第2章 21世紀にふさわしい競争政策の検討

第1 概説

   
 我が国の経済社会は,経済のグローバル化,情報通信技術革命(IT革命)等による環境変化の中で,経済の構造改革を進め,民間事業者による自由な活動と創意工夫を通じた競争力ある経済社会を実現するとともに,経済社会の全般にわたる規制改革により,事前規制型行政から事後チェック型行政へと行政の在り方を転換することが大きな課題となっている。経済社会の構造転換は,自己責任原則と市場原理に立脚し,国際的にも開かれた公正で自由な経済社会を実現することを通じて達成されるべきであり,そのためには,市場における公正で自由な競争のルールの実現を目指す競争政策が果たすべき役割が極めて重要となっている。
 こうした認識の下,平成13年5月の第151回国会での小泉内閣総理大臣所信表明演説において,「市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化し,21世紀にふさわしい競争政策を確立」する旨言及され,また,「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成13年6月26日閣議決定)において,「公正取引委員会の体制を強化し,その機能を充実させるなど,競争環境の積極的な創造や市場監視の機能・体制を充実させ,競争政策を強力に実施する。」とされる等,競争政策の重要性が指摘される中,当委員会は,「21世紀における競争政策のグランド・デザイン」を公表した(附属資料3―1参照)。
 さらに,当委員会は,21世紀にふさわしい競争政策の在り方,それを遂行するために必要な体制・機能等について検討するため,外部の有識者により構成する「21世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会」(会長 宮澤健一 一橋大学名誉教授)を開催した。同懇談会は,平成13年6月以降5回の会合を開催し,その検討結果を平成13年11月に提言書として取りまとめ,その提言書を当委員会に提出した(附属資料3―2参照)。