同時に、違反行為の抑止を図り、カルテル禁止規定の実効を確保するため、行政上の措置として設けられているものである。
 課徴金の対象となる行為は、事業者又は事業者団体の行う価格カルテル、入札談合・受注調整、供給量制限カルテル等のうち、商品若しくは役務の対価に係るもの又は実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響のあるものである。これらの行為があった場合に、事業者又 は事業者団体の構成事業者に対し課徴金の納付を命じることとされている(第7条の2第1項、第8条の3)。
平成12年度は、延べ732件、総額105億2503万円の課徴金の納付を命じた(第5表)。
 なお、平成12年度に課徴金の納付を命じた732件のうち、延べ13件については審判開始請求があり、これらについてはいずれも審判開始決定を行ったことから合計20億835万円の課徴金納付命令(平成12年(納)第485号〜第488号、第490号、第491号、平成13年(納)第19号、第25号、第283号〜287号)が失効した。この結果、平成12年度の課徴金額は、85億1668万円となった(第6表)。

課徴金額等の推移

(注) 課徴金の納付を命ずる審決を含み、審判手続を開始したものを含まない。

第5表 平成12年度課徴金納付命令一覧
(課徴金の納付を命ずる審決を除く。)


(注)  上記のほか、課徴金の納付を命ずる審決により、24事業者に対し54億5315万円の課徴金の納付を命じている(第3章審判及び訴訟、第4課徴金納付命 令蕃決参照)。

第6表 課徴金制度の運用状況
(注) 1.  課徴金の納付を命ずる審決を含み、審判手続を開始したものを含まない。
2.  事件の関係人の一部のみを対象として納付を命じる場合(一部の関係人について審判が行われたため関係人によって課徴金の納付を命じる時期が異なった場合)には、最初の課徴金納付命令が行われた年度に事件数を計上している。

第5 監査

 当委員会は、審決執行後、当該関係人の動向等を調査することにより、審決の履行状況を監査するとともに違反行為の再発防止に努めている。

第6 告発

 私的独占、カルテルなどの重大な独占禁止法違反行為については、勧告等の法的措置のほか罰則が設けられているところ、これらについては当委員会による告発を待って論ずることとされている(第96条、第73条第1項)。
 当委員会は、平成2年6月20日、「独占禁止法違反行為に対する刑事告発に関する公正取弓委員会の方針」を公表して、積極的に刑事処罰を求めて告 発を行う方針を明らかにしたところである。
 平成12年度においては、前記の告発方針に照らして告発すべき事案と判断して告発を行ったものはなかった。