第3 21世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会の提言書

 「21世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会」は,その提言書において,当委員会に対して,独占禁止法のルールが十分に機能し,それを担う当委員会が市場の番人としての機能を十全に発揮できるよう,21世紀にふさわしい競争政策の在り方,それを遂行するために必要な体制・機能等について様々な提言を行っている。
 当委員会としては,本懇談会の提言の重要性を十分認識し,提言内容の実現に向けて鋭意取り組むとともに,競争政策に対する国民的理解を深めるよう努めていくこととしている。
 本提言書における主な提言は以下のとおりである。
(1) 独占禁止法の執行力の強化
ア 経済社会を取り巻く環境の変化に即応し,特定の重要分野(IT・公益事業分野など)に重点を置いた違反行為の審査が必要。
イ 違反行為に対する抑止力を強化するため,現行の措置体系や調査権限等の見直しが必要。なお,入札談合,価格協定等を行った法人等に対する罰金の上限額は,他の経済法令並みの水準まで引き上げるべき。
ウ 企業結合審査については,経済環境の変化に応じて的確かつ迅速に行う必要があり,そのための体制については,質・量両面からの充実が必要。
エ 国際カルテル等の国境を越えた反競争的行為に対して独占禁止法を効果的に執行するため,外国事業者に対する文書送達等の手続を整備するとともに,独占禁止法の執行に関する二国間協定の拡大・探化,多国間協定の締結に向けた取組が必要。
(2) 規制改革をめぐる政策提言機能の強化
ア 公正取引委員会による規制改革に向けた取組として,規制改革の実効性を不断に監視し,その徹底を図るため,競争政策の観点から一層積極的な政策提言を行う必要。その際には,聖域を設けず,社会的規制を含めた経済社会全般の規制改革を対象とすべき。
イ 公正取引委員会による規制改革に係る調査・提言がその職務に属することを法律上明文化する必要。
(3) 消費者支援機能の強化
ア 消費者の適正な選択を歪める行為の規制範囲の拡大,消費者への積極的な情報提供の義務付けなど,現行の不当表示規制の見直しを検討。
イ 競争政策の観点から行う消費者政策に係る調査・提言が公正取引委員会の役割であることを法律上明文化することが必要。また,内閣府国民生活局等との効果的な連携・協働が必要。
(4) 競争政策の運営基盤の強化
ア 公正取引委員会の政府部内における位置付けは,内閣の重要施策に関する事務を掌る内閣府がふさわしく,将来的に現在の総務省から内閣府に移行させることも検討すべき。
イ 公正取引委員会が,政府の施策の基本に位置付けられるべき競争政策において中核的な役割を担い,消費者政策にも積極的に取り組むためには,人員・組織の飛躍的な強化が不可欠。
ウ 競争政策・消費者政策に対する国民の理解と支持を得るための努力が必要。