規制改革推進3か年計画(再改定)関係

5―1   規制改革推進3か年計画(再改定)(抄)
平成15年3月28日
閣議決定
  共通的事項(略)
II 14年度重点計画事項(略)
III 横断的措置事項(1,2,3,5,6略)
競争政策等関係
(1)  競争政策分野の基本方針
 日本経済を活性化し,豊かな社会を実現していくためには,これまでの経済社会構造を見直し,市場における公正かつ自由な競争を積極的に促進することが必要である。このため,独占禁止法等の運用の明確化,執行力の強化等を推進するとともに,消費者の選択の自由や事業者の創意工夫を妨げる規制の撤廃を進めること等により,競争政策を推進する。
 また,政府調達システムについては,受注業者間の自由かつ公正な競争を促進し,納税者にとって納得感の高い制度を確立するため,公共工事の適正な施工の確保を図りつつ,競争的環境の一層の整備を行う必要がある。
(2)  執行・事務処理に係る方策
 公正かつ自由な競争を促進するため,規制改革とともに競争政策の積極的展開を図ることとし,引き続き,公正取引委員会の審査体制等の充実を含め,独占禁止法の執行力の強化を図り,価格カルテル・入札談合等の同法違反行為に対して,告発を含め厳正かつ積極的に対処する。
 また,規制改革後の市場の公正な競争秩序を確保するため,中小事業者等に対する不当な不利益を与える不当廉売,優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対し,厳正かつ積極的に対処する。取り分け不当廉売事案については,関係省庁から人員の派遣を受けるなどして,(1)申告のあった事案に対しては,可能な限り迅速に処理することとし,(2)大規模な事業者による不当廉売事案又は繰り返し行われている不当廉売事案で,周辺の販売業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,周辺の販売業者の事業活動への影響等について個別に調査を行い,問題のみられる事案については厳正に対処するとともに,(3)必要に応じ,その後の価格動向のフォローアップを行う。
 さらに,規制緩和後において,規制に代わって競争制限的な行政指導が行われることのないよう、「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨を踏まえ,関係省庁は,公正取引委員会と事前に所要の調整を図る。いわゆる民民規制の問題については,公正取引委員会は,独占禁止法違反行為に対し同法に基づき厳正に対処するほか,その実態を調査し,競争制限的な民間慣行についてその是正を図るとともに,その背後に競争制限的な行政指導が存在する場合には,公正取引委員会及び関係省庁がその早急な見直しに取り組む。行政が何ら関与していない場合には,関係省庁は,関与していない旨を改めて周知するなど,責任の所在の明確化に努める。
(3)  競争政策分野の重点事項
(1)  独占禁止法の執行力の強化
 厳正な独占禁止法の執行を図る観点から,現在の独占禁止法の措置体系及び公正取引委員会に付与されるべき権限の在り方についての一体的な検討を行い,また,これに伴い,公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化を行う。
 また,悪質な違反行為の摘発を効果的に行い得る方策を検討するとともに,入札談合に関与した発注者側に対する措置について法整備が行われたことを踏まえ,必要な取組みを行う。
(2)  規制産業における競争の促進
 電気事業,ガス事業,電気通信事業,運輸事業などのうち,従来,新規事業者の参入が制限されていた規制産業における競争的仕組みの導入等に当たって,公正取引委員会は,所掌事務を遂行する上で必要に応じ,競争促進の観点からこれらの産業における競争の状況を調査し,改善の余地がある場合には政策提言等を行う。また,これらの規制産業については,事業所管官庁と公正取引委員会が,ガイドラインの策定を含めて,競争にかかわる制度の新設,見直しについて必要な連携を行う仕組みについて検討を行う。
(3)  景品類に関する規制の見直し
 ホームページ上で景品類を提供する際の運用基準を明確化するなど,商取引の態様,経済状況,消費者の購買行動等の変化に応じ,景品類に関する規制の見直しを図る。
(4)  公共工事等における一般競争入札の拡大等
 政府調達システムにおいては,競争的かつ透明性の高い制度整備及び運営を図ることにより,公正な手続に基づく低価格かつ高品質な公共工事等の受発注を実現し,納税者に納得感の高い制度を確立するとともに,業者間の公正な競争を促進する。
(4)  個別事項(後記・5―2参照)
IV   分野別措置事項(略)
5―2   規制改革の推進と競争政策の取組について―規制改革推進3か年計画の再改定に際して―
平成15年3月28日
公正取引委員会
 本日の閣議において,「規制改革推進3か年計画」(再改定)が決定された。今回の計画(再改定)の「I 共通的事項」の「1 本計画の目的及び規制改革推進の基本方針」においては,我が国経済社会の構造改革を進めることにより,透明性が高く公正で信頼できる経済社会の実現,国際的に開かれた経済社会の実現等を図り,「もって,生活者・消費者本位の経済社会システムの構築と経済の活性化を同時に実現する観点から,行政の各般の分野について計画的に規制改革の積極的かつ抜本的な推進を図る」とともに,「市場機能をより発揮するための競争政策の積極的展開」を図ることとされている。また,競争政策分野の基本方針として,「日本経済を活性化し,豊かな社会を実現していくためには,これまでの経済社会構造を見直し,市場における公正かつ自由な競争を積極的に促進することが必要である。このため,独占禁止法等の運用の明確化,執行力の強化等を推進するとともに,消費者の選択の自由や事業者の創意工夫を妨げる規制の撤廃を進めること等により,競争政策を推進する」(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」)とされている。
 今回の計画(再改定)において,新たに追加され,又は記述の修正があった公正取引委員会関連の主な事項は,次のとおりである。
(1)  審査部門,企業結合部門の機能・体制強化(5〜10ページ)
(2)  独占禁止法のエンフォースメントの強化(12〜14ページ)
(3)  専門分野における独占禁止法違反行為への厳正な対応等(14〜16ページ)
(4)  協同組織に対する独占禁止法適用除外についての検討(17ページ)
(5)  下請法の改正,役務ガイドラインの改定等の検討(21,22ページ)
(6)  景品表示法の改正(23ページ)

 公正取引委員会は,今回の計画(再改定)に示された政府として行うこととしている規制改革推進のための施策の趣旨を踏まえ,かつ,競争政策の果たすべき役割の重要性にかんがみ,我が国市場における公正かつ自由な競争を促進するため,独占禁止法違反行為に対して,引き続き,厳正に対処するとともに,規制改革をめぐる調査・提言,消費者政策の推進等を積極的に進めることにより,我が国市場における公正かつ自由な競争を確保・促進するよう取り組んでいくこととしている。
 公正取引委員会の具体的な取組の内容は,次ページ以下のとおりである(点線で囲った部分は,今回の計画(再改定)からの抜粋)。

 なお,公正取引委員会では,規制改革の推進及び競争政策の運営について,随時,御意見・御要望等を受け付けている。
 構造改革の流れに即した法運用
(1)  独占禁止法違反事件の処理
 公正取引委員会の審査体制等の充実を含め,独占禁止法の執行力の強化を図り,価格カルテル・入札談合等の同法違反行為に対して,告発を含め厳正かつ積極的に対処する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(2) 執行・事務処理に係る方策」)
 処理状況
 平成14年度(3月28日現在)の法的措置件数は37件であり,また,36件,総額39億3706万円の課徴金納付を命じた。

(注)  1. 課徴金の納付を命じる審決を含み,審判開始決定により審判手続に移行したものを除く。
 2. 事件の関係人の一部のみを対象として納付を命じる場合(一部の関係人について審判が行われたため関係人によって課徴金の納付を命じた時期が異なった場合)には,最初の課徴金納付命令が行われた年度に事件数を計上している。

 最近の主要事例
(ア)  価格カルテル,入札談合等の事件
 三重県が発注する測量・設計等業務の入札参加業者による入札談合事件(平成14年5月勧告審決)
 川越市が発注する建設工事の入札参加業者による入札談合事件(平成14年5月勧告審決)
 神奈川県及び神奈川県企業庁が発注するのり面保護工事の入札参加業者による入札談合事件(平成14年6月勧告審決)
 長崎県が発注する港湾工事等の入札参加業者による入札談合事件(平成14年6月勧告審決)
 国家石油備蓄会社が発注する石油貯蔵施設等の保全等工事の入札参加業者による入札談合事件(うち5社に対し平成14年7月勧告審決,2社に対し同月審判開始決定)
 警視庁が発注する道路標識設置工事等の入札参加業者による入札談合事件(平成14年7月勧告審決)
 大阪府及び兵庫県所在の国公立病院が発注するタンク向け液化酸素の入札参加業者による入札談合事件(平成14年7月勧告審決)
 種苗の生産業者及び販売業者による価格カルテル事件(うち13社に対し平成14年9月勧告審決,19社に対し同年10月審判開始決定)
 大阪市教育委員会が発注する語学演習機等の入札参加業者による入札談合事件(平成14年10月勧告審決)
 千葉市及び財団法人千葉市都市整備公社が発注する建設工事の入札参加業者による入札談合事件(うち123社に対し平成14年12月勧告審決,1社に対し平成15年1月勧告審決)
 日本道路公団四国支社が発注する道路保全土木工事の入札参加業者による入札談合事件(平成14年12月勧告審決)
 学校向け理科教材の製造販売業者による顧客制限カルテル事件(平成14年12月勧告審決)
 押出成形セメント板製造販売業者による価格カルテル事件(平成15年1月勧告審決)
 岩見沢市が発注する建設工事の入札参加業者による入札談合事件(平成15年3月勧告審決)
 国立病院等が発注する臨床検体検査業務の入札参加業者による入札談合事件(うち7名に対し平成15年3月勧告審決)
 警視庁が発注する交通信号機等工事の入札参加業者による入札談合事件(平成15年2月勧告)
(イ)  市場参入阻害・競争者排除事件
 法務省が発注する情報システム等に係る入札における不当廉売の疑い(平成14年4月警告)
 北海道地区の電力会社による新規参入事業者の排除の疑い(平成14年6月警告)
 昇降機の保守業者による競争業者に対する取引妨害事件(平成14年7月勧告審決)
 国内航空大手3社による新規参入事業者の排除の疑い(平成14年9月問題点の指摘)
 首都圏地区の軽量気泡コンクリート製品の協同組合による組合員外の者に対する取引妨害事件(平成15年1月勧告審決)
(ウ)  流通分野における不公正な取引方法事件
 北海道地区の除雪機販売業者による小売業者に対する再販売価格等の拘束の疑い(平成14年10月警告)
 コンタクトレンズ輸入販売業者による取引先業者に対するインターネット販売による取引の制限の疑い(平成14年12月警告)
 ダイビング用品の卸売業者による小売業者に対する再販売価格維持事件(平成14年12月勧告審決)
(エ)  いわゆる民民規制に関する事件
 病院向け治療用食品の卸売業者の協同組合による組合員の販売地域制限事件(平成15年3月勧告)

 審査の迅速化
 公正取引委員会は,今後,審査の迅速化を図るため,人員の充実及びタスクフォースの活用等による専門性の向上を図るとともに,各事業分野における紛争処理機関等との性格の違いも踏まえつつ,一律の目標ではないにせよ,情報通信,エネルギー等の公益分野における新規参入案件などを中心に,国民の期待に沿った標準的な審査期間の目標を設定・公表し,その結果を評価することなどにより,迅速かつ効果的な事件の処理に努める。その際,こうした期間は一つの目安であって,たとえその期間を超えたとしても,関係人が措置の対象にならないわけではないことを明確にする必要がある。
 また,こうした迅速かつ効果的な処理を通じて,同委員会の審査実績を飛躍的に向上させるために,審査に関する目標を策定・公表するとともに,定期的に,政策評価を実施し,その枠組み等を活用して,客観的な評価に努める。
 その際,特に,情報通信,エネルギー等の公益事業分野については,実際の審査結果が,どのように新規参入や競争促進につながっているかなど,定性的・定量的な観点からの評価に努める。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(3)審査の迅速化のための新たな目標の設定・公表と客観的な評価の実施」)
 「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき,平成13年度における独占禁止法違反行為に対する措置について政策評価を実施し,その結果を取りまとめ公表(平成14年10月)

 措置の透明性の確保
 公正取引委員会が,独占禁止法違反のおそれがあるとして行う警告,注意といった取扱いについては,競争制限行為を迅速に除去するために,一定の範囲で必要性が認められるものの,行政側からの一方的な通知であり,事業者がそれを法的な手続の中で争うことができない等の問題があることを踏まえ,同委員会においては,違反行為を排除する必要がある場合には,勧告等の法的措置により対応することを原則としつつ,これら事実上の行政指導や注意喚起については,その取扱いを必要最小限とし,かつ上記のような問題点についての改善が可能かどうかを検証し,可能な場合には改善を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(4)警告・注意等の取扱いの改善」)
 現在行われている警告や注意の内容公表について,引き続きこれを励行するとともに,今後とも,警告及び注意については適切な運用が行われるよう対処する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(5)独占禁止法違反に係る警告及び注意の在り方」)
 審査打切りの事案の関係人がその旨の公表を望む場合には,説明責任を果たす観点から,打切り案件のおおまかな概要の公表を行う。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(6)審査打切りの概要の公表」)
 九州地区の電力会社が新規事業者による参入を妨害している疑いで審査を行ってきたが,独占禁止法に違反する事実が認められなかったことから,審査を打ち切った旨を公表(平成14年3月)
 整形外科系医療材料の輸入販売業者が,保険償還価格が定められていない医療材料について,販売価格の引上げを図っていた疑いで審査を行ってきたが,独占禁止法に違反する事実が認められなかったことから,審査を打ち切った旨を公表(平成14年6月)

 体制・機能の強化
 公正取引委員会の体制強化を図るとともに,公正取引委員会の位置付けについて,規制当局からの独立性及び中立性等の観点からよりふさわしい体制に移行する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(8)公正取引委員会の体制強化・移行」)
 公正取引委員会は,既存の研修の内容を向上させるとともに,例えば,弁護士,エコノミスト等の民間の専門家や,出向元との関係にも一定の配慮をした上での他省庁からの出向者など,外部人材の専門性が生かせる分野については,非法執行部門も含め,その受入れを積極的に検討し,審査部門の強化を図る。さらに,審査に関わる職員の専門性を向上させるため,同委員会は,外部との人材交流の一層の拡充を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(1)民間等の外部人材の積極的な受入れ」)
 公正取引委員会において,審査部門に重点を置いた一層の体制整備を進めるため,審査部門への人員の重点的配置等についても,迅速かつ計画的に行う。特に,違反事件の大型化,審判で争われる事例の増加等に対応するため,違反行為の監視体制の強化,事件処理の迅速化の観点から,審査部門の職員を抜本的に増強する。このため,上記の外部人材の受入れと併せて,人員充実及び人員の重点的配置のための具体的な検討を速やかに行うとともに,審査部門内の機能・体制についても,より一層の審査の迅速化及び実績の向上に向けた検討を行う。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(2)審査部門の人員の充実等」)
 市場開放が進められているネットワーク事業分野において公正競争を確保する観点から,公正取引委員会の審査体制及び機能を強化し,独禁法違反被疑事実に関する処理の迅速化を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(ア)独占禁止法違反事件に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(7)ネットワーク事業分野における審査体制・機能の強化」)
 公正取引委員会を内閣府に移行させることを内容とする「公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案」を第156回国会に提出(平成15年1月)
 競争環境の積極的な創造や市場監視機能・体制を充実させるため,平成15年度において40名の増員,うち審査部門について25名の増員を図ることとしている。
 市場開放が進められているネットワーク事業分野において公正競争を確保する観点から,公正取引委員会の審査体制及び機能を強化し,独禁法違反被疑事実に関する処理の迅速化を図る。
 平成13年度以降,弁護士等外部の専門家を2名,審査部門で採用。平成15年4月1日に弁護士,公認会計士を各1名採用予定

公正取引委員会の定員の推移

(2)  入札談合に対する取組
 入札談合に関与した発注者側に対する措置について,公正かつ自由な競争を促進する観点から,独占禁止法違反行為の排除及び再発防止を図るために,立法府において入札談合に関与した発注者側に対する措置の導入を含めた法整備の動きがあることを踏まえ,必要な検討を行う。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(10)入札談合に関与した発注者側に対する措置の導入」)
 国・地方公共団体等の職員による入札談合等への関与行為を排除及び防止し,官公需分野の競争促進と予算執行の適正化を図るための議員立法による「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」の施行(平成15年1月)
 岩見沢市発注の建設工事に係る入札談合事件において,入札談合等関与行為があったとして,岩見沢市長に対して改善措置を要求(平成15年1月)

(3)  企業結合規制の的確な運用
 審査の迅速化,透明性の確保
 企業結合の事案の中には,審査に長い期間を要する事案も多いとの指摘もあることから,公正取引委員会は,国民の期待に沿った標準的な審査期間の目標を設定し,これを公表する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(イ)企業結合に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(2)審査の迅速化のための目標の設定・公表」)
 今後の企業結合審査の効率性を高めるため,公正取引委員会は,更に審査の重点化を行うとともに,市場における予見可能性を高める観点から,事案の公表のより一層の充実を図る。また,これらを含む過去の事例の蓄積を踏まえ,現行のガイドラインにおいて重点化に向けた明確な基準の策定・公表について検討する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(イ)企業結合に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(3)審査対象の重点化のための明確な基準の策定」)
 審査の透明性を向上させるため,合併等を認めたもの,認めなかったもののうちできるだけ多くの案件について,事業者の秘密に関する部分を除き,支障のない限り,その理由を含め,公表内容のより一層の充実化を図る。
 公表に当たっては,予見可能性を高める観点から,どのような市場(一定の取引分野)をどのような基準(取引対象商品又は役務,地理的範囲)で画定したのか示すとともに,画定した市場における審査結果の内容,及び判断の根拠となる,市場シェア,順位,当事会社の競争状況(市場における競争者の数・集中度,参入,輸入,閉鎖性・排他性等)等の基準や,各合併等案件の市場の競争状況への影響をどう評価したかなどの判断の理由・基準等を示す。
また,当事会社が申し出た問題解消措置を前提として容認された事案については,当該問題解消措置に対してどのような評価を行ったかについても示す。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4)個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(イ)企業結合に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(4)企業結合案件に関する透明性の向上」)
 公正取引委員会は事前相談制度を明確化・透明化することとし,事前相談のうちどのような案件を公表するかの基準を明示するとともに,同委員会が企業に求める提出資料リスト,審査期間等を明示・公表するなど,運用を明確化する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(イ)企業結合に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(5)事前相談の明確化・透明化」)
(ア)  主要な企業結合事案の公表事例
 日本航空株式会社及び株式会社日本エアシステムの持株会社の設立による事業統合(平成14年3月,4月)
 株式会社日立製作所によるインターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション(IBM)のハードディスクドライブ事業の統合(平成14年9月)
 三井化学株式会社及び住友化学工業株式会社の事業統合(平成14年12月)
(イ)  「企業結合計画に関する事前相談への対応について」の公表(平成14年12月)
(ウ)  「企業・産業再生に係る事案に関する企業結合審査について」(原案)の公表(平成15年2月)

 体制の強化
 企業結合に関する審査能力・専門性を向上させるため,公正取引委員会は,審査人員を増加させるとともに,非法執行部門を含め,民間の専門家や,出向元との関係にも一定の配慮をした上での他省庁からの出向者など,専門性が生かせる分野について、積極的にこうした外部の人材を活用する。また,企業結合審査部門への人員の重点的配置により,機能・体制の強化を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「イ 公正取引委員会における審査機能・体制の見直し・強化」の「(イ)企業結合に関する審査機能・体制の見直し・強化」の「(1)民間等の外部人材の積極的な受入れ及び内部体制の見直し・強化」)
 平成13年度以降,企業結合審査部門にエコノミストを1名採用。平成15年4月1日に大学助教授を1名採用予定
 平成15年度において,企業結合審査部門について2名の増員を図ることとしている。

(4)  事業活動の国際化に対応した取組
 経済のグローバル化の進展に対応した的確な独占禁止法の運用を図っている。
 在外者に対する書類の送達手続等の整備
 書類の送達について,民事訴訟法第108条(外国における送達)等の現定を新たに準用すること等を内容とする独占禁止法改正法の施行(平成14年6月)
 国際取引に関する事件
 ビタミンの製造販売業者による国際カルテルの疑い(平成13年4月警告)
 国際的合併・再編に対応した企業結合規制
 合併など企業結合の審査においては,国際的な市場における競争環境を考慮するなど市場の実態を踏まえて,引き続き,企業結合に関する独占禁止法の規定について,迅速,透明かつ的確な運用を図る。
 「株式保有,合併等に係る『一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合』の考え方」(企業結合ガイドライン)の公表(平成10年12月)
 市場シェアだけではなく,海外からの参入・輸入,隣接市場からの競争圧力等の具体的判断要素を総合的に勘案して,事案ごとに判断