競争環境の積極的な創造
 国際的に開かれた,自由で公正な活力ある経済社会を形成していくためには,規制改革の推進とともに競争政策の積極的展開を図り,そのための基盤的な条件を整備するための取組が重要である。
このため,公正取引委員会は,次のとおり,独占禁止法の見直しに向けた取組,規制改革に係る調査・提言,競争制限的な行政指導の改善,民民規制への対応,独占禁止法上の各種指針の策定・公表等を行っている。
(1)  独占禁止法の見直しに向けた取組
 一般集中規制の見直し
 大規模会社の株式保有について,資本の額又は純資産額という形式的な基準による規制を廃止する。
 持株会社の公正取引委員会への届出,報告基準を引き上げる。
 金融会社による他の国内の会社の株式保有について規制している独占禁止法第11条について,証券会社,無尽会社,信託会社をその規制対象から外すとともに,適用除外株式を拡大し,また,保険業法等との整合性を確保するなど,その在り方の見直しを検討し,規制対象範囲の縮減を図る。
 平成9年の独占禁止法改正後の持株会社の実際の状況,経済実態等も踏まえ,過度に持株会社を規制することのないよう,「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社の考え方」(持株会社ガイドライン)を見直す。
 一般集中規制について,今後も引き続き,実態の変化を踏まえつつ,施行状況をフォローアップする。そして,当該規制については将来的には廃止することが適切であるとの指摘,事業支配力が過度に集中することにより競争が阻害されることのないよう十分配慮すべきであるとの指摘があることも踏まえつつ,評価・検討する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「エ 企業の経済活動を活性化する等のためのその他の措置」の「(1)一般集中規制(持株会社規制,大規模会社の株式保有総額制限,金融会社の株式保有規制)の見直し及びフォローアップ」)
 大規模会社の株式保有総額制限の廃止,事業支配力の過度集中規制の整備,金融会社の議決権保有制限の対象範囲の縮減等を内容とする独占禁止法改正法の施行(平成14年11月)
 「事業支配力が過度に集中することとなる会社の考え方」の策定・公表(平成14年11月)

 法人等に対する罰金の引上げ等
 不当な取引制限の罪等の法人等に対する罰金刑の上限を引き上げるとともに,独占禁止法第6条,第8条第1項第2号及び同項第3号違反行為について,違反行為が既になくなっている場合にも,法的措置を講ずることが出来るようにする。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(9)法人等に対する罰則の強化等」)
 法人等に対する罰金の上限額の引上げ,既往の違反行為に対する措置規定の対象行為の追加等を内容とする独占禁止法改正法の施行(平成14年6月)

 措置体系の在り方の見直し
 公正取引委員会の情報収集活動等に関して,刑事告発を目的とする行政調査手続としての犯則調査手続の導入を検討する。
 また,現行法上,検事総長への告発,不起訴の場合の内閣総理大臣への報告など,他法令に例がない厳格な告発手続が規定されているが,その妥当性について,見直しを検討する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(1)刑事告発手続の見直し」)
 独占禁止法違反行為に対する抑止力強化の観点から,現行課徴金制度を見直す。具体的には,独占禁止法違反行為を繰り返し行う事業者が跡を絶たないなどカルテル・談合体質が根強く残っている現状,並びに他の主要国における制裁金等の水準やその効果を踏まえ,課徴金制度の制定経緯等も考慮しつつ,現行課徴金制度の性格付けの見直しを含め,十分に抑止力のある効果的な制度を検討する。
 なお,こうした制度の見直しに当たっては,適正手続の確保や不服申立ての手段等について,併せて検討を行う。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(2)課徴金制度の見直し」)
 課徴金制度の見直しと併せて,摘発率の向上と法執行の効率性を両立させる観点から,自ら独占禁止法違反に関与していることを公正取引委員会に申告し,その後の調査・審査等に全面的に協力した者に対しては,上記課徴金の免除,減免等を行うプログラムの導入を図る。
 ただし,導入に当たっては,透明性及び予測可能性を確保する観点から,課徴金減免のための要件とその効果を,告示やガイドラインの形で明確に定めて公表することとするなど,当局が過度の裁量権を有しないような工夫をする。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(3)課徴金減免プログラムの導入」)
 独占禁止法違反行為に対する抑止力を一層強化する観点から,課徴金の適用対象について,私的独占等の悪質な独占禁止法違反行為一般までの拡大を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(4)課徴金適用対象の拡大」)
 エンフォースメントの強化を行うに当たって,更なる独立性や適正手続の確保等の観点から,審判制度の在り方を見直すことを検討する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(5)審判制度の見直し」)
 現行の排除措置について,国際カルテル等に対しても十分対応できるよう,措置期限の延長を検討する。また,現行3年とされている課徴金納付命令の措置期限についても,延長を検討する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(6)既往の違反行為に対する措置期限についての見直し」)
 独占禁止法の措置体系全体の在り方について検討を行うため,独占禁止法研究会を開催(平成14年10月〜)。課徴金の一定率や対象範囲の見直し,措置軽減制度の導入の必要性・可能性,刑事告発手続,措置期限,審判制度など措置体系全体に係る諸問題について専門的かつ集中的な検討を行うため,同研究会の下に措置体系見直し検討部会を設置,平成15年3月までに5回開催

 民事的救済制度の整備
 独占禁止法の差止請求制度については,制度の実施状況を注視しつつ,事例の蓄積を待って必要性が認められる場合には,私人による差止請求対象行為の範囲の見直し等,民事的救済制度を更に充実した制度とするための検討に着手する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ア 独占禁止法のエンフォースメント(ルールの実効性を確保するための手段)の見直し・強化」の「(7)独占禁止法における民事責任制度及び差止制度の見直し」)
 差止請求訴訟制度に係る訴訟提起件数は,平成14年度(3月28日現在)までに15件提起されている。

(2)  規制産業における競争の促進
 電気事業者,ガス事業者,電気通信事業者による業種を超えた参入が活発化すると考えられるが,事業所管省庁は,他分野における市場支配力等を背景とした反競争的行為が行われることがないよう,参入等に当たって適切な担保措置を講ずる。また,問題となる行為が見られた場合には,事業所管省庁及び公正取引委員会は,積極的にこれを是正・排除する。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ウ 専門分野に関するエンフォースメントの強化」の「(2)各事業分野におけるエンフォースメントの強化」の「e 業種を超えた参入の促進」)
 電気通信,エネルギー等の公益事業分野の競争促進の観点からは,公正取引委員会と各事業所管官庁の両者が協働して更なる連携の具体的方策を構築し,これによってエンフォースメントの一層の強化を図る。すなわち,両者のエンフォースメントが重複し,市場に混乱が生じることがないようにするため,それぞれの具体的適用関係を明らかにし,適宜機動的に見直しを図るとともに,必要な場合には相互の連絡や情報提供がより円滑に行えるようにする等,所要の措置を講ずる。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ウ 専門分野に関するエンフォースメントの強化」の「(2)各事業分野におけるエンフォースメントの強化」の「f公正取引委員会と各事業所管官庁との連携の推進」)
 電気事業,ガス事業,電気通信事業,運輸事業などのうち,従来,新規事業者の参入が制限されていた規制産業における競争的仕組みの導入等に当たって,公正取引委員会は,所掌事務を遂行する上で政策提言等を行う必要があれば,今後も競争促進の観点からこれらの産業における競争の状況を調査し,改善の余地がある場合には積極的に政策提言等を行う。
 また,上記の規制産業については,競争を促進する観点から,事業所管省庁と公正取引委員会が,ガイドラインの策定を含めて,競争にかかわる制度の新設,見直しについて必要な連携を行う仕組みについて検討を行う。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ウ 専門分野に関するエンフォースメントの強化」の「(3)規制産業における競争の促進」)
 電気通信事業分野における公正な競争を促進する観点から,独占禁止法上又は電気通信事業法上問題となる行為や,競争を一層促進する観点から事業者が採ることが望ましい行為の具体的事例を示した独占禁止法上及び電気通信事業法上の指針を平成13年中に取りまとめ,公表する。
 また,上記指針について,平成14年中に見直しを行うとともに,その後も必要に応じて逐次見直しを行う。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「ウ 専門分野に関するエンフォースメントの強化」の「(4)電気通信事業分野における独占禁止法上及び電気通信事業法上の考え方の明確化」)
 国内航空事業分野では,新規参入者の開設した路線に係るその割安な料金を標的にして,競合する路線・時間帯の特定便に係る料金値下げが既存航空事業者によって行われ,公正な競争が阻害されているのではないかとの指摘があるが,独占禁止法(昭和22年法律第54号)違反行為への厳正な対応等,適切な対応を図る。
(「IV 分野的措置事項」の「11 運輸関係」の「(3) 個別事項」の「オ その他」の「28国内航空事業における新規参入に係る対応」)
 IT・公益事業分野等における制度改革に関する調査・提言(政府規制等と競争政策に関する研究会),制度改革後の公正な競争の確保及び違反行為に対する厳正な対処
 規制緩和が進められている公益事業分野等における公正な競争の在り方について検討
 「公益事業分野における規制緩和と競争政策」の公表(平成13年1月)
 「通信と放送の融合分野における競争政策上の課題(中間報告)」の公表(平成13年12月)
 「電気事業分野における競争促進のための環境整備」の公表(平成14年6月)
 「電気通信分野の制度改革及び競争政策の在り方」の公表(平成14年11月)
 制度改革後の公正な競争の確保に向けた取組
 「適正なガス取引についての指針」の公表(平成12年3月。通商産業省と共同)
 国内航空旅客運送事業分野における競争の状況等に関する調査(平成11年12月及び平成13年7月)
 「適正な電力取引についての指針」の改定(平成14年7月。経済産業省と共同)
 「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」の改定(平成14年12月。総務省と共同)
 独占禁止法の厳正な執行
 IT・公益事業タスクフォースの設置(平成13年4月)
 北海道地区の電力会社による新規参入事業者の排除の疑い(平成14年6月警告)〔再掲〕
 国内航空大手3社による新規参入事業者の排除の疑い(平成14年9月問題点の指摘)〔再掲〕
 社会的規制に関する調査・検討
 介護保険適用サービス分野における競争状況に関する調査(平成14年3月)
 基準認証分野における公益法人改革と競争政策に関する調査(平成14年3月)
 「社会的規制分野における競争促進の在り方」の公表(平成14年11月)

(3)  知的財産権に関連する取組
 ソフトウェアライセンス契約等について,競争政策の観点から実態を把握し,平成13年度末を目途に独占禁止法上の考え方の明確化を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(4) 個別事項」の「エ 企業の経済活動を活性化する等のためのその他の措置」の「(7)ソフトウェアライセンス契約等に関する独占禁止法上の考え方の明確化」)
 「技術標準と競争政策に関する研究会」の報告書公表(平成13年7月)
 「ソフトウェアと独占禁止法に関する研究会」の報告書公表(平成14年3月)
 「新たな分野における特許と競争政策に関する研究会」の報告書公表(平成14年6月)
 「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」の開催(平成14年6月〜)
 知的財産タスクフォースの設置(平成14年8月)
 日本放送協会(NHK)の番組制作委託取引についての相談事例の公表(平成15年1月)

(4)  独占禁止法適用除外制度の見直し
 協同組織に対する独占禁止法の適用除外に関する制度について検証し,公正な競争を阻害する問題があれば,その解消を図る。
 不公正な取引方法,不当な価格の引上げが行われないよう,独占禁止法違反の取締の強化を図る。
(「IV 分野別措置事項」の「7 農林水産業関係」の「(3) 個別事項」の「ア 農業・農産物等」の「(14)公正な競争条件の確保」)
 農協組織に対する独占禁止法の適用除外に関する制度の具体的な検証方法について検討

(5)  競争制限的な行政指導への対応
 規制緩和後において,規制に代わって競争制限的な行政指導が行われることのないよう,「行政指導に関する独占禁止法上の考え方」の趣旨を踏まえ,関係省庁は,公正取引委員会と事前に所要の調整を図る。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(2) 執行・事務処理に係る方策」)
 公正取引委員会は,従前から,競争制限的な行政指導が行われることのないよう関係省庁と事前に調整を図り,問題点があれば指摘し,改善を要請。また,独占禁止法違反事件についての審査,実態調査等により,競争制限的な行政指導の存在が認められた場合には,改善を要請

(6)  民民規制への対応
 いわゆる民民規制の問題については,公正取引委員会は,独占禁止法違反行為に対し同法に基づき厳正に対処するほか,その実態を調査し,競争制限的な民間慣行についてその是正を図るとともに,その背後に競争制限的な行政指導が存在する場合には,公正取引委員会及び関係省庁がその早急な見直しに取り組む。行政が何ら関与していない場合には,関係省庁は,関与していない旨を改めて周知するなど,責任の所在の明確化に努める。
(「III 横断的措置事項」の「4 競争政策等関係」の「(2) 執行・事務処理に係る方策」)
 民民規制に対する取組
 公正取引委員会は,事業者又は事業者団体による新規参入の阻止や差別的取扱い等の独占禁止法違反行為について,従前から厳正に対処するとともに,その背後に競争制限的な行政指導が存在する場合には,必要に応じて関係行政機関に改善を要請。また,実態調査を実施し,競争政策上問題のあるものについて所要の改善を指導
 独占禁止法違反行為に対する厳正な対処
 病院向け治療用食品の卸売業者の協同組合による組合員の販売地域制限事件(平成15年3月勧告)〔再掲〕
 民民規制に関する実態調査等
 自動車整備業等に関する実態調査(平成12年4月)
 建設業関連団体による「積算資料」,「建設物価」等への価格掲載について(平成12年9月)

(7)  違反行為の未然防止と競争の唱導
 独占禁止法上の各種指針の公表,事業者等からの相談への適切な対応
 資格者間における公正有効な競争を確保する観点から,法律で強制設立・強制入会制を採っている資格(公認会計士,行政書士,弁護士,司法書士,土地家屋調査士,税理士,社会保険労務士及び弁理士)を対象として,資格者団体が行っている自主規制の実態を把握し,その結果に基づき所要の改善措置を講ずる。
 上記の実態把握及び資格者団体の特性等を踏まえ,資格者団体の活動と独占禁止法との関係を明確化し,公表・周知する。また,今後参考となる相談事例が生じた場合には,その内容を可能な限り明らかにし,独占禁止法違反行為の未然防止に努める。
 上記aの資格者団体に対して独占禁止法コンプライアンスプログラムを作成するよう慫慂するとともに,必要な支援措置を講ずる。
(「別添2 資格制度に係る個別措置事項」の「(1) 業務独占資格制度」の「(11)登録・入会制度の在り方検討」)
 リサイクルのための共同事業について,具体的にどのような共同の取組が独占禁止法において問題になるかに関して明確なガイドラインを作成する。
(「III 横断的措置事項」の「3 環境関係」の「(3) 個別事項」の「イ リサイクル・廃棄物」の「(10)リサイクルのための共同事業の推進と競争政策の在り方」)
 家電廃棄物の収集運搬に関する事業者団体からの相談事例の公表(平成13年4月)
 「リサイクル等に係る共同の取組に関する独占禁止法上の指針」の公表(平成13年6月)
 リサイクル費用の徴収方法に関する自主基準の設定に係る事業者団体からの相談事例の公表(平成13年11月)
 「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」の公表(平成13年10月)
 「事業者等の活動に係る事前相談制度」の整備(平成13年10月)
 事業者・事業者団体の活動に関する主要相談事例の公表(平成14年3月)

 独占禁止法遵守のための事業者等の自主的な取組に対する支援
 独占禁止法遵守プログラムの作成やその整備に向けた自主的な取組を進める事業者等から要請があった場合には,これを支援

 公益事業分野における制度改革後の公正な競争の確保〔再掲〕
 「適正なガス取引についでの指針」の公表(平成12年3月。通商産業省と共同)
 国内航空旅客運送事業分野における競争の状況等に関する調査(平成11年12月及び平成13年7月)
 「適正な電力取引についての指針」の改定(平成14年7月。経済産業省と共同)
 「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」の改定(平成14年12月。総務省と共同)

 独占禁止政策協力委員制度の活用
 競争政策への理解の促進と経済実態に即した政策運営に資するため,独占禁止政策協力委員制度を活用し,全国各地域の経済実態等に通じた有識者から,独占禁止法や公正取引委員会に対する意見・要望の聴取等を行い,その意見・要望等を踏まえ,経済実態に即した競争政策の運営を図る。平成14年度においては,協力委員との会議を13回開催した。

(8)  国際協力の推進
 近年,国際カルテルや国際的な企業結合事案など,複数国の競争法に関係するケースが発生しており,各国の競争当局の連携・協力が模索されている。また,貿易自由化や経済連携強化に向けた取組が進展する中で,貿易・投資に悪影響を及ぼす反競争的行為への対応の必要性が高まっている。
 このような状況を踏まえ,公正取引委員会は,独占禁止協力協定の締結,地域経済連携の枠組みにおける競争政策分野での協力等を通じて世界各国・地域の競争当局との関係の強化に努めている。

 二国間独占禁止協力協定の締結
 日米独占禁止協力協定の締結(平成11年10月)
 日・EC独占禁止協力協定の仮署名(平成14年6月)
 日加独占禁止協力協定の交渉開始(平成14年11月)

 経済連携の枠組みにおける競争政策分野での協力
 貿易・投資の自由化は,市場の活性化を図る上で重要な要素であり,その便益を減退させる反競争的行為を厳正に取り締まる必要がある。このため,公正取引委員会は,経済連携協定において競争条項を重要な要素の一つと位置付けるべく,積極的にその作業に参画している。
 日シンガポール包括的経済連携協定の一環として,競争分野における協力協定を締結(平成14年1月署名同年11月発効)
 日メキシコ経済連携協定の交渉開始(平成14年11月)
 このほか,現在,タイ,フィリピン,韓国,ASEANとの間で交渉開始に向けた作業を行っているところ