いわゆる経済の高度化，ボーダーレス化が進展する中で，公正取引委員会における競争政策上の制度設計や法執行に関し，経済学的，あるいは法学的な分析の成果を取り入れる必要性がますます高まっている。
　このような中，公正取引委員会では，独占禁止法及び関連する法律の執行や競争政策の企画・立案・評価を行う上での理論的な基礎を強化するために，平成１５年６月に，事務総局内に「競争政策研究センター」を発足させた。同センターでは，外部の研究者や実務家の知的資源と公正取引委員会職員との協働による研究等を行うことにより機能的・持続的な協働のプラットフォームとなることを目指した活動を展開している。
　平成１６年度においては，６研究テーマに取り組むとともに，東京アメリカン・センターとの共催で国際シンポジウムを行ったほか，ワークショップを１１回，公開セミナーを３回開催するなど，精力的に活動を行った。

　競争政策研究センターでは，経済学者，法学者及び公正取引委員会職員との三者の協働を原則に，複数の競争政策に関する研究テーマに取り組んでおり，平成１６年度においては，６本のテーマについて研究を行い，３本の共同研究報告書を公表した。これらの共同研究報告書で取り上げたテーマについては，研究員による更に掘り下げた研究も行っており，その成果は，各共同研究報告書とは別にディスカッション・ペーパーとして取りまとめられている。

　競争政策研究センターでは，客員研究員と公正取引委員会職員による自由討議を行うことにより共同研究の質的向上を図ることを主たる目的として，定期的にワークショップを開催している。平成１６年度にはワークショップを計１１回開催した。

　競争政策研究センターでは，競争政策に係るより幅広い課題について自由に討議する機会として，インフォーマル・ワークショップを開催している。競争政策に関連したその時々のトピックスに関する外部講師を招いての討議，公正取引委員会における政策課題に関するプレゼンテーションに基づく討議，海外の競争政策担当者等の来日機会を捉えた交流等を行っている。

　競争政策研究センターでは，公正取引委員会職員と客員研究員との間で率直な意見交換を行うため，昼食時間を利用してＢＢＬミーティングを開催している。

　競争政策研究センターでは，共同研究報告書等の研究成果を対外的に紹介するために，一般の方も参加できる公開セミナーを開催している。この公開セミナー・シリーズは，海外の競争当局高官や学識経験者の来日機会を捉えた講演会の場としても活用している。

　競争政策研究センターでは，競争政策に関する国際的な交流拠点としての機能を果たすため，海外の競争当局担当者や学識経験者を迎えた国際シンポジウムを開催している。シンポジウムでは，国際的な競争政策に関するトピックスや学術的な研究成果を踏まえて，競争政策研究センター客員研究員等や公正取引委員会幹部を交えたパネル・ディスカッション等を行っている。
　平成１６年９月には，東京アメリカン・センターとの共催により，米国司法省反トラスト局Ｒ・ヒューイット・ペイト局長及び米国連邦取引委員会オールデン・アボット競争局長補を招聘し，「競争のグローバル化と競争政策の新たな制度設計」をテーマにした国際シンポジウムを開催した。