第3 課徴金納付命令審決

平成13年(判)第8号株式会社近藤組に対する審決


(1) 被審人


(2) 事件の経過
 本件は,当委員会がタカハタ建設株式会社ほか192名に対し独占禁止法第48条の2第1項の規定に基づき課徴金納付命令を行ったところ,株式会社近藤組(以下「近藤組」という。)は,これを不服として審判手続の開始を請求したので,近藤組に対し,独占禁止法第49条第2項の規定に基づき審判開始決定を行い,審判官をして審判手続を行わせたものである。
 当委員会は,担当審判官の作成した審決案を調査の上,審決案と同じ内容の審決を行った。
(3) 認定した事案の概要
ア 課徴金に係る違反行為
 近藤組は,タカハタ建設株式会社らと共同して,北海道上川支庁が指名競争入札又は指名見積り合わせの方法により発注する農業農村整備事業に係る農業土木工事(舗装工事等を主たる工事とするものを除く。以下「上川支庁発注の特定農業土木工事」という。)について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,上川支庁発注の特定農業土木工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは同法第3条の規定に違反するものであり,かつ,同法第7条の2第1項に規定する役務の対価に係る行為である。
イ 課徴金の計算の基礎
(ア)近藤組は,建設業を営む者であり,中小企業基本法等の一部を改正する法律(平成11年法律第146号)附則第3条第1項の規定によりなお従前の例によることとされる改正前の独占禁止法第7条の2第2項第1号に該当する事業者である。
(イ)近藤組が前記ア記載の違反行為の実行としての事業活動を行った日は,平成8年10月20日以前である。
 また,近藤組は,平成11年10月20日,上記違反行為を取りやめており,その後,その実行としての事業活動はなくなっている。
 したがって,近藤組については,前記違反行為の実行としての事業活動を行った日から当該行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間が3年を超えることとなるため,独占禁止法第7条の2第1項の規定こより,実行期間は,平成8年10月21日から平成11年10月20日までの3年間である。
(ウ)本件審判開始決定においては,9件の契約が課徴金算定の対象とされていたところ,9件の契約に係る工事のうち「農道特別中士別9線地区2工区」工事(以下「本件工事」という。)は,舗装工事を主たる工事とするもので上川支庁発注の特定農業土木工事には該当せず,課徴金算定の対象物件となるのは本件工事を除いた8件の契約に係る工事である。
 したがって,本件工事を除いた8件の契約に係る工事の対価の額は,合計3億5899万1848円であり,近藤組が国庫に納付しなければならない課徴金の額は,同金額に100分の3を乗じて得た額から1万円未満の端数を切り捨てて算出された1076万円である。
(4) 法令の適用
 近藤組の行為は,独占禁止法第7条の2第1項の規定の課徴金の対象となる商品の対価に係るものであるから,同法第7条の2第1項,同法施行令第6条の規定を適用して,近藤組が国庫に納入しなければならない課徴金の額は,前記(3)(ウ)のとおりである。
(5) 命じた措置
近藤組は,課徴金として1076万円を平成14年2月12日までに国庫に納入しなければならない。