第4 審判手続開始請求の却下の審決

平成14年(監)第1号銀座薬品工業株式会社に対する審決
(1) 請求者

(2) 経緯
 本件は,公正取引委員会が,銀座薬品工業株式会社に対し,平成14年9月20日付け排除命令について,同年10月9日付けで告示をしたところ,同社が,同年11月11日に本件排除命令に不服があるとして,審判手続開始請求をしたものである
(3) 却下の理由
 審判手続開始請求については,告示があった日から30日以内に審判手続開始請求書を公正取引委員会に提出する必要があるところ,本件請求書は同期間の経過後に提出されたものであるため,景品表示法第9条第2項に基づき,本件請求を不適法として却下した。
平成15年(訟)第1号株式会社伊藤建設工業に対する審決
(1) 請求者

(2) 経緯
 本件は,公正取引委員会が,株式会社伊藤建設工業に対し,平成14年12月13日付け課徴金納付命令書の送達(同年同月16日)をしたところ,同社が平成15年1月16日に本件課徴金納付命令に不服があるとして審判手続開始請求をしたものである。

(3) 却下の理由
 審判手続開始請求については,課徴金納付命令書の謄本の送達があった日から30日以内に,審判手続開始請求書を公正取引委員会に提出する必要があるところ,本件請求書は同期間の経過後に提出されたものであるため,独占禁止法第49条第2項に基づき,本件請求を不適法として却下した。

第5 訴訟

1 審決取消請求訴訟
 平成14年度当初において係属中の審決取消請求事件は5件であったが,このうち,協業組合カンセイによる審決取消請求事件については,平成15年3月14日,最高裁判所で原判決を破棄し,東京高等裁判所へ差し戻す旨の判決がされたことにより,平成14年度末現在東京高等裁判所に係属中である。安藤造園土木株式会社ほか11名による審決取消請求事件については,平成14年5月7日,公正取引委員会が原告らからの取下げに同意したことにより,また,更生会社株式会社カンキョー管財人大澤誠による審決取消請求事件,国際地質株式会社による審決取消請求事件についてはいずれも請求棄却の判決が確定したことにより終了した。
 平成14年度中に,新たに,岡崎管工株式会社による審決取消請求事件,株式会社オーエヌポートリーによる審決取消請求事件が提起され,このため,平成14年度末現在係属中の審決取消請求事件は4件である。
(1) 協業組合カンセイによる審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所 平成15年(行ケ)第93号
審決取消請求事件
原告(原告・上告人)協業組合カンセイ
被告(被告・被上告人)公正取引委員会
 審決年月日 平成10年3月11日
 提訴年月日 平成10年4月8日
 判決年月日 平成11年1月29日
(請求棄却,東京高等裁判所)
 上告及び上告受理申立て年月日 平成11年2月13日
 上告受理決定年月日 平成15年1月25日
 判決年月日 平成15年3月14日
(原審破棄・東京高等裁判所へ差戻し,最高裁判所)
イ 審決の概要
 協業組合カンセイ(以下「カンセイ」という。)は,千歳市等発注のガス水道配管等工事について,舞鶴設備工業(株)らと共同して受注予定者が受注できるようにすることにより,千歳市等発注のガス水道配管等工事の取引分野における競争を実質的に制限していた。
 本審決は,カンセイに対し,独占禁止法第7条の2第1項の規定を適用して,課徴金の納付を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は,協業組合であるカンセイに対する課徴金の算出に際して,売上額に乗ずるべき一定率として独占禁止法第7条の2第1項(売上額の6%)を用いたところ,カンセイが独占禁止法第7条の2第1項と第2項の適用区分は,課徴金対象事業者の企業規模に基づくものであり,対象事業者の存立形態(法形式)が「会社及び個人」かそれ以外かの区別によってされるべきでないから,企業規模において中小企業者に該当するカンセイには第2項(売上額の3%)を適用すべきであるとして,審決のうち金967万円を超えて納付を命じた部分の取消しを求めるものである。東京高等裁判所は,カンセイの請求を棄却した。
エ 二審(最高裁判所)判決の概要
 独占禁止法7条の2第2項の適用の対象が「会社」又は「個人」に厳格に限定されていると解するのは相当ではない。協業組合は,その固有の出資の総額及び従業員数をもって事業の規模を判断するのは適当とはいえない。個人事業者を組合員とする協業組合にあっては,当該組合固有のものに各組合員固有のものを合わせた常時使用する従業員の総数が同項の規定する「会社」及び「個人」に関する従業員数の要件に該当するときは,同項を類推して,当該組合には軽減算定率が適用されるものと解するのが相当である。
 カンセイ及びその組合員の常時使用する従業員の総数は,原審の確定するところではないから,更に審理を尽くさせるため,本件を原審(東京高等裁判所)に差し戻すこととする。
オ 訴訟手続の経過
 本件は,平成15年3月14日,最高裁判所において,原審に差し戻されたため,平成14年度末現在,東京高等裁判所に係属中である。
(2) 東京海上火災保険株式会社ほか17社による審決取消請求事件
ア 事件の表示
最高裁判所平成14年(行ヒ)第72号 
審決取消請求事件
申立人(被告) 公正取引委員会
相手方(原告) 東京海上火災保険株式会社ほか17名
 審決年月日 平成12年6月2日
 提訴年月日 平成12年7月3日,同月5日
 判決年月日 平成13年11月30日
(請求一部認容,東京高等裁判所)
 上告受理申立て年月日 平成13年12月14日
イ 審決の概要
 東京海上火災保険株式会社(以下「東京海上」という。)及び住友海上火災保険株式会社ほか19名(以下「20名」という。)は,日本機械保険連盟(以下「連盟」という。)の会員となっていたところ,連盟は,機械保険及び組立保険(以下「機械保険等」という。)の保険料率に関し,会員が申請すべき認可申請の内容を決定し,会員に一定料率で機械保険等の引受けを行わせることにより,我が国における機械保険等の元受けに係る各取引分野における競争を実質的に制限していた。
 本審決は,東京海上ほか20名に対し,独占禁止法第54条の2第1項の規定に基づいて,課徴金の納付を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は,東京海上ほか20名が,本件審決には損害保険の経済的実態の認識を誤り,課徴金制度の仕組みと売上額の算定,損害保険制度と損害保険会社の機能及び代理店手数料等について,独占禁止法第8条の3及び同法第7条の2第1項,並びに独占禁止法施行令第5条及び同第6条の解釈,運用を誤ったものであり,かつ,相手方らに対して賦課すべき課徴金の算定を誤ったものであること等を理由として,審決の取消しを求めるものである。東京高等裁判所においては,審決のうち売上額から支払保険金を控除した場合の課徴金額を超えて課徴金の納付を命じる部分が取り消された。
 なお,合併により,現在の相手方は東京海上ほか17名となっている。
オ 訴訟手続の経過
 本件については,申立人の上告受理申立てにより,現在最高裁判所に係属中である。
(3) 安藤造園土木株式会社ほか11名による審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成13年(行ケ)第445号
審決取消請求事件
原告 安藤造園土木株式会社ほか11社
被告 公正取引委員会
 審決年月日 平成13年9月12日
 提訴年月日 平成13年10月9日
 取下げによる終了 平成14年5月7日
イ 審決の概要
 本審決は,安藤造園土木株式会社ほか13名が,緑化建設愛廣園株式会社と,福岡市が指名競争入札の方法により発注する落札金額が1億円以上と想定される大規模な造園工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする旨合意し(以下「本件合意」という。),本件合意に基づいて受注調整を行っていたとし,安藤造園土木株式会社ほか13名に対し,独占禁止法第54条第2項の規定に基づいて,かかる行為を取りやめていることの確認等の措置を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は,原告ら及び緑化建設愛廣園株式会社,西鉄グリーン株式会社及び株式会社九州緑化産業の間において,本件合意が成立していたとの認定は実質的証拠を欠くし,また仮に談合行為があるとしても,落札金額1億円以上の工事が落札金額1億円未満の工事と別個に独立して一定の取引分野を形成するとした審決の判断は誤っているとして,審決の取消しを求めたものである。
エ 訴訟手続の経過
 本件については,原告による取下げにより終了し,審決が確定した。
(4) 更正会社株式会社カンキョー管財人大澤誠による審決取消請求事件
ア 事件の表示
最高裁判所平成14年(行ツ)第200号,平成14年(行ヒ)第233号
審決取消請求事件
上告人・申立人(原告) 更生会社株式会社
カンキョー管財人大澤誠
被上告人・相手方(被告) 公正取引委員会
 審決年月日 平成13年9月12日
 提訴年月日 平成13年10月12日
 判決年月日 平成14年6月7日
(請求棄却,東京高等裁判所)
 上告及び上告受理申立て年月日 平成14年6月21日
 決定年月日 平成14年11月22日
(上告棄却・不受理,最高裁判所)
イ 審決の概要
 本審決は,更生会社株式会社カンキョー(以下「カンキョー」という。)に対し,景品表示法第7条第1項及び第2項に基づいて,一般消費者の誤認を排除する措置等を命じたものであり,本審決が認定した違反行為の概要は次のとおりである。
 カンキョーは,同社が製造・販売している家庭用空気清浄機に関し,当該家庭用空気清浄機は(1)他のフィルター式空気清浄機よりも集塵能力が高く,(2)室内の空気中のウイルスを実用的な意味で有効に捕集する能力を有しているかのような表示をしていたが,実際には,集塵能力において,他のフィルター式空気清浄機よりも劣るものであり,また,ウイルスを捕集する能力についても,実用的な意味を有していなかった
ウ 事案の概要
 本件は,カンキョーが,本審決には,(ア)実質的証拠の不存在,(イ)鑑定の申出を却下したことについての手続的違法,(ウ)景品表示法第4条第1号の「著しく」の解釈適用を誤った違法が存するなどとして,その取消しを求めたものである。
エ 一審(東京高等裁判所)判決の概要
(ア)  本件審決は,まず,「本件広告は,本件空気清浄機がほかのフィルター式空気清浄機よりも集塵能力が高いと表示するものである。」とする。
 本件広告は,
 本件空気清浄機は14畳までの室内の空気中に現に存する様々な種類・粒径の浮遊物を確実に集塵できるものであり,上記室内の浮遊物一般の集塵において,本件空気清浄機の集塵能力がフィルター式空気清浄機のそれよりも優れている,
 空気清浄機の一般的な使用状況の下で本件空気清浄機の集塵能力がフィルター式空気清浄機のそれよりも優れている,
 集塵能力自体において本件空気清浄機がより有効に機能する
 単にウイルスを捕集するということができるというにとどまらず,ウイルス感染の防止に効果があるなどの実用的な意味でウイルスを有効に捕集する能力がある,
という印象ないし期待を与えるものということができ,本件広告についての審決の認定判断は正当である。
 本件空気清浄機の特徴の一つである「無騒音」,「無風」が,一般消費者の商品選択上の一要素であるとしても,上記のような意味の集塵能力,ウイルス捕集能力も,それ自体で一般消費者の商品選択の重要要素をなすものであり,集塵能力等について一般消費者の誤認を招けば,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあるというべきであるから,集塵能力等に関する表示は,それ自体で景品表示法4条第1号の規定による規制対象となるというべきである。本件空気清浄機の集塵能力等についての本件審決の認定は,実質的証拠を備えた合理的なものというべきである。
(イ)  審判において,被審人は,公正取引委員会に対し,証拠調の請求の一環として,鑑定人に鑑定を命じることを求めることができる。公正取引委員会は,証拠調の請求があったときは,その採否を決定しなければならず,被審人等から申出のあった証拠を採用しないときは,その理由を示さなければならない。当事者双方の提出に係る証拠から一定の認定ができ,被審人の申出に係る証拠を採用してもその認定が覆らないと認められる場合には,当該証拠を取り調べる必要性がなく,公正取引委員会において当該証拠の申出を採用しない正当な理由があるものというべきである。なお,本件鑑定の申出の却下は,独占禁止法第51条の2の規定に基づき公正取引委員会から審判手続の一部を委任された審判官が,上記の公正取引委員会の審査及び審判に関する規則第27条第1項の規定に基づき行ったものであるが,審判官による審判においても,上記の理は変わらない。本件審判においては,カンキョーが審査及び審判手続で提出し取り調べられた実験結果等及び本件空気清浄機の考案者の審訊によっても上記認定が覆らないことは,説明したとおりであって,審判官において,本件鑑定の申出を採用しても,上記認定を覆すべき結果が出るとは考えられないとして,これを却下したことは合理的な判断というべきである。
(ウ)  景品表示法4条1号の「著しく」とは,誇張・誇大の程度が社会一般に許容される程度を超えるものであるかどうかは,当該表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかで判断され,その誤認がなければ顧客が誘引されることは通常ないであろうと認められる程度に達する誇大表示であれば「著しく優良であると一般消費者に誤認される」表示に当たると解される。そして,当該表示を誤認して顧客が誘引されるかどうかは,商品の性質,一般消費者の知識水準,取引の実態,表示の方法,表示の対象となる内容などにより判断される。
 本件広告の表示は,本件空気清浄機がフィルター式空気清浄機よりも集塵能力が高く,室内の空気中のウイルスを実用的な意味で有効に捕集する能力があると一般消費者に誤認される表示であり,一般消費者において,本件空気清浄機が,集塵能力においてフィルター式空気清浄機よりも劣るものであり,また,ウイルスを捕集する能力においても実用的な意味を有していないものであることを知っていれば,通常は本件空気清浄機の取引に誘引されることはないであろうと認められるから,本件広告の表示は「著しく優良であると一般消費者に誤認される」表示に当たるというべきである。
エ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年11月22日,最高裁判所の上告棄却・上告不受理の決定により,審決が確定した。
(参考)  更生会社株式会社カンキョー管財人大澤誠による審決取消請求事件にかかる保証金没取申立事件
(ア) 事件の表示
東京高等裁判所平成15年(行タ)第3号
保証金没取申立事件
申立人  公正取引委員会
相手方  更生会社株式会社カンキョー管財人大澤誠
申立年月日  平成15年1月17日
(イ) 事案の概要
 本件は,最高裁判所に係属していた審決取消訴訟が終了し,審決が確定したため,相手方が審決が確定するまで執行を免れるため供託していた保証金100万円について公正取引委員会がその全部を没取する旨の申立てを行ったものである。
(ウ) 訴訟手続の経過
 本件については,現在東京高等裁判所に係属中である。
(5) 国際地質株式会社による審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成13年(行ケ)第472号
審決取消請求事件
原告  国際地質株式会社
被告  公正取引委員会
 審決年月日  平成13年9月20日
 提訴年月日  平成13年10月19日
 判決年月日  平成14年10月25日
 (請求棄却,東京高等裁判所)
 確定年月日  平成14年11月8日
イ 審決の概要
 本審決は,国際地質株式会社を含む千葉市内に本店又は主たる事務所を有する市内業者が,千葉市及び同市水道局が発注する地質調査業務について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする旨合意し(以下「本件合意」という。),本件合意に基づいて受注調整を行っていたとし,独占禁止法第54条第2項の規定に基づいて,国際地質株式会社に対し,かかる行為の取りやめの通知等の措置を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は,原告が本件合意に基づく受注調整に参加していないなどとして,審決の取消しを求めたものである。
エ 判決の概要
(ア)  本件記録を検討しても,原告代表者の供述調書である査第33号証の任意性や,その不利益供述部分の信用性に疑問を抱かせる事情は認められないから,本件審決が査第33号証を事実認定の証拠としたことに違法はないというべきである。
(イ)  相指名業者の供述中には,具体的な受注調整の態様などについて,細部で曖昧な箇所や他の相指名業者の供述と異なる箇所が散見される一方,画一的とみられる箇所もあるが,それらは,通常人一般の記憶力の程度や,同一の受注調整行為に関する質問に対する答えであるということに由来するもので,その点から上記供述調書が信用性を欠くものということはできない。本件審決が,これらの供述調書の内容を他の証拠と総合的に斟酌の上,上記事実認定を行ったことは合理的であるというべきである。
(ウ)  本件審決は,原告代表者が遅くとも平成7年11月16日には本件合意の内容を知っていたこと,原告が,1番物件,5番物件及び18番物件について,相指名業者との間で,受注調整を行っていたこと,3番物件についても,原告と相指名業者との間の話合いで受注予定者を決めていたこと,その余の物件についても,相指名業者においては,原告も他の同業者と同様に受注調整を行っているものと認識されていたこと,一方,原告が上記22物件の入札に際して,3番物件を除いては受注予定者とされていたにもかかわらず受注しなかったとか,他の相指名業者が受注予定者とされていたにもかかわらず原告が受注したなどといった受注調整行為から離脱した,あるいはこれと相容れない行動をとったものと認めるに足らないこと,さらに,2回の入札が行われた11物件の入札結果からは,事前に第2回目の入札価格を含めて価格の連絡がされていたことが推認されることを掲げ,これらの事実を総合すれば,原告が本件合意に参加し,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていたものと認めるのが相当であるとし,また,上記認定によれば,原告及び26社は,本件行為により,千葉市等発注の市内業者向け特定地質調査業務のほとんどすべてを受注していたものと認めるのが相当である,と認定しているが,この事実認定は,証拠に基づくもので,その推論にも問題がなく,合理的なものということができる。
 前記のとおり,原告は本件合意の内容を認識し,原告は22物件について相指名業者と入札前に受注予定者を決める話合いに加わっている。そして,原告が受注予定者となり受注した物件について,原告は自らの積算の上で採算のとれる価格で入札し,その価格を入札前に相指名業者に連絡しており,相指名業者の協力を得て受注しているのである。また,相指名業者が受注予定者となった物件については,原告は当該相指名業者から入札価格の連絡を受け,それを上回る価格で入札しているのである。
 そうである以上,本件合意と協会とのかかわりがどのようなものであるかは別として,また,原告の受注した物件が相指名業者において受注を希望しなかったものであったとしても,原告が26社と共同し,本件行為を行っていたとの認定は相当というべきである。
(エ)  原告及び26社が公正取引委員会の審査開始後は本件行為を取りやめているとの本件審決の認定は,上記のとおり,その挙示する証拠により合理的なものと認める。
 また,原告も本件行為に参加していたことは前記のとおりであり,原告の主張あるいは佐藤の陳述のみで本件行為の取りやめに関する上記の認定の合理性を左右することはできない。
オ 訴訟手続の経過
 本件は,平成14年11月8日の経過をもって,請求棄却の旨の判決が確定し終了した。
(6) 岡崎管工株式会社による審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成15年(行サ)第40号,平成15年(行ノ)第42号 
審決取消請求事件
上告人・申立人(原告) 岡崎管工株式会社
被上告人・相手方(被告) 公正取引委員会
 審決年月日  平成14年7月29日
 提訴年月日  平成14年8月21日
 判決年月日  平成15年3月7日
(請求棄却,東京高等裁判所)
 上告及び上告受理申立年月日 平成15年3月14日
イ 審決の概要
 本審決は,岡崎管工株式会社を含む広島市及び安芸郡府中町に本店を有する28社が,広島市水道局発注の特定上水道本管工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする旨合意し(以下「本件合意」という。)、本件合意に基づいて受注調整を行っていたとし,独占禁止法第54条第2項の規定に基づいて,岡崎管工株式会社に対し,かかる行為の取りやめの通知等の措置を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は,原告が本件合意からの途中離脱の時期及び本件審判開始手続の適法性等を理由として,本件審決の取消しを求めるものである。
エ 判決の概要
(ア)  原告の本件合意からの離脱時期について
 受注調整を行う合意から離脱したことが認められるためには,離脱者が離脱の意思を参加者に対し明示的に伝達することまでは要しないが,離脱者が自らの内心において離脱を決意したにとどまるだけでは足りず,少なくとも離脱者の行動等から他の参加者が離脱者の離脱の事実を窺い知るに十分な事情の存在が必要であるというべきである。そうすると,原告が同年2月28日の入札において受注調整の決定に従わずに自ら落札したものの,同年3月6日の入札においては受注調整の結果に従って受注予定者の落札に協力していること,同月中旬の段階では,本件合意の中心的役割を担う世話人会においても,ペナルティーとして1年間受注調整に参加させないことを決定したにとどまるものであることや,前記の外線当番表に原告の名前が掲載されていなかったことなどの事情を総合して,本件審決が原告の本件合意からの離脱時期を同月末ころと認定したことに経験則違背や不合理な点はないから,当該事実を立証する実質的証拠に欠けるところはないというべきである。
(イ)  法第48条第2項及び第54条第2項の「特に必要があると認めるとき」の要件について
 本件審決は,証拠により本件違反行為に係る受注調整の経緯,原告の受注調整からの離脱の経緯,原告の営業担当者の今後の別の受注調整についての親和的な発言及び本件審判対象以前において原告が受注調整行為から一度離脱したものの短期間で復帰した事実を認定しているが,これらの事実認定に経験則違背,その他の不合理な点はなく,またこれらの事実を考慮すると原告が既に受注調整行為から離脱していても,離脱の状態を確保するための措置をとる必要が特に存在するということができ,法第48条第2項及び第54条第2項の各要件が存在するとした本件審決の判断に違法はない。
(ウ)  水産庁事件との対比による処分の公平性について
 公正取引委員会が,水産庁事件で途中離脱した2事業者に対し勧告を行わなかった理由として公表するのは,2事業者が,(1)公正取引委員会が調査を開始する前に自らの行為は法に違反すると判断し,以後同行為を行わない旨他の関係者に表明した上で,同行為から自主的に離脱していること,(2)再発防止のために,法遵守体制を整備していることの2点であるとの本件審決の認定に不合理な点はない。これに対して,原告の受注調整からの離脱の経緯,離脱意思の明示的表明の有無,原告の営業担当者が今後の別の受注調整に親和的な発言をしていることなど,排除措置の必要性を判断するにつき重要な事実が存在する点で,本件は水産庁事件とは異なっているということができる。したがって,原告に対する本件勧告及び本件審決が,水産庁事件と対比して不公平な差別的取扱いであるとはいえない。
オ 訴訟手続の経過
 本件は,上告人・申立人の上告及び上告受理申立により,平成14年度末現在,東京高等裁判所に係属中である。
(参考) 岡崎管工株式会社による審決取消請求事件にかかる執行免除申立事件
(ア)  事件の表示
東京高等裁判所平成14年(行タ)第433号
執行免除申立事件
申立人 岡崎管工株式会社名
相手方 公正取引委員会
 申立年月日  平成14年9月2日
 決定年月日  平成14年10月29日
(イ)  事案の概要  
 略
(ウ)  決定の主文
 保証金として200万円を供託することにより,当該審決が確定するまでその執行を免れることができる。
(7) 株式会社オーエヌポートリーによる審決取消請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成13年(行ケ)第472号 
審決取消請求事件
 原告  株式会社オーエヌポートリー
 被告  公正取引委員
  審決年月日  平成13年9月20日
  提訴年月日  平成13年10月19日
  判決年月日  平成14年10月25日
(請求棄却,東京高等裁判所)
イ 審決の概要
 株式会社オーエヌポートリーは,社団法人日本種鶏孵卵協会ブロイラー孵卵部会中国・四国ブロイラー孵卵協議会(以下「協議会」という。)の会員となっていたところ,協議会は,会員が兵庫県,鳥取県,島根県,岡山県,広島県,徳島県,香川県,愛媛県及び高知県の区域(以下「中国四国地区」という。)に所在する養鶏業者等の需要者又は同需要者に販売する取引先販売業者に販売するブロイラー用素びな(以下「素びな」という。)の販売価格の引上げを決定することにより,中国四国地区の素びなの供給分野における競争を実質的に制限していた。本審決は,同社に対し,独占禁止法第54条の2第1項の規定に基づいて,課徴金の納付を命じたものである。
ウ 事案の概要
 本件は,(1)原告には協議会による素びなの値上げ決定という独占禁止法違反行為の実行としての事業活動はなく,(2)原告の山陰農芸株式会社に対する素びなの売上げが課徴金の算定の基礎となる売上額に該当しない,(3)査2号証及び査3号証の信用性に異議があるとして,審決の取消しを求めたものである。
エ 訴訟手続の経過
 本件については,現在,東京高等裁判所に係属中である。
2 その他の訴訟
 平成14年度当初において係属中の訴訟事件は2件であったが,日本鋼管株式会社,三菱重工業株式会社,日立造船株式会社ほか2名による審判事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件については,平成14年6月5日,請求認容の判決が下された後,参加人らから上告受理申立てがされている。また,技研システム株式会社による国家賠償請求訴訟については,平成14年12月26日,請求棄却の判決が言い渡され,控訴されている。
 平成14年度には,新たに,情報公開法に基づく文書不開示決定処分取消請求事件が2件,株式会社函館新聞社から独占禁止法69条に基づく閲覧謄写不許可処分取消請求事件が提起された。また,ごみ焼却炉入札談合事案に対して提起された住民訴訟において,民事訴訟法223条1項に基づく申立のあった公正取引委員会に係属中のごみ焼却炉入札談合事件(平成11年(判)第4号日立造船株式会社ほか4名に対する件)に係る審判記録について,鳥取,新潟,福岡の各地方裁判所において文書提出命令が出されたことから,国(公正取引委員会)及び申立人たる住民訴訟原告らからそれぞれ即時抗告が申し立てられ,このため,平成14年度末現存係属中の審決取消請求訴訟以外の訴訟は8件である。
(1) 日本鋼管株式会社ほか4名による審判事件記録謄写許可処分取消請求事件
ア 事件の表示
最高裁判所平成14年(行ヒ)第242号
 事件記録閲覧謄写許可処分取消請求事件
 申立人(被告・被控訴人) 公正取引委員会(注)
 申立人(参加人)大川隆司ほか2名
 相手方(原告・控訴人)日本鋼管株式会社ほか4名
(注)  上告受理申立てを行ったのが公正取引委員会側として参加している参加人らであるため,公正取引委員会についても申立人の表記になる。
 提訴年月日  平成12年12月22日,平成13年1月19日
 判決年月日  平成13年10月17日
(一部請求却下,一部請求棄却,東京地方裁判所)
 控訴年月日  平成13年10月17日,
 平成13年10月18日
 判決年月日  平成14年6月5日(請求認容,東京高等裁判所)
 上告受理申立て年月日 平成14年6月13日
イ 事案の概要
 本件は,公正取引委員会平成11年(判)第4号事件の被審人らが,公正取引委員会が独占禁止法第69条に基づき,被審人らを被告として住民訴訟を追行中の原告住民に対して,審判記録の閲覧謄写に応じる決定をし,各申請人に通知した各処分の取消しを求めるものである。
ウ 一審(東京地方裁判所)判決の概
(ア)  平成13年1月19日付け通知は,申請者に通知されなかったため,同通知以前には行政処分は存在しないのであって,控訴人らとしては,同年3月12日付けの処分の取消しのみを求めれば足り,同年1月19日付けの処分の取消しを求める利益はない。
(イ)  控訴人らは,被害者は,独占禁止法第25条による権利行使を容易にするために「利害関係人」に含められているのであるから,確定した審決によって認定された違反行為による被害者のみをいうと主張するが,独占禁止法第69条は,閲覧謄写を求め得る時期について,この主張のような限定をしていないし,審決確定以前から民法第709条に基づき損害賠償請求をすることが可能であるから,審判対象の行為によって被害を受けたと考えられる者は,審決確定前から,審判記録の閲覧謄写を請求する利害関係を有していると解するのが相当である。
 独占禁止法違反事件の審判対象たる行為と同一性を有する事実を基礎として被審人を被告として住民訴訟としての損害賠償請求訴訟を提起し,同訴訟が現に係属している場合には,当該住民は,当該地方公共団体に代位してその損害賠償請求権を行使する法的地位を付与されているのであり,当該訴訟の帰すうによって当該地方公共団体自体が損害賠償請求権を有するか否かが確定し,当該地方公共団体もその訴訟の結論に拘束されるに至るのであるから,当該住民は,特段の事情のない限りは,「被害者」たる法的地位を取得した者として,「利害関係人」に該当すると解するのが相当である。
エ 二審(東京高等裁判所)判決の概要
(ア)  独占禁止法第69条にいう「利害関係人」とは,当該審判事件の被審人のほか,同法第59条及び第60条の各規定により審判手続に参加し得る者並びに当該審判事件の対象をなす法違反行為の被害者をいうものと解されるところ(最高裁昭和50年7月10日第一小法廷判決・民集29巻6号888頁参照),住民訴訟を提起している本件各申請人が上記の法違反行為の被害者として「利害関係人」に当たるか否かについて,(1)法違反事件の処理手続がもともと公益保護の立場から法違反の状態を是正することを主眼とし,法違反行為による被害者の個人的利益の救済を図ることを直接の目的にするものではないことから,第24条の差止請求及び第25条の損害賠償責任制度により被害者の個人的利益の救済を図ることとし,被害者が積極的に審判手続に関与することを認めていない。(2)独占禁止法第69条が,法違反事件の処理手続を規定した第8章第2節の中に置かれた規定であることにかんがみれば,閲覧謄写等は原則として審判手続の中においてされることを予定しており,他方,審判手続に参加を認められなかった被害者については,同法第24条の差止請求訴訟を提起するか,又は同法第25条の損害賠償請求をすることができるようになるまでは,法の上では特段の地位が与えられておらず,審判手続に関与する余地はないことから,法違反行為の被害者は,同法第59条の規定により参加を認められた場合,同法第24条の規定に基づく差止請求訴訟を提起する場合及び同法第48条4項などの規定による審決が確定して同法第25条の規定に基づく損害賠償請求をする場合以外は,同法第69条の規定にいう「利害関係人」には当たらない。
(イ)  民法709条の規定に基づく損害賠償を請求する者については,(1)仮に独占禁止法違反行為の被害者は同法第69条の規定にいう「利害関係人」として常に事件記録の閲覧謄写等を求めることができるとすると,被害を受けたと主張しさえすれば,だれでも事件記録の閲覧謄写等が可能になりかねないが,そうなっては,委員会の委員長等に課している秘密保持義務の規定も空文化しかねず,被審人や事件関係者に大きな不利益を与えるおそれがある。(2)民法第709条に基づく損害賠償請求においては,民事訴訟法の規定による証拠資料の収集・提出が行われるべきものであり,委員会が職権主義的に,かつ,強力な権限をもって収集した審判事件の資料が,いまだ法違反行為があったと認定されていない段階で,損害賠償請求訴訟において証拠資料として用いられることは,法の予定していないところである。
(ウ)  独占禁止法第69条の規定にいう「利害関係人」には当たらず,これに当たるものとしてされた本件各処分は,違法であり,取消しを免れない。
オ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年6月13日,参加人らが上告受理申立てを行っている。なお,平成13年10年24日,東京高等裁判所において本案事件の判決の確定まで執行を停止する旨の決定がされている(審決集48巻597頁)。
(2) 技研システム株式会社による損害賠償請求事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成15年(ネ)第732号
損害賠償請求事件
控訴人(原告)技研システム株式会社
被控訴人(被告)国
 提訴年月日  平成13年6月27日
 判決年月日  平成14年12月26日
(請求棄却,東京地方裁判所)
 控訴年月日  平成15年1月9日
イ 事案の概要
 本件は,公正取引委員会が,千葉市が発注する測量等の業務に関し,平成11年8月3日付けで原告を含む設計・測量会社等計91名に対して勧告したが,平成12年8月8日,原告の違反事実を認めることはできない旨の審決を行ったところ,原告が公正取引委員会の違法な勧告によって地方公共団体等から指名停止処分を受け,売上げが減少し,民事再生手続開始申立てを行うこととなったとして,その損害賠償を求めるものである。
ウ 一審(東京地裁)判決の概要
(ア)  勧告の違法性判断基準
 勧告は,その制度の趣旨,目的及び他制度との関係からすれば,簡易・迅速な処理が望まれるというべきであり,勧告を検察官による公訴提起と同一視することはできない。
 事業者が勧告により指名停止になることによって,事実上競争入札に参加する機会を相当程度奪われることになるという実際上の効果は,被勧告人の営業実績や信用に重大な影響を及ぼすことはいうまでもなく,たとえ公正取引委員会が指名停止処分に直接関与するものでないとしても,勧告に当たっては,このような実際上の効果にも十分に配慮し,誤った判断により被勧告人に不測の損害を招くことがないようにすべきであり,勧告の違法性を判断する上においてもこの点は当然に斟酌されるべき要因である。
 本件勧告の国家賠償法上の違法性を判断するには,勧告制度の性質等と被勧告人の不利益等を比較考量した上で,公正取引委員会の運用実態や,勧告時の審査内容,原告の対応,その他客観的状況等の具体的事情を総合的に考慮し,公正取引委員会がその当時入手し又は合理的な審査活動によって入手可能であったと考えられる資料に基づき,談合に加功したと認定するに足る相当の根拠があったか否かを検討すべきである。
(イ)  経験則について
 公正取引委員会が,(1)受注調整ルールの存在,(2)当該ルールの認識,(3)当該ルールに沿う行動という3つの要件が満たされればよいとの判断基準(三要件基準)に基づいて勧告を行っていること,勧告後に違反事実なしとされた事案は過去10年間では本件が唯一の例であること,公正取引委員会が公共入札ガイドラインにおいて受注意欲についての情報交換が独占禁止法違反となるおそれが強い行為であると表明していること,談合に参加しない事業者は一般的に受注調整ルールに沿う行動を取らないと考えられることからすれば,三要件基準は,訴訟上の事実認定において経験則として用いることができるほど一般化したものではないが,実務上の運用としては一応の合理性があるということができる。もっとも,このような一般的な見地からの認定疑念を抱かせるような個別事情が存在する場合には,可能な調査を尽くして証拠を収集し,個別事案における具体的な事情を慎重に斟酌すべきである。
(ウ)  本件における個別事情
 原告は談合をしないことを社是としていること,原告の営業課長であった杉山が冨岡測量からの協力依頼を断っていたこと,下田物件の落札価格が発注予算の約6割であったことは,原告が最終的に冨岡測量との間で受注に関する合意をしたのか否かについて疑念を抱かせるものといえ,勧告前に公正取引委員会において補充調査を行っていれば判明し得たことであるから,原告に対して勧告しないという結論を導く余地は十分にあったといわざるを得ない。
 審査段階における,杉山の本件会合に出席していない旨の供述をかんがみれば,第一航業(株)の千葉営業所所長である花田の供述により杉山が会合に出席して受注意欲を表明していたことを知った公正取引委員会が,杉山が談合への加功を隠蔽しようとしており,同人からこれ以上の調査協力は得られないと判断することにも理由があったというべきである。また,受注調整のための会合であることを知りながらこれに参加して受注希望を述べていることからすれば,それ自体により審査段階で談合への関与が疑われてもやむを得ない。そして,下田物件の会合において他の事業者は原告と冨岡測量の2社預かりとして話合いから離脱したこと,入札価格もこの2社が他の8社ともかけ離れており,しかも,2社の入札価格自体は非常に近似していることからすれば,事後的に談合に関与していたと判断される余地も十分にあったと考えられる。
 以上の諸事情に照らすと,本件勧告前に公正取引委員会が収集した証拠によれば,原告が受注調整に応じたことを強く推認させる事実関係があったというべきであり,それ以上の補充調査を不要と考えたこともあながち無理のないことともいえる。
(エ)  結論
 本件では,公正取引委員会がより慎重に審査して結論を導くことが望ましかったとはいえ,その当時の証拠関係に照らして原告が下田物件に関する入札談合に加功したと認定して本件勧告を行ったことが,その職務上の義務に照らして不相当なものであったとまではいうことができず,国家賠償法上の違法性があると認めることはできない。
エ 訴訟手続の経過
 本件については,現在,東京高等裁判所に係属中である。
(3) 鳥取地裁ごみ焼却炉住民代位訴訟に係る文書提出命令に対する即時抗告申立事件
ア 事件の表示
広島高等裁判所松江支部平成14年(行ス)第1号
文書提出命令に対する即時抗告申立事件
抗告人 国
相手方 南博ほか2名
 決定年月日  平成14年6月28日
 申立年月日  平成14年7月8日
イ 事案の概要
 本件は,ごみ焼却炉入札談合事案に対して提起された住民訴訟(基本事件鳥取地方裁判所平成12年(行ウ)第2号損害賠償代位等住民訴訟事件)において,公正取引委員会に係属中のごみ焼却炉入札談合事件(平成11年(判)第4号日立造船(株)ほか4名に対する件)に係る審判記録について民事訴訟法第223条第1項に基づき審査官提出の準備書面等の提出を命じる決定がされたところ,当該決定に対し国(公正取引委員会)から即時抗告を申し立てたものである。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,現在,広島高等裁判所松江支部に係属中である。
(4) 新潟地裁ごみ焼却炉住民代位訴訟に係る文書提出命令に対する即時抗告申立事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成14年(行ス)第67号
文書提出命令に対する即時抗告申立事件
抗告人 国
相手方 佐藤賢
 決定年月日  平成14年9月27日
 申立年月日  平成14年10月8日
イ 事案の概要
 本件は,ごみ焼却炉入札談合事案に対して提起された住民訴訟(基本事件新潟地方裁判所平成12年(行ウ)第13号損害賠償代位請求事件)において,公正取引委員会に係属中のごみ焼却炉入札談合事件(平成11年(判)第4号日立造船(株)ほか4名に対する件)に係る審判記録について民事訴訟法第223条第1項に基づき審判廷に提出された証拠の提出を命じる決定がされたところ,当該決定に対し国(公正取引委員会)から即時抗告を申し立てたものである。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,現在,東京高等裁判所に係属中である。
(5) 福岡地裁ごみ焼却炉住民代位訴訟に係る文書提出命令に対する即時抗告申立事件
ア 事件の表示
福岡高等裁判所平成15年(行ス)第1号
文書提出命令に対する即時抗告申立事件
抗告人 児島研二ほか11名
相手方 国ほか6名
 決定年月日  平成15年2月28日
 申立年月日  平成15年3月6日
イ 事案の概要
 本件は,ごみ焼却炉入札談合事案に対して提起された住民訴訟(基本事件福岡地方裁判所平成12年(行ウ)第27号損害賠償代位請求等(住民訴訟)事件)において,公正取引委員会に係属中のごみ焼却炉入札談合事件(平成11年(判)第4号日立造船(株)ほか4名に対する件)に係る審判記録について民事訴訟法第223条第1項に基づき申立のあった記録の一部についてのみ提出を命じる決定がされたところ,当該決定に対し住民訴訟原告らから即時抗告を申し立てたものである。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,現在,福岡高等裁判所に係属中である。
(6) 株式会社函館新聞社に係る閲覧謄写申請不許可処分取消請求事件
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成15年(行ウ)第152号
閲覧謄写申請不許可処分取消請求事件
原告 株式会社函館新聞社
被告 公正取引委員会
 提訴年月日  平成15年3月10日
イ 事案の概要
 本件は,原告が独占禁止法69条に基づいて平成14年9月6日付けで行った,平成10年(判)第2号株式会社北海道新聞社に対する審判事件に係る事件記録全部の閲覧謄写申請に対し,被告が平成15年2月25日付けで,本審判事件の事件記録のうち一部を除いて閲覧謄写を不許可とする旨の処分をしたところ,原告が当該処分の取消しを求めたものである。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,現在,東京地方裁判所に係属中である。
(7) その他
 情報公開法に基づく,公正取引委員会の行政文書不開示決定に対する取消請求訴訟が,平成14年度末現在,東京地方裁判所に2件係属中である。
独占禁止法第24条(差止請求権)に基づく差止請求事件
 平成14年度当初において係属中の独占禁止法第24条に基づく差止請求事件は7件であったが,同年度中に9件の訴えが提起され,下表のとおり,東京地裁において2件の請求棄却判決があり,1件について和解が成立した。平成14年度末現在においては14件が係属中である。

独占禁止法第25条(無過失損害賠償責任)に基づく損害賠償請求事件
 平成14年度当初において独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求事件は,東京都による損害賠償請求事件,アメリカ合衆国による損害賠償請求事件及び大阪市による損害賠償請求事件(2件)の4件であったが,これら4件は平成14年度中に和解が成立した。
 平成14年度中に新たに株式会社函館新聞社による損害賠償請求事件及び福島県による損害賠償請求事件が提起され,平成14年度末現在係属中である。
(1) 東京都発注水道メーター入札談合事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成10年(ワ)第1号
損害賠償請求事件
原告  東京都
被告  愛知時計電機株式会社ほか24名
 提訴年月日  平成10年4月14日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,東京都発注の特定水道メーターの入札談合について,平成9年4月18日,株式会社金門製作所ほか24名に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後,発注者である東京都は,被審人である愛知時計電機株式会社ほか24名に対して,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,東京高等裁判所から,平成11年2月24日,独占禁止法第84条第1項に基づき,同法違反行為によって生じた損害額についての求意見がなされ,公正取引委員会は,同年4月27日,意見書を提出した。
エ 和解成立
 本件は,平成14年6月22日及び同年10月4日に和解(和解金合計20億5178万3249円)が成立した。
(2) 米軍横田基地入札談合事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成11年(ワ)第1号
損害賠償請求事件
原告  アメリカ合衆国
被告  株式会社協和エクシオ
 提訴年月日  平成11年9月29日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,米国空軍契約センター発注の電気通信設備の運用・保守の入札談合について,平成3年5月8日,株式会社協和エクシオほか11名が,当該契約センターが発注した27物件につき,受注予定者を決定したとして,協和エクシオほか2名に対し,課徴金納付命令を行った。このうち,株式会社協和エクシオ1社のみがこれを不服として審判手続の開始を請求した。
 公正取引委員会は,平成3年7月9日,審判開始決定を行い,審判手続を経て,平成6年3月30日,課徴金の納付を命ずる審決を行ったところ,同社は同年4月14日,審決取消請求訴訟を提起したが,平成8年3月29日,請求棄却され,本審決は確定した。その後,アメリカ合衆国は,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,東京高等裁判所から,平成11年10月6日,独占禁止法第84条第1項に基づき,同法違反行為によって生じた損害額についての求意見がなされ,公正取引委員会は,平成12年1月26日,意見書を提出した。
エ 和解成立
 本件は,平成15年3月17日,和解(和解金1億円)が成立した。
(3) 大阪市発注低食塩次亜塩素酸ソーダ入札談合事件
ア 事件の表示
(ア)  東京高等裁判所平成11年(ワ)第2号
損害賠償請求事件
原告  大阪市
被告  ダイソー株式会社ほか9名
 提訴年月日 平成11年10月23日
(イ)  東京高等裁判所平成11年(ワ)第3号
損害賠償請求事件
原告  大阪市
被告  ダイソー株式会社ほか6名
 提訴年月日 平成11年10月23日
イ 事案の概要
(ア)  平成11年(ワ)第2号事件
 公正取引委員会は,大阪市発注の10下水処理場向け低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合について,平成11年1月25日,ダイソー株式会社ほか9名に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後,発注者である大阪市は,被審人であるダイソー株式会社ほか9名に対して,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
(イ)  平成11年(ワ)第3号事件
 公正取引委員会は,大阪市水道局発注の低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合について,平成11年1月25日,ダイソー株式会社ほか6名に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後,発注者である大阪市は,被審人であるダイソー株式会社ほか6名に対して,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,上記2事件が併合審理され,東京高等裁判所から,平成11年11月4日,2事件について,それぞれ,独占禁止法第84条第1項に基づき,同法違反行為によって生じた損害額についての求意見がなされ,公正取引委員会は,平成12年1月31日,意見書を提出した。
エ 和解成立
 本件は,平成14年6月3日,和解(平成11年(ワ)第2号事件については,2億7506万8260円,同3号事件については,4290万8385円)が成立した。
(4) 株式会社北海道新聞社による株式会社函館新聞社の事業活動排除事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成14年(ワ)第4号
損害賠償請求事件
原告  株式会社函館新聞社
被告  株式会社北海道新聞社
 提訴年月日  平成14年12月27日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,株式会社北海道新聞社による函館対策と称する一連の行為によって株式会社函館新聞社の事業活動を排除した行為について,平成10年2月5日,勧告を行ったところ,これを応諾しなかったことから審判開始決定を行い,審判官をして審判を行わせていたところ,同意審決を受ける旨の申出があり,かつ,具体的措置に関する計画書が提出されたので,平成12年2月28日,株式会社北海道新聞社に対し当該行為の排除等を命ずる同意審決を行った。その後,平成14年12月27日,株式会社函館新聞社は,株式会社北海道新聞社に対して,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,東京高等裁判所に係属中である。
(5) 福島県内の官公庁等発注航空写真測量業務入札談合事件
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成15年(ワ)第1号
損害賠償請求事件
原告  福島県
被告  株式会社パスコほか7名
 提訴年月日  平成15年3月31日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,福島県内の官公庁等発注の航空写真測量業務の入札談合について,平成13年6月19日,株式会社パスコほか7名に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後,発注者である福島県は,被審人株式会社パスコほか7名に対して,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求訴訟を東京高等裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,東京高等裁判所に係属中である。
5 その他の独占禁止法関係の損害賠償請求事件等
(1) 米軍厚木基地における入札談合事件に係る民法第709条及び第719条訴訟
ア 事件の表示
東京高等裁判所平成14年(ネ)第4622号
損害賠償請求事件
控訴人(本訴原告)  アメリカ合衆国
被控訴人(本訴被告)  株式会社アタラシほか25名
 提訴年月日  平成6年9月16日
 判決年月日  平成14年7月15日
 (請求棄却,東京地方裁判所)
 控訴年月日  平成14年8月2日
イ 事案の概要
 本件は,米国海軍航空施設(厚木基地)における建設工事等を競争入札により発注しているアメリカ合衆国の厚木駐在建設事務官が,競争入札に参加する厚木建設部会会員73名の昭和59年から平成2年にかけての談合行為により損害を被ったとして損害賠償を求める「通告書」を送付したが,これに応じなかった株式会社アタラシほか25名(訴訟提起当初は荒澤建設株式会社ほか52名)に対して,民法第709条及び第719条の規定に基づき損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起し,同裁判所が原告の請求を棄却する判決を言い渡したところ,平成14年8月2日控訴したものである。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について,平成14年度末現在,東京高等裁判所に係属中である。
(2) 京都市発注低食塩次亜塩素酸ソーダ入札談合事件に係る民法第719条訴訟
ア 事件の表示
京都地方裁判所平成11年(ワ)第2882号
損害賠償請求事件
原告  京都市
被告  ダイソー株式会社ほか8名
 提訴年月日  平成11年11月9日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,京都市上下水道事業管理者発注の4浄水場向け及び4下水処理場向け低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合について,平成11年1月25日,ダイソー株式会社ほか8名に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後,発注者である京都市は,被審人であるダイソー株式会社ほか8名に対して,民法第719条に基づく損害賠償請求訴訟を京都地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成12年3月22日,原告である京都市が,京都地方裁判所に対し平成11年7月28日に提起されていた平成11年(行ウ)第20号違法公金支出金返還請求住民訴訟事件への共同訴訟参加を申し出て同事件において係属中である。
(3) 高槻市発注上水道工事入札談合事件に係る民法第709条訴訟
ア 事件の表示
大阪地方裁判所平成14年(ワ)第3005号
損害賠償請求事件
原告  高槻市
被告  有限会社アーサーほか26名
 提訴年月日  平成14年3月28日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,高槻市水道部発注の上水道本管工事入札談合について,平成13年11月7日,有限会社アーサーほか26名に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。当該審決確定後,発注者である高槻市は,被審人である有限会社アーサーほか26名に対して,民法第709条に基づく損害賠償請求訴訟を大阪地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件について,平成14年度末現在,大阪地方裁判所に係属中である。
 なお,同裁判所から,平成14年6月13日に文書送付嘱託があり,公正取引委員会は,同年7月29日資料を送付した。
(4) 株式会社北海道新聞社による株式会社函館新聞社の参入妨害事件に係る民法709条訴訟
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成14年(ワ)第8915号
損害賠償請求事件
原告  株式会社函館新聞社
被告  株式会社北海道新聞社
 提訴年月日  平成14年4月26日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,株式会社北海道新聞社による函館対策と称する一連の行為によって株式会社函館新聞社の事業活動を排除した行為について,平成12年2月28日,株式会社北海道新聞社に対し当該行為の排除等を命ずる審決を行った。その後,平成14年4月26日,株式会社函館新聞社は,株式会社北海道新聞社に対して,民法第709条に基づく損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,東京地方裁判所に係属中である。
(5) 旧埼玉土曜会談合事件に係る住民訴訟
ア 事件の表示
最高裁判所平成13年(行ツ)第235号
損害賠償請求上告事件
上告人(控訴人・原告)岩木英二ほか25名
被上告人(被控訴人・被告)鹿島建設株式会社ほか24名
 提訴年月日  平成4年8月14日
 判決年月日  平成12年3月13日
 (訴え却下,浦和地方裁判所)
 判決年月日  平成13年4月26日
 (控訴棄却,東京高等裁判所)
 上告年月日  平成13年4月27日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,埼玉県発注の土木一式工事の入札談合について,平成4年6月3日,鹿島建設株式会社ほか65名に対し当該行為の排除等を命じる審決を行った。当該審決確定後,埼玉県の住民は,当該建設業者等に対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,埼玉県に代位して損害賠償を求める住民訴訟を浦和地方裁判所に提起した。同裁判所は平成12年3月13日,訴え却下の判決を下した後,当該建設業者等は,東京高等裁判所に控訴したが請求棄却された。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成13年4月27日,最高裁判所に上告され,平成14年度末現在,同裁判所に係属中である。
 なお,浦和地方裁判所から,平成5年5月31日,文書送付嘱託があり,公正取引委員会は,同年8月27日,資料を提供した。その後,同裁判所から,平成6年3月24日,再度文書送付嘱託及び調査嘱託があり,同年8月12日回答を行った。
(6) 日本下水道事業団発注の電気設備工事に係る住民訴訟
ア 事件の表示
(ア)  最高裁判所平成14年(行ヒ)第201号
損害賠償請求上告事件
被上告人(被控訴人・原告)松川栄太郎ほか2名
上告人(控訴人・被告)日本下水道事業団及び富士電機株式会社
 提訴年月日  平成7年12月21日
 判決年月日  平成13年3月29日
 (請求一部認容,津地方裁判所)
 判決年月日  平成14年4月24日
 (訴え却下,名古屋高等裁判所)
 上告受理申立て年月日  平成14年4月26日
(イ)  横浜地方裁判所平成14年(行ウ)第64号
損害賠償請求事件
原告(控訴人・上告人)益子良一ほか31名
被告(被控訴人・被上告人)株式会社日立製作所ほか9名
 提訴年月日  平成8年2月19日
 判決年月日  平成11年11月17日
(訴え却下,横浜地方裁判所)
 判決年月日  平成13年9月19日
(控訴棄却・原判決取消し,東京高等裁判所)
 上告及び上告受理申立て年月日 
       平成13年9月26日〜10月2日
 判決年月日  平成14年4月26日
(平成14年(行ツ)1 棄却決定,最高裁)
 判決年月日  平成14年10月15日
(平成14年(行ヒ)1 破棄差戻し
〔横浜地裁〕,最高裁)
(ウ)  名古屋高等裁判所平成13年(行コ)第37号
損害賠償請求控訴事件
被控訴人(原告)佐々木伸尚ほか1名
控訴人(被告)三菱電機株式会社ほか3名
 提訴年月日  平成8年2月21日
 判決年月日  平成13年9月7日
(請求一部認容,名古屋地方裁判所)
 控訴年月日  平成13年9月11日
 和解年月日  平成15年2月24日
(和解・三菱電機ほか2名)
(エ)  最高裁判所平成14年(行ツ)第18号,平成14年(行ヒ)第17号
損害賠償請求上告事件
被上告人(控訴人・原告)高橋敬幸
上告人(被控訴人・被告)日本下水道事業団
 提訴年月日  平成8年2月24日
 判決年月日  平成12年3月28日
(請求一部認容,鳥取地方裁判所)
 判決年月日  平成13年10月12日
(請求一部認容,広島高等裁判所松江支部)
 上告及び上告受理申立て年月日 平成13年10月24日
 判決年月日  平成14年12年19日
(上告棄却・不受理決定,最高裁)
(オ)  最高裁判所平成14年(行ツ)第19号,平成14年(行ヒ)18号
損害賠償請求上告事件
被上告人(控訴人・原告)高橋敬幸
上告人(被控訴人・被告)株式会社東芝
 提訴年月日  平成8年2月24日
 判決年月日  平成12年3月28日
(請求一部認容,鳥取地方裁判所)
 判決年月日  平成13年10月12日
(請求一部認容,広島高等裁判所松江支部)
 上告及び上告受理申立て年月日 平成13年10月25日
 判決年月日  平成14年12年19日
(上告棄却・不受理決定,最高裁)
(カ)  東京高等裁判所平成14年(行コ)第167号
損害賠償請求控訴事件
控訴人(原告)竹下悟ほか4名
被控訴人(被告)株式会社日立製作所ほか9名
 提訴年月日  平成8年4月9日
 判決年月日  平成14年3月27日
(訴え却下,浦和地方裁判所)
 控訴年月日  平成14年4月9日
(キ)  広島高等裁判所松江支部平成13年(行コ)第7号
損害賠償請求控訴事件
控訴人(原告)竹下靖彦ほか1名
控訴人(被告)株式会社東芝ほか2名
 提訴年月日  平成8年2月20日
 判決年月日  平成13年9月19日
(請求一部認容,松江地方裁判所)
 控訴年月日  平成13年9月30日(双方控訴)
 控訴取下げ年月日 平成15年3月19日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,日本下水道事業団発注の電気設備工事の入札談合について,平成7年7月12日,株式会社日立製作所ほか8名に対し課徴金納付命令を行った。前記原告住民らは,前記被告らに対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,各地方自治体に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前記各裁判所等に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 前記ア(エ)及び(オ)の2事件については,平成14年12月19日に,最高裁判所において,上告棄却,不受理決定がなされ終了した。また,ア(キ)事件については,平成15年3月19日に控訴取下げにより終了した。
 その他の事件についは,平成14年度末現在,各裁判所において係属中である。
 なお,前記各事件について,平成8年度,9年度及び12年度中に,それぞれの受訴裁判所から公正取引委員会に文書送付嘱託があり,公正取引委員会は当該各裁判所に資料を提供した。また,平成10年度,12年度に調査嘱託があった裁判所には回答を行った。
(7) デジタル計装制御システム工事の入札に係る住民訴訟
ア 事件の表示
(ア)  最高裁判所平成13年(行ツ)第187号,平成13年(行ツ)第188号,平成13年(行ヒ)第180号,平成13年(行ヒ)第181号
損害賠償請求上告事件
被上告人(被控訴人・原告)川田賢司ほか3名
上告人(控訴人・被告)横河電機株式会社ほか4名
 提訴年月日  平成8年2月21日
 判決年月日  平成11年10月20日
(請求一部認容,奈良地方裁判所)
 判決年月日  平成13年3月8日
(請求一部認容,大阪高等裁判所)
 上告及び上告受理申立て年月日 平成13年3月24日
 判決年月日  平成14年10月15日
(上告棄却,不受理決定,最高裁判所)
(イ)  名古屋高等裁判所平成13年(行コ)第38号
損害賠償請求上告事件
被控訴人(原告)北村三郎ほか2名
控訴人(被告)富士電機株式会社ほか3名
 提訴年月日  平成8年2月21日
 判決年月日  平成13年9月7日
(請求一部認容,名古屋地方裁判所)
 控訴年月日  平成13年9月11日
 和解年月日  平成14年12月13日(和解)
(ウ)  東京高等裁判所平成14年(行コ)第60号
損害賠償請求控訴事件
控訴入(原告)古宮杜司男ほか5名
被控訴人(被告)横河電機株式会社ほか5名
 提訴年月日  平成8年2月22日
 判決年月日  平成14年1月31日
(請求棄却,東京地方裁判所)
 控訴年月日  平成14年2月8日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,デジタル計装制御システム工事の入札談合について,平成7年8月8日,横河電機株式会社ほか3名に対し課徴金納付命令を行った。前記原告住民らは,前記被告らに対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,各地方自治体に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前記各裁判所等に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 前記ア(ア)の事件については,平成14年10月15日,最高裁判所において,上告棄却,不受理決定がなされ終了した。また,前記ア(イ)の事件については,平成14年12月13日,和解が成立し終了した。その他の事件については,平成14年度末現在,受訴裁判所に係属中である。
 なお,前記各事件について,平成8年度又は9年度中に,それぞれの受訴裁判所から公正取引委員会に文書送付嘱託があり,公正取引委員会は当該各裁判所に資料を提供した。また,平成9年度に調査嘱託があった裁判所には回答を行った。
(8) 東京都水道局発注の水道メーター入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
東京地方裁判所平成9年(行ウ)第142号
損害賠償請求事件
原告  小竹紘子ほか23名
被告  東京都水道局長ほか27名
 提訴年月日  平成9年6月9日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,東京都発注の水道メーターの入札談合について,平成9年3月19日,株式会社金門製作所ほか24名に対し当該行為の排除等を命じる審決を行った。当該審決が確定した後,東京都の住民は,東京都水道局長ほか27名に対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,東京都に代位して損害賠償を求める住民訴訟を東京地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成15年1月7日訴えが取り下げられた。
(9) 群馬県及び同県沼田市発注の土木一式工事等入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
前橋地方裁判所平成10年(行ウ)第4号
損害賠償請求事件
原告  杉山弘一
被告  群馬県知事ほか6名
 提訴年月日  平成10年4月20日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,群馬県沼田市及び群馬県沼田土木事務所発注の土木・建築・舗装工事の入札談合について,平成10年1月23日,同県沼田市所在の土木工事業者等に対し当該行為の排除等を命じる審決を行った。当該審決が確定した後,群馬県沼田市の住民は,当該土木工事業者等に対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,群馬県及び同沼田市に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前橋地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,前橋地方裁判所に係属中である
 なお,同裁判所から,平成10年7月17日,文書送付嘱託があり,公正取引委員会は,同年12月22日,資料を提供した。
(10) 京都市発注の低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
京都地方裁判所平成11年(行ウ)第20号,平成11年(ワ)第2882号共同訴訟参加事件
違法公金支出金返還請求事件
原告  高橋瞬作ほか1名
被告  ダイソー株式会社ほか14名
 提訴年月日  平成11年7月28日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,京都市上下水道事業管理者発注の低食塩次亜塩素酸ソーダの入札談合について,平成10年1月23日,同供給業者9社に対し当該行為の排除等を命じる審決を行った。当該審決が確定した後,京都市の住民は,当該供給業者等に対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,京都市に代位して違法に支出された公金の返還を求める住民訴訟を京都地方裁判所に提起した。
 なお,平成12年3月22日,京都市が原告として被告に対し平成11年11月9日に同裁判所に対し提起していた平成11年(ワ)第2882号損害賠償請求事件を本件に共同訴訟参加を申し出て係属中である。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,京都地方裁判所に係属中である。
 なお,同裁判所から,平成11年10月13日,文書送付嘱託があり,公正取引委員会は,平成12年2月10日,資料を提供した。また,平成13年度に調査嘱託があり回答を行った。
(11) 北海道上川支庁発注の農業土木工事等の入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
札幌地方裁判所平成12年(行ウ)第29号
損害賠償請求事件
原告  橘晃弘ほか1名
被告  堀達也ほか6名
 提訴年月日  平成12年12月14日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,北海道上川支庁発注の農業土木工事等の入札談合について,平成12年6月16日,旭川市等所在の農業土木工事業者等に対し当該行為の排除等を命じる審決を行った。当該審決が確定した後,札幌市内の住民は,当該農業土木工事業者等に対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,北海道に代位して損害賠償を求める住民訴訟を札幌地方裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,札幌地方裁判所に係属中である。
 なお,同裁判所から,平成13年度に調査嘱託があり回答するとともに,同14年度に文書送付嘱託があり資料を送付した。
(12) 地方自治体発注のごみ焼却施設建設の入札談合に係る住民訴訟
ア 事件の表示
(ア)  京都地方裁判所平成12年(行ウ)第3号
公金不正支出差止等請求事件
原告  川口力ほか774名
被告  京都市長及び川崎重工業株式会社
 提訴年月日  平成12年2月10日
(イ)  東京地方裁判所平成12年(行ウ)第185号
損害賠償請求事件
原告  堀敏明ほか2名
被告  株式会社タクマほか4名
 提訴年月日  平成12年7月14日
(ウ)  福岡地方裁判所平成12年(行ウ)第27号
損害賠償請求事件
原告  児嶋研二ほか11名
被告  福岡市長ほか5名
 提訴年月日  平成12年8月3日
(エ)  東京地方裁判所平成12年(行ウ)第203号 
損害賠償請求事件
原告  前田功
被告  多摩ニュータウン環境組合及び日立造船株式会社
 提訴年月日  平成12年8月4日
(オ)  鳥取地方裁判所平成12年(行ウ)第2号
損害賠償請求事件
原告  南博ほか2名
被告  米子市長及び日本鋼管株式会社
 提訴年月日  平成12年8月9日
(カ)  新潟地方裁判所平成12年(行ウ)第13号
損害賠償請求事件
原告  佐藤賢ほか11名
被告  豊栄郷清掃施設処理組合管理者及び日立造船株式会社
 提訴年月日  平成12年10月6日
イ 事案の概要
 公正取引委員会は,地方公共団体発注のごみ焼却施設の建設工事に係る入札談合について,平成11年8月13日,日立造船株式会社ほか4名に対し,勧告を行ったところ,これを応諾しなかったため,同年9月8日,審判手続の開始を請求し,平成14年度末現在,係属中である。
 前記原告住民らは,前記被告らに対して,地方自治法第242条の2の規定に基づき,各地方自治体に代位して損害賠償を求める住民訴訟を前記各裁判所に提起した。
ウ 訴訟手続の経過
 本件については,平成14年度末現在,各裁判所に係属中である。
 なお,前記各事件について,平成12年度から14年度にかけて,それぞれの受訴裁判所から,文書送付嘱託,審尋,文書特定手続及び求意見がありそれぞれ回答を行った。
 また,平成14年度中に,前記ア(ウ)(オ)及び(カ)の事件について,受訴裁判所から文書提出命令が出され,それぞれ即時抗告((ウ)については住民側が即時抗告)を行った。
その他の公正取引委員会関係の訴訟
 平成14年度当初において係属中の公正取引委員会が関係する訴訟は,豊田商法の被害者による国家賠償請求事件(いわゆる大阪豊田商事事件)の1件であったが,平成14年9月26日最高裁判所において上告棄却され確定した。