我が国経済は,バブル崩壊後の調整過程を経て2回の景気回復局面を迎えたが,未だに本格的な景気の回復はみられない。同時にGDPデフレーターは,平成10年度以降前年度比マイナスを続けており,デフレが進行している。
平成14年度に入り,年初来の輸出の増加や生産の持ち直しの動き等により,平成13年4―6月期以降マイナスに転じていた実質経済成長率が平成14年4―6月期にプラスに転じ,景気に一部持ち直しの動きがみられた。しかしながら,年後半にかけて米国経済への先行き懸念や株価低迷の影響等が最終需要の下押し要因となり,年度後半はほぼ横ばいで推移した。 このような経済環境の中,我が国経済を活性化し豊かな社会を実現していくためには,これまでの経済社会構造を見直し,市場における公正かつ自由な競争を積極的に促進することが必要となっており,「規制改革推進3か年計画」(改定)(平成14年3月29日閣議決定)及び「規制改革推進3か年計画」(再改定)(平成15年3月28日閣議決定)等においても,競争政策の積極的な展開を図ることとされている。公正取引委員会は,こうした基本方針に則り,競争政策の運営に積極的に取り組んでおり,平成15年4月には,今後の競争政策の運営方針を明らかにした「競争政策のグランド・デザイン―市場の番人としての機能の十全な発揮のために―」を公表した。
公正取引委員会は,平成14年度において,次のような施策に重点を置いて競争政策の運営に積極的に取り組んだ。
公正取引委員会の位置付けについては,「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成13年6月閣議決定)において,「よりふさわしい体制に移行することを検討する」とされていたところ,中央省庁等再編後の状況の変化等を踏まえ,、公正取引委員会を総務省の外局から内閣府の外局に移行させることとし,関係法律を整備するための法律案が,平成15年1月31日,第156回通常国会に提出された。同法律案は,同年4月2日に可決・成立し,同月9日に公布・施行された。
イ 下請法の改正
下請法は,物品の製造及び修理における下請取引の公正化並びに下請事業者の利益の保護を図るため,下請代金の支払遅延等の親事業者の不当な行為を規制すること等を内容としているところ,近年の経済のサービス化・ソフト化の進展に伴い,役務(サービス)に係る下請取引についても取引の公正化を図ることが課題となっている。
このため,公正取引委員会は,経済環境の変化に即応した優越的地位の濫用行為に対する規制の在り方について検討するため,平成14年9月から企業取引研究会(座長 清成忠男 法政大学総長)を開催してきたところ,同研究会は,同年11月,役務に係る下請取引を対象に追加するなど下請法について所要の改正を行うべきこと等の提言を含む報告書を取りまとめ,公正取引委員会に提出した。 また,「規制改革の推進に関する第2次答申」(平成14年12月12日総合規制改革会議)において,「経済のソフト化・サービス化という環境変化を踏まえれば,役務の委託取引についても取引の公正化のための有効な枠組みを確立する必要性が高まりつつ」あり,「下請法の対象を一定の役務の委託取引に拡大」すべきであるとされた。 これらを踏まえ,下請法の改正が検討され,役務に係る下請取引を対象に追加すること等を内容とする下請法改正法案は,平成15年3月11日,第156回通常国会に提出された。同改正法案は,一部修正の上,平成15年6月12日に可決・成立し,同月18日に公布された(公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行。ただし,罰則に係る改正規定は,同年7月18日から施行)。
ウ 景品表示法の改正
食品等における虚偽表示の続発により,表示に対する消費者の不信感が根強いことから,表示の適正化を図ることによって,消費者の信頼を回復することが課題となっている。
公正取引委員会は,当委員会が消費者取引において取り組むべき問題について幅広く検討するため,平成13年11月から消費者取引問題研究会(座長 落合誠一 東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催してきたところ,同研究会は,平成14年11月,実質的根拠なしに機能,効果,性質等を強調する表示を禁止する,都道府県知事による執行力の強化等を図るなど,景品表示法について所要の改正を行うべきこと等の提言を含む報告書を取りまとめ,公正取引委員会に提出した。 これらを踏まえ,景品表示法の改正が検討され,合理的な根拠なく著しい優良性を示す不当表示の効果的な規制方法の導入等を内容とする景品表示法改正法案が,平成15年2月28日,第156回通常国会に提出された。同改正法案は,平成15年5月16日に可決・成立し,同月23日に公布された(公布の日から起算して1か月を経過した日から施行。ただし,合理的な根拠なく著しい優良性を示す不当表示の効果的な規制を定めた規定(下記参照)については,公布の日から起算して6か月を経過した日から施行)。
エ 入札談合等関与行為防止法の制定及び対応
入札参加業者による談合行為等に国・地方公共団体等の職員が関与している事例,いわゆる「官製談合」の問題については,与党3党においてプロジェクトチームが設置され,官公需分野における競争の促進や予算執行の適正化を図るため,入札談合等関与行為の防止のための効果的な規制の在り方が検討されてきた。
この検討結果を踏まえて,与党3党の議員立法として入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案が平成14年6月11日,第154回通常国会に提出された。同法律案は同年7月24日に可決・成立し,同月31日に公布された(平成15年1月6日から施行)。 本法の成立を受け,公正取引委員会は,その周知徹底を図るために国・地方公共団体の調達担当者等に対する研修会を全国47都道府県において積極的に行った。 また,平成15年1月30日に排除勧告を行つた岩見沢市発注の建設工事入札談合事件において,岩見沢市職員の入札談合等関与行為が認められたため,同法に基づき,岩見沢市長に対し改善措置要求を行った。
オ 独占禁止法の措置体系及び独占・寡占規制の見直し
公正取引委員会は,排除措置,課徴金,刑事告発等の独占禁止法の措置体系全体の在り方についての検討を行うため,平成14年10月以降,有識者から成る独占禁止法研究会を開催するとともに,より専門的かつ集中的な検討を行うため,同研究会の下に措置体系見直し検討部会を開催している。
また,同研究会は,独占・寡占規制の見直しについても検討を行うこととし,より専門的かつ集中的な検討を行うため,平成15年6月以降,同研究会の下に独占・寡占規制見直し検討部会を開催している。
ア 独占禁止法違反行為の積極的排除
公正取引委員会は,従来から,独占禁止法違反行為に対し厳正かつ積極的に対処してきたところであり,平成14年度においても,入札談合,価格カルテル,不公正な取引方法等の独占禁止法違反行為に対し,排除勧告を行うなど積極的に事件処理に取り組んだ。
平成14年度における主な勧告事件は次のとおりである。 なお,平成15年7月,東京都発注水道メーターの入札談合事件について,愛知時計電機株式会社等4社及びこれら4社の同水道メーターの受注業務に従事していた者等5名を検事総長に告発を行った。 イ 企業結合規制の的確な運用
独占禁止法は,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる会社の合併,株式保有等を禁止している。事業活動のグローバル化等の経済環境の急速な変化に伴い,大企業の合併等大型の企業結合事案が増加傾向にある状況において,公正取引委員会は,我が国市場における競争的な市場構造が確保されるよう,企業結合規制の的確な運用を行っている。平成14年度においては,次のような大型の企業結合事案を処理した。
また,公正取引委員会は,当事会社からの具体的な企業結合計画に関する事前相談があった場合には,独占禁止法第4章の規定に照らして問題があるか否かについて審査を行い,当該審査結果について当事会社に回答している。近年,事前相談に対する公正取引委員会の審査について一層の迅速性及び透明性の向上が求められてきているため,公正取引委員会は,平成14年12月,企業結合計画に関する事前相談への対応について見直しを行い,事前相談の手続,処理期間等を明確にした「企業結合計画に関する事前相談への対応方針」を策定・公表した。
さらに,政府は,過剰債務企業が抱える優良な経営資源の再生と過剰供給構造の解消を図るため,「企業・産業再生に関する基本指針」(平成14年12月19日 産業再生・雇用対策戦略本部決定)を定めたところ,同指針において,産業活力再生特別措置法の対象となる事案の企業結合審査については,運用指針を定め,関係事業者の協力の下,審査の一層の迅速化等を図ることとされている。これを踏まえ,公正取引委員会は,平成15年4月,同法の対象となる事案のうち,迅速な審査処理が可能な審査類型の明確化等を内容とする「企業・産業再生に係る事案に関する企業結合審査について」を策定・公表した。
ア 政府規制等に対する取組
(ア) 政府規制等と競争政策に関する研究会による検討
公正取引委員会は,最近の我が国における社会的・経済的情勢の変化を踏まえ,公的規制の見直し及び関連分野における競争確保・促進政策について検討を行うため,「政府規制等と競争政策に関する研究会」(座長 岩田規久男 学習院大学経済学部教授)及び同研究会ワーキンググループを開催し,特定の分野における政府規制について,その実態や競争に与える影響,規制改革の方向等について調査・研究を行い,その結果を公表している。
平成14年度においては,次のような報告書を公表した。
(イ) 電力事業分野及び電気通信事業分野における指針の改定
公正取引委員会は,平成11年に,電力市場における公正かつ有効な競争の観点から望ましい行為,独占禁止法又は電気事業法上問題となる行為等を示した「適正な電力取引についての指針」を策定したところであるが,その後の運用事例等を踏まえ,本指針の補足・充実を図るため,平成14年7月,経済産業省と共同して,これを改定し公表した。
また,平成13年に,電気通信事業分野における競争を一層促進する観点から事業者が採ることが望ましい行為,独占禁止法及び電気通信事業法上問題となる行為等を示した「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」を策定したところであるが,その後の運用事例等を踏まえ,本指針の補足・充実を図るため,平成14年12月,総務省と共同して,これを改定し公表した。 イ IT分野・知的財産権等に係る取組
(ア) デジタルコンテンツの取引に係る取組
公正取引委員会は,デジタルコンテンツ市場における取引等に関する競争政策上の問題点について検討するため,平成14年6月以降,「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」(座長 根岸哲 神戸大学大学院法学研究科教授)を開催し,平成15年3月,同研究会報告書を公表した。
(イ) 新たな分野における特許に係る取組
公正取引委員会は,「ビジネスモデル特許」や「バイオ関連特許」といった新たな分野における特許に関する競争政策上の問題点について検討するため,平成14年3月以降,「新たな分野における特許と競争政策に関する研究会」(座長 稗貫俊文 北海道大学大学院法学研究科教授)を開催し,平成14年6月,同研究会報告書を公表した。
ア 下請法等による中小企業の競争環境の整備
(ア) 下請法違反行為の積極的排除
公正取引委員会は,中小企業の自主的な事業活動が阻害されることのないよう,下請法の厳正かつ迅速な運用により,下請取引の公正化及び下請事業者の利益の保護に努めており,平成14年度においては,次のような事件に対し勧告を行ったほか,必要に応じ警告の措置を採るなど積極的に事件処理に取り組んだ。
(イ) 大規模小売業者と納入業者との収引に関する実態調査
公正取引委員会は,大規模小売出業者と納入業者との取引について,優越的地位の濫用規制の観点から,「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(平成3年策定)で示された,押し付け販売,協賛金等の負担の要請等の行為類型を中心に,大規模小売業者と納入業者との間の取引実態を把握することを目的として,定期的に調査を実施してきており,今回は,平成14年12月に調査結果を取りまとめ公表した。
また,公正取引委員会は,調査の過程において,独占禁止法上問題となるおそれのある行為を行っているとの指摘があった大規模小売業者に対し,具体的な行為を指摘して納入業者との取引において優越的地位の濫用行為がないか点検を求めるとともに,問題となるおそれのある行為について是正を要請した。 イ 不当廉売に対する取組
小売業における不当廉売については,周辺事業者の経営に与える影響が大きいことから,公正取引委員会は,迅速に処理する方針の下で対応している。
また,大規模な事業者による不当廉売事案又は繰り返し行われている不当廉売事案で周辺の販売業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,周辺の販売業者の事業活動への影響等について個別に調査を行い,問題のみられる事案については厳正に対処している。 平成14年度においては,小売業者による不当廉売事案に関し,次のとおり警告を行ったほか,不当廉売につながるおそれがあるとして1,007件(酒類904件,石油製品79件,家電製品3件,その他21件)の注意を行った。また,官公庁の情報システム調達において極端な安値受注の事例がみられたことから,不当廉売の規定に違反するおそれがある旨警告した。
ウ 景品表示法による消費者行政の推進
(ア) 景品表示法違反行為の積極的排除
公正取引委員会は,消費者向けの商品・サービスの種類や販売方法が多様化する中で,消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう,景品表示法を厳正・迅速に運用することにより,不当表示の排除に努めており,平成14年度においては,次のような事件を含め計22件の排除命令を行ったほか,必要に応じ警告の措置を採るなど,積極的に事件処理に取り組んだ。
(イ) 消費者取引の適正化
規制改革の進展に伴い,消費者への適切な情報提供を推進し,消費者の適正な商品選択を確保していくことが重要な課題となっている。このような状況を踏まえ,公正取引委員会は,消費者取引の適正化のため,広告表示等について実態調査を行うとともに,事業者が行う表示に当たっての留意事項や景品表示法上問題となる表示を明らかにしたガイドラインの策定等を行っており,平成14年度においては次のような取組を行った。
企業活動の国際化の進展に伴い,複数国の競争法に抵触する事案,一国による競争法の執行活動が他国の利益に影響を及ぼす事案が増加するなど,競争当局間の協力関係の強化が求められている。このような状況を踏まえ,我が国は,日米独占禁止協力協定(平成11年10月締結)に引き続き,日EC独占禁止協力協定を締結した(平成15年7月)。
また,カナダとの間では,日加独占禁止協力協定を締結するための交渉を行っている。さらに,メキシコとの経済連携強化のための協定の交渉の場においても競争政策条項に関する議論を行っている。 また,開発途上国・移行経済諸国を対象とした競争法・競争政策に関する技術協力も実施しているところである。
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業務別にみた平成14年度の業務の大要は,次のとおりである。
電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律案等の経済法令等について,関係行政機関が立案するに当たり,所要の調整を行った。
独占禁止法違反被疑事件として平成14年度に審査を行った事件は148件であり,そのうち同年度内に審査を完了したものは108件であった。また,平成14年度中に37件の法的措置(独占禁止法第48条の規定に基づく勧告)を延べ805事業者に対して採った(第1図参照)。
なお,これらのうち8件について審判開始決定がなされ,審判手続に移行した。 平成14年度の法的措置件数37件を行為類型別にみると価格カルテル2件,入札談合30件,不公正な取引方法3件,その他2件となっている(第2図参照)。 第1図 法的措置件数と対象事業者等の数の推移
第2図 行為類型別の法的措置件数
平成14年度の法的措置以外の事件としては,後記の不当廉売についての事件を除き,警告17件,注意49件及び違反事実が認められなかったため審査を打ち切った事件5件となっており,法的措置を採ったものと合わせてこれらを類型別にみると,私的独占2件,価格カルテル10件,入札談合35件,その他のカルテル5件,不公正な取引方法44件,その他の行為12件となっている。
不当廉売事件については,5件の警告を行うとともに,違反につながるおそれのある行為に対し1,007件の注意を行うなど,適切な法運用に努めた。 また,平成14年度の課徴金については,価格カルテル及び入札談合事案について,総計561件,総額43億3,400万円の納付を命じた(第3図参照)。 なお,このほか,38件の課徴金納付命令(課徴金額19億5097万円)については,審判開始決定がなされ,審判手続に移行した。 第3図 課徴金額等の推移
平成14年度における審判事件数は,前年度から引き継いだもの61件を含め,独占禁止法違反に係るものが9件,課徴金納付命令に係るものが82件の計91件であった(第4図参照)。これらのうち,平成14年度中に,8件について審決を行った。この内訳は,審判審決1件,課徴金納付を命ずる審決7件である。
第4図 審判事件数の推移とその内訳
平成14年度においては,前記のとおり,「政府規制等と競争政策に関する研究会」を開催し,電気事業分野,電気通信事業分野及び介護,医療,労働等の社会的規制分野における競争促進のための環境整備について検討を行い,それぞれ報告書を公表した。
また,規制改革が進展している電力事業分野,電気通信事業分野において競争を促進する観点から所管省庁と共同で作成・公表した「適正な電力取引についての指針」(平成11年12月策定・公表),「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」(平成13年11月策定・公表)について,それぞれ,その後の運川事例等を踏まえて見直しを行い,平成14年7月及び12月に改定・公表した。
公正取引委員会は,独占禁止法違反行為の未然防止を図るため,事業者及び事業者団体が実施しようとする具体的な事業活動が独占禁止法上問題がないかどうかについて,個別の相談に応じてきている。
平成14年度においては,事業者の活動に関して1,199件の相談を,事業者団体の活動に関して383件の相談を受け付けた。
独占禁止法第18条の2の規定に基づく価格の同調的引上げに関する報告徴収については,平成14年4月から平成15年8月までの間において,発泡酒について価格引上げ理由の報告を徴収した。
競争政策の運営に資するため,平成14年度には次の調査を行った。
●独占的状態調査 ●イノベーション競争と競争政策に関する調査 ―医薬品産業を例として― ●グローバル化の進展と市場構造に関する調査 ●大規模小売業者と納入業者との取引に関する実態調査
独占禁止法第9条から第16条の規定に基づく企業結合に関する業務については,金融会社の議決権保有について131件の認可を行い,持株会社等について16件の報告,持株会社等の設立について7件の届出,事業会社の株式所有状況について899件の報告,会社の合併・分割・営業譲受け等について330件の届出をそれぞれ受理し,必要な審査を行った(第5図,第6図参照)。
第5図 合併届出,分割届出及び営業譲受け等届出受理件数
第6図 株式所有報告書の提出件数
独占禁止法第8条の規定に基づく事業者団体の届出件数は,成立届146件,変更届1,636件,解散届174件であった。
下請法に関する業務としては,下請取引の公正化及び下請事業者の利益の保護を図るため,親事業者17,385社及びこれらと取引している下請事業者99,481社を対象に書面調査を行った。
書面調査等の結果,下請法違反行為が認められた1,366件につき,4件については勧告,それ以外については警告の措置を採った(第1表参照)。 第1表 下請法の事件処理状況
景品表示法に関する業務としては,同法第6条の規定に基づき排除命令を行ったものは表示関係22件であり,警告を行ったものは,景品関係105件及び表示関係297件の計402件,注意を行ったものは,景品関係4件,表示関係106件であった(第2表参照)。
第2表 景品表示法の事件処理状況
都道府県における景品表示法関係業務の処理状況は,同法第9条の2の規定に基づく指示を行ったものが24件(すべて表示関係),注意を行ったものが541件(景品関係98件,表示関係443件)であった。
また,事業者又は事業者団体が,公正取引委員会の認定を受けて景品類又は表示に関する事項について自主的に設定する業界のルールである公正競争規約に関し,公正取引委員会は,平成14年度において,2件の公正競争規約について新たに認定し,13件の公正競争規約について変更の認定を行った。
国際関係の業務については,各国共通の競争政策上の課題について,米国,EU及び韓国の競争当局との間で,それぞれ二国間の意見交換を行ったほか,OECD(経済協力開発機構),WTO(世界貿易機関),APEC(アジア太平洋経済協力),UNCTAD(国際連合貿易開発会議),ICN(国際競争ネットワーク)等の会議に積極的に参加した。
広報業務については,各種ガイドブックや英文パンフレットの作成・配布,日本語・英語ホームページの充実等のほか,小・中学校に講師を派遣して競争の役割等についての授業を行ったり,中学生向け副教材を作成し,中学校へ配布するなど積極的な広報を行った。
また,競争政策について一層の理解を求めるなどの目的で,全国5都市で講演会を開催するとともに,各地の有識者との意見交換を行った。 さらに,独占禁止政策協力委員制度については,平成14年度は各地域の有識者150名に委員を委嘱し,全国10都市で会議を行った。
公正取引委員会は,行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)が施行されたことに伴い,同法に基づき政策評価を実施しているところである。平成14年度には,「平成13年度における独占禁止法違反行為に対する措置」について,2件の政策評価を実施・公表した。
公正取引委員会は,独占禁止法等に基づく申請・届出等について,インターネット等を利用したオンライン化を推進し,事業者の負担の軽減及び行政の効率化を図るための取組を行っている。平成14年度には,当委員会の所管する申請・届出等の手続22件についてオンライン化を実現した。
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