1 概要
公正取引委員会では,具体的な活動内容や実施している施策,独占禁止法を始めとする関係法令の解釈や運用について,広く国民に知ってもらうため,積極的かつ分かりやすい広報に努めているところである。広報業務の主なものは,次のとおりである。
2 記者会見
事務総長定例記者会見を毎週水曜日に開催している。
3 報道発表
公正取引委員会は,独占禁止法違反事件に対する法的措置,企業結合等の事前相談に対する回答,独占禁止法を始めとする関係法令に係る各種ガイドライン,実態調査報告書等の内容について,幅広く発表を行っている。平成16年度においては,281件の発表を行った。
なお,特定のテーマについて,報道発表に併せて新聞等による政府広報を利用した広報を行っている。 4 広報資料の作成・配布
1) パンフレット
独占禁止法や公正取引委員会に対する一般の理解を深めるため,各種のパンフレットを作成し,事業者,一般消費者等に配布している。
平成16年度においては,「独占禁止法ガイドブック」「表示と景品のルール」「やさしい独占禁止法ガイド」,「知るほどなるほど 下請法」及び「だから安心!景品表示法」を作成し,事業者,一般消費者等に広く配布したほか,中学生向け副教材として「わたしたちの暮らしと市場経済」を作成し,中学校等に配布した。 (2) ビデオ
独占禁止法,下請法,景品表示法等に関する5種類の広報用ビデオを作成し,これらを事業者団体,消費者団体等に配布している。
平成16年度においては,一般消費者等向けの説明会等で用いたほか,事業者団体等にも貸し出しを行った。 (3) ホームページ
平成9年以降,ホームページ(http://www.jftc.go.jp)において報道発表資料を含む各種の情報を掲載している。
平成16年度においては,トップページのリニューアル,下請法,景品表示法のページの新設等を行った。 (4) 講演会・研修会等への協力
事業者団体等の要請に対応して,講演会,研修会等に講師を派遣し,独占禁止法等について広報を行った。
5 海外向け広報
平成16年度においては,独占禁止法の改正を踏まえ,公正取引委員会英文ホームページ(http://www.jftc.go.jp/e-page/index.htm)の更新を行ったほか,種々の調査報告書等について在日外国大使館等からの問い合わせに応じた説明を行うなど,我が国独占禁止法の運用状況等を積極的に海外にも紹介している。
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1 各委員制度等及びその運用状況
(1) 独占禁止政策協力委員制度
ア 概要
競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実状に即した政策運営に資するため,平成11年度から,独占禁止政策協力委員制度を設置し公正取引委員会に対する独占禁止法等の運用や競争政策の運営等に係る意見・要望の聴取等を行い施策の実施の参考としている。平成16年度においては,各地域の有識者150名に委員を委嘱した。
イ 会議の開催状況
平成16年度においては,平成16年6月16日から6月18日までの間に,全国9都市(札幌,仙台,東京,名古屋,大阪,広島,高松,福岡及び那覇)において,独占禁止政策協力委員会議を開催した。
(2) その他の制度
公正取引委員会は,独占禁止政策協力委員制度のほか,消費者モニター制度,下請取引改善協力委員制度,独占禁止法相談ネットワーク制度等を通じて,消費者,事業者等に対して公正取引委員会の活動状況等について広報を行うとともに,意見・要望等を聴取し,施策の実施の参考としている。
平成16年度においては,消費者取引の適正化をより一層進めていくため,平成17年度から新たに消費者取引適正化推進員制度を設置することとし,その旨を公表した。 2 各種懇談会等の実施
(1) 独占禁止懇話会
平成16年度においては,独占禁止懇話会を3回開催した。
(2) 地方有識者との懇談会
ア 概要
地方有識者と公正取引委員会の委員長又は委員等との懇談及び講演会を通して,競争政策についてより一層の理解を求めるとともに,幅広い意見,要望を把握し,今後の競争政策の有効かつ適切な推進を図るため,昭和47年度以降,毎年,全国各地において開催している。
イ 開催状況
平成16年度においては,平成16年10月5日から10月7日までの間に,全国8都市(札幌,青森,千葉,金沢,京都,鳥取,高知及び大分)において,公正取引委員会の最近の活動状況等について,各地の主要経済団体,消費者団体の代表者等の有識者と公正取引委員会委員との意見交換を行った。
なお,このほか,全国各地区において,地方事務所長等の事務総局職員と有識者との懇談会も随時開催した。 (3) その他
日本経済団体連合会,経済同友会,日本商工会議所等の経済団体との懇談会を開催したほか,全国各地区の消費者団体の代表との意見交換を随時開催した。
また,入札談合防止のため,全国各地において発注官庁等の連絡担当者との間で会議を開催したほか,地方自治体等の発注担当者の研修会等に講師を派遣した。 さらに,下請法・景品表示法の適正運用を図るため,地区ごとに都道府県担当者との間で連絡会議を開催し,意見交換を行った。 |
1 大学教育
大学からの要請を受けて,独占禁止法等の講義に講師を派遣して,最近の公正取引委員会の取組状況等について講義を行うとともに,大学が実施する公開講座等にも講師を派遣した。
2 中学校での教育
中学校からの要請を受けて,中学校に講師を派遣して競争の役割等について授業を行った。また,「わたしたちの暮らしと市場経済」(中学生向けの副教材)を作成し,中学校に配布した。さらに,小・中学生の職場見学に対応した。
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事業者,事業者団体,一般消費者等から寄せられる独占禁止法,下請法,景品表示法等に関する質問に対しては,文書又は口頭により回答している。また,ホームページ上でも意見等の受付(info@jftc.go.jp)を行っている。
また,平成12年度から申告の処理に関する疑問,苦情等の申出を受け付けるため,官房総務課(地方事務所・支所においては総務課,沖縄総合事務局公正取引室においては総務係)に申出受付窓口を設置しており,平成16年度においても公正取引委員会が指名する委員等をもって構成する審理会において,当該処理が適正であったかどうか点検した。 |
1 概要
公正取引委員会は,従来から,独占禁止法,下請法及び景品表示法違反行為の未然防止を図るため,事業者及び事業者団体が実施しようとする具体的な活動に関する相談に対応し,実施しようとする活動について,独占禁止法,下請法及び景品表示法の考え方の説明を行っている。
2 事前相談制度
また,公正取引委員会は,従来から事業者等からの書面による事前相談に対して書面により回答する事前相談制度を実施してきたが,相談制度の一層の充実を図るため,これを整備し,平成13年10月から当委員会が所管する法律(独占禁止法,下請法及び景品表示法)について,「事業者等の活動に係る事前相談制度」として実施してきている。
本制度は,事業者や事業者団体が実施しようとする具体的な行為が,前記法律の規定に照らして問題が無いかどうかの相談に応じ,原則として,事前相談申出書等を受領してから30日以内に書面により回答し,その内容を公表するものである。 なお,平成16年度においては本制度を利用した相談はなかった。 3 独占禁止法に係る相談の概要
平成16年度において,事業者の活動に関して受け付けた相談件数は1,603件,事業者団体の活動に関して受け付けた相談件数は432件である(第1図参照)。
このうち,特徴的な内容の相談を挙げると,事業者からのリサイクル業務の提携に関する相談及び特許等知的財産に関する相談,事業者団体からの業界の窮状を訴える文書に関する相談,資格者団体からの会員の報酬についての情報提供に関する相談などがある。 第1図 独占禁止法に係る相談件数の推移(企業結合に関する相談を除く。)
4 下請法に係る相談の概要
平成16年度に下請法に関して事業者等から受け付けた相談件数は,8,012件である(第2図参照)。
平成16年度においては,情報成果物作成委託及び役務提供委託を対象に追加することなどを内容とする改正下請法が平成16年4月から施行されたことを受け,下請法の改正内容に関係する相談が多数寄せられた。 第2図 下請法に係る相談件数の推移
5 景品表示法に係る相談等の概要
平成16年度において,景品表示法に関して受け付けた相談等件数は23,259件である(第3図参照)。このうち,特徴的な相談を挙げると,有料老人ホームが提供する役務に関する表示の相談,食料品の表示に関する相談,景品類の提供限度額に関する相談などがある。
第3図 景品表示法に係る相談件数の推移
6 独占禁止法相談ネットワークの実施
公正取引委員会は,独占禁止法(下請法及び景品表示法を含む。)に関する中小事業者からの相談に適切に対応することができるように,商工会議所及び商工会の協力の下,独占禁止法相談ネットワークとして,全国の商工会議所及び商工会が有する中小事業者に対する相談窓口を活用し,独占禁止法に関する相談を受け付けている。また,平成16年度においては,前記相談窓口への相談事例集等の参考資料の配布,相談業務に従事する経営指導員向けの研修会への講師の派遣,中小事業者向けの独占禁止法等講習会の開催,専門家による一日相談会への相談員派遣等を行った。
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公正取引委員会は,従来から積極的に入札談合の摘発に努めているほか,平成6年7月に「公共的な入札に係る事業者及び事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」を公表し,入札に係るどのような行為が独占禁止法上問題となるかについて具体例を挙げながら明らかにすることによって,入札談合防止の徹底を図っている。
また,入札談合の未然防止を徹底するためには,発注者側の取組が極めて重要であるとの観点から,独占禁止法違反の可能性のある行為に関し,発注官庁等から公正取引委員会に対し情報が円滑に提供されるよう,各発注官庁等において,公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官として各省庁の会計課長等が指名されている。 公正取引委員会は,連絡担当官との連絡・協力体制を一層緊密なものとするため,平成5年度以降,「公共入札に関する公正取引委員会との連絡担当官会議」を開催しており,平成16年度においては,国の本省庁等の連絡担当官会議を10月20日に開催するとともに,国の地方支分部局等の連絡担当官会議を全国9か所で開催した。 また,公正取引委員会は,平成6年度以降,中央官庁又は地方公共団体が実施する調達担当者等に対する研修会への講師の派遣及び資料の提供等の協力を行うとともに,公団・事業団等の調達担当者に対する研修会を開催している。平成16年度においては,平成15年1月に施行された「入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律」(平成14年法律第101号)のより一層の周知と併せ,東京及び大阪の2か所において公団・事業団等の調達担当者を対象とする研修会を開催するなど,国,地方公共団体,公社・公団等に対して75件の講師の派遣等を行った。 |
1 政策評価
公正取引委員会は,行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成13年法律第86号)が施行されたことに伴い,同法に基づき政策評価を実施しているところである。
平成16年度には,「平成15年度における独占禁止法違反行為に対する措置」のほか,6件の政策評価を実施・公表した。 表 公正取引委員会が平成16年度において実施した政策評価
2 電子政府の実現に向けた取組
IT化の進展を踏まえて,政府全体で電子政府の実現に向けた取組を行っているところ,公正取引委員会においても,独占禁止法に基づく申請・届出等について,インターネット等を利用したオンライン化を推進し,事業者の負担の軽減及び行政の効率化を図るための取組を行っている。具体的には,当委員会の所管する申請・届出等手続23件について平成14年度中にオンライン化を実現した。また,平成15年度には,情報公開の開示請求手続のオンライン化を実現した。さらに,平成16年度には,審判手続等の準司法等手続についてのオンライン化を実現したところである。
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