第11章 事業者団体

第1 概説

 我が国には事業者団体が多数存在し,政府等の公的機関との連絡,会員間の親睦活動,国内市場の調査,広報宣伝活動等,多彩な活動を行っている。
 これらの活動には競争を活発化させる側面があるものの,事業者間体は事業者としての共通の利益の増進を図ることを目的とする主として同業者の結合体であることから,事業者団体を通じた競争制限的行為が行われやすい側面もある。
 このため,独占禁止法第8条は,事業者団体による競争の実質的な制限,一定の事業分野における事業者の数の制限,構成事業者の権能又は活動の不当な制限,事業者に不公正な取引方法を用いさせること等の行為を禁止するとともに(同条第1項),事業者団体に対して,その成立,変更及び解散の届出義務を課している(同条第2項〜第4項)。

第2 事業者団体の届出状況

 平成13年度において,独占禁止法第8条第2項から第4項までの規定に基づく事業者団体からの届出件数は,成立届151件,変更届1,495件,解散届97件,合計1,743件であった(第1表,第1図及び附属資料8−1表参照)。
 届出件数は,平成5年度以降2,000件前後で推移していたが,平成10年度に,変更届出の増加に伴い,全体の届出件数が大幅に増加した。その後,1,600件台にまで減少していたが,平成13年度においては再び増加した。
 また,平成13年度までに当委員会に対し成立届出をし,かつ,解散届出をしていない事業者団体は,全体で15,608団体となっている(第1表)。
第1表 業種別事業者団体届出受理件数及び事業者団体数
                        (平成14昨3月末現在)
(注)1 成立届の件数は,必ずしも平成13年度に成立した団体数を表わすものではなく,当該年度中に初めて届出をした団体を含む。
   2 事業者団体数とは,当委員会に対し,独占禁止法第8条第2項の規定に基づく成立届出をし,かつ,同法第8条第4項の規定に基づく解散届出をしていない団体数をいう

第1図 事業者国体届出・協同組合届出件数の推移
        

第3 協同組合の届出状況  

 中小企業等協同組合 法(以下「中協法」という。)に基づいて設立された事業協同組合及び信用協同組合(以下「協同組合」という。)は,当該組合が同法第7条第1項各号の一に該当するものである限り,独占禁止法第22条第1号の要件を備える組合とみなされ(中協法第7条第1)他の所要の要件を充足している場合には,その行為について原則として独占禁止法の適用が除外されている。
 しかしながら,資本の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業者については1億円)を超え,かつ,常時使用する従業員の数が300人(小売業を主たる事業とする事業者については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については100人)を超える大規模な事業者を組合員に含む場合には,その協同組合が独占禁止法第22条第1号の要件を備えているかどうかを判断する権限が当委員会に与えられており(中協法第7条第2項)これらの協同組合に対しては,当該組合員が加入している旨を当委員会に届け出る義務が課されている(中協法第7条第3項)。
 平成13年度における中協法第7条第3項の規定に基づく届出件数は,297件であった。また,平成13年度までに当委員会に対し,届出があった組合数は,全体で4,645組合となっている(第1図,第2表及び附属資料8−2表参照)。
第2表 協同組合別届出受理件数及び届出組合数
                        (平成l4年3月未現在)
 これらの届出の主な要因は,協同組合に大規模な事業者を加入させたことによるものであるが,その理由をみると,「組合の信用を高め,イメージアップが図られるため」,「組合事業の成果を上げるため」,「大規模事業者の技術及びノウハウを得ることができるため」等が挙げられている。一万,大規模事業者側における組合への加入理由については,「組合の持っている情報を得ることができるため」,「組合事業を利用することにより,合理化を図ることができるため」等が挙げられている。